市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【台湾フェアin群馬2021】台湾のタン大臣との交流区画その2…群馬の若者のトークセッション一部始終

2021-07-21 01:06:00 | 国内外からのトピックス
■50分間にわたる山本一太知事とタン大臣とのオンライン対談のあと、群馬県在住の高校生18名と大学生2名の若者の皆さんが、タン大臣と活発なトークセッションを展開しました。以下にそのやりとりを紹介します。

セッションに参加していただいた若者の皆さんに、記念として台北駐日経済文化代表処から群馬県台湾総会を通じてプレゼントされた防疫バッグ。


防疫バッグの中には、イラスト入りのマスク、手洗い用の台湾の形をした石鹸、そして顆粒状の石鹸と、それを入れて水を加えて振って使う携帯用泡立ちスプレーが入っている。旅行先での手の消毒に便利。

**********
司会:本日、タン大臣とお話ししたい群馬県の若者が、会場に大勢集まっています。時間も限りがありますので、さっそく、始めたいと思います。これからタン大臣に質問があるかた。手を挙げて大きな声で自分のニックネームも言って頂きたいと思います。では、よーい、ドン!はい!どうぞ。…ちょっと待ってください。ソラさんですね?はい、どうぞ。

ソラ:ソラです。英語で、英語で、質問させていただきます。

司会:ちょっと待ってください。英語で…はいどうぞ。

ソラ:英語で質問させていただきます。ニーハオ、ソラといいます。お目にかかれて嬉しいです。本当に本日お話しできること、楽しみにしておりました。私は新しいテクノロジーに興味があります。例えば、電気自動車(EV)、人工知能(AI)に興味があります。昨年、EVについてのスピーチをしました。で、これは、AIについてのスピーチをしてきました。私のスピーチで一番重要なトピックのひとつは、どのようにしてAIと将来的に共存するかということですね。ですので、ここで質問です。人間にとって、AIと将来的に共存することは可能ですか?どのように共存していけばよいのでしょうか?

大臣:すばらしい質問をありがとうございます。AIというのは私にとって2つの全く違ったことを意味します。AIが、2つのグループの人々の間において、我々の理解を相互に加速して、我々のコミュニケ-ションを支援するならば、これはアシスティブ・インテリジェンスです、支援するインテリジェンスですね。私の眼鏡のようなものです。私の見え方を支援します。私の目の代わりはしません、私自身の代わりではないです。眼鏡をかけて皆さんのことを、よりはっきり見ます。そして、より効率的に皆さんにお答えができます。これが、多くのAIの役割をします。この人と人の間において、人にとって代わるわけではありません。しかしながら、AIシステムを、人間に成り代わるもの。それがある人間のグループに成り代わるもの。これは、いわゆる、権威主義的なインテリジェンスと言います。要するに、人間の判断というものが信頼できない。人間の判断というものを、まあ、非常に減退させる。これは非常に悪しき状態です。人間はお互いを信じるのではなく、AIを信じるわけです。ですので、例えば、価値、バイアスなどでもって、孤立してしまいます。AIをアシスト・ビジョン、まあ、支援をするもの、これは常に人間の間のコミュニケーションを支援するものであれば、そうすれば、共存するだけはなく、AIと一緒に反映することが可能だと思っております。

ソラ:OK。非常にパワフルなご意見をありがとうございました。

司会:ありがとうございます。では次の方。どうぞ。ではこちらの方、お先なんですがごめんなさい、はい、どうぞ。

カラ:はい。

司会:はい、ニックネームをお願いします

カラ:カラです。

司会:カラさんですね?

カラ:英語で質問します。

司会:はい、どうぞ。

カラ:非常にお目にかかれて光栄です。2つ質問があります。STEAM(理数)系というものがやはり、非常に重要視されています。苦手なので、どのようにこれを担っていけばよいのでしょうか?また、自分が得意な歴史とか日本語など文系科目をどのように活かせばよいのでしょうか?

大臣:いわゆるSTEAM、理数系というのは非常にクリエイティブな分野だと思います。このAというは芸術ですね、そしてエンジニアリング、工学というものは芸術を作るものです。STEAMは暗記物ではなくて、自己表現なのです。得意な日本語と歴史とおっしゃいましたが、同じです。これは、さまざまな理解ですとか、好奇心を、そして、人々と協力してそれを拡張する、そして、より人々に広めるということで、それをすることです。台湾ではいわゆるSTEAM教育、理数系教育と言ったときは、これはデジタル・リテラシーですとか、数学が得意とかは言いません。それはデジタル・コンピタンス、メディア・コンピタンス、つまり、何かを創り出す能力ですね。これを何か、これをコピーしたりすることではないのです。これは何か創り出すこと、表現なわけです。例えば芸術を創り出したいときは、これは理解あるものの、歴史のある所を、自分に取り込んで、それを再表現して、より広く広めることですね。私自身、素晴らしい想像力、例えばビデオゲームで非常にインスパイアーされました。例えば、シド・マイヤーというゲーム・クリエイターから、世界の歴史を学びました。そして、それから歴史の本を読みました。ですので、ほんとに、この歴史の本を読むことで、非常にビジュアル化することができたわけですね。ですので、このSTEAMによって創られたテレビゲームがなければ、私の好奇心を刺激されて、歴史の本を読むことはなかったでしょう。まあ、ビデオゲームをもっとやれという意味ではありません。もっとゲームデザイナーに興味をもって、対応してください。例えば、この、あるビジョンを拡張している、世界中に広めている人たちと繋がってください。そうすると、芸術、デザインを、皆様の中でもそれを創り出すことになると思います。

カラ:ありがとうございます。

大臣:サンキュー。

司会:はい、ありがとうございました。はい、では、むこうの方。確かコトミンさんですね。はいどうぞ。

コトミン:タンさん、今日は。コトミンです。タンさんは、いままでに沢山の人材を見てきたと思いますが、人材を教育する中で、大切にしていることはなんですか?また、目を引く人材というのは、どういった特徴がありますか?教えてください。

大臣:よい教育者というものは、学生と学ぶ、生徒と学ぶ人だと思います。非常に権限を持ったり、こうした答えというものがあんだと決めつけるのではなく、その包容力があることですね。その好奇心、生徒の方で好奇心があると、私もその好奇心を持つことが教育者だと思います。この共感を持つという能力、共通、その好奇心だとか、その共通のものに、それに共感して一緒にそれを探るということ。それが一番、その教育者にとって一番重要な資質だと思います。例えばどんな科目でも、これは変わります。そして、昔は正解だったと思っていたものが、将来的には変わるかもしれません。しかし、好奇心、そして一緒に探索するという精神というものが、これは続きます。ですので、生徒に対してこのような好奇心ということを、伝えることがいちばん重要だと思います。また、ただ単に、常にあるような科目だけではありません。新しい科目と言うのが出てきます。これは、さまざまな科目が混ざっているものが出てきます。たとえば、STEAMにおける芸術というものは、新しい考え方です。この方はいい人材ですね、これからもともとあるような科目とか、そういった学部にフィットするわけとは言いません。自分たちの、例えば、科目というものを、自分たちで創るような人。例えば、既に存在するような星座に自分の星を置くのではなくて、新しい星を創り出して、その星の周りに自分の星を集めて、新しい星座を創るわけです。自分でその知識を生み出しているわけではないのですけど、自分でその繋ぎかたを工夫するわけです。というのも、星座というものは、どのように繋げるかというのも、自分自身、人間の想像力が創り出したものですよね。でも、皆が自分の星座を作る能力があって、ですので、いわゆる人材で比べると、それが今、新しい人材の考え方だと思っております。

コトミン:ありがとうございます。タンさん、大好きで~す。

司会:ありがとうございます。では続きまして、むこうの、はい。奥の方、はい、お願いします。

トッティ:英語で質問させていただきます。

司会:英語です。

トッティ:ニーハオ。トッティと言います。台湾政府について質問があります。多くの国々で、スピードを重視することは難しいと思います。というのは、多くの議論を重ねる必要があるからです。そして、そういった政策を実行するまでに時間がかかるわけなんですけれども、タン大臣はマスクマップを僅か3日で開発されたそうです。なぜ、台湾政府はそのような革新的な政策を、そんなに早く実行に移すことができたのでしょうか?

大臣:いい質問をありがとうございます。まず、第一に、私は、マスクマップのアイデアを、私から出したわけではありません。台南市のウーさんから出てきたんですね。また、もう一人の台南の方からも、またそのアイデアが出てきました。で、タイペイまでわざわざおこしいただいて、説得する必要はなかったわけです。そのアイデアを、インターネットに公開して、これはオープン・イノベーションで、皆がそれに貢献したわけです。オープンであれば、皆がそれを試して、そして、試してみて、これは役に立つな、そしてそれがニュースになって国際的なニュースに。私がそれを国のニュースで知ったわけですね。これは伝統的な政府調達と違います。おっしゃたように、大臣がコンサルタントと相談して、そして、調達をどうするのか、そして、入札をしてと。まあ、そのような過程ではなかったわけです。国民のほうからいいアイデアが出てきたと。そして、前に進んだと。そしてそれが非常にホットになったと。そして、政府のほうに圧力にかけたわけです。なぜ、これを積極的にやらないのだと。でもオープンソースを選択したので、つまり、その要するに、そういった、従来方法というんですか、それをもう採らないことに決めたので、政府はそれらを、オペレーションをして、きちんとメンテナンス、維持をしていけばいいわけです。そして、リアルタイムデータ、API(注:Application Programming Interfaceの略語。ソフトウエアの機能を共有する仕組みのこと。よく使う機能がAPIとして用意されていれば、わざわざ一からプログラムを組む必要はなく、必要に応じてAPIを利用し、効率的に開発を進められるメリットがある)を提供すればいいわけです。私のアイデアではないのです。私がしたのは、誰もが時間を無駄にしなくていいと、これを維持するために、時間を無駄にしたりとすることなく、マニュアルではなくて、機械で自動的に数字をアップデートすること、これが私が貢献です。あのう、つまり、いわゆる官民協力、社会セクター、オープンソースの、そのコミュニティ。これは日本でもありますよね。このアイデアを創り出すわけです。政府の、いわゆる「リバース調達」で、我々のほうが、そのメンテナンスをするわけです。そして、民間と協力してそれを拡張する。例えばコンビニでそれをマスクの配給余恵智コンビニを利用したりするそうした拡張版ですよね。人の方からアイデアが出たと、そして、公的セクターはそれを拡張した。そして、お互い協力したと。いつもソーシャルセクター、人からこれが出来たものと思っております。

トッティ:ありがとうございます。話を伺って、台湾政府に興味を持ちました。ですので、これからも台湾政府について勉強していきたいと思います。

大臣:興味深い勉強分野だと思います。

トッティ:ありがとうございます。

司会:ありがとうございます。うれしいです。はい、次。あのう先程、前の方、お願い…はい、そのかた。次はこちらの方にもいきます、まだまだ時間がありますので、ご心配なく、大丈夫ですよ。どうぞ。英語ですか?

アスカ:日本語です。

司会:日本語です。

アスカ:こんにちは、アスカといいます。日本には私の学びたい分野を学べる大学が少なく、留学も考えています。コロナ禍でオンライン授業が増える中、私はオンラインで海外の大学の授業を受けられるようになったらいいと思いました。タンさんはどう思われますか?

大臣:ありがとうございます。私は14歳の時から、1995年に自主退学したのですが、まさに、すでにオンラインとかかわって、そのインターネット通して、いろいろ知識を蓄積したわけです。好奇心を満足させるためには、一つの視点から学ぶだけでは物足りませんでした。つまり、すべての見方、様々な文化、それをインターネットで探せる限り探してこれを好奇心を満たしました、要はすべてのさまざまなコーチ、先生をインターネットですべて探って全て橋渡しをしようとしました。これが、もし本当に、何かに興味を持って、そういった探求心をもって、多くの視点でひとつのものが見られるのだ、でも、共通項もあるのだというような考え方が持たれるならば、そして、いわゆる遠隔教育にも、オンライン教育にもご興味があるかと思います。でも、もし学びたいことが、近しい関係が必要ならば、たとえば、看護ですとか、例えばセラピーですとか、そういった、介護ですとか、そういったものを学びたいならば、オンラインだけではなかなか満足できません。それは、なにかオンラインが、なにか間違っているということではなく、たとえば、カメラですとか、インターネットのスピードというものが、一部の10ギガビット、というこの環境から受ける、環境というものが、それでは十分ではない。たとえば6Gにまで行くと本当にリアルタイムで、お互いがその場にいるんだというようなスピードになるかもしれません。そして、好奇心を満足させられるかどうかというのは、非常に、同じ人と、所謂コミュニケーションが必要なのか、それとも、より遠隔でいろいろやり取りをして、さまざなま視点を取り入れることができる、抽象的に事に興味があるのかによると思います。どちらの方に好みがあるか好奇心があるのか、私にとってそういったことが約に立ちました。

アスカ:ありがとうございました。

司会:ありがとうございました。この辺どなたか、はい。はいどうぞ。はい。英語ですか?

