市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

「卵のタカムラ」養鶏場計画の情報開示が延期

2008-04-09 00:32:00 | 安中市内の大規模開発計画
■昨年来、碓氷川の上流の松井田地区で、大規模な養鶏場の計画が浮上しております。この計画については、下流の旧安中市民にはほとんど知らされていません。上流の計画が下流にどのような影響を及ぼすのか、情報はきちんと伝達されることがなにより大切ですが、業者も安中市も例によって密談でことを進めがちです。
この件について、平成19年9月定例市議会で中島徳造議員が一般質問で取上げています。この質疑応答を読むとこの問題の要点がわかりますので、次に引用します。なお、安中市のホームページでも読むことができます。

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●14番(中島実さ聴・ヒ
14番、中島徳造です。私は、通告に従いまして2項目にわたりまして質問をいたします。
まず最初に、1項目の松井田町源ヶ原地区における養鶏場建設問題について質問をいたします。安中市松井田町新堀源ヶ原地区は、かつて廃業した養鶏場のハエ、悪臭に30年以上も悩まされた経緯があり、今回建設予定の隣接地には4棟の大型鶏舎、鶏ふんを含む当時の遺構がそのまま置き去りにされております。
今回の問題の発端は、本年2月に同じ地区で観光農園を営む農事組合法人妙義山観光農園組合から、共同鶏卵生産所の養鶏場建設の話が地元の区長にありました。源ヶ原地区の区長としては、過去のいきさつもあり、また予定地が国定公園妙義山のふもとに当たり、かつ松井田妙義インターチェンジの至近にあり、安中市松井田町、そして富岡市妙義町の玄関口でもあるので、畜産以外の事業の検討を申し入れました。
しかし、聞き入れてもらえず、なおも建設に伴う覚書の書類を持参したので、3月4日総会を持ち、検討会、引き続き同法人により説明会を開きましたが、反対意見が出たので無記名投票した結果、地元住民24名中24名全員が反対でありました。
その後この問題は環境や水源の問題と深くかかわり、単に源ヶ原地区だけの問題ではないとの判断で、同区長から隣接の碓氷地区並びに地元新堀地区と松井田地区に経過報告があり、我々を助けてほしい、行動をともにしてほしいとの要請がありました。それに対して、過去にハエ公害等に悩まされ、実態を知っていた近隣地区のほとんどの住民が賛同し、3,331名の人たちが建設反対の署名をいたしました。4月に養鶏場建設反対推進協議会が結成されて以来、行政側とも再三折衝してきましたが、行政としての立場もあるということで、同協議会にとって安心できるような対応は全くありませんでした。
そんなことから、8月20日付で建設反対の請願書を安中市長及び安中市議会に署名簿をつけて提出しましたが、8月27日に至り、同法人からの申請を上下水道部の窓口で受理したとのことであります。予定地は、西に大沢、北側下方に碓氷川が流れ、また松井田妙義インターからも至近距離にあります。源ヶ原地区での養鶏場建設については、市の水道水源保護条例や環境基本条例等で問題があるのではないかと思われます。地元住民全員が建設に反対し、つまり地域の同意が全く得られない中で、24万羽と言われる超大型養鶏事業を申請するのに、資金計画書の提出を求めないまま申請を受理した経緯と理由について伺います。また、万が一鳥インフルエンザが発生し、感染が拡大した場合、だれが処置、対応するのか伺います。

▼上下水道部長(小板橋俊一)
中島議員の1項目のご質問にお答えいたします。
松井田町新堀源ヶ原地区におきまして養鶏場建設について、当地区及び近隣地区はかつて廃業した養鶏場のハエ、悪臭に30年以上にわたって悩まされたとのことですが、今回この隣接地において新たな養鶏場が計画され、水道水源保護条例に基づく申請がなされたわけでございます。
この条例は水道法2条の規定に基づき制定された条例で、安中市の水道に係る水質を保全し、水量を確保するため、その水源の保護に必要な施策を講じ、住民の生命及び健康を守ることを目的として制定されたものでございます。今回の申請は、この条例に規定されております水源保護地区内におきまして、2条別表に規定されております1番目といたしまして産業廃棄物の処理業、2番目といたしまして一般廃棄物の処理業、3番目といたしまして採石業、4番目といたしまして畜産業、5番目といたしましてゴルフ場を営む事業、6番目といたしましてその他水道水源に係る水質汚濁及び水源の涵養を損なうおそれの事業のうちの4番目の畜産業に該当する事業を行おうとすることから提出されたものでございます。また、この条例の目的から規制対象事業の認定の有無につきまして、1番目として対象事業所の排出水の水質、2番目といたしまして対象事業所の水源の水質への影響、3番目といたしまして対象事業所の水源の水量への影響の3点について審議会の意見を聞き、回答することとなってございます。
議員ご質問の地元住民が建設に反対し、地域の同意が全く得られない中、24万羽と言われる超大型養鶏場を新設するのに資金計画の提出も求めないまま申請を受理した経緯についてでございますが、申請書の受理につきましては、条例及び規則に規定されております書類が具備されている場合には受理せざるを得ないことをご理解いただきたいと思います。
また、資金計画書の提出につきましては、施行規則の2条第5号のその他市長が認める書類ということで、審議会において対応していただけるようご報告させていただきますので、ご理解を賜りたいと存じます。

