市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大量の建設発生土が忽然と消えた渋川土木事務所所管公共ストックヤードを巡る住民訴訟第3回口頭弁論の様子

2020-01-10 23:22:00 | 渋川市の行政問題

■群馬県では、県土整備部の建設企画課が建設発生土ストックヤードの整備の重要性をHPでも謳っていますが、渋川土木事務所所管のストックヤードを巡り、河川法を無視して大規模な掘削あるいは大量の発生土の集積が行われ、6年間の稼働を終えた時点で大量の発生土が忽然と消えるなど、問題視されています。当会は、入手情報をもとに、2019年3月25日に住民監査請求を群馬県監査委員に提出しましたが、その甲斐もなく、6月3日付で棄却・却下されました。
 その後、当会は7月4日に住民訴訟(事件番号:令和元年(行ウ)第13号 行方不明建設残土量に係る損害賠償請求訴訟事件)を前橋地裁に提起し、9月20日(金)午前11時から第1回弁論が行われ、被告が出した答弁書の求釈明について原告が回答することになりました。続いて、11月1日(金)10時から第2回弁論が行われ、求釈明に対する原告の回答を記した準備書面(1)が陳述され、これに対して被告が反論することになりました。そして、年が明けた1月10日(金)16時半から第3回弁論が行われましたが、それに先立ち、被告が第1準備書面を提出し、原告が甲13号証として拡大カラー版を改めて提出しました。

1月10日午後4時40分の前橋地裁の建物。

■1月10日の午後4時半から前橋地裁2階第21号法廷で開かれた第3回弁論期日には、群馬県側から訴訟代理人の紺正行弁護士のほか、8名の職員がゾロゾロと地裁にやってきて、そのうち弁護士と7名の職員が法廷の被告席に着席し、1名が傍聴席に陣取りました。原告は当会代表1名です。


開廷予定時刻の30分前に訴訟代理人弁護士に率いられて、はやばやと裁判所にゾロゾロと入る8名の県職員ら。

1月10日の開廷表。

 定刻きっかりに始まった口頭弁論では、裁判長から「被告から第1準備書面の提出と陳述があり、一方、原告からは甲13号証の提出がありました。ついては、原告提出の甲13号証の土量計算結果に基づき、そのことについて被告から補充の準備書面を提出してもらいたい」と指揮がありました。

 そして裁判長が「被告はいつまでに補充の準備書面を提出できるか」と被告に質問したところ、「2月7日までに提出します」と被告訴訟代理人で群馬弁護士会長の紺弁護士が答えました。すると裁判長は、「次回(第4回弁論)期日を2月14日(金)13時10分からとしたいが、どうか」というので、原告、被告ともに「さしつかえありません」と答えました。

 というわけで、渋川市内の行政が特定業者に便宜を図り公金を違法に支出し、また回収義務を怠ったこの事件の真相究明は、次回第4回弁論でまた一歩前進することが期待されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

■参考情報「これまでの原告・被告双方の裁判資料」
*****訴状*****
     訴     状
(ここに収入印紙貼る)
                             令和元年7月4日
前橋地方裁判所 御中

         原告 〒379-0114 群馬県安中市野殿980番地
                  小  川     賢
                  電話090-5302-8312
         被告 〒371-8570 群馬県前橋市大手町一丁目1番1号
                  群馬県知事 大澤 正明

行方不明建設残土量に係る損害賠償請求事件

訴訟物の価格   160万円(算定不能)
貼用印紙額    13,000円

第1 請求の要旨
1.被告群馬県知事大澤正明は、渋川土木事務所長に対し、残土量5万㎥に見合う5,200万円を返還させよ。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 当事者
(1)原告は群馬県の住民であり納税者である。
(2)被告は、群馬県知事であり、渋川土木事務所を管轄する者である。
(3)訴外 渋川土木事務所、渋川建設組合、渋川市議とその妻および経営する建設会社、

第3 住民監査請求
(1)平成31年3月26日、原告は群馬県監査委員に、地方自治法第242条第1項により、「建設発生土ストックヤードの行方不明残土量に係る損害賠償請求権の行使等(以下、「本件請求」という。)について措置請求(甲1~7号証)を行った。
(2)平成31年4月3日、群馬県監査委員は原告に対し補正依頼通知を送付し、同月15日に原告は群馬県監査委員に対して原告は補正書(甲8号証)及び追加の事実証明書7~10(甲9~12号証)を提出した。
(3)令和元年5月8日、原告は群馬県監査委員に対して、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、意見の陳述と証拠の提出(甲13・14号証)を行った。
(4)令和元年6月4日、原告は、請求棄却・却下の監査結果(令和元年6月3日付、群監第202-13号)(甲15号証)を受け取ったが不服である。

