市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

首都高ローリー炎上事故情報不開示・・・利用者の生活・財産よりタゴ運輸らの権利・利益保護を優先する機構

2013-01-04 19:43:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■平成20年8月3日に発生した首都高ローリー横転炎上事故で損害賠償を巡り出光興産(荷主)・ホクブトランスポート(元請)・多胡運輸(下請)を相手取って係争中の首都高の元締めである独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対して、横転炎上事故関連の情報や裁判資料等の情報開示をしたところ、事故にかかる原因者負担督促状(控)等について、存否を明らかにしないまま開示を拒否することで不開示とされた件で、直接同機構を訪れて、手数料300円の支払いがてら、不開示とした背景について聴取を試みました。

情報不開示手数料にかかる領収証書。

 同機構の役員報酬をネットで検索してみると、平成22年度において、理事長が2165.8万円、理事長代理が1782.2万円、理事2名・監事2名が約1470万円となっています。常勤職員49名の平均給与は725.5万円(平均年齢39.7歳)で、本社課長6名が973.9万円(平均年齢47.0歳)、本社課長代理14名が791.3万円(平均年齢44.1歳)、本社係長9名が578.3万円(平均年齢37.2歳)、本社係員16名が456.3万円(平均年齢31.1歳)です。

信号機の右の茶色の外壁の12階建てビルが機構のある住友不動産日比谷ビル。

 この報酬レベルは、国家公務員に比べると120.7%に相当していますが、同機構によれば、「勤務地が東京と大阪のみであることに加え、企業でいえば本社の企画・財務部門などの専門性の高い統括的業務に特化した組織であり、しかも時限的な組織であるため、プロパー職員を採用せず、高度な専門性・ノウハウを有するものの出向のみで業務運営を行っていることが、給与水準を高める要因となっているものと考えられます」と説明しています。


 実際に総務部の担当者らに聞いてみると、いずれも民間会社からの出向者で、機構が即戦力として受け入れて職員として勤務しているのだとか。

各階案内表。7階が機構。

■そしてもっとも肝心なことを質問してみました。それは、「首都高ローリー横転炎上事故で、これまで首都高に対して何度も情報開示をしてきたが、いずれも『当該法人の権利、競走場の地位その他正当な利益を害する恐れがある』という理由で不開示とされたが、今回もまた首都高のお目付け役である同機構も同じ理由で不開示をしてきたのは、しかるべきスジから圧力が加わっているためではないのか」という疑念があるからです。

 しかし、同機構の担当者は、「粛々と、法律に照らして、実務担当レベルで判断をくだしました」と述べました。

 “法律に照らして”というのは、「独立行政法人の保有する情報の公開に関する法律」第5条第2号イに次のように書かれていることが根拠となっているようです。
第五条 独立行政法人等は、開示請求があったときは、開示請求に係る法人文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該法人文書を開示しなければならない。
二 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの

 つまり、人の生命、健康、生活又は財産を保護することよりも首都高や機構および多胡運輸、ホクブトランスポート、出光興産の権利、競走上の地位その他正当な利益を守るほうが優先するという判断のようです。

