■年の瀬の12月19日(水)午後7時~10時14分にかけて日本テレビで、「ザ!世界仰天ニュース」という番組が放送されました。このなかで、6億円をキャバクラの女性に貢いだ男の事件が紹介されて、話題となっています。
番組紹介によると、この事件の内容は次の通りです。
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今年2012年4月、会社の金をネットバンキングで自分の口座に振込み、1人の女性に貢いだ男が電子計算機詐欺罪で逮捕された。被害額は約6億円。その犯行理由は一人の女性に貢ぐためというもので、彼女に騙されているとも知らずに貢いだ回数は8年間で350回以上にのぼった。
2001年、男は都内の会社で経理を担当していた。高卒で入社5年目。無口で真面目なタイプで女性と話すことが苦手だったが、同僚と行った都内のキャバクラを訪れた時に1人の女と知り合った。帰り際に渡された名刺には携帯電話とメールアドレスが書かれていた。出会いの少なかった23歳の男にとってこれは大事件だった。
彼女からのメールと笑顔が忘れられなかった男は、再度女のいる店を訪れた。「くりたんは誠実で素敵」と彼女に言われ、自分に気があるのかと思い始めた。そして彼女は「お金がなくて携帯を止められて、連絡できなかった。携帯第10万円も請求来ちゃって。このことは2人だけの秘密よ」と打ち明けた。
真面目で仕事を覚えるのも早かった男は、日常では見ない桁の金の処理を任される程になっていた。男は以前会社で上司から渡された現金を返し忘れたにもかかわらず上司から咎められなかったことから、彼女に言われた10万円を伝票操作することで着服しようと思い立った。10万円は会社にしたら少しの額。伝票の額を10万円の余りが出るように操作して、着服した10万円をキャバクラ嬢に渡した。
彼女から感謝された男は特別な存在になれたと感じた。その後、彼女と頻繁にメールを交わすようになった。そして男は店を訪れるたびに、会社から着服した現金を渡すようになった。
女と出会って1年が過ぎた頃、男ははじめて女と店外デートをした。店とは違う彼女の姿に男は、女を独り占めしたような感覚になった。
そんなある日、男は女から「胃潰瘍で入院してしまった。入院におカネがかかる。助けて。」というメールを受信した。男は女にメールを送ったところ、信じられないメールが返ってきた。女から「入院費として30万円欲しいの。私の口座に振り込んでほしい。」というメールが返ってきたからだ。男はこれまでにない大金の要求に心が動いたが、彼女を助けられるのは自分だけだという気持ちから、男はまた30万円を会社から着服した。その後も何度か女から治療目的のカネの要求があったが、そのたびに会社から同じ手口で着服した金を送り続けた。
2005年、男の勤める会社でネットバンキングが導入されることになった。ネットバンキングは銀行の窓口業務のほぼ全てをインターネットで済ませられるシステム。このシステムがさらに男を狂わせていった。
女からは「病状が悪化した」というメール連絡が…。男は、ネットバンキングを使って会社への入金の一部を自分の口座に移し、さらに女へ送金するようになった。
しかしその頃、男が貢いでいた女は、メールの内容とは全く異なり、男からもらったお金をホストクラブのお気に入りの男に貢いでいた。
女からはその後も「心臓も悪くなった」などと、次々にメールが送られてきて、要求額は徐々に上がっていった。要求額はついに100万円に…。男は彼女の病状を疑い探すこともあったが、彼女から疑われたら生きている意味が無いという内容のメールが返され、疑うことをやめた。彼女の要求額は850万円まで膨れ上がった。
女のホストクラブ遊びはどんどん派手になり、家賃20万円以上の都内高層マンションで恋人と暮らすようになっていた。
一方、男のほうも、会社から着服した金を個人的な株取引の資金や自宅のリフォームなどに流用するようになった。男はその後も数年間、女に送金を繰り返した。
2010年8月、男が務める会社に税務調査が入ることになった。これまでの犯行がばれてしまうと悟った男は、女に「一目会いたい。そしたら自首する」と会社のカネを横領したことを告白するメールを送った。ところが、女は「今月分だけ入院費を払ってほしい」と、さらにカネを要求してきた。
男は自首することを決意したが、その前に犯行が上司の知るところとなった。調べた結果、着服額は約6億3900万円。そのうち女へ貢いだ額も約5億9430万円にのぼっていた。8年間にわたり350回以上も振り込んでいたが、驚くべきことに男は5年以上も女と会えていなかった。
