■高専組織の悪辣極まる情報隠蔽体質……当会ではその是正を狙って、2019年10月に第一次・第二次の二度にわたって各種情報不開示処分の取消を求め高専機構を提訴しました。高専機構がこれまで積み重ねてきた悪質な黒塗りの数々の取消しを求めた第一次訴訟の初回口頭弁論は2019年12月12日につつがなく終わり、それを踏まえた第二回口頭弁論が翌年2月18日に開かれることになりました。経緯は以下の記事を参照ください。
↑2月18日の東京地裁前の様子。↑
○2019年10月19日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その1)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3055.html
○2019年10月19日:高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3056.html
○2019年12月30日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次提訴に対する高専機構からの答弁書と第一回口頭弁論の様子↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3101.html
■2019年12月12日の初回口頭弁論の結果、森裁判長が被告高専機構側の根拠不足を指摘し、主張の補充を2020年1月15日までに裁判所と原告に提出するように求めました。原告ではその補充書面を受領次第、反論準備書面の作成に移るつもりでいたのですが、1月下旬に入ってもさっぱり音沙汰がありません。
しびれを切らして当会担当者が1月28日に東京地裁民事第2部の山下書記官に電話をしたところ、衝撃的な返答がありました。なんと、「昨年12月20日付で第1準備書面(補充書面)が出されている」というのです。話を聞いた当会関係者も、最初「1月」20日の言い間違いではないかと思ったほどですが、確かに第1回口頭弁論のたった8日後、当会が上記の報告記事を投稿したより十日間も前に、提出されているようです。
しかし現実として、原告である当会の手元にはそのような書面は影も形もありません。そこで「原告にも送られているのでしょうか?」と質したところ、山下書記官は「はい、原告連絡先の027-224-6624にFAXされているはずです」と答えました。即座にFAX連絡先になっている当会事務局に連絡して確認してもらったところ、「一切見当たらないし、受信記録からも確認できない」とのことでした。
■そこで訴訟代理人である田中・木村弁護士事務所に電話をしたところ、女性事務所員が出てきたので、「藍澤弁護士扱いの事件番号令和元年(行ウ)第515号事件について、東京地裁から聞いたところ、答弁書補充のための第1準備書面を12月20日にFAXで原告に送ったというが、受信したという記録がない」と伝えました。
すると「いま、藍澤がいるので確認します」と言い、1分ほど待たされてから、藍澤本人ではなく女性事務所員が「いま確認したところ、郵送で発送したとのことです」と言いました。「郵送なら絶対に見逃すわけはなく、東京地裁はFAXで原告に送られたはずと言っている」と質すと、悪びれることもなく「それではこれから郵送する」と言ってきました。
「1月15日までに受領できると思い、送達を待っていた。すでに13日が無駄に経過しており、早く内容を確認したいので、直ちにFAXで送るとともに、郵送でも送ってもらいたい」と強く要請しました。すると即座に、12月20日付の準備書面1(答弁書補充)が当会事務局にFAXされてきました。内容は以下の通りで、ただ答弁書の内容をおおかたコピペして、法律の条番号にくっつけているだけの代物でした。
*****被告準備書面1*****ZIP ⇒ 202001281i1t.zip
令和元年(行ウ)第515号 法人文書不開示処分取消請求事件
原 告 市民オンブズマン群馬
被 告 独立行政法人国立高等専門学校機構
準 備 書 面 (1)
令和元年12月20日
東京地方裁判所民事第2部Bc係 御中
被告訴訟代理人弁護士 木 村 美 隆
同 藍 澤 幸 弘
同 角 谷 千 佳
記
訴状別紙不開示処分取消請求箇所(22頁,以下「別紙」という)の各項目に対する不開示事由について
1 原告が別紙1項で処分の取り消しを求める不開示箇所の記載がある文書は,甲3号証である。原告は,同号証のうち各候補者の氏名を除く箇所の開示をもとめているが,各候補者の経歴等の記載事項は,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある記載であり,独立行政法人等の保有する情報の公関に関する法律(以下「法」という)5条4号ヘに該当するものとして,不開示とした。
2 原告が別紙2項で処分の取り消しを求める不開示箇所の記載がある文書は,甲第4号証であり,原告は同号証のうち辞職理由に係る記載の不開示処分の取り消しを求めている。しかし,辞職理由にかかる記載は法5条1号の個人に関する情報に該当し,かつ同条1号但書に該当しないため,不開示とした。
3 原告が別紙3項(1)及び(2)で処分の取り消しを求める不開示箇所の記載がある文書は,甲第5号証である。原告は別紙3項(1)で,氏名及び人事前後の職名に関する記載別紙3項(2)で常勤教職員に関する退職理由の記裁に対する不開示処分の取り消しをもとめている。これらの不開示部分は被告の慣行上人事異動を公表していない職員に関する記載事項であり,いずれも法5条1号の個人に関する情報に該当し,かつ同条1号但書に該当しないため,不開示とした。
4 原告が別紙4項で処分の取り消しを求める不開示箇所の記載がある文書は,甲第6号証であり,原告はこのうち「合計金額」,「支払金額」,「うち消費税及び配分金額」に関する不開示処分の取り消しを求めている。これらの項目は,法第5条2号イに該当し,かつ同号但書に該当しないため,不開示とした。
