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令和元年末にまたまた「硯石」報道・・・悪いのは誰だ! 

2020-01-03 21:53:00 | 渋川市の行政問題
■令和元年の秋から冬にかけ、地元群馬県で唯一の県域地方新聞(県紙)として、大手紙を上回る公称30万部の発行部数を誇る上毛新聞は、なぜか頻繁に渋川市議会の様子を報道しています。しかも正式な手続きなしに進められた歴史的価値のある巨石「硯石」の周辺整備にまつわる問題を面白おかしく報道するというものでした。
 年が改まってしまいましたが、渋川市が設置した調査委員会の意見書がまとまったようなので見ていきましょう。


**********上毛新聞2019年12月26日
ZIP ⇒ 20191226vipj.zip
渋川市・硯石周辺整備問題
「2部署に法令違反」 調査委、意見書で再発防止策
渋川市北橘町の市有地にある巨石「硯石」の周辺整備を巡る問題を調べていた市の「行政事務執行の適正化に関する調査委員会」は25日、2部署で法令違反があったとする調査結果と再発防止への提言を盛り込んだ意見書を高木勉市長に提出した。高木市長は「しっかり受け止め、内部統制の仕組みを構築して行政事務の適正化を進めていく」と述べた。
 調査委は、市議による石の掘り起こしと周辺の整地について、資産経営課が市有地の賃貸借契約に関する手続きを取らなかった点や、市教委文化財保護課が口頭で石の説明板の移設を許可した点などが、市の財務規則や行政情報等取扱規則に違反しているとした。両課以外の再任用職員が市議と職員の打ち合わせに同席するなどしたのは「適切さを欠く」とも指摘した。
 その上で、担当業務の知識不足やコンプライアンス意識の欠如、部署間の情報共有の欠落などが問題を招いたとして、再発防止策に職員研修の実施やコンプライアンス行動指針の見直し、内部統制の仕組みづくりなどを挙げた。市議との交際の在り方や、再任用制度における部局長経験者の配置についても見直しの必要性を指摘した。
 職員が正規の手続きを指導せずに違法に許可した背景には、市議に対する過剰な配慮があったと推察。不当な事案に組織全体で対応する仕組みを早期に築いて市政の健全化を図るよう要請した。調査事項とは別に、職員の処分にも触れ、行政処分審査委員会での審査を求めた。
 高木市長は石の原状回復について「硯石を大事にしてきた地元の声を聞く必要がある」とした。

**********毎日新聞地方版2019年12月26日
渋川の硯石問題 内規違反、複数判明 調査委が市長に「意見書」 /群馬
 渋川市北橘町の市有地の岩「硯石(すずりいし)」の不適切整備問題で、市の調査委員会は25日、調査結果をとりまとめ、弁護士ら3人の外部委員の意見も含めた「意見書」を高木勉市長に提出した。市は今後、関係職員の処分について行政処分審査委員会で審査を行うという。
 意見書によると、この問題では、市の財務規則上必要な手続きが全て省かれていたなど複数の内規違反があったことが分かった。
 また、調査を通じ、整備を行った男性市議からの市当局への働きかけに関する記録、報告、決裁が行われていないこと、市職員の法令順守指針が有名無実化して機能していない実態などが浮き彫りとなったという。
 意見書では、再発防止策として、市議との交際の見直しや働きかけに対する対応制度の整備、法令順守指針の見直しなどを指摘した。【庄司哲也】
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↑硯石の整備の様子=市議提供↑

■今回もポイントを整理してみましょう。

ポイント①弁護士ら3人の外部委員の意見も含めた「意見書」が高木勉市長に提出されたこと。
ポイント②「硯石」周辺整備は市職員の法令順守指針が守られていないこと。
ポイント③上毛新聞では、文化財でもないのに文化財保護課の責任について指摘していること。
ポイント④最も悪い市議らの責任追及について触れていないこと。

■それでは、各ポイントについて考察していきましょう。

ポイント①
弁護士ら3人の外部委員の意見も含めた「意見書」が高木勉市長に提出されたこと

 渋川市北橘町の市有地にある岩「硯石(すずりいし)」が市の正式な手続きなしに市議の男性によって整備された問題では、渋川市議会が「歴史的価値のある硯石の掘り起こしに関する特別委員会」(田辺寛治委員長)が設置されていますが、それとは別に渋川市長が特別に設置した外部調査委員会があります。今回はこちらの意見書がまとまったという報道です。

 この委員会の報酬費の予算については、市の正式な手続きなしに市議らの圧力なのか?難癖ともいうべき理由で否決されたようですが、末尾資料にあるように臨時議会を開催し、予算を出しなおすことにより、全会一致で可決成立されたという不可思議な経緯により無事、費用が認められたようです。

ポイント②
「硯石」周辺整備は市職員の法令順守指針が守られていないこと

 上毛新聞によると、市議による石の掘り起こしと周辺の整地について、「資産経営課」と「市教委文化財保護課」の両課が、手続きを取らなかった点などを挙げ、「市の財務規則や行政情報等取扱規則に違反している」としています。

 また渋川市では、退職予定の部局長経験者を再任用する制度があり、その部長経験者が市議と共に「資産経営課」と「市教委文化財保護課」の両課に圧力をかけた、と上毛新聞報道を読むことができます。しかし特に「資産経営課」については、その圧力に屈せず手続きを取らなったのですから、何が悪いのか上毛新聞報道では全く理解できません。

