市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

高崎市若宮苑のケアプランに係る印章偽造容疑で栄養士免許取消の相談を受けた弁護士の引け腰

2019-10-27 23:51:00 | 不良弁護士問題
■高崎市の若宮苑を巡るケアプランの偽造を端緒とした補助金の不正給付を巡り、当会会員が高崎市を相手取って足掛け4年間にわたり係争を続けております。一審では2018年11月7日(水)に前橋地裁21号法廷で、渡邉和義裁判長から原告当会会員に全面敗訴の判決が下され、東京高裁で控訴審を係争するも敗訴したため、現在最高裁に上告中です。この事件の端緒となったのが、若宮苑の偽造書類に記されていた偽物のサインですが、これを書いた容疑者が若宮苑の栄養士であることから、当会会員は、栄養士法に基づき、栄養士免許登録管理をしている群馬県に、2019年8月15日付で上申書を提出して、免許取消を申し出ています。
 ところが、上申書にはサインが偽物であることを示す鑑定書と、それを有効とする裁判所の判断が記された一審判決が添えられているにもかかわらず、群馬県は、証拠が正当なものか判断するために必要だとして、当会会員に二審(控訴審)の判決文の写しの提出を求めてきました。当会会員は、群馬県に対して、「自ら東京高裁で閲覧・謄写の手続きをして入手するように」と回答し、いったんは群馬県も納得したかに見えました。
 すると突然10月24日になって、群馬県が当会会員に対して、「やはり二審判決の写しの提出が必要だ」と電話で依頼がありました。当会が群馬県の担当部署に電話で確認したところ、県の顧問弁護士の指示が背景にあったことが判明したのです。以下に、顛末を詳述します。

関夕三郎弁護士が所属する石原・関・猿谷法律事務所(前橋市大手町3-4-16)。同事務所の場合、県内の行政事件の関与率が抜群に多い。既に何件もの住民訴訟で被告訴訟代理人として当会の前に立ちはだかってきた経緯有り。
 当会会員は2019年8月15日「上申書」を群馬県健康福祉部保健予防課健康増進・食育推進係に持参し、およそ90分にわたり同係の野村孝昭次長(補佐(事))と齊藤朋子係長(技)に説明をしたあと提出しました。その際に、介護高齢課保健・居住施設係長(事)の大竹薫職員も立ち会いました。

 この件では、本年1月頃に、若宮苑栄養士の印章偽造について、当会会会員が、当会代表と監事とともに同係の古沢実知也次長(事)と齊藤朋子係長と面談した際に、古沢次長からは、「高崎市に詳細等を確認しておきます」との発言がありました。

 今年1月に面談した古沢次長は、その後4月に異動となって、新しく野村孝昭次長が就任しました。しかし経緯を知らずにいることが懸念されたため、8月15日の上申書提出時には、介護高齢課の係長にも立ち会っていただいた次第です。

 その際、群馬県に提出した上申書は次の通りです。

*****8/15上申書*****ZIP ⇒ p13.zip
p45.zip
                           令和元年8月15日
〒371-8570
群馬県前橋市大手町一丁目1番1号
群馬県知事  山本一太 殿
ご担当:健康福祉部    保健予防課 健康増進・食育推進係 
    次長  野村孝昭 殿(027-226-2601)
    係長  齊藤朋子 殿
                 上 申 人:〒370-0883
                       群馬県高崎市剣崎町906
                       岩 崎 優      印
                       携帯:090-9839-8702

                 支 援 団 体:〒371-0801
                       前橋市文京町1丁目15-10
                       市民オンブズマン群馬
                       代表 小 川 賢  印
                       携帯:090-5302-8312

             上 申 書
件名:介護老人保健施設・若宮苑に勤務する「指出直美」の栄養士免許の取消し及び名簿登録抹消のための速やかな行政処分を求める

拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素より、県民の生活向上のため、各政策分野において、日夜ご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、標件につきまして、栄養士の指出直美が作成した文書が偽造と鑑定された筆跡鑑定書(資料1)を証拠物として本上申書に添付します。この筆跡鑑定書は、上申人が提起した事件番号:前橋地裁平成28年(行ウ)第7号 不当利得等請求住民訴訟事件で、裁判所に証拠として提出したにもかかわらず、遺憾ながら、前橋地方裁判所は偽造か否かについての判断を怠りました(資料2)。しかし、指出直美の文書偽造は明らかです。
 よって、栄養士等の免許登録を所管する貴殿に対し、栄養士法第3条第2号及び第4条(資料3)に基づき、「若宮苑に勤務する指出直美の栄養士免許を取り消し、栄養士名簿から同人の登録を抹消すること」を要請する次第です。