5 原告が別紙5項で処分の取り消しを求める不開示箇所の記載のある文書は,甲第7号証である。原告は同号証の不開示部分のうち,日時に関する記載についての不開示決定の取り消しを求めているが,日時に関する記載も開示することにより事件対象者等を特定できる情報であるため,法第5条1号の個人に関する情報に該当し,かつ同条1号但書に該当せず,不開示とした。
以上
**********
■というわけで、40日近くも遅れてようやく被告側の書類を受け取ることができたものの、裁判所は「FAXで送られている」といい、被告弁護士事務所側は「郵送で送った」といい、話が滅茶苦茶です。なので同日に再度、山下書記官に電話を掛けました。
当会から「被告の訴訟代理人の藍澤弁護士に確認したところ、12月20日付けでFAXではなく郵送したと言っているが、どちらも受信ないし受領した事実がない」というと、「FAXで送られていないのですか」というので、「藍澤弁護士は原告にFAXではなく、郵送したと言っている。通常少なくても簡易書留で送達場所に送るはずだが、何も届いてはいない。遅くても1月15日頃に届くはずが、13日以上も遅れたわけで、2月10日までの原告の反論のための準備期間が半分に縮められた結果となった。この不利益の責任はどうしたら、被告にとってもらえるのか」と強く質しました。また「そういう事実関係について弁護士事務所に対して裁判所から確認をとってもらえるのか」と質問しました。
すると山下書記官は「不利益の状況について申し立てるには『上申書』の形で書面を出す方法がある。もしくは、『原告として反論のための準備書面を作成する際に、被告のせいで時間的に無用な制限を受けたため、ここまで反論し、その余は追って主張する』などとして、準備書面の中で、被告の対応による不利益を主張しても良い」と一般的な対処方法を説示しました。
しかし、訴訟内容に関係のないこうしたトラブルに関して、自ら確認したり関与したりすることはせず、当事者の責任において逐一対処せよ、というスタンスのようです。なにしろ「藍澤弁護士側はFAXではなく郵送したといっている。どうして話が食い違っているのか」と聞くと、「藍澤弁護士のFAXによれば、クリーンコピーが送られてくるとありますね」と頓珍漢な対応をしてくる始末だったので、ノレンに腕押しなのを感じました。
■もちろん、裁判の当事者が書面を出す際は、裁判所と相手方に当時に書面を出すのが根本的なルールです。そして田中・木村法律事務所側はあくまでも「裁判所への提出と同日、12月20日に郵送した」と言い張っています。であるならば、書留の問い合わせ番号や郵便局のレシート等の何かしらを提示できるはずと考えました。
そこで、翌29日に再度、同法律事務所に電話を掛け、事実関係を確認しました。電話口に出たのは前日と同じ女性事務所員でした。やり取りの内容はおおむね以下の通りです。
【1】女性事務所員の名前を確認したところ、「藍澤弁護士が不在だから」という訳の分からない理由で拒否。
【2】東京地裁にはFAXで発信し、原告には普通郵便で発送したとのこと。いずれも12月20日だが、時間的には覚えがないとのこと。
【3】東京地裁の山下書記官は、藍澤弁護士がつけた送付書に原告のFAX番号が書いてあることから、原告にもFAXで送ったと勘違いしてしまったのではないか、との女性事務所員の付言。
【4】未達ということで、郵便局には事故調査をかけているとのこと。(原告側も郵便局に事故調査をかけるつもりであるので、情報としてこうした質問が必要であることを示唆)
【5】最寄りの郵便局は、「銀座四郵便局(ぎんざよんゆうびんきょく)」https://map.japanpost.jp/p/search/dtl/300101522000/ だが、「12月20日はたしか、最寄りのポストに投函したと思う」と返答。
【6】封筒は、定形外(A4が折らずに入る封筒)でいつも使っている水色の封筒で、表の下に、「田中・木村法律事務所」のロゴがはいっているという。
■訴状には原告のFAX番号が大きく明示してあるのですから、裁判所と原告相手に同時にFAX送信すればいいはずです。それにも関わらず、わざわざ裁判所にだけFAXで送り、原告相手には「ポスト投函の普通郵便」にしたというあまりにも奇妙な言い分。徹底的に「送った証拠」ができないような組み合わせ。
というわけで、遅まきながら当会ではようやく何が起こったのか全貌を把握しました。つまり、田中・木村法律事務所側が以下のような法廷戦術を使ってきたとみられます。
・裁判所にだけ提出期限のずっと前にFAXで書面を送っておいて、裁判長に自らの主張をじっくり印象付ける時間を与えておく。その際、裁判所が「原告にもFAXで送られた」と勘違いするような書き方をしておき、裁判所から確認をさせない。
・原告側には「普通郵便でポスト投函で送った」ということにしておき、送った証拠(あるいは、送っていない証拠)が出ないようにしておく。
・発覚するまで原告側は主張を見ることはなく、吟味して反論を練る時間も一切与えないようにできる。
民事訴訟法には当事者間の文書の送達手段の指定はなく、書留でなければならないというルールはありません。しかし、受け取った・受け取っていないの水掛け論を回避するために書留で送っておくのがおおむねの傾向です。また、文書も口頭弁論前ならいつ出しても違法ではありませんが、相手に反論を練る暇を与えさせず、かつ裁判所が主張に目を通せる1週間前あたりに出すのがだいたいで、これまでも田中・木村法律事務所側はそうしてきていました。なので、原告側はまさか超早期提出など思いもよらず、わざわざ裁判所に確認連絡を取りにいくわけもありません。
今回高専機構側は、そうした常識ゆえの思い込みをすべて逆手に取り、ルールの穴を突いてきた作戦を発動してきたことになります。
しかも振り返ると、見事なのは、原告オンブズ側の失点も見事に利用されていることです。前回口頭弁論では、オンブズマン側がうかつにも、このように内情を漏らしてしまっていました。
~~~~~2019年12月12日第一回口頭弁論・抜粋~~~~~
原告:今の話では1月15日にいただける、というわけですよね。
裁判長:はい。そこからどのくらいかかるかということです。
