市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】隠蔽体質追認のダブル不当判決に抗うべく東京高裁に両件控訴!

2020-12-10 23:29:00 | 群馬高専アカハラ問題
■高専組織の情報隠蔽体質の是正のため、当会では2019年10月に第一次・第二次の二回にわたり高専機構を東京地裁に提訴し、「高専過剰不開示体質是正訴訟」プロジェクトとして法廷の闘いを行ってまいりました。新型コロナ禍による裁判所の機能停止や、被告高専機構とその訴訟代理人である銀座の弁護士による幾度もの卑怯な法廷戦術といった苦境に見舞われつつも、提訴から1年をかけてようやく両訴訟は結審し、同日同時刻に示し合わせて「ダブル判決」が設定されました。ところが判決言渡日となる2020年11月24日に待ち受けていたのは、被告高専機構の杜撰な言い分と姑息な法廷戦術を片端から丸々素通し状態の「ダブル不当判決」でした。

○2020年11月25日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次訴訟98%敗訴・第二次訴訟全面敗訴のダブル不当判決に仰天!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3244.html

 当会では、この2件の不当判決についてそれぞれ精査と検討を重ねた結果、その両方について控訴することに決定しました。判決後、平素より心強い支援を賜っている高専関係者の方々から、「このような不当判決を絶対に許してはいけない」といった意見や投書が次々寄せられたことも、その判断を固くしました。

 したがって、判決言渡から2週間目の控訴期限当日となる12月8日、東京高裁への控訴状2通を提出することにしました。



■12月8日は誰もが知る太平洋戦争開戦日です。記録によると、真珠湾攻撃が行われた1941年(昭和16年)12月8日の午前8時、中央気象台の藤原咲平台長は、陸軍大臣と海軍大臣から口頭で気象報道管制実施を命令されました。そして終戦までの3年8ヵ月間、天気予報はいっさい報じられませんでした。そうした情報管制下にあった戦時中はともかく、79年後の現代に至っても、当然開示されなければならない情報を国が非開示とする風潮が未だに続いています。

 この日の午前中までに2件の控訴状を仕上げて、一審で東京地裁から返却された郵便切手の不足分を最寄りの郵便局で買い求め、6000円分の予納切手セット(当事者(原告・被告)がそれぞれ1名の場合。1セットの内訳は500円×8枚、100円×10枚、84円×5枚、50円×4枚、20円×10枚、10円×10枚、5円×10枚、2円×10枚、1円×10枚)を2セット揃えました。高崎駅14時14分発の北陸新幹線あさま618号に乗車し、15時12分に東京駅に到着しました。午前中、群馬県では日差しが出ていましたが、東京に着くと曇りになっていました。そして地下鉄丸ノ内線に乗り換え、15時24分に霞ヶ関駅に到着し、地上に出ると、裁判所の前の街路樹もすっかり色づき、樹木の上部の枯葉はずいぶん落葉しています。





■ゲートから構内に入ると、何やら玄関に向かって右手から人声がします。見ると、大勢の傍聴希望者が待機エリアで抽選を待っている様子でした。好奇心旺盛な筆者は、いったい何の裁判だろうかと傍聴事件表示板のところに近づくと「傍聴ご希望ですか」と裁判所の管理職員に声をかけていただきました。表示板には平成医療学園による処分取消訴訟とありました。国を相手取った訴訟のようです。「時間がないもので」と丁重に遠慮申し上げ、そのまま裁判所の玄関に向かいました。
※参考情報 URL ⇒ https://www.tokyo-np.co.jp/article/73146?rct=national

 裁判所合同ビルの入口で、コロナ禍勃発以後常識となった手指のアルコール消毒を済ませてから、手荷物検査を通過し、中に入りました。初めに地下1階の郵便局に行き、19500円の収入印紙2枚を購入しました。これで、控訴状提出に向け準備は全て用意万端整えられました。

 そして14階に上り、控訴状の提出窓口となる民事事件係(受付)を訪れました。廊下から部屋に入ると、正面に順番待ちの番号札を交付するためのディスプレーがあり、「控訴・上告」の欄を指でタッチすると「309」の番号札が印刷されて出てきました。4つの欄がありましたが、いずれも順番待ち人数はゼロとなっていました。窓口の前にある長椅子(中央部にはコロナ対策で使用禁止のテープが貼付)の端に腰かけて待機していると、すぐに中から男性職員が現れ、「309の番号札をお持ちの方どうぞ」と告げました。

■さっそく、用意してきた控訴状正本・副本各2通と予納切手2セットを提示すると、職員は「初めに切手を確認させてください」と言って、予納切手が指定の金額と枚数になっているか、一枚一枚チェックしました。今回は一審の予納切手を使いまわしているため、過不足の無いように買い足しましたが、間違っていないかと、ちょっぴり緊張しました。

 予納切手が2セット共に所定の金額と枚数から構成されていることを確認した職員は、次に2件の控訴状に目を通し始めましたが、その途端、「一審の判決正本のコピーをお持ちですか?」と筆者に訊いてきました。長い活動上でもそうした質問をされたことがないため、驚いた筆者が「いいえ、コピーは持参していませんが」と返答すると、職員は「いえ、持参していなければそれで構わないのですが、こちらとしては判決正本のコピーを付けてもらえると事務手続きがスムーズにいくので、今後はそうしてもらえると助かります」とのこと。そう説明しつつ、筆者の提出したクリアファイル入りの2通の控訴状に目を落とした職員は、「ああ、こちらのクリアファイルには担当民事部の番号が書いてありますね。それならこれですぐにわかります」と言いました。職員の予期せぬ質問は、判決正本そのものが必要というよりは、担当民事部の情報が必要という趣旨だったようです。

■職員はそのまま「後ほどお呼びするまで、そこの椅子にかけてお待ちください」と言って、書類と予納切手セットを携えて自席に戻りました。数分後、男性職員が控訴状2通を持って来て、「内容を拝見しました。受け付けますので、今、印紙はお持ちですか」と訊くので、「はい、ここにあります」と持参した19500円の収入印紙セット(内訳:1万円×1、5千円×1、4千円×1、5百円×1)2組を示しました。

 すると男性職員は、「では、こちらの控訴状の上部に、一番上の余白は2センチほど開けていただくようにして、また、“控訴状”と書いてある文字にかからないように、そして収入印紙同士は重ならないように、できればそれぞれ少し(数ミリずつ)離して貼ってください」と細かく指示されたので、カウンターに用意されていた水に濡れたスポンジに印紙を浸けて順番に2通の控訴状に貼っていきました。

 収入印紙を貼った控訴状2通を職員に提出すると、職員は「はい、これで手続きが済みました。ここに受付票をお渡ししますので、今後何かあるときには、この事件番号を言っていただければ、すぐ対応できます」というと、奥に引っ込んでいきました。

■こうして、午後4時半前に控訴手続きが済みました。帰る前に、ひとつ確認しておかねばらないことに気がつき、14階から一旦10階の民事第2部の受付に立ち寄りました。ここでも、テレワーク推進中なのか職員が少ないようすでした。

 そこに居合わせた男性書記官に声をかけて「第2部で担当いただいた令和2年(行ウ)第515号事件(当会呼称:第一次訴訟)ですが、一応原告完全敗訴ではなく一部勝訴している判決になっています。この原告勝訴部分について、被告側から控訴しているのかどうか、どこに行けば確かめられますか」と尋ねました。

 すると男性書記官は、「こちらで確認できます」というので、再度事件番号を伝えると、パソコンで検索しに自席へ戻りました。そして窓口に戻ってきて「調べてみましたが、この事件では現時点でまだ控訴されていないようです」と言いました。控訴期限日の定時ギリギリの確認なので、さすがの高専機構も50分の1の敗訴部分についてわざわざ控訴することはしなかったと考えてよさそうです。

 余談となりますが、控訴手続をすべて終えて裁判所出口から外に出ると、右手に傍聴抽選用の看板が撤去されないまま置かれていました。見ると、今をときめく河井夫妻の夫の方の公選法違反事件について、その日の10時に公判が開かれていたらしいことがわかりました。ところで妻の方についても、佐野太の公判と日程を被せて公判が開かれていることは以前報告のとおりです。夫婦ともども、既に数多くの公判が重ねられているようです。
※※参考情報 URL ⇒ https://www.news24.jp/feature/421/feature421_01.html


■さて、12月8日に東京地裁民事窓口に提出した第一次訴訟および第二次訴訟にかかる本件控訴状2通の内容は以下のとおりです。

*****第一次訴訟控訴状*****ZIP ⇒ 20201208iti.zip

                控  訴  状

                            令和2年12月8日

 東京高等裁判所民事部 御中

 〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
    控訴人(第1審原告)  市民オンブズマン群馬
                   同代表   小川 賢
                   電 話 090-5302-8312
                        (控訴人代表直通)
                     又は 027-224-8567
                        (控訴人事務局)
    FAX 027-224-6624
 
 〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
    被控訴人(第1審被告) 独立行政法人国立高等専門学校機構
                   同代表理事長  谷口 功

 法人文書不開示処分取消請求控訴事件
  訴訟物価額  金160万円(算定不能)
  貼用印紙額  金1万9500円

 上記当事者間の東京地方裁判所令和元年(行ウ)第515号法人文書不開示処分取消請求事件について,令和2年11月24日に言い渡された下記判決のうち控訴人敗訴部分につき不服であるから控訴する。

第1 原判決の主文
 1 被告が平成31年4月16日付けで原告に対してした法人文書開示決定のうち,別紙1記載1の部分について,項目名及び整理Noに係る情報を不開示とした部分を取り消す。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は,これを50分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。

第2 控訴の趣旨
 1 被控訴人が控訴人に対し,平成31年4月16日付高機総第19号法人文書開示決定において不開示とした箇所のうち,別紙に示す部分について不開示を取消せ。
 2 訴訟費用は第1審,第2審ともに被控訴人の負担とする。
  との判決を求める。

第3 控訴の理由
 おって,控訴理由書を提出する。

附 属 書 類
控訴状副本     1通

                         以上


*****控訴状別紙*****

(控訴状別紙)

       控訴の趣旨1項に係る不開示処分取消請求箇所

1 平成23年4月1日付けから平成31年4月付けまでの「国立高等専門学校長候補者一覧」について,「各一覧表が扱う推薦機関の種別の表示」,「選考通過者のうち実際に校長に就任した者にかかる記載情報すべて」,「各候補者の推薦機関又はその種別に係る情報」。

2 西尾典眞の平成29年3月15日付け辞職願の不開示部分のうち辞職理由が記載された部分。

3 群馬工業高等専門学校「校報」第129号から第131号までの表紙及び人事関係の不開示部分のうち,不開示とされている同校職員すべてについて,「人事前後の同校における所属・職名にかかる情報」,とくに教育研究支援センター所属の技術補佐員については,「氏名および人事前後の同校における所属・職名にかかる情報」。

4 平成28年度から平成30年度支払決議書の不開示部分のうち,「合計金額」,「支払金額」。

5 「事件・事故等発生状況報告書【第一報】」(報告日時の時刻が1時40分のものと15時0分のもの),「事件・事故等発生状況報告書【第二報】」(6枚のものと2枚のもの),「事件・事故等発生状況報告書【最終報】」(7枚のものと4枚のもの)および「故■■■■君に関する報告書」に対する不開示箇所のうち,年月日や時刻に関する記載。

                             以上
**********


*****第二次訴訟控訴状*****ZIP ⇒ 20201208iti.zip

               控  訴  状

                          令和2年12月8日

 東京高等裁判所民事部 御中

 〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
    控訴人(第1審原告)  市民オンブズマン群馬
                   同代表   小川 賢
                   電 話 090-5302-8312
                        (控訴人代表直通)
                     又は 027-224-8567
                        (控訴人事務局)
    FAX 027-224-6624

〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
    被控訴人(第1審被告) 独立行政法人国立高等専門学校機構
                   同代表理事長  谷口 功

 法人文書不開示処分取消請求控訴事件
  訴訟物価額  金160万円(算定不能)
  貼用印紙額  金1万9500円

 上記当事者間の東京地方裁判所令和元年(行ウ)第549号法人文書不開示処分取消請求事件について,令和2年11月24日に言い渡された下記判決は全部不服であるので控訴する。

第1 原判決の主文
 1 本件訴えを却下する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。

第2 控訴の趣旨
1 原判決を破棄する。本件を東京地方裁判所に差し戻す。
2 訴訟費用は第1審,第2審ともに被控訴人の負担とする。
  との判決を求める。

第3 控訴の理由
 おって,控訴理由書を提出する。


附 属 書 類
控訴状副本     1通

                              以上
**********


■こうして、太平洋戦争の端緒となった真珠湾攻撃の日から79年目にあたる日の活動を済ませました。当会の控訴状が不備なしとして受理されれば、追って控訴人となった当会から控訴理由書を提出し、そこから被控訴人となった高専機構の控訴答弁書が返されて、控訴審の第一回口頭弁論が開かれるはこびになります。当会の実質的な不服内容となる控訴理由書は、控訴した日の翌日から起算して50日以内、すなわち2021年1月27日までに東京高裁の担当部に提出することになります。

 すでに、高専組織の数々の不祥事をめぐる真相解明・責任所在の明確化・再発防止のために当会が取り組みを始めてから相当な時間が経過しています。これからも国の機関である高専組織の底の見えない闇に光を当て、腐敗・隠蔽体質を是正させるべく、果てしない活動を継続してまいります。本件推移についても、追ってご報告してまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】


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【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次訴訟98%敗訴・第二次訴訟全面敗訴のダブル不当判決に仰天!