 したがって、本当に、首都高の利用者よりも多胡運輸などの権利や利益を保護するほうが優先すると機構が判断したのか、異議申し立てをして確認しておく必要がありそうです。

【ひらく会・首都高横転炎上事故調査班】


(参考)
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律
 (平成十三年十二月五日法律第百四十号)
   第一章総則
 (目的)
第一条 この法律は、国民主権の理念にのっとり、法人文書の開示を請求する権利及び独立行政法人等の諸活動に関する情報の提供につき定めること等により、独立行政法人等の保有する情報の一層の公開を図り、もって独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人及び別表第一に掲げる法人をいう。
2 この法律において「法人文書」とは、独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該独立行政法人等の役員又は職員が組織的に用いるものとして、当該独立行政法人等が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
二 公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第二条第七項に規定する特定歴史公文書等
三 政令で定める博物館その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)
四 別表第二の上欄に掲げる独立行政法人等が保有している文書、図画及び電磁的記録であって、政令で定めるところにより、専ら同表下欄に掲げる業務に係るものとして、同欄に掲げる業務以外の業務に係るものと区分されるもの
   第二章法人文書の開示
 (開示請求権)
第三条 何人も、この法律の定めるところにより、独立行政法人等に対し、当該独立行政法人等の保有する法人文書の開示を請求することができる。
 (開示請求の手続)
第四条 前条の規定による開示の請求(以下「開示請求」という。)は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を独立行政法人等に提出してしなければならない。
一 開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
二 法人文書の名称その他の開示請求に係る法人文書を特定するに足りる事項
2 独立行政法人等は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、開示請求をした者(以下「開示請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、独立行政法人等は、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。
 (法人文書の開示義務)
第五条 独立行政法人等は、開示請求があったときは、開示請求に係る法人文書に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該法人文書を開示しなければならない。
一 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に合まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
イ 法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法第二条第二項に規定する特定独立行政法人の役員及び職員を除<。)、独立行政法人等の役員及び職員、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第こ条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条隻一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務
 員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
二 法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
イ 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
ロ 独立行政法人等の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
三 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
四 国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
イ 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ
ロ 犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ
ハ監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
ニ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
ホ 調査研究に係る事務に開し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
へ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
ト 国若しくは地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に開し、その企業経営上の正当な利益を害するおそれ
 (部分開示)
第六条 独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。
2 開示請求に係る法人文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。
 (公益上の理由による裁量的開示)
第七条 独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書に不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該法人文書を開示することができる。
 (法人文書の存否に開する情報)
第八条 開示請求に対し、当該開示請求に係る法人文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、独立行政法人等は、当該法人文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。
 (開示請求に対する措置)
第九条 独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨及び開示の実施に開し政令で定める事項を書面により通知しなければならない。
2 独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る法人文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
 (開示決定等の期限)
第十条 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求があった日から三十日以内にしなければならない。ただし、第四条第二項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2 前項の規定にかかわらず、独立行政法人等は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を三十日以内に限り延長することができる。この場合において、独立行政法人等は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。
 (開示決定等の期限の特例)
第十一条 開示請求に係る法人文書が著しく大量であるため、開示請求があった日から六十日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの法人文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、独立行政法人等は、同乗第一項に規定する期間内
 に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一 本条を適用する旨及びその理由
ニ 残りの法人文書について開示決定等をする期限
 (事案の移送)
第十二条 独立行政法人等は、開示請求に係る法人文書が他の独立行政法人等により作成されたものであるときその他他の独立行政法人等において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の独立行政法人等と協議の上、当該他の独立行政法人等に対し、事案を移送することができる。この場合においては、移送をした独立行政法人等は、開示請求者に対し、事業を移送した旨を書面により通知しなければならない。
2 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた独立行政法人等において、当該開示請求についての開示決定等をしなければならない。この場合において、移送をした独立行政法人等が移送前にした行為は、移送を受けた独立行政法人等がしたものとみなす。
3 前項の場合において、移送を受けた独立行政法人等が、第九条第一項の決定(以下「開示決定」という。)をしたときは、当該独立行政法人等は、開示の実施をしなければならない。この場合において、移送をした独立行政法人等は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。
 (行政機関の長への事案の移送)
第十三条 独立行政法人等は、次に掲げる場合には、行政機関の長(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律算四十二号。以下「行政機関情報公開法」という。)第三条に規定する行政機関の長をいう。以下この条において同じ。)と協議の上、当該行政機関の長に対し、事案を移送することができる。この場合においては、移送をした独立行政法人等は、開示請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。
一 開示請求に係る法人文書に記録されている情報を公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると認めるとき。
二 開示請求に係る法人文書に記録されている情報を公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認めるとき。
三 開示請求に係る法人文書が行政機関(行政機関情報公開法第二条第一項)に規定する行政機関をいう(次項において同じ。)により作成されたものであるとき。
四 その他行政機関の長において行政機関情報公開法第十条第一項に規定する開示決定等をすることにつき正当な理由があるとき。
2 前項の規定により事案が移送されたときは、当該事案については、法人文書を移送を受けた行政機関が保有する行政機関情報公開法第二条第二項に規定する行政文書と、開示請求を移送を受けた行政機関の長に対する行政機関情報公開法第四条第一項に規定する開示請求とみなして、行政機関情報公開法の規定を適用する。この場合において、行政機関情報公開法第十条第一項中「第四条第二項」とあるのは「独立行政法人等情報公開法第四条第二項」と、行政機関情報公開法第十六条第一項中「開示請求をする者又は行政文書」とあるのは「行政文書」と、「により、それぞれ」とあるのは「により」と、「開示請求に係る手数料又は開示」とあるのは「開示」とする。
3 第一項の規定により事業が移送された場合において、移送を受けた行政機関の長が開示の実施をするときは、移送をした独立行政法人等は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。
 (第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
算十四条 開示請求に係る法人文書に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人及び開示請求者以外の者(以下この条、算十九条及び第二十条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、独立行政法人等は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る法人文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 独立行政法人等は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る法人文書の表示その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
一 第三者に開する情報が記録されている法人文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
二 第三者に開する情報が記録されている法人文書を第七条の規定により開示しようとするとき。
3 独立行政法人等は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該法人文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、独立行政法人等は、開示決定後直ちに、当該意見書(第十八条及び第十九条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。
 (開示の実施)
第十五条 法人文書の開示は、文書又は図画については閲覧又は写しの交付により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して独立行政法人等が定める方法により行う。ただし、閲覧の方法による法人文書の開示にあっては、独立行政法人等は、当該法人文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、その写しにより、これを行うことができる。
2 独立行政法人等は、行政機関情報公開法第十四条第一項の規定に基づく政令の規定を参酌して前項の規定に基づく電磁的記録についての開示の方法に開する定めを設けるとともに、これを一般の閲覧に供しなければならない。
3 開示決定に基づき法人文書の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、当該開示決定をした独立行 法人等に対し、その求める開示の実施の方法その他の政令で定める事項を申し出なければならない。
4 前項の規定による申出は、第九条第一項に規定する通知があった日から三十日以内にしなければならない。ただし、当該期間内に当該申出をすることができないことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。
5 開示決定に基づき法人文書の開示を受けた者は、最初に開示を受けた日から三十日以内に限り、独立行政法人等に対し、更に開示を受ける旨を申し出ることができる。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
 (他の法令による開示の実施との調整)
第十六条 独立行政法人等は、他の法令の規定により、何人にも開示請求に係る法人文書が前条第一項本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合(開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同項本文の規定にかかわらず、当該法人文書については、当該同一の方法による開示を行わない。ただし、当該他の法令の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2 他の法令の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を前条第一項本文の閲覧とみなして、前項の規定を適用する。
 (手数料)
第十七条 開示請求をする者又は法人文書の開示を受ける者は、独立行政法人等の定めるところにより、それぞれ、開示請求に係る手数料又は開示の実施に係る手数料を納めなければならない。
2 前項の手数料の額は、実費の範囲内において、行政機関情報公開法第十六条第一項の手数料の額を参酌して、独立行政法人等が定める。
3 独立行政法人等は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、行政機関情報公開法第十六条第三項の規定に基づく政令の規定を参酌して独立行政法人等の定めるところにより、第一項の手数料を減額し、又は免除することができる。
4 独立行政法人等は、前三項の規定による定めを一般の閲覧に供しなければならない。
   第三章異議申立て等
 (異議申立て及び情報公開・個人情報保護審査会への諮問)
第十八条 開示決定等又は開示請求に係る不作為について不服がある者は、独立行政法人等に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による異議申立てをすることができる。
2 開示決定等について異議申立てがあったときは、独立行政法人等は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。
一 異議申立てが不適法であり、却下するとき。
ニ 決定で、異議申立てに係る開示決定等(開示請求に係る法人文書の全部を開示する旨の決定を除く。以下この号及び第二十条において同じ。)を取り消し又は変更し、当該異議申立てに係る法人文書の全部を開示することとするとき。ただし、当該開示決定等について反対意見書が提出されているときを除く。
 (諮問をした旨の通知)
第十九条 前条第二項の規定により諮問をした独立行政法人等は、次に掲げる者に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。
一 異議申立人及び参加人
二 開示請求者(開示請求者が異議申立人又は参加人である場合を除<。)
三 当該異議申立てに係る開示決定等について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が異議申立人又は参加人である場合を除<。)
 (第三者からの異議申立てを棄却する場合等における手続)
第二十条 第十四条第三項の規定は、次の各号のいずれかに該当する決定をする場合について準用する。
一 開示決定に対する第三者からの異議申立てを却下し、又は棄却する決定
二 異議申立てに係る開示決定等を変更し、当該開示決定等に係る法人文書を開示する旨の決定(第三者である参加人が当該法人文書の開示に反対の意思を表示している場合に限る。)
 (訴訟の移送の特例)
第二十一条 行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第十二条第四項の規定により同項に規定する特定管轄裁判所に開示決定等の取消しを求める訴訟又は開示決定等に係る異議申立てに対する決定の取消しを求める訴訟(次項及び附則第二条において「情報公開訴訟」という。)が提起された場合においては、同法第十二条第五項の規定にかか
 わらず、他の裁判所に同一又は同種若しくは類似の法人文書に係る開示決定等又はこれに係る異議申立てに対する決定に係る抗告訴訟(同法第三条第一項に規定する抗告訴訟をいう。次項において同じ。)が係属しているときは、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は同法第十二条第一項から第三項までに定める裁判所に移送することができる。
2 前項の規定は、行政事件訴訟法第十二条第四項の規定により同項に規定する特定管轄裁判所に開示決定等又はこれに係る異議申立てに対する決定に係る抗告訴訟で情報公開訴訟以外のものが提起された場合について準用する。
   第四章情報捷供
集二十二条 独立行政法人等は、政令で定めるところにより、その保有する次に掲げる情報であって政令で定めるものを記録した文書、図画又は電磁的記録を作成し、適時に、かつ、国民が利用しやすい方法により提供するものとする。
― 当該独立行政法人等の組織、業務及び財務に関する基礎的な情報
二 当該独立行政法人等の組織、業務及び財務についての評価及び監査に関する情報
三 当該独立行政法人等の出資又は拠出に係る法人その他の政令で定める法人に開する基礎的な情報
2 前項の規定によるもののほか、独立行政法人等は、その諸活動についての国民の理解を深めるため、その保有する情報の提供に開する施策の充実に努めるものとする。
   第五章補則
 (開示請求をしようとする者に対する情報の提供等)
第二十三条 独立行政法人等は、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう、公文書等の曹理に開する法律第十一条第三項に規定するもののほか、当該独立行政法人等が保有する法人文書の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。
2 総務大臣は、この法律の円滑な運用を確保するため、開示請求に開する総合的な案内所を整備するものとする。
 (施行の状況の公表)
第二十四条 総務大臣は、独立行政法人等に対し、この法律の施行の状況について報告を求めることができる。
2 総務大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。
 (政令への委任)
第二十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。



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首都高ローリー横転炎上事故後4年・・・情報不開示を機構に強いるタゴ兄弟のハッピー・ニューイヤー!

