市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【出張!オンブズマン】長野高専をめぐる諸問題に同校から到来した開示通知書から見えてくる事

2018-08-09 22:30:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■当会がはや3年以上にわたり行っている群馬高専アカハラ・寮生連続不審死事件への追及が、全国の高専関係者や教育関係者の注目を大きく浴びたのをきっかけに、おとなり長野県からも情報提供・告発があり、長野高専も不正会計や連続自殺、水銀流出、天下り校長による腐敗等々の重い問題を抱えていることが白日の下に晒されました。
 不正会計事件については当会から状況確認・情報収集のため何度か公開質問状を同校に提出しており、おおまかな情報や同校の姿勢は得られたと判断したため、長野高専をめぐる諸問題に関して、7月3日に情報開示請求書を同校宛に提出していました。その後、長野高専からの連絡を待っていたところ、8月8日午前に、8月3日付の法人文書開示決定通知書等が郵送で届きました。内容は昨日のブログをご覧ください。
○2018年8月8日:【出張!オンブズマン】長野高専をめぐる諸問題について、同校から開示通知到来!<速報>
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2721.html

 なお、長野高専をめぐる問題やこの情報開示請求については以下のブログをご覧ください。
○2018年4月1日:【群馬高専アカハラ・不審死問題】隣県長野からの情報②…隣県も文科省天下り校長で大迷惑?長野高専の実情
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2603.html
○2018年6月24日:【出張!オンブズマン】校長自ら警察呼んで訪問OB叩き出し?更には連続自殺に独裁体制…続・長野高専の実情
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2678.html
○2018年7月5日:【出張!オンブズマン】長野高専をめぐる諸問題に関して同校に法人文書開示請求書を提出!
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2685.html

■では、この開示通知から読み取れることについて、ひとつひとつ見ていきましょう。

☆不正会計・着服事件に関する開示請求について

 この件に関して、長野高専が内部関係者に対して行った「唯一の」説明として、「2016年3月24日に黒田校長(当時)自ら学内会議で教職員に説明した」ことをあげたため、当会が質問状で「その後校長が変わっているのに、そう断言できる根拠は何か?」と聞いたところ、同校は「関係者の記憶」と「会議配布資料」を挙げました。

 また別の回答では、「会議配布資料はありませんでした」と明言していたにも関わらず、説明が二転三転していたため、結局のところ配布資料があるのかないのか、当会では情報開示請求に含めて様子を見ていましたが、開示通知を見る限り、「会議配布資料」は結局のところ存在しなかったことになります。

 したがって、当時の黒田校長が説明を行った物的根拠は一切存在しなくなり、したがって長野高専が同校関係者に行ったはずであったこの唯一の「説明」ですら、実は行っていなかった疑いが限りなく強まってきました。

 とりあえず、当会では開示される「議事概要」と「議事次第」を確認してから、実際に説明を行っていたのかどうか、結論を出そうと考えています。

☆長野高専における自殺および自殺未遂事案に関する開示請求について

 高専生による自殺・自殺未遂事案が発生すると、これは「事件・事故等」として処理され、各高専から高専機構に報告書があげられます。報告書は、情報のアップデートに伴い、第一報、第二報、…、最終報として提出されます。

 2016年8月に、群馬高専で同校における寮生連続不審死事件に関する内部文書の情報開示を受けた際は、各事案に関して「最終報」のみが開示されましたが、今回は開示請求に「一切の関連文書」と書いたためか、全ての事案の報告書に関して第一報から最終報までのすべてが開示対象となっていることがこの通知からもうかがえます。

 そして、内容を見て驚愕したのが、「最終報」の個数を数えると、なんと明らかに6件存在することです。つまり、長野高専では自殺・自殺未遂事案が2008年以降でなんと6回も発生していたということになります。当会が情報提供によって事前に把握していたのは、自殺が2009年5月と2012年1、4、7月の4回、自殺未遂が2012年12月の1回の計5回ですから、当会にとって未知の事案がさらにひとつ存在していたということで驚きを隠すことができません。

 しかし、通知を見て気になるのが、「個人に関する記載」はともかくとして「日時に関する記載」までもが報告書の不開示範囲に入っていることです。この日時が何の日時を指すのか判然としませんが、仮に「発生日時」を指すのだとすれば、いつ起こったかまでを伏せる必要が果たしてあるのか、極めて疑問といわざるを得ません。

☆2017年の水銀流出事件について

 今回の開示通知により、2017年に長野高専機械工学科で水銀の流出が起こっていたことがやはり明らかになりました。しかも、前年にすでに水銀流出事故が起こっており、メディアや保護者に再発防止を誓った矢先にこのような事態を起こしていたのです。

 極め付けには、水銀発見の第一報が2017年4月14日であることから、前年度までこれを使用していた戸谷順信氏が高専機構に栄転した直後の年度初めに、水銀が発見されていたことがわかります。当然、この間に誰かが部屋を使用して水銀を流出させるようなミスを起こしたり、器具が経年劣化を起こすような時間的余裕はありませんから、やはり戸谷氏が関与していた可能性は高いと言わざるを得ません。

 これについても、開示資料を吟味して、事件の実態を明らかにするとともに、長野高専には公表と猛省を促していきたいと考えます。

☆石原現校長による警察を使ったOB叩き出し事件について

 これについて開示される資料を見ると、「文科省への苦情」や「長野高専の校長を告訴」といった文言が並んでおり、叩き出された被害者が極めて大きな苦痛と怒りを感じていることがわかります。