2020-11-25 23:56:00 | 群馬高専アカハラ問題
■高専組織の情報隠蔽体質の是正のため、当会では2019年10月に第一次・第二次の二回にわたり高専機構を東京地裁に提訴し、「高専過剰不開示体質是正訴訟」プロジェクトとして法廷の闘いを行ってまいりました。新型コロナ禍による裁判所の機能停止や、被告高専機構とその訴訟代理人である銀座の弁護士による幾度もの卑怯な法廷戦術といった苦境に見舞われつつも、提訴から1年をかけてようやく両訴訟は結審し、同日同時刻に「ダブル判決」が設定されました。

 判決言渡当日となった11月24日、その聴取および二件の判決正本受領のため、当会担当者が東京地裁へと向かいました。

 ところが待っていたのは、第一次訴訟について原告当会のほぼ全面敗訴、第二次訴訟に至っては訴訟費用まで含め全面敗訴という、想像を絶する「ダブル不当判決」でした。



11月24日(火)午後1時15分、7階と4階の法廷でほぼ同時に不当判決が言い渡された東京地方・高等裁判所合同ビル。手前左側は法務省赤レンガビル。



■この高専過剰不開示体質是正訴訟の流れについては以下の記事をご覧ください。

【第一次訴訟の流れ】
○2019年10月19日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その1)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3055.html
○2019年10月19日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3056.html
○2019年12月30日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次提訴に対する高専機構からの答弁書と第一回口頭弁論の様子
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3101.html
○2020年3月5日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次訴訟での被告・原告の準備書面(1)と第二回口頭弁論の様子
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3129.html
○2020年4月7日:【お知らせ】新型コロナ緊急事態宣言のため高専過剰不開示体質是正訴訟の審理が一時中断
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3144.html
○2020年4月12日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】銀座弁護士の本気?第一次訴訟で被告高専機構が準備書面(2)を提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3148.html
○2020年6月3日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】コロナ中断の第一次訴訟に再開通知…第3回口頭弁論再日程は7月7日
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3170.html
○2020年7月9日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】七夕の第一次訴訟第3回弁論報告&第二次訴訟の再開通知到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3180.html
○2020年8月16日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次訴訟で当会が原告準備書面(2)提出…機構は準備書面無し!?
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3192.html
○2020年8月21日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】酷暑の中で行われた8.20ダブル口頭弁論の様子
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3194.html

【第二次訴訟の流れ】
○2019年10月20日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3057.html
○2020年3月5日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第二次提訴に対する高専機構からの答弁書と第一回口頭弁論の様子
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3128.html
○2020年4月7日:【お知らせ】新型コロナ緊急事態宣言のため高専過剰不開示体質是正訴訟の審理が一時中断
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3144.html
○2020年4月13日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】緊急事態宣言に揺れる東京で原告当会が第二次訴訟準備書面(1)提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3149.html
○2020年7月9日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】七夕の第一次訴訟第3回弁論報告&第二次訴訟の再開通知到来!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3180.html
○2020年8月14日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】コロナ凍結の第二次訴訟再開目前に届いた被告高専機構の準備書面(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3190.html
○2020年8月21日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】酷暑の中で行われた8.20ダブル口頭弁論の様子
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3194.html
○2020年10月28日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】被告が敗勢悟り「訴訟オジャン作戦」発動!? 第2次訴訟の急展開な行方
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3231.html

■11月24日(火)、当会出廷者は高崎発の新幹線に乗り、11時ちょうどに東京駅に到着しました。この日は、永田町にある某団体を訪問する用事があったため、そちらを先に済ませることにしました。永田町で面会協議を終えた後、有楽町線に乗り、桜田門駅で降りました。地表に出ると、法務省の赤レンガ庁舎の奥に、目指す裁判所合同庁舎ビルが見えました。

 奇しくも3年前の同じ日は、群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟に関する地裁判決が言い渡された日でした。原告の3分の1程度部分勝訴と、かなり行政寄りなものでしたが、一応は最後の良識が作用したのか、原告の言い分の一部も辛うじて認めたものでした。被告高専機構はこれを不服として控訴し、結果的に西尾逃亡のための時間稼ぎに成功した形になったのでした。
○2017年11月24日:【速報】アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示訴訟で東京地裁が原告一部勝訴判決!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2476.html

 裁判所の構内に入ると、大勢の職員が食事のためゾロゾロと庁舎玄関から出てきました。ちょうど昼休み時間になった様子でした。その様子を横目に見ながら、いつもどおり入口の消毒用アルコールで両手を殺菌し、手荷物検査と金属探知ゲートを通り、裁判所の1階ホールに入りました。

 初めに、正面の受付の左側にある法廷表の検索コーナーに行き、ダブル訴訟判決の法廷番号と時刻を確認しました。タッチパネルの画面を見ながら、第一次訴訟(事件番号:令和元年(行ウ)第515号)担当の「民事第2部」と第2次訴訟(事件番号:令和元年(行ウ)第549号)担当の「民事第51部」で検索をしたところ、前者では12件、後者では4件が該当し、その中で当会の関わる事件2つも予定どおり判決言渡されることが確認できました。

■開廷までにまだ1時間ほど時間があるため、地下にある食堂で腹ごしらえをしてから、第一次訴訟の判決言渡しが行われる7階の703号法廷に向かいました。法廷前の廊下に貼りだされている法廷表を見ると、13時15分から4件の行政事件の判決言渡しが行われることがわかりました。当会の第515号事件は4件の一番上に記載されていました。しばらく待合室で時間を過ごしていましたが、12時45分頃になり、第二次訴訟の判決言渡しが行われる4階の419号法廷の様子も見に行きました。こちらも、廊下に貼りだされている法廷表に当会の事件が明記してありました。

 再び7階に戻ると、控室は、スーツ姿の男女らで長椅子が埋められていました。廊下にも大勢の人が集まっていました。同時に4件の行政事件の判決言渡しがあるためか、こうして大勢が判決言渡を聞こうとしていることに驚きました。法廷表を指さして話しているグループの様子で、どうやら表の3件目に記載のあった年金事件に関する関係者が多いことがうかがえました。

■13時5分過ぎ、傍聴者入口のドアが内側から開かれたので、最初に入りました。正面中央にある机の上に出頭カードが並べてあり、その一番左側に当会の闘ってきた第一次訴訟のカードがあったので、原告欄に市民オンブズマン群馬と印刷されてある下に氏名を大きく書きました。

 男性書記官が「どうぞお入りください」と促したので、さっそく法廷内の原告席に着座しました。その後、開廷5分前になると、さきほど見掛けたスーツ姿の集団がぞろぞろ入ってきました。書記官が「法廷内に入って判決をお聞きになる方はここに署名してください」と出頭カードを示して促しましたが、結局当会出廷者以外は誰もカードに署名した人は現れませんでした。傍聴者の数を数えるとちょうど20名でした。

 定刻の13時15分きっかりに、法廷の右側から通路を歩いてくる足音が聞こえ、ドアが開かれて2名の裁判官が現れました。マスクで顔は隠れていましたが、それでも本件を担当してきた森裁判長の姿でないことはわかりました。どうやら代読のようです。

■男性書記官が事件番号「令和元年(行ウ)第515号」と事件番号を読み上げると、裁判官が紙を広げ読み始めました。

 「それでは判決の言渡しを行います。主文1:被告が平成31年4月16日付けで原告に対してした法人文書開示決定のうち、別紙1記載1の部分について、項目名および整理ナンバーに係る情報を不開示とした部分を取り消す。 2:原告のその余の請求を棄却する。 3:訴訟費用は、これを50分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担とする」

 主文が早口で読み上げられたため、にわかに内容を咀嚼できませんでした。いつもの「原告の訴えを棄却する」という判決主文ではなかったため、完全敗訴ではないことが分かりました。しかし、訴訟費用の負担割合について、被告側がわずか50分の1であることから、これは相当に厳しい判決結果らしいと直感しました。

■そして、裁判官に一礼をしてから、法廷を後にしました。傍聴人出口から廊下に出る際に、書記官が次の事件番号を読み上げる声が聞こえました。廊下に出ていると、中から数人のスーツ姿の傍聴人が出てくるのが見えました。その中に、マスクをしてはいましたが、確かに藍澤弁護士らしき姿もありました。せっかく来たのであれば、法廷内の被告席に着座すればよいのにと思いましたが、出頭カードにさえ署名していませんでした。

 もっとも、判決言渡しに出頭する義務はなく、あとで裁判所から判決文は郵送されてきます。それでも一刻も早く判決内容を知るためには、当日に傍聴する必要があります。高専機構側の訴訟代理人としては、第一次訴訟の判決結果について、やはりどのような判断を裁判所が下すのか、関心があったようです。

 また、第一次訴訟の判決言渡しが終わった後、傍聴人席から弁護士以外にも廊下に出てきた者が数名いたことから、機構本部からも判決内容を聞くために派遣されてきた職員がいたようです。

■筆者は、さっそく判決正本を受領するため、第一次訴訟を担当する民事第2部の窓口を訪れました。まだ、判決が言い渡されてから5分も経過しておらず、被告の高専機構側も判決文を取りに来ている風情もないので、2、3分、廊下に面した壁に並べてあるパイプ椅子で腰掛けて様子を見ていましたが、誰も来る気配はありませんでした。

 窓口に行き、「さきほど判決のあった第515号事件の判決正本を受け取りにきました」とビニールシート越しに告げると、中からファイルを手にした職員が出てきました。職員はファイルを開き、「原告(代表)の小川さんご本人ですね」と訊いてきました。「そうです」と答えると、受領票が差し出され、「ここに署名と押印をお願いします」と指示されたので、署名押印をし、全部で35頁の判決文を受け取りました。あわせて、使い残りの郵券も渡されました。

 続いて、エレベーターを挟んだ反対側の民事第51部に行き、同様に判決正本を受領しました。こちらは、僅か10頁です。

 とりあえず受け取ってから、パイプ椅子に腰かけてまず主文を読んだところ、「1:本件訴えを却下する。2:訴訟費用は原告の負担とする」という全面敗訴の文面が目に飛び込んできました。しかもよくある「棄却」でなく、「却下」となっていたので、さらに驚きました。そうなると、原告の申し立てた訴えの変更についてはどうなったのだろうと思い、4ページ目の「第3 当裁判所の判断」のところに目を通しました。

 すると、「裁判所の判断」として、「訴訟が終わりかけているときにこうした訴えの変更をするのは、裁判をいたずらに遅らせるので、行政事件訴訟法や民訴法に照らしても許されるものではない」、という趣旨のことが書かれています。そもそも訴えの変更をせざるを得ない状況を作ったのは被告高専機構のほうなのに、問答無用でその責任をすべて原告に押し付けてくることに唖然としました。我が国の裁判所とそのヒラメ裁判官(常に上目遣いでお上の意向を気にしている裁判官の例え)というのは、これほどまでに国の機関に対して忖度するものなのか、と改めて痛感しました。そして、暗たんたる気持ちで裁判所の玄関を出ました。

■ところで脇道話をすると、玄関を出たところで、右手の傍聴券交付受付のところに百人以上が待機している光景が目に入りました。当会出廷者も、佐野太事件の裁判の傍聴などに際して、公判傍聴抽選に何度か並んだことがあります。今日はいったいどんな事件の傍聴なのだろと興味を覚え、傍聴券交付受付のほうに歩いていきました。担当係の職員が「傍聴を希望されますか」と声をかけてきました。筆者は「どんな事件なのかちょっと確認させてください」と言い、掲示ボードを見ました。

 するとそこに、「東京地方裁判所民事第38部」として、「東京外環道大深度地下使用認可無効確認等 平成29年(行ウ)第572号」と記されていました。交付日時と場所が「令和2年11月24日午後1時40分 東京地方裁判所1番交付所」とありました。密集住宅街での地面陥没という驚愕の事態で全国ニュースを騒がせているトピックですから、注目の高さも合点がいきました。ちょうど筆者が通りがかった際は、締切時間ギリギリだったことから、係員も積極的に声掛けをしてきたようすでした。

 開廷時間は午後2時からとなっており、傍聴していると群馬に戻れるのが夕方になってしまうため、できれば傍聴にトライしてみたい気持ちもありましたが、後ろ髪をひかれる思いで「残念ですが時間がありません」と係員に告げ、裁判所を後にしました。閑話休題。

■それでは、実際に判決文を読んでみましょう。本ブログの文字数制限の問題から、双方の主張を要約してまとめた箇所や、添付の別紙・関係法令等は割愛します。判決全文の確認は掲載のファイルを各自ダウンロード・展開のうえお願いいたします。

●第一次訴訟(令和元年(行ウ)第515号)判決全文 ZIP ⇒ 202011241anisej515iij.zip
202011242anisej515iijlf.zip
●第二次訴訟(令和元年(行ウ)第549号)判決全文 ZIP ⇒ 20201124anisej549ipj.zip