第4 監査請求と監査結果に対する不服
(1)原告は、群馬県監査委員に対し、①「知事大澤は、渋川土木事務所長に対し、残土量に見合う損害を賠償せよ、との勧告を求めよ」および②「知事大澤は、渋川土木事務所に対し、一級河川田之郷川の河川補違反状態を解消せよと命ぜよ、との勧告を求めよ」との趣旨で、監査請求を申し立てた。
(2)ところが、群馬県監査委員の監査結果では、原告の請求内容が、①について、本件措置請求の当該建設発生土は、財産的価値を有しておらず、そうすると残土の管理行為は、「財産的価値に着目し、その価値の維持、保全を図る財務的処理を直接の目的とする事務会計上の財産管理行為には当たらない」として、争点を歪めて棄却した。
(3)また、②について、本件措置請求の一級河川田之郷川の河川法違反状態の解消は、財務会計上の財産管理行為には当たらない」として、これも却下した。

第5 請求の理由=群馬県の損失
(1)当該土地(ストックヤード)について
   この土地の所有者は、渋川市会議員の妻で建設会社社長の所有である。この建設会社は被告群馬県の工事も頻繁に請け負っている。
   被告群馬県は年間230万円でこの土地の所有者と借地契約をしていたらしい。また、この土地の地目は雑種地であり、面積は約1万㎡である。
(2)ストックヤードと残土捨て場の違いについて
   「ストックヤード」とは、建設副産物の中の建設発生土を工事間で利活用するための保管場所を言う。
   他方、残土捨て場とは、建設発生土の工事間の利活用ができず、埋立、盛土をする場所を言う。
   つまり、ストックヤードとは保管が目的で、捨場に処分するよりも工費が増す行為ではあるが、工費が増加してでも再利用のための保管場所と判断すべき場所であり、土砂自体の価値は、捨土であれば1㎥あたり700円である。
   今回はストックヤードであるから、1㎥あたりの受入金額が1,045円であれば、差額の345円は保管料金とすべきである。したがって、工事完了時点で、建設発生土を地権者の建設会社にくれてやった時点で、その分の差額は群馬県に返還させなければならない。
(3)それどころか、当該土地のストックヤードは河川敷よりも低いところがあり、当初からそれを埋めることが目的であったようにも取り得る地形である。なぜなら、河川地域がいたずらに形状変更されている事実が、着工前の平面図と横断図から判断できるためである。
(4)本来、田之郷川(一級河川)の管理者である渋川土木事務所が、こともあろうに借地契約を結んで、河川法で定める河川地帯に建設発生土を埋立処分したとなれば、それこそ前代未聞の話である。なぜなら盛土は、河川地帯内では、高さ3m以上はできないはずだからだ。
(5)渋川土木事務所に提出の平成30年11月27日の写真(甲7号証)でも、深さ3.5m以上、もっとも深いところでは6mにもおよぶ状態が明らかである。これは河川法違反行為そのものである。
(6)本来、ここに約10万㎥の土が存在するわけだが平成30年11がT27日の写真が示す通り、約5万㎥の土が存在していないことがわかる。群馬県監査委員は、土に価値がないとの判断であるが、果してそうであろうか。
(7)最初から、土の捨場として残土処分が目的であったという判断も有り得るのであり、土もすべて地権者のものと判断し得る。しかしながら、今回の借地契約は、ストックヤードとして建設発生土の保管を目的として成り立っているものである。
(8)先に地権者と借地既契約を結び、そこに管理人としての委託業務を渋川の建設組合と結び、そしてその実質作業を地権者の経営する建設会社が下請け作業を行っていたわけだ。そして、一年毎に契約を更新してきたわけだ。
(9)表向きは、ストックヤードとして、あたかも契約通りのことが行われてきたように見えるが、実際に土が約5万㎥も不足していては、建設工事間の発生土が確実に残土処分されていたかもしれないとの疑念を抱かざるを得ない。
(10)果して、被告群馬県の土木関係の監督のかたで、この土量を目視して約10万㎥の土が存在するように見えるかたがいるとすれば、それ自体技術の低下を指摘せざるを得ないことになる。誰が見ても、5万㎥が妥当である。
(11)この事案はストックヤードを装っているが、実際には少量の建設発生土を再利用したに過ぎず、その結果、河川法を犯している土地を残土捨場として埋立をしてやり、残った土砂を地権者に影響した行為と判断せざるを得ない。
(12)よって、入札委託契約は無効であるから、全額を返還させるべきである。
(13)どうしても契約が有効と言うのなら、土砂が管理されていないことを理由に、約50,000㎥×@1,045円=約5,200万円を返還させるべきである。
(14)この一連の行為における違反項目をまとめると次のとおりである。
  1)渋川土木事務所が建設組合と結んだ業務委託契約は官製談合の疑いがあること。なぜなら入札資格880点のしばりと渋川市内に拠点のある業者に限るとされているからだ。しかも下請に地権者の経営する建設会社を起用しており、協定書に違反しているためだ。
  2)被告群馬県と借地契約をしていること。地権者が建設会社の社け長で渋川市議会銀の妻である。
  3)河川法違反であること。河川法では盛土の高さは3m以内でなければならない。
  4)捨土であれば、借地契約は不要であること。
  5)土量不足であること。計算書によれば約5万㎥しかない(甲12号証)。
  6)群馬県と渋川市に対して土壌汚染対策法に基づく形状変更の手続が必要であるが、この土地、つまり市議会議員の妻で建設会社社長の土地については行われていない。
(15)なぜに、これほどの数々の違反を疑わせる行為がなされたのか。渋川の建設組合と契約をする必要があったのか。渋川土木事務所と組合との間に、カネを生み出す為のなにか共通の目的があったことが強く疑われる。
(16)よって、請求の要旨に示す金額の返還を求められたい。