原告:えーと、1月15日は日本にいない可能性があるので、被告の補充の主張を読めるのが1月25日になりますが、そこからやれば、いまおっしゃった2月4日迄ならまとめられるとおもうので、こちらとしては10日もあれば大丈夫です。
裁判長:ああそうですか。
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その言葉通り、当会担当者が1月25日前後まで業務で海外に出ており、裁判所とのコンタクトが取れない状況にありました。当会としては1月15日の期限が過ぎているのに未達という事態は把握していましたが、出廷者本人が不在でどうにもならず、結果28日まで裁判所への確認連絡が遅れてしまった経緯があります。
更に、初回口頭弁論で答弁書等の受領書兼送付書を裁判所と被告に返送するのを失念しており、現地で記入することになる凡ミスもありました。当時は、訴訟進行に影響のない些細なミスと捉えていましたが、このことで「書類が送られてきていても受領書を送らないタイプの原告」と裁判所担当者側に見られてしまい、「被告が何週間も前に書類を提出しているのに原告からの受領確認が来ない」という異常事態を不審に思われずに、裁判所から確認の連絡を寄こされなくなってしまった可能性もあります。
まさに、被告高専機構側の作戦が完全にうまくハマったとしか言いようがなく、曲がりなりにも「プロ」の法廷戦術を目の当たりにさせられました。高専機構と田中・木村弁護士事務所側から見れば、作戦の完全成功と、思った以上の原告のおマヌケな反応に笑い転げていたことでしょう。忸怩たる思いとしか言いようがありません。
■「してやられた」という思いを抱えながら、当会の訴訟文書作成支援者に一件の話を持っていくと、「元々2月に入ってから準備書面の作成協力をする予定だったので、まったく問題ないですよ」とあっけらかんとした返事が返ってきました。
「逆に考えましょう。向こう側も、こういう汚い法廷戦術を用いてでも勝たなければならないほどの状況というわけです」
確かに落ち着いて被告側の答弁書と準備書面を見れば、杜撰で怪しい主張のオンパレードです。こちらはむしろじっくり腰を据えて丹念に被告の主張を見ていけばよいだけでした。もし姑息な妨害に耐え抜いてこちらが勝てば、藍澤弁護士と田中・木村法律事務所は「ドシロウト相手に汚い手段を用いてまでして負けた銀座の弁護士」という汚名を被ることになります。
■というわけで、原告側の反論となる準備書面の作成が始まりました。とことん間の悪いことに印刷の調子が悪く、指定提出期限の2月10日に提出できませんでしたが、祝日の11日を経て、翌12日の朝一番に原告準備書面(1)を現地提出しました。内容は以下のとおりです。
*****原告準備書面(1)*****ZIP ⇒ 202002111ii1j.zip
令和元年(行ウ)第515号 法人文書不開示処分取消請求事件
原告 市民オンブズマン群馬
被告 独立行政法人国立高等専門学校機構
原告準備書面(1)
令和2年2月12日
東京地方裁判所民事第2部Bc係 御中
原告 市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢
記
令和元年12月5日付け答弁書(以下「答弁書」),及び,第1回口頭弁論における訴訟指揮を踏まえた答弁書の補充説明である令和元年12月20日付け準備書面(1)(以下「被告準備書面(1)」)での被告側主張に対し,以下反論する。
1 訴状別紙の1にかかる文書について
被告は,答弁書2項(2)及び被告準備書面(1)1項において,甲3号「国立高等専門学校長候補者一覧」の標題を除く部分が法5条4号ヘに該当するとし,その理由を,「被告において各国立高等専門学校の校長を選考する際に用いている資料であり,不開示部分には候補者の氏名等候補者を特定する要素や,校長としての適格性を検討するために必要な経歴等が記載されている。」としたうえで,「この各事項の記載項目やその詳細は,被告における各学校の校長選考という人事管理に関する事務に必要となる事項である。これらの事項が外部に明らかになると,選考基準や考慮する要素の詳細が外部から推測できることとなり,選考過程における被告内の自由な議論や判断を阻害するおそれがある。このため,甲第3号証の不開示部分は,人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものとして,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律5条4号ヘに該当する。」などと説明する。
原告は以下のとおり反論する。
そもそも甲3号証「国立高等専門学校長候補者一覧」は,単に被告高専機構が各年度の候補者とその概要を一瞥して把握できるように作成したリストに過ぎないのであって,選考委員がこれに基づき,あるいはこれを主たる選考資料として,校長選考業務を行っているわけではないのは明らかである。甲8で被告自ら認めるとおり,校長選考時に参考にする文書は,候補者本人とその推薦者自身が作成・提出した「推薦者からの推薦書や候補者の経歴,実績,校長に就任した際の考えに係る書類」なのであり,それを読みながら都度面接による人物評価も交えつつ判断を行っているものと解される。したがって,甲3号にかかる文書が被告の説明するような「校長を選考する際に用いている資料」,または少なくとも校長選考業務を左右するような文書ということはできない。まして,その記載項目名に至るまでについて,明らかにすると「選考過程における被告内の自由な議論や判断を阻害する」という被告の主張には,一切の妥当性が認められない。