■まずは、第一次訴訟の判決文です。

*****第一次訴訟(令和元年(行ウ)第515号)判決文*****
令和2年11月24日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和元年(行ウ)第515号 法人文書不開示処分取消請求事件
口頭弁論終結日 令和2年8月20日

              判       決

  前橋市文京町1丁目15-10
      原        告  市民オンブズマン群馬
      同 代 表 者 代 表    小  川    賢

  東京都八王子市東浅川町701番2
      被        告  独立行政法人国立高等専門学校機構
      同 代 表 者 理 事 長  谷  口     功
      同 訴訟代理人弁護士   木  村  美  隆
                  藍  澤  幸  弘
                  角  谷  千  佳

             主      文

1 被告が平成31年4月16日付けで原告に対してした法人文書開示決定のうち,別紙1記載1の部分について,項目名及び整理Noに係る情報を不開示とした部分を取り消す。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用は,これを50分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。


            事 実 及 び 理 由
第1 請求
   被告が平成31年4月16日付けで原告に対してした法人文書開示決定のうち,別紙1記載の各部分を不開示とした部分を取り消す。

第2 事案の概要
   本件は,原告が,被告に対し,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)に基づき,その保有する法人文書の開示を請求したところ,被告から,一部を開示し,その余を開示しない旨の決定(以下「本件決定」という。)を受けたことから,本件決定のうち,別紙1記載の各部分を不開示とした部分は違法であるとして,その取消しを求める事案である。

1 法の定め
  本件に関係する法の定めは,別紙2のとおりである。

2 前提事実(後掲の証拠等により認める。)
 (1) 当事者等
  ア 原告は,地方公共団体等の不正,不当な行為の監視と是正を目的とする権利能力なき社団である(弁論の全趣旨)。
  イ 被告は,独立行政法人国立高等専門学校機構法及び独立行政法人通則法の定めるところにより設立された同法2条1項所定の独立行政法人である(独立行政法人国立高等専門学校機構法2条)。群馬工業高等専門学校(以下「群馬高専」という。)及び長野工業高等専門学校(以下「長野高専」という。)は,被告が設置する国立高等専門学校である(同法12条1項1号,2項,別表)。

 (2) 本件決定に至る経緯
  ア 原告は,平成31年3月11日付けで,被告に対し,法4条1項に基づき,「(1)平成23年度以降の『国立高等専門学校候補者一覧』。(2)文部科学省から貴法人に出向し,群馬工業高等専門学校長に就いていた西尾典眞氏が,平成28年度末に当該職を辞し出向元に帰任した際,貴法人に提出した『辞職願』。(3)貴法人管轄の群馬工業高等専門学校の『校報』第129,130,131号の『人事関係』欄のうち,育児休業の項を除くすべて。(4)貴法人と本請求人との間で係争が行われた,平成28年(行ウ)第499号及びその控訴・附帯控訴事件において,貴法人が訴訟代理人弁護士に支払った報酬等一切に関しての『支払決議書』。(5)貴法人管轄の長野工業高等専門学校で2009年以降に発生した学生の自殺事件について,『事件・事故等発生状況報告書』,またはそれに類する文書。」の開示を請求した(甲1)。
  イ 被告は,上記アの請求に対し,平成31年4月16日付けで,同請求に係る文書のうち,別紙1記載の部分を含む部分を不開示とし,その余を開示する旨の決定(本件決定)をした(甲2)。

 (3) 本件訴えの提起
   原告は,令和元年10月7日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。

3 争点
  本件の争点は,本件決定の適法性の有無であり,具体的には,別紙1記載の各文書(以下,別紙1の記載番号ごとに「本件文書1」などという。)の不開示情報該当性が問題となる。

4 争点に関する当事者の主張
【当会注:本件経緯及び陳述書面・口頭弁論内における双方の主張の要約であるため、文字数の問題から割愛】

第3 当裁判所の判断
 1 本件文書1について
  (1) 本件各候補者一覧は,いずれも被告において各国立高等専門学校の校長を選考する際に用いている資料であり,学校長候補者の氏名,生年月日等候補者を特定する事項や,整理No,推薦機関,主な学歴,学位,専門分野,職歴及び現職(被告に所属する者の場合には現在の所属先)が,推薦機関ごとに一覧表にまとめて記載されているものと認められる(弁論の全趣旨)。
  (2)ア 本件各候補者一覧の項目については,被告が各推薦機関から提供された校長候補者の学歴,職歴等の全ての事項を記載したものではなく,提供された情報の中から校長の選考の考慮要素として主要と考えられる事項を整理して記載したものであり,本件各候補者一覧に記載された項目は,推薦機関ごとに若干の相違があるものと認められる(弁論の全趣旨)。そして,被告は,本件各候補者一覧に記載のある項目名の全てやその並び順を開示すれば,被告における校長選考において重視される事項やどの推薦機関の候補者をまとめた一覧表かを推測することが可能となり,これによって,被告内外からの校長の選考基準について容喙されるなど,被告における校長の選考に関する自由な議論が阻害され,推薦機関からの候補者の推薦に支障を来すおそれがある旨主張する。
     しかしながら,本件各候補者一覧の項目として記載されているものと考えられるのは,学校長候補者の氏名,生年月日,整理No,推薦機関,主な学歴,学位,専門分野,職歴,現職等であるところ,これらはいずれも学校長候補者の一覧表に通常記載され,校長の選考において考慮されるであろうと考えられる項目である。そして,本件各候補者一覧にどのような項目が記載されるかについては,推薦機関ごとに相違があるとはいっても,若干という程度にとどまるから,その項目名の全てやその並び順が開示されたとしても,被告における校長の選考において重視される事項やどの推薦機関の候補者をまとめた一覧表かを推測することが可能となるといえるか疑問がある。そうすると,これらの項目名が開示されたとしても,被告における校長の選考に関する自由な議論が阻害され,推薦機関からの候補者の推薦に支障を来すおそれがあるとはいえない。

   イ 次に,推薦機関が候補者を校長へ推薦するに当たっては,候補者の内諾を得ているものと考えられるが,候補者の生年月日,学歴,学位,専門分野,職歴,現職等の候補者を特定する手がかりとなる事項が開示されるとなると,自身が校長に登用されなかったことが明らかになることを嫌がり,推薦されることに難色を示し,推薦機関が当該候補者を校長に推薦しなくなることが考えられる。
     また,整理No,現職及び推薦機関又はその種別に係る情報のみが開示されたとしても,当該候補者を推薦した推薦機関や推薦機関別の候補者の多寡を判断することができ,現職に係る情報も併せ考慮し,実際に校長に就任した者の職歴を検討すると,校長に就任しなかった候補者の構成を推測することが可能となるものと認められる。そうすると,これらの情報が開示されると,推薦した者が校長に登用される可能性が低いことを危惧して,推薦機関が校長の候補者の推薦を躊躇するなどするおそれがある。これらの結果,推薦機関の推薦する校長候補者が減少するおそれがあることを否定することはできず,校長候補者が減少すると,多数の有為な人材から校長を選任するという被告の円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある。
     もっとも,整理Noに係る情報のみが開示された場合には,推薦機関別の候補者数は判明するものの,具体的な推薦機関までは判明しないから,当該情報と実際に校長に就任した者の職歴を比較しても,校長に就任しなかった候補者の構成を推測することが可能となるものとはいえず,推薦機関が校長の候補者の推薦を躊躇するなどし,被告の円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるとはいえない。本件各候補者一覧の項目名も併せて開示されたとしても,本件各候補者一覧に記載された項目は,推薦機関ごとに相違があるとはいっても,若干という程度にとどまり,候補者を推薦した具体的な推薦機関までは判明するとはいえないから,このことは異ならない。
   ウ 以上によれば,本件各候補者の一覧のうち項目名及び整理Noに係る情報を除く情報は,被告が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとして,法5条4号ヘの不開示情報に該当するが,項目名や整理Noに係る情報は,これらのみが明らかになったとしても,上記のおそれが生ずるとはいえないから,同号ヘの不開示情報に該当するとはいえない。
  (3) 原告は,本件各候補者一覧に記載のある者のうち,選考に合格し国立高等専門学校長に就任した者の生年月日,学位,学歴,専門分野,職歴等は,全て公開情報となっていることから,法5条1号ただし書イに該当する旨主張する。しかしながら,仮に,本件文書1に記録された情報が同号ただし書イに該当したとしても,同号の不開示情報に該当しないことになるだけであり,同条の他の規定による不開示情報に該当すれば,本件文書1は開示されないことになるところ,前記(2)ウのとおり,本件各候補者一覧の項目名及び整理Noに係る情報を除く本件文書1に記録された情報は,少なくとも同条4号ヘの不開示情報に該当するから,原告の主張は失当である。
  (4) 以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,本件決定のうち,本件各候補者一覧の項目名及び整理Noに係る情報を不開示とした部分は違法であるが,本件文書1のその余の部分を不開示として部分は適法である。

 2 本件文書2について
  (1) 本件文書2は,西尾の辞職願のうち群馬高専を辞職する理由を記録した部分であって,その記録部分の長さから20字強の記載があり,相応の記載内容があることがうかがわれ(甲4),その記載内容から群馬高専内の者や群馬高専の関係者が辞職する個人を識別することが可能であるものと考えられることから,本件文書2に記録された情報は法5条1号本文の個人識別情報に該当するというべきである。
  (2) 原告は,本件文書2に記録された情報は,法5条1号ただし書ハに該当する旨主張する。
    しかしながら,法5条1号ただし書ハの「職務の遂行に係る情報」とは,当該個人が,独立行政法人等の役員及び職員等としてその担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味するところ,辞職は,職を辞する行為にすぎず,職務の遂行には当たらない。このことは,当該辞職が群馬高専から出向元である文部科学省へ復帰するためのものであったとしても,異なるところはない。したがって,本件文書2に記録された情報は,同号ただし書ハには該当しない。
  (3) したがって,本件文書2に記録された情報は,法5条1号本文の不開示情報に該当するから,本件決定のうち,本件文書2を不開示とした部分は適法である。

 3 本件文書3について
  (1) 本件文書3の(1)について
   ア 本件文書3の(1)の不開示部分に係る被告の職員は,いずれも補助職員であるところ,群馬高専の補助職員には,各学科,総務課,庶務課等の部署に所属する者がいるが,いずれも1名又は若干名であることが認められる(弁論の全趣旨)。そうすると,本件文書3の(1)に記録された情報のうち,「氏名」が明らかになった場合はもちろん,その余の情報が明らかになった場合にも,群馬高専内の者や群馬高専と関係のある者において,当該情報に係る個人を容易に特定することが可能となる。したがって,本件文書3の(1)に記録された情報は,法5条1号本文の個人識別情報に該当する。

   イ(ア) 原告は,群馬高専の職員の採用,異動,退職等は,群馬高専内部の者にとっては既知の事実であり,本件文書3の(1)に記録された情報を開示したとしても,新たに個人が特定されるとはいえないから,同情報は法5条1号本文の個人識別情報には該当しない旨主張する。
       しかしながら,法5条1号本文の個人識別情報に該当するか否かは,当該情報により,又は当該情報と他の情報とを照合することにより,特定の個人を識別することができるか否かにより決せられるのであり,当該情報が内部の者にとって既知であるか否かにより決まるものではなく,原告の主張は失当である。また,原告の主張を本件文書3の(1)に記録された情報が同号ただし書イに該当する旨の主張と善解したとしても,少なくとも,後記(イ)のとおり,群馬高専外部の者には同情報が公表されていないのであるから,同情報は同号ただし書イには該当しない。
       また,原告は,「職名」は法5条1号本文の個人識別情報に該当しない旨主張するが,群馬高専において一時期に異動等する者の人数は限られることからすれば,「職名」に異動等の時期を併せることで,群馬高専内の者や群馬高専と関係のある者において当該情報に係る個人を特定することが可能になると考えられるから,「職名」は同号本文の個人識別情報に該当するというべきである。

