ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

湿地 アーナルチデュル・インドリダソン

2024-12-10 09:16:54 | 

おそらく私は北欧とかアラスカ、カナダ北部では暮らせないと思っている。

そして、表題の書の舞台であるアイスランドも無理だろう。行ったこともない癖に傲慢に過ぎるとの誹謗は甘んじて受ける。でも原因は分かっているし、それはどうしようもないことなんだ。

まず寒いのがダメ。もっとも暑すぎるのもダメなので、これは私の我儘である。でも、それ以上にダメなのがあの暗い空である。緯度が高い地方では、夏は短く冬は長い。それは自然現象として仕方のないことではあるが、多分だけど私きっと鬱状態になる気がする。

日本ならば冬は寒くはあっても見事な快晴がある。星空だって一年で一番美しいのが冬だ。しかし、緯度が高い地域では極夜といい、一日中日が昇らない日々が続く。その替わりにオーロラなどが見えることもあるそうだが、おそらく私はダメだと思う。

ちなみに欧州へ旅行した時は夏であり、夜22時過ぎても明るいのに仰天したが、夏は短く冬の長い高緯度地方で暮らす気分にはなれない。暮らす気はないが、北欧を舞台にした小説などを読むのは好きだ。表題の作品は、北極圏の方が近いアイスランドの首都レイキャビク周辺で起きた殺人事件が主題のミステリーである。

もう、のっけっからいけない。薄暗い空から降る雨と謎の老人の死体。陰鬱な事件背景と暴力的な匂いの漂う犯人捜査。正直、読み始めは陰鬱な気分に陥るほどであったが、捜査が進むにつれて見えてくる意外な犯人像。雲の切れ間から太陽が差すような事件展開。

謎を追い詰める刑事の独特な個性と相まって目が離せなくなる面白さ。北欧生まれのミステリーもなかなかに侮れないと痛感した良作でしたね。

コメント
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