キララ:日本語です。えーと、キララと言います。宜しくお願いします。タン大臣は、24歳の時にトランスジェンダーだと公表したと聞いております。24歳となると、いまから15年ほど前になるので、今よりもっと性的マイノリティに対する偏見や差別が大きかったかなと思っています。なぜ、その時に、公表したのか?と、周りの反応を聞きたいなと思います。

大臣:その時、このような第2の思春期ということを通過したんですね。これを隠していたならば、家族や親族、そして親しい人からサポートを得られなかったわけです。そして、でも、非常に丁寧だけども、非常にまあ、真摯な方向でカミングアウトすれば、たとえば、友人や家族の好奇心というものが、ほんとうに簡単に答えが得られることができるわけです。インターネットに情報を提供して、こうですよ、と説明ができたわけです。そしてインターネットとか、トランスジェンダー、またいわゆるLGPT、そうした人たちのサポート・ネットワークがあるわけですので、カミングアウトができたわけで、サポートが得られました。そうした大きなコミュニティが私になければ、非常に孤立していったでしょう。そして、フルに、そのことを克服できなかったでしょう。その思春期を通過することは、ほんとうに友人や家族にとっては、厳しいですよね。まあ、トランスジェンダーであろうと女性であろうと、思春期は非常に厳しいわけです。でも、知識、サポート、そして、愛が、国際的なオンライン・コミュニティからのサポートがあったわけですので、一緒にこれを乗り越えました。どちらにしても、2、3年しか、これは(時期が)かからないので、その後は成熟した大人になったというわけです。

キララ:ありがとうございました。

司会:はい、ありがとうございました。じゃあ、この辺もう一回。手を挙げて下さい。大学生の、はい、アヤさんですね?はいどうぞ。

アヤ:日本語で質問します。

司会:はい、どうぞ。

アヤ:アヤといいます、本日ア貴重なお時間をありがとうございます。タン大臣は、台湾でコロナ禍において、迅速な、いろいろな政策を打ち出したと思うんですけど、なにかそのう、変化の多い今の世界において、ほんとうに新しいことに挑戦していくのはとても大事なことだと私も思いました。でも、若者は、特に新らしいことに挑戦するのに怖いと思ってしまったり、失敗したらどうしようか、と思うことがあるんですが、それに対してタン大臣はどのようにお仕事をなされているのか?ということと、私たちにできる新たな挑戦を、なにか後押ししてくれるようなアドバイスがあればお願いします。

大臣:非常に慎重であることは、間違いではないと思います。リスクを取るのに、慎重になることは悪いことではないと思います。20人集まれば、みんながクレージーで、みんながリスクをとっていたら、チームが崩壊してしまいますよね。そして、崩壊してしまいますよね。でも逆に20人の人がいて、みんなが保守的でリスクを取りながらないというならば、まあ、20人も必要ないですよね。同じ意見ならば。重要なのは、個人個人のリスクがとるのか、とらないのか、という個人のことではなくて、20人のチームのなかで、非常に多様性が最大限あるということですね。新しい課題がくると、ほんとうにやってみようという人もいれば、ちょっと待って、これが、ここを考えなければ、と言う人がいるというわけです。このチームの中で両方が居ることが重要です。でも重要なのは、インクルージョン、多様性、そして平等性、平等であるということですね。一人の人がリスクを取るべきである、いやもうちょっと保守的であるべきだ、ということでなくて、そのチームの中でそうやってお互いの多様性があって、お互い重要な役割を果たすということが重要なのかな、と思います。

アヤ:丁寧なご説明、ありがとうございました。

司会:はい、ありがとうございました。じゃあ向こうのほう、ちょっと手が、男の方、眼鏡をかけておられるのは。はいどうぞ。

ジョー:ジョーといいます。

司会:はい、ジョーさんですね?

ジョー:はい。お目にかかれて光栄です。日本では、新型コロナウイルスによって、旅行会社のかたであったり、飲食店等の経営者のかたが失業してしまうという問題が起きています。台湾も少なからずそういった問題が起きていると思いますが、失業者に対してどういった政策をとりましたか?また、こういった問題に対して、私たちはどういった行動をとるべきだと思いますか?

大臣:本日ですけども、たとえば住まいでの飲食は可能ですよと、本日発表しました。ですので、台湾で最悪期は過ぎたと思います。でももちろん、過去数カ月は、非常に厳しいかったと、他の世界でも厳しい状況がありますよね。台湾で何を注力したのかと言うと、この国の支援というものが非常に手に入りやすい。本当に使いやすい。たとえば、コロナで厳しい状況に遭って、そして失業手当というものを受け取れなかったという人がいれば、まあ、デビットカードをつかって、そのIDカード番号というものがあるんですけれど、そして1万台湾ドルを受け取るわけです。たとえば書類に記入しなくてもいいんです。たとえば、申請もしなくていいわけです。最寄りのATMに行っても、画面を開いて申請すればいいわけです。この、国からの支援、そして福祉へのアクセスというものが、それ自体が尊厳を傷つけたり、ですとか、リスクですとか、不必要な時間を取らないようにすることが重要です。本当に何回も書類に記入しなければ、というよりも、日々の生活をきちんと手当てするということが重要です。この担当の大臣は、マクロ経済の担当なのですけど、でも基本的には、州は、国は積極的に支援をすると。なるべくそういった苦痛を起こさない、もしくはその機械コストの損失にならないこと。そのことが重要だと思っております。

ジョー;ありがとうございました。

司会:ありがとうございました。じゃあ、むこうのほう、もう一回、お隣のかたです。はい。

リン:英語で話します。

司会:英語です。

リン:こんにちは、リンです。お目にかかれて嬉しいです。中学校からジェンダー問題について勉強してきました。例えば、男性の化粧品ですとか、ジェンダーですとか、学校でそれらの発表も何回もしました。でも一番重要なのは、より多くの人たちに、このような考え方を理解してもらうことだと思っています。でも、私は自信が持てません。多くの人たちに訴えかけるような力がないのではないか、勇気なのではないか、ということで、少し自信が持てません。台湾での男との子のピンクのマスクというストーリーもありました。そうやって行動をとれる想像力、行動力は素晴らしいと思います。そこで質問です。日本の若い人たちが、そのジェンダーの考え方、意識について、日本の人々をどのように変えていけばいいのでしょうか?

大臣:ピンクマスクのことについて知っていてくれて、嬉しいです。ほんとにこの質問、歓迎します。というのも、この場合は、ポスト・ジェンダーの人間として、ジェンダーというものは経験です。ラベルではありません。私は1990年、93年に第1次思春期があって、2回目の思春期が2005、2006年に通過しました。でも、これはまあ、性別がどうだこうだとは言いません。この経験をしたということが、非常につながりがあるわけです。私の経験は、皆様の経験と似たものですですので、お互いに似たような経験をして、いろいろ話せるわけですね。たとえば、私は台湾人ですとか、私は日本人です、と言ったりすると、これが離れてしまいますよね。でも、似たような経験をしていますよね。例えばピンクマスクという共通の経験がある。そうすると繋がりが深まります。もし私たちがジェンダーのことを、経験として考えて、そして、ジェンダーの流動性というものが、より多くのことが経験できることだ、というふうに考えれば、ステレオタイプから解放されるわけです。たとえば、化粧しなければいけないとか。でも、同時に、もし、同じような経験があれば私と一緒に化粧するという経験を共有できるわけですよね。たとえば、化粧をしなければいけないという世論が、ずっとまた続くわけです。この伝統的なジェンダーの役割を乗り越えて、社会的な役割ということを乗り越えてこそ、所謂ジェンダーのステレオタイプから解放されて、お互いを人間だと、考えるわけです。時々は違うけれども、時々は同じ経験をした者同士だと理解できるわけです。

リン:ありがとうございました。

大臣:サンキュー。

司会:ありがとうございました。ではこちらの、はい、どうぞ。ごめんなさい、あの後ろのかた、先に。はいどうおご。あの、むこう、髪の毛が長い方ですね、はいどうぞ。

アヤ:こんにちは、アヤです。台湾ではITを活用したコロナ対策が効果的な結果が出ていますが、これを日本で活用するといった時に、高齢者もITに馴染んでいない、高齢者への対応が必要だと考えています。彼らがITを使いこなすには、どのような対策が必要だと思いますか?お願いします。

大臣:もっと一緒に時間を過ごします。というのも、若い人々がもっと高齢者ともっと時間を過ごせば、私と付き合うように、友人が何かに優れていれば、そして、いつも共有してくれるならば、いずれは興味を持ちますよね。もし、友達が時間をすごしてくれなくて、ただこれが、どんなに素晴らしいかと話すだけだったら、友人はこの素晴らしいピカピカしたものにとらわれているのだと。その友情が壊れてしまうのではないかと、ちょっと、うらやましかったり、まあ、友達が興味を持っているものにうらやましくなってくるかもしれません。高齢者はそういった感じ方をしているかもしれません。若い人、友人、家族の者、まあ、この、例えば、ほんとうにスマホですかね、夢中になっていって孤立感を覚えているかもしれません。ですので、必要なのはまずITを、機械と機械をつなげるもの、人間と機械とつなぐものではなくて、人間と人間をつなぐものとして理解することです。我々ITを使っていますよね。私の考え方、皆様のアイデアがつながっていますものね。これが正しい使い方です。ちょっとバカバカしく思うかもしれません。けれども、こういったビデオ会議をしたらいかがですか、お爺ちゃん、おばあちゃんと。もっとビデオ会議をしてください。そしたら、我々と同じ世界に、こうやって皆を引き入れるわけです。そして何か面白いことを共有できるようになれば、それは、たとえば、フィルターがとれて、楽しいよということを共有すれば、そうすると、おじいちゃんやおばあちゃんが面白いなと思うわけです。あ、私もできるんだと。そうすれば、高齢者同士でお互いを教え合うわけです。でも強制する、こっちの世界に強制的に引き入れようとすると、これは上手く行きません。一緒に、その世界に入って共有することが大事かと思います。

アヤ:ありがとうございます。

司会:ありがとございます。じゃあ前のかた、すいません。

ミーナ:ミーナです。お願いします。自分のことをしっかりしていないと、トランスジェンダーだということは自覚できないと思いますし、自分の意思をしっかり持っていないと、学校を辞めて自分の道を進んでいく、ということを決めることはできないと思います。私は正直、自分が何になりたくて、これから何をしたいのか、分からなくて。なので、聞きたいことは、どうして自分のことを理解できたのか?どのようにしたら、自分のことを知って、自分の意思で行動できるのか?教えていただきたいです。

大臣:まあ、哲学的な質問ですね。5時間、7時間も議論できますね。でも5分しかありません。ですので、ちょっと短く言わせてください。私自身の経験は、私は、自身であるのは、私が、私のコミュニティの文脈、背景の中に入り込むことによって、はじめて部分である、といいます。アメリカでは。部分といえるのは、我々は自分自身では完ぺきではなく、コミュニティが完成させることで、我々が完璧になる。というのは、我々は関係性を持って、成り立つわけです。中心的な人間というのはありません、個人というのはありません。我々は星座の星なわけです。それで、人間性の関係性があるわけです。ですので、従来と違うコミュニティに存在しているので、この重なりで私を定義付けるわけです。たとえば、個人のための個人か、ではなくて、コミュニティを探し出すこと。ほんとうに時間を過ごすのが楽しいコミュニティを探すわけです。でも一つのコミュニティに閉じこもるのはいけません。そうすれば、5つ6つ、7つの違うコミュニティの一員で、違う考え方、見方、価値観があるわけです。でも、ご自身は、この違ったコミュニティを、その知識を共有できるという、非常にユニークな個人です。だから、パズルのピースというわけです。ですので、コミュニティを一緒につなげるピースです。そうすれば自分自身も分かるわけです、で、また同時にコミュニティに自分自身が溶け込むわけです。ちょっとこれはパラドックスですけれども、でも実際こういったことではないでしょうか。

ミーナ:ありがとうございます。

司会:ありがとうございました。たくさんの質問が飛んで来まして、すごくビックリしました、なのですけど、時間がもう迫ってきましたので、まだまだお話したいことがあると思うのですが、最後に、タン大臣から若い人たちに、一言お願いしたいと思います。お願いします。

大臣:ありがとうございます。非常に洞察力のある、深い、そして個人的な、そして率直な質問をありがとうございます。感銘を受けました。これは始まりに過ぎません。我々のコミュニケーションまた関係性の初めでしかありません。この、第1回目、皆様に語り掛けてくれました。皆様に、私が訪問するとき、バーチャルでも本当に、実際にお会いする時は、より我々の相互の理解を更に深化させることができるでしょう。我あれがny-ロ現パスタですね。はい。

司会:ありがとうございました。タン大臣、ここで一つちょっと、無理なお願いがあるのですけれども。あと30秒のお時間をいただければ、私達皆さん、タン大臣と写真を撮りたいのですがよろしいでしょうか?

