『肌は滑らかではあったが銅色に極めて近く、…、切れが長くパッチリした好い目』
メリメの描く「カルメン」像を聞いてパッと浮かんだのは
なぜか
映画「僕のスウィング」で主人公の少年が惹かれる少女、
スウィングの顔だった。
〔主人公の少年が
この映画の中に流れる音楽(それはこの映画のテーマでもあるのですが)、
マヌーシュ・スウィング(というらしい)の音に
心地よさそうにからだを預けているシーンも思い出される。
とても10歳の少年とは思えなくなってくる
大人の“乗り”で、ギター演奏を聞いている少年。かっこいいのだ。〕
さて
うちの中に「カルメン」の小説はなかったと思うが
オペラのCDはあったような気がして 夫に聞いてみた。
2組ある、と 出してきてくれた。
一方は カルメンがマリア・カラスで
他方は 指揮がカルロス・クライバー、
独身の頃マリア・カラスの“何か”を買ったように覚えていたので
マリア・カラス版は私のCDだと思ったら、どうも夫のものらしい。
「君が(結婚の時)持ってきた(CDで、カラスな)のは、『トスカ』だよ」
との事でした。(なぜか、夫のほうが詳しい。)
(自分で買っておいて忘れちゃっているのはちょっと情けないが、
当時。。。独身の頃は…今もそうだけれど…、
クラッシック、なんかいいなあ。結構好きかも。と興味がわき
かと言って特段の知識を持っている訳でもなく
眺めていたファッション誌の
「今月の一枚」のような所で紹介されていた作品を
ぽつぽつ買ってみたりして・・・
そのうち 買ったことを忘れてしまったようだ。)
なんだかその気になって
両方聞き始めた。
(DVDプレーヤーに入れて、テレビのスピーカーで聞いている。)
カラスのカルメンは情が深そうで
エレーナ・オブラスツォワのカルメンは
どの殿方も万遍なく?たぶらかしそうだ・・・などと
勝手なことを考えながら聞いた。
この回の著者は
小説の方が数倍も面白いと私は思う、と言っており
片や カラス版の解説書のなかでは
小説と(台本を)読み較べると、どの幕も見せ場や聴かせ場があり と
盛り上がっている。
思い入れは 互いに相当深そうだ。
物語の冒頭とそっくりな出で立ちをし、
作品の後をたどるような取材に出たこの回の著者だが
行く先々で思惑から外れてしまう。
コルドバからセビリア、ジブラルタルからグラナダまで
途中 オレンジの並木道をぬけ
空にはレモンの香が満ちているスペインの地を
「カルメン」の面影探して回る 著者。
メリメなのか 「カルメン」の中の「私」なのか
ドン・ホセなのか 著者なのか
こちらとしても 目の回ってくるような回だった。
オペラは長い。
2作品も一度に聴いているのだからなおさらだ。
続きはまた今度にしよう。
(でも 今度っていつだろう。)
***
2008年11月6日 追記
「…今もそうだけれど…」は
「特段の知識を持っている訳でもなく」に かかります。
(日本語が変だった。)
[2012/10/18 編集]