■11月18日に公にされた高崎芸術劇場を巡る不祥事件は、19日未明の県警の家宅捜索を経て、20日の新聞や放送でさらに詳しく報じられました。その中で気になるのは、富岡市長の側近中の側近が3名とも送検されたにもかかわらず、自らは「(市職員の佐藤容疑者の)監督責任」と、「影武者」や「天皇」と呼ばれいつもアポなしで会っていた菅田容疑者を同劇場の指定管理団体の副理事長にした任命責任は認めたものの、選挙で支援を受けた高崎高校同総会長でもある老舗の電気設備会社社長の阿久沢容疑者への道義的責任については、記者会見で触れず仕舞いでした。
↑2019年1月26日(土)15:47、第117回群馬県立高崎中学校・高崎高等学校同窓会における役員改選で、満場一致で新会長に選任され、挨拶する阿久澤茂容疑者。この10カ月後、逮捕送検されるとは誰一人予想し得なかった。筆者もいまだに半信半疑。真相をぜひとも語ってもらいたい。↑
さらに噴飯モノなのは、今回の官製談合事件を受けて、来月12月に、弁護士を顧問にして、職員3人による「コンプライアンス室(仮称)」を設置すると、11月19日に市役所で開いた緊急記者会見で発表したことです。ほとんど無法状態も同然の高崎市政であり、いまさら、という感のコンプライアンスですが、弁護士に、例えば、仮に富岡市長と同窓の長井友之弁護士(たかさき法律事務所)を顧問に迎えた時には、いったいどうコンプライアンスを担保するつもりなのでしょうか。同弁護士については、弁護士会に懲戒請求を出したこともある当会としては、富岡賢治市長が、どのような弁護士を顧問に起用するのか、大きな関心事です。
■それでは、本日11月20日のこの事件の報道記事を見てみましょう。
**********上毛新聞2019年11月20日
官製談合疑いで3容疑者逮捕 オープン直後 高崎芸術劇場に激震
↑(上)高崎芸術劇場から段ボールを運び出す捜査員=19日午前5時50分ごろ (下)高崎市役所から段ボールを運び出し、車に積み込む捜査員。約50人態勢で行った=19日午前7時45分ごろ↑
↑職員らの逮捕を受け、記者会見する富岡賢治高崎市長(中央)ら↑
群馬県高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」で使う照明設備の同市発注の指名競争入札に際し、予定価格を漏らしたなどとして、群馬県警捜査2課と高崎署は19日までに、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、高崎財団副理事長の菅田明則(66)=安中市安中=ら3容疑者を逮捕した。県警は同日、市役所や同劇場、高崎財団など関係先を家宅捜索し、資料などを押収。詳しい犯行の経緯や3人の関係性などを詳しく調べている。高崎市長の側近3人の逮捕劇は、関係者に衝撃を与えた。(一部地域既報)
◎
ほかに逮捕したのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町=両容疑者。
3人の逮捕容疑は共謀して1月ごろ、同劇場の照明設備の備品購入を巡り、同社に落札させようとして予定価格5800万円(税抜き)を漏らし、5680万円で落札させて入札の公正を害した疑い。県警は3人の認否を明らかにしていない。
県警によると、備品は劇場に使用されるムービングライト32台。市内の電気工事関係の13業者による指名競争入札で市が発注した。
3人はいずれも高崎高のOB。菅田、阿久沢両容疑者は長年の知人とされ、佐藤容疑者も菅田容疑者と親しい仲だったという。
捜査関係者らによると、3人は大筋で容疑を認めているといい、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしているという。
市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされ、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたとみられる。
【激震 高崎官製談合 -上-】
「市民の信頼損なう行為」
席についた富岡賢治市長の目はうつろで、いつになく言葉は弱弱しかった。高崎芸術劇場館長や市課長ら3人の逮捕から一夜明けた19日の記者会見。落胆の色を隠せない様子の富岡市長は「(3人の容疑が)事実であればよくないこと。行政に対する市民の信頼を損なう行為であり、深くおわびしたい」と頭を下げた。
◆順法意識薄く
事件の一員にコンプライアンス(法令順守)の意識が薄かったことを挙げ、外部の弁護士をトップに置く「コンプライアンス室(仮)」を12月にも創設する意向を示唆。任命責任を認め、自身への処分も検討していることを明かした。
信頼を寄せていた側近に裏切られた形だ。富岡市長は初出馬した2011年の市長選を控え知り合った菅田明則容疑者を「企画力と人脈がずばぬけている。アイデアマンであり、アーティスト」と評価。雌雄施設の管理運営を担う高崎財団の副理事長に登用し、同劇場の館長を依頼した。
民間出身のやり手社長がトップからの〝お墨付き〟をもらったことで、存在感はさらに強まった。ベテラン市議の一人は、社長を務めるラジオ高崎など菅田容疑者の関わる企業が市からの仕事を受けるケースが増えている印象を受けるという。
◆絶対の影響力
「菅田さんに話を通さなければ仕事を受けられないという話も聞く。天の声である彼の頼みを一職員が逆らえるはずがない」と同市議。
一方、市課長の佐藤育男容疑者は富岡市長の秘書を務めていたこともあり、富岡市長は「仕事の処理が早く、確実でしっかりしている。人柄もいい」として同劇場副館長を任せた」という。
同劇場は文化や芸術を発信する施設として、市が約260億円を投じてJR高崎駅東口に整備し、9月に開館したばかり。ある市職員は「誘客に向けてこれからという時で、最悪のタイミング」と肩を落とす。
会見で何度も「残念」という言葉を使った富岡市長。同劇場や高崎アリーナの建設を推し進め、どのようなイベントを開催するのかと言った企画を一手に担っていた菅田容疑者や、自身の後援会幹部の阿久沢容疑者の逮捕によって今後の施策にどこまで影響が出るのか。4月の市長選で24年ぶりの無投票で3選した富岡市政が、揺れ動いている。
◇
3期目の富岡市政に激震が走った。市の中枢を担っていた側近3人が逮捕されるという非常事態に、県内最大都市の高崎市は、今度も魅力を高めていくことができるのか。影響は計り知れない。(次回から社会面)
=====社会面1=====
菅田容疑者ら3人送検 高崎官製談合
↑(左)うつむいて送検される菅田容疑者=19日午後1時すぎ、前橋署 (中)硬い表情で送検される佐藤容疑者=19日午後0時40分ごろ、高崎署 (右)前橋地検に向かう車内でかがみ込む阿久沢容疑者=19日午後1時ごろ、前橋署↑
「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの容疑で逮捕された高崎財団副理事長、菅田明則容疑者(66)=安中市安中=ら3人は19日の送検時、硬い表情を崩さなかった。
他に送検されたのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町=と、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町の両容疑者。
佐藤容疑者は同日午後0時40分ごろ、高崎署を車で出た。灰色スエット姿で表情を変えず、少しうつむいた様子だった。
菅田、阿久沢両容疑者は同日午後1時ごろ、前橋署から送検された。菅田容疑者は黄緑色ジャージー姿でややうつむき、目を伏せていた。阿久沢容疑者は顔を隠すようにかがみ込んでいた。
★3人を知る関係者 菅田容疑者「面倒見良い人」 佐藤容疑者「仕事は献身的」 阿久沢容疑者「人まとめる力」★
菅田明則容疑者は出版社勤務などを経て都市開発やまちづくりなどの企画課医者、グラスロード社を高崎市で創業した。1997年開局の県内初のコミュニティFM放送局、ラジオ高崎の創設に参画するなどして、松浦幸雄前市長時代から市政での存在感を高めていった。
2015年5月にラジオ高崎社長となり、同年以降、市のスポーツ・文化施設を管理する高崎財団(旧名・市文化スポーツ振興財団)の副理事長として、富岡賢治市長の最側近の立場を確立。「市内のイベントはほぼ取り仕切っていた」(市内の業者)という。
