市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

不祥事の度に「なんちゃって第三者委員会」が増えた我が国のコンプライアンスの劣化と弁護士

2019-03-22 23:45:00 | 不良弁護士問題
■不祥事が起こる度に「第三者委員会」なるものが設立されています。企業、大学、アイドルの運営会社しかり。ついには国の機関である厚生労働省が、ずさんな統計不正問題の特別監察委員会をこう呼ぶ事態となりました。24年前に発覚した安中市土地開発公社巨額横領事件(通称「タゴ51億円事件」)でも、安中市が関連部署の幹部らで構成した、名ばかりの“なんちゃって第三者委員会”を作り、1年もかけて、「なんちゃって報告書」を出しました。それが、24年を経過して、我が国の国政から民間にまで、なんちゃって第三者委員会が蔓延しているように感じます。

「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」の解説、単行本–2011/3/1、日本弁護士連合会弁護士業務改革委員会 (編集)、15,997円。
※発行後8年以上経過した日弁連の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」2010年7月15日、改訂2010年12月17日
ZIP ⇒
100715_2nichibenren_dai3shaiinkai_guideline.zip

 この問題について、当会では、行政内の不祥事では、外部の第三者による徹底した調査が不可欠だと主張してきましたが、最近、官民で頻発する不祥事件の度に設置される第三者委員会のまとめ役に弁護士が起用されていることが、大きな問題だと当会では常々痛感しております。

 そうしたなか、2019年3月21日付東京新聞の「こちら特報部」でこの問題が取り上げられたのでご紹介します。

**********東京新聞2019年3月21日
ZIP ⇒ 20190325oxpocw.zip
【こちら特報部】
なぜ間違いだらけの「第三者委員会」

<経営陣> 責任逃れのお墨付きに
米では依頼種は取締役会 CEO解任も

 厚生労働省、レオパレス21、入試不正…。大きな組織の絡む不祥事があると、すぐに「第三者委員会」など外部の人が加わった調査委員会ができる。名前だけみれば公正に真相を探ってくれそうだが、結果を見ると「?」が付くケースが多い。なぜ、そうなるのか。この問題に詳しい弁護士に「間違いだらけの第三者委員会」を語ってもらった。
(榊原崇仁、中沢佳子)

第三者委員会の問題を厳しく指摘する久保利英明弁護士=20日、東京・有楽町で
 「 問題あるところに第三者委員会あり 」。そう言いたくなるくらい、第三者委の調査結果が新聞紙面をにぎわしている。
 まずは毎月勤労統計の不正調査問題。 厚労省は一月、 樋口美雄氏を委員長に弁護士や公認会計士ら六人でつくる第三者委の特別監察委員会を設け、二度にわたって報告書を出した。
 賃貸アパート大手、レオパレス21の施工不良問題でも二月末、外部の弁護士三人による委員会ができ、東京医科大の入試不正問題では第三者委のトップに元最高裁判事が就いた。
 スポーツ界も無縁ではない。日本大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題や日本ボクシング連盟の奈良判定問題でも登場。今年初めに明らかになったアイドルグループ「NGT48」のメンバーへの暴行疑惑も、第三者委で検証が続いている。いじまなど身近な問題でも設けられる。
 そもそも、第三者委とは何か。
 日弁連のガイドラインによると、企業や官公庁なとから独立した委員のみで構成する組織を指す。徹底した調査や専門的な知見に基づいて問題の原因を分析するほか、再発防止策などを提言し、信頼を回復させることが使命とされる。
 そんな立派な組織を「いんちき第三者委」「なんちゃって第三者委」と激しく批判する人がいる。久保利英明弁護士(74)だ。
 ガイドライン策定に携わり、弁護士や大学教授などでつくる「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員長でもある。いわばこの道のプロだから、聞き拾てならない。何がいけないのか。まずは歴史を振り返る。
 久保利氏によると、第三者委が日本に広がり始めたのは二〇〇〇年前後。インサイダー取引疑惑の調査などがあり、主に弁護士や会計士が調査に当たった。「当初はきちんと真実を調べようと組織された 」と久保利氏は説明する。
 とはいえ経営陣は責任を取りたくない。 経営陣から依頼された第三者委は意をくんで調査する。そして組織に甘い「なんちゃって」が横行するようになった。久保利氏は「経営陣が都合のいいメンバーを選び、第三者委を責任逃れのお墨付きにしている」と語る。
 こんな調査を繰り返していては、弁護士への信頼も損なわれかねない。日弁連のガイ ラインは、調査する弁護士全体への信頼を保とうという意味もあった。しかし、今のところ効果は限定的だ。
 ちなみに、 米国でも経営を左右するような問題が起きると、信頼できる法律事務所に調査させる。ただし、依頼主は取締役会。多くの社外取締役が名を連ねている。結果によっては、最高経営貴任者(C E O )も解任される。
 「CEOは『社員の長』で『会社の長』ではない」。なんちゃって第三者委は、社長が「会社の長」である日本の企業風土が生み出したという。
ZIP ⇒ 20190325oxpm.zip
<弁護士> 重大案件で費用10億円
「やらせメール」厳しい指摘 九電拒否