2012-12-26 23:50:00 | 首都高炎上とタゴ運輸

■安中市は、保証人となっている安中市土地開発公社を通じて、17年前に発覚した元職員による地方自治体としては史上空前の51億円巨額詐欺横領をめぐる安中市・公社VS群馬銀行の間の貸金返還請求事件による和解金24億5000万円の支払いの一部として、最長103年間の分割払いの14回目にあたる2000万円の支払いを昨日行いました。奇しくもその翌日である本日、今から4年前に首都高速5号池袋線の熊野町JCTで発生した元職員の実弟の経営する運送会社所有のタンクローリー横転炎上事故にかかる出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸VS首都高の損害賠償請求事件にかかる関連情報の開示を11月28日付で請求していた件で、首都高の元締めである日本高速道路保有・債務返済機構から「不開示」という内容の結果通知書が簡易書留で送られてきました。


 この通知に接し、当会はただただ嘆息を禁じえません。当会のメンバーのひとりは「元職員の兄貴は、51億円をせしめて、そのツケを安中市民6万人余りに103年間も押し付けているが、事件の真相は依然として闇の中。一方、弟分は45億円もの損害を首都高=国に与え、膨大な人数の首都高利用者に迷惑をかけて、そのツケは利用者や国民に押し付けているが、その真相はこれまた闇の中。これほど多数の一般人に迷惑をかけているにもかかわらず、これほど大切に保護されている兄弟はおそらく史上空前だろう」と感想を述べています。
 では、日本高速道路保有・債務返済機構からの通知を見てみましょう。

**********
【機構からの不開示決定通知書】
                    総 総 第 119 号
                    平成24年12月25日
市政をひらく安中市民の会
 小  川    賢   様
            独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構
                    理事長  勢 山  廣 直
          法人文書不開示決定通知書
 平成24年11月28日付けで請求のありました法人文書の開示について、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号。以下「法」という。)第9条第2項の規定に基づき、下記のとおり、開示しないこととしましたので、通知します。
          記
1 不開示決定した法人文書の名称
 平成20年(2008年)8月3日早朝、首都高速道路5号池袋線熊野町ジヤンクション付近の下り線で、荷主である出光興産㈱(東京都千代田区)のマークをつけ、元請業者であるホクブトランスポート㈱(高崎市)の下請業者である多胡運輸㈱(高崎市)(以上まとめて「利用者」という)のタンクローリーが横転して炎上した事故で、道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害について、①法令により道路管理者の権限を代行する責機構が、当該利用者の過失で損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を利用者に命じた経緯を示す文書、及び、②利用者の過失により道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害の賠償に関して貴機構が作成もしくは入手した情報のうち、平成20年度以降の法人文書ファイル管理簿に掲げられている次の情報。ただし、いずれも関係情報記載部分のみ。なお、2011年7月に利用者を相手取って首都高速道路株式会社が計約34億5千万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した事件にかかる情報も含む。
 (1)役員会の議事録
 (2)監事監査関係
 (3)記者発表
 (4)特殊車輛通行受理・許可一覧
 (5)特殊車輛通行許可番号
 (6)争議関係
 (7)警告書等
 (8)措置命令書管理簿
 (9)措置命令書(控)等
 (10)原因者負担督促状(控)等
 (11)債務引受契約書
 (12)道路資産の現地確認関係
 (13)その他、もしあれば
2 不開示とした理由
 (1)~(9)及び(11)~(13)の法人文書
 理由: 請求された法人文書は、作成・取得しておらず不存在であるため。
 (10)の法人文書
 理由: 当該法人文書に係る存否情報は、法第5条第2号イに該当する法人に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある不開示情報であるため、法第8条の規定に基づき、当該法人文書の存否を明らかにしないで、開示請求を拒否する。
※この決定に不服がある場合は、法第18条及び行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第45条の規定により、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に対して異議申立てをすることができます。
                     以  上
※ 連絡先:総務部 総務課 Tel 03-3508-5162



【機構からの手数料請求書】
                    第109号
          請  求  書
市政をひらく安中市民の会
 小  川    賢   様
                    平成24年12月20日
                    独 立 行 政 法 人
                    日本高速道路保有・債務返済機構
                    収入職 経 理 部 長
下記金額を請求します。
金額 300円
ただし、開示請求手数料として
1 納入方法:銀行口座振込(口座振込料等は開示請求者負担)によりお支払い下さい。
    <口座名>
    三井住友銀行 東京公務部
    普通 0158125
    独)日本高速道路保有・債務返済機構
    ドク)ニホンコウソクドウロホユウ.サイムヘンサイキコウ
※領収証書は振込銀行が発行する領収を証する書面をもって代えることとします。
※連絡先:総務部 総務課 Tel 03-3508-5162

**********

■今回の情報開示請求を通じて、すくなくとも、多胡運輸のタンクローリー横転炎上事故にかかる「原因者負担督促状」を首都高が、多胡運輸らに発出して、修理費用の負担を督促していたことは確認できました。おそらく、この原因者負担督促状は、損害賠償請求の重要な根拠のひとつとして、現在もおそらく係争中かもしれない首都高VS出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸との民事訴訟でも法廷に提出されていると思われます。

 多胡運輸に関して言えば、昨年の今頃から急にアポロマークのタンクローリーが高崎市箕郷町の同社駐車場から姿を消し、今年初頭からついに社名を掲げた看板まで姿を消しています。原因者の筆頭の多胡運輸は、首都高からの巨額請求を受ければ存続が困難になると想像されることから、多胡運輸の倒産回避のために、元請のホクブトランスポートや荷主の出光興産が矢面に立つという構図になっている可能性があります。

 しかし、そうした事情は今回の機構による情報不開示決定により、またもや想像の域を脱することができませんでした。

■それにしても、タゴ51億円巨額横領事件と、首都高ローリー横転炎上事故の後処理で、世間の常識をことごとく覆してみせたタゴ兄弟の功績は、あらためて眼を見張せるものがあります。今回、なぜ、首都高のお目付け役の機構までもが、首都高と同様の理由で不開示処分を決定しなければならなかったのか、その経緯と理由を知りたいという安中市民や首都高利用者ほか多くのかたがたの声に、機構の率直なコメントを聞きたいと思います。

【ひらく会・首都高横転炎上事故調査班】

※当会が機構に提出した開示請求


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中央道笹子トンネル内の天井板崩落事故と首都高ローリー横転炎上事故に共通する情報開示の重要性

2012-12-12 22:30:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■師走に入ったばかりの平成24年12月2日(日)午前8時5分頃、中央自動車道の笹子トンネルの上り線トンネルの大月市側出口から約1700m付近で、トンネル内の道路スペースの天井部分である横5m、奥行1.2m、厚さ約8cmと9cm、重さ約1.2tほどのコンクリート板およそ270枚(中央部の隔壁を含む)が道路に沿って約110mに亘りV字型に折り重なるように崩れ落ちました。この事故発生時に、トンネル内を走行中だった自動車3台がコンクリート板の下敷きとなってしまったのです。