加えて言えば,国立高等専門学校長という公的な重職にかかる選考において,選考基準が社会常識的に通常妥当と想定される範囲を超えないことは明らかである。被告が主張するように,項目名を含めた記載事項を外部に明らかにした結果,「選考基準や考慮する要素の詳細が外部から推測」されて,校長選考業務に影響を及ぼすのであれば,それは社会常識・通念から通常想定されえない選考基準を用いているということになるが,独立行政法人である被告が国立高等専門学校長という公的な重職を選考するにあたって,そのような形で行われていることは想定しがたい。少なくとも,甲8で行われた被告自身の説明から妥当に推定されない内容が,甲3不開示部分に記載されているということは考え難く,したがって,まず被告は甲3号証「国立高等専門学校長候補者一覧」にかかる各記載項目名を明らかにしなければならないのであって,その後各記載項目について個別に不開示妥当性が審理されるべきである。
2 訴状別紙の2にかかる文書について
被告は,答弁書3項(2)及び被告準備書面(1)2項において,甲4号「西尾典眞氏の辞職願」の不開示辞職理由部分が,法5条1号の個人に関する情報に該当しかつ同条1号但書に該当しないとし,その理由として,要旨,当該情報が個人の意思表示であるから個人情報にあたり,また職務遂行情報に該当しないなどとする旨主張するようである。
原告は以下のとおり反論する。
被告は答弁書で既に,西尾氏が文部科学省からの出向により群馬高専校長に就任した事実を認めているのであり,この事実がすべてであって,それ以上は全て詭弁というほかない。独立行政法人国立高等専門学校機構法(平成15年法律第百十三号,甲29)の第14条より,被告高専機構の主務省は文部科学省であると定められており,同省が被告高専機構を所管することは事実である。したがって同省の意図として,その所掌する下部機関との連携強化や関係円滑化のため,西尾氏を「出向」扱いとし被告高専機構に派遣していたのであって,同氏の「出向」は,全体として同省としての利益(また,併せて派遣先である被告高専機構の利益)を最大化するための文部科学省職員としての職務行為的性質を有していたことは明らかであり,したがって,同省の命令ないし要請による出向の切り上げ自体も,同省職員職務行為の遂行に関するものと解されるのが妥当である。よって,被告の主張は甚だ失当と評するほかない。
ところで,被告は答弁書3項(1)で,「原告担当者が平成29年6月6日,群馬高専の山崎誠学校長ら幹部と面談し,同校の運営に関する事項をヒアリングしたこと,甲第9号証に原告の指摘する記載があること,はいずれも認める。」などとしているが,被告自身が同日の録音データを有していること,また甲第9号証に記載のある説明を被告が実際にしたかどうかについて,認否を明らかにしないこのような書き方は,極めて不誠実であるといわざるを得ない。
【求釈明1】被告にはこれらの点について明確に認否を示すよう求める。
3 訴状別紙の3にかかる文書について(1)
被告は,答弁書4項(2)及び被告準備書面(1)3項において,甲5号「群馬高専校報129ないし131号の表紙及び人事関係」の不開示部分のうち訴状別紙の3に示す箇所について,法5条1号の個人に関する情報に該当しかつ同条1号但書に該当しないとする。この項,原告の訴状4項中の各論点に対応する形で被告から反論がなされているため,これらについて以下反論する。
① 被告は,原告訴状4項①について,「しかし,群馬高専における人事異動の開示の対象とならない職員のうち,実際に異動するのは「退職」,「採用」等項目ごとに数名であり(甲5),所属,職名等情報を開示した場合に容易に個人を特定することが可能である。」などと主張する。
しかし,誰にとって個人を特定することが可能なのか,主語が示されておらず,甚だ意味不明な主張というほかない。訴状同項においても言及した通り,所属,職名等情報のみを開示されても,原告を含めた第三者にとっては,当該学科・部署等でたんに異動等人事が行われたことを示すだけの情報であって,「容易に個人を特定すること」は不可能なのは明らかなためである。被告はこの点について,一切の説明をしていない。
また,異動対象者の同僚等にとっては,そもそも最初から当該人事を直接知っているほか有り得ないのであって,既知でしかないかかる情報を新たに開示されたところで,被告のいう「容易に個人を特定」などの不利益が生じるとは認めがたい。さらに,「群馬高専校報129ないし131号の人事関係」について同校がそのHPで公表しているものを確認すると,「学内のみ」と記載があり(甲30),逆に言えば,現時点でも同僚等学内関係者については氏名も含めて全情報を閲覧できることがうかがえる。よって,別途外部者にかかる情報のみを開示したところで,同僚等学内関係者にとって新たに「容易に個人を特定することが可能」になる状況が成立すること自体が有り得ないのは明白である。しかるに被告は,この点についても一切の合理的な説明をしていない。よって,被告の主張は失当というほかない。
② 被告は,原告訴状4項②について,「しかし,原告の指摘する「教育研究支援センターメンバー構成」(甲10)や「年報」(甲11)には,群馬高専において退職,異動等をした対象職員が全員掲載されているわけではない。慣行として氏名が公開されている管理職の教職員以外は,異動を年報等で明示しておらず,本件で不開示とした対象職員も, この年報等で明示されていない職員である。」などと主張する。
まず,不開示とされた校報129ないし131号には,あわせて平成28年1月から平成30年3月までの情報が記載されていることが甲5より明らかである。そこで,これに対応する時期の「年報」を確認してみると,例えば平成28年度に作成された第5号(甲31)の1頁目文中には,「教育研究支援センターは,p.3 に示すように,齋藤技術長を中心に常勤および非常勤の技術職員を合わせて 16 名の技術職員で構成されております。」との記載があり,その記載に従って同3頁を確認してみると,(技術職員ではない同センター担当の高専教員を除くと),数が一致し,発行時点での構成員が管理職以外の末端まで含めて全員分記載されていることが容易に確認できる。これは,甲11の年報第6号に関しても同様であることが,容易に確認できる。よって,管理職の教職員以外のすべての技術職員についても,その掲載状況を追跡することで異動や職位変更についても容易に把握可能なのであり,被告の説明は明らかに事実と食い違っている。