菅田容疑者を知る人からは「面倒見の良い人だった」「私利私欲がない印象」との評価がある一方、富岡市長の支持者の間でも手法を嫌って菅田容疑者と距離を置く人がいたという。
佐藤育男容疑者は1992年に市職員に採用され、秘書課や文化課、同財団派遣などを経て、2017年4月から2年間、都市集客施設整備室長として高崎芸術劇場建設の実務を主導した。9月の劇場開館を前に再び財団に派遣され、副館長となった。
仕事ぶりは真面目で献身的だったとの評価の一方、犯行に際し、「頼まれて断れなかったのではないか」と推し量る声もある。
阿久沢電機(同市問屋町)の社長、阿久沢茂容疑者は、市内の電気工事業界で長く中心的な役割を果たす企業のトップとして信頼を得ていた。市内業者からは「人をまとめる能力があった」との声が聞かれた。市サッカー協会理事長も務めていた。
★富岡賢治市長の記者会見★
「任命、監督責任ある」
―今回の事件をどう受け止めるか。
大変驚いた、職員も高崎財団の役員も、高崎芸術劇場の創立に大変献身的に頑張っていたので信じられない気持ち。深くおわびする。コンプライアンス(法令順守)への取り組みが甘かったと反省している。市役所内部に外部の弁護士をトップに置き、「コンプライアンス室」を設けたい。
―菅田容疑者はどのような人物なのか。
劇場の企画を中心でやっていた。企画力と人脈がずばぬけている。市長選に出る9年半前に紹介してもらった。癖のある人だから、いろいろ評価があったが、私は買った。仕事ぶりは余人をもって代えられない。
彼の存在は大きくなっていることは事実。劇場に有名人を呼ぶのに彼の人脈を使っている。週1回くらい会っていた。館長は財団の中で決めるが、事実上、私がお願いする。私にも任命責任と監督責任がある。
―菅田、阿久沢両容疑者は市長の政治活動にも関わっている。
脇をきちっと固めていくべきだと思う。阿久沢さんはバランスの取れた人。会社の経営状況はよいはず。
―佐藤容疑者の仕事ぶりは。
8年前くらいに私の秘書をやっていた。大変優秀で真面目な人。信じられない気持ち。
―予定価格を漏らしてはいけないのは当たり前ではないのか。
基礎基本で知っていると思う。私は工事とは備品の購入は地元の会社を使えという方針を出している。どこの会社にしろとかは一切言わない。今回のムービングライトは東京にしかなく、いくらで買えるのか分からない。業者に見積もさせる。その時に予算に収まらないと、もっと安くならないの、なんて会話をする。その時に役所はいくらまで出すと言っているの、という会話になると思う。公共事業の時に見積もり合わせをやる。芸術劇場は240億円と議会で決まり、びた一文増やさなかった。予算の範囲内でやるわけだから、担当者は苦労する。今回はどういう会話があったのか分からないが、法令について組織できちっとやっていないと反省した。
―劇場は館長と副館長がいない状況。
速やかに事務ができるよう、人事含めて対処する。
―市長も含め、3容疑者全員が高崎高OBだ。
関係ない。同窓生だからという理由で仕事することはまずないと思っている。
―談合防止の対策は。
手続き的に瑕疵は一つもない。
―自身の処遇は。
考えざるを得ない。報酬カットは覚悟している。
=====社会面2=====
新劇場 衝撃と困惑
1週間連絡取れず 今後も業務粛々と 他にもあるのでは
9月に開館したばかりの高崎芸術劇場(高崎市)の備品購入を巡る官製談合事件の摘発から一夜明けた19日、市内の各階に衝撃が広がった。官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された菅田明則、阿久沢茂の両容疑者は、市内の各種団体の役員を務めるなど有力者として知られていた。芸術発信の拠点として期待される劇場を舞台とした事件に、市民は困惑の声を上げた。
阿久沢容疑者は昨年6月から高崎商工会議所の副会頭を務め、任期満了に伴う改選で今月再任されたばかり。副会頭は計4人で、複数の部会や委員会を分対する。同会議所の担当者は「副会頭は出席すべき会議が多い。(阿久沢容疑者を除く)3人ではとても対応できない」と頭を抱える。
1月には高崎高同総会長にも就任した。同容疑で逮捕された市課長の佐藤育男容疑者を含む3人はいずれも同校OB。同窓会は19日、緊急の役員集会を開き、会長代行を設ける方針を確認した。ある幹部は「この1週間ほどは会長と連絡が取れなかった。立派な方で、逮捕と知って驚いた」と戸惑った様子だった。
高崎観光協会は阿久沢容疑者理事長、菅田容疑者が副理事長を務めている。トップ2の逮捕という事態を受け、吉井秀広専務理事は「非常に残念。今後の態勢はまだ決まっていない。協会の業務を粛々と進めるしかない」と話した。
新しい劇場に期待を寄せる市民は落胆した。12月の演奏会チケットを購入した女性(68)は「音響の良いホールができたと聞いて楽しみにしていたのに。こういう事件があると、他にもあるのではないかと疑ってしまう」と話した。10月に劇場を訪れた40代の男性会社員は「素晴らしいホールで感動したばかりだった。ただ、市民の宝であることには変わりない。今後は良い運営をしてほしい」と話した。
劇場を拠点とする群馬交響楽団の薮原博専務理事は「本拠地を新しいホールに移し、聴衆からのいい音を期待されている。今後もいい音楽を届けることに変わりはない」と冷静に振舞った。
★市役所や劇場 家宅捜索 入札資料を押収★
「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件。県警は19日、高崎市役所をはじめ、事件の舞台となった同劇場など複数個所を家宅捜索した。入札に関わる資料などを押収し、事件の全容解明を目指す。
高崎市役所の家宅捜索は午前3時50分ごろに始まった。捜査員約50人が続々と庁舎に入り、物々しい雰囲気。入札を担当する契約課などを調べたとみられる。捜索は市職員が出勤する午前8時ごろまで続いた。
JR高崎駅東口にある同劇場には午前3時55分ごろから捜査員約20人が立ち入り、約2時間にわたって捜索を実施。その後、関係資料など段ボール6箱を運びだした。
他に3容疑者の自宅や電気工事会社「阿久沢電機」なども捜索した。
**********毎日新聞2019年11月20日 08時44分(最終更新 11月20日 09時54分)
高崎芸術劇場の設備巡り官製談合疑い 市課長、館長ら3人逮捕
↑高崎芸術劇場=高崎市栄町で、2019年11月19日午前9時58分、増田勝彦撮影↑
↑高崎市役所の家宅捜索を終え、押収品を運び出す県警捜査員=高崎市高松町で、2019年11月19日午前7時47分、増田勝彦撮影↑
高崎市が発注した高崎芸術劇場の照明設備の入札予定価格を業者に漏らしたとして、群馬県警捜査2課などは18日、同劇場正副館長ら3人を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕した。県警は19日、市役所や同劇場などを捜索、3人を前橋地検に送検した。今後、事件の全容解明に向けて捜査を進める。【神内亜実、増田勝彦】
逮捕・送検されたのは、同劇場副館長で高崎市総務部企画調整課付課長の佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=と同劇場館長で公益財団法人「高崎財団」副理事長の菅田明則容疑者(66)=安中市安中、電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町。
逮捕容疑は、3人が共謀し今年1月ごろ、同市発注の同劇場の舞台照明の指名競争入札で、当時劇場整備を所管する市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者が入札予定価格5800万円(税抜き)を菅田容疑者に漏らし、同月24日実施の入札で阿久沢容疑者に予定価格に近い5680万円(同)で落札させた、としている。県警は3人の認否を明らかにしていない。
県警によると、入札には13社が参加。予定価格は非公開で市内の電気工事会社が指名されていたという。県警は阿久沢容疑者から予定価格の教示を依頼された菅田容疑者が、佐藤容疑者から価格を聞き出し、阿久沢容疑者に伝えたとみている。
県警は3人の詳しい関係性や金銭授受の有無についても捜査を進める。
★市長ら幹部に衝撃 法令順守へ来月新組織★
高崎芸術劇場のオープンからわずか2か月で、同劇場正副館長ら3人が官製談合防止法違反容疑などで逮捕された。総工費約260億円で、国内屈指の音響設備を備えた同劇場。これから世に売り出そうとした矢先の事件発覚に、高崎市幹部は大きなショックを隠せなかった。