場内:(拍手)

司会:無視にお願いしてと、思うんですけど、ぜひお願いします。大丈夫ですか?はい、じゃあ皆さん前の方に、どうぞ。早く。もう時間がないですので。これはチャンスです。はい。

県側:(コロナなので、密になるので、ちょっとここでは)

司会:ああそうですか、ああ、ごめんなさい。戻りましょう。あの、ごめんなさい、密になりますので。(として、この動画がYouTubeを通じて公表されることから、密を演出することは避けたいとの釈明を中国語で伝えてから)ここで私たち、先に台湾の言葉を学びましたよね?ここでタイ大臣に、皆さん、せいの、で、ありがとうございます。中国語でOK?はい、せいの…

場内:謝謝。

司会:はい、握手でお送りください。

場内:(拍手)

司会:でもタン大臣、待っていてください、私達はタン大臣と写真をとりたいんです。はい。
**********

■このやりとりを視聴した筆者の台湾の親戚筋からは、日本の若い世代の皆さんの英語力が素晴らしいとの感想が寄せられました。堂々と英語で質問する姿は、やはりかつての日本人のイメージとは異なるようで、筆者としても嬉しく思った次第です。

 なお、以上のやりとりの文字起こしの内容に何か不都合な箇所があれば、ぜひご指摘ください。

【10月15日追記】
 2021年7月8日に群馬県台湾総会が県と共催で行った台湾フェアのイベントの目玉として実施されたオードリー・タン大臣と一太知事との対談が、ようやく字幕入りバージョンでアップされました。当時、群馬県はすぐにタン大臣の発言の和訳化と一太知事の発言の英訳化をスーパーインポーズしたバージョンを作成して公表すると言っていましたが、結局、実現したのは3か月半も経過したあとだったことになります。
 お待たせしましたが、どうぞご視聴ください。
**********Tsulunos2021年10月15日
台湾フェア 県知事とダン大臣との対談字幕入り
https://youtu.be/BC1y5-MBpBc

【Yukemuri Forum 2021】Audrey Tang and Ichita Yamamoto: A Future Created by Digital Technology
2021/10/15
Audrey Tang, Digital Minister of Taiwan × Ichita Yamamoto, Governor of Gunma Prefecture
As the main event of Taiwan Fair in Gunma 2021, Governor Yamamoto talked online with Digital Minister Audrey Tang of Taiwan.
Minister Tang has been fostering social innovation by using digital technology and has attracted much attention from around the world, particularly for facilitating the development of a mask map app that has helped Taiwan during the COVID-19 crisis.
After speaking with Governor Yamamoto, Minister Tang answered questions and talked with students in Gunma.

「台湾フェア in 群馬 2021」のメイン企画として実施した、台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンさんと山本知事とのオンライン対談の字幕版です。発言の日本語部分に英語字幕、英語部分に日本語字幕を付しています。同時通訳による動画は以下をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=4U63BxS2d-g&t=0s

●Timestamps
0:00~ : Opening 
02:26~ : Dialogue between Minister Tang and Governor Yamamoto
      A Future Created by Digital Technology
47:48~ : Q&A session between Minister Tang and Gunma students
**********



【群馬県台湾総会書記からの報告・この項おわり】


※関連報道
**********読売新聞2021年07月11日05:00
山本知事とオードリー・タン氏が対談
~多様性社会実現へ対談~


オンラインでタン氏と対談する山本知事(右)(県庁で)
 山本知事と台湾のデジタル担当相、オードリー・タン氏がオンライン上で対談し、多文化共生社会の実現やデジタル技術の活用などについて意見を交わした。
 8日に行われた対談は県庁で行われている「台湾フェア」の関連イベントとして実施された。プログラマーとして活躍していたタン氏は、台湾史上最年少の閣僚になったことで知られる。
 山本知事からの多文化共生社会の実現についての質問を受けたタン氏は、「心が軽くなるような楽しさが重要。今の公共サービスにはユーモアや想像力が足りていないように思う」と指摘。また、タン氏が若者が豊富なアイデアを持つことを示唆すると、山本知事は「高校生の知事アドバイザーグループの設置を真剣に考えたい」と応じていた。
 タン氏と県内の高校生ら18人が議論する場も設けられた。高校3年の男子生徒(17)は「人間と人工知能(AI)は共存できるか」と質問。タン氏は「人のコミュニケーションを支援するので、共存するだけでなく繁栄することができる」と答えていた。
 台湾の文化や自然、県内とのつながりを紹介する台湾フェアは14日まで。県庁1階県民ホールでは、台湾の景勝地の紹介や、県内市町村と台湾の友好協定都市との交流の記録を展示している。また、インターネットに特設サイトを設け、観光名所の空撮映像や、台湾料理の作り方、茶園の紹介を掲載している。
 県民ホールでの展示は、午前9時~午後5時。
**********

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【台湾フェアin群馬2021】台湾のタン大臣との交流区画その1…一太知事のオンライン対談の一部始終

2021-07-20 23:26:00 | 国内外からのトピックス
■今年のコロナ禍での台湾フェアが成功裏に終了しましたが、その中の目玉イベントであった台湾のデジタル担当政務委員(閣僚)、唐鳳(オードリー・タン)氏と山本一太知事とのオンライン対談や県内高校生18名+大学生2名とのトークセッションが7月8日(木)午後6時~7時半に予定通り開催され、山本一太知事と若者ら20名が県庁32階の官民共創スペース「NETSUGEN(ネツゲン)」に集合し、熱いトークが交わされました。イベントの様子は県公式ユーチューブチャンネル「tsulunos(ツルノス)」でライブ配信され、現在でも視聴できます。

オンライン対談する山本知事(手前)と唐氏

**********上毛新聞2021年07月09日11:00
接種の加速にデジタル活用 知事と台湾担当相対談
 デジタル技術でマスク不足を解消した立役者として知られる台湾の唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当相と山本一太群馬県知事のオンライン対談が8日、県庁で開かれ、新型コロナウイルス対策などを巡って意見を交わした。
 唐氏は台湾のワクチン接種予約システムを説明し、「接種の加速はデジタル技術で支援できる」と強調。山本知事がコロナ下で過密の少ない地方都市の再評価が進む現状を指摘すると、「オンライン会議の普及で地方都市は世界とつながり、国際舞台に発信できるようになった」と応じた。(西山健太郎)
**********

 このイベントでは、タン大臣と一太知事との対談が50分間、そして、各高校を通じて申し込みがあった50名の高校生から抽選で決まった18名と大学生で応募のあった2名の合計20名の若者らとのトークセッションが40分間おこなわれました。

 この動画は以下のYouTubeで見られますが、当会ではこの度、動画の音声から、やりとりの内容について、文字であらわすための作業を続けてきました。

https://www.youtube.com/watch?v=4U63BxS2d-g

 7月18日までに作業の半分程度を終えましたが、ひょっとしたら群馬県で既に同様な作業を既に済ませているかもしれないと思い、同19日午前、県庁6階を訪れて秘書課に問いあわせた所、10階の地域外交課で同様な作業を進めていることが確認できましたが、まだ作業完了していないということで、当会の作業の進捗と同程度であることがわかりました。

 音声データを聴いてみると分かるとおり、同時通訳の声がタン大臣の肉声にオーバーラップしているため、英語の音声がハッキリと聞き取れません。そのため、タン大臣の肉声がわかる英語の音声データの提供も、県に求めたところ、地域外交課の話として、秘書課と通じで分かったことは、タン大臣の事務所との約束で、群馬県として、YouTubeに、同様に英語バージョンの動画もアップすることになっていて、これも編集作業を経てから実施する予定だと言うことです。ただしその時期は未確定とのことでした。

■そのため、タン大臣の発言部分は同時通訳の音声データをもとに描き起こしてありますが、全体的に発言の趣旨はお分かりいただけると思います。それでは以下に、7月8日のオンライン対話の一部始終を文章で掲載しますので、ご確認ください。

**********
司会:只今より台湾、オードリー・タン大臣と群馬県山本一太知事とのオンライン対談を開催いたします。私は群馬県台湾総会ウタサトと申します。宜しくお願い致します。

場内:(拍手)

司会:はじめに、本日こちらの会場には多くの方が出席しているため、群馬県側は全員マスクを着用しておりますが、ご理解いただければ幸いです。それでは、県台湾総会を代表しタン大臣に謝意を申し上げたいと思います。(中国語挨拶)
簡単にさきほどの内容をちょっと日本語で説明させていただきます。タン大臣、お忙しい中にもかかわらず、私たちの要望に応えていただき、群馬県、そして群馬県の若者の皆さんのために、このような機会を与えてくださり、誠にありがとうございます。限られた1時間半ですが、おそらく参加者にとって大事なひと時になることでしょう。そして、今回の対話を通じて、新しい発想が芽生えてくるかもしれません。大いに期待したい、という内容でした。はい。

場内:(拍手)

司会:それでは、山本一太群馬県知事に進行をお願いしたいと思います。山本知事よろしくお願い致します。

知事:はい。えー、オードリー・タン大臣。初めまして。群馬県知事山本一太です。群馬県は、私のもとで昨年、新しい総合計画、群馬県の未来図である新しい総合計画をまとめました。その中で、群馬県の20年後の姿を描いたビジョンというものを発信いたしました。そのビジョンを一言で言うと、こういう文言で表現されています。「群馬県が20年後に目指す姿は、群馬県民すべての県民が、年齢、性別、宗教、国籍そして障害の有無等にかかわらず、誰一人取り残されることなく、それぞれが思い描く人生を生き、幸福を実感できる、自律分散型の社会」ということです。こういう理念を県で掲げた知事として、私が今世界で一番お話をしたい、いろいろと、お聞きをしたい、その一人がオードリー・タン大臣ということで、今日はですね。こうして大臣と対談をする機会をいただけたことを大変嬉しく思っておりますし、また、今や台湾のデジタル政策を牽引する世界的な注目を集めるオードリー・タン大臣と、こうしてお目にかかれる、いろんなお話ができる、ということを大変光栄に存じております。まず冒頭ですね、せっかくなのでタン大臣に、群馬県の簡単なご紹介をさせていただきたいというふうに思っています。私が知事を務めるこの群馬県は、いわゆる東京中心とする首都圏というところに位置しております。東京からは、新幹線で1時間弱の距離にありますが、東京に近いんですけれども、非常に雄大な自然に囲まれたとっても素晴らしいところです。とくに有名なのは温泉で、私のふるさとでもある草津温泉、伊香保温泉、水上温泉、四万温泉という4つの温泉郷があって、観光地としても大変賑わっている日本一の温泉県と言ってもいいと思います。さらに、農業も畜産業もとても盛んで、たとえばキャベツは全国一の生産量を誇っています。ものづくり産業も非常に盛んな場所です。同時に今ですね、日本政府も、そして、地方の政府もそうなんですけども、二週間後に控えた東京オリンピック、パラリンピックに向けて、とにかく新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための、この拡大を防ぐための様々な対策を講じています。残念ながら、なかなか今、東京の状況が厳しくて、今日政府が正式に、東京に4回目の緊急事態宣言を適用するという流れにはなっていますけれども、群馬県もこの中で様々な新型コロナ対策を講じてまいりました。幸いなことに、現時点で言うと、群馬県は、首都圏の中でも、ずば抜けて感染者数が少ない。感染率を低く抑えられております。ただ、東京の影響を受けやすいということもありますし、首都圏全体がですね、感染者リバウンドの状況に見舞われているので、なかなか油断はできないと、緊張感をもってですね、日々、知事として、県政を運営しているというところです。今日は大臣に最初にお聞きしたいことがあります。台湾がこの、COVID-19,新型コロナ対策において、やはり世界で最も成功した国家のひとつであるという、この事実は疑う余地がないという意味では思っています。タン大臣が打ち出したさまざまな斬新な政策、たとえばシビック、あのう、なんていうか、市民の力を活用したシビック・テクノロジー等々を駆使したマスク配布のですね、マップの開発とか、或いはデジタルを使ったさまざまな、なんていうか、発信のアイデアとか、私自身も大変勉強させていただいておりますし、日本を含む世界が台湾の実績から学ぶべきことは非常に多いというふうに思っています。このことを前提にですね。ご質問をしたいと思うんですけれども、その中でもですね、この5月、台湾で、ですね、感染の再拡大が発生をしました。これは、再拡大といっても、日本とかヨーロッパから比べればかなり低いレベルでありますけれども、5日間で1万人ぐらいの感染者が出たという状況になっています。タン大臣もですね、ずっとこう台湾のメディアをフォローしているんですけれども、たとえば、この間、確かですね、ワクチン接種の予約システムを作られたということもうかがってますし、これが台湾の国民の皆さんのカードとか、あるいは、その、保険証のカードとか、だけでも申し込むので申し込むのではなくて、もうちょっとスマホに弱い方々や弱者にも配慮してですね、もう、コンビニでも予約ができるようにしたと。こういう情報もいろいろと入ってきています。で、こういう状況の中、台湾で初めてコロナが始まってから本格的な再拡大があるという新しい状況の中で、タン大臣が、台湾政府がこれから、この状況にどうやって対応していくのか。勿論台湾はですね、タン大臣の、実は、この対談のまえに、書籍も何冊か読ましていただきましたし、大臣が各県の知事と行った対談とか、或いはIBMジャパンで基調講演されたのは全部昨日聞いてまいりましたので、勿論、台湾はですね、タン大臣を中心に進化を続ける民主主義、オープンガバメントを通してですね、この逆境を当然乗り越えてゆくというふうに確信をしておりますが、この新しい状況を、タン大臣がどう捉えておられるのか。そしてこの台湾が、おそらくCOVID-19が発生してから初めて直面したこの状況をですね、どんな戦略で乗り越えていこうとしておられるのか、さらには、大臣がですね、デジタル担当大臣としてずっと大事にしてこられた、いわゆる、その、政府と国民、政府と市民との信頼関係ですね。これは勿論、確固たるものがあると思いますが、今、蔡英文総統のワクチン、政策を巡って、台湾の国内でもいろんな意見や批判がでてきているということで、ある意味、この国民と市民、政府と市民、政府と国民とのこの信頼関係が試されているという、タイミングでもあるのかなと、いうふうに思っていますけども、そこら辺のことについて、タン大臣の考えをまず、群馬県知事として今県内の県民コロナ感染者を抑えて県民の命と健康を守るために、全力を尽くしている知事として、まずそこから、大臣のお考えをうかがえれば幸いでございます。