男は、着服したカネを返してもらうべく上司とともに彼女が入院しているとメールで伝えた病院に向かうことになった。
男と上司は、病院から女は入院していないと告げられ、女の嘘を知ることになった。男がメールでそのことを告げると、女はさらに1300万円のお金を要求してきた。男は女に対し返金を求め民事訴訟を起こしたが、女は貢がれた約6億円をほぼ全て使ってしまったことが判明し、取り下げた。
会社も彼女を訴えたが女の両親が600万円支払うことで和解するしかなかった。その後、逮捕された男は、自分と両親の資産から3400万円を返済した。今年2012年10月、7年の実刑が確定した男は、「彼女のせいにするつもりはない、すべて自分の責任だ」と話している。
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■この番組は、実際にあった事件をドキュメント風に放送したものでした。6億円を着服し女性に貢いで逮捕されたのは栗田守紀さん(33歳)。
栗田さんは金を勤務先から着服していたとして今年4月に逮捕されました。栗田守紀さんは都内大手ゴム工業用品メーカー「シバタ」で経理を担当していました。社内のネットバンク端末を178回にわたり不正に操作し5億円を自分の口座に入れて着服しました。
すでに時効となった金額を含めると、その金額は約6億3900万円にものぼります。栗田被告はお気に入りだったキャバクラ嬢、木下彩子さん(31歳・仮名)にそのお金を貢いでいました。
番組では元キャバクラ嬢に取材を申し込みOKを貰ったものの、元キャバクラ嬢はいろいろな理由をつけて5回にわたり取材日程を延期してきたといいます。最初の約束から2週間後にようやく取材を行うことができたそうです。
栗田被告と元キャバクラ嬢の出会いは亀有のキャバクラでした。最初は他の女の子のお客さんで、その女の子が辞めたあとに木下さんを指名してきたそうです。栗田被告は多い時で週に3回は店に来ていたと言います。店では必ず木下さんを指名し互いに「あやたん」「くりちゃん」と呼び合う仲でした。
元キャバクラ嬢は栗田被告の求愛に嫌気が差していたそうですが、「お金を引っ張ろう」と決めたと言っていました。「家賃が払えない」「携帯料金が払えない」というと栗田被告はすぐにお金を振り込んでくれたとか。
元キャバクラ嬢は栗田被告と会わなくてすむように「胃がんである」と嘘をつくようになりました。そして元キャバクラ嬢は治療費を口実に30万円を貰うよう。次第に様々な病気をでっちあげ、高額の金を要求し始めました。結局、栗田被告は5年間殆ど元キャバクラ嬢とは会えず、350回以上、総額6億円を振り込んでしまいました。
一方、栗田被告は着服で逮捕される1年前に元キャバクラ嬢に対し返金を求める民事訴訟を起こしましたが、その後訴えは取り上げられました。また、会社も元キャバクラ嬢に対して民事訴訟を起こしましたが、女性の両親が600万円払い和解となりました。
こうして振り込ませたカネを元キャバクラ嬢は殆どホストクラブに使ってしまったとか。1晩で1000万円使ったこともあったとか。そのため今は1円も残っていないとか。元キャバクラ嬢は今でも水商売の仕事をしているとか。
■実際の新聞記事を見てみましょう。
**********東京新聞 2012年4月24日
◆6億円貢ぐ 送金350回 キャバクラ女性「がん治療費を、会えないけど」
勤務先の金をだまし取ったとして、警視庁が十一日に電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕した埼玉県朝霞市の元会社員栗田守紀(もりとし)容疑者(33)は、キャバクラの女性店員(30)に総額約六億円を送金していた。
「がんで闘病中」と治療費を求める女性の言葉を信じ、ほとんど会うこともなく約七年間にわたり計三百五十回以上、金を振り込んでいた。
警視庁によると、栗田容疑者は二〇〇〇年からゴム製造会社「シバタ」(東京都中央区)の経理部に所属。逮捕容疑では、自ら管理する会社の口座から二億三千万円を自分の口座に送金し、だまし取ったとされる。
シバタ関係者や訴訟記録によると、栗田容疑者は〇一年ごろ、葛飾区のJR亀有駅前のキャバクラで、当時二十歳の女性店員と知り合った。何度も店に通い、〇二年からは月に数回デートをするようになった。〇三年ごろには、女性から「胃がんになった」と相談され、医療費として女性の口座に振り込みを始めた。〇四年からは「面会謝絶になった」と言われ、女性にほとんど会えなくなった。〇六年以降はメールのやりとりだけの関係だった。
