ヌマンタの書斎

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不動産運用

2016-11-29 12:02:00 | 経済・金融・税制

危なっかしいと云わざるを得ない。

長く低金利が続き、所得格差、資産格差が広がってくる今日の日本において、少しでも有利な資産運用をして豊かな生活を目指すことは当然であろう。

そのせいだと思うが、最近TVのCMや、書店に並ぶ雑誌、書籍などに不動産運用を奨めるものが増えている。

率直に言って、危ないなァと思ている。

賃貸アパートや、賃貸マンション、賃貸テナントその他賃貸駐車場など不動産運用はいろいろある。物件さえ確かならば、かなり安定性が高く、かつ収益性も悪くない。

ただ、一部のCMでやっているような、土地をもっていなくても出来るタイプの不動産賃貸は要注意だ。これは非常にリスクが高い。定期借地権を利用したものや、ワンルームマンションなどがあるが、土地もしくは敷地権を借りているため、その分収益性が落ちる。空き室になったらローンの支払いに苦労すること請け合いである。

また比較的安定性の高い遊休土地を活かしたアパート経営も、その立地条件、周辺の賃貸状況、道路、鉄道等の利便性、コンビニ、病院などの環境面などを考慮しないと、建てたはいいが空き室だらけの不良資産と化す。

かなり偏見混じりの暴論かもしれないが、建設会社は建物を建ててしまえば良しである。銀行は貸してしまえば、後は倒産しても担保不動産を差し押さえるだけ。ワンルームマンションに至っては、誰か知らねど買わせてしまえば、後は野となれ山となれである。

あと、メリットもあるが、デメリットも大きい一括借上げタイプの不動産賃貸も怪しい。家賃保証に気を取られて、十年後、二十年後のリスクが疎かなケースを散見する。たしかに大家にとっては、手間暇かからぬお気楽収益であるが、一括借上げ契約は永遠ではない。それにメンテナンス代が高くつくのも欠点だ。敢えて断言するが、長期投資として収益性は決して高くない。

他にもいろいろリスクはある。だが、最大のリスクは日本の社会状況の変化だと思う。高齢者が増える一方で、子供の数が減っている。別に家を建てなくても、親の家を相続すればいい。そう考える子供たちは少なくない。

それどころか、自分の家を持っている子供にとって、親の家は不良債権と化すことも珍しくない。老朽化もあるが、今さら住む気にもなれず、さりとて貸す気にもなれない。

結果、日本各地に空き家が増えていることは既に知られている通り。そんな状況下で賃貸物件を増やすならば、よほど条件が良くなければ、空き室が埋まることはない。建築当初は埋まっても、徐々に空き室が増え、修繕費も増え、なんのための不動産運用だが分からなくなっている。

そのことを誰よりも分かっているのが不動産業界だ。だが、商売は止められない列車にも似て、簡単に止めることは出来ない。だから、不動産業界は建設業界、銀行業界と意見が一致して、不動産運用を消費者に奨める。買わせてしまえば、後のことは知っちゃいない。

その本音を押し隠し、不安を笑顔で押し切り、客の将来よりも自分たちの今が大事。だからこそ大々的にCMを打ち、雑誌などに不動産投資の奨めの記事を書かせる。

もちろん、上手くやっている不動産投資もある。それは確かだ。だが、投資に絶対的な安全性などないのも事実だ。もし、不動産投資をお考えならば、あくまで余剰資金でやるべきだ。借入は極力減らし、自己資金で賄い、営業マンの科白を鵜呑みすることなく、自分の足で投資物件をみてまわり、近所の話を聞き、裁判所の競売物件を調べる。これくらいは、自分で出来るはずだし、この程度の手間を惜しむ人は、投資には向いていないと思います。

くれぐれも、TVのCMや、雑誌の広告的記事、銀行等のセミナーなどの話を真に受けることなく、自分自身の足で調べ、耳で聞き、目で見て判断しましょう。貴方の人生を保証してくれるのは、他でもない貴方自身なのですから。


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