九電やらせメール問題の最終報告について記者会見する第三者委委員長の郷原信郎弁護士(右)=2011年9月、東京都千代田区で
厚生省統計不正 委員長 中立性に問題

厚労省の統計不正問題で会見する特別関西の樋口美雄委員長(左)=2月27日、厚労省で
 引き受ける弁護士側にもメリットがある。久保利氏は「第三者委の費用は、 調査費含め最低一、二値円、大企業の重大案件なら十億円。多くの若い弁護士を抱える大手法律事務所が請け負う。企業の合併・買収(M & A)の仕事が減り、代わりのビジネスにしている事務所がある」と説明する 。
 手心を期待する経営者は、ビジネスと割り切る法律事務所に依頼したくなるだろう。ただ、 久保利氏は「本当の依頼主は、株主や従業員、消費者といったすべてのステークホルダー(利害関係者)だ。報酬もステークホルダーから出た会社の金だ」と戒める。
 噴飯物の第三者委を挙げてもらった。真っ先に出てきたのが、毎月勤労統計調査を巡る厚労省の特別監察委員会の報告書。前出の格付け委員会の評価は最低の「F」だった。
 久保利氏は「監察委の委員長が厚労省所管の独立行政法人関係者。中立性に問題がある。中身を見るまでもなかった」とあきれる。
 「そもそも勤労統計でだまされたのは国会だ。調査するなら国会が担うべきだった」と求める。ほかにも「厳しい指摘の報告書を第三者委がまとめたところ、経営陣が公表しなかった」という企業もあるそうだ。
 実際に第三者委のメンバーになった人にも、体験を聞いた。
 元検事の郷原信郎弁護士は二〇一一年、九州電力が設けた第三者委では委員長を務めた。玄海原発(佐賀県玄海町)の運転再開に向け、国主催の県民説明番組宛てに再開賛成の意見を投稿するよう、子会社などに呼び掛けた「やらせメール」問題を調べた。
 郷原氏はこの前に、水力発電所のデータ改ざんを巡る中国電力の第三者委のトップを務めた。それで「九電は依頼してきたのではないか」と振り返る。
 委員会の報告書が大きくもめた。古川康知事(当時)の発言が、やらせ問題の発端になったと明記したからだ。九電はそれを認めず、経済産業省に報告する際に省いてしまった。
 なぜ、会社が受け入れないような厳しい調査ができたのか。郷原氏はメンバー構成を理由に挙げる。
 「同業種だと物が言いにくくなりがち。先輩後輩や上下関係があることが少なくない。検事出身の弁護士はその傾向が強い」。九電の第三者委で弁護士は郷原氏だけで、ほか三人は学者や消費者問題の専門家ら。だから意見を戦わせ、突っ込んだ調査ができた。
 さらに、郷原氏は「原発再稼働は公益性の高い問題。独立性を確保し、筋を通すことが一番と考えていた」。この思いが四人のうち三人で一致し、調査の推進力になったという。
 一方、 振り返って思うのは第三者委による調査の難しさだ。「委員は寄せ集め。調査班をつくり、役割分担し、さらに検証するには技術がいる。ただ、第三者委は何となくやっている例が目立ち、ノウハウが蓄積されていない」
 ノウハウを持つはずの郷原氏にはこれ以降、就任依頼があまり来なくなった。「煙たがられているのかもしれない」と語る。
 では一般の人が善しあしを見分けるにはどうすればいいか。 久保利氏はポイントを二つ挙げた。
 企業なら株価。「内容のある報告書が出て、 企業がその提言を受け止めれば市場は好意的に反応する。株価は下げ止まり、 再発防止策の効果が出れば上向く」
 もう一つは人選。「元高検検事長」「元高裁長官」といった肩書に注意という。「とかく元裁判官や元検事の偉かった人が入るが、現場に長年いた証拠収集能力のある人や、各分野の専門家でなければ真相究明と厳正な調査は難しい。」良い調査には、 能力のある人と誠実な取り組みが欠かせないということだ。
《デスクメモ》
 第三者委員会のニュースで、かつてお世話になった人たちの姿を見る。それぞれの分野で立派な行政を上げ、人柄も信頼できる人たちだ。実績を買われて委員に就任したのだろう。だから信じたい。しかし、どうしても納得いかない結果が時に示される。こんな現実に悲しくなる。(裕)
2019・3・21
**********

■当会では弁護士の資質に関して、このブログでも「不良弁護士」のタイトルで関連記事をご紹介しております。

 現在日弁連に2件の弁護士調査委処分に関する異議申出中ですので、弁護士という職業に従事するかたがたが、決してすべて社会正義の実践者ではないことを、ひとりでも多くの皆さんにご理解いただければ幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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