犯行が発覚する一〇年七月まで、振り込みを続け、最終的に会社からだまし取った六億三千九百万円のうち、女性への振り込みは五億九千四百万円に上った。警視庁は公訴時効(七年)にかかる約一億円を除き、立件する方針だ。女性はメールで「個室に入るので金がかかる」「無菌室を使ったので支払いが高額になる」などと、月に何度も金を要求した。栗田容疑者が請求書を見せるよう言うと「疑われたら生きている意味がない、自殺する」とごまかしていた。
発覚直後、栗田容疑者は女性に「会社の金を横領していた」と告白した。「自首する前に会いたい」。だが、女性は面会を断る一方で「最後に千三百万円お願いできないかな」などと要求した。
会社側が確認したところ、女性に入通院の記録はなく病気の話はうそと判明した。栗田容疑者がただすとメールで「本当に本当にごめんなさい」。 以後、連絡が取れなくなった。
女性は「闘病中」と説明していた間、新宿の高級マンションを借りて住み、金は旅行や飲食などに使ったという。シバタの担当弁護士は「女性からも回収を試みたが、ほとんど使われて残っていなかった」としている。
栗田容疑者は、女性を相手取った民事訴訟(既に和解)の中で「普通に考えると
不自然だが、当時は病気のことも治療のことも信じていた」と陳述した。
女性は「認めます、済みませんでした」と謝罪している。
**********2012年9月27日 22:40 [刑事裁判] 産経
「着服5億円」キャバ嬢に貢ぐ 33歳男に懲役7年 東京地裁判決
勤務先の口座から約5億円をだまし取ったとして、電子計算機使用詐欺罪に問われた工業ゴム大手「シバタ」元社員、栗田守紀被告(33)の判決公判が27日、東京地裁で開かれた。山崎威(たけし)裁判官は「会社の信頼を裏切り、責任は重大」として懲役7年(求刑懲役8年)を言い渡した。
山崎裁判官は、好意を寄せていたキャバクラの女性従業員に「入院や手術のために金銭が必要」と嘘を言われたことが、主な着服の動機だったと認定。「女性は非難されるべきだが、被告は金銭がないことを説明し支払いを拒むべきだった」とした。
判決によると、栗田被告は平成17年5月~22年7月、約180回にわたり、同社の銀行口座から自分の口座に計約5億円を振り込み、だまし取った。時効分を含む着服総額は約6億円に上った。大半が女性に送金されたという。
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■また、事件が報道された当時の週刊誌の記事では、さらに詳しい事情が明らかにされています。
**********2012年4月30日16時01分週刊実話
両さんビックリ? 5億円横領男が貢いだ東京・亀有キャバクラ嬢の素顔
『こち亀』の両さんも呆れた!? 東京は亀有を舞台に、職場の金を使い込んだ“巨額キャバ嬢貢ぎ事件”が発覚した。
勤務先だった工業用ゴム資材の卸商社『シバタ』の資金を自分の口座に振り込ませ、だまし取ったとして、警視庁中央署は4月11日、電子計算機使用詐欺の疑いで、栗田守紀容疑者(33)を逮捕した。栗田容疑者は同社の元経理係長。横領した総額5億3000万円の大半を、なんとお気に入りのキャバ嬢に貢いでいたというのだ。
「直接の容疑は、2009年4月から翌年の7月まで、同社のパソコンを操作し、55回にわたって自分の給与とは別に計2億3000万円を自分の口座に振り込んだというもの。栗田容疑者は同社が'05年に開設したインターネット・バンキングの法人口座の責任者に命じられると、すぐに不正に手を染め、以来192回、計5億3000万円を詐取したと見られています。供述によれば、金は株に投資したほか、埼玉県朝霞市にある自宅の庭の改造などに使っていたとのことですが、それらはせいぜい3000万円程度。残り5億円のほとんどを、一人のキャバ嬢に貢いでいたのです」(捜査関係者)
お目当てだったキャバ嬢は、'04~'05年ごろ、東京都葛飾区のJR亀有駅付近の店に勤めていたという。
「栗田容疑者は仕事が終わると、勤務先の八丁堀から亀有まで足しげく通っていたそうです。あの辺りのキャバ店は、雰囲気的に一見さんも入りやすく料金も60分5000円程度。そんな中、彼女に一目惚れしたわけです。栗田容疑者に誘われ店に何度か行き、『今思えば…』という同僚によれば、その女性は20代前半、身長が165センチほどで色白のスレンダー美女だったとか。栗田容疑者が悪事を働き始めた'05年後半から、その同僚は誘われなくなったといいます」(社会部記者)