事件を受けて19日に記者会見した富岡賢治市長は「信じられない。事実ならば、行政への信頼を損なう行為で、おわびしたい」と頭を下げた。そして法令順守面の市の態勢不備を認め、12月にも弁護士を入れた「コンプライアンス室」の設置を表明した。
同劇場は9月20日にオープンしたばかり。
佐藤育男容疑者は、同劇場整備担当の市の都市集客施設整備室長を2017年4月から努め、今年4月からは同劇場指定管理者「高崎財団」に派遣され、劇場事務方トップの副館長に就任した。
菅田明則容疑者は、15年6月から高崎財団副理事長、18年12月には同劇場初代館長にも就任。市が筆頭株主のラジオ高崎社長も務めており、その経歴から劇場の事業・企画を取り仕切る立場だった。
一方、阿久沢茂容疑者は、高崎商工会議所副会頭なども努め、富岡市長の後援会連合会の幹事長でもある。富岡市長は「後援会の役職は離れることにあるだろう。脇を締めて対応していきたい」と述べた。【増田勝彦】
**********朝日新聞2019年11月20日
官製談合容疑 商都に衝撃
高崎芸術劇場 館長ら3人送検
高崎市で9月に華々しくオープンしたばかりの高崎芸術劇場(同市榮町)が、官製談合事件の舞台となった。逮捕、送検されたのは劇場運営のタクトを振る館長と副館長、そして地元財界の重鎮。3人とも富岡賢治市長の「側近」とみられていた。群馬の商都に驚きが広がった。
★「名士」「エリート」なぜ★
電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町=は、高崎商工会議所副会頭や高崎観光協会理事長といった高崎財界の要職を務める地元の名士だ。
民間信用調査会社などによると、経営する「阿久沢電機」は今年創業100年を迎えた県内中堅の老舗。2018年9月期の売上高は約5億7千万円で、受注先は官公庁の元請けが4割強。今年は受注した5件計約1億円はすべて高崎市発注だったという。
阿久沢容疑者は01年5月から県電設協会長も務めていたが、協会事務局によると任期途中の今月、自ら書面で辞表願を提出。理由は記されていなかったという。職員は「(事件は)寝耳に水でよく分からない」と驚いた様子だった。
一方、高崎市企画調整課付課長で高崎芸術劇場副館長の佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=は1992年に市役所入り。富岡市長が初当選した2011年4月から1年間、市長随行秘書を務め、出世の階段を上った。「まじめで夜遅くまで働き、いい仕事をしていた。信頼していただけに残念」と市長。
17年に高崎芸術劇場建設などと担当する都市集客施設整備室長に就任。今年4月から劇所の副館長として開業を取り仕切っていた。
市関係者によると、阿久沢容疑者と佐藤容疑者はともに高崎高校サッカー部出身で、OB会やシニア大会にともに出場。懇意にしていたという。
(泉野尚彦、野口拓朗)
★菅田容疑者 「天皇」「影武者」・・・★
「市長の分身。『菅田天皇』と呼ばれている」
高崎芸術劇場館長で、公益財団法人高崎財団副理事長の菅田明則容疑者(66)=安中市安中2丁目=を知る関係者は、菅田容疑者をこう評した。富岡市長が初当選した2011年の選挙から支え、市長の民間ブレーンとして知られた存在だったという。
菅田容疑者は地元のFM局「ラジオ高崎」の社長も務める。1996年の局設立の旗を振った。社長の逮捕について局の担当者は「報道で事件を知り、状況がつかめていない」と困惑を隠せない。今月、高崎商工会議所の常議員に就任。市内の会社経営者は「アポなしで市長と面会するなど、我が物顔の振る舞いに市職員は苦り切っている。市長はなぜ徴用するのか」と話す。高崎芸術劇場の館長就任も、「なぜ市職員ではなく民間人なのか」と市役所内から批判があがったという。
地元財界関係者によると、菅田容疑者は高崎高校卒。大学を経て市内の出版社に勤務した後、1986年に市内で別の出版社を設立した。市が関係する催しの企画立案にも関わった。今年で30回目を迎えた「高崎音楽祭」は、当初から菅田容疑者を中心に進められてきた。
松浦幸雄前市長との関りも深く、市のキャッチコピーを作ったり、前市長の演説の原稿を書いたりしていたという。「影武者みたいなことをやっていた」
(張春穎、森岡航平、中村瞬)
★「市民におわび」 給料カット意向 市長★
富岡市長は19日午前11時から、臨時記者会見を開いた。高崎芸術劇場は約260億円を投じた市長肝いりの大事業。副館長として開業に尽力した佐藤容疑者はかつて市長の秘書として仕え、館長の菅田容疑者と阿久沢容疑者市長の有力支援者。市長は「市民の信頼を損なう行為でおわびする」と頭を下げた。司法当局の判断を待って自らの給料をカットする意向も示した。
また、市職員の法令順守に対する意識が不十分だとして、来月早々にコンプライアンス強化の担当部署を新設する考えも明らかにした。弁護士を顧問に、職員3人で発足させる予定。
芸術劇場への影響については「菅田館長は企画力と人脈がずば抜けていたので痛い。みんなで知恵を出していくしかない」と後任人事を急ぐ考えを示す一方、「劇場自体の評価は変わらないと思う」と自信を見せた。
(野口拓朗)
**********産経新聞2019年11月20日
芸術劇場官製談合 「音楽の町・高崎」に衝撃 芸術劇場をめぐる官製談合事件で市長が陳謝
↑高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら=19日午前3時57分、群馬県高崎市
高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら=19日午前3時57分、群馬県高崎市↑
★市長「評価されている」★
群馬県高崎市が発注した高崎芸術劇場(同市榮町)の照明備品の指名競争入札をめぐる官製談合事件で、富岡賢治市長は19日、臨時の記者会見を開いて陳謝した。群馬県警に官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された3人のうち、2人は劇場の正副館長。「音楽の街・高崎」をうたう市の新たなシンボルとして9月にオープンしたばかりの劇場のイメージダウンは避けられない。富岡市長は「劇場そのものは評価されているのに、残念」と肩を落とした。(椎名高志)
逮捕、送検されたのは、市総務部企画調整課付課長で劇場副館長、佐藤育男(50)▽「ラジオ高崎」役員で劇場館長、菅田明則(66)▽阿久沢電機(同市)社長、阿久沢茂(68)-の3容疑者。県警は19日未明に劇場や市役所などを家宅捜索した。
富岡市長が逮捕を知ったのは18日午後10時過ぎ。佐藤、菅田両容疑者について、富岡市長は会見で「劇場開設に向け、よくやってくれていただけに本当に信じられない気持ち」と述べ、「市民の行政への信頼を損なう行為で深くおわびしたい」と頭を下げた。
また、「任命権者として監督責任がある」とし、自らに報酬減額などの処分を検討していることも明らかにした。
菅田容疑者は、市が出資し、劇場を指定管理者として運営する高崎財団の副理事長も務めている。富岡市長は「企画力、人脈にずば抜けたものがあり、余人をもって代え難い存在」と高く評価していた。
佐藤容疑者は市都市集客施設整備室長を経て、今年4月から高崎財団に派遣され、劇場副館長に就任。こちらも「まじめで大変優秀な職員」(富岡市長)だったという。
劇場では20日、2020年東京五輪・パラリンピックで市がホストタウンとなるウズベキスタンの文化芸術訪問団の来日公演がある。12月には地元の高崎第九合唱団や同市出身のギタリスト、布袋寅泰さんらの公演が予定されている。
トップ2人が逮捕される事態に、富岡市長は「困ったことになったが、実務はやっていけるよう人事面を含めて対処したい」と述べた。
阿久沢容疑者は高崎観光協会理事長、高崎商工会議所副会頭などの肩書きを持つ。同時に「富岡賢治後援会連合会」では幹事長を務める大幹部で、富岡市長との関係は深い。
富岡市長は「ビジネスで(談合を)やる人ではない。バランスの取れた人だけに残念」とし、「後援会での役職は離れてもらう」と語った。
事件を重く受け止め、富岡市長は12月にも市にコンプライアンス室を設置する考えを明らかにした。「行政運営のさまざまな場面で法令の解釈が必要になってきた時代に、審査や相談窓口となる組織をつくる」のが狙い。弁護士をトップに数人の職員を配置するという。