第6 証拠書類
 なお、証拠説明書と以下の甲号証は追って提出する。
(1)甲1号証 住民監査請求書
(2)甲2号証 【事実説明書1】平成24年2月10日付入札公告
(3)甲3号証 【事実証明書2】渋川土木事務所建設発生土ストックヤード管理運営業務委託に関する協定書
(4)甲4号証 【事実証明書3】平成30年6月28日付新聞記事
(5)甲5号証 【事実証明書4】建設発生土ストックヤードの土量管理状況(H30.3月末)
(6)甲6号証 【事実証明書5】群馬県建設発生土ストックヤード利用要綱
(7)甲7号証 【事実証明書6】田之郷川(H30.11.27)の現場写真
(8)甲8号証 補正書
(9)甲9号証 【事実証明書7】工事打合せ書
(10)甲10号証 【事実証明書8】基礎単価表
(11)甲11号証 【事実証明書9】現場の現況写真 (2019年1月撮影)
(12)甲12号証 【事実証明書10】土量計算((不足分約5万㎥の根拠)
(13)甲13号証 【事実証明書11】平面図、縦断図及び横断図
(14)甲14号証 【事実証明書12】Google Earth地図
(15)甲15号証 監査結果通知
                                 以上

*****答弁書*****
<P1>
   令和元年(行ウ)第13号
原告 小川賢
被告 群馬県知事 山本一太
             答弁書
                 令和元年9月17日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
          (〒371-0022)前橋市千代田町二丁目1番20号
                  阿久澤・紺法律事務所(送達場所)
                   被告訴訟代理人弁護士 紺 正行
                    電話 027-231-2662
                    FAX 027-231-2640
                   被告指定代理人 小渕 弘之
                   被告指定代理人 林  洋一
                   被告指定代理人 市川 通利
                   被告指定代理人 土屋 隆太郎
                   被告指定代理人 飯島 幸弘
                   被告指定代理人 松井 幸夫
                   被告指定代理人 坪井 研二
                   被告指定代理人 井上 重利
                   被告指定代理人 高山 伸一
                   被告指定代理人 千嶋 豊久
                    電話 027-226-3531
                    FAX 027-224-1426

<P2>
          請求の要旨(趣旨)に対する答弁
 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
 との判決を求める。