            上 申 の 趣 旨

第1 当事者

 1 上申人
   上申人は、高崎市に住所を有する、高崎市民であり、岩崎クニ子(以下「クニ子」という。) の息子(次男)です。
 2 若宮苑
   若宮苑は、高崎市より介護保険法の開設許可を受けた介護老人保健施設であり、その経営主体は医療法人十薬会(理事長:矢島祥吉)です。
 3 指出直美
   指出直美は、若宮苑に勤務する栄養士です。
 4 クニ子
   クニ子は、介護保険法上の要介護認定を受けた介護保険被保険者であり、若宮苑に入所していた者です。
 5 高崎市
   高崎市は、介護保険法上の保険者であり、不正請求、不正受給等を監視すると共に、若宮苑に対し、絶対的な指導権限を有する立場にある事務の執行機関です。
 6 前橋地方裁判所
   前橋地方裁判所は、筆跡鑑定書等の提出物に対し、偽造か否かの判断を行わなければならない日本国の地方裁判所です。

第2 根拠法令

 ■栄養士法(昭和22年 法律第245号)
  第三条 次の各号のいずれかに該当する者には、栄養士又は管理栄養士の免許を与えないことがある。
  一 罰金以上の刑に処せられた者
  二 前号に該当する者を除くほか、第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
  第四条 栄養士の免許は、都道府県知事が栄養士名簿に登録することによつて行う。
  ○2 都道府県知事は、栄養士の免許を与えたときは、栄養士免許証を交付する。
  ○3 管理栄養士の免許は、厚生労働大臣が管理栄養士名簿に登録することによつて行う。

 ■介護保険法(平成9年 法律第123号)
第五条(国及び地方公共団体の責務)
   2 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言および適正な援助をしなければならない。

 ■刑事訴訟法(昭和23年 法律第131号)
  第239条(告発)
   1 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
   2 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

 ■地方公務員法(昭和25年 法律第261号)
  第29条(懲戒)
   1.職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として
戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
   二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
   三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

 ■刑法第159条(私文書偽造等)
  1.行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に
   関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用し
   て権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以
   上5年以下の懲役に処する。
  2.他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造し
   た者も、前項と同様とする。
  3.前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽
   造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

■刑法第161条(偽造私文書等行使)
  1.前2条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは
   変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

第3 事案の概要
 クニ子は、若宮苑に以下のとおり入所していました。
    入所日   退所日
   i H27/4/6 ~ H27/4/28        (以下「本件入所1」という。)
  ii H27/5/20 ~ H27/6/5 *短期入所 (以下「本件入所2」という。)
  iii H27/6/20 ~ H27/8/12 (以下「本件入所3」という。)
  iv H27/9/18 ~ H 27/10/15 (以下「本件入所4」という。)
 本件入所1、本件入所3及び本件入所4は、介護保険施設サービスですが、若宮苑は介護保険法で定める施設サービス計画を作成せずに、介護保険施設サービスを提供し、かつ、本件入所3及び同4では、栄養ケア計画の家族確認欄の「岩崎優(上申人)」名義の署名を偽造し、高崎市から栄養マネジメント加算の支払いを受けました。
 そのため、若宮苑が不正に受領した栄養マネジメント加算の返還を求め、上申人は、当該署名が私文書偽造であると鑑定された筆跡鑑定書を高崎市に提出しました。
 すると、平成27年12月21日に、長寿社会課坂口係長、指導監査課久保田、介護保険課関らが若宮苑に出向き、指出直美に聞き取り調査を行った結果、以下の証言を得ました(資料4)。
            ≪以下、引用はじめ≫
H27.12.21若宮苑の指出栄養士に聞き取り、息子である岩崎優さんにサインをいただいているとの証言有。(同意の場所、時刻等は詳細不明)(高崎市ではサインの真偽は確認できない。)
            ≪以上、引用おわり≫
さらに、平成28年3月16日付で、若宮苑の矢島祥吉理事長は、高崎市長に対して、次のとおり、報告しています(資料5)。
            ≪以下、引用はじめ≫
 同意日:H27年7月1日
   栄養計画書の説明は、フロアの椅子にて栄養士が行い、同席者(相談員等)はなし。

