ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

プロレスってさ ブラックタイガー

2025-03-12 09:29:51 | スポーツ

久々のプロレス記事なのだが、今回は内容にちょっと自信がない。

私はよく夜遊びをする学生であったが、遊ぶ街は選んでいた。渋谷なら道玄坂からセンター街界隈であり、下北沢なら南口、吉祥寺は夜が早いのであまり夜遊びに向いた街ではないが、飲むなら南口かな。そして新宿だが、ここは難しかった。

まず歌舞伎町だが、ここは十代の若者には敷居が高かった。なにせ警官に補導される可能性が高い。またあまり関わりたくないご商売の方々がおり、一応真面目な若者はカモにされやすいことぐらいは知っていた。さりとて東口はお値段が高い店が多いし、二丁目は別の意味で怖いというか異世界であった。

そんな根性なしの真面目な若者にとって遊びやすかったのが西口であった。換金率の高いパチンコ屋や山道具の大手ICI石井スポーツなどがあり、割と頻繁に足を運んでいた。都庁が引っ越してきてからは、都庁の職員も気軽に入れる飲み屋が出てきたので、さほど金をもっていない私たちでも飲みを楽しめた。

この新宿西口には京王ホテルがあり、ここは海外からのプロスポーツ選手が良く宿泊していることでも知られていた。なかでも新日本プロレスが招聘したプロレスラーがよく泊まっていた。そのせいか、西口の居酒屋には大柄な外国人レスラーが飲んでいる姿を見かけることが稀にあった。

その日、私は大久保でバイトしていて、夜半に新宿まで歩いて帰宅するつもりであった。ただ空腹に耐えかねて牛丼屋で遅めの夕食を食べて、西口の京王線新宿駅改札に向かう途中で外国語の喚き声を聞いた。

お!喧嘩かと思い、見に行くことにした。このあたりに気質は、火事と喧嘩に目がない江戸っ子の血を引く私の本能だ。居酒屋が立ち並ぶ繁華街の裏道で、大柄な白人男性が揉めていた。どちらも泥酔状態に近く、おまけに英語で怒鳴り合っているので野次馬はけっこう居たが、誰も止めに入る勇気はなかった。

二人とも酔いがかなり回っているので、大ぶりのパンチも当たらず、よろけている始末である。なんとも締まりのない喧嘩だと呆れていたら、白人女性に手を惹かれてやってきた白人男性がやってきた。どうやら喧嘩を止めるつもりらしいが、体格こそがっちりしていたが、如何せん背丈が180あるかないかでちょっと不安に思えた。

ところがこの中肉中背の白人男性が異様に強かった。「ゲラウェイ」と唸る白人男性の背後に回ってベルトを掴むと片手で持ち上げてしまった。もう一人の白人男性が邪魔するなと殴り掛かるが、片手に白人男性を捕まえたままで、軽く避けて同様に首筋を掴んで持ち上げてしまった。

どちらも大柄な二人を、それぞれ片手で持ち上げてしまう怪力ぶりに唖然とした。そして、その二人を歩道沿いの草むらに無造作に放り投げ、動きが止まった二人になにやら穏やかに語りかけエる。酔いが醒めたが如く、二人の白人男性は大人しくなり、その場は収まった。

どうやらもうこれ以上騒ぎになりそうもないので、私もその場を立ち去った。帰途の電車のなかで、ふと思い出した。あの止めに入った男性、ブラックタイガーのマーク・ロッコじゃないのか。

当時、人気絶頂だった新日本プロレスのタイガーマスクのライバルとして、イギリスから来日していたブラックタイガーという覆面レスラーがいたが、その正体はイギリス・プロレス界の強豪、ローラーボール・マーク・ロッコであることを私は知っていた。

当時、VHSの録画でロッコの試合を観たことがあったので、そうではないかと思い至った。ただし確信はない。でも京王ホテルの近くであったし、あの異様な上半身の逞しさは、レスラー独特のものだと予測できたからだ。

実際、ジュニアヘビー級の身長ではあったが、ヘビー級のプロレスラーにも劣らぬ筋肉の持ち主であり、生粋のレスリング技術と喧嘩上手で知られたロッコは、欧州でも屈指の強豪であった。タイガーマスクのライバルとの触れ込みであったが、私はブラックタイガーのほうが強かったと思っている。

実際、100キロ近い大男を片手で持ち上げている状態で、もう一人を相手にするなんて絶対に堅気の人間には出来ないと思う。まぁ証拠はないのだけれど、もしあれがロッコだとすると、私は貴重な場面を見たことになる。

残念ながら既に故人であり、もう真贋は分からない。でも、そうであったら良いなぁと思いだしております。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ハンバーガー | トップ |   

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (大俗物)
2025-03-12 17:12:15
ロッコさん格好良い!🎉
いや
ロッコさんにしましようよ。そうに違いない。だって自分より大柄な白人男性を片手づつ両手で吊るし上げる。
それこそスターのボディガード(俳優になる前のミスターTみたいなの)か、プロレスラーしかありませんって。
で、プロレスラーをたくさん観てきたヌマンタ様が場所的にも可能性たかい場所で観てるのだもの。
それにしても……最初のスター・ウォーズ(なんでかエピソード1でなく4らしい…)で、ダース・ベイダー役の俳優が共和国軍人を片手で吊るし上げるシーンあるのてすが、疑っていたけれどレスラーや重量挙げ選手なら可能なんだな!!と思いましたから。
なかなか衝撃的でワクワクしました。この記事は。
それぐらい腕力あれば衝撃吸収材とケプラー繊維に鎧兜を重ね着すれば、月の輪熊くらいなら倒せるかもしれませんね。プロレスラーすげー。
返信する

コメントを投稿

スポーツ」カテゴリの最新記事