 事故に遭遇し、崩落発生の瞬間にアクセルを踏んでからくも脱出したNHK甲府放送局記者は「天井がメリメリと何かを剥がすように崩れてくる瞬間が見えた」と語っていました。現場でコンクリート板の下敷きとなったレンタカーのワゴン車からは20代の男女5名の焼死体が発見されたほか、普通乗用車から70代の男女と60代の女性が焼死体となって発見されました。また、トラックを運転していて崩落に巻き込まれた食品卸売会社勤務の50代の男性は携帯電話で同僚に助けを求めていましたが、救出時には既に死亡していました。懸命の救助作業が翌12月3日まで行われ、結局、計9名の死亡が確認され、重軽傷者は2人となりました。

 事故のあった笹子トンネルは、中央自動車道の大月ジャンクション(山梨県大月市)と勝沼インターチェンジ(山梨県甲州市)の間にある自動車トンネルで、全長は下り線が4,717m、事故のあった上り線が4,784m(上下線ともに2車線)です。中央自動車道では恵那山トンネルに次いで2番目に長く、危険物積載車両が走行可能なトンネルとしては日本最長のトンネルです。トンネル完成は昭和50年(1975年)で、供用開始は2年後の昭和52年(1977年)12月でした。

 平成22年度道路交通センサスによれば24時間交通量は上下線合わせて40,576台でした。笹子トンネルは、崩落事故のあった上り線が一宮御坂インターチェンジ~大月ジャンクション間で、下り線は大月ジャンクション~勝沼インターチェンジ間が通行止めとなっています。そのため、物流への影響が広範囲に及んでいます。

 上り線トンネル天井板の崩落事故を受けて急遽、下り線トンネルの点検が行なわれ、やはりボルトの不具合が発見されたとして国交省と中日本高速道路は、12月9日から中央道笹子トンネル下り線の天井板を約4.4kmにわたって、撤去する工事を開始し、年内を目標に対面通行により上下線開通をめざしています。

■この大事故の知らせを聞いて、思い出すのは、平成20年8月3日(日) 午前5時52分、首都高速道路5号池袋線下り熊野町ジャンクション付近で発生した多胡運輸所有のタンクローリーの横転炎上事故により、道路の桁の損傷の復旧工事のため、2カ月余りに亘って、通行止めになったことです。この事故も、日曜日の午前中に発生しました。

 首都高5号池袋線の場合、平日24時間交通量(平成22年度道路交通センサス)では板橋区大山金井町で151,545台でしたから、この物損事故は、首都高史上最大のものとなり、物流に対して非常に大きな影響を与えたのでした。

 この事故で、首都高は、平成20年10月14日に①通行止めの期間中の料金収入が25億円減少、②橋桁の架け替えなどの復旧工事に20億円、合計被害額は最大約45億円になる見通しだと発表しましたが、その後、3年後の時効寸前に、運搬を委託していた出光興産やトレーラーを所有する運送会社などに計約34億5千万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴していたことが平成23年10月7日に判明しました。その損害賠償請求事件の裁判の様子は未だに報じられていません。

■首都高の事故は、通行車輌の運転ミスが主原因とされていますが、今回の笹子トンネル事故は、完全に道路管理者の中日本高速道路の管理ミスが原因となりそうです。首都高の事故では、事故を起こした運転手が重傷を負ったのに対して、笹子トンネル事故の場合には、9名のかたがなくなっており、単純比較はできませんし、また、復旧工事に要する費用と、通行止めによる料金収入の減少がどの程度になるかは予断を許しませんが、物損的にはおそらく首都高の事故に十分匹敵するものと思われます。

 笹子トンネルの事故により、同様な構造のトンネルの点検が一斉に行なわれています。その影響は首都高にも及びました。

 平成24年12月6日、首都高は、「1号羽田線・羽田トンネルにおける天井板撤去等工事の実施について」と題して、次のプレスリリースを行ないました。

**********
http://www.shutoko.co.jp/company/press/h24/data/12/1206_haneda
「1号羽田線・羽田トンネルにおける天井板撤去等工事の実施について」
羽田トンネルについては、過去の定期点検結果および自動車排出ガスの改善状況を踏まえ、天井板の落下につながるような問題はないものの、安全性のより一層の向上を図る観点から、天井板の撤去工事を含めたトンネル耐久性補強工事を昨年度から予定していました。この度、以下のとおりの工事を実施することになりましたので、お知らせいたします。
【工事件名:(改)トンネル耐久性補強工事1-1】
○スケジュール
入札参加者希望に係る掲示日 平成24年10月12日
入札日           平成24年11月28日
契約締結日         平成24年12月7日
工事実施          平成24年内着手予定
○工事内容
天井板撤去工、コンクリート片剥落防止工、コンクリート塗装工 他
また、今回、国土交通省の指示に基づき羽田トンネルの緊急点検(12月4日から5日まで)を実施したところ、1カ所の吊り材の破断を確認いたしました。
弊社としては、これにより天井板の落下につながるような問題はないものと考えておりますが、中央自動車道・笹子トンネルにおける事故を重く受け止め、上記工事に先立って、昨夜20時から天井板の補修工事を実施いたしました。
なお、トンネル天井板の緊急点検を引き続き山手トンネルで実施しており、点検完了後、国土交通省へ対象となっている3トンネル(飛鳥山トンネル、山手トンネル、羽田トンネル)の点検結果を報告いたします。
**********

■しかし、首都高では、平成22年7月16日に、熊野町ジャンクションの6キロあまり南にある山手トンネル内で、重さ1.6トンの看板が尾上に落下する事故が起きました。山手トンネルを含む大橋JCT(ジャンクション)~西新宿JCTの約4.3kmの区間は、3ヵ月半前の3月28日に開通したばかりでした。

**********2010年7月16日13:37日本経済新聞
首都高で看板落下 山手トンネル、けが人なし
 7月16日午前2時45分ごろ、東京都渋谷区元代々木町の首都高速道路中央環状線「山手トンネル」の初台南出口付近で、天井部分に設置されていた道案内用の看板が道路上に落下した。発生時は交通量が少なく事故やけが人はなかったが、撤去作業に伴い約5時間にわたり通行止めとなった。首都高速道路が落下原因を調べている。
 同社によると、落下現場を含む中央環状線大橋ジャンクション(JCT)―西新宿JCTは今年3月28日に開通したばかり。看板は今年に入り、外部の業者によって設置された。同区間にはほかに同様の看板が13カ所あり、同社が緊急点検を行っている。

**********

 この看板落下事故の原因は、落下した看板を固定していた打ち込み式のピンの強度不足だったことが分かりました。

**********2010年12月13日 17:35日本テレビNEWS24
首都高の看板落下事故 原因はピンと発表
 今年7月、東京・渋谷区の首都高速道路中央環状線山手トンネルで看板が落下した事故で、「首都高速道路」は12月13日、天井に看板を留めていたピンが、重さや振動などに耐えられなかったことが原因だと発表した。首都高は、同じタイプの看板をすでに取り外している。