ポイント③
上毛新聞では、文化財でもないのに文化財保護課の責任について指摘していること。

 上毛新聞では、「調査委は、市議による石の掘り起こしと周辺の整地について、」「市教委文化財保護課が口頭で石の説明板の移設を許可した点などが、市の財務規則や行政情報等取扱規則に違反している」としています。

 当会に寄せられた情報によると、「硯石」は歴史的価値があるかもしれませんが、未だ渋川市の文化財に認定されていないようです。

 渋川市議会9月一般質で田村なつ江議員が次のような質問をしています。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/shibukawa/MinuteView.html?council_id=286&schedule_id=6&minute_id=84&is_search=true
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4点目、硯石の大石について。北橘町、赤城山、硯石、からっ風街道沿いにあります大石は文化財的価値があると思われる大石なのに草や樹木に覆われていたため、周辺整備し、駐車スペースを確保しました。この大石は、渋川市教育委員会が説明板を立てており、赤城山が噴火した際に押し流されてできた大石で、上のくぼみに常に水がたまっていることから、すずりに見立てて硯石と呼ばれています。伝説には、親鸞が大石のくぼみにたまっていた水で墨をすり、歌を1首詠んだと言われています。この大石を市の文化財に指定する予定はあるのかお伺いいたします。
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硯石について傷跡を確認する市議=群馬県渋川市北橘町で

 この田村市議は、正式な手続きを経ないで「硯石」周辺整備工事を進めたグループの一人であるようですが、驚くべきことに歴史的価値のある「硯石」を、その歴史を損なうのも承知で元ある場所から動かし、しかも傷だらけにしておきながら、平気な顔で「市の文化財に指定」するよう質問を行っています。

 上毛新聞報道で、大変疑問なのは未だ市の文化財ではないのに「市教委文化財保護課が口頭で石の説明板の移設を許可した点」を問題視していることです。

・文化財ではないのに市教委文化財保護課がかかわるのでしょうか?

・「石の説明板の移設」は市の財産でしょう。市の財産を正式な手続きを経ないで口頭で動かせるものでしょうか?

・口頭によるやり取りがあったとしても、渋川市としては、正式な手続・要請があった時点で判断するものなのではないのでしょうか?


など、この報道には疑問ばかり浮かんでしまします。

ポイント④
最も悪い市議らの責任追及について触れていないこと。

 上毛新聞報道では、「行政事務執行の適正化に関する調査委員会」が「2部署に法令違反」を指摘し、再発防止への提言を意見書にまとめたことが報道されています。

 市の予算を使っておきながら、行政側の違反の指摘と再発防止策のとりまとめだけとは、拍子抜けの結論と言えるでしょう。本当に悪いのは正式な手続きを経ないで「硯石」周辺整備を強引に推し進めた市議らブラックグループです。この点を指摘しないのは片手落ちというものです。

 この点について上毛新聞報道の末尾では「高木市長は石の原状回復について『硯石を大事にしてきた地元の声を聞く必要がある』とした。」と報道し、地元の声に責任追及を転嫁しているかの印象をつけています。

 もちろん歴史的価値のある「硯石」は元来の場所に戻すことはできても、大きな傷がついてしまっているので、完璧には元に戻りません。正式な手続きを経ないで「硯石」を動かした市議らブラックグループは、誠意をもって限りなく元通りに傷を治すことと、器物破損の罪を償う必要があるでしょう。

■読者の皆様は、今回の難解な「硯石」報道をどのようにお感じになったでしょうか?
この市議らはボランティアと称して重機で「硯石」を動かしているので、器物破損の罪とともに公職選挙法違反の罪がどのように指摘されるのかなど、渋川市で起きた「硯石」事件を今年も引き続いて注目していきましょう。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考資料1:硯石をめぐる報道
**********毎日新聞地方版 2019年12月20日
短信  渋川市臨時議会が補正予算案を可決 /群馬
渋川市の臨時議会は19日の本会議で一般会計補正予算案を全会一致で可決し、閉会した。同予算案は同市北橘町の市有地の岩「硯石」整備を巡る市調査委の外部委員報償費を行財政改革推進費から流用したことなどが問題視され9日に一旦、否決されていた。このため、市は報償費を一般経費として再提出した。
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※参考資料2:「硯石」整備にまつわる”恫喝“報道の様子
**********毎日新聞2019年12月3日 地方版
硯石問題 「公式なものでない」 渋川市長、整備了解を否定 /群馬
 渋川市北橘町の市有地にある岩「硯石(すずりいし)」が市の正式な手続きなしに市議の男性らによって整備された問題で、高木勉市長は11月29日の市議会特別委員会に出席し、当事者の市議が整備に関して「市側から口頭で了解を得て、市長も知っていた」などと主張していることについて反論、否定した。
 特別委で、高木市長は「(硯石は)公有財産だ。変更があれば住民の要望などがあるはず。立ち話程度で公式なものとは受け止めていなかった」と説明した。
 さらに問題が起きた背景について高木市長は「市議が人事に口をはさんだり、恫喝(どうかつ)めいた発言を受けたりした市職員もいる。仕事を円滑に進めるため、言うことに従うという意識が生まれ、事態を招いたのではないか」と話した。【庄司哲也】
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 なお、過去の硯石報道についてはこちらの末尾参考資料をご覧ください。
○2019年12月7日:「渋川市議がまたまた売名行為?」その後(その4)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3087.html

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