 同意日:H27年9月22日
   栄養計画書の説明は、フロアの椅子にて栄養士が行い、同席者(相談員等)はなし。

            ≪以上、引用おわり≫

 「資料4、5」のとおり、矢島祥吉理事長は、「フロアの椅子で指出栄養士が、岩崎クニ子の息子である岩崎優に栄養計画書の説明を行い、同意のサインをもらった」ことを報告しています。
他方、岩崎優(上申人)は、偽造と鑑定された筆跡鑑定書の提出をもって、「同意のサインは偽造であること。」を報告しています。
しかし、「高崎市では、偽造の真偽は確認できない(資料4)」などと結論付けたために、上申人は、偽造の真偽を確認するため、高崎市長を被告として、前橋地方裁判所において、三年越しにわたり係争しました。
その結果、平成30年11月7日付で、判決が言い渡されました(資料2)。

 遺憾ながら、栄養ケア計画の偽造に関しては、原判決は何ら判断を行っていません。

第4 経験則違反―栄養ケア計画書の偽造

 1 本件入所3及び同4の栄養ケア計画における上申人名下の署名に関し、前橋地裁は、下記のとおり判示しましたが、当該署名が偽造されたものであるか否かにつき、何ら判断を行っていないのです。
   かかる判断は経験則に反するものです。
                
   『栄養ケア計画(丙43)には、その利用者(家族)同意欄に控訴人の氏名が記載さ  れているところ、これが控訴人の自署によるものであるかについては、控訴人本人尋問の結果中にはこれを否定する供述があり、本件鑑定書には控訴人の筆跡とは異なるとの記載がある一方、これを控訴人自身の筆跡であると控訴人が自認する説明書(丙35)の署名と対照しても、その真否は明らかとはいえず、栄養ケア計画(丙43)をもって、同栄養ケア計画についての控訴人の同意を裏付けるものとはいえないが、』(原判決14,15頁(入所④に関しても同旨))。


 2 原判決は、上申人名下の署名は、真否は明らかとはいえず、栄養ケア計画についての同意を裏付けるものとはいえないと判断しました。
   しかしながら、署名が存在するのに、当該署名で同意を裏付けられないということは、ごく普通の論理則・経験則に従えば、当該署名は、本人の意思に基づくものではないということであり、他者により偽造されたものであるとの強い推認が働きます。
   証拠法的に考察すれば、民事訴訟法228条4項は、本人の署名がある場合に文書の真正成立を推定します。本件で問題となっている栄養ケア計画の同意に関する文書は、栄養ケア計画への同意という法律行為が書面によってなされている文書であり、いわゆる処分文書に当たります。従って、当該栄養ケア計画に署名があるにもかかわらず、同意の効果を認めないということは、論理的には、当該署名は本人の署名ではないということを意味し、本人の署名でないにもかかわらず、現に本人(上申人)名下の署名が存在しているということは、当該署名は他者によるものであって、偽造されたものであると優に推認できます。
   原判決は、この点に関する経験則を誤っています。
   なお、前橋地裁は、上記の点に付き『原告以外の者により偽造された疑いは否定できない』と判断しています。資料2:39頁、41頁

 3 本件入所3及び同4の栄養ケア計画における上申人名下の署名は偽造であり、これにより〝若宮苑〟は、栄養ケア計画加算として介護報酬の支給を受けていますが、当該支給は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けたものであり(介護保険法22条3項)、法律上の原因を欠くことは自明の理である。返還されて然るべきものです。