同様の横領事件で思い出されるのは、'01年に発覚した「アニータ騒動」。青森県住宅供給公社に勤めていた男(当時44)が、青森市内のパブで知り合ったアニータ・アルバラード(当時25)に横領した公社の資金を貢いで逮捕されているが、この時の横領額が14億4600万円。今回はそれに次ぐ規模の“貢ぎ事件”だが、5年間で一人のキャバ嬢に5億円というのは、いかにも多額すぎる話。
「キャバ嬢は栗田容疑者に、『難病を患っていて入院費や手術費が必要だ』と金を振り込ませていました。その額は、1度に1500万円というときもあった。栗田容疑者の供述によれば、アフターも含めて一晩4~5万円を使い、送金分と合わせると、5億円ぐらいの額になると説明しているそうです」(同)
しかし、これほどの額が横領されていたにもかかわらず、なぜ会社側は気付かなかったのか。
同社は工業用ゴムやプラスチック資材などを卸す商社で、全国に40カ所の拠点を持つ中堅の同族企業。業界内では“堅実経営”で知られていた。
「栗田容疑者の犯行は、'10年7月に税務署の調査が入り、初めて発覚したとのことです。会社側の説明では、それまでの間、栗田容疑者は銀行からの口座出入金記録を破棄し、自ら作成した出入金記録を上司に提出して発覚を免れていたといいます」(同)
『シバタ』の前岨博弁護士によれば、発覚直後から独自の調査を開始し、本人も事実を認めたため、同年10月に本人を諭旨免職とし、調査を終えた昨年5月に警視庁へ告訴し受理されたという。
「本人の口座に残っていた残高などから、可能な範囲で騙し取られた金を回収しました。(騙し取られた原因について)本人がうまくやり繰りしていたということでしょう。(上司の処分は)社内的に適切に処理しました。なぜ係長が多額の金をキャバクラ嬢に貢いでいたかについては、捜査の進展で明らかになるでしょう。金遣いの荒さなどには誰も気付きませんでした」(前岨弁護士)
一方、キャバ嬢のほうは、金を手に入れ始めると店を2~3軒替え、その後、亀有から姿を消したという。
「警察は会社からの訴えを受け、主に栗田容疑者が管理していた預金口座の金の流れを中心に捜査していたようです。キャバ嬢は自身の個人口座のほかに親族や知人の口座を指定して振り込ませており、こちらもすでに特定されている。その金の流れの本格的な捜査はこれからとのことです」(警視庁詰め記者)
キャバ嬢が手に入れた金を“横領した金”と承知していれば、詐欺の共犯となり、現在残っているものは返還しなければならない。しかし、当然ながらキャバ嬢がシラを切り、口座に金を残していない可能性も高い。
会社同僚によれば、「独身で普段は目立たず、真面目な性格」という栗田容疑者。目の前に現れた美女は、よほど魅力的だったのか。
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■それでは、シバタ元経理部係長による6億円横領事件と、安中市の元職員による51億円横領事件とを比較してみましょう。
シバタ元係長の場合は、電子計算機使用詐欺容疑で、2005年5月頃からインターネットバンキングで会社の口座から192回にわけて計約5億2000万円を引き出し、殆どがキャバクラ嬢に貢ぎ、自分では3000万円ほどを株投資や自宅の修理、車購入に充てました。時効分も含むと、横領額は約6億3900万円で、貢いだ額は約5億9430万円でした。
株式会社シバタは、資本金9600万円、年間売上高318億8868万円(平成23年度/第59期)、従業員数434名で、昭和29年創業で50年以上の歴史を持つ堅実な企業です。にもかかわらず、監査役や監査法人が長期間見抜けませんでした。監査役には株主と同一人物や同姓人物が就いているので、おそらく飾りだけの監査だったことでしょう。
業務上横領の3000万円ほどを株投資や自宅の修理、車購入に充てたことから、元係長は、自分と両親の資産から3400万円を会社に返済し、また、会社が元キャバクラ嬢を相手取り裁判を行った結果、600万円の和解金が支払われたということから、合計4000万円ほど回収出来たことになります。
また、元係長は実刑7年の懲役刑を受けましたが、元キャバクラ嬢は、民事でも「残金は1円もない」と主張し、元係長に裁判を取り下げさせました。会社には元キャバクラの両親が600万円を支払ったとか。6億円も貢がれて「1年も残っていない」というのも、全てホストクラブの男に注ぎ込んだと主張すれば、無罪放免になるようです。