    (イ)a 原告は,群馬高専の技術補佐員については,群馬高専のホームページ上で公開されている「教育研究支援センターメンバー構成」や「年報」において各年の技術補佐員の氏名が部署及び役職ごとに公表されており,また,採用や退職の挨拶という形でも氏名が公表されているから,各人の在籍状況及び職位に加え,採用,退職,異動,昇任状況等は容易に把握可能であるから,技術補佐員の氏名は,既に慣行として公にされている情報であり,法5条1号ただし書イに該当する旨主張する。
       そこで検討すると,証拠(甲10,11)及び弁論の全趣旨によれば,技術補佐員は補助職員に含まれるところ,技術補佐員の氏名が掲載された群馬高専教育研究支援センターの構成員の表である「教育研究支援センターメンバー構成」や,技術補佐員の退職挨拶が掲載された群馬高専教育研究支援センターの平成29年及び平成30年の「年報」がホームページ上で公開されていることが認められる。しかしながら,被告は,技術補佐員の退職挨拶が掲載されているのは,当該技術補佐員の勤務期間や担当職務等の個別事情を考慮したものであり,技術補佐員が退職する際に「年報」に挨拶を掲載するといった慣行はなく,「年報」以外でも移動や退職を群馬高専の外部に公開していない旨主張しているところ,少なくとも平成28年以降においては,被告の主張するような取扱いがされているものと認められ(甲30,弁論の全趣旨),本件文書3の(1)で不開示となっている技術補佐員の採用,異動及び退職に係る情報が群馬高専の外部に公開されている事実を認めることはできない。

      b さらに,原告は,ホームページや「年報」における職員氏名一覧の掲載状況を追跡することで,異動や退職といった人事状況を事実上公表されている情報として把握することができるから,技術補佐員の異動や退職について公表する慣行が存在している旨主張する。
       しかしながら,原告の主張する方法によっても,職員が当該部署に在籍するようになったり,在籍しなくなったりしたことが確認できるのみであり,異動,退職等の具体的な内容が明らかになるわけではないから,群馬高専において異動,退職等の人事情報を公表する慣行が存在しているとはいえない。

      c したがって,本件文書3の(1)に記録された情報は,法5条1号ただし書イに該当するとは認められない。

    (ウ) 原告は,「配置換」,「配置換(学内)」及び「兼務」に係る情報については,法5条1号ただし書ハに該当する旨主張する。
       しかしながら,法5条1号ただし書ハの「職務の遂行に係る情報」とは,当該個人が,独立行政法人等の役員及び職員等としてその担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味するところ,人事異動そのものは担任する職務の遂行に当たらないから,「配置換」,「配置換(学内)」及び「兼務」に係る情報については,法5条1号ただし書ハに該当しない。

   ウ 以上によれば,本件文書3の(1)に記録された情報は,法5条1号本文の不開示情報に該当するから,本件決定のうち,本件文書3の(1)を不開示とした部分は違法である。

  (2) 本件文書3の(2)について
   ア 本件文書3の(2)に記録された情報は,群馬高専の常勤教職員の退職理由に関する情報であるところ,時期を同じくして退職する群馬高専の常勤教職員は限られているから,退職理由が開示された場合,退職時期等に係る情報と相まって,群馬高専内の者や群馬高専の関係者が当該情報に係る個人を特定することが容易となる。したがって,本件文書3の(2)に記録された情報は,法5条1号本文の個人識別情報に該当する。

   イ 原告は,群馬高専とは別の被告が設置及び運営する複数の学校について,本件文書3の(2)に記録された情報と同様の情報が慣行として公にされていることから,本件文書3の(2)に記録された情報は,法5条1号ただし書イに該当する旨主張する。
     確かに,証拠(甲14~16)及び弁論の全趣旨によれば,原告が群馬高専と別の被告が設置及び運営する複数の学校について,「校報」の開示請求をしたところ,本件文書3の(2)に記録された情報と同種の情報が開示されたことが認められる。しかしながら,上記本件文書3の(2)に記録された情報と同種の情報が開示された学校については,人事事項を含めて「校報」がホームページで公開されているが,群馬高専については,そのような情報がホームページで公開されていないものと認められる(甲30,弁論の全趣旨)。そして,他に証拠等を検討しても,群馬高専の常勤教職員の退職理由が慣行として公にされていることを認めることはできない。したがって,本件文書3の(2)に記録された情報は,法5条1号ただし書イに該当するとはいえない。

   ウ 以上によれば,本件文書3の(2)に記録された情報は,法5条1号本文の不開示情報に該当するから,本件決定のうち,同情報に係る部分は適法である。

4 本件文書4について
  (1) 証拠(甲6)及び弁論の全趣旨によれば,本件文書4のうち,①平成28年度支払決議書に係る部分は,被告の訴訟代理人である木村美隆弁護士(以下「木村弁護士」という。)に対する訴訟関係の着手金の支払額及び当該着手金に係る源泉徴収税の八王子税務署への支払額の合計額を記載した「合計金額」欄並びに当該着手金の支払及び当該八王子税務署への支払に係る各「支払金額」欄,「うち消費税額」欄及び「配分金額」欄から成ること,②平成29年度支払決議書に係る部分は,木村弁護士に対する訴訟関係の着手金は申立実費の支払額及び当該着手金に係る源泉徴収税の八王子税務署への支払額の合計額を記載した「合計金額」欄並びに当該着手金や申立実費の支払及び八王子税務署への支払に係る各「支払金額」欄,「うち消費税額」欄及び「配分金額」欄から成ること,③平成30年度支払決議書に係る部分は,木村弁護士に対する訴訟関係の報酬金の支払額及び当該報酬金に係る源泉徴収税の八王子税務署への支払額の合計額を記載した「合計金額」欄並びに当該報酬金の支払及び八王子税務署への支払に係る各「支払金額」欄,「うち消費税額」欄及び「配分金額」欄から成ることが認められる。

  (2) 弁護士費用に係る情報は,事業を営む個人である木村弁護士の弁護士事業に関する情報に該当する。
    また,本件文書4のうち,弁護士費用に係る「支払金額」欄,「うち消費税額」欄及び「配分金額」欄が開示されると,弁護士費用の額が明らかとなる。
    そして,弁護士は,報酬の算定方法や金額等を依頼者との合意によって自由に定めることができるところ,弁護士費用の額が明らかになると,これを認識した競合する弁護士や弁護士法人が,上記の額を踏まえて,より有利な弁護士費用の額を提示して競争上優位な立場に立つ可能性があり,木村弁護士の競争上の地位に影響を与えるおそれがある。したがって,平成28年度から平成30年度までの各支払決議書の弁護士費用に係る「支払金額」欄,「うち消費税額」及び「配分金額」欄に記載された情報は,法5条2号イの不開示情報に該当する。
    加えて,本件文書4のうち,平成28年度から平成30年度までの各支払決議書の各「合計金額」欄は,弁護士費用の支払額及びその源泉徴収税の支払である八王子税務署への支払額の合計額が記載されている。そうすると,その金額が明らかになると,弁護士費用の額を計算することが可能となるから,上記と同様の理由により,木村弁護士の競争上の地位に影響を与えるおそれがある。したがって,上記各「合計金額」欄に記載された情報は,法5条2号イの不開示情報に該当する。

  (3) 以上によれば,本件文書4に係る情報は,法5条2号イの不開示情報に該当するから,本件決定のうち,本件文書4に係る部分は適法である。

 5 本件文書5について
  (1) 本件文書5に係る情報は,本件報告書の年月日や時刻に係る情報であるところ,証拠(甲7)によれば,これらの情報は,学生が死亡したという事件・事故に対する対応経過と併せて記録されており,その対応経過は一定程度開示されていることが認められる。そうすると,年月日等に係る情報が開示されると,本件報告書に記載されている事件・事故をより具体的に特定できるようになり,その結果,長野高専内の者や長野高専の関係者において,死亡した学生を特定することが容易となる。したがって,本件文書5に係る情報は,法5条1号本文の個人識別情報に該当する。

  (2) これに対し,原告は,開示された文書に記載のある学生課長の在籍時期や,事件・事故を受けた全校集会の開催並びにカウンセラー等による講習会及び後援会の開催の事実から,本件報告書に記載された年や月は容易に推定可能であると主張するところ,これは,本件報告書の年月に係る情報について,法5条1号本文の個人識別情報に該当しない旨主張するものとも解される。
     しかしながら,原告の挙げる情報からは,本件報告書に記載されている事件・事故の発生した時期等を絞り込めるにとどまるのに対し,本件報告書に記載のある年月が開示されると,当該事件・事故の発生した時期を具体的に特定することができ,それにより当該事件・事故により死亡した学生を特定することが格段に容易となるから,原告の主張をもって,本件報告書の年月に係る情報が法5条1号本文の個人識別情報に該当することを否定することはできない。
     また,原告の上記主張を,本件報告書の年月に係る情報が法5条1号ただし書イに該当する旨の主張と解したとしても,学生課長の在籍時期は一定の機関にわたり,これのみで本件報告書の年月に係る情報を具体的に絞り込めるものではないと考えられる上,事件・事故を受けた全校集会の開催並びにカウンセラー等による講習会及び講演会の開催が公表されていることを認めるに足りる証拠はない。したがって,原告の上記主張をもって,本件報告書の年月に係る情報が法5条1号ただし書イに該当するとはいえない。

  (3) 原告は,開示請求の対象文書の作成時期を個別に区切ることにより,開示される文書に違いが生じることを指摘して,本件報告書の年月日等に係る情報は公衆が知り得る状態に置かれているものとして,法5条1号ただし書イに該当する旨主張する。
    しかしながら,原告の指摘する開示請求の方法によって本件報告書の年月日等に係る情報を推知することができる場合があるとしても,それは,開示請求の対照(ママ)文書の作成時期の区切り方という偶然に左右されるものといわざるを得ない。したがって,原告の指摘する開示請求の方法によって,本件報告書の年月日等に係る情報を推知することができる場合があることをもって,当該情報が法5条1号ただし書イに該当するとはいえない。

  (4) 以上によれば,本件文書5に記録された情報は,法5条1号本文の不開示情報に該当するから,その余の点について判断するまでもなく,本件決定のうち,本件文書5に係る部分は適法である。

 6 結論
   以上の次第で,原告の請求は,本件決定のうち,本件文書1のうち項目名及び整理Noに係る情報を不開示とした部分の取消しを求める部分については理由があるから,これを認容することとし,原告のその余の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する(なお,原告は,本件文書1及び3の(1)に係る請求については,請求の認容度合いにかかわらず,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法64条に基づき,訴訟費用は全て被告の負担とすべきである旨主張するが,本件の経緯,主張内容等に鑑みると,上記各条を適用すべきであるとは認められない。)。

   東京地方裁判所民事第2部
        裁判長裁判官  森 英明
           裁判官  小川 弘持
           裁判官  三貫納 有子
**********

■続いて、第二次訴訟の判決文です。

*****第二次訴訟(令和元年(行ウ)第549号)判決文*****
令和2年11月24日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和元年(行ウ)第549号 法人文書不開示処分取消請求事件
口頭弁論終結日 令和2年10月16日

              判       決

  前橋市文京町1丁目15-10
      原        告  市民オンブズマン群馬
      同 代 表 者 代 表    小  川    賢

  東京都八王子市東浅川町701番2
      被        告  独立行政法人
国立高等専門学校機構
      同 代 表 者 理 事 長  谷  口      功
      同 訴訟代理人弁護士   木  村  美  隆
      同           藍  澤  幸  弘
      同           角  谷  千  佳

             主      文

 1 本件訴えを却下する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。


             事 実 及 び 理 由
第1 請求
  被告が原告に対し令和元年9月17日付けでした法人文書一部開示決定のうち,次の各部分を不開示とした部分を取り消す。
 (1) 被告理事長が平成30年10月10日付けで群馬工業高等専門学校長及び沼津工業高等専門学校長に宛てて発出した「平成31年度高専・両技科大間教員交流制度派遣推薦者の派遣決定について(通知)」(30高機人第72号)のうち,「交流期間」欄の記載部分
 (2) 被告理事長が平成30年10月10日付けで各国立高等専門学校長,長岡技術科学大学長及び豊橋技術科学大学長に宛てて発出した「平成31年度高専・両技科大間教員交流制度派遣者の決定について(通知)」(30高機人第72号)のうち,別添「平成31年度高専・技科大間教員交流制度」の「派遣期間」欄のうち雑賀洋平に係る部分

第2 事案の概要
 1 本件は,原告が,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「」という。)4条に基づき被告の保有する法人文書の開示を請求したところ,被告(処分行政庁)から,その一部について不開示とする決定(以下「本件一部不開示決定」という。)を受けたことから,その不開示とされた部分の一部を不服として,被告を相手に,本件一部不開示決定のうち上記不服に係る部分の取消しを求める事案である(なお,原告は,後記3(6)のとおり,訴えの交換的変更を申し立てているが,当裁判所は,後記第3の1のとおり,これを許さないこととするものである。)。

 2 関係法令の定め
   本件に関連する法令の定めは,別紙1記載のとおりである。

 3 前提事実
【当会注:本件経緯及び陳述書面・口頭弁論内における双方の主張の要約であるため、文字数の問題から割愛】

 4 争点及び当事者の主張
   本件の争点は,①本件訴えの適法性及び②本件一部不開示決定のうち本件各不開示部分に係る部分の適法性であり,争点に関する当事者の主張の要旨は,別紙2記載のとおりである。

第3 当裁判所の判断
 1 本件訴えの変更申立てについて
   前記前提事実のとおり,原告は,令和2年10月9日に至り,本件訴えの変更申立てをしたものである。しかし,後記2において説示するところによれば,本件訴えの変更申立ての時点において,訴えの変更前の本訴請求に係る訴えが不適法であり却下されるべきものであることは明らかであって,令和2年10月16日の本件口頭弁論期日の時点において,本件訴訟の全部が裁判をするのに熟していたものである。他方,同申立てに係る訴えの変更を許した場合には,本件新請求1に係る訴えの適法性のほか,本件新請求2について,原告が同請求の請求原因事実として主張する事実の有無及びこれが国家賠償法上または不法行為法上違法と評価されるか否か並びに損害の有無等について改めて審理することを要し,そのためになお相当の期間を要することとなることは明らかである。そうすると,本件訴えの変更申立ては,これを許した場合には,これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるものと認められる。
   よって,本件訴えの変更申立てについては,行政事件訴訟法7条,民訴法143条1項ただし書,同条4項により,これを許さないこととする。