**********

 首都高は当時、「調査委員会を設置し、原因を調査するとともに復旧構造を検討する」としていましたが、こうした事故の教訓は、他の高速道を会社には伝えられていなかったことになります。

■笹子トンネルの事故では、尊い9名の方の命が奪われてしまいました。このため、全国で類似の構造のトンネルのチェックが行われています。しかし、4年余り前の首都高5号池袋線で発生したタンクローリー横転炎上事故については、死者が出なかったためか、事故の原因となった運送会社に対する損害賠償の手続については、他の高速道路会社はもとより、一般市民に対して、なぜか情報共有化がなされない状況が続いています。

 この首都高ローリー横転炎上事件についても、きちんと情報開示をしないまま、うやむやにされてしまうと、忘れたころに再び同様な事故が発生して、右往左往する羽目になりかねません。首都高や中日本高速道路などと協定を結び管理する立場にある独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構には、積極的な情報公開の姿勢が求められます。

【ひらく会情報部】

※関連情報(出典:日経BP社ほかから)
**********2012/12/04
二次部材で人が死んだ、重い天井板崩落
 中央自動車道の笹子トンネルで天井板が落下して9人が亡くなった。土木技術者にとってこの事故は非常に重い。指摘される「老朽化」の問題に加え、天井板という二次部材(非構造部材)が「凶器」になったからだ。
 東日本大震災で建物の吊り天井が落下して死者を出したことと同じことが、インフラでも起こったと言える。しかも、地震などの自然災害によらずだ。
 インフラの老朽化問題は叫ばれて久しい。1999年に起こった山陽新幹線のトンネルのコンクリート剥落、海岸沿いのコンクリート橋の塩害、鋼製の橋の腐食など、問題は分かっている。課題は、補修や更新の財源が足りないことだ。
 これまでインフラの管理者が老朽化で問題にしていたのは、トンネルならば覆工コンクリートや床版などの構造上、重要な部位だ。橋も同様で、橋桁や橋脚といった構造部材だ。つまり、今回の事故原因となった天井板のような二次部材については、あまり重要視していなかった。
 2010年に開通後間もない首都高速中央環状線山手トンネルで、打ち込みピンで吊っていた重さ1.6tの案内看板が落下した事故があったが、幸い人や車両への被害はなかった。この事故を、吊り天井などの二次部材の安全性に結びつける議論にはならなかった。
設計思想に問題はなかったか
 さらに、古いトンネルではあるが、設計上の問題はなかったか。
 アーチ状のトンネル断面上部を、車両が走行するうえで必要のない部分に天井板を設けて換気用に使うのは合理的だと言える。しかし、換気用の空間を確保するためだけに、重さ1t超(長さ約5m×幅約1.2m×厚さ80~90mm)ものプレキャスト・コンクリート製の天井板が必要なのか。軽量気泡コンクリート(ALC)のようにもっと軽い素材はある。
 加えて、この事故は天井板が100m以上にわたって崩落したとされるが、なぜ途中で崩落が止められなかったのだろうか。100m以上にわたって同時に、吊り金具が抜け落ちたとは考えにくい。ある箇所で吊り金具が抜け、その荷重が隣の天井板に作用して連鎖的に次々と落下したと考えるのが自然だ。
 実際の原因究明が待たれるが、もしも連鎖的に落下したのならば、途中途中で縁を切る構造になっていればこれほどの事故にならなかったかもしれない。事故後の救助もこれほど難航しなかった可能性もある。
 ここで述べたのはすべて結果論だ。土木分野の専門媒体の記者として、考えたことのなかった事故だ。その反省を込めて、老朽化問題の再認識に加えて、二次部材の安全性について深く考える契機にしなければならない。
(2012年12月5日21時25分)
**********2012/12/03
【天井板崩落】全国49トンネル、国交省が緊急点検
 中央自動車道笹子トンネル内の天井板崩落事故を受け、国土交通省は12月3日、同様の天井板があるトンネルを全国で緊急点検すると発表した。
 点検は以下の四つの項目に着目して実施する。(1)天井板の吊り金具と固定金具、(2)吊り金具の固定部分や台座部の覆工コンクリートの健全性、(3)天井板の変形や破損の有無、(4)天井板落下につながる可能性のある事象の有無。
 点検方法は、近接目視や打音、緩みの状況を引っ張ることで確認する触診など。必ず天井板に上がって点検することとした。
<49路線が緊急点検の対象>
 緊急点検の対象は東日本・中日本・西日本高速道路会社のほか、首都高速道路会社、阪神高速道路会社、本州四国連絡高速道路会社の管理する有料道路、さらに国が管理する一般国道のトンネルだ。国管理のトンネルは精査中だが、笹子トンネルと同様の天井構造を持つトンネルは、約50路線に上るとみられる。
 天井板のある構造でも、吊り方式ではない両端支持方式などは緊急点検の対象から除いた。
■吊り方式の天井板があるトンネル一覧
No./管理者/路線名/トンネル名称/上下別/延長(km)
1/東日本高速道路会社/関越道/関越トンネル/上り線/11.1
2/東日本高速道路会社/関越道/関越トンネル/下り線/10.9
3/東日本高速道路会社/北陸道/能生トンネル/下り線/3.0
4/東日本高速道路会社/北陸道/高の峰トンネル/下り線/3.1
5/東日本高速道路会社/北陸道/子不知トンネル/上り線/4.6
6/東日本高速道路会社/北陸道/市振トンネル/下り線/3.3
7/東日本高速道路会社/アクアライン/東京湾アクアトンネル/上り線/9.6
8/東日本高速道路会社/アクアライン/東京湾アクアトンネル/下り線/9.6
9/東日本高速道路会社/長野道/立峠トンネル/下り線/3.6
10/東日本高速道路会社/上信越/五里ケ峯トンネル/上り線/4.5
11/東日本高速道路会社/上信越/八風山トンネル/下り線/4.5
12/東日本高速道路会社/上信越/太郎山トンネル/上り線/4.5
13/東日本高速道路会社/圏央道/菅生トンネル/上り線/2.4
14/東日本高速道路会社/圏央道/菅生トンネル/下り線/2.4
15/中日本高速道路会社/中央道/笹子トンネル/上り線/4.8
16/中日本高速道路会社/中央道/笹子トンネル/下り線/4.8
17/中日本高速道路会社/中央道/恵那山トンネル/下り線/8.5
18/中日本高速道路会社/東名/都夫良野トンネル/下り線(右)/1.7
19/中日本高速道路会社/東名/都夫良野トンネル/下り線(左)/1.7
20/西日本高速道路会社/国道2号/関門トンネル/上下線/3.5
21/西日本高速道路会社/阪和道/藤白トンネル/下り線/1.8
22/西日本高速道路会社/阪和道/長峰トンネル/上り線/3.8
23/西日本高速道路会社/阪和道/長峰トンネル/下り線/4.0
24/西日本高速道路会社/京滋バイパス/宇治トンネル/上り線/4.3
25/西日本高速道路会社/山陽道/関戸トンネル/上り線/3.3
26/西日本高速道路会社/山陽道/志和トンネル/上り線/2.2
27/西日本高速道路会社/山陽道/笠井山トンネル/上り線/3.2
28/西日本高速道路会社/九州道/肥後トンネル/上り線/6.3
29/西日本高速道路会社/九州道/肥後トンネル/下り線/6.3
30/西日本高速道路会社/九州道/加久藤トンネル/上り線/6.3
31/西日本高速道路会社/九州道/加久藤トンネル/下り線/6.3
32/首都高速道路会社/中央環状線/飛鳥山トンネル/内回り/0.5
33/首都高速道路会社/中央環状線/飛鳥山トンネル/外回り/0.5
34/首都高速道路会社/中央環状線/山手トンネル/内回り/9.8
35/首都高速道路会社/中央環状線/山手トンネル/外回り/9.6
36/首都高速道路会社/1号羽田線/羽田トンネル/上り線/0.3
37/首都高速道路会社/1号羽田線/羽田トンネル/下り線/0.3
38/阪神高速道路会社/31号神戸山手線/神戸長田トンネル/上り線/3.4
39/阪神高速道路会社/31号神戸山手線/神戸長田トンネル/下り線/3.9
40/阪神高速道路会社/32号新神戸トンネル/新神戸トンネル/下り線/7.8
41/東北地方整備局/国道13号/東栗子トンネル/上下一体/2.4
42/東北地方整備局/国道13号/西栗子トンネル/上下一体/2.7
43/東北地方整備局/国道46号/仙岩トンネル/上下一体/2.5
44/東北地方整備局/国道112号/月山第一トンネル/上下一体/2.6
45/東北地方整備局/国道112号/月山第二トンネル/上下一体/1.5
46/中部地方整備局/国道1号静清バイパス/賎機山トンネル/上り線/0.5
47/中部地方整備局/国道19号/鳥居トンネル/上下一体/1.7
48/中部地方整備局/国道42号/矢ノ川トンネル/上下一体/2.1
49/四国地方整備局/国道32号/大豊トンネル/上下一体/1.6
※ 天井板が存在するが、吊り方式でない両端支持方式等は除く。
※ 国管理のトンネルについては精査中。
**********2012/12/03
【天井板崩落】吊り金具の老朽化が原因か
 中央自動車道の笹子トンネルの天井板崩落事故で、中日本高速道路会社は12月3日、天井板を吊る金具のボルトが腐食し、それが抜け落ちて事故につながった可能性があることを記者会見で明らかにした。