青森県土地供給公社14億円横領事件、通称アニータ事件の場合、元経理担当の千田郁司とアニータの関係は夫婦でしたので、妻が夫の横領を知らなかった、と主張しても、同公社はチリまで行ってアニータの財産差押えを行いましたが、シバタの元係長は独身だったため、元係長から「貢いだカネは横領金だ」と打ち明けらてもさらにカネを請求した元キャバクラ嬢にはお咎めがありませんでした。
それにしても、6億円あれば、殆どの中小零細企業を興こして運営していけますが、年少00億の同族企業にとっては、経営を揺るがすほどの出来事ではなかったようです。
■一方、安中市土地開発公社の51億円横領事件の場合、元職員は、15年間も土地公社の経理担当として長期配置されていました。その結果、公社理事長印や市長印を偽造書類に押印させて群馬銀行から巨額のカネをだまし取り、時効分も入れて、警察で操作の結果判明しただけでも、犯行額は51億1250万円、そのうち3億4490万円は安中市から公社の正規口座に振り込まれた公金が堂々と業務上横領されました。
当時の安中市は、一般会計予算額が約180億円規模でした。しかし、15年に亘りこれだけ巨額の横領をされても、安中市の幹部も財政課も監査委員も、土地開発公社の理事も上司も監事も、長期間にわたり全く気付きませんでした。監査委員には市のOBや市議会選出の議員が就任していたので、飾りだけの監査に過ぎず、公社の監事に至っては、まったく機能していませんでした。例えば、岡田義弘・現安中市長も昭和56年当時公社の監事をしたことがありますが、元職員が作った決算書から前年度繰り越しの500万円が忽然と消えていたのに、承認の押印をしていました。このように長年にわたるズサンな経理と監査が事件の背景にありました。
しかし、元職員は巨額の横領金を手にしましたが、もちろん1人でこのようなことができるはずも有りません。とくに巨額の横領金を持てあまし、大量の骨董品を購入したことになっていますが、警察が半年かけて調査したにもかかわらず、使途不明金が14億3445円もあるのです。しかも、大量の骨董品を販売した足利市の一品堂の店主によれば、元職員には一つも売っておらず、全て、古物商の免許を持っていた当時甘楽信用金庫(現・しののめ信用金庫)の安中支店職員に対して販売していたのでした。
安中市が債務保証をしている安中市土地開発公社は、事件発覚により群馬銀行との民事裁判で和解金として24億5000万円を103年かけて支払うことになったのを受けて、この中の正規借入金額2億2690万8000円を差し引いた残額の22億2309万2000円が損害だとして(業務上横領金は棒引き!!)、元職員に対して損害賠償請求を民事提訴し、平成11年5月31日判決、同6月18日に22億2309万2000円とこれに対する民事法定利率である年5分の割合による遅延損害金の支払いを認める判決が確定しました。
http://www.city.annaka.gunma.jp/kouhou/pdf/pdf2102/P8.pdf
ところが、安中市と公社がこれまでに回収したのは市税還付金、土地および家屋の強制競売による配当金の1488万500円(2009年2月時点)しかありません。元職員の配偶者は、「横領金だとはしらなかった」と警察の事情聴取にもシラを切りとおし刑事罰を免れましたが、法廷での証人尋問では、「一生をかけて返済したい」などと裁判官の心証をよくしようと陳述していました。にもかかわらず、安中市と公社は、警察の捜査でも1億5千万円をもらった配偶者に対して、民事訴訟を行わないまま、まもなく民事の時効期限である20年が経過しようとしています。
さらに、長期配置を許した公社の歴代幹部らに対しても、安中市と公社は何も民事訴訟で損害賠償を請求しないまま、これまた時効をひたすら待っている状態です。この中に会った、唯一当会だけが、元職員をはじめ公社の歴代幹部ら全員を相手取り、損害賠償請求訴訟を行いましたが、岡田義弘・元公社理事監事をのぞく全員が「謝罪をして再発防止を誓う」として和解に応じる動きを見せましたが、岡田義弘氏のみが、謝罪に応じず、「公社は安中市とは別の法人なので、安中市民には損害が無く、訴える資格もない」と主張し、裁判所を密かに動かして勝訴したのでした。その後当会は、東京高裁に控訴し、さらに最高裁に上告しましたが、結局敗訴が確定したのでした。したがって、安中市のタゴ51億円横領事件の場合には、元職員の単独犯行ということで幕引きが行われ、公社関係者や元職員からカネを貢がれた配偶者、親族、愛人、上司、市幹部、同僚、知人、金融関係者、市議ら政治家、暴力団などは一切責任を問われませんでした。