**********読売新聞2019年11月20日
高崎芸術劇場 市課長予定価格漏らす
官製談合疑い、館長らも逮捕
9月にオープンしたばかりの高崎芸術劇場を舞台に、高崎市職員と業者の不透明な関係が浮上した。市が発注した劇場の照明備品の入札で予定価格を業者に漏らしたとして、県警は18日より、劇場の館長、副館長で市課長級職員の男ら3人を官製談合防止法違反などの容疑で逮捕した。課長級職員と共に逮捕された2人は、富岡賢治市長の後援団体に所属し、側近としても知られていた。
逮捕されたのは、館長で公益財団法人「高崎財団」副理事長の菅田明則(60)(安中市安中)、副館長で市総務部企画調整課付課長の佐藤育男(50)(高崎市大八木町)、市内の電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂(68)(同市江木町)の3容疑者。
県警の発表によると、3人は共謀し、市が発注した劇場の照明備品購入の市営競争入札で、佐藤容疑者が職務上知り得た予定価格6264万円を、菅田容疑者を通じて阿久沢容疑者に事前に漏らし、今年1月、同社に6134万円で落札させた疑い。3人の認否は明らかにしていない。
県警によると、この入札には13社が参加。阿久沢電機は卸業者として「ムービングライト」と呼ばれる証明備品32台を納め、設置も請け負った。佐藤容疑者は当時、劇場整備を担当する部署の室長で物品の請求書の作成、審査などを担い、積算価格を把握できる立場にいた。4月からは高崎財団に出向し、菅田容疑者の下で副館長に就いていた。
一方、富岡市長の後援会事務所によると、菅田、阿久沢容疑者はそれぞれ、後援会連合会の会長顧問、幹事長で、ともに資金管理団体の幹事でもあった。地元経済界でも知られており、菅田容疑者はラジオ高崎の社長で高崎観光協会の副理事長を務める。阿久沢容疑者は県電設協会会長として2017年秋、業務に精励し模範となる人に贈られる褒章も受けていた。佐藤容疑者を含めて高崎高校OBで、阿久沢容疑者は今年1月から同総会長を務めている。
県警は19日、芸術劇場など関係6か所を捜索した。市本庁舎には午前4時前、捜査員約50人が入り、約4時間にわたり捜索。資料を入れた段ボール箱を運び出した。県警は同日午後、3人を前橋地検に送検した。
★「監督責任ある」 市長が会見★
富岡市長は10日、緊急の記者会見を開き、「市民の信頼を損なう行為で、深くおわびしたい」と謝罪した。捜査の進展を待って自身の報酬カットを含む関係者の処分を行う考えも示した。
高崎芸術劇場の館長に後援会幹部でもある菅田容疑者を起用したことについて、富岡市長は「監督責任は(自分に)ある」と認めた。菅田容疑者については「発想や企画力、神武悪がずば抜けている」、同じく後援会幹部の阿久沢容疑者についても「バランスの取れた人物」と、いずれも高く評価していたことを明かした。
★市民や劇場関係者 不信感や驚きの声★
「音楽のある街」の新たな顔である高崎芸術劇場が官製談合事件の舞台となったことに、高崎市民や劇場関係者は大きなショックを受けている。
19日、オーケストラ公園のチケット購入で販売窓口を訪れた主婦(56)は「立派なコンサートホールができて、有名なアーティストも来るのに……。こういう不祥事は許せない」と憤り、併設のカフェに来た藤岡市の男性会社員(64)も「ほかにも悪い話があるのではないか。疑ってします」と不信感をあらたにした。
同劇場を新たな活動拠点としている群馬っ交響楽団の広報担当者も、館長や副館長の逮捕を知って驚いたという。ただ、公園の変更・中止はないといい、「私たちは変わりなく演奏を届けていきたい」と話した。
<高崎芸術劇場>
地上8階、地下1階建て。2030席の大劇場、県内初の本格的音楽専用ホール、ロックや現劇などに幅広く使えるスタジオシアターの3ホールがある。群馬交響楽団の活動拠点でもある。高崎市が約260億円をかけて整備し、指定管理者の高崎財団が運営している。
**********テレ朝2019年11月20日
高崎芸術劇場談合請け市が専門家交えた新部署設置へ
群馬県高崎市の高崎芸術劇場の館長らが官製談合の疑いで逮捕された事件を受け、高崎市は法令順守のために弁護士など専門家を交えた新たな部署を設ける考えを明らかにしました。
高崎芸術劇場を巡っては、市が発注した劇場の照明などの入札予定価格を漏らして入札を妨害したとして、官庁の菅田明則容疑者(66)と副館長の高崎市の職員・佐藤育男容疑者(50)ら3人が逮捕されました。事件を受けて高崎市は今後、同様の事件が起きないよう外部の弁護士などを交えて新しい部署を設けることを検討しているということです。
**********東京新聞2019年11月20日
【群馬】高崎芸術劇場 官製談合疑い 市長の「側近」逮捕に衝撃
県警、劇場や市庁舎を家宅捜索
高崎市の高崎芸術劇場の照明整備を巡り、官製談合防止法違反などの疑いで同市職員と館長の「ラジオ高崎」役員、市内の電気工事会社の社長が十八日夜に逮捕された事件。九月に華やかにオープンした同劇場や市庁舎に十九日、県警が家宅捜索に入る事態となり、市関係者に衝撃が広がった。館長は、富岡賢治市長が能力を高く評価し抜てきした「側近」で、社長は市長の有力な後援者の一人。こうした関係に「現市政を支える中で関係を深めた」と指摘する声もある。 (石井宏昌、市川勘太郎)
↑佐藤育男容疑者↑
照明の入札予定価格を漏らした容疑で逮捕された市企画調整課付課長の佐藤育男容疑者(50)は二〇一七年度に市都市集客施設整備室長となり、劇場整備などを担当。市によると、劇場の照明備品の入札予定価格を漏らしたとされる今年一月は、整備の実務を担う中心的存在だった。四月、指定管理者として劇場を運営する高崎財団に派遣され、副館長に就任。劇場の予算などの事務を担当していた。
↑菅田明則容疑者↑
館長の菅田明則容疑者(66)は市など出資のラジオ高崎の代表取締役社長で高崎財団の副理事長。市の文化事業などに関わり、企画力と人脈を高く評価した富岡市長の意向もあり昨年十二月に館長に就任した。
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↑落札した阿久沢茂容疑者(本人のフェイスブックから)↑
電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)は富岡市長の後援会連合会の幹事長。高崎商工会議所の副会頭など商工団体の要職に就く。高崎観光協会では同容疑者が理事長、菅田容疑者が副理事長を務める。
菅田、阿久沢両容疑者は富岡市長を政策面や後援会活動などで支える存在で、佐藤容疑者は劇場の整備、運営で菅田容疑者を補佐する立場としてそれぞれ関係を深めたとみられる。三人とも地元の高崎高校OBという共通点もあった。
富岡市長の支援者の一人で、市の政財界を知る関係者は「(菅田容疑者は)前市長の時代から市の施策に関わっていたが、富岡市長になって重用された。優秀だが、芸術劇場への関与には市や経済関係者から『少しやり過ぎでは』という声も聞いた。逮捕には驚いたが『やはり出たか』という思いもある」と話した。
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法令順守専門部署 設置へ
事件受け市長が謝罪
富岡賢治市長は十九日、市役所で記者会見し「信じられない気持ちだが、市民の行政に対する信頼を損なう行為で、市民に深くおわびしたい」と頭を下げた。「コンプライアンス(法令順守)に対する取り組みが甘かったという反省がある」と述べ、法令順守に取り組む専門部署を十二月にも設置する考えを示した。
市長は、佐藤容疑者を「まじめで大変優秀な職員」、菅田容疑者は「企画力や人脈にずばぬけていた」と高く評価し「登用したことは正しかったと思う。それだけに残念だ」と語った。その上で「コンプライアンスの意識が薄かったのかもしれない」と述べ、弁護士を含めた法令順守対策の部署を設置する。今後、佐藤容疑者に加え自身も「実質的な任命権者、監督責任者として重く受け止めている」と述べ、処分を受ける必要に言及した。後援会幹部の阿久沢容疑者の逮捕には「今後きちんと脇を固めていく」と語った。
高崎芸術劇場は市が二〇一六年から約二百六十億円をかけて整備。地上八階、地下一階で、約二千席の大劇場などがある。市は「音楽と舞台芸術の殿堂」としてアピールしてきた。今回の事件でイメージダウンが懸念され、市長は「大変残念だが、劇場の内容に瑕疵があったわけではないので、市民に理解してもらえると思う」と話した。
