軽空母の稿でも書いたが、私は日本は空母を持つべきではないと考えている。
ヘリ空母もしくは輸送艦なら良いが、経済的負担の大きい空母は、斜陽の日本には負担が大き過ぎる。反対する理由はそれだけではない。
20世紀の冷戦の主役は、海を制する空母艦隊であった。それは事実だが、そろそろ過去形で語るべき段階にきていると思われる。原因は潜水艦である。現在の潜水艦に備え付けられた魚雷攻撃は、以前とは比較にならないほどに強化されている。
自動追尾装置はもちろん、デコイ(魚雷を攪乱させる囮)を見分けて回避するプログラミングを備え、追尾中に攻撃目標を変更させることも出来るハイテク兵器に変わっている。狙われたら回避不可能とまで言われる始末である。
しかも、搭載する爆薬は太平洋戦争中の数倍の威力である。フォークランド紛争の際には、魚雷の一撃で、フリーゲート艦が破壊されている。その映像をみると、命中時の衝撃で船が九の字に曲がり、次の瞬間には沈没している。巨大な空母と云えども、現在の魚雷の前では無力であろう。
もちろんアメリカ国防省はこの現実を弁えており、だからこそ自国の空母艦隊には護衛のイージス艦、攻撃型原潜を配備して過剰なまでに警護させる。
この空母艦隊の守備を突破できるのが、ロシアの開発した超音速対艦ミサイルだとされている。が、実はまだ実験段階で、理論的には無敵の対艦ミサイルなのだが、実戦運用は当分先だと考えられている。
ただ、アメリカは自国も同様の兵器を開発中であり、もはや空母艦隊を無傷で運用することは困難だとの認識をもっている。それは、やはり潜水艦の脅威が大きい。その一因となったのが、我が日本の潜水艦である。
日本の潜水艦を招いての合同軍事演習を毎年のようにやっているのだが、その結果が芳しくない。どれほど警備を固めても、日本の潜水艦に防御網を突破され、演習では完敗となる結果が続いている。
冷戦時代、ソ連の原潜相手に海中での無音の戦いに習熟した日本の潜水艦は厄介な相手だ。エンジンを停止し、艦内生命維持のための最低限の機器だけ動かし、事実上の無音状態で攻め込んでくるという信じがたい攻撃を仕鰍ッてくる。
その秘密は、海中の海流の流れを読んで、その流れに身を任せてアメリカ空母艦隊を攻撃可能な位置まで忍び込んでくるといった職人兼Iな操艦で、これまでアメリカ側を演習では敗北に追いやっている。
ただし、アメリカ側も手をこまねいていた訳ではない。最新のシーウルフ級原潜は、信じがたいほどに静粛性が高く、このシーウルフ級原潜と、日本のそうりゅう型潜水艦の演習では、なんと日本側が完敗した。
その秘密は、原潜の強みである発電能力の高さである。海中の敵を探るソナーは、かなり電気を消費する。海中でスターリングエンジンで発電する日本のそうりゅう型潜水艦は、その機構上発電力は原発に大幅に劣る。
その強力なソナーで序盤に日本の潜水艦の位置を推定したアメリカは、艦尾側に回り込み、演習終了まで気づかれずに追尾して日本側を完敗させている。世界屈指の日本の潜水艦にさえ勝てる最新型の原潜の能力の高さを認識したアメリカは、必然的に空母艦隊の脆弱さをも認識せざる得なくなっている。
実際、非大気依存型のスターリングエンジンの限界を痛感した日本は、世界初のリチウム蓄電池搭載の潜水艦おうりゅうを開発して、アメリカの後を追うことを目指している。
日本は更に全個体燃料電池を搭載し、原子力潜水艦に近い性能を発揮できる通常型潜水艦の開発を進めているらしいことも伝わってきている。もはや空母艦隊の安全性は大幅に低下している。
専守防衛を基本とする日本の場合、空母を持つよりも、より高性能な潜水艦を保有したほうが平和の維持に役立つと私は考えています。それゆえ、軽空母でさえ、私はあまり高く評価出来ないのです。
「青の7号」とか「サブマリン707」とか潜水艦マンガを思い出してしまいました。
実際、コロナの影響でコンテナが港に入れず……から始まった海運値上げで、タイから運ばれる鶏肉材が供給ストップして、コンビニの唐揚げが販売休止になる始末で。世界中の輸送の6割以上が海運である事を考えると、海上パワーが海底パワーに転換してる事は、もっと注目されるべきと感じました。しかし日本の潜水艦乗りやるなぁ!