さらに,甲11号6頁を確認しても,平成29年3月に退職した「技術補佐員」の挨拶が氏名付きで載せられていることが明らかであり,それにも関わらず「管理職の教職員以外は,異動を年報等で明示しておらず,本件で不開示とした対象職員も,この年報等で明示されていない職員」などとする被告の説明は,余さず事実に背くものであり,虚偽の説明と断じても過言でないものである。
なお,参考として同校が平成26年度に発行した年報125号の人事情報(甲32)を確認すると,退職・採用・異動等欄には管理職でない技術職員についても掲載があることがわかる。一方,同じく平成26年度発行の年報第4号(甲33)を参照すると,対応するこれら非管理職の職員の氏名付き挨拶が掲載・公表されていることが明らかであり,特にこの時点から運用が異なっていると合理的に判断されるような事実もないから,被告の説明が一切の事実と矛盾していることが,ここからも明らかである。
加えて指摘すると,被告は「訴状請求の原因第1項で指摘のとおり,原告は審査会に対して審査請求を行い,これを受けた審査会の答申書(乙2)の内容に合わせ,被告は同答申書別紙1から9の不開示事項を追加で開示した。甲第5号証で不開示となっている項目は,同答申書で不開示としたことが妥当と判断された項目である。」などとし,乙2の答申を援用する。しかし,乙2の答申は,原告訴状中4項および5項の主張について,一切の判断を示していないのであり,援用に使えうるものではない。なぜなら,当初被告は,甲5に示す文書を「完全不開示」としていたため,乙2の第2にかかる審査請求をおこなったが,この際,被告による不開示範囲があまりに広範にわたっていたことから,やむを得ず同時点で検討が可能であった部分(特に公領域情報であったもの)についてのみ審査を求めていたもので,当然乙2の答申においてはその部分についてしか判断は下されていないからである。乙2の答申を経て甲5に示す方法で文書の再開示がなされ,改めて精査した結果,原告訴状中4項および5項に示す瑕疵が見つかったものである。したがって,答申内容と時系列からして,被告がこの点で乙2に示す答申を援用することは不適切である。
③ 被告は原告訴状4項③について,「しかし,職務遂行情報の内容は前記3項(2)で指摘したとおりであり,「配置換」等は当該職員の担任する職務を遂行する場合における当該活動に関する情報には該当しない以上,「配置換」等の不開示部分は職務遂行情報に該当しない。」などとするが,原告の主張は訴状同項に示したとおりであり,引き続き争う。
4 訴状別紙の3にかかる文書について(2)
被告は,答弁書5項(2)及び被告準備書面(1)3項において,甲5号「群馬高専校報129ないし131号の表紙及び人事関係」の不開示部分のうち訴状別紙の3に示す箇所について,法5条1号の個人に関する情報に該当しかつ同条1号但書に該当しないとし,原告の訴状5項中の主張も否定している。そして,その理由として,「これに対して群馬高専では,ホームページ上,人事関係事項は公開されておらず,甲第5号証で不開示とされている教職員については,公とする慣行もない。他の高専で公開されているからといって,群馬高専でも退職理由を公にする慣行があるということができないことは明らかであり,甲第5号証の不開示部分について,法5条1号但書イの例外事由に該当するとの被告の主張は,失当である。」などと主張するようである。
原告は次のとおり反論する。
国立高等専門学校は,法人化によって全校が被告高専機構のもと一元化されており,その教職員はすべて被告高専機構が雇用する「高専機構教職員」という扱いになっている。実際,全国大学高専教職員組合の高専評議会議長である高専教員のコメント(甲34)においても,「「高専」は法人化後,高専機構を本店とした55の支店といった組織となりました。つまり,各高専の管理者である校長や事務部長は中間管理者となったわけです。」(7頁下段)と言及があり,当事者の高専教職員からしても,各高専は被告高専機構の一部署に過ぎないと考えられており,実際にそうである事実がうかがえる。また,被告高専機構が法人全体の情報公開に関する規定として,かかる情報の不開示は特に定めていないことがうがわわれる。すると,すでにある部署で同種の情報が慣行として公にされているうえ事実をあわせて考えると,被告高専機構が各種法令上またはその規則上において同列に扱いまたは管理し,また同様の職位でさらに同様の職務に従事する「高専機構職員」間で異なった取り扱いをおこなう合理的理由はないのは明らかである。よって,同一法人であるにも関わらず,あたかも別組織・別所属かのように各高専ごとに話を使い分ける被告の主張は詭弁というほかないものであり,失当である。
5 訴状別紙の4にかかる文書について
被告は,答弁書6項(2)及び被告準備書面(1)4項において,甲6号「代理人弁護士に支払った弁護士費用にかかる平成28ないし30年度の支払決議書」の不開示箇所のうち,訴状別紙の4に示す部分について,法第5条2号イに該当し,かつ同号但書に該当しないとする。その理由として,「しかし,原告が指摘する答申例は,いずれも国や地方公共団体を当事者(なお甲第17号証は国民生活金融公庫が当事者であるが,資金のすべてを政府が賄っている点で国や地方公共団体に準じると解される)とするものであり,独立行政法人のものとは異なる。独立行政法人制度は,各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し,これを担当する機関に独立の法人格を与えて,業務の質の向上や活性化,効率性の向上,自律的な運営,透明性の向上を図ることを目的とする制度であり(総務省ホームページより),自立的な運営も目的のひとつとなっている。予算についても被告は授業料等一部自主財源を有しており,国や地方公共団体と同列に論じることはできない。」などと説明する。
原告は次のとおり反論する。