**********NHK Web News 2019年11月19日18時14分
談合事件 落札率98%で受注
群馬県高崎市が発注した劇場の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を業者に漏らして落札させたなどとして、高崎市の課長と業者の社長ら、合わせて3人が官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された事件で、業者は落札率およそ98%の価格で受注していたことが分かりました。
警察は詳しいいきさつや、3人の関係などを調べています。
逮捕されたのは、高崎市総務部の課長で「高崎芸術劇場」の副館長の佐藤育男容疑者(50)と「高崎芸術劇場」の館長の菅田明則容疑者(66)、それに高崎市内の業者の社長の阿久澤茂容疑者(68)の3人です。
警察によりますと、佐藤課長は高崎市の都市集客施設整備室長だったことし1月ごろ、高崎市が発注した「高崎芸術劇場」の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を菅田館長を通じて阿久澤社長に漏らしたなどとして、官製談合防止法違反などの疑いがもたれています。
3人は19日、検察庁に身柄を送られましたが、警察はいずれも認否を明らかにしていません。
警察のその後の調べで、照明の予定価格は5800万円だったのに対して、阿久澤社長の業者は5680万円で受注し、落札率は97.9%だったことが分かりました。
警察は詳しいいきさつや、3人の関係などを調べています。
事件を受けて高崎市の富岡賢治市長は19日、記者会見を開き、市民に謝罪するとともに職員の法令順守を徹底するための対策室を新たに設置する方針を明らかにしました。
この中で富岡市長は「市民の行政への信頼を損なう行為で、とても信じられない思いだ。市民の皆様にご迷惑をかけたことをおわびしたい」と述べました。
高崎市によりますと、佐藤容疑者は高崎芸術劇場で予算などの事務を、また菅田容疑者は公演の企画立案などを担当していたということです。
また、会見で富岡市長は今後、市の職員でもある佐藤容疑者に対する処分を検討するほか、市長自身も何らかの処分を受ける必要があるという考えを示しました。
そのうえで富岡市長は、来月1日付けで外部の弁護士などから成るコンプライアンスの対策室を新たに設置し、職員の法令順守を徹底する方針を明らかにしました。
「高崎芸術劇場」は高崎市が平成28年から総額およそ260億円をかけて建設し、ことし9月20日にオープンしました。
JR高崎駅の東口と専用の歩道でつながっていて、地上8階、地下1階建てで、延べ床面積は2万7000平方メートルあり、3つの劇場を備えています。
オープンを記念して、メインの「大劇場」では高崎市に拠点を置く「群馬交響楽団」がベートーベンの交響曲、「第九」を演奏し、市民が合唱しました。
メインの「大劇場」は2030人の観客を収容でき、舞台は間口が28メートル、奥行きが18メートルと国内最大級の広さで、音響効果を生かすため壁が波打つようにデザインされています。
これらの劇場では、オーケストラのコンサートのほか、大がかりな舞台演出が必要なオペラやミュージカルも上演でき、まちの活性化の起爆剤になることが期待されています。
オープンに先立って9月13日に報道関係者を対象に行われた内覧会で「高崎芸術劇場」の佐藤育男副館長はNHKの取材に対し「多彩なジャンルのコンサートを発信し、国内だけでなく世界からも足を運んでもらえるようにしていきたい」と述べていました。
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■筆者も今回逮捕された3名の容疑者と同じく高崎高校のOBで、とくに阿久沢茂容疑者とは同期生であり、高校3年の時は同級生でした。今年1月26日に開かれた高崎高校同窓会総会と同期会にも出席し、同容疑者が同総会長に選出された瞬間も目の前で目撃しており、そのあと行われた同期会でも同容疑者の同総会長就任を祝いました。
筆者は、2003年以降、同期会開催日に日本にいる場合はほとんど同窓会総会と同期会に出席してきました。同容疑者は2003年の時は既に同期会の幹事役として活動しており、高校時代からやっていたサッカーを依然として続けていること、また、音楽としてはサキソフォンの名手で、バンドを組んで演奏会を行っていることを知り、多芸多才な一面に驚かされました。
そのうえで、大正8年創業の家業の電気設備事業会社を先代から引き継ぎ、社員15名を擁してこれまで営々と操業して社業を発展させてきたのは、社会的な信頼を得ていたからに相違ありません。
ではなぜ、急転直下、このような状況になったのでしょうか。
↑2019年1月26日16:42、第117回群馬県立高崎中学校・高崎高等学校同窓会総会後の懇親会で、新会長として800名余りの参加者を前に挨拶する阿久澤茂容疑者。同期のまとめ役として長年多大な貢献をしてきた。↑
↑同16:48、同窓会総会後の懇親会で挨拶する富岡賢治・高崎市長。↑
↑同日19:11、同窓会総会・懇親会の後、高崎市内で開かれた同期会の宴もたけなわになったころ、ひょっこり現れた橋爪洋介・県議(前議長)を紹介する阿久澤容疑者。橋爪家と阿久澤家は先代から親交があったという。↑
↑同日19:18、橋爪議員が去って5分後、入れ替わるように現れた富岡市長。同期には県庁や高崎市等の公務員OBも多く、お酌を求める手が弾む。同様に、僅か2分で隣の宴会場に向かっていった。↑
■同容疑者は、同期会の際に、後半になると、必ず富岡市長を呼び寄せて参加者に紹介します。これはもう、数年来になるので、富岡市政が始まって間もなくの頃からだと記憶しています。
最初に、同容疑者が幹事の立場で、富岡市長の講演会への顔出しを同期会参加者に勧めたことがありました。筆者は当初、「富岡市長」というので、なぜ高崎市在住なのに、富岡市の市長と懇意にしているのか、何か特別な縁でもあるのかな、と思ったほどです。
正直なところ、このような同期の親睦会の責に、唐突に政治家が表れて、挨拶を受けることに違和感を覚えるのは事実です。過去には国会議員の上野公成が現れ、ビールの差し入れがありました。よく考えれば、これは公選法違反を問われかねない行為ですが、筆者を含め誰も違反行為を指摘しませんでした。
■今回逮捕された菅田容疑者は、安中市に自宅があるそうですが、同容疑者をよく知る婦人は「たいへん腰が低くよく話を聞いてくれる人だ」と絶賛しており、なぜこんな事件に絡んだのか、と不思議がることしきりでした。
筆者も、阿久沢被疑者については、前述のとおり長い付き合いの為、まさか、このような事件に関与するとは想像もつきませんでした。
なぜなら同容疑者が経営する阿久沢電機の先代社長は、東大卒業後、郷里でやはり家業に従事し、堅実経営をモットーに事業を営み、その結果、阿久沢家として、土地など豊富な資産を保有していたとされています。同容疑者もそれを継承していたことから、今回の事件の報道にあるような、自ら予定価格を知ろうと、同窓でもある市職員に接近したということは、俄かには信じがたいのも事実です。
むしろ官製談合と報じられている通り、官側からの予定価格のリークがあったとみるべきだと思います。もっとも、今回13社も応札があり、その中で、落札率98%近い効率で落札できたとなると、各社がどのような価格で札を入れたのか、入札調書でぜひ確認しておきたいところです。
■ところで、今回の官製談合の調達対象物となった備品は、ムービングライト32台とあります。ムービングライトとは、色彩・光量・光の方向を、コンピュータによる遠隔操作で高速かつ自在に制御するスポットライトのことで、ヨーク型(ロボットアームで灯具自体を動かす)とミラースキャン型(固定した灯具からの光を可動式反射鏡で制御する)があり、光源には、キセノンランプや白熱電球が使われるようです。
コンサートや演劇の舞台、テレビスタジオなどで多く使われるため、現代の照明演出において、欠くことのできないデバイスとなっています。従来の一般照明と呼ばれる灯体では、一つのライトが一つの演出効果しか生み出せませんでしたが、ムービングライトは一台でさまざま色の変化や多種多様の演出効果をもたらすことが可能なのが特徴とされています。