            請求の原因に対する認否
第1 同第2(当事者)について
 1 同(1)について
   「原告は群馬県の住民であり」は認め、その余は不知。
 2 同(2)について
   同(2)のうち、渋川土木事務所を「管轄」を「統轄」と訂正した上、認める。なお、現在の群焉県知事は「山本一太」である。
 3 同(3)について
   同(3)のうち、渋川土木事務所、「渋川建設組合」を「渋川建設事業協同組合」と訂正した上、訴外であることは認め、その余は不知。

第2 同第3(住民監査請求)について
 1 同(1)について
   認める。
 2 同(2)について
   認める。
 3 同(3)について
   認める。
 4 同(4)について

<P3>
   「令和元年… …受け取った」は認め、その余は不知。

第3 同第4(監査請求と監査結果に対する不服)について
 1 同(1)について
   「河川補違反状態」を「河川法違反状態」と訂正した上、認める。
 2 同(2)について
   「争点を歪めて」は争い、その余は認める。
 3 同(3)について
   認める。

第4 同第5(請求の理由=群馬県の損失)について
 1 同(1)について
   争う。
 2 同(2)について
   争う。
 【求択明】原告は、土砂自体の価値は、捨土であれば1㎥あたり700円である旨主張しているが、「捨土であれば1㎥あたり700円」の主張が、なぜ導かれるのかを明らかにするよう求める。
 3 同(3)について
   否認ないし争う。
 4 同(4)について
   争う。

<P4>
 5 同(5)について
   争う。
   原告は、甲7の写真を根拠にして当該地土の深さが3.5m以上あるなどと主張している。
   しかし、甲7の写真は平戎30年11月27日に撮影されたものだとされている。そうだとすると、ストックヤードの運用は平成30年3月末に終了しているため、甲7の写真は埋め立てた後に撮影されたものであり、埋め立てる前の当該土也の状態を示すものではない。従って、原告の上記主張は失当である。
 6 同(6)について
   否認ないし争う。
 【求釈明】原告は、平成30年11月27日(原告は「平成30年11がT27日」としているが誤記と思われる。)の写真、おそらく甲7の写真を根拠にして、当該地に土約5万㎥の土砂が存在していない旨主張しているが、甲7の写真からなぜ上記主張が導かれるのかを明らかにするよう求める。
 7 同(7)について
   争う。
 8 同(8)について
   否認ないし争う。
 9 同(9)について
   否認ないし争う。
 10 同(10)について
   否認ないし争う。

<P5>
 11 同(11)について
   否認ないし争う。
 【求釈明】原告は、「残った土砂を地権者に影響した行為と判断せざるを得ない。」旨主張しているが、「残った土砂を地権者に影響した行為」とはどのような行為を指すのか明らかにするよう求める。
 12 同(12)について
   争う。
 13 同(13)について
   争う。
 14 同(14)について
   柱書は、争う。
 (1)同1)について
    争う。
 (2)同2)について
    争う。
 (3)同3)について
    争う。
 【求択明】河川法違反が、請求の要旨(趣旨)といかなる関係に立つのか明らかにするよう求める。
 (4)同4)について
    争う。
 (5)同5)について
    争う。
(6)同6)について
   争う。
 【求釈明】原告は、当該土地でのストックヤードの運営が土壌汚染対策法に違反していると主張するもののようである。土壌汚染対策法違反が、請求の要旨(趣旨)といかなる関係に立つのか明らかにするよう求める。
 15 同(15)について
   争う。
 16 同(16)について
   以上の通り、原告の主張は何れも理由がないので、本件訴えは速やかに棄却されるべきである。

            被 告 の 主 張
 被告の主張は、追って準備書面を提出して行う。
                                   以上

             添 付 書 類
 1 答弁書副本    1通
 2 訴訟委任状    1通
 3 指定代理人指定書 1通

*****原告準備書面(1)*****ZIP ⇒ 20191023ipjeeb07111416.zip
令和元年(行ウ)第13号 行方不明建設残土量に係る損害賠償請求事件
原告 小川 賢
被告 群馬県知事 山本一太

                           令和元年10月23日

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中

                 原 告   小 川   賢    印

          原 告 準 備 書 面(1)

 頭書事件について、原告は、9月20日の裁判官の訴訟指揮により、次のとおり陳述する。

第1 被告の求釈明について

 1 【求択明】原告は、土砂自体の価値は、捨土であれば1㎥あたり700円である旨主張しているが、「捨土であれば1㎥あたり700円」の主張が、なぜ導かれるのかを明らかにするよう求める。