 2 争点①(本件訴えの適法性)について
   原告は,本件訴訟において,本件一部不開示決定のうち本件各不開示部分に係る部分の取消しを求めているところ,前期前提事実によれば,被告は,令和2年10月2日付けで,原告に対し,本件一部不開示決定のうち本件各不開示部分に係る部分を取り消し,本件各法人文書のうち本件各不開示部分を開示する旨の決定をしたことが認められる(本件再決定)。
   そうすると,原告は,現時点においては,もはや本件一部不開示決定のうち本件各不開示部分に係る部分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有しないものというほかなく,その取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。

 3 結論
   よって,本件訴えは不適法であるからこれを却下することとして,主文のとおり判決する。

   東京地方裁判所民事第51部
        裁判長裁判官  清水知恵子
           裁判官  川山泰弘
           裁判官  釜村健太
**********

■以上のように、第一次訴訟・第二次訴訟の判決は両方とも、被告高専機構側の杜撰な言い分や姑息な法廷戦術をそのままガバガバで素通し状態の代物です。

 見てお分かりのとおり、「両方の主張を見て、ひとつひとつの論点について公平に判断をしていく」というあり方からは程遠く、「被告勝訴をスタートラインに、原告の主張をいかに工夫して潰していくか」という思考方式で作られています。これが、当会が活動開始以来幾度となく直面してきた、限りなく行政寄りに立つ我が国司法の現実です。

 第一次訴訟については、開示を求めた五大文書のうち、「①高専校長選考の候補者名簿」のごくごく一部(項目名と整理No)のみ開示が許され、①のその他の箇所(特に推薦機関)と、「②西尾典眞・群馬高専前校長の辞職理由」「③群馬高専『校報』人事情報」「④高専機構が御用達の弁護士に支払っている費用」「⑤長野高専学生自殺事件報告書の記載年月日」は全てことごとく開示を阻まれてしまいました。

 特に⑤については、長野高専連続自殺事件という悲劇の経緯解明と真相究明をしてほしいと切に願う当時の学友らの方々の想いに応えることができず、忸怩たる思いです。

■ただ、判決全文に目を通した時点での率直な感想は、第一次訴訟について森裁判長が下した判決よりも、第二次訴訟について清水裁判長が下した判決の方が、より悪質極まりないものであるというものです。

 第一次訴訟についての判決文は、「しかしながら」を10回も連発したうえ、「原告の主張を~という旨に(善)解したとしても」という形の上での断りが何か所か差し挟まれています。すなわち、「最終的に原告敗訴」の結論ありきで判決が作られたにせよ、原告の主張についても一応はちゃんと検討しましたよ、というポーズは辛うじて見せています。

 ところが第二次訴訟の判決は、被告の仕掛けた「訴訟オジャン作戦」を丸々素通しするものであり、まさに問答無用です。被告高専機構の不意打ちに応じて、原告当会はやむを得ず訴え変更という措置を取らざるを得なくなったにも関わらず、なぜ被告高専機構の行動と主張は一切不問にされ、原告の対応だけが「訴訟進行を著しく遅滞させるもの」などと一方的に扱われて却下されなければならないのでしょう。

 そうして全面敗訴に追い込まれたばかりか、挙句の果てには、なぜか訴訟費用までが全額、原告当会の負担にされています。偏った判断というレベルですらなく、原告当会をとにかく意図的に貶めようとするもので、率直に意味不明と評するしかありません。

 勝ち確定だったはずの訴訟ですら、あれよあれよという間に全面敗訴に持っていく清水裁判長の腕前は、まさに「法廷マジック」と評すべきものです。しかし、法律があってないような未開の独裁国家紛いのこんな手法が、現代日本で通用していいわけがありません。だいいち、こんな手法を横行させてしまえば、情報公開法に関する行政訴訟で市民側が勝つことが原理的に不可能になり、行政の不開示体質には歯止めが効かなくなってしまいます。

■当会では、今回の2つの不当判決の内容を精査し、その両方あるいはどちらか一方について、控訴するかどうかを早急に決定していく所存です。控訴する場合、判決言渡の翌日から2週間以内、すなわち12月8日(火)までに東京地裁に控訴状を提出することになります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【群馬高専】アカハラ犯雑賀の担任就任強行や杜撰コロナ対応への薄ペラ回答にみる相変わらずの腐敗体質

2020-10-01 23:24:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専電子情報工学科の罪なき学生や部下教員に凄惨なアカハラをはたらきながら、時の校長らによる必死の隠蔽と保護のもと、今日に至るまで事件の清算も解決もなされないままの雑賀洋平教授。そうした状況の中、雑賀氏が新型コロナ騒ぎのドサクサ紛れになんと同学科3年クラスの担任に就任し、しかもそれが同学科長の大墳氏の「推薦」によるものであったことが発覚しました。

 こうした事態に鑑み、当会では9月7日、同校に対して質問書を提出していました。質問書では、同校の杜撰な新型コロナ対応などについてもあわせて見解を問うことにしました。

○2020年9月16日:アカハラ犯雑賀を学科長が担任に“推薦”!?奇々怪々な群馬高専に質問状提出!そして今暴かれる不都合な真実!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3204.html
○2020年4月13日:群馬高専の杜撰なコロナ対応にみる腐敗体質のツケ…「学生ファースト」になれぬなら教育機関を名乗るな!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3150.html

■質問書では9月14日を回答期限としていましたが、機構本部との調整を理由に期限までの回答は不能とされ、回答期限は再設定もされないまま宙に浮いてしまっていました。

 結局、提出から3週間後となる9月28日、群馬高専の村田課長補佐から電子メールで回答が寄せられました。

■群馬高専から寄せられた回答送付メールと添付の回答本文、および添付の「群馬工業高等専門学校リスク管理規則」については次のとおりです。

*****9/28回答送付メール*****
From: 群馬高専 総務課課長補佐(総務)
Date: 2020年9月28日(月) 16:19
Subject: 質問事項(令和2年9月7日)へのご回答について
To: 小川賢
Cc: 尾内総務課長


市民オンブズマン群馬
代表 小川 様

いつもお世話になっております。
群馬高専総務課 村田 です。

本件について、添付ファイルのとおり回答いたします。
よろしくお願いいたします。

【署名略】
**********

*****質問事項(令和2年9月7日)へのご回答*****ZIP ⇒ r020907.zip

          質問事項(令和2年9月7日)へのご回答

トピック1:雑賀洋平教授とその3J担任就任について
 学級担任は、例年9月頃に教務係から学科長に対してクラス担任の推薦を依頼し、学科長からの推薦をもって決定します。開示文書であるJ科長からの回答は、令和元年10月7日に提出されました。
 また、本校では、「人類の繁栄に貢献できる人材を育成する」という教育理念の実現に向け、全教職員が一丸となり、適切な指導環境の下、よりよい学習環境を提供できるよう常に努力しています。何らかの問題が発生した場合でも、速やかに適切な措置を講じるとともに、再発防止にも取り組んでおります。
 ④は、ご指摘の通りです。差し替え対応させていただきました。失礼いたしました。

トピック2:群馬高専の新型コロナ対応について
 入学式については、全校専(ママ)一律の対応ではなく、地域の状況に応じて判断し、各校において対応しており、本校としては、可能な限り入学式を実施し、祝福の内に学生や保護者をお迎えしたいと考え、直前まで実施の準備を行ってまいりました。
 しかしながら、参加者や地域住民の方などの不安の声も小さくないことから、全員の方に不安なく祝福していただける環境にないのであれば、実施するべきではないという結論に至りました。
 直前の変更となったことで関係者にご迷惑をおかけしたことは、まことに申し訳なく思っています。
 なお、新型コロナ対応については、リスク管理室を中心に、全職員一丸となって行っています。
 また、リスク管理規則を添付いたしますのでご参照ください。

トピック3:山崎校長について
 ご質問の件については、存じ上げません。
 なお、②については、係争中のため、回答は差し控えさせていただきます。
**********

●群馬工業高等専門学校リスク管理規則 ZIP ⇒ 0427_xnk281102.zip

■当会からは計20項目にかけて仔細に項目立てた質問をしたはずですが、このように、相変わらずノラリクラリとほとんど何も質問に答えていない「回答」です。PDF1枚のペラペラ回答に3週間もかけないでほしいものです。

 当会からは、いまだに事件の解決もついていないアカハラ犯の雑賀洋平を、学生と密に関わることになる学級担任に就けることに正義はあるのか、何項目にもわたり、正面から問いかけました。ところが、それに応じて返ってきたのは、無意味極まりない一節のポエムでした。

**********
また、本校では、「人類の繁栄に貢献できる人材を育成する」という教育理念の実現に向け、全教職員が一丸となり、適切な指導環境の下、よりよい学習環境を提供できるよう常に努力しています。何らかの問題が発生した場合でも、速やかに適切な措置を講じるとともに、再発防止にも取り組んでおります。
**********

 「よりよい学習環境を提供する」と題してアカハラ犯を担任に付け出すのですから、群馬高専にとって、学生を不登校に追い込んでは進学を台無しにし、教員を精神科送りと退職に追い込むことが、理想とする学習環境なのでしょう。それに、学生相談室に始まり後援会に至るまで、すべてのセーフティネットを沈黙・崩壊させた群馬高専が、「速やかに適切な措置を講じるとともに、再発防止にも取り組んでおります」というのも、これまた眩暈のするようなタチの悪い冗談です。

 群馬高専は、J科大規模アカハラ事件に対して適切な措置を講じることも、再発防止に取り組むこともできず、いまだに正面からの総括もできていません。実際に発生した事案に対してすらその態度なのに、仮にこれから新たにアカハラ事案が発生したところで、マトモに取り組み解決することなどできるのでしょうか。

 雑賀洋平と群馬高専・高専機構は、互いに核心的な弱みを握り合いながら、一心にアカハラ事件を隠蔽してきたわけですから、もはや運命は複雑に絡まって一蓮托生の状態です。群馬高専・高専機構・群馬高専後援会は、雑賀洋平のアカハラ隠蔽にかつて手段を選ばず協力したという既成事実をすでに作ってしまいました。

 こうなると、今後新たに事件が発生しても、自力で雑賀洋平にお灸を据えることは、現実的にいっても厳しいものでしょう。なぜならば、アカハラ犯を野放しにして新たに被害を生み出した過去の自分たちの責任も問わなければならなくなるからです。新たに被害者が出ても、関係各所のマトモな対応は期待できず、被害者の泣き寝入りが避けられない可能性は極めて高いものといえます。

 今回の「回答」で新たに判明した事項のひとつは、大墳学科長による雑賀洋平新担任の「推薦」が、令和元年10月7日に行われたことです。そうなるとやはり、当会調査員が沼津高専や群馬高専に潜入調査し、雑賀洋平と山崎校長の狙いをアレコレ推測していた去年11月の時点で、とっくに雑賀洋平の担任就任が決定していたことになります。すると、J科の教員たちは、当時の2年生が次年度からサプライズで雑賀に担任されることになったことをとっくに知りながら、どのような気持ちで本人たちを相手に後期の授業をしていたのでしょう。

■雑賀洋平については、このようにアンタッチャブル状態なので、もはやマトモな回答は期待していませんでしたが、群馬高専の闇体質に底が無いのをあらためて実感したのは、新型コロナ対応に関する回答です。

 入学式・始業の前日転換事件については、「祝福の内に学生や保護者をお迎えしたい」という耳ざわりのいい理由をもって、直前まで方針を変えなかった説明にしています。

 しかし、入学式前日になっていきなり、「参加者や地域住民の方などの不安の声も小さくないことから、全員の方に不安なく祝福していただける環境にない」状況になったわけではありません。なぜ、その状況を前日まで自覚できなかったかという話なのですから、まったく前日の急転換に関する説明になっていません。

 しかも、当会の質問は、入学式だけではなく、在学生に対する始業強行方針も対象としていたにも関わらず、祝福うんぬんの口上をどうしても使いたいがためか、華麗にスルーされています。始業を強行しようとした理由も、それを前日中止にした理由も、何一つ説明されてはいません。

■群馬高専は、本科と専攻科で1千名近い学生を擁し、その保護者まで合わせれば関係者は数千名にのぼる、巨大な機関です。その巨体で朝令暮改をすれば、とんでもない数の関係者が迷惑を被ることは明らかであり、その損害は「関係者にご迷惑をおかけしたことは、まことに申し訳なく思っています」などという薄っぺらい一言で済ませられるものでは到底ないはずです。本来であれば、校長が自ら関係者の前に出てきて経緯を説明し、陳謝しなければならないほどの失態のはずです。

 群馬高専から添付で送られてきた「群馬工業高等専門学校リスク管理規則」によると、今般のコロナ対応でも稼働しているリスク管理室の構成は、(1)校長、(2)副校長及び校長補佐、(3)事務部長、(4)総務課長及び学生課長、(5)その他校長指名者となっているようです。ここで、副校長=教務・学生主事、校長補佐=寮務主事・専攻科長なので、校長が特に追加メンバーを指定しなければ、計たった8名の密室会議で群馬高専のコロナ対応を左右していることになります。言い換えれば、8名が一方通行で数千名を好き勝手に振り回しているも同然です。

 このように、限られた極一部の幹部による好き勝手な密室政治をしていると、どんどん感覚が麻痺していき、現実の人間の運命を数千人分も握っているという自覚も失われ、テレビゲーム感覚でピコピコと無責任で杜撰な思い付きを連発していくというわけです。

■教育機関を名乗る条件は、第一に教え子の人生を預かる場であり、その自覚があることです。教育者を名乗る条件は、第一に教え子の人生を預かる身であり、その自覚があることです。

 しかし残念ながら、群馬高専は、人の人生を預かっている自覚があるとは到底言い難い状況にあります。一定期間通ったのと引き換えに就職や進学を得る装置としての役目しか果たせないのなら、「学校」を名乗るべきではありません。

 当会では、引き続き同校に対するアクションを行い、J科アカハラに端を発する各種問題の解決を図ってまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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アカハラ犯雑賀を学科長が担任に“推薦“!?奇々怪々な群馬高専に質問状提出!そして今暴かれる不都合な真実!