 4 上申人は、同文書に署名したことはなく、名前の「優」を「俊」と間違えて書いている等、外見上、上申人本人(岩崎優)の署名ではないことは明らかですが、全国の裁判所等から選任鑑定人として指定を受ける川野一吉鑑定人の筆跡鑑定結果においても同署名の筆跡は、上申人の筆跡ではないことが明らかとなっています。
   栄養ケア計画の利用者家族同意を偽造し、当該施設の用に供することは、いうまでもなく私文書偽造、同行使罪(刑法159条、161条)に該当し、違法です。

 5 これらの「証拠の無い指出直美の証言(資料4)」及び、「矢島祥吉理事長が高崎市長に対して提出した報告書(資料5)」に対しては、岩崎優(上申人)は筆跡鑑定書をもって、偽造されたサインであることを証明します(資料1)。

 6 群馬県知事においては、栄養士に免許を与える立場から、県民に対し、キチンと説明責任を果たすことが求められます。

第6 まとめ
 前橋地裁は、偽造の点に付き『原告以外の者により偽造された疑いは否定できない』と判断している(資料2:39頁、41頁)ものであり、その真否は明らかにされていません。
 従って、群馬県知事に対し、筆跡鑑定書を提出しますので、上申人(岩崎優)が署名したサインであるのか否かについて、筆跡鑑定書を大いに活用し、その真否を明らかにしてください。その上で、改めて指出直美に対し、聞き取り調査等を行なってください。
 なお、上申人は、群馬県知事の免許を受けて、栄養士となっている指出直美を私文書偽造同行使罪で告発していますが、仮に、群馬県知事が『偽造ではない。』と、判断された場合は、いつでも上申人(岩崎優)を虚偽告訴罪で訴えていただくよう、矢島祥吉理事長及び、指出直美に促していただきたいと思います。
 いずれにせよ、此度の指出直美に係る文書偽造の容疑があるものの、若宮苑に入所しているお年寄りの方々の食事に異物を混入されずに済んだことだけは幸いであったと思います。

第7 最後に
 日本の高齢化は喫緊の課題ですが、今後、更に高齢化が進行していくことはもはや避けることのできない現実です。高齢化の進行に伴い、介護保険の保険給付はさらに増大の一途を辿ることでしょう。一方で、巷間報道されているとおり、事業者のモラルハザードによる介護報酬の不正請求は後を絶たず、これら不正請求を防止する必要性は、今後益々重要となっていくことは明らかです。そのためには、不正請求を行った事業者に対する、許可、指定の取り消し、停止等の行政処分に加え、不正請求によって得た利得を返還させるという毅然とした対応を行い、もって、不正請求の予防を図ることが不可欠であると思料します。
 また、栄養士法第3条2項の定めは、『前号に該当する者を除くほか、第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者』に対し、栄養士又は管理栄養士の免許を与えないことがある、と規定しています。仮に指出直美が偽造した証拠がないとした場合であっても、指出直美は高崎市の聞き取り調査に対して、「息子である岩崎優からサインにサインをいただいているとの証言。」をしたのです(資料4)。
 このことをもってしても、指出直美の虚偽証言は行政庁に対する「不正の行為」であると言わざるを得ません。
 群馬県知事においては、上記の観点も考慮の上、真に栄養士等を必要とする入所者や、入院患者、小中学生、園児等のために、十分な調査をなされたく、最後に重ねて要請します。

                                      以上

     ≪証  拠  資  料  の  提  出≫

証拠1:鑑定書 (東京筆跡印鑑鑑定所 鑑定人/川野一吉)
証拠2:判決文 (前橋地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官/渡邉和義)
証拠3:栄養士法(昭和22年 法律第245号)
証拠4:苦情申立についての確認結果(作成者:高崎市長寿社会課/坂口係長)
ZIP ⇒ yts.zip
証拠5:調査・報告依頼に対する報告(報告者:医療法人十薬会/理事長 矢島祥吉)
ZIP ⇒ ytt.zip
**********

■その後、8月28日に、当会は会員とともに、栄養士を所管する群馬県健康福祉部保健予防課健康増・食育推進係を訪問することとなっていましたが、8月20日に、県から当会会員に連絡があり、「都合が悪いので9月の冒頭にして下さい」と連絡がありました。そのため、仕方なく8月28日はキャンセルし、9月4日に県と面談しました。そこであらためてこの件について、迅速な対応を野村次長や齊藤係長らに要請しました。