しかも、事前にプログラミングすることで、仕込調整における時間の短縮を実現し、出演者の場当たりやリハーサルに使える時間を従来より多く取れるというメリットがあるためなのでしょうか、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしていると報じられています。
加えて高崎市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされており、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたという見方がされていると報じられています。
となると、フィクサーは菅田容疑者ということなのでしょうか。市職員の佐藤容疑者は市長の覚え目出度い菅田容疑者からの依頼だとして、抗しきれず、あるいは喜んで、予定価格の漏洩に加担したのでしょうか。また、阿久沢容疑者は、同窓会トップとして、後輩たちの「気配り?」あるいは「忖度?」の結果、予定価格を受動的に知ったのでしょうか。
しかし予定価格を事前に知っても、入札が不特定多数の業者間で札入れが行われれば、価格を下げるしか受注の道は開けないはずです。
■こうした数々の疑問は、容疑者とされた当事者から真相を聞くしかありませんが、次善の方策として高崎市に対して情報公開請求により地道に関連情報を入手することになりそうです。
↑2018年3月17日18時から、高崎市内で開かれた「阿久沢茂君の黄綬褒章を祝う仲間の会」で、50名ほど集まった同期生の仲間を前に挨拶する阿久沢容疑者。まさに絶頂期であった。↑
【市民オンズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報
**********毎日新聞2019年7月31日
ぐるっと首都圏・母校をたずねる
群馬県立高崎高校/9止 伝統を次世代につなぐ 高崎観光協会理事長・阿久澤茂さん /東京
↑阿久澤茂さん=群馬県高崎市問屋町2で↑
阿久澤茂さん=1970年度卒
高崎観光協会理事長で会社社長の阿久澤茂さん(67)=1970年度卒=は群馬県立高崎高(高高(たかたか))の同窓会長を務めています。高校入学と同時にサッカー部に入り、2年生で国体初出場を果たしました。卒業後もサッカーを続けています。同窓会では、若い人の意見も取り入れながら、先輩たちの築いてきた伝統を次世代に引き継いでいくことに意欲を燃やしています。【増田勝彦】
サッカーとの出会いは64年の東京オリンピックです。中学1年の時で、東京のおばの所に行き、駒沢陸上競技場での試合を見て興味を持ちました。私が通った高崎市立第二中にはサッカー部がなく、高高に入学して早速入部しました。
サッカー部のある中学から来た新入生は、入学前の春休みから練習に参加し、力に差があったと思います。それでも、たいへんだったと感じたことはありませんでした。
当時、実業家の井上房一郎さん=15年度卒=が、サッカー部を応援してくれていました。試合が終わると、部員を自宅に招き、出前のカツ丼を全員にごちそうしてくれました。
また、サッカーを知る先生がいなかったので、夏休みや週末に現役の慶応大サッカー部員だった奥村竜昭さんを呼び、コーチをしてもらいました。最先端の練習法や戦術など、いろいろなことを教えてくれて、サッカーがさらに楽しくなりました。奥村さんとは今でも付き合いが続いています。
インターハイを終えて3年生が引退し、1年の秋から試合に出させてもらいました。キャプテンだった2年の時は福井国体に初出場しました。
進学した同志社大工学部は講義が多く、体育会サッカー部との両立は無理で、サッカー同好会に入りました。関西の大学同好会リーグがあり、常に優勝を争っていました。卒業後は、東光電気工事に勤め、家業の会社を継ぐため、79年に高崎に戻りました。
高崎では、高高サッカー部OBチーム「翠巒(すいらん)サッカークラブ」で30代半ばまでプレーしました。40代半ばからは群馬シニアリーグの「FC西毛」でプレーを再開、2017、18年に監督も務めました。
高高在学中は、素晴らしい人々に恵まれた環境だったとわかりませんでした。今になって振り返ると、自分の人生観をしっかりと持っている人ばかりでした。先輩は有形無形に私をかわいがってくれ、同級生は応援してくれ、後輩は慕ってくれます。だから人間関係がつながっているのでしょう。
1月に同窓会長に選ばれましたが、歴代、素晴らしい方ばかりで、気後れしています。同窓会の総会は今年48歳になる卒業生が当番を務めます。一時期は同窓会に出席する人が少なかった若い人たちも、最近は結構参加してくれます。先輩たちが築いてきた伝統を、次の世代につないでいくのが同窓会の役割です。
伝統を重んずるだけでなく、若い人たちの意見も取り入れ、やりやすいような方策を考えていきたいと思っています。
★OBらの寄付で奨学金給付★
↑翠巒育英会の定款=群馬県高崎市八千代町2で↑
群馬県立高崎高には、同窓会で組織する「翠巒(すいらん)育英会」の奨学金制度がある。OBらの寄付で運営され、返済義務はない。1985年の設立からこれまでに142人が、月額1万円の給付を受けている。
同高野球部が81年春のセンバツに初出場し、OBらから1億円余の寄付金が集まった。大会後に残った寄付金の一部3000万円を委託された同窓会は基金を作り、全国大会に出るクラブへの補助金として活用された。
さらに「経済的に厳しい生徒の支援に」と奨学金制度が始まった。「地域からの寄付」との位置づけで、他高の生徒22人にも奨学金が給付された。低金利時代で利息が期待できなくなり、OBからの年間200万円以上の寄付で運営が続けられている。
奨学金制度が始まった年に入学した静岡大教授、佐々木哲朗さん(50)は「返済が必要な日本育英会の奨学金は月額9000円。そんな中での1万円はありがたかった。最近日本育英会の返済が終わり、翠巒の36万円の重みを改めて感じた」と話す。経済的な理由で若い人たちの可能性を狭めてはいけないと、給付額の倍の72万円を寄付している。
■人物略歴
あくざわ・しげる
1951年生まれ、高崎市出身。同志社大工学部卒。東光電気工事を経て、阿久澤電機に入社、90年から社長。現在、群馬県電設協会長、高崎観光協会理事長、高崎商工会議所副会頭などを務める。今年1月から高崎高同窓会長。
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↑2019年1月26日(土)15:47、第117回群馬県立高崎中学校・高崎高等学校同窓会における役員改選で、満場一致で新会長に選任され、挨拶する阿久澤茂容疑者。この10カ月後、逮捕送検されるとは誰一人予想し得なかった。筆者もいまだに半信半疑。真相をぜひとも語ってもらいたい。↑
さらに噴飯モノなのは、今回の官製談合事件を受けて、来月12月に、弁護士を顧問にして、職員3人による「コンプライアンス室(仮称)」を設置すると、11月19日に市役所で開いた緊急記者会見で発表したことです。ほとんど無法状態も同然の高崎市政であり、いまさら、という感のコンプライアンスですが、弁護士に、例えば、仮に富岡市長と同窓の長井友之弁護士(たかさき法律事務所)を顧問に迎えた時には、いったいどうコンプライアンスを担保するつもりなのでしょうか。同弁護士については、弁護士会に懲戒請求を出したこともある当会としては、富岡賢治市長が、どのような弁護士を顧問に起用するのか、大きな関心事です。
■それでは、本日11月20日のこの事件の報道記事を見てみましょう。
**********上毛新聞2019年11月20日
官製談合疑いで3容疑者逮捕 オープン直後 高崎芸術劇場に激震
↑(上)高崎芸術劇場から段ボールを運び出す捜査員=19日午前5時50分ごろ (下)高崎市役所から段ボールを運び出し、車に積み込む捜査員。約50人態勢で行った=19日午前7時45分ごろ↑
↑職員らの逮捕を受け、記者会見する富岡賢治高崎市長(中央)ら↑
群馬県高崎市の文化施設「高崎芸術劇場」で使う照明設備の同市発注の指名競争入札に際し、予定価格を漏らしたなどとして、群馬県警捜査2課と高崎署は19日までに、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、高崎財団副理事長の菅田明則(66)=安中市安中=ら3容疑者を逮捕した。県警は同日、市役所や同劇場、高崎財団など関係先を家宅捜索し、資料などを押収。詳しい犯行の経緯や3人の関係性などを詳しく調べている。高崎市長の側近3人の逮捕劇は、関係者に衝撃を与えた。(一部地域既報)