   原告は次の通り主張理由を明らかにする。
   被告が平成31年4月1日に作成・公表した「群馬県基礎単価表」(甲第16号証)によると、建設発生土民間施設受入料金 渋川地区(行幸田)は700円/㎥となっている。
   他の契約単価がストックヤードとなっていることから、この単価は残土捨て場の単価であることを示している。
   渋川市赤城町の土地(以下「本件土地」という。)と甲第16号証の渋川地区(行幸田)は同じ群馬県県土整備部渋川土木事務所管内であり、渋川地区の捨土は700円が妥当であると判断される所以である。

 2 【求釈明】原告は、平成30年11月27日(原告は「平成30年11がT27日」としているが誤記と思われる。)の写真、おそらく甲7の写真を根拠にして、当該地に土約5万㎥の土砂が存在していない旨主張しているが、甲7の写真からなぜ上記主張が導かれるのかを明らかにするよう求める。

   原告は次の通り主張理由を明らかにする。
   仮に約12,000㎡の土地に、約10万㎥の土砂が存在すると考えた場合に、土砂の高さは10m~11m以上なければ、約10万㎥に見合う土量の確保はできない。
   甲7号証によれば、ストックヤード対岸の道路から観察したところ、1m位の高さしか土砂が存在しないように見える。
   甲11号証のアスファルト道路からの観察によっても、土砂は1m位の高さにしか見えない。
   写真による視認の誤差を考えても、約100,000㎥の半分の約5,000㎥の土砂が足りないと考えることに、なんら不都合や不合理はない。
   しかも、被告である渋川土木事務所は、この分野の専門家集団である。対岸の道路より水準測量機で測量すれば言うに及ばず、甲7号証や甲11号証を一覧しただけで、土砂が足りないことがはっきり認識できるはずであり、できなければならない。

 3 【求釈明】原告は、「残った土砂を地権者に影響した行為と判断せざるを得ない。」旨主張しているが、「残った土砂を地権者に影響した行為」とはどのような行為を指すのか明らかにするよう求める。

   原告は次の通り主張する。
   「影響」はミスタイプであり、「提供」が正しい。「残った土砂を地権者に提供した行為」が正しい表現である。すなわち、ストックヤードの地権者は望月建設であり、残った土砂は被告が無償で地権者である望月建設に与えたものと考えられる。
   本件土地が仮に残土捨て場であったならば、捨土代金を払えば土砂そのものは地権者に提供したものと考えてもよいであろう。
   しかし本件土地は残土捨て場ではなく土砂の有効利用を目的とした土地である。そこには期限が設けられ借地契約も結ばれている。
   残土捨て場であれば、土砂は未来永劫その土地に置きっぱなしになる可能性があり借地契約を締結することは馴染まない。本件土地は残土捨て場ではなく、土砂の有効利用を目的に土地を借り、土砂の受け入れ・払い出しに費用をかけているのであるから、土砂を無償で土地所有者に提供することはできないはずである。

 4  【求択明】河川法違反が、請求の要旨(趣旨)といかなる関係に立つのか明らかにするよう求める。

   原告は次の通り主張する。
   地方自治法第2条の第16項では「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。」と定めており、同条第17項では「前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。」と定めている。
   被告はそもそも一級河川の管理を国から委託されている。
   河川法第55条、第57条によれば、一級河川及び準用河川の河川区域に隣接する一定の区域で河川保全区域として指定された区域内及び河川工事をするために必要と認められた河川予定地内においては、土地を掘削することや工作物を新築すること等の行為をしようとする場合は、河川管理者の許可を受けなければならない、と定められている。
   この目的は、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持されるよう河川保全区域内における一定の行為を規制することによって、公共用物である河 川を保全し、適正に管理することである。また、河川予定地においても一定の行為を制限することによって、河川の整備を円滑に実施することを目的とする。
   河川保全区域とは河川管理者が河岸又は河川管理施設を保全するために必要があると認めて、指定した河川区域に隣接する一定の区域であり、一般的に河川の左右岸20mの堤内地を対象とする。
   よって、左右20mは正規の手続き無しには形状変更することはできない。
   本件土地は、河川保全区域内にヒューム管が勝手に設置されるなど正規の手続き無しに形状変更された土地である。
   よって、本件土地にストックヤードを設置したことは、河川法に抵触する土地を利用した違反行為であり、地方自治法第2条の第16項に違背した行為である。