そもそも経緯としては,「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成十一年法律第四十二号,以下「情報公開法」)が制定され,現行の情報公開制度の基礎付けが与えられたのちに,「独立行政法人通則法」(平成十一年法律第百三号)によって独立行政法人の法的根拠が与えられたのである。そして,情報公開法とほぼ同一条文の「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(平成十三年法律第百四十号)がわざわざ制定されたのは,当時のいわゆる構造改革により,行政機関ないしはその一部であった組織が,行政機関ではない独立行政法人とされ,情報公開法の対象外となってそれまで公開されていた情報が公開されなくなる事態が想定されたことから,そのような事態を防ぎ,「国の説明責任を全うするため」である。したがって,情報公開法,それに準じ各地方自治体で制定された情報公開条例等,そして独立行政法人に適用される法はすべて理念・目的・運用を根底から共有しているとみるべきであって,その趣旨を異にするものでないことは明らかである。
加えて言えば,甲29のとおり,独立行政法人国立高等専門学校機構法(平成15年法律第百十三号)によって被告独法高専機構の法的根拠が与えられたのは上記法律の制定よりもさらに後のことであって,それまでは情報公開法の適用対象だったのであるから,当然上記の法の制定趣旨にもしたがうべきなのは当然であり,独法化をもって,情報公開の点においてもいわゆる行政機関と性質を異にするようになったとすることはできない(そもそも,性質を異にしないからこそ,被告の組織名である「独立行政法人国立高等専門学校機構」に「国立」の二文字が冠されているのである)。したがって,「被告は授業料等一部自主財源を有しており,国や地方公共団体と同列に論じることはできない。」などとする被告の主張は,失当というほかない。
付言すれば,被告は答弁書3項(2)において「法5条1号但書ハも,情報公開法5条1号但書ハと同趣旨の規定であり,上記解釈が法5条1号但書ハにも同様に当てはまる」などとしており,被告自身,情報公開法と法が同趣旨であることを認知しているのは明らかであるにも関わらず,同一答弁書内ですら自己矛盾を起こしているのは,理解しがたい。
また,被告は同時に「法律事務所ごとの報酬基準は必ずしも一般に公開されているものでない以上,報酬の基準は弁護上が事業を行ううえでの内部管理情報であり,具体的な報酬額は個別具体の業務に対する評価が反映されたものとなっている。これらの内部管理情報や評価は,通常公にすることが予定されておらず,これを公にすることにより当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある(乙3)。」などとも主張するが,報酬等の金額そのものは特定事案における契約状況の一端を示すにとどまる情報であって,金額そのものから「内部管理情報や評価」を推察することなど完全に不可能である。例えば,金額だけを見たところで,「特定案件を困難なものと評価してこの金額に設定した」とも,「特定案件を容易なものと評価してこの金額に設定した」とも,同じようにいえるのであって,金額のみからでは何も判明し得ないのは明らかである。もし,万が一,「内部管理情報や評価」を推定する合理的な方法が存在するというのであれば,被告自身が示さなければなさない。また,こうした観点からしても,そもそも被告の主張するような「おそれ」自体が存在しない,ということを認定しているのが甲17ないし甲26の答申例・判例なのであり,原告も同様の主張をしているにも関わらず,乙3の答申はそうした判断の積み重ねを覆すに足るような論拠をともなった判断を一切示していないのであって,援用に使うのは不適切である。
加えて,訴状に続いて繰り返すとおり,被告高専機構が弁護士事務所に支払う多額の報酬は,税金等を原資とするものであって,金額の開示自体は公的機関の負う説明責任にしたがったもので,公益性をもつと解するのが妥当である。情報開示制度によって当該情報が開示され担当弁護士がいささかの不快の念を覚えたとしても,それは受忍すべき限度の範囲内に留まると考えるのが当然である。
6 訴状別紙の5にかかる文書について
被告は,答弁書7項(2)及び被告準備書面(1)5項において,甲7号「事件・事故等発生状況報告書,またはそれに類する文書」の不開示部分のうち訴状別紙の5にかかる箇所について,法5条1号の個人に関する情報に該当しかつ同条1号但書に該当しないとし,その理由として,記載された年月日等の時系列の情報を開示することにより,事件・事故を受けた学校関係者の対応が明らかになってしまうとし,更に,「長野高専では,遺族の意向をふまえ,学校の内外を問わず当該案件が発生したことを公表しておらず,年月日の情報を開示した場合,対象者のクラスメートといった極めて濃厚な関係を有する者以外にも,報告書の対象者を特定することが可能となったり,対象者や事件関係者の権利利益を侵害するおそれがある。甲第7号証の報告書が自殺案件に関するものであることからすれば,対象者や関係者のプライバシー等の利益は極めて重要なものであり,権利利益を侵害するおそれは慎重に考慮すべきであり,安易に個人識別可能性,権利利益の侵害のおそれがないと判断すべきではない。」などと主張するようである。
原告は以下のとおり反論する。
まず,年月日情報開示によって,「事件・事故を受けて関係者がどのように対応したのか,といった状況が明らか」になるという被告の主張は,意図を量りかねるものである。なぜなら,甲7号証のとおり,当時長野高専がおこなった対応の内容自体は既に最低限開示されているのであって,「それをいつ行ったのか」が新たに分かったところで,被告の危惧する情報が新たに明らかになるとは考え難い。また,長野高専が学校として事件に対してどのように対応したかが明らかになったからといって,ただちに対象者が「特定」されることに繋がるというのは論理の飛躍も甚だしく,そもそも何ら連関はないというべきである。
また,既に開示されている甲7号証を確認することにより,以下の事実が認められる。
・文書5-1-1に「カウンセラーの意向も踏まえ,自分の命を大切にとした全校集会を開く」との記載。