▼産業部長(土屋文男)
中島議員の2点目のご質問であります万一鳥インフルエンザが発生し、感染が拡大した場合の対応ということでございますけれども、まず獣医師または家禽等の所有者から鳥インフルエンザを疑う症例を発見した旨の通報または届け出を受けたときには、平成16年11月18日付で農林水産大臣が公表しております高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針に基づきまして、農林水産省、都道府県、市町村等の連携のもとに、発生時における迅速かつ的確な蔓延防止対策を講じることとされております。このように、県畜産担当課または家畜保健衛生所が中心となって対策に当たることとなりますが、発生元の市町村につきましても、県と連携いたしまして蔓延防止に全力を挙げて取り組むこととなりますので、よろしくご理解賜りたいと思います。

●14番(中島実さ聴・ヒ
それでは、2回目の質問をさせていただきます。
まず、養鶏場建設の件でありますけれども、いただいたご答弁の趣旨は、安中市の水道水源保護条例に基づいて、書類がそろえば受理をせざるを得ない、また資金計画書については、審議会で対応ができるように報告をすると。そして、地元地域の同意書のことは全く触れませんでしたので、これは必要がないということだというふうに思いますが、そういった行政側の対応が私たちにとっては弱過ぎるのではないかということでこれまで折衝してきたわけでございます。
まず、この安中市水道水源保護条例でありますけれども、これは旧松井田町時代につくられたものであります。松井田町、特に西部地区は山間地帯で、高度成長期以来、人間を含むいろんなものの捨て場、置き場になったりしてきました。平成15年には冒頭に触れた養鶏場がそっくり置いていかれたわけでございます。そのときの行政のしりぬぐいも大変なものがあったわけでございます。もう懲り懲りなわけでございます。
しかし、そういった場所は同時に安中市民にとって最も大切な飲料水の水源地でもあるわけでございます。そこで、答弁にもありましたように、住民の生命及び健康を守っていくためには水道の水質を守っていかなくてはならない、水量の確保もしていかなくてはならない。そのためには一定の事業、先ほど述べられました5項目から6項目の事業の開発に対してハードルを高くしておこうと、そういった考えででき上がったのが全国でも珍しいというふうに言われる水道水源保護条例だというふうに思います。
特に今回の場合は、申請が25万羽ではなくて、24万羽でなっております。24万羽で申請するとすれば、県への申請が免れるわけです。県の許認可の範囲外ということで、まさにこの水道水源保護条例が唯一のチェック機関となるわけでございます。ですから、住民の同意書だとか資金計画書など重要書類の提出は事前協議規定第2条第5項のその他市長が必要と認める書類として提出をさせることが最初からできたのではないかというふうに思うわけでございます。
それはさておきまして、答弁の中で審議会のことが出てきましたけれども、この審議会はいつ、どのような形で行われるのか、構成を含めて伺いたいと思います。
それから、県の化製場等に関する法律については直接関係ないことがわかりましたので触れませんが、安中市環境基本条例第1条から第3条には基本的な思想がうたわれておりますけれども、憲法にも通じるのではないかと思いますけれども、将来にわたる市民の健康で文化的な生活を確保されなければならないという条項が載っております。30年以上も公害に悩まされてきた地元源ヶ原地区の人たちにとって新たな養鶏場建設は、過去に受けた脅威、不安、心配を再び呼び起こすものであります。そんな状況下で果たして将来にわたる健康で文化的な生活が確保されるでしょうか。市の見解をお願いをします。
それから、地元の同意書についてでありますけれども、これも必要がないというようでございますけれども、やはり事業を行う上で重要な要素となるわけであります。同意が得られないままスタートすることになると、お互いが不幸になります。今後場合によっては同意書の提出を求めていくべきではないかというふうに思いますが、再度ご見解をお願いいたします。
あと資金計画書については、今回は審議会において対応とのことでありますけれども、当然今どんな事業をするにも財務関係の書類の提出はさせられてしまいます。当然財政基盤が弱ければ経営が行き詰まる可能性もあるわけでございます。ただ提出をすれば事足りるという問題でもないと思います。24万羽となれば数億円という莫大な資金がないとできない事業でございます。自己資本率とか借入先であるとか、内容が非常に重要になってくるのではないかというふうに思います。ぜひそういったことについても審議会でしっかりと議論がされますようにお願いを申し上げます。これは要望で結構であります。
鳥インフルエンザにつきましてはわかりましたので、以上3点についてご回答お願いします。