 5 【求釈明】原告は、当該土地でのストックヤードの運営が土壌汚染対策法に違反していると主張するもののようである。土壌汚染対策法違反が、請求の要旨(趣旨)といかなる関係に立つのか明らかにするよう求める。

   原告は次の通り主張する。
   地方自治法第2条の第16項では「地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。」と定めており、同条第17項では「前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。」としている。
   土壌汚染対策法では、3,000㎡を超える土地の形状変更する場合には、群馬県森林環境部に届出が必要とされている(土壌汚染対策法第4条第1項)。
   すなわち、一定の規模以上(3,000平方メートル以上)の土地の形質の変更の場合、地方公共団体であれ、民間であれ3,000㎡を超える土地の形状変更を行う場合には届出が必要である。
   ところが、本件土地については届出が無く、土壌汚染対策法に違反している。したがって本件土地に係る行為は、地方自治法第2条により無効である。

第2 次の甲号証について、カラー写真を改めて提出する。

 1 甲第7号証
 2 甲第11号証
 3 甲第14号証
   いずれも、本準備書面(1)に添付して提出する。

                                   以上

*****被告第1準備書面*****ZIP ⇒ 20191212pipwj.zip
2019121215.zip
2019121267.zip
20191212108ih29.412j.zip
20191212108ih30.13j.zip
            送 付 書
                        令和元年12月12日
小川 賢 様
                  阿久澤・紺法律事務所
                  〒371-0022
                  前橋市千代田町2-1-20
                   電話 027-231-2662
                   FAX 027-231-2640
                  被告訴訟代理人弁護士  紺  正 行

下記書類を送付致します。
*受信された際には、下欄の受領書に日 付を記入し、記名押印の上、 そのまま(送付書と受領書を切り離さずに)送信者及び裁判所(FAX:027-233-0901)にファクシミリで送信して下さい。
               記
事件番号    令和元年(行ウ)第13号
当 事 者   原告 小川 賢
        被告 群馬県知事 山本 一太
次回期日    令和2年1月10日 午後4時30分
文 書 名   準備書面(1)、書証乙第1号証~乙第8号証、証拠説明書
送信枚数    枚(送付書を含む)
通 信 欄
----------------------切り取らないで下さい----------------
                受 領 書
上記書類を受領致しました。     令和元年12月15日

               原 告   小 川   賢     印

前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中(ご担当書記官 下城 様)
弁護士  紺  正 行 様 宛

=====準備書面(1)=====
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被告 群馬県知事 山本一太
            準 備 書 面 (1)
                         令和元年12月12日
前橋地方裁判所民事第2部合議係 御中
                 被告訴訟代理人弁護士 紺 正行

                 被告指定代理人 小渕 弘之
                 被告指定代理人 林  洋一
                 被告指定代理人 市川 通利
                 被告指定代理人 土屋 隆太郎
                 被告指定代理人 飯島 幸弘
                 被告指定代理人 松井 幸夫
                 被告指定代理人 坪井 研二
                 被告指定代理人 井上 重利
                 被告指定代理人 高山 伸一
                 被告指定代理人 千嶋 豊久

<P2>
           被 告 の 主 張

第1 建設発生土の現状及び群馬県の取組について
1 建設発生土の現状について
 国土交通省が建設工事の副産物である建設発牛十と色調売棄物の適正な処理等に係る総合的な対策に必要な基準を示した「建設副産物適正処理推進要綱」(乙第1号証)の第3(2)では、建設発生土とは、「建設工事に伴い副次的に得られた土砂(浚渫土を含む)をいう。」と定められている。
 公共工事における建設発生土は、自らの工事や他の工事等での利用が行われているが、利用されなかった建設発生土は、受入地等を確保し、そこへ搬出するなどして適正に処分を行うよう努めている。
 国土交通省が実施している平成24年度の建設副産物実態調査の結果(乙第2号証)で は、建設発生土の場外搬出量140,794千㎥に対して、搬入土砂の利用量は78,408千㎥と利用土量より搬出土量が約1.8倍も多い、供給過多の状態となっている。
 一方、詳馬県でも、同様な状況となっており、場外搬出量2,003.6千㎥に対して、搬入土砂利用量は719.8千㎥と、約2.8倍の供給過多となっており(乙第2号証の4枚目)、有効利用できない建設発生土の受入地等をどのように確保していくのかが、群馬県を含め全国的な課題となっている。
 群馬県では、従来から、建設発生土の利用を図るため、掘削と盛土のバランスを考慮した設計の推進や、工事間利用調整の推進を中心とした対策を講じることとしてきた。
 しかし、工事間の施工時期等が合わない理由により工事間利用調整(別紙イメージ図の工事現場:Aと工事現場:工事現場Bとの間の利用調整が進まず、また、依然として、慢性的に利用土量より搬出土量が多い供給過多の状態であることから、建設発生土の受入地等の確保が必要な状況となっている。

