
前回だけでなく昨年の冬から、「法華道」を登り出してすぐ何本かの倒木に出くわし、不自由な登行を強いられた。同様に、お師匠も昨秋キノコ採りに来て以来そのことが気にかかっていたということで、今日はお供して倒木の始末に行く。
芝平の谷はまだ日陰には雪の残るところもあるが、わずか半月でこれほど陽気は変わるかと驚く。雪解けで水量を増した山室川やその周囲の村の春めいた雰囲気に気も和む。気の早い釣り人の姿が、護岸のない渓流に情趣を添えている。

この山道の凹みは、馬で木材を引き出したためにできたものとか。すっきりとした気持ちの良い山道だが、雪のない

「法華道」は初めて、でもないか。作業は予想通り、大した時間もかからずに終わる。
「奇人の会」の百姓山奥いつもいる氏からの情報によれば、芝平線から芝平峠、さらに「焼き合わせ」どころか高遠興産が伐採作業中の、「ど日陰の曲り」近くまで行けるのではということで、行ってみる。

木の根の周囲の雪が解け始めている。お師匠曰く、こうなってようやく炭焼き用の木材の伐採も「楽になって、嬉しかった」と。確かに、切り倒すその度に腰ほどまである雪を除雪していては仕事もはかどらず、労力も大変だったろう。当時はチェーンソーなどという便利な道具はなかったのだから。
お師匠の若いころといえば70年くらいも昔のことだろう。真冬でも炭焼きをしていたとは知らなかった。お師匠はそのころの思い出に耽ったり、早春の山気に酔ったり・・・。

作業現場。ここまで車で来ることができれば、文句なし。ここで車を捨てても、牧場まで2時間はかからない。顔見知りの作業員と少し話すが、一人の作業は大変だろう。
今年も4月20日からまた牧場の仕事が始まる。よくも来る日も来る日も、この山道を飽きもせずに通うものだと、今はまだ他人事のように呆れている。