◎
ほかに逮捕したのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町=両容疑者。
3人の逮捕容疑は共謀して1月ごろ、同劇場の照明設備の備品購入を巡り、同社に落札させようとして予定価格5800万円(税抜き)を漏らし、5680万円で落札させて入札の公正を害した疑い。県警は3人の認否を明らかにしていない。
県警によると、備品は劇場に使用されるムービングライト32台。市内の電気工事関係の13業者による指名競争入札で市が発注した。
3人はいずれも高崎高のOB。菅田、阿久沢両容疑者は長年の知人とされ、佐藤容疑者も菅田容疑者と親しい仲だったという。
捜査関係者らによると、3人は大筋で容疑を認めているといい、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしているという。
市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされ、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたとみられる。
【激震 高崎官製談合 -上-】
「市民の信頼損なう行為」
席についた富岡賢治市長の目はうつろで、いつになく言葉は弱弱しかった。高崎芸術劇場館長や市課長ら3人の逮捕から一夜明けた19日の記者会見。落胆の色を隠せない様子の富岡市長は「(3人の容疑が)事実であればよくないこと。行政に対する市民の信頼を損なう行為であり、深くおわびしたい」と頭を下げた。
◆順法意識薄く
事件の一員にコンプライアンス(法令順守)の意識が薄かったことを挙げ、外部の弁護士をトップに置く「コンプライアンス室(仮)」を12月にも創設する意向を示唆。任命責任を認め、自身への処分も検討していることを明かした。
信頼を寄せていた側近に裏切られた形だ。富岡市長は初出馬した2011年の市長選を控え知り合った菅田明則容疑者を「企画力と人脈がずばぬけている。アイデアマンであり、アーティスト」と評価。雌雄施設の管理運営を担う高崎財団の副理事長に登用し、同劇場の館長を依頼した。
民間出身のやり手社長がトップからの〝お墨付き〟をもらったことで、存在感はさらに強まった。ベテラン市議の一人は、社長を務めるラジオ高崎など菅田容疑者の関わる企業が市からの仕事を受けるケースが増えている印象を受けるという。
◆絶対の影響力
「菅田さんに話を通さなければ仕事を受けられないという話も聞く。天の声である彼の頼みを一職員が逆らえるはずがない」と同市議。
一方、市課長の佐藤育男容疑者は富岡市長の秘書を務めていたこともあり、富岡市長は「仕事の処理が早く、確実でしっかりしている。人柄もいい」として同劇場副館長を任せた」という。
同劇場は文化や芸術を発信する施設として、市が約260億円を投じてJR高崎駅東口に整備し、9月に開館したばかり。ある市職員は「誘客に向けてこれからという時で、最悪のタイミング」と肩を落とす。
会見で何度も「残念」という言葉を使った富岡市長。同劇場や高崎アリーナの建設を推し進め、どのようなイベントを開催するのかと言った企画を一手に担っていた菅田容疑者や、自身の後援会幹部の阿久沢容疑者の逮捕によって今後の施策にどこまで影響が出るのか。4月の市長選で24年ぶりの無投票で3選した富岡市政が、揺れ動いている。
◇
3期目の富岡市政に激震が走った。市の中枢を担っていた側近3人が逮捕されるという非常事態に、県内最大都市の高崎市は、今度も魅力を高めていくことができるのか。影響は計り知れない。(次回から社会面)
=====社会面1=====
菅田容疑者ら3人送検 高崎官製談合
↑(左)うつむいて送検される菅田容疑者=19日午後1時すぎ、前橋署 (中)硬い表情で送検される佐藤容疑者=19日午後0時40分ごろ、高崎署 (右)前橋地検に向かう車内でかがみ込む阿久沢容疑者=19日午後1時ごろ、前橋署↑
「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反などの容疑で逮捕された高崎財団副理事長、菅田明則容疑者(66)=安中市安中=ら3人は19日の送検時、硬い表情を崩さなかった。
他に送検されたのは、高崎市課長で同劇場副館長の佐藤育男(50)=高崎市大八木町=と、阿久沢電機社長の阿久沢茂(68)=同市江木町の両容疑者。
佐藤容疑者は同日午後0時40分ごろ、高崎署を車で出た。灰色スエット姿で表情を変えず、少しうつむいた様子だった。
菅田、阿久沢両容疑者は同日午後1時ごろ、前橋署から送検された。菅田容疑者は黄緑色ジャージー姿でややうつむき、目を伏せていた。阿久沢容疑者は顔を隠すようにかがみ込んでいた。
★3人を知る関係者 菅田容疑者「面倒見良い人」 佐藤容疑者「仕事は献身的」 阿久沢容疑者「人まとめる力」★
菅田明則容疑者は出版社勤務などを経て都市開発やまちづくりなどの企画課医者、グラスロード社を高崎市で創業した。1997年開局の県内初のコミュニティFM放送局、ラジオ高崎の創設に参画するなどして、松浦幸雄前市長時代から市政での存在感を高めていった。
2015年5月にラジオ高崎社長となり、同年以降、市のスポーツ・文化施設を管理する高崎財団(旧名・市文化スポーツ振興財団)の副理事長として、富岡賢治市長の最側近の立場を確立。「市内のイベントはほぼ取り仕切っていた」(市内の業者)という。
菅田容疑者を知る人からは「面倒見の良い人だった」「私利私欲がない印象」との評価がある一方、富岡市長の支持者の間でも手法を嫌って菅田容疑者と距離を置く人がいたという。
佐藤育男容疑者は1992年に市職員に採用され、秘書課や文化課、同財団派遣などを経て、2017年4月から2年間、都市集客施設整備室長として高崎芸術劇場建設の実務を主導した。9月の劇場開館を前に再び財団に派遣され、副館長となった。
仕事ぶりは真面目で献身的だったとの評価の一方、犯行に際し、「頼まれて断れなかったのではないか」と推し量る声もある。
阿久沢電機(同市問屋町)の社長、阿久沢茂容疑者は、市内の電気工事業界で長く中心的な役割を果たす企業のトップとして信頼を得ていた。市内業者からは「人をまとめる能力があった」との声が聞かれた。市サッカー協会理事長も務めていた。
★富岡賢治市長の記者会見★
「任命、監督責任ある」
―今回の事件をどう受け止めるか。
大変驚いた、職員も高崎財団の役員も、高崎芸術劇場の創立に大変献身的に頑張っていたので信じられない気持ち。深くおわびする。コンプライアンス(法令順守)への取り組みが甘かったと反省している。市役所内部に外部の弁護士をトップに置き、「コンプライアンス室」を設けたい。
―菅田容疑者はどのような人物なのか。
劇場の企画を中心でやっていた。企画力と人脈がずばぬけている。市長選に出る9年半前に紹介してもらった。癖のある人だから、いろいろ評価があったが、私は買った。仕事ぶりは余人をもって代えられない。
彼の存在は大きくなっていることは事実。劇場に有名人を呼ぶのに彼の人脈を使っている。週1回くらい会っていた。館長は財団の中で決めるが、事実上、私がお願いする。私にも任命責任と監督責任がある。
―菅田、阿久沢両容疑者は市長の政治活動にも関わっている。
脇をきちっと固めていくべきだと思う。阿久沢さんはバランスの取れた人。会社の経営状況はよいはず。
―佐藤容疑者の仕事ぶりは。
8年前くらいに私の秘書をやっていた。大変優秀で真面目な人。信じられない気持ち。
―予定価格を漏らしてはいけないのは当たり前ではないのか。
基礎基本で知っていると思う。私は工事とは備品の購入は地元の会社を使えという方針を出している。どこの会社にしろとかは一切言わない。今回のムービングライトは東京にしかなく、いくらで買えるのか分からない。業者に見積もさせる。その時に予算に収まらないと、もっと安くならないの、なんて会話をする。その時に役所はいくらまで出すと言っているの、という会話になると思う。公共事業の時に見積もり合わせをやる。芸術劇場は240億円と議会で決まり、びた一文増やさなかった。予算の範囲内でやるわけだから、担当者は苦労する。今回はどういう会話があったのか分からないが、法令について組織できちっとやっていないと反省した。
―劇場は館長と副館長がいない状況。
速やかに事務ができるよう、人事含めて対処する。
―市長も含め、3容疑者全員が高崎高OBだ。
関係ない。同窓生だからという理由で仕事することはまずないと思っている。