2 建設発生十を有効活用する取組について

<P3>
 第1項のような状況の中、群馬県では、平成22年度に公共工事における建設発生土に関する諸問題について調査・研究するため、各土木事務所に「建設発生土対策検討会議地区協議会」を設置し、公共事業における建設発生土の有効利用の検討を行ってきた。
 渋川土木事務所でも、平成22年度に渋川地区協議会を設置し、平成23年度に渋川地区協議会の中で、公共工事における建設発生土の有効利用と適正処理を図ることを目的に、渋川市赤城町に本件ストックヤードを設置することが決定されている。

3 建設発生土ストックヤードについて
 第1項の通り、詳馬県では、慢性的に利用土量より搬出土量が多い供給過多の状態であることから、工事の実施に先立ち、その受入地等を探すのに苦慮している実態がある。
 また、盛土材を必要とする工事現場があっても工事間の施工時期等が合わなければ、工事間利用もできない。
 そうした状況を打開するための取組に、建設発生土ストックヤードが挙げられる。
 建設発生土ストックヤードとは、「建設発生土を再利用するため、建設発生土を一時的に仮置きし、公共工事間での建設発生土の流用に伴う時間調整を行う場所であって付帯設備を有する施設をいう。」と定められている(甲6号証 第3条第2号)。
 本件ストックヤードを設置することで、公共事業における建設発生土を随時受入れることができ(別紙イメージ図の①)、また、土砂を必要とする工事が実施される場合は、本件ストックヤードから土砂を搬出し有効利用できるようになる(別紙イメージ図の②)。
 このように、建設発生土ストックヤードは、建設発生土の工事間利用を円滑にし、建設発生土の更なる有効利用と適正処理が図られるものである。

第2 建設発生土ストックヤード管理運営業務委託について
1 借地契約について
 本件ストックヤードは、民間の土地を使用してのものであり、6年間の長期間の使用となることや公共事業における建設発生土の搬入や搬出をする際に、民間の土地上で建設機械の使用、本

<P4>
件ストックヤードの管理運営をするための施設などを設置する必要がある。
 このため、平成24年4月1日に本件ストックヤードの設置者である渋川土木事務所と土地所有者望月春子、望月昭治とで借地契約を締結している(乙第3号証 別紙イメージ図の③)。
 なお、賃貸借期間は平成24年4月1日から平成30年3月31日までの6年間である。
 本件ストックヤードの運用土量については、建設発生土が供給過多の状況であることから、期間終了時には有効利用できない建設発生土が残ることは見込んでいた。しかし、一定期間においてストックヤードとして活用することは、公共工事間での建設発生土の流用に伴う時間調整を行うなど建設発生土の有効利用の面からも必要と判断され、一定の成果はあった。また存置した建設発生土は供給過多の状況で有効利用できないことから資産価値はなく、さらに、存置した建設発生土を全て再び撤去し他の受入地等、搬出するなどということも考えられず、存置したものである。

2 建設発生土ストックヤード管理運営業務委託の入札について
 本件ストックヤード管理運菖業謀蘇託に関する入札は、「一般競争入札(総合評価方式)」にて落札者を決定したが、この入札方式は、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(乙第4号証)及び「公共工事における総合評価方式活用ガイドライン」(乙第5号証)に基づいた入札方式である。同法律第3条第2項で、「公共工事の品質は、(略)経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない。」とあり、同ガイドラインでは、1総合評価方式の概要 中段で「公共工事の品質確保のための主要な取り組みとして総合評価方式の適用を掲げている。」とある。
 通常の建設工事と違い6年にわたる長期の業務委託となり、人員の確保や重機の確保など受託者にかかる負担が大きいことから、群馬県建設工事請負業者選定要領(乙第6号証)を参考に入札資格要件を総合数値が880点以上の土木一式工事業者で渋川土木事務所管内におけるA等級業者とした。また、受託者の負担軽減や広く参加者を募集する観点から複数の法人で構成するグルーブも参加資格に加えることとした。複数の法人で構成されるグループで申請する場合は、その代表者が資格要件を満たすこととしている。