大臣:知事ありがとうございます。よろしいですか。聞こえますか、この機会をいただき、ありがとうございます。意見交換の機会をいただきました。まず、皆さまに対して、日本の人々、日本政府の、第2回目のワクチン、アストラゼネカのワクチンを寄付していただきありがとうございます。この2回分のワクチンの寄付がなければ、私は、個人的にも2回目の接種を受けることができませんでした。2回目の接種を受けましたので、ほんとにまた、あちこち行けることが出来ました。本当にありがとうございます。日本からのワクチン、そして米国、そして寄付をいただきましたわけなんですが、アストラゼネカとモデルナのワクチンの出荷が、また我々のところにきているのですけれども、1週間に100万回の接種が行われております。つまりは、我々のアクチン接種のスケジュールが加速しております。それが可能になっているのは、直近に第1波、これがほんとうに台湾において最初の第1波ですね。今、足元、今日なんですが、18人の感染者です。さほど高い率ではありません。でも1か月前のそのピークを覚えていますので、ほんとうにまだ記憶に新しいわけです。ですので、記録的な数でワクチンの接種を受けております。1回目の接種の時は、4月半ばだったのですけど、友人ですとか家族に「ワクチンを受けてください」と説得しなければいけませんでした。ほんとに私の言葉を聞きはしませんでした。まあ、台湾は本当に、市中感染がなかったわけですので、ワクチンを受けるなんてちょっと変わっているなと思われていたわけです。でも、こうやって2回受けて、海外にも、台北市内ですね。でもその、まあ3か月ですけど、台湾人の生活に非常に大きな変化がありました。ワクチンの接種が加速するには、我々の戦略の上で重要なのは、これはデジタルテクノロジーで支援ができることだと思います。これを世界中で見たわけですけれども、ひとびと違う、ワクチンの種類ですが、好まれる種類として、台湾では、モデルナが、アストラゼネカよりもいいと言う人もいます。でもアストラゼネカのほうがモデルナよりいいと言う人もいるわけです。デジタルテクノロジーにおいて非常に幅広い調査、アンケートをしました。本当に今日が正式なキックオフだったんですけれども、台湾の人全員に対するアンケートですね。まず、50歳以上のかたが、リスクの高い人たちなのでワクチンを受けるわけです。ですがただいまで、50歳以上のひと。もしくはまあ、基礎疾患でリスクがある人々、このふたつのグループの人たちに対してアンケートを取りました。どちらがいいですか、モデルナですか、アストラゼネカですか、それとも、どちらでもいいですか、ときくわけです。それで何百万の回答がくるわけで、それは携帯電話の番号があって、で、どこの県でワクチンを接種したいのかと、いうことで答えが入ってくるわけです。そして、日本からの寄附を頂いてその数週間、その在庫が分かるわけですね。例えば、アストラゼネカを受けたいという人に対してそれを摂取できるわけです。例えば160万のワクチンの数があると、ぴったりそれを出荷して、そして、アストラゼネカが欲しいと言った人たちに対して、それをきちんと出荷できるわけです。ですので、この人たちが接種に来るんだな、ということでムダにならないわけです。そして、急にキャンセルが有ったり、急にやめたりということがないわけです。本当に接種を受けたいという人が来るのできちんと接種ができる。この需要のアンケートを取ることによって、実際にワクチンのどの種類がほしいのかということは、このアンケートがとれて我々のワクチンの接種回数を加速することが今後できると思います。

知事:ありがとうございます。やはり、これは台湾の制度もそうだと思いますが、特にオードリー・タン大臣がですね、台湾のデジタル化というものをかなり加速させたということがあるのですが、例えばVガバメントとかですね、ジョインとか、いわゆるその、国民の声を直接吸い上げる仕組み、それから政府の方から直接数多くの国民に届ける。そういうその、デジタルの仕組みを作っていくというところがあらためて台湾の強みであり、タン大臣のですね、やっぱり、すごいところだな、ということを感じました。なかなかまだ群馬県はデジタル後進県だったものですから、私になってから一生懸命デジタル化を加速しているんですが、やはりタン大臣がいつもおっしゃっているように、インターネット、デジタルというものは、間接民主主義の弱点を補うと。つまり大勢の人たちが、タン大臣がよく「傾聴」とおっしゃってますけど、意見にしっかりと耳を傾けるためのツールとして非常に有効だという話をですね、ご著書のなかで読んだんですが、群馬県としても少し、タン大臣がずってやっているように、こうしたデータ分析ができる仕組みを、シッカリ我々もつくっていこうと、今の話をうかがいながら思いました。あの、そこで台湾の政策については、お聞きしたいことも山ほどあるのですけれども、時間も限られていますので、ちょっと次のトピックにいかせていただきます。あのう、タン大臣、私は群馬県知事になる前に、24年間、与党自民党の国会議員を務めておりました。で、第2次安倍政権では、内閣の特命担当大臣を経験して、その時には、ITとか科学技術の、実は担当もやっておりました。で、あのう、国会議員の仕事はですね、これも今、タン大臣が、日本で言う閣僚としてご活躍をしているので、よくお分かりと思うんですけども、国会議員の仕事は、やはり一言で言うと、ルールメーカーともいうべきものであり、法律を作る、制度を作る、これはものすごく大事なことだとうふうに思っていす。で、20何年間か国会議員を経験して群馬県知事になったわけなんですけれども、まあ、知事はですね、あの、大臣ご存知のように「ガバナー」ということで、まあ、議院内閣制ではなくて、県政というものは大統領制に近いので、知事は知事として、国会議員のときは、ルールメーカーのひとりだという意識だけども、知事はいわば現場のプレーヤーの代表という感覚があってですね、まあ、同じ地域で頑張っている私もここで生まれたんですが、県民の代表をして仕事ができるという醍醐味みとか、やりがいもですね、大変感じているところなんですね。その中でタン大臣、あらためて思うことはですね、いかなる状況であろうとも国であろうと地方であろうと、一番大事なことは教育だということなんです。で、実はあのう、群馬県でもですね、さまざまな教育イノベーションを進めています。タン大臣がですね、やはりイノベーションの基礎というのは、これは耐容の精神と、インクルージョンであると。すなわち、誰も取り残さずに、やっぱり、しっかり皆に参加してもらうということだとおっしゃっているんですが、群馬県もそういう精神のもとで今、一生懸命教育イノベーションを進めています。そこで実は、群馬県はですね、これからの時代に育てたい人材ということで、こういうコンセプトを建てました。「始動人」というのですが、これやっぱり、日本の台湾の共通のところで、漢字を見ればすぐにタン大臣に分かっていただけると思うんですけども、「始めて動く人」と書きます。これ、始動人というのはどういうものかと言いますとね、戦後日本が、いわゆるその戦後の成長時代にですね、大量消費、大量生産の時代があったわけなんですけれども、この時代はやはり皆と同じ方向を向いて狂騒する人にスポットが当たっていたと思うんです。例えば、いい大学に入るとか、或いは大きな企業に入るとか、こういうところの競争で秀でた人たちにスポットライトが当たっていたと思うんですが、やなり群馬県が考えているのはですね、今、これだけ変化の激しい時代、明確な答えがない、人の価値観もものすごく多様化している中で言うと、そういう皆が同じ方向を目指していく中での競争ではなくて、自分の頭で生き抜く力、例えば今迄、人が目指していなかった領域を目指して歩き出す力、そういう勇気を持っている人、これを始動人というふうに呼んで、こういう人が生まれやすい環境を作りたいと、そのためにはタン大臣と全く同じ感覚なんですけど、寛容性、そして多様性を受けられる、やっぱり、教育が大事だと思っているんですが、あのう、まずタン大臣にこの考え方についてどう思われるのかということと、タン大臣がご覧になってですね、このデジタルイノベーションの時代に求められる人材の姿、いわゆるこれから若者、子ども達も若者達もそうなんですが身につけておくべき素養と言うものはどんなものがあるとお考えになっているでしょうか?

大臣:ありがとうございます。私も強くイニシアチブをとることを信じております。カナダのシンガーソングライターのレオナルド・コーエンですけども、どんなものにも、ヒビがあると。そのヒビから光が入って来るんですね。ですので、ヒビというものが悪いのではなくてヒビに感謝するわけですね。これをチャンスと見るわけです。そして、イニシアチブをとって新しいアイデアを、これを採り入れるわけです。また、同時にダイバーシティ(多様性)というものが、もし、人々が誰の立場もとること、学ぶことが、一番よいと思います。どちら側に立つではなくて、違う立場の人たちを同時にみる、理解することですね。価値は今、多元的です。たとえば、経済的な発展も、それも重要だと言う人もいるでしょう。でも、地球全体をまた環境を非常に気にする人がいます。また、社会的な平等性、ということが、40年前よりも、非常にやっぱり重要性を帯びてきています。ですので、このような多様な見方があるので、そして、イノベーションを誰も取り残さない、どの価値も取り残さないということが重要です。人を取り残すのではなくて、たとえばアイデアを推進する、例えば循環景気で、例えば、古いジーンズからファッショナブルな衣類を作る。これは経済的にも環境的にもいいわけですね。そして、それをまた仕事にする人にとって、世界的平等性が維持されるわけです。これが、こっちかあっちかではなくて、我々は常に、すべての(SDGsの目標である)17の価値というものを、持続可能性に取り込むということが大事だというふうに思っております。

知事:ありがとうございます。あのう、タン大臣が多様性というキーワードをおっしゃったんですけども、群馬県はですね、私が知事になっていくつかのベクトル、新しい機軸を打ち出しておりますけれども、その中に、えー、多文化共生・競争、ともに作るというコンセプトがあります。たとえば今、群馬県にはですね、ここで住んでいろんな場所で働いておられる外国籍のかたがたが大体3%くらいいるんですけども、こうした方々のことを私は外国籍の住民ではなくて、「外国人県民」と呼んでいるんですね。そして群馬県を発展させていくためには、いつも大臣がおっしゃっているとおり、やっぱり、多様な価値観を持った人々が集まることが大事だと。我々は、この外国籍の県民の皆様も仲間として協力をして、群馬県を発展させていくべきだというふうに思っていまして、群馬県はですね、この多文化共生・競争というコンセプトを、とくに外国人の方が群馬県にというか、全国に増えてきている時代の中では、初めて47都道府県に先駆けて、これを推進する条例も作りました。やはり大臣がいつもおっしゃっているように、同じ、なんていうか、考えを持った人たちが行政の中に来たら結局同じものしか生まれないので、いろんな、世の中には人がいると。大臣が常に「傾聴」というお言葉を使いますけれども、自分と違う意見の人にも耳を傾けて、やっぱり世の中にはこういう普遍的な価値があるとか、こういう見方もあるんだということを考えながら、やっぱり、進んでいくことが、タン大臣のおっしゃるインクルージョン、すべての人たちに参加をしてもらって、政治をつくっていくということにですね、繋がるんじゃないかということを、今あらためて、感じました。大臣、これも何度もいろんなところでお聞きされているんですけれども、この多文化共生というコンセプトを、なかなか、保守的な、群馬県で、進めていくというのは、なかなか大変なことで、このコンセプトをまとめる時も、なかなか最初は理解していただけない方もいたので、知事が県内中、すっと行脚しながら、ワークショップみたいなものをやりながら、何とかこの計画を県議会にも認めてもらったのですが、大臣から見て多文化共生の社会をつくるためのカギって、いろいろあると思うんですけれども、一番大事なことを一言で言うとなんでしょう?