2020-09-16 23:38:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専電子情報工学科で甚大な被害を出した雑賀洋平教授によるアカデミックハラスメント事件。多数の学生や教員が不登校化や精神科通いを余儀なくされ、進学を断念した学生や転職を余儀なくされた教員も続出しました。アカハラ犯の雑賀氏は、時の校長の隠蔽と揉み消しの甲斐あって、事件後も一切ろくな調査はなされず、処分も受けることなく、反省の態度も皆無のまま、群馬高専に居座っていました。


9月6日の週から夏季休暇の群馬高専。9月4日午後1時撮影。

 J科アカハラ事件がまったく未解決のまま膠着状態が続いていたところ、2019年度に突如、雑賀氏はかつての同僚である沼津高専藤本校長(当時)のツテで同校に身を寄せ、研究室はカラッポのまま授業も研究も受け持たず、高給だけもらって高専内ニートと化していました。

 この沼津逃亡劇は、期限付きの「人事交流」によるものであったため、いずれ群馬高専に帰還してくることは織り込み済みでした。すると今年3月、予想通り、年度明けから雑賀洋平氏が群馬高専電子情報工学科教授に何事もなかったかのように復帰する予定であることが判明しました。

■ところが同時に、なんと復帰にあわせて同学科3年クラスの正担任を受け持つ予定であることが判明したのです。甚大な被害を出したアカハラ事件の清算も一切済まないまま、危険人物を学生たちと密に関わりその人生を左右する担任という職に就けるとは、何を考えているのでしょう。この事態に、当会では緊急で抗議を行いましたが、力及ばず、コロナ禍による混乱のドサクサ紛れに学級担任就任を強行されてしまいました。

○2020年4月2日:【速報】群馬高専アカハラ犯の雑賀洋平がJ科3年クラス正担任着任確定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3142.html

 当会では、この雑賀洋平の担任就任強行に抗議するため、まずは水面下で一体何が起こっていたのかを確かめることにしました。

 そこで2020年7月17日、群馬高専に以下の内容の情報開示請求書を提出しました。

**********
          法人文書開示請求書

                          令和2年7月17日

  独立行政法人国立高等専門学校機構
  群馬工業高等専門学校 御中

      氏名又は名称:(法人その他の団体にあってはその名称及び代表者の氏名)
       市民オンブズマン群馬   代表 小川 賢
      住所又は居所:(法人その他の団体にあっては主たる事務所等の所在地)
       〒379-0114 群馬県安中市野殿980
                      TEL 090(5302)8312
      連  絡  先:(連絡先が上記の本人以外の場合は,連絡担当者の住所・氏名・電話番号)
       〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10    
                  市民オンブズマン群馬事務局長  鈴木 庸
                  TEL:027-224-8567


 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第4条第1項の規定に基づき,下記のとおり法人文書の開示を請求します。

                 記

1 請求する法人文書の名称等

(1)群馬高専電子情報工学科所属の雑賀洋平氏を2020年度より電子情報工学科3年クラスの正担任としていることについて、かかる人事の経緯および理由を示す文書の一切(学内会議の議事録等、電子メールも含む)

【後略】
**********

■すると、ちょうど一か月後の8月17日、以下の内容の開示決定通知が届きました。

**********
                          群高専総第21号
                          令和2年8月5日

               法人文書開示決定通知書

市民オンブズマン群馬
 代表 小川 賢 様

                        独立行政法人国立高等専門学校機構

 令和2年7月17日付けで請求のありました法人文書の開示について、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項及び第2項の規定に基づき、下記のとおり開示することとしましたので通知します。

                  記

1 開示等する法人文書名称
 (1)群馬高専電子情報工学科所属の雑賀洋平氏を2020年度より電子情報工学科クラスの正担任としていることについて、かかる人事の経緯及び理由を示す文書の一切(学内会議の議事録等、電子メールも含む)

 1-1 学級担任推薦書(依頼)
 1-2 学級担任推薦書(回答)

【中略】

2 不開示とした部分とその理由
 1-2 学級担任推薦書(依頼)
  不開示部分:氏名
  理   由:法5条第一号に該当すると認められ、また、法第5条第一号に該当するとは言えず、不開示とすることが相当。

【後略】
**********

■当会の開示請求では、学内会議の議事録や内部の電子メールのやり取りなど、学内での議論や検討の過程を示す文書も開示対象とするように指定しておいたのですが、そうした情報は一切なく、文書がたった2件だけです。

 その2件というのは、「学級担任推薦書」なる文書の「依頼」と「回答」のようです。どうやら、群馬高専では学級担任が「推薦」により決められているようです。(なお、他高専関係者の言によれば、担任の「推薦」というのは群馬高専としての仕組みらしく、そうした制度によらず担任を決めている高専もあるとのこと。)

 すると、たとえ校長や高専機構の意向による出来レースであれ、あるいは単に形式上のことであれ、アカハラ犯の雑賀洋平を臆面もなく担任に「推薦」した恥知らずな人間が存在していることになります。

 当会では、文書の現地開示を受けつつ各種事項について担当者に質疑を行うこととし、9月4日に群馬高専での文書開示を希望する旨を記した開示実施方法等申出書を、8月20日に返送しました。

■9月4日(金)午後1時に、当会担当者が群馬高専を訪問しました。超大型の台風10号が九州の南から迫っていましたが、関東地方は晴天猛暑で、気温35度の中、午前中、安中市役所で別件の情報開示手続きの後、群馬高専の総務課に行きました。尾内仁志総務課長と田村課長補佐が応対しました。



 2階の総務課の廊下を隔てた向かい側の部屋に通されました。会議机には透明なビニール製の衝立が並べてあり、対話時の飛沫の飛散を防止する措置が取られていました。もちろん、双方、マスク着用の上での面談です。

 開示資料を確認後、いくつか質問事項があり、あらかじめ用意していた質問票にもとづき、回答を求めようとしましたが、尾内課長曰く「学校組織として回答をどのように行うのか、上とも相談しなければならないので、即答は困難」というので、とりあえず持参した質問票を渡して、しかるべき回答を後日メールするように依頼し、群馬高専側も了解しました。

■ところで、昨年以来の懸案事項のひとつとして、群馬高専雑賀教員室・研究室の入口ドアガラススリットの目隠し問題があります。当会の度重なる質問と指摘を受けて、群馬高専もしぶしぶ善処する旨を回答しましたが、その後しっかり対応がなされたのか不明になっていました。そこで尾内課長に「現場を確認したいのですが」と申し出たところ、「情報開示が終わったら案内します」とあっさり許可が出ました。この件の経緯については以下の記事をご覧ください。

○2019年11月8日:19秋・潜入調査記in群馬高専…アカハラ犯・雑賀洋平の「今」とその狙いを探る(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3070.html
○2020年3月22日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…2020年度目前のいま注目される群馬高専の現況
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3138.html

 書類の開示後、尾内課長の案内でJ科棟を訪れ、エレベーターで3階に上がりました。さっそく、雑賀研究室の入口ドアの縦長のガラススリットをチェックしたところ、上半分がポスターないし包装紙で依然として目張りがしてあり、下半分からのみ内部を見通すことができました。隣の崔先生の部屋も同様であり、どうやら全面的な目張りの排除には至っていないようです。

 尾内課長曰く「女性の部屋はプライバシーの問題もあり、なかなか目張りの全面禁止は難しい」というコメントが発せられたので、当会担当者は「公務なのだから、むしろ女性だからだといってプライバシー云々を言い出すと、逆にジェンダーの観点から逆差別になりかねないのでは。男女雇用機会均等法もあり、むしろ性差をつけない対応が求められるのではないでしょうか」と当方からコメントしたところ、「なるほどそういう見方もあるのか」と尾内課長が答えました。

 このように、群馬高専ではどうやら、先生の部屋の入口の目張りを撤去せよとする機構本部の通達が、末端まで徹底して浸透しているとは言えない状況であることがわかります。なお、相変わらず、手作り感のある監視カメラが各階エレベーター脇の天井に取り付けられていました。



■9月4日に開示された、雑賀洋平の3J担任就任にかかる「学級担任推薦書(依頼)」および「学級担任推薦書(回答)」の内容は次の通りです。

●学級担任推薦書(依頼・回答)ZIP ⇒ 20200904qnjij.zip



*****学級担任推薦書(依頼)*****
                     令和元年9月10日

電子情報工学科長 殿

                      教務主事

        令和2年度学級担任の推薦について(依頼)

 標記のことについて、各専門学科7名(正担3、副担4)の担任教員を、10月31日(木)までに推薦の上、教務係へ御提出願います。

       3組(J)
1年 副:
2年 副:

        J
3年 正:
4年 正:
4年 副:
5年 正:
5年 副:
**********



*****学級担任推薦書(回答)*****
                     令和元年9月10日

電子情報工学科長 殿

                      教務主事

        令和2年度学級担任の推薦について(依頼)

 標記のことについて、各専門学科7名(正担3、副担4)の担任教員を、10月31日(木)までに推薦の上、教務係へ御提出願います。

       3組(J)
1年 副:■■■■
2年 副:■■■■

        J
3年 正:雑賀 洋平
4年 正:■■■■
4年 副:■■■■
5年 正:■■■■
5年 副:■■■■
**********

■このように、形式上は、教務主事から各学科の学科長に次年度の学級担任の「推薦」を依頼し、依頼された学科長が被推薦者(事実上の次年度担任)を記入して返すという仕組みになっているようです。

 注目すべきポイントのひとつ目は、その時期です。「依頼」が出されたのが、年度替わりの半年以上前の令和元年9月10日と、早い段階であったことがわかります。J学科長が依頼書に直接記入する方式になっていることから、雑賀洋平の名前の入った「回答」が正確にいつ教務に提出されたかは不明ですが、記載からして、同年10月31日までのどこかのタイミングであったことは確かです。

 この時期はというと、まだ当会が雑賀洋平の沼津逃亡の経緯と目的を明らかにすべく調査を進めていた段階でした。そうなると、雑賀洋平の沼津高専生活が折り返し地点に差し掛かるかどうかという段階で、すでに着々と群馬高専帰還後の手はずが整えられていたことになります。かなり早期にこうした動きがあったにも関わらず、この動きを察知できなかったことは当会として忸怩たる思いです。

○2019年10月3日:群馬高専アカハラ犯雑賀教授の沼津逃亡経緯情報を開示請求!高専機構本部にて受領した文書の中身は…
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3041.html

 そうすると、やはりどうも、沼津逃亡以前の段階から、雑賀洋平の担任就任が既定路線にされていた可能性の高いことがうかがえます。すると、高専機構全体としてガッツリとバックアップしつつ、この数年掛かりの一連の計画が駆動されていたことになります。

■実は、雑賀洋平の和歌山高専時代の元同僚として、パワハラ紛いの行為をはたらきつつ沼津逃亡を全面支援した沼津高専校長の藤本晶氏は、前年度末に同校を任期満了退職していました。

○参考:沼津高専HP「藤本晶校長の最終講義が開催されました」(2020/05/07)
https://www.numazu-ct.ac.jp/blog/news-college/17345.html
**********
 3月末をもって任期満了退職される藤本晶校長の最終講義が3月27日午後、沼津高専視聴覚教室にて実施されました。
 当日は本校関係者やOB達が大勢集まる中、藤本校長は「沼津高専で5年間勤務して・沼津高専の発展を願って」という題の下、約1時間半にわたる講義を行いました。講義の内容は高専卒業までの話から民間企業での経験、和歌山高専での教員経験や学生との関わり等多岐にわたる内容でした。
 最後に、沼津高専教職員に向け、卒業生が母校に誇りを持ち社会で活躍できる存在になるよう、日々努力してほしいと語り講義を終えました。
 講義後は有志による懇談会が開かれ、和やかな雰囲気の中、藤本校長は参加者の方々と高専での思い出等を話されていました。
**********

 沼津高専のこの報告を読んで、いくつものおかしな点に気が付きました。大学などで、退官直前の高名な教授が「最終講義」を行うことはよくあることです。しかし、藤本氏の場合、校長になった時点ですでに教員として講義を受け持つことも無くなっているのであり、大学教授気取りで「最終講義」というのは珍妙です。しかも、5月7日になってようやく掲載された報告が「3月末をもって任期満了退職される藤本晶校長」の書き出しで始まるのも、またかなり奇妙です。