<P5>
 また、渋川市内に拠点のある業者としているのは、施工業者の地域へのは精通度、貢献度等など業務を円滑に施工するための重要な要素を考慮してのものである。
 入札の結果、渋川建設事業協同組合が落札し、建設発生土1㎥あたりの利用料金として、ストックヤード 搬入時利用料金1,045円/㎥、搬出時利用料金620円が決定されている(甲第3号証 別紙イメージ図の④)。
 従って、渋川土木事務所と受託者である渋川建設事業協同組合との間で締結した管理運営業務委託協定には、何らの違法はない。
 なお、原告は、渋川地区の残土捨て場の単価として700円である旨主張する。しかし、それは民間施設の管理者が、残土捨て場として決定した単価であるが、本件の単価は公共工事における建設発生土のストックヤードとして決定したものであり、比較の対象とはならない。

3 ストックヤー ドの利用料金について
 渋川土木事務所の管理の建設発生土ストックヤードは、受託者である渋川建設事業協同組合が、公共事業における建設発生土をストックヤードへ搬入する者及びストックヤードから搬出する者の双方から、それぞれ搬入及び搬出にかかる利用料金を徴収し、この利用料金で管理運営に要する全ての費用を賄う形で運用されている(甲3号証 第10条 別紙イメージ図の①、②、⑤)。
 上記の通りの運用形態であるので 本件ストックヤードの管理者である渋川土木事務所から受託者である渋川建設事業協同組合に対して委託料等が発生するものではなく、また、利用料金は群馬県の歳入にはならない。

4 第三者への再委託について
 渋川土木事務所建設発生土ストックヤード管理運営業務委託に関する協定書(甲3号証)第22条第1項では、「当該業務の全部又は一部を第三者に委託し、請け負わせてはならない」と定めており、これに基づき、原告は協定書に違反している旨主張している。
 しかし、協定書(甲3号証)同条第1項のただし書きに 「あらかじめ委託者の書面による承

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諾を受けた場合は、当該業務の一部を第三者に委託し、又は請け負わせることができる。」とある。
 本件の場合「業務状況報告書」(乙第7号証)が書面により提出され、渋川土木事務所で内容確認と契約担当者の押印により承諾されているため、原告が主張するような協定書違反をしているものではない。

第3 建設発生土ストックヤー ドの土量管理について
1 土量管理について
 本件ストックヤードに搬入及び搬出される建設発生土の土量管理は、渋川土木事務所が受託者である渋川建設事業協同組合から月例報告書を提出させるとともに(乙第8号証 別紙イメージ図の⑥)、毎年度完了後60日以内に、渋川建設事業協同組合から提出される業務報告書(甲9号証参照)により、履行状況を渋川土木事務所で確認検査を行っている。
 本件ストックヤードの各年度の土量管理状況は、甲5号証のとおりである。
 従って、土量管理は、適切になされているので、何らの違法はない。

2 原告が主張する土量算出について
 原告は、甲12号証及び甲13号証により、約5万㎥の土砂が足りていない旨主張しているが、第2回口頭弁論において、甲13号証については原告が「図面」を拡大し再提出することとなっているため、その「図面」の提出を待って、被告の主張を行う。

第4 河川法違反、土壌汚染対策法違反について
 本訴状における請求の要旨(趣旨)、 被告群馬県知事山本一太は、渋川土木事務所長に対し、残土量5万㎥に見合う5,200万円を返還させよというものであり、河川法違反、土壌汚染対策法違反については、請求の要旨と関連しない。また、そもそも住民訴訟の対象にあたるものではない。

第5 結論
 以上のとおり、本件ストックヤード管理運営業務委託に関しては、原告が主張するような官製談合及び協定違反の事実はなく、ストックヤードの運用に関しても適正に行われている。
 また、土量管理についても、第3項の通り、適切に土量管理が行われ、その確認検査も行っている。
 したがつて、原告が主張するような事実は存在しないので原告の請求は棄却されるべきである。
                            以上

****甲13号証(拡大カラー版)******ZIP ⇒ 2019123b132019050811iyvzaj.zip

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