元職員に対して、2009年2月時点で残っている損害賠償請求権22 億821万1500円をどのように考えているのかについて、安中市は広報で「今後におきましても、たとえわずかな金額でも、回収できるように努力していきたいと考えています」と杓子定規のコメントを発しただけです。
その後、岡田義弘市長に聞いてみても、何の答えも帰ってきません。「刑事罰を受けて法に従って服役したのだから、人権を尊重すべきだ」などとして元職員を思いやる言葉しか出て来ないのです。その他の納税者の人権は一体どのように考えているのでしょうか。
■平成22年4月の前回市長選直後には、元職員の親友として多数の骨董品の購入を一手に仲介した元かんら信金職員から「事件発覚直後に、おたくの旦那から預かった絵画6点を返したい」と、元職員の妻に電話がありました。このことをとっても、巨額の使途不明金について、安中市土地開発公社の保証人である安中市としては、使途不明金の行き先となったと想定されるタゴ事件関係者の財産を調べ上げて、差押えなどを積極的に行い、使途不明金の回収に努力する義務があるのに、一向にそのようなアクションを取る気配がありません。岡田市長には、市税滞納者への強制徴収に先駆けて、タゴ一族への課税強化を優先してもらいたいものです。
【ひらく会情報部】
※参考資料
【株式会社シバタの会社概要】
■社名 株式会社シバタ
■所在地 本社 〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-7-1
(登記上本店、東京都墨田区立花3-28-8)
■電話 (03) 3552-0381(大代表)
(03) 3552-2781(代表)
■FAX (03) 3552-2855
■設立 昭和29年6月21日
■事業目的 工業用ゴム(プラスチック製品の製造・販売、照明器具の製造・販売、防除機器の製造・販売、LPG配管器材、農業資材、水道管材、住設機器、土木建設資材、保安電設資付の製造・販売、梱包資材、その他付属品及び関連商品の製作・加工・販売・各種工事施工(屋根工事・電気工事・大工工事・建具工事・内装仕上工事・ガラス工事・防水工事・塗装工事・板金工事・タイル、れんが、ブロック工事・信号装置設置・さく井工事)及び付帯する一切の業務、建築工事業、とび・土木工事業、鋼構造物工事業
■資本金 9,600万円
■決算期 3月31日(年1回)
■年間売上高 296億3,461万円(平成20年度/第56期)
280億4,016万円(平成21年度/第57期)
295億 130万円(平成22年度/第58期)
318億8,868万円(平成23年度/第59期)
■従業員数 434名(男子352名・女子82名)平成24年3月31日現在
■主要取引銀行 商工組合中央金庫本店営業部、三井住友銀行東京中央支店、りそな銀行東京中央支店、三菱東京UFJ銀行新富町視点、みずほ銀行京橋支店
■加入団体 東京商工会議所、東部工業用ゴム製品卸商業組合)各地区商業組合、(社)日本LPガス供給機器工業会、向島法人会・向島優申会、日本貿易振興会、ガス閉止弁ゴムキャップ工業会、ベネフィット・ワン
■資格 一般建設業 東京都知事 許可(般・19)
■年金・保険
(社会保険)政府管掌厚生年金、東部ゴム厚生年金基金、東部ゴム健康保険組合、雇用保険、労働保険
(企業年金)中小企業退職金共済
(火災保険)損保ジャパン
(団体保険)朝日生命保険、第一生命保険
■会社役員 代表取締役会長 新発田和敏
代表取締役社長 針谷 功
常務取締役(関東支部長) 富田 孝三
取締役(関西支部長) 井上 隆光
取締役相談役(非常勤) 高島 隆
取締役(非常勤) 小堀 富久
監査役 小堀 悦子
監査役 新発田照江
顧問 竹腰 時夫
顧問 河野 政美
顧問(東北支部長) 高橋 研一
上席執行役員(四国支部長)村林 外光
上席執行役員(中国支部長)長沼 幹夫
執行役員(九州支部長) 兼森 智
執行役員(中部支部長) 小寺 勝
■株主 古藤尚身、小堀悦子、新発田和敏、針谷功、高島隆、新発田雅之、新発田敏之、小堀純一、小堀真司 他全130名(平成24年4月末現在)
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