大臣:はい、一番重要なことは、楽しいということですね。これはあまり、いわゆる公共サービスではあまり強調されないのですが、この社会イノベーションの別の柱、ファスト、フェア、ファン。早く、公平で、楽しいという事ですね。われわれ公共部門で働くと、効率性、平等、非常に重要ですね。しかし、ユーモア、楽しさ、そしてほんとに活発な議論、会話をするということ。無限のイマジネーション、クリエイティビティ、アート、芸術、デザイン。これらがまあ、足りないみたいです。ほんとうに、パブリック・ヒヤリングとかしてみると、そういうものが足りないように思います。ですので、過去4、5年の私の考え方は、ユーモア、楽しさ、そしてほんとに心が軽くなるような楽しさ、というものが公共サービスに紹介することです。ですので、私のイメージは、日本人のラップのかたがたがリミックス(注;複数の既存曲を編集して新たな楽曲を生み出す手法の一つ)をしてくれますね。まあ、ヒップホップで、リミックスをしてくれますよね、日本の方も。そして台湾の人たちもそういったリミックスをしてくれます。ですので、ただ単に、そのことの魅力だけでは無くて、それがどのくらい、それがアクセスしやすいのか。例えば、何かに集中するという意味では、例えば台湾では総統杯ハッカソン(注:hack(ハック)+marathon(マラソン)からの造語で、ソフトウエア開発者が、一定期間集中的にプログラムの開発やサービスの考案などの共同作業を行い、その技能やアイデアを競う催しのこと)というイベントがあるので、そういったことに、楽しさをもって参加すると、普通ではないような、何か楽しいことが起こるのではないかなと期待が高まり、そして、これを話題に乗せる。そして社会的にこれが改善につながるわけです。たとえばジョイントフォームでは、これは、アピールがあったわけですね。台湾のタイムゾーンはGMT(グリニッジ標準時)プラス9。それを「日本と一緒の時間帯にしろ」というようなアピールがあったわけです。ですので、それでも、その反対する反動として、今の時間ゾーンでいいんだと。これはちょっとふざけているようなんですけれども、でもほんとに皆が意見をオープン言うことの証左だと思うんです。この2つの、訴えの言い続けた人たちを同じ部屋に入れて、そして競争を促したんですね。そして両方が、人権として、デジタル民主主義というものを世界に拡げようと、そちらの方が国際な舞台では重要だろうと。そのタイムゾーンを変えるだけでなく、勿論それはニュースになるんですけれども、もしかしたら悪い意味かもしれませんね。それでも、そんなことになっても、それぞれ2日しか持たないわけです。ですので、両者は「台湾をより世界政治に上げよう」と、もともとのアイデアではなくて、その、タイムゾーンを変えるというだけではないわけですね。ですので、このように楽しくやっているんですよと。まあ、競争が魅力、非常に違う立場でも共通の視点が、これが適用され競争できるわけです。

知事:ありがとうございます。私の問いは多文化共生・競争を進めていくうえで、えー、カギとなるものは何かということに関してですね、タン大臣が「楽しいことだ」と。これはとても日本語でいうと目から鱗でした。やっぱり人間は楽しいとみんなが参加しやすい。楽しい事にならないと共鳴を覚えないということなんだろうなと思います。そこで、今の大臣のこの「楽しい」という言葉から、ちょっと次の質問に移っていきたいと思います。やはり、タン大臣が世界的に注目された理由のひとつはですね、やっぱりデジタル時代のコミュニケーション能力ということだと思うんです。とくに、そのパンデミックのような危機的な状況に置かれた時には、行政としては、やはりあのう、市民とか国民とのリスクコミュニケーションというものがすごく大事になってくるわけですよね。で、例えばデジタルは、これは大臣には釈迦に説法ですけれども、インターネットにも光と影があって、大臣が著書でお書きになっているように、デジタル民主主義にも、いいところばかりでなくて課題もあるということだと思うんですけれども、例えば群馬県はですねインターネット上の誹謗中傷で被害を受けた方々を、支援をするという条例を47都道府県ではじめて実は、先般、制定をさせていただきました。で、インターネットの情報というのは、勿論玉石混交で、人を傷つけるような、ものもあるということで、普通の為政者だったら何を考えるかと言うと、そういうことを取り締まっていこうと、むしろ、そういうなんて言うのでしょうか、発信がないように、罰則を強めていこうみたいな発想をするところ、ですね、やっぱりタン大臣が、おっしゃった、ほんとの名言だと思うんですけれども、あのう、「Humor Over Rumor」というね。つまりデマに対抗するのはユーモアであると。で、こういう形でやっぱりデジタルから、いわゆるデジタルを使っている方へのメッセージ、使うのに、ユーモアを使っていると、あのう、私も、ハッキリ覚えていないですが、たしか、日本の柴犬のチャイとかチャンとかいうイヌを使ってですね、たしかなんか、手を洗おうという運動だったかマスクだったか、あれ見たらみんなやっぱりすごく嬉しくて、なんか面白いねと言って友達とシェアすると思うんですよね。で、大臣に聞きたいのはそういうあのう、エピソードは、タン大臣、沢山あるのですけれども、政策のなかで。デジタル自体のコミュニケーション、どうやったら、まあ、あのう我々が目指す、台湾はこれを実現しているわけなんですが、行政と市民、国民の間の、信頼関係を作るための情報発信ができるんでしょうか?

大臣:そして、信頼を得るためには、信頼をすることです。ですので、公務員に対しまして、人々を…国民を信じなさいと、もしかして信じ返さないかもしれないですけれども、まず我々の方で国民を信じることです。どのような資質をみせるかということなのか、我々は透明性、透明にするわけです。あのう、たとえばロビーイストですとか、ジャーナリストとの、私のミーティングは全て記録して、それが議事録、そのビデオをすべてオンラインに公開します。ですので、私のYouTubeチャンネルをフォローしていると、実際に私の生活、私の仕事を、リアルタイムで見られるわけです。そしてジャーナリストが質問をすると、ジャーナリストのほうで、人々のそういった知識に貢献しているので、コンテキスト、文脈からそれをとりださないわけでう。すでに出版したテキストがあるわけなので。ロビーイストは私が信頼しているということを見るわけです。もしか、カメラとかテーブレコーダーを指して、これが皆様の将来世代の時計ですと、いうわけです。見ているわけですよと。ですので、未来の世代のためのことしか我々は議論するわけですね。短期的なことではなくて長期的なことを議論するわけです。ですので、その、競争ということがこれに繋がるわけです。また同時に、こうやって見せることによって、我々の世界がどのように影響があるのか、それを前向きに捉えてくれると思います。それが非常に劇的な透明性ということを私は主張しているわけです。その持続的な成長に対して、ロビーイストがその反対の議論したものがありません。全部、公開されてしまうので、彼らにとってもそれはまずいわけですね。ですので、このようなことが、ほんとに、公開する、透明性ということが非常に重要です。ですので、対話というものが促進されて、そして、その根底に信頼があるわけです。また、二人ですから、公開されないような議論だとこの二人にしか信頼関係が無いわけですけれども、こういった形ですと、みんなに信頼が醸成されるわけです。

知事:ありがとうございます。今、大臣の方から行政の市民、まあ、あのう、政府と国民と言ってもいいと思うんですけども、その信頼関係を作るための最初のカギは、まずこちらから、行政が国民や市民を、県民と言う方があるかもしれませんが、信用しなければいけないという話があったのと、あるいはすべてのやりとりは、やはりオープンにする。まさにオープンガバメントで、これを公開することによって信頼関係の基礎が築けるということですね。あらためて気付かされた感じがします。で、大臣、もう一つ、少しまた別の話題のほうに行きたいと思うんですが、大臣が、あのう、将来世代ということをよくこう、今もおっしゃっているんですけれども、今日はですね、私と大臣とのこの対談のあとにですね、群馬県の若者、高校生、大学生とかですね、タン大臣といろいろ意見交換していただけるということで、大変ありがたいと思っているのですが、実は、私はですね、このタン大臣が発明したのか、もともと台湾にそういう制度があったのか分かりませんが、私は台湾の制度で、ぜひ群馬県に取り入れたいというものがあります。それは大臣がいろいろな講演でもおっしゃっているんですが、「リバースメンター」という制度です。これはつまり、普通はだいたい人生経験のある大人がですね、子どもにメンターをする。つまり家庭教師ではないですが、いろいろ教えたり導いたりすると。このリバースメンターというのは逆で、むしろ若い人たちが、年配の人たちにアドバイスをする。これを指導するという考え方ですよね。で、大臣の著書を拝見してすごく面白いなと思ったのは、これからのデジタルフォーメーションのカギは、いわゆるデジタルネイティブが握っていると。つまりデジタルをものすごく自然に使いこなせる若い世代が主役になるんだということが書いてあるんですね。タン大臣、私は63歳で、年よりもなんか子どもっぽく見えると言われるのですが、63歳なんですね。で、私が今の実は、政府からリクルートしてきた、えー、若い副知事は、タン大臣と同じくらいの世代で、勿論ITとかAIとか、最先端のことにとっても詳しい人なのですが、タン大臣とか、私が、あのう、経済産業省から引き抜いたというか、お願いして来てもらったオルガ副知事の世代。この人たちを、タン大臣はですね、デジタルネイティブではないと。どっちかというとデジタル移民だというふうにおっしゃっていて、実はデジタルネイティブはきょう来られている高校生、大学生だと思うんですけれども、ほんとうに15,16歳くらいから下の人たちなんだと。で、この人たちはデジタル先住民であると。この言葉、すごく面白いと思ってですね、タン大臣自身の、あのう、まあ、立法院というか、まあ、日本の国会にあたる大臣をやっておられる時にも、あのう、いわゆるリバースメンターをやっておられたということで、私も若いアドバイザーがいるんですが、あの、大臣がおっしゃっているように、例えば高校生のリバースメンターを知事が持って、今、高校生のなかで流行っているアプリとか、まあ、そのいわゆる高校生ならではのクリエイティビティみたいなものを学ぶ制度ですね。日本で初めて、ちょっと、採用しようと思うんですけれども、いかがでしょうか?この考えについてどう思うのかということと、このリバースメンター制度がいかに台湾の政治に活力を与えているところについて、少しご説明をいただけると有難いです。

大臣:私もリバースメンターでした。ま、このオフィスを与えていらした大臣もリバースメンターでした。私が、そのリバースメンターからこういった仕事をしているわけなんですけれども、テクノ大臣だったんですも、常にしていたのが、彼女は、若い人と、私は若い人と捉えていなくて、サイバー空間で成熟した人間だとみている。でも、私自身もデジタル移民ですね。インターネットに、1993年に移民をしたわけです。でも、ここにいらっしゃる皆さんは、ほんとうの真のデジタルネイティブの皆さんです。ですので、リバースメンターがいわゆる上級官僚として働くときは、すべての可能性を示すことです。なるべくたくさんの、もっとクレージーなアイデアを示すということですね。というのも、上にいる人、私も40でだいぶ年を取りましたね。もう、若者ではありませんね。ですので、私のような年上の人間は、既にいいソルーション、いい答えをしているわけで、そういった訓練を受けたわけで経験もあります。でも、この経験こそが、本当にクレージーなことを考えることの阻害要因になるわけですね。本当に経験のない方が、いいアイデアが出る場合もあるわけです。ですので、若い人々は、信頼されるべきです。本当にクレージーで良いのだと。不可能なことを提案してもいいんだと。そして我々、年上の人間として、そして何かリソースが必要ならば、それを十分に、それの実現可能性というものを実験するリソースを与えることです。例えば、いわゆる、これは無理だ無理だ、というような役割をとるのではなく、我々としては、リソースを提供する人間でなければいけません。若い人々は、我々のサービスを調達して、アイデアは不可能だね、不可能に見えるね、でもこれと、これと、これがあれば、より可能性が高まるるのではないか。で、リソースをどのように提供するか考えてみようと。若い人はリソースがないわけですので、我々の方でリソースを提供して、そして、クレージーな考えを実現する、もしくは、失敗しても、そこから学びがあるわけですので。

知事:ありがとうございます。今日のタン大臣のお話をきいて、群馬県もですね、えー、知事のリバースメンター、つくろうかな、と本気で思っています。クレージーな考え方をもった高校生を周りに集めて、とてもできそうもないアイデアを言ってもらうと。できそうもないと言ってはいけないんだけど、大臣がおっしゃったように、やはり長い間国会議員を経験し、知事をやっていると、どうしても考え方が狭くなってきたり、なんというのでしょうか、柔軟な発想ができなくなってきていると思うので、今日せっかく大臣から良いご示唆もいただいたので、ちょっと、知事の高校生アドバイザー、メンターグループをつくることをですね、真剣に考えてみたいと思います。ありがとうございます。そこで、だんだん時間が無くなってきてしまいまして、もうタン大臣と話したいことは山ほどあるんですが、今日どうしてもお話ししたいことはですね、大臣、今回のコロナ禍、新型コロナが日本にもたらした変化のうちの一つにですね。いわゆる地方、田舎の価値の再定義というのがありました。コロナが起こる前は、やはりすべてこう、大都会、東京中心で、たとえば、その、経済もですね、人を一杯集めて、まあ、ある意味で言うと密ができると。その中から収益を生み出すみたいなビジネスモデルだったのが、例えば東京の満員電車。コロナ感染のリスク、すごく高まりますよね。そういう価値観じゃなくて、むしろ、例えば群馬県のような、東京に近くても、自然が豊かで、いわゆるあのう、こう、広いスペースが有る。こういうところが、実は新しいビジネスモデルの中心になるのではないかというふうに思っているんです。で、大臣が著書の中で例えば5Gのような、新しい、なんというんでしょうか、あのう、システムは、むしろ中央ではなくて地方から定着させるべきだと、いうふうにおっしゃっているんですが、ここで、大臣どう考えているのでしょうか?このコロナ禍がつくってきたものはですね、まあ、もうちょっと大げさに言うとGDP中心の経済成長みたいな考え方、まあもちろん、勿論、経済事情、大事なんですがでも、もうちょっと違った価値観を持ったビジネスモデル、生き方があってもいいのではないかと思っているんです。その中で地方の役割、チャンスというものが、あのう、大きくなっていると思うんですけれど、その辺は大臣、どういうふうにお考えでしょうか?