 加えて問題なのは、開示文書がどちらも内部連絡メールであり、なんと警察に通報して被害者との間に禍根を残すほどの大事件を起こしたにも関わらず、日誌もなければ議事録もない(=会議で情報共有すらしていない)ことです。しかも、このメールは事件後に被害者が行ったアクションに対しての内部連絡メールであり、もし被害者が何も行わずに泣き寝入りしていれば、事件に関しての記録・証拠は何一つ残っていなかったということになります。

 すなわち石原校長は、校長の絶大な権力を使うだけ使い、警察まで自分のコマとしてアゴで使っておきながら、記録すら残そうとせずに事件を揉み消そうと考えていたことが明らかになってきました。ここまで官僚然とした姑息なやり口には閉口せざるを得ません。少なくとも、なぜ石原校長がこの事件に関して記録を残さなかったのか、追及が必要であることには変わりありません。

■現段階で開示通知を個別に検討したものは以上ですが、何が開示されて何が黒塗りされているのか、詳しいことは開示文書を実際に見てみなければ断言できません。

 そこでひとつ気になるのは、この件においても見え隠れする高専機構本部の影です。というのも、7月17日に別件で機構本部の職員に電話したところ、「(今回の当会の)長野高専に対する情報開示請求についても、すべて機構に連絡が来ており、情報共有をしている」と明言したからです。

 数年にわたり群馬高専とともにアカハラ隠蔽の一翼を担い、「オンブズマン対応のノウハウ」を積み上げてきた高専機構が、オンブズマン免疫のない長野高専と天下り石原校長に裏でどのような「助言」を行ったのか、あるいは行わなかったのか大変気になりますが、開示される文書に「助言」が反映されている可能性は決して低くはありません。

■開示される文書一覧の中には、「リスク管理室」なる“部署”らしき名前が時折見受けられます。長野高専にあるのか高専機構にあるのかは不明ですが、どうも、重大事件が起こるとこの「リスク管理室」が稼働するようです。とはいえ、ここまで事件が連発しているとなるとこのリスク管理室はあまり役に立っているとは言い難い面があります。

 オンブズマン対応は「リスク管理室」なしでも高専・高専機構総出で必死になってやるのですから、学生の安全を図るリスク管理も同じようにやってほしいものです。

■ところで、今回の通知書を受けて、開示手続きに必要な申出書を提出する際に、いくつかトラブルに遭遇しました。

 今回の開示決定通知書等は、機構本部から特定記録郵便で送られてきました。そして、同封されていた「法人文書の開示の実施方法等申出書」の宛先は、機構本部になっています。

 長野高専総務課の話では、「8月3日に長野高専で開示決定を判断したあと、国立高専機構本部の理事長印を押印して、開示請求人である当会に通知書を発送する予定」だとして、「8月6日に機構から発送されたことを確認したので、8月8日には届くはず」ということでした。

 実際に、機構本部から送られてきた封筒の消印には「八王子郵便局06.08.18」と記してあり、長野高専の説明を裏付けるかたちとなっています。

 長野高専からは「郵送での発送にて開示申し出を頂く場合、普通郵便で570円、特定記録付きだと+100円、お得なレターパックだと510円、今回厚さ3センチは超えない見込みなのでレターパック・ライトが適用できることから、この場合は360円で切手を同封していただければ発送手続きをします。ただしお盆に入ってしまうので、送付はお盆明けになる見込みです。」という丁寧な説明がありました。

■このため、本日8月9日に申出書に必要事項を記入した後、午後2時頃、360円切手を同封し、機構本部宛てに特定記録郵便で郵送しました。



 この時、提出に際して、これは長野高専あてに郵送すべきかもしれない、と思いましたが、送られてきた申出書の様式の宛先が、「機構」となっており、また、以前も、三重県などの高専の校報の情報開示の際に、やはり機構本部から写しを送ってもらったこともあり、「機構本部」あてに郵送しました。

 しかし、開示実施手数料40円については、最初に1,500円を振り込んだのは長野高専の指定口座であったことから、どっちにするか迷ってしまい、そのまま振込票を添付せずに、申出書を発送してしまいました。
※機構本部宛て申出書PDF ⇒ o.pdf

 そのあと急に心配になり、午後3時半ごろ、長野高専に電話をして、どちらに振り込んでよいのやら、電話で確認しました。電話の結果、「長野高専の指定口座に振り込むように」と言われたので、本日午後5時頃、長野高専の指定口座に40円を振り込みました。



■このように、各地の高専と、八王子にある元締めの国立高専機構との関係は、一般人には非常に分かりにくい体制となっています。こうした屋上屋を重ねるような複雑な構造は、我が国行政システムの弱点として捉えられるべきだと考えています。

 文科省を舞台にした不祥事件が頻発する昨今、やはり我が国の行政の制度における疲労破壊が進んできている証左と言えます。我が国の「ものづくり」の復活の観点から、高専という教育システムの機能を最大限発揮するには、文科省の役人の認識を根本的に変える必要があります。

 当会は微力ながら、高専の改革に向けた一石を投じたことから、その波紋の行方について、きちんと見定めていきたいと考えております。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (4)
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