ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

アンローゼの閉店

2013-04-05 13:14:00 | 日記

もうあのラスクは食べられない。

ガーリックラスクも好きだけど、シュガーラスクもけっこう好き。地元にあるアンローゼというパン屋さんに立ち寄ると、いつもラスクがあるかどうかを探していた。

何故なら、けっこう人気商品で遅い時間ではまず品切れ。どうも学校から下校する途中の女子高生たちが買い占めていくらしい。おかげで私は滅多に買えない。

このパン屋さんは、パンだけでなく、ケーキやクッキーなども作っており、個性豊かな品揃えで評判の高い店であった。ラスクも調理パンの作成過程で出るパンくずから作っているらしく、手作り感が好ましいが、大量には作れないのでいつも品薄であった。

だから帰宅時に立ち寄ってラスクがあれば、その日の夜は紅茶を飲みながらラスクをつまむ楽しい時間が約束される。私の密やかな楽しみでもあった。

ところがだ、このパン屋さんが閉店してしまった。

予兆はあった。昨年暮れだが、店の入り口に張り紙が貼られて、店主の事情により当面休店しますと書かれてあった。噂では急病で倒れたらしい。

なんとなく私は納得してしまった。店主はけっこうなお年のはずだ。実のところ、お店では店主を見かけることは、まずほとんどなかった。おばちゃんと、女性の店員が数人でお店を切り盛りしており、店主はいつも二階の工場にこもっていた。

お店は夜8時前には閉店なのだが、二階では明かりが灯っていて明日の仕込みをしていることが窺われた。また偶然早朝に通りかかった時、二階を見上げるとまだ4時前だと言うのに、二階の工場の明かりが付いていたこともある。店主、いつ眠るのだ?

このパン屋さんは手作りに拘っていて、しかも可能な限り添加物を減らしたパン作りをしていた。つまり日持ちの悪いパンでもあり、一人暮らしの私には、いささか都合が悪いパンでもあった。

だいたい食パンだと三日が限度だったと思う。菓子パンなども、あまり日持ちのしないものが多く、出来るならその日のうちに食べきったほうが良い。

無添加のパンなんて、そんなものなのだろう。ついでだから書くと、無添加だから美味しい訳ではない。だが素朴な香りがするパンであり、スーパーなどで売られているパンとは味が違ったように思う。

こんなこだわりのパン屋さんだけに、二階でパンを作っていた店主は、さぞかし多忙であったと思うのだ。だから店主の事情と書かれた張り紙をみて、私は過労と高齢を思い浮かべ、無理もないかもしれないと納得してしまったのだ。

正直言うと、私はラスク以外ではカレーパンと菓子パンぐらいしか買わなかった。日持ちがしないので、サイズの大きいパンは買えなかった。だって、すぐにカビが生えてきてしまうのだ。

そのせいかパンを大量に置く店ではなかった。でも小さな店ではあったが、固定客もついている地元の名店であった。添加物を嫌い、素材の素朴な味を愛する人が好むパン屋さんでもあった。その休業後、しばらくしてから、週に三日ほど営業していた。

が、パンの種類も減っており、店に元気がなかった。小さいながらも賑わっていた店だけに、寂しさがより一層募る。こんな手作り感のあるパン屋さんで、ありそうで、そうそうない。

そして遂に3月24日に閉店してしまった。やはり後継者がいなかったことが閉店の理由だろうと思う。残念ながら、もうあのラスクは食べられない。そうなると、一層食べたくなるのが人情だが、あの手作り感のあるラスクはそうそう売っていない。

つくづく残念に思います。そして、今まで美味しいパンとラスクをありがとうございました。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kinkacho)
2013-04-05 22:21:27
ヌマンタさん、こんにちは。
馴染みのお店が閉店となるのは悲しいことです。
特に、最近は個人経営のお店は店主が病気になると確実に閉店になるのが残念です。
Kinkachoの行きつけのたこ焼き屋も老夫婦経営なので心配です。
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Unknown (ごみつ)
2013-04-06 00:10:14
こんばんは!

近所のお馴染みのお店がなくなるのはホント、さびしいですよね。
うちの近所も、子供の頃から通っていた様な個人商店はほとんどなくなっちゃいました。

時代の流れで仕方ないのでしょうけれど・・・。今は個人商店はどこも厳しいでしょうし。

近所に肉屋さんがあって、そこのャeトサラダ、メンチ、ャeトフライがとっても美味しかったの!もちろんなくなっちゃいましたが、今でもあの味が懐かしいです。
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Unknown (ヌマンタ)
2013-04-06 16:39:17
kinkachoさん、こんにちは。大手チェーン店でない個性的な個人商店の宿命ではありますが、いざ直面すると寂しいものです。こうして駅前の商店街は寂れるばかりなのです。
でも、新しいお店もボチボチ出ています。ただ、焼きトンはともかく、飲み屋さんなので、ちょっと一人では入りずらい。なかなか新規開拓は難しいものです。
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Unknown (ヌマンタ)
2013-04-06 16:41:56
ごみつさん、こんにちは。個人商店は年々数を減らしつつあります。新規出店もあるのですが、なかなか続きません。
うちの近所にもコロッケとャeサラが人気の肉屋さんがありましたが、数年前に閉店。八百屋、魚屋と並んで衰退店舗の典型となっています。それに伴い市場も縮小気味。ほんと、寂しいもんです。
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Unknown (セレンディピティ)
2013-04-06 19:36:47
こんにちは。
お気に入りのお店が閉店してしまうのは寂しいですね。
女子高生たちに買い占められて売り切れになってしまうなんて^^
きっと地元の方たちに愛されたおいしいパン屋さんなのでしょうね。
私もラスク、食べてみたいです。
後を継ぐ方がいないと、その技もすたれてしまうのが残念ですね。

それからよけいなおせっかいで恐縮ですが、食パンは冷凍保存ができますよ。
うちでも一度では食べきれないので、いつも一枚づつラップして、
それをまとめてファスナーつきバッグ(ZIPLOCKなど)に入れて冷凍しています。
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Unknown (ヌマンタ)
2013-04-08 12:11:39
セレンディビティさん、こんにちは。私が十代の頃には既にあったお店なので、おそらく半世紀はやっていたと思います。
なお、食パンの冷凍保存ですが、やってみたことはあります。ただ私が電子レンジ嫌い(家にはありません)なので、トースターで解凍すると、どうも風味が落ちてしまい、以来やっていません。
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Unknown (ビーグル)
2013-04-09 10:30:29
分かります。。。確かそぼろパンというパンを置く個人経営のパン屋さんが、やはりオーナーの高齢化により閉店したときはとても寂しかったのを覚えています。そのパンが他で売られていないのを知ったのは閉店後で、ダブルショックでした(笑。
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Unknown (ヌマンタ)
2013-04-09 15:31:15
ビーグルさん、こんにちは。そぼろパンですか、初耳です。そんなパン屋さんもあったのですね。閉店してから、他では売っていないと分かるとは、たしかにショックですね。
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