↑笹子トンネルの断面図(資料:中日本高速道路会社)。↑

↑吊り天井の詳細図。T字形の上部CT鋼に直径16mm、長さ230mmのアンカーボルトを打ち込んでトンネル覆工と接続。吊り金具は上部と下部のCT鋼をつなぐ。隔壁と天井板はCT鋼とボルトで接続していた(資料:中日本高速道路会社)↑
 笹子トンネルの天井部は、1枚当たり1t以上あるプレキャストコンクリート(PCa)の天井板を左右に配置し、両端はトンネルの側壁部の台座に固定。天井板の上部空間を、PCaの隔壁で送気用と排気用に区切っている。
 これらのコンクリート板は上部と下部のCT鋼を介してボルトで留めて一体化している。覆工コンクリートとは、上部CT鋼とボルトだけで接続している状態だ。トンネルの延長方向には吊り金具が1.2m間隔で上部と下部のCT鋼をつないでいた。
 崩落の原因としては、CT鋼と覆工コンクリートをつなぐボルトが腐食などで抜け落ちて、そのまま天井板が崩落したケースや、CT鋼と隔壁をつなぐボルトが抜け落ちて隔壁が倒れ、その衝撃で天井板が崩落したケース、などが考えられる。
**********2012/12/02
中央道笹子トンネルで天井が大規模崩落、3人死亡
 山梨県甲州市と大月市にまたがる中央自動車道上り線の笹子トンネル(全長4784m)で12月2日午前8時3分頃、トンネル換気ダクト用に設けられたプレキャストコンクリート(PCa)の天井板が、東京側から1.7kmほどの地点で50~60mにわたって崩落した。トンネル内で走行中の自動車が崩落に巻き込まれて火災が発生。2人が負傷し、3人が死亡。少なくとも4人がトンネル内に取り残されている可能性がある。
 消防庁の発表によると、軽車両1台と6人乗り乗用車1台が焼損。このほかに、複数台が崩落した天井に埋もれている模様だ。国土交通省関東地方整備局は、中日本高速道路会社の支援依頼を受けて災害等対策本部を設置。事故現場には、甲府河川国道支部から照明車2台を派遣している。
 中日本高速によると、崩落したPCa天井板は合計150枚。1枚のサイズは長さ約5m、幅約1.2mだ。厚さは2種類で、追い越し車線側が80mm、走行車線側が90mmだった。1枚あたりの重さはそれぞれ1.16t、1.385tだ。金具を用いてトンネル上部中央から1.2m間隔で吊り下げており、送気側と排気側は隔壁で区切られていた。片側2車線の笹子トンネルは、1977年12月20日に開通している。
 中日本高速は事故に伴い、中央自動車道を通行止めにした。上り線は大月JCT―一宮御坂IC間、下り線は大月JCT―勝沼IC間(大月ICでの流出は可能)が対象区間。同社は復旧作業を進めているが、2日午後5時時点で開通のめどは立っていない。
**********

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首都高ローリー横転炎上事故の賠償を巡る首都高vs出光興産・ホクブ・多胡運輸の訴訟の行方を機構に問う

2012-11-28 22:42:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■今から4年と4ヶ月近く前、平成20年8月3日早朝、首都高5号池袋線の熊野町ジャンクション付近の下り線で多胡運輸のタンクローリーが横転して炎上し2か月半にわたって通行規制が行われるという首都高史上最大の事故が起きました。その後突貫工事で修復工事が進められ、同年10月14日に首都高は上下線とも開通しました。その際、首都高の佐々木社長(当時)は、事故発生から開通に至るまでに要した費用は約45億円について精査した上で、事故を起こした運送会社に請求する予定であることを記者会見で明らかにしていました。

独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が7階に入っている住友不動産日比谷ビル。
 この内訳は、復旧工事費が20億円で、通行料金の減収額が25億円としており、通行料金は通行止めになっていた8~9月分の収入を、前年同期の額から差し引いた結果、25億円の減収となったとしていました。

 当時、首都高は、「燃料価格高騰による自動車の利用控えの影響も考慮して減収分を精査し、事故を起こした多胡運輸に請求していく予定」とし、「運送会社を利用していた荷主へも責任追及と請求を検討している」と発表し、平成20年度末までにすべての工事を終了し、全費用が確定した後に請求するはずでした。

 ところが、その後、首都高からは提訴の向けた動きが表面化せずに、3年の時効を迎えようとしていました。当会も毎年夏に、損害賠償の件で、首都高に情報開示を請求しましたが、いずれも開示されず、開示請求した情報の有無さえ明かされませんでした。

■こうした状況の下、平成23年10月8日にマスコミにより、首都高を運営する首都高速道路会社が「交通量が著しく減り損害を受けた」と主張してガソリンの運搬を委託していた出光興産を含めて、原因者に対して、34億円あまりの賠償を求める裁判を起こしました。

 報道によれば、この事故について、首都高速道路株式会社は、「復旧工事に多額の費用がかかった上、交通量が著しく減って損害を受けた」と主張して、ガソリンの運搬を継続的に委託していた出光興産のほか、元請の運送会社のホクブトランスポートとその下請の運送会社の多胡運輸に約34億5千万円の損害賠償を求める訴えを3年の時効が到来する直前の平成23年7月に起こし、平成23年10月7日に東京地方裁判所で初めての審理が開かれました。