・文書5-2-5に「教職員研修会(昨年度■月及び今年度■月に発生した学生の死亡事故を受けての研修)」「(教職員研修会に)93名が参加」の記載。また,後援会支部会で学生に説明したのと同内容を説明した旨や,クラスメートへの説明を行った旨の記載。
・文書6-2-5に,学生に対し死亡の事実及び通夜・告別式の情報を伝えた旨の記載。さらに,死亡事故を受けて,学生・保護者・教職員を対象に,幅広い講演会を開催した旨の記載。
以上のように,死亡事故を受けて,少なくとも学内向けには少なくない関係者ら 対象に,死亡事故を受けての対応を行っており,「学校の内外を問わず当該案件が発生したことを公表しておらず」とする被告の説明とは,いささかの食い違いが見られる。
また,便宜上「年月日」とまとめて扱ってきたが,仮に時刻や日付など,かなり特定的な日時情報について被告の主張を認めるにしても,年や月など,大雑把な期間を示す情報についてまで,不開示とする意味があるのか,大いに疑問と言わざるをえない。例えば,甲7号の各文書作成者として文書に氏名の記載がある学生課長については,その在籍時期が公表されており,2012年3月まで「中野俊彦」氏,同年4月から「石田芳邦」氏となっていることも判明している。また,事件を受けて開催された全校集会や,カウンセラー等による講習会・講演会の開催事実関係は,規模からして容易に把握可能である。更に,たとえば甲7号5-2-2ないし5-2-3には,「後援会支部総会」「成績返却期間」といった記載もあり,当時の日程からして,文書に記載のある年・月は容易に推定可能なのは明らかであって,かかる情報を殊更に不開示とすることによる被告の利益は見受けられない。
また被告は,文書に記載のある年月日情報が事実上明らかになっていることについても,「しかし,原告が甲第27号証で指摘する部分開示された文書(「4 故■君に関する報告」)でも,年月日や時間は不開示となっており,原告が開示請求した内容と合わせてでなければ,当該文書の作成日を推定することはできない。このように,文書自体や,被告が開示した他の情報から日時を特定することができない以上,原告の指摘する方法により文書の作成日時を事実上推定することができたとしても,それをもって当該文書の作成年月日が慣行として公にされている情報(法5条1号但書イ)ということはできない。」などと主張する。
しかし,「慣行として公にされている」とは,定義として「現に何人も容易に知り得る状態に置かれている」ことを指し,また,法解釈として「現に公知(周知)の事実である必要はない」ともされている。一方,当該情報について,何人も公的な手段を用いて知り得る状態にあるのは現に確かな事実であり,また,現に当該情報を被告が事実上明らかにしているにも関わらず,被告のいうおそれが現に生じているとは言いがたい。既に明らかとなっており,今後何人も公的手段で知り得ることが可能な情報について,改めて開示をしたとして,新規に不利益が生じることは,想定しがたいといえる。よって,被告の主張は失当である。
7 付記:被告答弁書8項の「結語」について
被告は,答弁書8項の結語において,「被告の部分開示について,法5条1号但書に該当するとの原告の主張」などとする。しかし,原告の主張の趣旨は,訴状別紙に示した被告の不開示箇所について,法5条の1,2,4号にあたるとする被告の判断がそもそも失当であるのであって,そのうえ多くについては法5条1号但書に該当するというものであり,被告の認識は一部誤りであることを申し添える。
以上
**********
証拠説明書 ZIP ⇒ 20200212.zip
甲29 ZIP ⇒ b29.zip
甲30 ZIP ⇒ b30.zip
甲31 ZIP ⇒ b31nenpoh28.zip
甲32 ZIP ⇒ b32z125.zip
甲33 ZIP ⇒ b33nenpoh26.zip
甲34 ZIP ⇒ b34iwasakihiroki.zip
また、事の顛末を記した上申書も作成し、提出書類に添えておきました。
*****上申書*****ZIP ⇒ 20200212_joushinsho.zip
事件番号 令和元年(行ウ)515号 法人文書不開示処分取消請求事件
原告 市民オンブズマン群馬
被告 独立行政法人国立高等専門学校機構
令和2年2月12日
東京地方裁判所民事第2部Bc係 御中
上 申 書
原告 市民オンブズマン群馬
代表 小 川 賢
前回2019年12月12日の期日において、裁判官から「被告の答弁書および被告が2020年1月15日までに提出予定の補充の答弁書を踏まえて、原告は同2月10日までに反論の準備書面を提出するように」と訴訟指揮をされました。
被告訴訟代理人によれば、2019年12月20日に裁判所にはFAXで当該裁判資料を送付し、同日に原告宛てに、最寄りの銀座四郵便局もしくは郵便ポストから当該裁判資料を普通郵便にて郵送したとのことですが、不着でした。そのため、原告が被告に不着を連絡したところ、実際に原告が被告の補充の答弁書(被告準備書面(1))をFAXで受領したのは2020年1月28日でした。
そのため原告として、2月10日までに反論のための準備書面(1)の提出ができず、十分な反論内容をまとめるための時間を費やしたことから、本日2月12日の提出を余儀なくされたことをここに申し述べます。
以上
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■こうして被告・原告双方の主張が出揃い、2月18日午前11時から東京地裁で第二回口頭弁論が開かれました。
↑不当判決に抗議する看板。不当な圧力に負けて、非常識な判決を出す裁判官は多い。裁判所前に抗議活動を何年も続けることは相当な怨念があると思う。↑
↑その結果、2年9カ月間の批判行動の賜物で、道路に確かに道路側にはみ出してた樹木の枝を裁判所も根負けして切った。この執念に拍手を送りたい。ところで、前橋地裁の東側も同じような状態にあり当会が指摘しているが、地裁総務課は未だに全く応じようとしない。↑
↑風通しが良くなった裁判所前の歩道。↑
