
守屋山へ至る登山道には、針葉樹中心の人工林ばかりでなく、広葉樹を代表するクヌギやクリ、ナラなどの林がある。それらを見て気付いたことだが、後者の森や林の方が藪や雑草が少なく、スッキリとしていたことだった。乾いた枯葉は地表を覆い隠すほどあったが、落葉松の林のようにカヤなどの枯れ草や低木、枯れ枝が散らばり、雑然としているわけではなかった。
考えられることは、これから木々が芽を吹き、さらに葉を茂らせるようになれば、夥しい広葉樹の葉が大地に降り注ぐ日の光を適度に調整し、奔放な種々の雑草や灌木が生えてくるのを抑制するのではないかということだった。つまり、そうやって自分たちを、絶えず侵入してこようとする外部勢力から守っていると思ったのだが、素人考えだったろうか。
そうやって見ると、広葉樹の林はまとまって自立しているように見えた。白樺の木は自生していく力が強いのだろう、どこにでも目に付くが、クヌギやクリ、ないしはナラと、大概は同一の樹種が、ある範囲の林を形成しているようだった。たくさんの葉を茂らせることで、他の草木の侵入を抑え、やがてその葉を散らせて自分たちのための養分とする。そしてそれをずっと繰り返してきたし、今後も繰り返す・・・。
細かいことを言えば「原始林」、「原生林」、「天然林」、「人工林」などと森林は区分されているようだが、あの辺りは里山で自力回復ができる天然林だろう。その一方、入笠から戸台へ下る小黒川の谷は広大な落葉松の人工林だが、西側には行政が残している原生林もある。東谷の上部から稜線にかけても行ってみたい原生林が残っている。
国土の7割を占めると言われる森林のうち人工林は4割だという。殆どが成長の早い針葉樹林で、落葉松、ヒノキ、スギなど人の手を必要とする。時代の変化によって、先人の努力は充分に活かされていないかも知れないが、森林は木材として活用されるばかりでない。水土の保全や、温暖化防止にも役立ち、海を豊かにし、人の心を癒す。これからは少し視点を変え、経済効果ばかりを考えずに、ブナやケヤキなどの広葉樹の森を、もっともっと増やすことを考えてみてはどうだろうか。
入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。