 その後、なぜか群馬県は、当会会員に対し「栄養士免許取消について調査する上で、控訴審の判決文を参考のために、読みたい」と言ってきました。そのため、当会会員は「高崎市から貰って下さい」と言いました。

 すると、群馬県の野村次長は、高崎市長寿社会課の志田登課長に対し、上級庁の立場から閲覧を求めました。これに対して高崎市の志田課長は群馬県に対し、「情報公開で請求しても、個人情報を含んでいる」等を理由に群馬県に対し開示を拒否しました。開示を拒否された群馬県は、当会会員が保有している控訴審判決文の開示を求めて、当会会員に相談してきました。
 
 相談を受けた当会会員は、同じ行政として当該情報を保有している高崎市に対して一応開示請求をしておこうと考えて、10月1日に高崎市役所市民センターを訪れて、志田課長を呼び出してもらい、開示請求書を提出しておきました。しかし、あくまで民事事件の判決文は誰でも閲覧・謄写ができることから、群馬県の齊藤係長には「群馬県が裁判所に規定の手続きをして、群馬県が自ら判決文を入手してほしい」と伝えました。齊藤係長は、これを承知しました。

■その後、本件進捗状況がどうなっているのか気になった当会会員は、10月24日10時過ぎに、県庁の齊藤係長に電話をしました。すると齊藤係長は「この件で、群馬県として、これまでに栄養士の資格取り消しを一度もしたことがないため、本件の措置について群馬県の顧問弁護士に相談している」という趣旨のことを述べました。

 齊藤係長からは当会代表にも電話があったようで、同日の10時36分に保健予防課(027-226-2601)から留守電話が入っていたことがわかり、当会代表は11時49分に折り返し電話で確認をしたところ、齊藤係長が電話をくれたことが判明し、本人に代わってもらいました。電話での話の内容は次の通りでした。

(1)さきほど岩崎さん(当会会員)に電話をしたら、小川代表と話してほしいということで、電話を差し上げました。
(2)岩崎さんには、若宮苑の栄養士の免許資格について話をしました。小川さんからも、栄養士の書類偽造の件で、裁判所の判決文の入手状況について質問されていますが、岩崎さんにもこの件で話をしました。
(3)実は保健予防課としても栄養士免許の取り消しについて、これまで一度もやったことがないため、県の顧問弁護士(「誰?」と訊いたら関夕三郎とのこと)に相談しました。すると、関弁護士から、「岩崎氏にもういちど、判決文の写しを提出するかどうか、意思を確認するように」と指示があったので、岩崎さんに電話をしました。
(4)(当会コメント:このことについては、岩崎氏も言うように、そもそも判決文は何人も閲覧できる、と裁判所のルールにもなっていることから、県が東京高裁に申請すれば容易に入手可能なはずです。弁護士ならばさらに容易であり、そのことは当然承知しているはず。弁護士がそのように岩崎氏に聞けといったのでしょうか?)そうです。しかし、単に岩崎さんの意思を確認するだけで、ダメでもOKでもとくにかまわないのです。
(5)(当会コメント:先日そういう話を岩崎さんから県にもしてあるのだから、あらためて同じことをなぜ聞いたのですか。当然ながら本人は不信感を覚えると思うが)たしかにお話をしたら、「小川代表と話をしてほしい」というなりガチャっと(電話を)切られました。
(6)(当会コメント:県の顧問弁護士ともあろうものが、そんな指示をすること自体、考えられない。当方から当該弁護士にも、判決文は誰でも裁判所で閲覧可能であることを伝えておきます。また岩崎氏にも県側の説明の意図や経緯について、弊職のほうから報告しておきます)どうかよろしくお願いしたい。
**********

■そこで、さっそく上記の顛末を当会会員に伝えるとともに、次の内容のFAXを県の顧問弁護士が所属する法律事務所宛てに発信しました。

*****10/24発信FAX*****ZIP ⇒ 20191024mafax.zip
                        2019年10月24日
〒371-0026
群馬県前橋市大手町3丁目4-16
石原・関・猿谷法律事務所
弁護士 関 夕三郎 様
電話: 027-235-2040 ファクス番号 027-230-9622