大臣:もちろんそう思います。台湾では、一緒に進歩というものが、人権だと。過去、コロナのせいで、このことがやはり、理解が出来ました。前は国際会議ですとか開くと、たとえば、空港の近くですか、タイペイですか、そういう大都市で国際会議を開こうと思うわけですね。でも、これがいわゆる、その、まあ、空港の遠いところは、その高速鉄道があるんですけれども、例えば、高速鉄道であればそんなに遠くないんですけれども、でも、例えば、国際会議にはそういった地方都市は開かれないわけです。でも、コロナの中ではこうやって、バーチャルで国際会議は当たり前になりましたよね。そして、どこにいようと、我々がいいブロードバンドの接続さえあれば、ほんとうに、はっきりとお互いの顔が見えますよね。そして例えば、ローカルの問題を、そのローカルの人々を、そして地域の人々を国際的にこれを提供することができるわけですね。高速鉄道、そして高速道路は、都市と都市を繋げるだけですけれども、インターネットは、都市を世界とつなげて、世界が皆さんのお隣さんになるわけです。まああのう、時差とか、眠る時間とか、それはちょっと関係しますけれども。でも、この地方都市が、はっきりと、まさに、はっきり言っていただきました。まあ、どのような問題があるのか、例えば持続的な成長のゴールがあるんだということを、ハッキリこれが発言できれば、今、我々の通訳ですとか、それで会議があって、それを世界中に発信できるわけです。そしてほんとうに、国際舞台に対しても、いろいろ発信できるわけです。これはコロナ後でも、これは続くと思います。本当にインフルエンザみたいになったとしても、こういった傾向が続くと思います。この国際的なつながりというものが続きます。そして、私が、いろいろ飛び回るようなことになっても、私がアイデアも、あと、皆様のアイデア、若い方々のアイデア、たとえば、みんなアイデアがこれが一緒のところにあるわけです。どれほど東京から時間がかかるか、ということは関係ありません。アイデアのおかげで近くなるわけです。このようなつながりで近くなるわけです。

知事:ありがとうございました。今の私の質問に対して大変いいご示唆を頂きました。あのう実は、今言った地域がですね、このコロナ禍で新たな価値を出現しつつあるという点で、群馬県はこの「快疎(かいそ)」という言葉をつくって、これも漢字そのものですが、快い疎、スペースがある、空間があるということで、何となく、こう、なんというのでしょうか、単に空間が広いというだけじゃなくて、そこに何か、その地域独自の魅力があって、人を引き付けるものをやって、その空間にいることによって、より精神的、まあ、肉体的にもより安定した状況になれるというようなところ、目指していることだけちょっとご紹介させていただきたいと思います。あの、大臣、この後もですね。実は群馬県の教育イノベーションについて、大臣が著書の中でもおっしゃっていたとおり、大学でどの科目を、たとえば、選んだらいいかと相談された時に、本当にやりたいことが見つかるまでは大学に行かなくていいんじゃないか、というお話をされていたことも、実はすごく共鳴してですね、その話もちょっと、きょうはうかがいたかったのですが、この後おそらく、若い人たちとのコミュニケーションの中でいろいろお話もされるというふうに思います。あと2分とかいうのが出ているんですのでが、最後に申し上げたいのですが、大臣は、いまも世界中で引っ張りだこで、あちこち飛び回っておられると思います。でも、大臣のインタビューとか著作をきくと、まあ、日台関係についても、非常に大切に思っていただいているということが分かるし、大臣のご両親のお話からもですね、やっぱり台湾と日本の強い絆みたいなものを感じます。あのう、お父様がクリティカルシンキングを教えられ、お母さんからクリエイティブシンキングを学ばれた。本当にすてきなご家庭だったんだなと思うんですけれども、あの、大臣がですね、日本にまた来られる時、お忙しいと思いますが、東京から近いですから、とにかく。少しでも群馬県に立ち寄っていただいて、是非ですね、群馬県のですね、温泉に入っていただきたいと思います。その時は私も大臣に同席させていただいて、まあ4つの温泉はそれぞれ特徴があって、効能も違いますし、あのう、群馬県のそのう、おいしい、なんというか、料理もですね、ぜひ堪能していただきたいので、ぜひあの、日本に来る機会があれば、群馬県に立ち寄っていただいて、ぜひ日本の温泉旅館に一泊をしていただくということを最後にお願いし、今日、大臣とこうしてお話ができたのは、群馬県の台湾総会の皆さんのおかげなので、たいへんありがとうございました。そのことも感謝申し上げて、大体時間になったのでしょうか?最後に、大臣、一言いただければと思います。

大臣:知事、ありがとうございます。本当に対話を楽しみました。勿論、本当に、また海外旅行ができますので、ワクチンのおかげです。ぜひ日本に訪れたいと思います。今年が終わる前に訪れたいと思います。また、スケジュールは、我々の外務省が決定するんですけれども、勿論、お招きありがとうごぞいます。今年1回以上は訪れたいと思います。

知事:ありがとうございました。大臣、私にとってはたいへんゴージャスな時間でした。大臣からいろいろなお考えをいただいご、そのご示唆をですね、これからも、新型コロナ対策とか、群馬県の、その、より進化する民主主義とか、こういうことにシッカリ活用させていただけると思います。重ねて感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

場内:(拍手)

司会:ありがとうございました。お時間となりましたので、タン大臣と山本知事の対談を終了させていただきます。山本知事はここで退席となります。

知事:どうも大臣、ありがとうございました。失礼いたします。

司会:ありがとうございました。

場内:(拍手)
**********

■ここで50分が経過しました。上記のやりとりをご覧いただけばお分かりのとおり、一太知事は、タン大臣のオーラに当てられたためかどうかは分かりませんが、重要な確言を幾つか発しています。赤色で着色しておきましたので、参考にしてください。

 なお、以上のやりとりの文字起こしの内容に何か不都合な箇所があれば、ぜひご指摘ください。

 このあと、タン大臣と群馬県の若者の皆さんとのトークセッションに続きます。

【群馬県台湾総会書記からの報告・この項つづく】

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2年ぶり開催の台湾フェアin群馬2021・・・いよいよ7月8~14日にWEB主体で開催!

2021-07-16 23:41:00 | 国内外からのトピックス
■2016年からスタートした台湾フェアin群馬。回を重ねるごとに、群馬県民の皆様に親しまれており、「今年はいつ開催?」と訊かれる機会が増えた矢先、昨年は中共由来の武漢肺炎ウイルス(COVID-19)の世界的感染拡大のため、中止せざるを得ませんでした。あれから1年。新型コロナ禍で、経済社会の在り方が揺れ動く中、群馬県台湾総会では、渡航できなくても何とかして群馬県民の皆様に台湾の最新事情と日台交流の歴史と今後についてお伝えすべく知恵を絞って準備を進めてきました。その結果、WEB方式を取り入れて7月8日(木)から14日(水)にかけて、「WEB台湾フェアin群馬2021」を開催します。ぜひご期待ください!



【6/25追記】
群馬県HPにも掲載されましたのでご覧ください。↓
https://www.pref.gunma.jp/07/co01_00036.html

【7月1日追記】
 オードリー・タン氏と一太知事とのオンラインや対談や県内高校生・大学生とのトークセッションについて、湯けむりファーラムのHP、Facebook、Twitterを通じてプログラムが発表されました。詳しくは記事末尾を参照ください。

【7/14追記】
 県庁1階ロビーでの展示区画に多数ご来場くださりありがとうございました。また、交流区画と映像区画にも幅広くアクセスくださり、厚く御礼申し上げます。お楽しみいただきました映像区画は本日午後11時で閉鎖されます。最後まで台湾の情報を視聴いただければ幸いです。

*****WEB台湾フェアin群馬2021*****
(令和3年7月8日(木)〜14日(水)フェア開催中公開)

■構成:①展示区画
    ②交流区画(WEB)
    ③映像区画(WEB)
■期日:2021年7月8日(木)~14日(水)
   ①展示:9:00~未定(コロナ感染状況により最終決定)
   ②交流:7月8日(木)18:00~19:30 (台湾IT大臣オードリー・タンさんと交流)
   ③映像:随時
■場所:①展示:群馬県庁1階県民ホール(群馬県前橋市大手町1-1-1)
    ②交流:WEB対談(群馬県庁32階)
    ③映像:WEBデザイン中(おうちで台湾フェア)
■ 主催:台湾フェアin群馬(群馬県、群馬県台湾総会)
■協賛:台北駐日経済文化代表処、台湾観光協会東京事務所、台湾僑務委員会、
   (一財)台湾協会、前橋市、沼田市、桐生市、みなかみ町、東吾妻町
■後援:上毛新聞、NHK前橋放送局、群馬テレビ
【各区画のコンテンツ】
①展示区画:展示台湾
     お楽しみに!
②交流区画:線上交流
     お楽しみに!
③映像区画:透視台湾
     お楽しみに!
**********

■上記プログラムで、「WEB映像」のビデオの一部は、群馬県台湾総会の会員により準備中です。コロナ禍の中での開催のため、対面方式による台湾フェアを行うことができないため、これらのビデオを通して、台湾を知っていただき、その生活、文化、自然に関して、皆さんに楽しんでいただけるように、情熱を傾けて撮影し編集しています。そのため、手作り感満載のビデオ作品になると思いますのでご期待ください。

 また、「WEB映像」には台湾各市提供によるオフィシャルの映像や台湾在住の皆さんの協力により撮影・提供いただいたものもあります。美しい映像や、現地の生活感や臨場感あふれる画像をお楽しみください。

 ここで協力を頂いたすべての関係者に厚く御礼を申し上げます。

 コロナ禍が落ち着きましたら、県民の皆様との対面による「台湾フェアin群馬」を再び開催できますよう、群馬県台湾総会会員一同、願ってやみません。

【7月1日追記】
 オードリー・タン氏と一太知事とのオンラインや対談や県内高校生・大学生とのトークセッションについて、湯けむりファーラムのHP、Facebook、Twitterを通じてプログラムが発表されました。

20210701山本一太群馬県知事定例記者会見
https://www.youtube.com/watch?v=0kVcYBbsnUg
※台湾フェアin群馬2021におけるオードリー・タン氏との対談の話題については24分33秒あたりから登場します。
**********
<湯けむりフォーラム>
https://yukemuriforum-gunma.jp/
湯けむりフォーラムは、群馬県がはじめるあたらしいプロジェクトです。
未来を考えるトークセッションからエンターテインメントまで、様々なコンテンツを通して、人をつなぐ、アイデアやイノベーションを生み出すキッカケになる。芯からじわじわ温まって冷めにくい。一過性ではない、ふつふつ湧き続ける熱源。そんな温泉のような場を目指します。

○2021年7月1日:台湾デジタル担当大臣 オードリー・タン氏 登壇決定!
https://yukemuriforum-gunma.jp/
○2021年7月1日16:30:【オードリー・タン × 山本一太 オンライン対談を生配信!】
https://www.facebook.com/yukemuriforum.gunma
**********

【7/7追記】
 明日の台湾フェア開催に向けて準備万端。









【群馬県台湾総会書記からの報告】

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【揺れる東京五輪】チャイニーズタイペイではなく台湾の呼称を求めた11.1万人の署名をJOCが門前払い!

