朝方の6時ごろはよく晴れていたのに、いつの間にか曇り空に変わっていた。牧場の見回りに行こうと外に出てみたら、意外にも最低雲高はかなり高く、北や西の空には澄んだ青空が拡がり、雪を被った穂高や槍もよく見えた。
毎日見ているつもりでも、自然の変りようには驚くことが多い。いつの間にこれほど樹々は葉を散らしたのだろうかと呆れ、鮮やかな紅葉が早くも焼けただれたように見えたりすると短命な秋を恨めしく思う。
コナシやモミジ葉の落葉が大分進んだのを眺めながらガランとした第3牧区の放牧地を見回っていると、最早きょうのような日は秋と言うよりか初冬の趣さえ感じてしまう。シカの頭数も大分減った。里へ下ったのだろう。所在無さそうな雄鹿奴が1頭、逃げもせずに少し離れた場所からこっちをじっと見つめていた。まるで先日屠った鹿が、アイツの寵愛を受けた相手でもあったかのようにだ。
そういえば、前にも呟いた野良ネコを昨日、また弁天様の近くで目にした。あのネコは鹿のように、もっと標高の低くて食料の得やすい場所に下りていく知恵や気はないのだろうか。何を食べてどこに暮らしているのかたまに目にするだけだが、朝霜の降りるこんな季節になって、よく生きているものだ。
いやいや、あのネコから見たら、こっちに対しても同じような感想を持っているかも知れないゾ。「いい歳ぶっさらげて、さっさと里へ下れば良さそうなものなのに。そうすればあの古い小屋の一隅で安心して冬を越すことができるだろうに」なんて思っているだろうか。
あのネコについては勝手な空想だが、やはりまだ里へ下る気にはならない。もう少しここにいて、この季節の終わるのをしっかりと見届けたいと思っている。今年はその思いが特に強い。雪が降っても。歩いてでも。
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