音速を超えて飛行することは難しい。
この音速の壁は、プロペラでは超えることが出来ず、ジェットエンジンを用い得てようやく超える事が出来た。しかし、通常のエンジン燃焼では、やはり音速の壁は越えられない。
そこでジェット戦闘機は、アフターバーナーを燃焼させることにより音速の壁を突破する。この場合、燃料の消費は通常の5倍以上となり、超音速戦闘機といえども数分しかアフターバーナーは使えない。
つまり、超音速戦闘機といいつつ、実際は亜音速(マッハ0、7~0、8)程度で飛行しており、音速を超えることは滅多にしない。しかし、アメリカは遂に超音速で通常飛行が出来るエンジンを開発した。
この未来型のエンジンが、アメリカのF119であり、搭載するはF22ラプターであった。通常飛行で音速を超えて飛行することをスーパークルーズと呼ぶ。現在、このスーパークルーズが可能な戦闘機は、F22の他は、F35、フランスのラファール、ロシアのスホーイ37などに限られる。
そこに割って入ろうとしているのが、日本の石川島播磨が開発した次世代型ジェットエンジンであるXF9≠Pである。このエンジンは単にスーパークルーズが可能な出力だけが取り柄ではない。
まずF119と比して一回り小型である。ステルス戦闘機は機内に装備を隠すため、エンジンは小さい方が望ましい。仮にF22ラプターに搭載すれば、今まで以上に武器を搭載できる。そして、エンジンの小型化は難しいが故に、欧米が関心を持つ。
ようやく世界の最高レベルに肩を並べるジェットエンジンを日本単独で推し進めたい意向が強いようだが、おそらくイギリスのロールスロイス社との共同開発の可能性が高い。
RR社は近年、優秀なジェットエンジンの開発が上手くいっていないのも好材料だ。また日本は長年実戦経験がないが故に、エンジンの分解整備を含めて、戦場に対応できるノウハウが乏しい。アメリカのGEやP&Wも狙っているはずだが、こちらには潰される可能性もあるので、私はお薦めできない。
生き馬の目を抜く戦争商人の世界では、手を結ぶふりをして、相手を生殺し状態で潰すのはよくある話。ノースロップ社など優秀な戦闘機を開発しながら、軍に採用されずに会社ごと潰された実例は、決して少なくない。
でも最悪の手は、次期国産戦闘機であるF3に搭載させての単独開発である。コスト面で大幅に不利なだけではない。将来的にアメリカの敵認定される可能性があるからだ。
戦後70年以上が経つが、未だアメリカは日本の手綱を手放さない。世界中の国々で、首都を外国の軍隊の基地に包囲されているのは日本だけである。日本の軍事力が、アメリカ海軍の護衛及び在日米軍基地の防衛に偏重しているのも、当然に戦勝国アメリカの意向である。
今もアメリカは、軍事的には日本を掌握下に置いているし、まだまだ解放する気はない。もちろん日本政府及び霞が関の官僚たちは、そのことを熟知している。しかし、それでも何時かは軍事的にも自立を目指したいと志向する人たちはいる。
それは、国家としてある意味健全な志向であると私は思うが、アメリカを敵にまわす愚を考えれば、まだ当分は軍事的な自立を表に出すべきではない。アメリカは常に敵を必要としている国であり、経済力、技術力、資金力を十分に持つ日本は仮想敵国となったならば、決して容認できる存在ではない。
隣に自主独立を目指している夢想国家があるが、私はこのマヌケちゃんは、いずれアメリカ、シナのどちらからも敵国認定されると思っている。まァ多分、シナにすり寄ると予想しているけど、アメリカの浮ウは分かってないと思う。
繰り返すけど、今回日本が開発に成功したXF9エンジンは、世界第一級の性能を持つ可能性がある。そんな優秀は平気を見逃すほどにアメリカは愚鈍ではない。F2戦闘機の後継機であるF3を純国産で進めたい意向は、心情的にはよく理解できる。
しかし、日本の置かれた政治的な立場を考案すれば、やはりアメリカやイギリスとの共同開発を受け入れ、自らの姿勢を明白にするべきだと思う。
なにを弱気なと思う方も多いと思うけど、21世紀の日本は高齢化と少子化により徐々に衰退していくことを考えれば、身に合わぬ野心は持たぬほうが良いと思うのです。
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