 このとき、被告とされた出光興産は、首都高の訴えに対して、「今後、どのように対応するか検討していきたい」と話しています。

■しかし、その後、マスコミは沈黙したまま、1年以上経過しました。当会では、今夏もこの件で首都高に情報開示請求をしましたが、またもや不開示とされました。

 通常であれば、損害賠償の民事裁判では1年以上も経過すれば、裁判所から和解勧告が出されて、だいたい決着がつけられるはずです。おそらく、原因者である多胡運輸の素性から、和解交渉は密室で行なわれているものと推察されます。もしかしたら、先週あたり、和解条項が決着した可能性も無きにしも非ずです。

■これまで当会は、多胡運輸のタンクローリーの横転炎上事故による首都高史上最大の物損事故について、被害者は首都高速道路株式会社(首都高)だと考えてきました。そのため、何度も首都高に対して、横転炎上事故の事後処理に関する情報開示請求をトライしてきたのでした。

 しかし、いずれも開示請求は不調に終わり、何一つ開示された情報はありませんでした。

 先日も、出光興産・ホクブトランスポート・多胡運輸を相手取って東京地裁で係争中の裁判情報を首都高に請求しましたが、結果として、不開示とされてしまいました。

■そこで、当会は、首都高のHPに掲載されている「首都高速道路株式会社供用約款」を再度チェックしてみました。

この約款を見ると、第1条で、高速道路を通行し、利用する者はこの約款を承認して同意したものとするとあります。そのうえで、会社の責任と、利用者の責任が次のとおり明記してあります。

**********
首都高速道路株式会社供用約款
(会社の責任)
第7条 高速道路の設置又は管理に瑕疵があったために利用者に損害を生じたときは、会社は、これを賠償する。
2 前項の場合において、利用者に過失があったときは、損害賠償額の算定に当たり、これを考慮することができる。
3 高速道路の設置又は管理に瑕疵がない場合を例示すると、おおむね次のとおりである。
一 利用者の故意
二 会社の責任によらない車両相互の接触若しくは衝突又は落下物等による事故
三 盗難その他第三者による危害
四 天災地変その他の不可抗力
4 次に掲げる事由により生じた損失については、会社は、補償する責任を負わない。
一  第5条の規定に基づく供用の拒絶その他通行の禁止又は制限のための必要な措置
二 渋滞による遅滞
5 前4項の場合において、会社の責任は、利用者がこの約款に従って、高速道路に進入したときに始まり、高速道路から退出したときに終わる。
(利用者の責任)
第8条 高速道路を損傷し、又は汚損した利用者は、当該損傷又は汚損により必要を生じた高速道路に関する工事又は道路の維持に要する費用について、法第40条第1 項の規定により読み替えて適用する道路法(昭和27年法律第180号)第58条第1項の規定に基づき、会社に対して負担金を支払わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、高速道路を損傷し、又は汚損した利用者は、法第8条第1項第12号の規定により道路管理者の権限を代行する機構から道路法第22 条第1項の規定に基づき当該損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を命ぜられた場合は、機構から命ぜられた道路に関する工事又は道路の維持を施行しなければならない。
3 前2項に規定するもののほか、利用者は、故意又は過失により会社に損害を与えた場合は、その損害を賠償しなければならない。
**********

■これによると、会社の責任は「高速道路の設置又は管理に瑕疵があったために利用者に損害を生じたときは、会社は、これを賠償する」としていますが、「渋滞による遅滞」などは保証責任がないとしています。

■他方、利用者の責任としては第1項で、「高速道路を損傷したり汚損した利用者は、修理工事や道路維持に要する費用について、法令の規定に基づき、会社に対して負担金を支払わなければならない」と規定しています。

 ここでいう法令として、「道路整備特別措置法第40条第1 項」を読み替えた「道路法第58条第1項」というのが挙げられています。道路法第58条第1項は、原因者負担金を定めており、「道路管理者は、他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担させるものとする。」とあります。

■利用者の責任として、もうひとつ第2項が規定されています。そこでは、首都高ではなく、その元締めの独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構も利用者の責任を問えることになっています。第2項は「前項の規定にかかわらず、高速道路を損傷し、又は汚損した利用者は、法令により、補修工事又は道路の維持施行を命ぜられた場合は、機構から命ぜられた道路に関する工事又は道路の維持を施行しなければならない」と定めています。


 当会はこの規定に着目し、首都高がこの首都高史上最大の物損事故とそれにかかる原因者らとの争訴関連にかかる情報を不開示し続けているので、これまで対象としていた首都高ではなく、約款に明記された規定に基いて利用者=原因者である多胡運輸の責任を問える立場にある独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(JEHDRA:Japan Expressway Holding and Debt Repayment Agency)に対して、情報開示請求を行うことにしました。

ロビーの案内板。日本高速道路保有・債務返済機構は7階にある。

 そこで、本日、次の内容の開示請求書を同機構に提出しました。

**********
                    平成24年11月28日
独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構 殿
          氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
          住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)〒379-0114群馬県安中市野殿980番地
          TEL ( )
          連絡先:(連絡先が上記の本人以外の場合は、連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
     法 人 文 書 開 示 請 求 書
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき、下記のとおり法人文書の開示を請求します。
        記
1 請求する法人文書の名称等
(請求する法人文書が特定できるよう、法人文書の名称、請求する文書の内容等をできるだけ具体的に記載して下さい。)別紙記載のとおり
2 求める開示の実施の方法等(本欄の記載は任意です。)
ア又はイに○印を付して下さい。アを選択された場合は、その具体的な方法等を記載してください。
ア 事務所における開示の実施を希望する。
<実施の方法> ①閲覧 ②写しの交付 ③その他( )
<実施の希望日>
○イ 写しの送付を希望する。
開示請求手数料(1件300円)
納付方法:○現金・銀行振込・郵便振替
※ 郵便にて開示請求されます際には、当機構の情報公開窓口に御一報くださいますようお
願いします。
                    以 上
※以下の欄は記入しないで下さい。
主務課
備考
「法人文書開示請求書」(裏面又は別添)
<記載に当たっての注意事項>
1 「氏名又は名称」「住所又は居所」
個人で開示請求をする場合は、あなたの氏名、住所又は居所を、法人その他の団体の場合にあっては、その名称と代表者の氏名及び所在地を記載してください。
ここに記載された住所及び氏名により、開示決定通知等を行うことになりますので、正確に記入願います。
連絡等を行う際に必要になりますので、電話番号も記載してください。
なお、記載に際しては自筆に限らず印刷、ワープロ等による記載も可能です。
2 「連絡先」
連絡等を行う場合に、「氏名又は名称」欄に記載された本人と異なる方に行う必要があるときは、連絡担当者の氏名、住所及び電話番号を記載してください。
3 「請求する法人文書の名称等」
開示を請求する法人文書について、その名称、お知りになりたい情報の内容等をできる限り具体的に記載してください。
4 「求める開示の実施の方法等」
請求される法人文書について開示決定がされた場合に、開示の実施の方法、事務所(情報公開窓口)における開示を希望される場合の希望日について御希望がありましたら、記載してください。
なお、開示の実施の方法等については、開示決定後に提出していただく「法人文書の開示の実施方法等申出書」により申し出ることができます。
※ 「求める開示の実施の方法等」は、任意の記載事項です。また、記載された場合でも、記載どおりの方法による開示の実施ができないこともあります。
<開示請求手数料の納付について>
開示請求を行う場合には、1 件の法人文書について300 円を納付していただくこととなっています。該当する納付方法に○をして下さい。
※ 国の行政機関の場合と異なり、手数料の納付について、収入印紙による納付はできませんので、ご注意願います。
※ 郵送による開示請求を行う場合には、手数料の納付方法について、当機構情報公開窓口にお問い合わせください。
※ 手数料の納付の際は、おつりがでないようにお願いします。
※ 銀行振込により手数料の納付をされる場合は、お振込み名義をお知らせください。
**********
(別紙)
1.請求する法人文書の名称等
平成20年(2008年)8月3日早朝、首都高速道路5号池袋線熊野町ジャンクション付近の下り線で、荷主である出光興産㈱(東京都千代田区)のマークをつけ、元請業者であるホクブトランスポート㈱(高崎市)の下請業者である多胡運輸㈱(高崎市)(以上まとめて「利用者」という)のタンクローリーが横転して炎上した事故で、道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害について、①法令により道路管理者の権限を代行する貴機構が、当該利用者の過失で損傷又は汚損により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の施行を利用者に命じた経緯を示す文書、及び、②利用者の過失により道路管理者の首都高速道路株式会社が被った損害の賠償に関して貴機構が作成もしくは入手した情報のうち、平成20年度以降の法人文書ファイル管理簿に掲げられている次の情報。ただし、いずれも関係情報記載部分のみ。なお、2011年7月に利用者を相手取って首都高速株式会社が計約34億5千万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した事件にかかる情報も含む。
・役員会の議事録
・監事監査関係
・記者発表
・特殊車輌通行受理・許可一覧
・特殊車輌通行許可番号
・争議関係
・警告書等
・措置命令書管理簿
・措置命令書(控)等
・原因者負担督促状(控)等
・債務引受契約書
・道路資産の現地確認関係
・その他、もしあれば
**********