2021-06-29 22:31:00 | 国内外からのトピックス

■スポーツの国際試合で「台湾」ではなく「チャイニーズタイペイ」という言葉が使われているのはご存知のことと思います。東京五輪でも同様な名称が使われることになるのか、と、筆者もかねてから疑問を感じていました。なぜなら、チャイニーズタイペイは「台湾は中国の一部である」という中共政府の政治的な圧力によって生まれた呼称だからです。


中華奧林匹克委員會(チャイニーズタイペイオリンピック委員会)のエンブレム。

 中共政府は国際スポーツを政治問題に利用し、自らの主張を国際社会に宣伝していますが、チベット、ウイグル、そして香港に対する中共政府の覇権主義の経緯や現状を見るにつけ、平和の祭典である五輪に、中共政府の意向がもろに示された「チャイニーズタイペイ」の名称が強いられるのは到底容認できません。台湾は台湾であり、中国ではありません。ましてや、中共=中華人民共和国=中国共産党一党独裁国家と同一視されることは、絶対にあり得ません。

 2014年の台湾におけるひまわり学生運動は香港で民主化を求める雨傘運動の端緒となりました。また2016年の総統選挙からも分かるように、台湾国内では、台湾人としての強いアイデンティティがあることは、世界中に示されており、多くの人々が認識しています。

■そこで、国内外の有志の皆さんが、オンライン署名サイトwww.change.orgでこの提案に共鳴する方々から署名を募った結果、現時点で筆者の分も含め13万1363人が賛同しています。このうち、11万1千人分の署名について、2021年6月25日に有志代表がJOC(日本オリンピック委員会)本部に提出しようとしたところ、受け取りを拒否されました。

 JOCに出向いたのは台湾研究フォーラムの永山英樹氏、「Let Taiwan Be Taiwan at the Tokyo Olympics」オンライン署名の主催者で在日アメリカ人のリンデル・ルーシー氏、日本ウイグル協会のイリハム・マハムティ氏の3名でした。

 永山氏からの事前の問い合わせに対してJOCは「IOCとは別の団体だから受け取ることは出来ない」という返答を一度よこし、その後から連絡が取れない状況にありました。リンデル氏もJOC、IOCに問い合わせをしていましたが、きちんとした返答は受け取っていませんでした。

 当日、いくつかのメディアが取材する中で、署名簿を持参した3名の代表を含む約10名がJOC本部入口に入ろうとしました。すると、突然3人の警備担当者が現れて、ドアをふさいで中に入れないようにしました。そして警備員らは「『何も受け取れない。職員を呼ぶことも出来ない』という指示をJOCから受けている。ポストの投函もさせない」と言いました。そして、申し訳なさそうに「署名簿は郵送による提出方法にしてください」と付け加えました。

 このように、「JOCの指示には逆らえない」とする警備員らの“謝罪”があったため、あらためて他の場所から郵送するに決めて、3名の代表はその場を退出しました。別途、JOCには署名簿を郵送で送り、IOCにはメールで署名数について伝える予定です。










■以上のやりとりで分かったことは、JOCがこの件で非常にナーバスになっていることです。そのため、この署名の目的について、今回の東京オリンピックでは遺憾ながら実現しそうもありませんが、台湾の国名でオリンピック出場を求める運動は引き続き継続して行くことが肝要です。

【群馬県台湾総会書記からの報告】

※関連情報
**********京都新聞2021年6月29日
【報道】プリズム~東から~ チャイニーズ・タイペイ
 「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「台湾」として五輪へ―。そんな思いが詰まった13万筆を超えるオンライン署名を、JOC(日本オリンピック委員会)は受け取らなかった。
 25日、署名を呼び掛けた日本、台湾、米国の人たちが直接届けようと、新国立競技場向かいのJOCにが入るビルに集まった。事前に担当者に面会を希望したものの、応じてもらえず、アポ無しでの訪問だった。
 「批判するわけではない。署名を渡したいだけ」「10万人以上に委託されている。帰るわけにはいかない」。入館を拒否する警備員と10分ほど入口で押し問答となったが、取り次いでもらうことも、受付に署名を預かってもらうことすらもできず、立ち去った。
 この呼称の問題は根が深い。「一つの中国」を主張する大陸側は台湾を国として認めていない。1980年代以降、台湾が五輪など国際大会に参加する際は「チャイニーズ・タイペイ」が使われている。JOCがこの問題に関与したくないことは一定、理解できる。
 でも、署名は一つの民意の表れだ。JOCは公益財団法人であり、国から補助金が出ている。まして国民の理解がなくして本来の目的である「オリンピズム」の促進は図れない。門前払いをしていては、友情、連帯を説いた近代五輪の父であるクーベルタンが泣く。
 「台湾はカントリーネームを使えない。それはフェアではない」。署名活動をする東京在住の米国人高校教師リンデル・ルーシーさんの訴えは、いたってシンプルだ。今夏のホスト国として耳を傾ける必要があるように思う。
(国貞仁志)
**********

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日本が台湾にワクチンを提供した事実を歪曲しようとするニセ報道に注意しよう!

2021-06-25 23:23:00 | 国内外からのトピックス
■中共政府による妨害でワクチン調達が困難だった台湾の窮状を見かねて手を差し伸べた日本政府の善意に対して、日本国内でフェイク報道があまりにもひどすぎる、として、見かねた台湾在住の日本の方々から、正しい現状を伝えたいとして、注意喚起が為されています。


鶴の翼に乗って台湾へ飛び立つ友好のワクチン(6月4日)。
「ありがとう」の一言では言い尽くせない感謝の気持ち!
この一枚の写真が、どれほど多くの台湾の人々の喜びの涙を誘ったことでしょう!
今現在、台湾の人々が異口同音に、日本の政府、そして、日本の皆様に向けてよろこびの涙と共に「ありがとうございます」との想いを抱いております。
「ありがとうございます」の一言では言い尽くせない感謝の想いでいっぱいです。
お互いの間には、まだまだ乗り越えなければならない困難の日々が続くかもしれません。しかし、いつか必ず、平和の日々が戻って来ることでしょう。
その時、きっと今まで以上にすてきな交流ができるはず、と私たちは心から信じております。
その日を共に迎えられるように、希望を持ち続けて・・・。
              群馬県台湾総会一同






上記写真の出典はいずれも駐日代表処。

**********東洋経済オンライン2021年06年24日11:00
「台湾に送ったワクチンで大量死」報道の真相
台湾に関するフェイクニュースの見分け方と台湾理解


2021年6月15日に、日本から送られた新型コロナウイルスワクチンを接種する台湾市民(写真・ Bloomberg Finance LP)
 長らく台湾に住む日本人として、日本のニュースサイトに掲載される台湾の関連記事を見ながら違和感を抱き始めたのは、台湾で感染が拡大した2021年5月後半からだろう。「台湾のワクチン接種は周回遅れ」「現実的な漢族のDNA」「日本人の台湾幻想、妄想」といったネガティブな言葉を多用し、台湾のワクチン政策がうまくいっていないことを批判する記事が出始めた。
 さらには、「多くの台湾人がワクチンを求めて中国に殺到」「実は台湾人はアストラゼネカ製ワクチンをまったく歓迎しておらず、日本は余り物をよこしたと思っている」「在台日本人も中国製ワクチンを打ちたいと思っている」「日本で使われていないワクチンを送るのは毒を送るのと同じ」「漢人である台湾人は実はしたたかで信用できない」といった記事が目につくようになった。
★「日本が送ったワクチンは毒」?
 こうした記事のソースの多くが、いわゆる「中国寄り」「反与党政権」の台湾メディアという共通点もあった。記事中に例として取り上げられた日本人の意見もかなりの少数派と思うが、それが台湾全体のことのように語られているのを見て、怒るというより呆れてしまった。
 台湾で感染が広がったのは突然だった。そのためワクチンを求める声は急激に高まり、それに見合うワクチン入手が遅れていることは確かで、それは政府のワクチン対策に問題がある。それに対する建設的な意見や議論ならばもちろん必要だ。とはいえ、さまざまな理由が重なってそうなってしまったのは、台湾で暮らしてニュースや中央感染指揮センターが連日行う会見を見ていれば何となく理解もできる。台湾は、ただでさえ多くの国際機関から排除され、国際社会のなか「一人ぼっち」で頑張ってきたのだ。無条件に何でも仕方がないとかばうわけではないが、あまりにひどい書きっぷりではないか。
 なにより、台湾についてそこまでネガティブに日本の読者に伝える目的は何だろう。筆者らの経歴を見るとメディアでの経験も多く、中国や台湾での駐在経験もあるようで、台湾事情にはかなり詳しそうだが。とくに問題を感じたのが、2021年6月4日に日本から提供された124万回分のアストラゼネカ製ワクチンが台湾へ到着した後の一連の報道だ。台湾から日本への感謝が伝えられ、日台双方で高まっていた友好ムードに冷や水を浴びせるような記事が散見された。
 その中には、一見冷静に出来事を説明しているように見えるが、実態と異なることや根拠のないことをちりばめた悪意の塊のような文章が少なくない。しかも、「日本から台湾に送られたアストラゼネカ製ワクチンで大量死」、「ワクチンを送った日本に対し反日感情が高まって台湾で暴動寸前」というきわめて扇情的な記事もあった。
 台湾人で北海道大学法学研究科助教の許仁碩氏は、これらの記事の論点や傾向を整理してどういった性格のものかを分析している。許氏は、「今は日台関係が良いので影響も限定的だが、何かしら日台関係に摩擦があるときには、これらの論調が含む問題に日本人が気づけるかどうか」と指摘している。私もこれには同感で、日本読者の台湾リテラシーが試される危うさを感じており、この状況は楽観できず、こうした記事の目的を注視していかなければならないと考えた。
★公式データでもわかるワクチンの有効性
 そして、こういった悪意を持ったネガティブな情報に対抗するために、台湾のこれまでの歴史や現在の立場について、もっと日本の方々に理解を深めてもらうのが効果的だと考え、筆者も「まさかの時の友こそ、真の友――日本のワクチン支援、台湾人を感動させたもうひとつの意味」という記事を書いた。
 台湾では2021年6月14、15日から、日本が提供したアストラゼネカ製ワクチンの接種が、高齢者を対象として行われている。そして接種後に死亡が相次いでいるというニュースが流れ、接種を不安に思っている人も確かに少なくない。ただ、これは、接種への不安を感じている人の多い日本やその他の国々と同じ状況だろう。
 中央感染指揮センターの陳時中部長はこれに対し、同じくアストラゼネカ製を承認している韓国やイギリス、アメリカと比較して台湾が特別多いわけではないこと、死亡原因は追跡調査を行ってきちんと明らかにすること、ワクチン接種はリスクよりも有効性のほうが大きいことを強調した。
 さらに言えば、多少の不安感はあるとはいえ、それを日本のせいにする台湾人はめったにいない。不満の矛先を向けているのは台湾政府に対してであって、ましてや暴動寸前というのはまったくのデタラメである。
 間違った情報が日本で広まることへの危機感を持ち、公式の統計データを用いて日本人向けにツイッターで解説する台湾人もいる。ツイッターでそういった公式データを分析した結果を公表したkaito2198氏によれば、2021年6月20日時点でのワクチン接種後の死亡者は64人。そのうち90歳以上は15人、80歳以上が32人、70歳以上は8人、69歳以下は9人となっている。接種してから亡くなった時間も、接種当日から接種4日後までとまちまちだった。kaito2198氏のような民間パワーが、正しい情報を見つけ解説して広めるなど、フェイクニュース対策の協力者の役割を担っている。
 死亡者の95%に基礎疾患があり、とくに透析を受けている方が多い。そのほか認知症や糖尿病、高血圧、腎不全、冠状動脈性心疾患、がん、心臓病といった慢性病を抱え、寝たきりの方もいた。また、台湾では祝日となる端午節(2021年6月14日)で食べるチマキをのどに詰まらせた人や、接種前に転倒して死亡したといったデータも紛れ込んでいたという。
 実際に、台湾で昨年2020年に、75歳以上の高齢者で亡くなった人は1日平均260人。今回のワクチン接種ではほとんどが75歳以上を対象としていたが、3日間合わせてもその数には及ばない。
★日本からのワクチン送付に台湾は本当に感謝している
 一方で、新型コロナウイルスを原因とする死亡率は、台湾は突出して高い。介護施設でのクラスターや家庭内感染など、高齢者への感染が広がっているためだ。接種後に死亡した後期高齢者の人数を約50人とした場合、(ワクチン接種と直接的な関係がどれほどあるかは不明だが)死亡率は0.0087%である。一方、コロナに感染した場合の死亡率は22%だ。データ上の有効性は火を見るより明らかである。
 だからこそ、高齢者への接種が一刻も早く望まれていたタイミングで到着したのが、日本が提供したアストラゼネカ製ワクチンだった。筆者の周辺でも、ご年配の多くが「接種ができて本当にホッとした、日本に感謝している」との声を聞いたほどだ。
 それでも、世界的に有効性が高いと言われるモデルナ製やファイザー製のほうを接種したいと望む人も少なくない。日本では、台湾がアストラゼネカ製のワクチンしか承認していないと思われているようだが、そうではない。たんにその時はアストラゼネカ製しか入手できなかったのが実状だ。
 とはいえ、日本からのワクチンが到着した後に、それまでアストラゼネカ製の悪口をさんざんテレビで言っていたメディア関係者や富裕層が、自主診療のクリニックへ配布された同社製ワクチンを抜駆けしてこっそり打っていたことが明るみに出ている。またその後、中央感染指揮センターは各国と比較しながら同社製よりもファイザー製のほうが接種後の死亡例が多かったことも示している。当事者やご遺族に「こんな死亡データがあるので、あきらめてください」という話ではない。結局、どのワクチンも未知数であることには変わりないのである。
 それでもやはり、熱が出るなど身体に負担がかかることは考えられ、基礎疾患のある人には充分な事前検討が必要であろう。本当に信頼できないならば打たずとも良いし、台湾でも日本と同じくワクチン接種は強制ではない。
 以上のような台湾の実状が日本に伝わることがないまま、「反日」「大量死」「暴動」というセンセーショナルなワードを並べた報道が、日本のメディアでなされた。そのため、在台日本人の中には、「台湾で死者が相次いで対日感情が悪化しているんでしょ?」などと心配するメッセージを日本にいる家族から受け取った人もいる。
 台湾政府は現在、フェイクニュースを捏造した人に高額な罰金を処している。また受け取ったフェイクニュースを誰かに流しただけでも罪に問われる。何をもってフェイクニュースとするかを、政府という権力機関が判断できることには当然、議論の余地はあるだろう。しかし、台湾の人権団体が異議を唱えているのは、あまり効果の上がらない高額な罰金や特定メディアへの攻撃といった「手段」であって、安全保障や公共福祉を脅かす大量の「フェイクニュース」に台湾がさらされているという問題は共有しており、解決手段として透明性ある情報公開を求めている。それほど切羽詰まった「情報戦争」の渦中にいるという自覚が台湾にあるのだ。
★台湾では情報ソースと目的に敏感
 フェイクニュース、とくに現在の蔡英文政権に関するものがとてもひどかった2018年ごろ、筆者も個人のフェイスブックでフェイクニュースに事実を列挙して反論したことがあった。すると、多くの「捨てアカウント」の持ち主から攻撃を受けた。こういった攻撃は台湾で「網軍」と呼ばれ、ネット軍隊とでも言えるだろうか。コメントが中国で使用される「簡体字」で記されたり、その内容もかなり汚い罵倒語を使って書き込まれていた。こうした「網軍」によってフェイクニュースが作られ、拡散され、世論が攪乱される。
 台湾政治は大まかに言えば、その支持・志向性によって2つの色に分かれる。1つは中華人民共和国に融和的な「藍」陣営と、リベラル的な政治志向をもち台湾の主体性を志向する「緑」陣営(現在の与党・民主進歩党も緑)だが、「網軍」はどちらにも存在する。つまり、台湾では日々熾烈な情報戦が双方で繰り広げられているということだ。
 フェイクニュース法規制が敷かれてから、情報戦はさらに巧妙になっている。こうしたことが日常的な台湾では、少なくない人が情報リテラシーに敏感だ。また、メディア側もその報道姿勢が「藍」か「緑」に分かれ、そのソースがどこのメディアかで、その信憑性を各個人が判断する。「藍」側のメディアには多くの中国資本が入っているとも言われる。このような事情から、台湾で暮らした経験があったり、長いあいだ台湾に興味を持ってきた日本人は、台湾に関する記事がどのような目的を持っているかをある程度は判断できるだろう。
 しかし台湾への関心がこの数年、急激に高まってきたなかで、そういった台湾に関するメディアリテラシーを日本人の多くは持っていないように思う。台湾に関心がそれほどなかった時代であれば、前述したような記事の影響はごく限定的だったかもしれない。
 だが、とくに2020年になってコロナ対策で台湾のデジタル大臣であるオードリー・タン氏など台湾人に注目が集まり、タピオカに続き台湾パイナップルが日本でブームとなるなど台湾への関心が強まっている現在、フェイクニュースでさえこれほど広がるというのは、台湾情報の価値が高まったからと言えるでのはないか。
 そう考えれば少し皮肉ではあるが、このことは1つの必要性を示している。つまりデマやフェイクニュースに惑わされず、「日台友好」という関係をきちんと機能させていくためには、現状を知るだけでなく歴史や地理、社会政治といったさまざまな角度からの台湾理解を進めながら情報を判断するのが重要ということだ。
 台湾の在日大使館にあたる台北駐日経済文化代表処の謝長廷・代表は自身のフェイスブックで、「日本提供のワクチンに対する行きすぎたバッシングは、以降の日本からのワクチン支援に影響する」と投稿した。これは台湾の一部の人々に向けたコメントだが、同時に日本に対しても同じことが当てはまる。
★「親日」を超えた公平な台湾理解が必要
 前述したような記事を多くの日本人が信じた結果、日本世論は「もう台湾にワクチンを送るのは遠慮しよう」という流れに発展するかもしれない。1つの記事が作り出したデマが、多くの台湾の方の感謝の気持ちを踏みにじり、台湾人の生命に影響をもたらす事態になるといっても過言ではないのだ。
 フェイクニュースは、実に巧妙に作られる。すべてがウソというわけでもない。しかし、かなり極端な「ホント」を拡大し、そのうえで虚実取り混ぜて作成される。さらに、「安倍晋三前首相が主導」といった政治家の名前を入れることで、政治的な志向を異にする人たちの関心を引き寄せる状況も見られた。
 そういった一部の人たちにとり、こうした台湾情報は現政権を攻撃できる材料でしかないように思える。また、「日本で使っていないアストラゼネカ製ワクチンを提供するのは申し訳ない」という、多くの日本人がどことなく持っていた後ろめたさを実に刺激したことについては、卑劣の一言に尽きる。
 「台湾は親日だから好き」「敵の敵は味方」といった考えも危うい。台湾はかつて日本の植民地であり、歴史的にも政治的にも、そして心理的にも解決されていない問題は、実はまだ残っている。さまざまなバックグラウンドを持つ人で構成される多様社会であり、日本に関心がない、またはよく思っていない人ももちろんいる。「親日だから、そうした不満を言わないはず」という決めつけは、公平・平等な相互理解を妨げる。
 互いに問題点をしっかり指摘し合い、解決をともに探ることができ、ともに明るい未来を目指す「真の友情」を求めるのであれば、それこそどんなデマやフェイクニュースにも惑わされない、強い結びつきが必要とされるだろう。悪意のある情報やデマは「ウイルス」であり、本物のウイルスと同じく素早く伝播し、人の命を奪うことさえある。そして、手を変え品を変え、これからも次々と現れるだろう。それに対抗するためには、お互いにきちんと知っていく、正確な情報や多角的な理解の深まりこそが「ワクチン」なのではないだろうか。
(著者:栖来 ひかり)
**********