                  〒371-0801
                  群馬県前橋市文京町1丁目15-10
                  市民オンブズマン群馬
                  代表 小川 賢
                  TEL:027-224-8567(事務局)
                     090-5302-8312(小川携帯)
                  FAX:027-224-6624(事務局)

件名:若宮苑勤務栄養士資格を巡る群馬県健康福祉部保健予防課からの要請事項について(事務連絡)

 表件に関して、10月24日午前10時半ごろ当会会員である岩崎優氏が県保健予防課の齊藤朋子係長から連絡を受けたところによれば、この件で、「群馬県として、これまでに栄養士の資格取り消しを一度もしたことがないため、本件の措置について群馬県の顧問弁護士に相談している」ことが判明しました。
 そのうえで、岩崎氏から連絡を受けた当会代表の小川が、10月24日11時49分に直接齊藤係長に電話で確認したところ、次の趣旨の説明を受けました。
(1)貴殿の指示により、栄養士免許取り消し等についての検討に際して、証拠書類として、岩崎氏が係争した裁判に関する判決文(齊藤係長によれば控訴審の判決文との発言あり)の写しが必要なので、(齊藤係長が)岩崎氏にその旨を説明したうえで、提出を求めた。
(2)しかし、齊藤氏としては、その写しの提出が絶対必要であるわけではない、として、岩崎氏に判決文の写しの提出を打診したものである。これも顧問弁護士の意向を受けて打診したもの。
(3)したがって、岩崎氏が判決文の写しを出す出さないは関係なく、岩崎氏の意向を確認することが主目的である。これも顧問弁護士の意向を受けた行為である。

 釈迦に説法で誠に恐縮ですが、ご案内の通り、民事事件の判決文の閲覧・謄写については何人も裁判所で手続きを踏めば可能であることと承知しております。
※参考URL「民事事件記録の閲覧・謄写の御案内」東京地方裁判所民事訟廷記録係 閲覧謄写室↓
http://www.courts.go.jp/tokyo/vcms_lf/20171117-eturan-tousya.pdf

 このことについては、岩崎氏から齊藤係長ら県関係者にも説明済であり、彼らも「わかりました」と言っておりました。
 しかしながら、10月24日午前、齊藤係長が、改めて判決文の写しを当会会員である岩崎氏に打診してきました。しかも、それを貴殿が齊藤係長側に求めたというのです。
 このため、当会代表の小川は、再度齊藤係長に、所管裁判所において当該事件の判決文の閲覧および謄写についての必要な手続きを粛々と進めるように申し入れた次第です。
 一方、齊藤係長にとっても、はじめての栄養士資格取消しの事態に際して、勝手がわからないのも無理からぬところです。それだけに、顧問弁護士としての貴殿の立場は、クライアント(顧客)に対して、再度同じ依頼(判決文の写しの提供)を当会会員に出させようとアドバイスをするのではなく、自ら弁護士としての特権を活用して、当該判決文の写しの入手について、正しくクライアントに説示するのが、弁護士としてのあるべき姿勢なのではないのでしょうか。
 齊藤係長との電話の最後に、困惑した風情の同係長から「どうか、本件について調整をよしなにお願いします」という趣旨の要請をいただきました。
 本件事務連絡はそれに基づき、貴殿宛に発信するものです。

