アメリカは資本主義社会であると言われます。挑戦者に機会を与える国であると、そして新参者でも巨万の富を築くことが出来る国だとも。
拝金主義であるとの批判は常にあります。でもアメリカ社会の奥底に流れる、金儲け第一主義とは一線を画すプロタンティスト的倫理観は今も生きている。いや、未だ生きていると評すべきか。だからこそ、稀に現れる高潔なる人士に対する敬意は絶えることはない。
表題の作品の主人公は、決して裕福ではなかったはずの父の遺産に手付かずの大金があることに仰天します。判事として社会的な名声はあっても、金儲けには疎かった父がなぜこのような大金を持っていたのか。そして全く手を付けていないのは何故か。
父が死ぬ間際に、弁護士である自分に頼んだ、ある死刑囚の再審請求と関係があるのか?それほどぱっとしない刑事弁護士である主人公は、突然の遺産相続と勝ち目の薄い裁判を抱えつつ、父の残した遺産の謎に苦しみます。脅迫を受け、偽の依頼にはめられ恥をかき、恋人には愛想を付かされそうになる。救いといえば、愛すべきレトリーバー犬のタラだけ。
そんな状況にありながら、この主人公はひょうひょうと謎を解いていく。法廷を舞台としたサスペンスとしては並みの出来ですが、この主人公の前向きな明るさと頑固な倫理観が作品全体に爽やかな印象を残しています。末焉Aうまく原作の雰囲気を捉えた感じがして好感が持てます。この作者の二作目、三作目を是非読みたいものです。
1 コメント
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- Unknown (ヌマンタ)
- 2006-06-21 09:43:05
- お誘いありがとうございます。されど、私はネット上で仕事をする気は無く、純粋にブログを楽しみたいので、申し訳ありませんが、お断り申し上げます。
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