■筆者の関係の台湾ファミリーの皆さんは、日本から発信される一部のニセ情報に呆れています。台湾の大多数のかたがたは、冒頭の写真で、降りしきる雨の中、雨具を着た謝長廷代表が深々と御礼の最敬礼を、ワクチンを積んで飛び立とうとする鶴のマークを付けた翼に向かって深々と最敬礼する姿を、自分に重ねています。

**********Taiwan Today 2021年06月04日
外交部、日本からのワクチン提供に「心から感謝」

日本政府は3日、台湾にアストラゼネカ製ワクチン124万回分を提供し、台湾と共同で新型コロナウイルスに立ち向かう決意を示した。ワクチンはきょう(4日)午後、台湾に到着する。写真は成田空港でワクチンを載せた航空機に深々とお辞儀をする台北駐日経済文化代表処の謝長廷駐日代表。(台北駐日経済文化代表処より)
 台日双方の緊密な交渉の末、日本政府が台湾にアストラゼネカ製ワクチン124万回分を提供し、台湾と共同で新型コロナウイルスに立ち向かう決意を示した。ワクチンはきょう(4日)午後、台湾に到着する。外交部(日本の外務省に相当)は同日、ニュースリリースを発表し、日本が適切なタイミングに支援の手を差し伸べてくれたことに「心から感謝する」と述べている。ニュースリリースの概要は以下のとおり。
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 昨年、新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大して以来、わが国は医療物資をさまざまな国に無償提供し、国際社会から評価されてきた。最近、新たな感染拡大の波が世界を襲っている。日本政府は、台湾で感染拡大が深刻化していることを鑑み、また、日本の各方面から台湾支援の声が上がる中、日本国内の感染状況が依然厳しい段階にあるにも関わらず、ワクチンを提供することで台湾に協力する決定を下した。これは「人溺己溺(他人が溺れていることを自分が溺れていることとみなす。つまり、他人の苦しみをわが事ととらえる)」、「同舟共済(同じことにあたっている者たちが力を合わせて難局を乗り切ること)」の人道的精神を発揮し、台湾と日本の感染症対策での協力を強化するものだ。外交部は、わが国の政府および国民を代表し、日本政府および関係者に心から感謝申し上げる。
 台湾と日本はもとより緊密な関係にあり、固い友情を築いてきた。災害や事故が発生するたびに互いに支援の手を差し伸べ、「雪中に炭を送る」という行動を繰り返し、長期にわたって支え合いの手本を他国に示してきた。このコロナ禍においても、台湾と日本は互いに、第三国に取り残された相手国民の救出に協力してきた。大型客船ダイヤモンドプリンセス号の台湾人乗客を帰国させるためのチャーター機の運航、あるいはペルー、インド、フィジーなどに取り残された人々の帰国など、さまざまなケースを台日双方の協力で無事解決してきた。今年5月に開催された世界保健機関(WHO)年次総会では、日本の菅義偉首相をはじめとする多くの政府高官が、台湾のWHO参加を支持する立場を表明した。これに加えて、このたび日本政府からワクチンの支援を受けられることは、わが国の感染症対策システムを強化し、国民の健康を守るために大きく役立つことだ。このことはまた、台湾と日本のパートナーシップが「患難真情(まさかのときの友こそ真の友)」であることを改めて証明した。日本の人々からの心温まる支援を、わが国の政府と国民は永遠に忘れないだろう。
 台湾と日本は、自由や民主主義という普遍的価値を共有している。さまざまな側面において、双方は重要なパートナーであり、貴重な友人である。わが国は、この盤石な関係を基礎に、さらに双方の関係を深めていきたいと考えている。

**********フォーカス台湾2021年06月04日17:07
日本のワクチン提供「10日間の静かな作戦」 台湾の安全保障高官が明かす

ワクチンを積んで4日午後に台湾に到着した日本航空の航空機
(台北中央社)日本が台湾に無償提供した新型コロナウイルスワクチンは4日午後、桃園国際空港に到着した。台湾の安全保障部門の高官は4日、ワクチン寄贈が実現するまでの「10日間の静かな作戦」の内幕を明らかにした。この計画は蔡英文(さいえいぶん)政権の「最高機密」と位置付けられ、法律面の交渉から地域情勢の把握まで、台日双方の協力と米国の静かな後押しによって「不可能な任務」を成し遂げた。
 ワクチン寄贈計画は5月24日、謝長廷(しゃちょうてい)台北駐日経済文化代表処代表(大使に相当)が米国のヤング駐日臨時代理大使と安倍晋三政権下で首相補佐官を務めた薗浦健太郎氏を公邸に招いて開いた懇親会に始まる。その席では新型コロナに関する問題が話し合われ、薗浦氏から「日本のアストラゼネカワクチン台湾に提供可能だ」との提言があった。ヤング氏もこの意見に賛同し、「台日米」3者間においてひとまずの合意が得られた。その後には煩雑な法律と政治上の問題の処理が待ち構えていた。
 蔡総統は謝氏から報告を受けると、「内密に、全力で目標達成」を最高原則として、即座に安全保障や外交部門に総動員を指示した。長年にわたり対日関係を築いてきた頼清徳(らいせいとく)副総統はすぐさまルートを通じて日本の重要人物に連絡を取り、日本からの支援に期待を示し、好意的な反応を得た。総統就任前から米国や日本との関係を安定的に築いていた蔡総統は自ら、古くからの友人らに国際電話を掛けて意見交換を行った。得られた反応はどれも全く同じで「日本は東日本大震災時の台湾からの援助、そして昨年のマスク提供にずっと感謝していて、この恩はもちろん心に留めている。必ず力を尽くし、早急に台湾へのワクチン提供を実現させる」というものだった。
 菅義偉政権の重要メンバーの見解や役割についても駐日代表処を通じて即座に把握した。首相官邸や各省庁の官僚が人道支援や恩返しの気持ちから、残業をしてまで短時間でこの困難な任務を達成しようとしていたことは、台湾側を温かい気持ちにさせた。
 中国外務省の趙立堅報道官は先月下旬、この計画について「目的は達成できない」と台湾側をけん制したが、日本国内で台湾を応援する声は高まり、国会議員や大臣までもが台湾を支持する立場を相次いで表明した。蔡政権は「ワクチンの乱」に陥りながらも「内密」を最高原則として、3日夜にNHKの関連報道が出てもなお、総統府も中央感染症指揮センターも「航空機に載せられるまでは事実関係を認めない」という立場を堅持し、口を閉ざしたままだった。このワクチンを無事に台湾に到着させることが最も重要という考えで一致していた。
▽ 日本、あるだけのアストラゼネカ製ワクチンを台湾に
 今回日本から届いたワクチンはアストラゼネカ製124万回分。これは日本が現時点で保有しているアストラゼネカ製ワクチンの全数だったとみられている。安全保障部門の高官によれば、ある日本側の関係者からは「現時点ではこれだけしかなく、申し訳ない」との言葉をかけられたという。
 この高官は、今回の交渉の過程において、日本側の温かさに台湾は深く感動し、深く感謝していると話した。
(溫貴香/編集:名切千絵)
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■親中派のマスコミによる日台友好の進展に対する妨害を意図する報道記事には、今後とも十分に留意が必要です。

【群馬県台湾総会書記からの報告】

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