▼上下水道部長(小板橋俊一)
中島議員の再質問にお答えいたします。
水道水源保護審議会がいつ、どのような構成で開かれるかのご質問でございますが、審議会は市長が委嘱しました委員10名により構成され、水道事業を円滑に推進するため、市の水道の水源の保護に関する重要な事項につきまして調査、審議することとなってございます。
また、今後の予定といたしましては、第1回目の会議を今月中旬に予定してございます。なお、申請者に対し当該協議を受けた日から90日以内に規制対象事業所の認定の有無について文書で通知するということにもなってございます。
次に、地元住民への同意書についてでございますが、先ほど申し上げました申請書の受理の経緯のとおりでございますが、この件につきましても審議会へ報告させていただきますので、ご理解を賜りたいと存じます。

▼市民部長(秋山潔)
中島議員の再質問にお答えいたします。
安中市環境基本条例に対する市の見解ということですが、この条例は良好な環境の保全及び創造についての基本理念を定めたものでございまして、市の責務、市民の責務、事業者の責務についても定められてございます。当然のことながらおのおのが環境保全に努めるとともに、個別の法律があれば、その法律にのっとりその中で責務を果たしていくものと考えております。よろしくご理解を賜りたいと存じます。

●14番(中島実さ聴・ヒ
それでは、最後の質問に入らせていただきます。
養鶏場問題以外の件につきましては了解をいたしました。最後に、養鶏場建設の件でありますけれども、これまでをまとめますと、8月27日に申請を受理したけれども、近々開かれる審議会で実質審議が始まると。資金計画書など財務関係書類と地元の同意書の提出については、その審議会で対応できるように報告をするということであります。ぜひお願いをしたいと思います。
また、市の環境基本条例についてでございますけれども、将来にわたる健康で文化的な生活が確保されなければならないという条文は、時には法律では解決できない部分があると思います。解釈の相違ということで、これで結構でございます。
本当に最後になりますけれども、今まで述べたような観点から源ヶ原地区における養鶏場の建設は過去のいきさつとも相まってふさわしくないと考えざるを得ないわけであります。近い将来可能性が大いにあるということでありますが、富岡市の旧官営製糸場と安中市の碓氷峠鉄道施設が世界遺産になったとき、大勢の観光客が妙義松井田インターチェンジを利用すると予想されます。行政としても安中市の玄関口を名勝妙義山のイメージに合った玄関口にふさわしいものにしていってほしいと願うわけであります。地元と近隣住民3,331名の方々も建設反対を署名しました。最後に市長のご見解を伺います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。

▼市長(岡田義弘)
養鶏場の建設に関連してご答弁させていただきたいと存じます。
諸法令に基づいて今内部協議をさせていただいておるところでございまして、ただいまも再三再四にわたって3,331名のご署名に言及されておりますが、民意を重く受けとめておりまして、そのために諸法令との内部協議をさせていただいておるわけでございます。3331名の署名は大変重く受けとめておることをここでお伝えさせていただき、深いご理解を賜りますようにお願い申し上げまして、ご答弁とさせていただきます。

■以上が、昨年9月の安中市議会の一般質問における本件についてのやりとりです。
岡田市長をはじめ、安中市側の関係者の答弁は、法律に基づいて協議を進めるという定型的なものです。地元から計画撤回の陳情が幾ら出されても、安中市は、行政手続法に基づいて業者との協議をどんどん進め、その経緯や結果は一般市民には決して知らせようとしません。このような事例は、旧安中市では枚挙に暇がないのですが、合併で旧安中市と一緒にされた松井田地区の住民は、以前とは様変わりに風通しが悪くなった新安中市のやりかたに驚くに違いありません。
また、碓氷川沿線に住む下流の旧安中市の住民としても、知らないでは済まされません。
そこで、一般質問で取上げられたこの計画の関連情報について、3月10日に次の内容で、安中市長宛に情報公開請求を行いました。
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平成19年2月ごろ、農事組合法人妙義山観光農園組合が計画している松井田町源ヶ原地区における養鶏場建設計画に関して、同組合が安中市及びその関係団体組織にあてた一切の情報及び安中市及びその関係団体組織が同組合にあてた一切の情報。
特に次の情報を含む。
水道水源保護条例に基づく同組合からの申請に係る情報
同条例による審議会の意見にかかる情報
同条例による処分にかかる情報
同計画の資金調達にかかる情報
同組合の対象事業措置実施計画書
同組合の実施結果報告書
同組合の申述書
同組合による住民説明会に係る情報

■その後、3月19日付けで、上下水道部上下水道課から、本来は3月20日までに情報開示に関する決定しなければならない期間であるところ、「第三者保護に関する手続き及び谷津庁舎への移転に伴う作業に日数を要するため」4月14日まで決定期間を延長するという行政文書開示決定等期間延長通知書が到来しました。
業者に情報開示があったことを通知して、その回答を待ってから開示するという意味と思われますので、この計画について住民に知らせることについて、業者である「株式会社 卵のタカムラ」が積極的かどうか、対応が注目されます。

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