 こうした細かい点はさておいても、もっとも気になる点は、藤本氏が「任期満了退職」したとなっていることです。高専関係者によれば、国立高専校長に明文化された任期の定めは無く、定年も数年前に撤廃されているそうです。また、不文律としては、高専や大学の教員から校長になると、よほどのこと(不祥事や家庭の事情の辞任等)がない限り、6年間校長を務める慣例があるそうです。そうなると、2015年4月の就任から「5年」で校長を退任した藤本氏の「任期」とは、いったい何を根拠にしたものなのでしょう。

 こうした点から推察すると、ただ2020年3月末をもって藤本氏が沼津高専を退任するという既定路線だけが最初にあり、それを後から「任期」と称していたということになります。そしてこの大前提を藤本晶本人はもちろんのこと、雑賀洋平や山崎誠・群馬高専校長、高専機構もしっかり了解しつつ、後先考えずに沼津高専を道具として扱える2019年度の1年間に狙いを定めて、計画を遂行したものとみられます。

 そしてその計画通り、校長の強権で学内の反対を押し切って雑賀洋平をかくまい、高専内ニート状態の雑賀に異動手当付きの年1千万近い給料を振舞って雑賀のリフレッシュとアカハラ事件のほとぼり冷ましをしながら、一方で注目が逸れた群馬高専では着々と雑賀復帰の準備を進めていたというわけです。そして今年度明けと同時に藤本晶は校長退任で責任を逃れ、雑賀洋平は見事に群馬高専に復帰して、若い学生らの人生を握ることに成功してしまいました。

■注目点の2つ目は、やはり電子情報工学科学科長が雑賀洋平を3J新担任として堂々推薦していることです。

 電子情報工学科長は、雑賀洋平を「推薦」した去年度から継続して「大墳 聡(おおつか さとし)」教授のようです。

○参考:群馬高専「組織」
https://www.gunma-ct.ac.jp/gakko/06.htm
・2020/01/26のログ
https://web.archive.org/web/20200126225904/https://www.gunma-ct.ac.jp/gakko/06.htm

 恥も外聞もなく学級担任を任せた大墳学科長はいったい何を考えているのでしょう。

 大墳氏の経歴を辿ってみると、1986年に群馬高専を卒業後に長岡技科大に編入し、そのまま修士号を取得してから、1990年に母校の群馬高専に助手として就職しています。そのまま長らく修士卒の助手=助教として働いていましたが、2011年に前橋工科大で博士号を取得してからはトントン拍子に昇進し、たった6年で教授にまで昇格しています。

**********
(大墳氏の学歴)
1986.3 群馬工業高等専門学校電気工学科卒業
1988. 3 長岡技術科学大学工学部電気・電子システム課程卒業
1990. 3 長岡技術科学大学大学院工学研究科電気・電子システム工学専攻修了
2011. 3 前橋工科大学大学院環境・情報工学専攻修了

(大墳氏の職歴)
1990. 4 群馬工業高等専門学校助手
2009.10 群馬工業高等専門学校助教
2011. 7 群馬工業高等専門学校講師
2014. 4 群馬工業高等専門学校准教授
2017. 4 群馬工業高等専門学校教授
**********

 とすると、東京理科大卒(1989) →東工大院卒・和歌山高専就職(1995)→群馬高専移籍(2011)という経歴の雑賀洋平とは、約10年間にわたり群馬高専J科の同僚であるということ以外で共通点が見当たりません。筋金入りの群馬高専プロパーであるはずの大墳氏は、なぜ母校とその大事な同僚・学生を散々ズタズタにしてきた雑賀洋平に学級担任という大役を平然と任せ、あたかもアカハラが存在しなかったかのような態度で被害者らの気持ちを踏みにじれるのでしょう。

 とある高専教職員の読者が語ったところによると、高専の学科もまた、タコツボな事情を抱えているようです。たとえば、昇格は、学科からの推薦であり、学科内で嫌われていると昇格させてもらえないそうです。さらに、研究費も、学科内での配分は各学科において決められているそうです。すると、雑賀洋平を含めた学科の重鎮らの意向抜きでは、大墳氏の短期間でのトントン拍子の昇格もまた有り得なかったことがわかります。そうしたヨコシマで持ちつ持たれつな癒着が、背後に潜んでいる可能性も指摘されます。

■そう考えていくと、もちろん大墳氏の恥知らずぶりは当然のことながら、学科全体としてのどうにもならない腐敗ぶりが見えてきます。というのも、次年度の学級担任推薦は、学科長である大墳氏の一存というよりは、学科の意思という形で決められたことがうかがえるからです。当然、その際は学科の教員を集めての学科会議や話し合いの類があったはずです。ところが、上述のとおり、開示請求に対して言及もされておらず、証拠となる議事録やメール等は残されておらず、おそらく作られてすらいません。

 ふと、J科アカハラ事件当時の様子を思い返してみると、雑賀氏がアカハラで暴虐の限りを尽くしていた最中、同学科内で問題解決のために力を貸していた教員は、定年退職寸前の古参の老教授ひとりでした。他の教員らは、静観を決め込んだり、むしろ雑賀洋平寄りの立場でノラリクラリと笑うばかりで、少なくとも同僚として雑賀洋平を諫めようとしたり、注意したり、被害を受けた学生や教員のケアに努めようとしていた様子はまったく確認できません。

 しかも、同学科の重鎮であり、雑賀洋平のアカハラ現場に同席していながら止めもせず半ば加担していた鶴見智氏は、その後教務主事・校長補佐として群馬高専の入試を思い付きで滅茶苦茶にいじくりまわした挙句、その「成果」を手に悠々高専機構本部に栄転していった人物として有名です。

 さらに、雑賀洋平のしでかした重大事案ほどではないものの、同学科においては雑賀洋平以外の教員による小さなハラスメント事案もしばしば発生しているとの情報も過去に寄せられております。

 そう考えると、群馬高専電子情報工学科は、学科ぐるみでの体質腐敗もまた深刻と結論付けざるを得ません。

■それにしても、ここまで学科ぐるみで度の過ぎたハラスメント体質にも関わらず、改善も無くアグラをかいたままでいられるのは、やはり揺るぎない殿様商売状態によるものなのでしょうか。アカハラでいくら新任教員を退職に追い込もうと、昨今の供給過多のアカデミック・ポスト事情から、次から次へと勝手に補充されてくれます。また、アカハラでいくら学生を不登校に追い込もうと、国立高専ブランドによる就職・進学をエサに、新入生は勝手に入ってきてくれます。近年の情報系専攻の人気ぶりを考慮すると、なおさら入れ食い状態です。

 視点を変えてみると、雑賀洋平に担任されることになる2020年度の新3年生というのは、2018年度入学生です。そしてこの年は、群馬高専受験者数が遂に破滅的なレベルまで減少した年です。

 この事態を受けて、群馬高専はさすがにJ科アカハラ事件・寮生連続不審死事件の総括をし、学校をあげて信頼回復に努めるだろうと思いきや、なりふり構わない「鶴見入試改悪」を数か月で強行し、表面上の数字だけいじくるという呆れた手段に打って出たことは既報のとおりです。

○2018年2月3日:【速報】群馬高専の一般学力試験出願者数が確定!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2555.html
○2019年2月4日:平成最後の入試で念願の志願者数回復?…実は何でもありの入試ルール変更でゴマ化した群馬高専のガタガタ内情
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2878.html
○2019年7月10日:【群馬高専】開示文書から読み解く入試大改変の経緯…その裏に副校長の実績作りがアリアリ!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2976.html

 話を戻すと、受験者数が激減した2018年度の入学生ということは、受験生と保護者らが群馬高専の体質に呆れて次々にソッポを向く中で、それでも「群馬高専がいい」とわざわざ選んでくれた意志の強い学生、ということに他なりません。すると群馬高専は、ここに着目し、「アカハラ体質やリスクも了解済みのうえ、自己責任で納得して入ってきた学生らだろう」と解釈して、雑賀洋平を堂々担任に据えた面も一部にはあるのかもしれません。

 しかし、今回担任されることになる学生らは、群馬高専が多少なりとも真っ当な倫理観と矜持を持っている教育機関であることを前提に、しっかりと反省と改善、リスク対策の手続きを踏めるであろうと期待して入学しているはずです。いくら学校ぐるみでハラスメントの隠蔽と育成に努めているとはいえ、アカハラ事件の清算も未だにつかない雑賀洋平を、臆面もなく担任に付けられるなどというあまりに倫理観のタガが外れたことを、学校どころか機構の全面バックアップのもとで強行されるという事態は、さすがに想定にないはずです。この観点からして、学生らがリスクに晒され続けるというのを「自己責任」で済ますというのは、あまりにも無情です。

■ところで、上述のとおり、9月4日の訪問時に当会担当者が口頭での質疑を行おうとしたところ、その場での担当者権限による回答が困難であると告げられてしまったため、仕方なく質問事項メモを手渡し、後日正式に回答するということで合意しました。

 しかし、当日にやむを得ず手渡した質問事項メモは、あくまで当会担当者が手元で参照するためのメモ書きに過ぎず、書面で正式に問い合わせを行うためのものではありませんでした。また、あくまでも文書開示時用に質問内容を調整していたため、実際の開示文書の確認を終えたあとでは、質問内容に過不足がありました。

 したがって、群馬高専に対して正式な問い合わせ書面として清書したものをあらためて提出し直し、差し替えてもらうことにしました。

 また、群馬高専に対する今回の質問においては、こうした雑賀洋平に関する事項だけでなく、群馬高専のあまりに杜撰なコロナ対応の実態についてもしっかりと質していくことにしました。

○2020年4月13日:群馬高専の杜撰なコロナ対応にみる腐敗体質のツケ…「学生ファースト」になれぬなら教育機関を名乗るな!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3150.html

■9月7日(月)午後3時過ぎ、当会担当者が別件で群馬県庁に赴いた帰途、この差し替え用質問書面を携えて群馬高専に立ち寄りました。




 いつものように正門から管理棟に向かって入るとハンプ(交通安全対策のために、道路の路面に設けられた凸状の部分)があるので、なるべく道の左側をとおり、片側の車輪だけでもハンプを回避してゆっくりと、構内に進み、右手の駐車場に車を止めました。マスクを着けて、クリアファイルに入れた差し替え用の質問書面を手にして、すっかり舗装の仕上がった正面の円形の植え込みを横目に、事務棟の玄関に入りました。クリアファイルを脇に挟み、入口で消毒用のアルコール液を両手に吹きかけて掌と甲によくすり込んでから、中に入りました。階段を上り2階の校長室と事務部長室を右に見ながら総務課に入りました。



山崎校長は9月7日はお休み。

校長室の隣が事務部長室。不在の張り紙。

夏草に半分隠れている群馬高専創立50周年記念モニュメント。

 「オンブズマンです。尾内課長はご在席ですか」と声をかけると、課長席が不在だったため、村田課長補佐が腰を上げて窓口にやってきました。「先週金曜日の面談時にお渡ししたメモは正式なかたちではないため、あらためて質問状として作成したので、お手数ですがこれと差し替えてください」と手渡しました。

 村田課長補佐は「わざわざご丁寧に恐縮です。尾内は席を外しています」と言いながら受け取りました。当方から「それではよろしくご対応お願いします。尾内課長にもよろしくとお伝えください」と申し伝えました。

 9月7日に群馬高専に提出した当会の正式な質問書面の内容は以下のとおりです。

*****9/7質問書面送り状*****ZIP ⇒ 20200907qn.zip
                            令和2年9月7日
〒371-8530 群馬県前橋市鳥羽町 580番地
独立行政法人国立高等専門学校機構 群馬工業高等専門学校 御中
TEL: 027-254-9000(代表) FAX: 027-254-9022

 〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
                 TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
                    090-5302-8312(代表・小川)
                 FAX: 027-224-6624

          貴学宛質問書面の差し替えについて

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 先日9月4日、弊会担当者が貴学に訪問した際、口頭で各種事項に関する質問を行おうとしたところ、貴学担当者権限での回答が困難である旨を伝えられました。そこで、対応いただいた貴学担当者である尾内様に質問書面を手交し、学校として後日回答を行うということで相互確認いたしました。
 しかし、お渡しした当該書面については、口頭での質疑がなされることを前提に弊会担当者が手元で参照するためのメモ書きであり、公式な問い合わせ文書として堪えうるものではございませんでした。また、その前提から、開示文書や貴学の状況を実際に見たうえであれば答えが自明な内容が一部含まれており、一方で、開示文書を実際に見て新たに生じた疑問等は含まれておりません。
 したがって、ここにお詫びいたしますとともに、あらためて質問内容を一部改訂したうえで清書した正式な質問書面を本状別紙として提出いたしますので、こちらへの差し替えをよろしくお願いいたします。

 また同時に、あらためて貴学に対し、迅速で誠実なご回答をよろしくお願いする次第です。回答については、大変勝手ながら、書面で2020年9月14日(月)までに郵送、FAX、あるいは電子メールにていただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                                 敬具
**********

*****9/7質問項目*****ZIP ⇒ 20200907qnij.zip
(別紙)

                  質問事項
                               2020年9月7日
                              市民オンブズマン群馬