■同機構も首都高の上部組織であることから、開示請求書の様式も類似していますが、首都高が株式会社化されているのにくらべると、より一層政府機関の色合いを濃くしていることから、首都高とは異なり、もっと積極的な対応をしてもらえるのではないかと期待しつつ、開示請求書を提出した次第です。

 30日以内になんらかの通知があるはずですので、新たな情報が入り次第報告いたします。

エレベータ内の各階表示板。

7階フロア案内図。

【ひらく会情報部・首都高ローリー横転炎上事故調査班】
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首都高5号線ローリー横転炎上事故を巡る首都高VS出光興産等の裁判情報不開示に係る手数料支払い

2012-09-09 23:29:00 | 首都高炎上とタゴ運輸
■4年前の平成20年8月3日(日)早朝に首都高5号線の熊野町ジャンクション付近で発生した多胡運輸所有のタンクローリーの横転炎上事故を巡り、平成23年10月7日に首都高が原因者である多胡運輸と、その元請のホクブトランスポート、そして荷主の出光興産を相手取り、総額およそ34億5千万円の損害賠償を求めた裁判は、東京地裁で第1回口頭弁論が行われましたが、その後の経緯については、なぜかマスコミは全く報じようとしません。そこで、当会では、平成24年7月9日付で首都高に対して、裁判情報の情報開示を求めました。しかし、同8月6日付で不開示の通知が送られてきました。

首都高から送られてきた情報不開示に係る手数料315円の領収書。

 この不開示通知には請求書が同封されていて、不開示にもかかわらず、手数料350円を「本通知をお受け取りになってから30日以内にお支払いください」と記されていました。

 そこで、通知を受け取った8月7日から、28日目にあたる9月4日に、首都高を訪れて、手数料315円を現金で支払いました。

■首都高では、領収書はおって作成の上、郵送するとして、その場では、受け取れませんでしたが、首都高の総務部の担当者と立ち話をする機会がありました。

 その際に、当会からは、「領収書は後日郵送でも構いませんが、不開示決定は不満なので、こちらとしては、しかるべき対応をとるつもりであることを、上層部にもお伝えいただきたいと思います。ところで、不開示理由として、“契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、会社の財産上の利益又は当事者としての地位を害するおそれがある”ということでしたが、本当に、横転事故の係争はまだ、やっているのかどうか、さっぱりわかりません。普通はもう終わっていますよね。民事だから。そのことだけでも答えられませんか?」と質問しました。

 それに対して、総務部の担当者は、眉を曇らせて、「ちょっと、その辺のことについては・・・・」と語っただけでした。

 当会は「あの、首都高の経営というのは、国民の社会経済にも関係するわけですから、この裁判にはみな注目していると思います。これは当会のブログを見れば分かると思いますが、地元の情報はすべからく、情報として載せています。しかし、この係争が終わっているのかどうかはマスコミも全然取り上げないし、時間があれば、裁判の傍聴にも行きたいんですけども、いつやっているのかも、そこまで検索する時間も労力もないんですけど。係争が終わったら、その結果を首都高が公表するのかどうかも含めて非常に心配なところです。お騒がせするわけではなくて、私はこの事故について、私のところに通報があった瞬間から、事故を起した会社は、いわく因縁つきのところだということを、ひろく伝えたいと思い、そのように努力してきました。その後の、その会社の経緯もずっと見てきましたが、すでに看板も外していますけども、とにかく大変なところなので、貴社も係争では大変苦労されていることと思います。しかし、きっちりとけりをつけないと、他のユーザーに対して、類似の事故が発生するような事業を、不特定多数がどんどん走行するわけですから、ですから類似事故が発生した場合、では、あのときの横転炎上事故のときはどうなったんだ、ということになったときに、しっかりと説明責任が果たせるような対応をお取りにならないと、大変な問題になるな、ということを、私のみならず、沢山の人が思っているとおもいます。それだけ言いたかったんですが、係争中かどうかを話すこと自体、貴社の経営に支障がある、ということで承っておきます」とコメントを述べて、退出しました。


首都高が郵送してきた領収書。

■総務課の担当者の方には、エレベータまで見送っていただきました。また、首都高でも当会のブログはしっかりチェックしていただいていることが、総務部の担当者のかたの発言からも確認できました。

 というわけで、首都高から、裁判情報を引き出すことはできていませんが、今回の不開示理由を何度も読んでみると、やはり、依然として係争が続いていると判断するのが妥当と思われます。

 なぜなら、出光興産側も、法廷での攻防を舞台にしていることから、そう簡単に裏取引はできません。だから、きちんと裁判の結果を出さないと、株主への説明根拠ができないのかもしれません。

 他方で、同社は、2000年代前半まで、サントリー、竹中工務店、ヤンマー、ロッテなどとともに非上場の大企業として有名でしたので、2006年(平成18年)10月24日に東証一部上場してからまだ時間が余り経過していないこともあり、一般株主が相対的に少ないと思われます。となると、株主代表訴訟が起こり難い環境にあるのかもしれません。だから、なかなか、この裁判の情報を公開するという意識が低いという見方がぬぐいきれません。

 当会では、今後、どのようなかたちで、首都高ローリー横転炎上事故を巡る首都高による原因者を相手どった損害賠償請求の関係情報を入手できるか、鋭意検討して行く所存です。

【ひらく会事務局】


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