 なお、本件について、貴殿の見解をお示しされる場合は、遠慮なく、上記の当会連絡先あてに、お寄せ下さるようお願いいたします。

                                     以 上
**********

■すると翌10月25日午後3時半ごろ、関夕三郎弁護士から回答が送られてきました。

*****10/25受信FAX*****ZIP ⇒ 20191025mfax.zip
2019年10月25日 15時29分  石原・関法律事務所       NO.8109 P.1
                       発信日:2019年10月25日
FAX送信表     石原・関・猿谷法律事務所
           〒371-0026
           群馬県前橋市大手町3丁目4番16号
           TEL027-235-2040/FAX027-230-9622
宛  先: 市民オンブズマン群馬 御中
ご担当者:
FAX番号: 027-224-6624
発 信 者: 弁護士 関 夕三郎
送信枚数: 1枚(本書面含む)
件  名: 「若宮苑勤務栄養士資格を巡る群馬県健康福祉部保健予防課からの要請事項について(事務連絡)について
 お世話になっております。2019年10月24日付けで頂戴した掲記ファックスについて、ご連絡させて頂きます。
 当職において、掲記の件で保健予防課から相談を受けた事実はありますが、助言内容は守秘義務に関わりますのでご説明等は差し控えさせて頂きます。
 なお、掲記の件を離れて一般論として申し上げますが、ある人が法令違反の事実を理由に何らかの行政処分や行政指導を求める旨を行政庁等に申し出た場合、行政庁等は、行政手続法36条の3の趣旨に鑑み、申出人に対して資料等の提出の機会を可及的に保障することが求められるものと考えます。他方、申し出を受けた行政庁等は、「必要な調査」を行うことになりますが、その調査の方法や内容は、行政庁等において公平かつ中立の観点から決めるべきであり、申出人の意見は、参考にすることはあっても、それに拘束されるものとは解されません。
                         以上
【ご注意】本書面及びこれと共に送信した書面には,個人情報が含まれることがあります。万が一誤送信などの理由により名宛人以外の方が受信された場合,お手数ですが標記の送 信元にご一報頂くとともに,受信された書面を廃棄して頂きますようお願い致します。
**********

■この回答を読む限り、どうやら関夕三郎弁護士が県の弁護士として本件に関わっていることは事実のようです。その顧問弁護士のいう行政手続法36条の3について、調べてみました。

*****行政手続法(抜粋)*****
 〇第三十六条 同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない。
 (行政指導の中止等の求め)
 〇第三十六条の二 法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。
 2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
  一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
  二 当該行政指導の内容
  三 当該行政指導がその根拠とする法律の条項
  四 前号の条項に規定する要件
  五 当該行政指導が前号の要件に適合しないと思料する理由
  六 その他参考となる事項
 3 当該行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければならない。
 〇第四章の二 処分等の求め
 ◆第三十六条の三 何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
 2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
  一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
  二 法令に違反する事実の内容
  三 当該処分又は行政指導の内容
  四 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項
  五 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由
  六 その他参考となる事項

 3 当該行政庁又は行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。
**********

 この法令を読む限り、申出者が行わなければならないことは、「前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない」のであり、「次に掲げる事項」とは次の6項、つまり;
 一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
 二 法令に違反する事実の内容
 三 当該処分又は行政指導の内容
 四 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項
 五 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由
 六 その他参考となる事項
となるわけで、すべて既に提出済の文書(添付「上申書」案参照)に記載されていると考えられることから、申出書としての要件はクリアしていることになります。

 にもかかわらず関弁護士が、申出人の提出した情報が不十分であるかのような回答を寄せてきたことは、極めて遺憾です。

 文書偽造をした栄養士とそれを黙認した高崎市を本当に群馬県は厳しく指導できるのでしょうか。顧問弁護士こそ、そうした行政の消極性を厳しく指導する立場にあるのではないでしょうか。

 関夕三郎弁護士の回答内容を見ると、本来、行政担当者がどうすればよいのか困惑しているのだから、きちんと行政手続法など法令順守を説きながら背中を押してあげるのが、本来の役割であるところ、どうもそれとは真逆の対応、つまり、行政担当者を惑わしているかのようです。

■関夕三郎弁護士からの回答FAXを読むと、つくづく弁護士というものの本質が見えてきます。すなわち、法令順守よりも顧客の都合を最優先するということです。

 分かりやすく言えば、直接カネを払ってくれる対象者を最優先し、法令(今回の場合は刑法)に違反している状況を是正する行為(法令順守=コンプライアンス)は二の次である、ということがよくわかります。

 しかも、行政の場合は、我々納税者が支払う税金で事務事業をおこなっているわけですから、弁護士たるものは、よけい公益的な立場で法令遵守を優先しなければならないわけです。

 残念ながら、関弁護士の回答は、肝心の弁護士としての「社会正義の実践」と言う基本をないがしろにしているように感じられます。

*****弁護士法(抜粋)*****
(弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。

**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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3 コメント

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Unknown (HN)
2019-10-31 23:42:44
ご苦労様です。