トピック1:雑賀洋平教授とその3J担任就任について
【質問1:担任決定プロセスと開示文書について】
①群馬高専における学科3年クラスの担任決定プロセスが、どのような手続きと時期・時系列において行われるか、詳細な説明をよろしくお願いいたします。
②特に、今回開示資料の学級担任推薦書の依頼と回答というのは、どのような性質のものでしょうか。
③今回開示資料のうち、J科学科長からの回答の日付が依頼書のまま(9月10日)になってしまっていますが、実際の回答提出日付は何月何日でしょうか。
④令和2年8月17日付群高専総第21号開示決定では、学級担任推薦書のうち部分的に不開示とされているのが「学級担任推薦書(依頼)」となっていますが、開示文書を見る限り、「学級担任推薦書(回答)」の間違いであり、補正が必要ではないでしょうか。

【質問2:アカハラ犯である雑賀洋平教授を担任とする正当性について】
①学科長としてかつて重大なアカハラ事件を起こし、しかも未だ解決していない状態の雑賀洋平教授を、今度は17、18歳の学生と密接に関わることになる学級担任に推薦した大墳聡電子情報工学科長は、ハラスメント再発のリスクやその防止の担保について、どのようにお考えでしょうか。
②また、当該推薦を正式に許可した碓氷教務主事および山崎校長は上記の事項についてどのようにお考えでしょうか。
③貴学は、今年3月4日に弊会が抗議しているにも関わらず、遺憾ながら雑賀氏の担任就任を強行されました。アカデミックハラスメントをあたかも「無かったこと」として扱うことは、アカハラ被害者の想いを踏みにじっているとは感じられませんか。

【質問3:学生や保護者の了解なく雑賀洋平教授の担任就任を強行したことについて】
①学科クラスの担任では、今の3J学生は卒業までずっと担当され、卒業後も元担任として関わりを持たなければいけなくなってしまうのではありませんか。
②今回の雑賀氏の担任就任について、担任される当の3J学生や保護者は就任前や就任後にしっかり説明を受け、納得されていますか。

トピック2:群馬高専の新型コロナ対応について
【質問4:今年度の急な入学式・始業中止について】
①4月2日昼過ぎの時点では、その翌日の入学式、4日後の始業ともに決行予定だと貴学は説明していましたが、結局中止となりました。いくら未曾有の事態であったとはいえ、前日の夕方以降になって一転中止というのは、あまりにも急な朝令暮改であり、新入生や学生、またそのご家庭を振り回しすぎではないでしょうか。
②たとえば長野高専では、3月19日時点で入学式の中止を決断していますが、こうした近隣高専の動きにも関わらず、なぜ前もって決断できず、直前まで予定通りの入学式・始業実施を強行しようとしていたのでしょうか。
③こうした直前の急転換によって、たとえば新学期開始を前提に定期券を購入してしまった学生や、わざわざ交通費をかけて大荷物を持ち込み、寮に入っていた寮生などに、どのようにお詫びや補償をしたのでしょうか。

【質問5:群馬高専の新型コロナ対応体制について】
①群馬高専は、コロナ対応にあたり、おそらく他高専でいうリスク管理室ないし危機管理室のようなものを稼働させていると思いますが、どのような体制でコロナ対応にあたっていますか。
②群馬高専のコロナ対応の意思決定組織の正式名称およびその構成メンバーをお教えください。
③この“意思決定組織”の根拠規則はおそらく「群馬工業高等専門学校危機管理規則」であると思いますが、他国立高専ではこうした危機対応用の規則をしっかり公表しているのにも関わらず、貴学はこれを公表しておられません。そのため、群馬高専がどのような体制でコロナ対応にあたっているのかも、外部からまったくわかりません。なぜ貴学は大事な危機対応にかかる当該規則を公表していないのでしょうか。
④また、当該規則をメール添付のPDFファイル、もしくは写しでいただくことはできますか。
⑤上述の入学式・始業の直前中止に関わることですが、“コロナ対応の意思決定組織”の幹部が、「新型コロナはかかっても大したことない」といった趣旨の放言を続け、入学式・始業を強行しようとしていた(ために前日の急転回になり関係者に大迷惑がかかった)という話がありますが、事実でしょうか。
⑥新型コロナウイルスについて、若者の重症化率や死亡率は確かに相対的に低いかもしれませんが、そうだとしてもウイルスの無症状キャリアとなって学生の家庭や地域の高齢者の生命を危険に晒しかねないという問題を、なぜ山崎校長や亀原事務部長は理解できなかったのでしょうか。

トピック3:山崎校長について
【質問6:山崎校長の異動疑惑について】
①山崎校長が今年4月に他高専に異動するのではないかという疑惑が高専関係者の間で囁かれておりましたが、結局留任となっていることは周知のとおりです。すべて済んだ話になったため、特に極秘とする理由もないものと思料します。したがって、この件に関して、「元から異動話など存在しなかった」のか、「本来は他高専に異動する予定であったが高専機構の意向で急遽据え置きとされた」のか、回答をお願いします。
②現在係争中の状態にある高専機構との裁判中、去年12月と今年4月頭に高専機構から提出された書面(答弁書と準備書面2)において、「西尾前校長」ではなく「西尾元校長」と記載されている箇所があるが、これは山崎校長が今年4月に群馬高専校長でなくなることを見据えての記載だったのではありませんか。

                                以上
**********

■すると、9月11日の午後3時半頃になって、尾内課長から突然着信がありました。電話に出ると、「ご指摘をいただいた質問1の④については、確かにこちらのミスなので、機構本部に連絡して、法人文書開示決定通知書の差し替え用を郵送したので、あらかじめ連絡しておきます。また、回答期限を9月14日とされているが、機構本部にも色々と確認を取らなければならない都合上、とても無理なので、期限までに間に合わないこと必至のため、あらかじめ了承ください」とのこと。回答期限が当会指定日をオーバーする件については、その場で尾内課長に「検討後、回答時期が判明次第、連絡願います」と申し入れ、了解されました。

 令和2年8月17日付群高専総第21号の法人文書開示決定通知書差し替えについては、尾内課長が電話口で語ったとおり、翌12日に高専機構本部から郵送されてきました。

●群高専総第21号通知書差替 ZIP ⇒ xijmtj.zip

 それにしても、長野高専に文書開示請求をかけた時もそうでしたが、ここ最近になって法人文書開示決定通知書などの単純で初歩的な記載ミスが目立ちます。単純な箇所のチェックすらもザルなほどの仕事ぶりである高専組織がおこなう情報不開示処分の数々が、どうして間違っていないと言えるでしょうか。

 今回の質問は、すべて群馬高専ローカルの話であり、その一存で迅速に回答できるはずと考えていました。ところが、なぜか群馬高専は高専機構本部との「調整」を言い出し、それを理由に回答期限も宙に浮いてしまいました。こうして時間稼ぎをしながら、機構やいつもの銀座の弁護士のバックアップのもと、呆れたトンデモ回答を仕上げてくるオーラをまたも醸し出し始めています。

■群馬高専が、教育機関としての抜本的な信頼回復に努めなければならないことは明らかです。もはや、雑賀洋平ひとりの問題ではなく、学科ぐるみや学校ぐるみで腐り果てていることは明々白々だからです。

 そして、こうした群馬高専内部の腐敗に関連して、実は、さらに信じられない情報が同校内部から寄せられました。

 当会では、2018年に、訴訟などを含めた3年間にわたる活動の結果、J科アカハラ関連文書が一部開示されたことを受け、群馬高専後援会に対してその見解を問う公開質問状を送ったことがありました。

○2018年7月2日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…群馬高専後援会あてにアカハラ事件の見解を問う公開質問状を発出
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2682.html
○2018年7月24日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…群馬高専後援会からアカハラ事件見解に関する回答が到来
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2706.html
○2018年8月12日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…無責任な対応を続ける群馬高専後援会に再質問状を送達
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2723.html
○2018年10月14日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…当会の再質問状に驚愕の無責任回答をよこした群馬高専後援会の実情
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2778.html

 しかし、こうして群馬高専後援会から寄せられた回答は、人の親としての責任や矜持が微塵も感じられない最低の忖度回答でした。少なくとも、今すぐに学校の体質改善に動かなければ次は自分たちの子供がアカハラやいじめの餌食にされかねないという危機感や、自分たち後援会の力が及ばなかったためにJ科アカハラ事件や寮生連続自殺・不審死事件を防ぐことができなかったという反省の意識は、そこに一切ありませんでした。

 当会として、「群馬高専後援会」の書いてきたこの回答に当時は憤慨するばかりでした。ところが、2年目の真実として関係者が明かしたところによれば、当時当会からの質問状を受け取った群馬高専後援会事務局担当者は、事務局では対応できないと、なんと猿田事務部長(当時)のところに持って行って、そのまま事務部長が回答を作っていたそうです。

■当時の後援会からの「回答」の作成経緯に関する不自然な点は、当会でも以下の記事内で大きく紙幅を割いて考察していました。

○2018年10月23日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…外部評価委員も憂える群馬高専の無策な現状
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2789.html

 この考察の中で、当会が後援会事務局職員に回答作成者が誰か尋ねたところ、女性職員は「関係者」としか答えなかったことを批判し、「役員」や「後援会員」とは言わなかったことから、極端な話、学校側の人間が「回答」を作成していてもウソはついていないことになってしまう、と触れました。

 ところが、この「極端な話」が、まさにど真ん中に命中する図星であったことになります。

■後援会は、あくまでも建前上は、任意に立てられた学校と独立の支援団体であり、学生・OBや保護者らの学校関係者の手で運営されているものです。後援会事務局の職員は後援会の予算で独自に雇い入れており、学校内の事務局のスペースは、あくまでも学校側が善意で提供している、というスタンスになっています。

 このような、学校とは独立した団体であるという一応の建前すら、一瞬でないがしろにして学校そのものに回答を作らせるのであれば、学校に直接質問しているのと何も変わりません。「学校に忖度しながら後援会が回答を作った」という話ですらなく、「学校がそのまま直接回答を作っていた」というのですから、群馬高専の保護者らの意識はどこまで地に落ちているのでしょうか。

 また、一応にも独立した外部民間団体であるはずの後援会が、公務員である猿田事務部長に依頼して回答を作らせるわけですから、図式からしても双方に問題まみれです。後援会は、税金で国民に雇われているはずの公務員に自分たちの作業をやらせたことになり、猿田事務部長側は、税金が使われている勤務時間中、公務とはまったく関係のない他民間団体の作業に打ち込んでいたことになるからです。

■このように、群馬高専では、学科ぐるみ、学校ぐるみ、独法高専機構ぐるみの三重苦に加えて、さらに保護者ぐるみの四重苦体制で変わらずアカハラの推進に勤しんでいるのですから、腐敗ぶりはまさに絶望的です。

 群馬高専を揺るがしたアカハラ事件から5年以上が経っても、同校の体質は改善どころか悪化の一途をたどるばかりです。群馬高専の関係者の皆様、そしてわが群馬県や近隣県の受験生、およびその保護者の皆様におかれましては、群馬高専のこうした闇の一面はいまだに改善が図られてはいないこと、「自分は関係ないや」と考えていても、いつでもアカハラやいじめの毒牙にかけられてもおかしくはないこと、そして、被害に遭ったら最後、救済してくれる存在や手段は一切ないということについて、しっかりとご理解いただきたいということをお伝えし、当会としての警鐘とさせていただきます。

 なお、本記事で報告した群馬高専への各種質問について、同校からの回答が寄せられ次第、当ブログにてご報告差し上げます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【お知らせ】長野高専関連記事のカテゴリを分離しました

2020-09-07 17:15:00 | 群馬高専アカハラ問題
■長野高専に関する問題と出張活動のご報告は、これまで、当会が長らく続けている群馬高専への取り組みから派生した関連トピックとして、「群馬高専アカハラ問題」カテゴリ内にて一緒に取り扱ってまいりました。ところが、長野高専の闇もまた想像を遥かに超えて根深く、追及が激化するにつれて記事数も急増している状況にありました。群馬高専関連と長野高専関連のご報告が、無頓着に混ぜこぜの状態では、取り組みや情報発信が分かりづらいものになってしまいます。

 そして、長野高専関連の取り組みに関しては、同校関係者のかたがたから広い関心を集めており、極めて強いご注目をいただいております。そうしたことから、同校の問題や当会の取り組みについての情報発信場所としてのみならず、長野高専関連問題の経緯や取り組みの軌跡のアーカイブとして、また同校の現状と未来を憂う長野高専関係者らの貴重な情報交換場として、より一層の機能強化と効率化が重要であることを痛感いたしました。

 そうした観点から、当ブログではこのたび、長野高専関連記事を、独立カテゴリ「【出張!オンブズマン】長野高専の闇」として分離することにいたしました。過去の関連全記事はすでに同カテゴリに移動しておりますとともに、今後、長野高専関連のご報告については同カテゴリにおいて行わせていただきます。

●カテゴリ「【出張!オンブズマン】長野高専の闇」https://pink.ap.teacup.com/applet/ogawaken/msgcate32/archive

■こうして、当会の2年半にわたる長野高専関連の取り組みの過程がまとめ直され、経緯を追いやすくなりました。読者の皆様方におかれましては、ぜひお暇がございましたらこれまでの歩みを再確認いただければ幸いです。またこれからも、当ブログへの変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (45)
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