ヌマンタの書斎

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空母艦隊の縮小

2021-10-25 11:53:00 | 社会・政治・一般

まだ具体的な根拠はないのだが、おそらくそう遠くない将来、アメリカはその保有する空母艦隊を縮小すると予測している。

理由は複数あるが、一つにはその存在が、あまりに強大過ぎることだ。冷戦時代のソ連は、アメリカとは対等の実力を持つ敵国であり、ソ連をユーラシア大陸に封じ込めるため、海を支配する空母艦隊の戦略的意義は非常に高かった。

しかし、現在アメリカが真剣に、あるいは深刻に対峙している敵は、イスラム過激派のように規模も小さく、持てる武力も小さいが、数が多く、しかも拡散している厄介な存在である。

あまりに小さいが故に、巨大な武器で対峙するのが非効率となっている。喩えれば、ゴキブリを殺すのにバズーカ砲を用いるようなものだ。だからアメリカは90年代から徐々に世界各地の在外アメリカ軍基地の撤退と集中を進めている。

ただし、敵が小さくなったといっても、それはテロリスト限定であり、ロシアやシナは大量の大陸間弾道ミサイルを保有しており、決して油断はできない。このお馴染みの敵への警戒を維持する一方、小さな敵への対応を再構築する必要がある。

そこで従来アメリカが負担してきた任務の一部を同盟国に負担させることを目論んでいる。トランプが大声を上げたため目立つが、別にトランプの意向に限らず、アメリカは日本やコリアに軍事費の一部負担を増加させることも、この一環である。

最近では、ほぼ半世紀ぶりに原子力潜水艦をアメリカ以外の国、オーストラリアに保有させることも、この計画の一環であることは間違いない。日本の軽空母保有も当然にこの流れにある。

更に付け加えるべきは、アメリカだけが保有してきた世界の海を支配できる航空母艦艦隊の縮小である。実は以前よりも、航空母艦の強みが減衰していることがその背景にある。

既に報じられているが、ロシアが超音速対艦ミサイルの開発に成功した。これは空母にとって脅威である。なにせ従来のイージス艦などでは防御できない攻撃なので、空母が攻撃を受けて沈没する可能性を本気で浮黷ネくてはならなくなった。

さらに加えれば、一部のテロリストは小型のドローン兵器を大量に投入することで、軍用施設を破壊するといった戦術上の変化も無視できない。既にシナなどは、洋上攻撃できる小型無人ドローン兵器を試していて、これもまたアメリカの空母艦隊には大いなる脅威と考えられている。

もしアメリカの空母が敵の攻撃により沈没したらどうなるか。人員4500人の死傷だけでもアメリカ政府を恐浮ウせる。また経済的な損失も莫大であるが、それ以上に熟練のパイロット、船員を失うダメージも相当なものだ。

あまりに巨大すぎるアメリカの軍事力は、現在の脅威に対して効率が悪すぎることが最大の問題なのだ。故にアメリカは、同盟国の更なる活用と、小規模な敵に対する小型で安価な兵器の開発に転換を進めている。

昨年のことだが、アメリカ軍は久しぶりにプロペラ攻撃機を採用したのもその一例である。F22やF35を投入するには弱すぎるが、細かく分散しており無視も出来ない敵に対して低コストでの軍事攻撃を選択したが故の復古的武器の採用である。

この流れは、後退しつつある経済大国・日本もいずれ採用すると思われる。

日本も空母を持つべきだなんて近視眼的な意見に耳を貸してはいけませんね。


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