本件に関して、一言。
貴会会員についての問題に注力されているようですが、
これは中立性が貴ばれるこういう運動についてはマイナスだと思います。
こういう姿勢が許されれば、個人的な問題を解決してほしい者が会員になる、という利己的な団体に変質するのではないでしょうか。

第三者的客観的視点が貴会に必要だと思います。

一層の精進を望みます。
返信する
Unknown (ひらく会情報部)
2019-11-01 14:32:42
>>「HN」さんへ
 重要なご指摘をありがとうございます。
 ご高承のとおりオンブズマンとしての当会の目的は、行政およびその関連機関を外部から監視することにより、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般住民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動を実践することです。
 そのため、活動対象のキーワードとしては、行政およびその関連組織となり、その範囲は多岐にわたります。
 ご指摘の高崎市の介護保険適用施設を巡る栄養士資格問題ですが、行政による権限の不当な不行使に当たる事案として、当会ではとらえています。
 また、当会における当会会員の抱える問題への対応ですが、基本的に、当会に会員・非会員から相談や内部告発情報が寄せられた場合、それが上記の当会の活動の趣旨に照らして、著しく逸脱していない場合は、毎月の例会の席上、参加会員に諮り、会として支援すべきかどうかを話し合います。
 その上で相談者から、オンブズマンの立場で自らの抱える問題に対処したい、とする意思が確認できる場合には、相談者が会員であれば勿論のこと、非会員のかたであっても、会員になっていただくことにより、オンブズマンとして、主体的に行動していただくことを、当会としてもお願いし、了承をしていただくことにしております。
 その場合、当会の限られたマンパワーを鑑み、あくまでも会としては出来る範囲でのサポートになることも、説明させていただいております。
 今回ご指摘の高崎市による介護施設を巡る問題では、会員自らが積極的に行動して、行政との協議、対応、方針などをオンブズマンとしての観点から策定していることから、当会もできる限り支援しているところです。
 この他にも、多数のかたがたが行政による権限の不当な行使により被害にあっており、そうしたかたがたに対する支援は、「オンブズマン活動」を標榜する群馬県随一の組織として、積極的に、これまでも、そしてこれからも行う所存です。  ⇒コメント続く
返信する
Unknown (ひらく会情報部)
2019-11-01 14:33:56
⇒コメント続き
 ご指摘の通り、公共事業談合、情報隠蔽体質、公選法違反、政務活動費不正、警察裏金問題などのように広域的な問題は、当会事務局がメインとなって対応しなければなりませんし、全国組織ともタイアップしたりして、対象事案が浮上した際には総力を挙げて対処するように心がけております。
  要約しますと、当会会員(ないし、当初は非会員の場合も含む)が日常生活や業務において、行政とのかかわりあいの中で問題意識を持ち、自ら主体的に対応することを前提に、当会事務局の支援が必要な場合は、できるかぎりサポートする、というのが、現在の当会のスタンスです。
 当会では、発足当時は、個人的な問題解決には対応していなかったのですが、実際には、多くの行政権限不当行使・不行使で被害を受けた住民のかたがたが、それぞれ行政相手に徒手空拳で、なかには弁護士を依頼したり、あるいは本人訴訟で立ち向かっていました。しかし、そうしたかたがたによる、せっかくの努力の過程や成果が、ほかのかたに共有されないのは、極めて由々しき損失だということに当会も気が付きました。
 ですので、現在活動中の当会会員は、いずれも活動の端緒は行政相手の個人的な問題を抱え、その解決に向けた努力を傾注する過程で、個人ではなく、おなじ被害を受けたもの同士が、経験や知見を共有して、アドバイスやサポートをし合える場の必要性を痛感してきたかたがたばかりです。
 おかげさまで、従前と異なり、多くの行政不当権限行使被害者の住民の皆様から、相談が寄せられるようになりました。また、行政関係者からも匿名が殆どではありますが、内部情報が質・ご量ともに格段に提供いただけるようになりました。
 ただし当会は、今回ご指摘いただきました「第三者的な客観的視点」の重要性は常に肝に銘じております。
 そのうえで今後とも、当会事務局および会員一同、オンブズマン活動の普及と発展に尽力しつつ、さらなる精進に邁進してまいる所存ですので、引き続き、ご指導ご鞭撻を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
  市民オンブズマン群馬事務局より
返信する

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