またまたきょうも入野谷で、写真は前日の物とほとんどど変わらない場所から撮った。この右手から三峰川に流れ込む粟沢(あわざわ)の上流に、知る人ぞ知る「分杭(ぶんぐい)峠のゼロ磁場」がある。ゼロ磁場とくれば本当に磁場がどうなっているのか、科学的なことはよくと分からないが、磁石がおかしな動きをすることだけは確かだ。近年ジオパークとして注目されている「南アルプスユネスコエコパーク」内にある。
今は冬季で、峠の下から152号線は通行止めになっているため、現地へは曲がりくねった山道に耐え、かなりの距離を徒歩で行くしかない。だが、それ以外の季節となれば全国からやって来る精神や肉体を患う人々のために、途中から峠までシャトルバスが運行されている。来訪者が増えて、かつての駐車場ではまかないきれなくなってしまったようだ。
さてその効能についてだが、それについてまでもちろん何か語れるわけではない。何の効果もなければここまで人に注目されることもないのでは、と、そう言うのが精一杯である。霊の存在など信じていないし、できれば現在の科学で説明してもらえる範囲で何事も済ませてしまいたい方だ。それが正直なところだ。しかし、万策尽きて、人が神や仏、超常的なものに頼り、すがらんとする気持ちが分からないことはない。
冬が終わり春が来れば、またあの峠には様々な思いを抱いた人たちがやって来る。そうしたら、峠を少し下ったあの新緑の谷の中で、どうかたくさんの”奇跡”が起きて欲しいと思う。
分杭というのは、江戸時代に高遠藩が幕府領(=天領)との境界をはっきりとさせるため、自領との境界に建てた杭のこと。手許の上伊那史研究会編の「上伊那史」によれば105本が建てられたとあるが、現在は6本しか残っていないという。最初は木製だったが朽ちてしまったため、石の杭を作り、それに替えたい旨幕府に願い出たが許可されず、やむなく古い杭の下に埋めたとある。石柱には「従是北 高遠領(これよりきた たかとうりょう)」などと刻されている。
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