↑東京地裁703号法廷
11:00 弁論 令和元年(行ウ)第515号法人文書不開示処分取消請求事件
原告 市民オンブズマン群馬
被告 独立行政法人国立高等専門学校機構
東京地裁民事第2部Bc係
裁判長 森英明
裁判官 小川弘持
裁判官 三貫納有子
書記官 山下京子↑
■第二回口頭弁論でのやり取りは以下の通りです。
~~~~~~~~~~
書記官「令和元年(行ウ)第515号」
森英明裁判長「えー、本件につきましては原告から、えー、準備書面(1)が出ていますね。これ、陳述しますか」
原告代表「はい、陳述します」
裁判長「はい。被告からも(準備書面が)出ていますね」
被告藍澤弁護士「はい、陳述します」
裁判長「それから書証として甲29から34。これいずれも写しということで」
原告「はい、写しということで提出しています」
裁判長「で、ちなみにですけども、この(甲)30号以降お出しいただいている書証のなかで、たとえばですね。31から32、3あたりですね、その年報とか校報とかいうのを証拠としてお出しいただいているんですけれど、これは原告がどちらから入手されたものですか?」
原告「えーと、以前情報開示で入手した記憶がございます」
裁判長「ああそうですか。はーん、以前は出したのね」
原告「はい、以前は出したんですよ。この(高専関連の追及)活動を始めて(から)突然出さなくなったんです」
裁判長「そうですか。まあ、わかりました。それはそのときの開示決定というのはあるんですか」
原告「えーと、調べればあると思いますが。もし必要であれば追加でお出ししますけれども」
裁判長「うん、まあとりあえずね」
原告「ちょっと、かなり前、数年前になるので、パソコンの中に多分あると思いますが。じゃあ提出したほうがよろしいでしょうか」
裁判長「もし、それ、過去には出してもらえたというものがあればね。もし開示決定みたいなものがあれば」
原告「ええ。開示決定だと思います。あるいは、ひょっとしたら、当時のHPに乗っかっているのをダウンロードしたのかもしれません。すいません、確認させて下さい」
裁判長「はい。いずれにしても公表していたということね」
原告「はい、当時は公表していましたので」
裁判長「はい、わかりました。それはそれなんですが、被告のほうで、開示事由の条項を書いていただきました。条項は特定できているんですが、それがなんでそこにあたるのか、ということが、それを見ただけでは、まだ、分からない部分があるものですから、そのところのご主張をいただかないとなかなか(審理が)始められないので」
被告「今回の書面の反論として主張します」
裁判長「はい、はい、そうですね。宜しくお願いします。で、大まかに言えばそういうことなんですが、例えば、その、えー、訴状でいうと、別紙の1項とか、3項ですな、甲号証でいうと、4号証、5号証になるんですが、そことかが、本当に、個人識別情報だというんですけど、特定の個人を識別することができる情報なのか、それとも、同じ(法律条文内の)ところに書いてある、特定の個人は識別できないけども、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるものか、そのどっちに該当するのか。そういったあたりも教えていただければと思っています。その5条1項のなかで」
被告「はい」
裁判長「それから、その別紙の1とか、別紙3とか、別紙5か、かなり原告から主張されているところについても、これを見ると、被告のほうからのご反論が足りないと思います。それと求釈明もございますから、これについても、可能なところで回答をいただければと思います。総じて言えば、あのう、各非開示事由の、どの事由に、なぜその部分があたるのかというところ、実質的な反論で進めていただければと思います。それで、やや、今までのところで見てきたところではありますけれども、被告のほうのご主張が、やや、どちらかというと、この段階では、(反論に)必要な限度においてはここ(まで出せばいい)だろうというような対応に見えますが、そうでなくて、もう、しっかり、早期にしっかり言い尽くすということでお願いしたい。そんなことはないのかもしれませんけども、言葉としては失礼かもしれませんけども、ちょっとずつ出してもいいことはないので、もう全部ご主張して下さい。小出しにしてもいいことはありません。よろしく対応をお願いします。はい。お時間をお取りしますとどのくらい?」
被告「今の(裁判長の指摘)を踏まえて1か月半くらい欲しいです」
裁判長「そうしますと、3月いっぱいくらいということですので、次回期日としては、4月14日火曜日はいかがでしょうか」
原告「こちらはOKです」
裁判長「そうしましたら、4月14日火曜日の11時15分からこの場所で次回期日としたいと思います。書面の提出期限は8日前にお願いしますので、4月6日月曜日に。これなら(被告に与えられた期間は)1カ月半以上になると思いますので、よろしく反論のほう、お願いします」
被告「……はい」
裁判長「それでは本日はこれで」
(約7分間)
~~~~~~~~~~
■というわけで、第二回口頭弁論では、被告高専機構側の主張の甘さについて裁判長から厳しい指摘が相次ぎました。迅速に裁判所だけに自分の主張を見せつけて原告に反論の機会を与えないようにしておく、という被告側の法廷戦術は、幸いあまり功を奏さなかったように見えます。
第二回口頭弁論の結果、4月6日までに被告からの再反論となる準備書面2が提出され、それを踏まえて4月14日(火)の午前11時15分に第3回口頭弁論が行われるはこびとなります。今回原告側が提出した準備書面、および裁判長の厳しい指摘を受けて、被告側がどのような主張をしてくるのか注目が集まります。
被告側の準備書面2、および第3回口頭弁論の内容は、結果が出揃い次第、4月中旬以降に追ってご報告いたします。読者各位におかれましてはぜひ本件推移にご注目ください。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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