―談合防止の対策は。
手続き的に瑕疵は一つもない。
―自身の処遇は。
考えざるを得ない。報酬カットは覚悟している。
=====社会面2=====
新劇場 衝撃と困惑
1週間連絡取れず 今後も業務粛々と 他にもあるのでは
9月に開館したばかりの高崎芸術劇場(高崎市)の備品購入を巡る官製談合事件の摘発から一夜明けた19日、市内の各階に衝撃が広がった。官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された菅田明則、阿久沢茂の両容疑者は、市内の各種団体の役員を務めるなど有力者として知られていた。芸術発信の拠点として期待される劇場を舞台とした事件に、市民は困惑の声を上げた。
阿久沢容疑者は昨年6月から高崎商工会議所の副会頭を務め、任期満了に伴う改選で今月再任されたばかり。副会頭は計4人で、複数の部会や委員会を分対する。同会議所の担当者は「副会頭は出席すべき会議が多い。(阿久沢容疑者を除く)3人ではとても対応できない」と頭を抱える。
1月には高崎高同総会長にも就任した。同容疑で逮捕された市課長の佐藤育男容疑者を含む3人はいずれも同校OB。同窓会は19日、緊急の役員集会を開き、会長代行を設ける方針を確認した。ある幹部は「この1週間ほどは会長と連絡が取れなかった。立派な方で、逮捕と知って驚いた」と戸惑った様子だった。
高崎観光協会は阿久沢容疑者理事長、菅田容疑者が副理事長を務めている。トップ2の逮捕という事態を受け、吉井秀広専務理事は「非常に残念。今後の態勢はまだ決まっていない。協会の業務を粛々と進めるしかない」と話した。
新しい劇場に期待を寄せる市民は落胆した。12月の演奏会チケットを購入した女性(68)は「音響の良いホールができたと聞いて楽しみにしていたのに。こういう事件があると、他にもあるのではないかと疑ってしまう」と話した。10月に劇場を訪れた40代の男性会社員は「素晴らしいホールで感動したばかりだった。ただ、市民の宝であることには変わりない。今後は良い運営をしてほしい」と話した。
劇場を拠点とする群馬交響楽団の薮原博専務理事は「本拠地を新しいホールに移し、聴衆からのいい音を期待されている。今後もいい音楽を届けることに変わりはない」と冷静に振舞った。
★市役所や劇場 家宅捜索 入札資料を押収★
「高崎芸術劇場」の備品購入を巡る官製談合事件。県警は19日、高崎市役所をはじめ、事件の舞台となった同劇場など複数個所を家宅捜索した。入札に関わる資料などを押収し、事件の全容解明を目指す。
高崎市役所の家宅捜索は午前3時50分ごろに始まった。捜査員約50人が続々と庁舎に入り、物々しい雰囲気。入札を担当する契約課などを調べたとみられる。捜索は市職員が出勤する午前8時ごろまで続いた。
JR高崎駅東口にある同劇場には午前3時55分ごろから捜査員約20人が立ち入り、約2時間にわたって捜索を実施。その後、関係資料など段ボール6箱を運びだした。
他に3容疑者の自宅や電気工事会社「阿久沢電機」なども捜索した。
**********毎日新聞2019年11月20日 08時44分(最終更新 11月20日 09時54分)
高崎芸術劇場の設備巡り官製談合疑い 市課長、館長ら3人逮捕
↑高崎芸術劇場=高崎市栄町で、2019年11月19日午前9時58分、増田勝彦撮影↑
↑高崎市役所の家宅捜索を終え、押収品を運び出す県警捜査員=高崎市高松町で、2019年11月19日午前7時47分、増田勝彦撮影↑
高崎市が発注した高崎芸術劇場の照明設備の入札予定価格を業者に漏らしたとして、群馬県警捜査2課などは18日、同劇場正副館長ら3人を官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕した。県警は19日、市役所や同劇場などを捜索、3人を前橋地検に送検した。今後、事件の全容解明に向けて捜査を進める。【神内亜実、増田勝彦】
逮捕・送検されたのは、同劇場副館長で高崎市総務部企画調整課付課長の佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=と同劇場館長で公益財団法人「高崎財団」副理事長の菅田明則容疑者(66)=安中市安中、電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町。
逮捕容疑は、3人が共謀し今年1月ごろ、同市発注の同劇場の舞台照明の指名競争入札で、当時劇場整備を所管する市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者が入札予定価格5800万円(税抜き)を菅田容疑者に漏らし、同月24日実施の入札で阿久沢容疑者に予定価格に近い5680万円(同)で落札させた、としている。県警は3人の認否を明らかにしていない。
県警によると、入札には13社が参加。予定価格は非公開で市内の電気工事会社が指名されていたという。県警は阿久沢容疑者から予定価格の教示を依頼された菅田容疑者が、佐藤容疑者から価格を聞き出し、阿久沢容疑者に伝えたとみている。
県警は3人の詳しい関係性や金銭授受の有無についても捜査を進める。
★市長ら幹部に衝撃 法令順守へ来月新組織★
高崎芸術劇場のオープンからわずか2か月で、同劇場正副館長ら3人が官製談合防止法違反容疑などで逮捕された。総工費約260億円で、国内屈指の音響設備を備えた同劇場。これから世に売り出そうとした矢先の事件発覚に、高崎市幹部は大きなショックを隠せなかった。
事件を受けて19日に記者会見した富岡賢治市長は「信じられない。事実ならば、行政への信頼を損なう行為で、おわびしたい」と頭を下げた。そして法令順守面の市の態勢不備を認め、12月にも弁護士を入れた「コンプライアンス室」の設置を表明した。
同劇場は9月20日にオープンしたばかり。
佐藤育男容疑者は、同劇場整備担当の市の都市集客施設整備室長を2017年4月から努め、今年4月からは同劇場指定管理者「高崎財団」に派遣され、劇場事務方トップの副館長に就任した。
菅田明則容疑者は、15年6月から高崎財団副理事長、18年12月には同劇場初代館長にも就任。市が筆頭株主のラジオ高崎社長も務めており、その経歴から劇場の事業・企画を取り仕切る立場だった。
一方、阿久沢茂容疑者は、高崎商工会議所副会頭なども努め、富岡市長の後援会連合会の幹事長でもある。富岡市長は「後援会の役職は離れることにあるだろう。脇を締めて対応していきたい」と述べた。【増田勝彦】
**********朝日新聞2019年11月20日
官製談合容疑 商都に衝撃
高崎芸術劇場 館長ら3人送検
高崎市で9月に華々しくオープンしたばかりの高崎芸術劇場(同市榮町)が、官製談合事件の舞台となった。逮捕、送検されたのは劇場運営のタクトを振る館長と副館長、そして地元財界の重鎮。3人とも富岡賢治市長の「側近」とみられていた。群馬の商都に驚きが広がった。
★「名士」「エリート」なぜ★
電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)=高崎市江木町=は、高崎商工会議所副会頭や高崎観光協会理事長といった高崎財界の要職を務める地元の名士だ。
民間信用調査会社などによると、経営する「阿久沢電機」は今年創業100年を迎えた県内中堅の老舗。2018年9月期の売上高は約5億7千万円で、受注先は官公庁の元請けが4割強。今年は受注した5件計約1億円はすべて高崎市発注だったという。
阿久沢容疑者は01年5月から県電設協会長も務めていたが、協会事務局によると任期途中の今月、自ら書面で辞表願を提出。理由は記されていなかったという。職員は「(事件は)寝耳に水でよく分からない」と驚いた様子だった。
一方、高崎市企画調整課付課長で高崎芸術劇場副館長の佐藤育男容疑者(50)=高崎市大八木町=は1992年に市役所入り。富岡市長が初当選した2011年4月から1年間、市長随行秘書を務め、出世の階段を上った。「まじめで夜遅くまで働き、いい仕事をしていた。信頼していただけに残念」と市長。
17年に高崎芸術劇場建設などと担当する都市集客施設整備室長に就任。今年4月から劇所の副館長として開業を取り仕切っていた。
市関係者によると、阿久沢容疑者と佐藤容疑者はともに高崎高校サッカー部出身で、OB会やシニア大会にともに出場。懇意にしていたという。
(泉野尚彦、野口拓朗)
★菅田容疑者 「天皇」「影武者」・・・★
「市長の分身。『菅田天皇』と呼ばれている」
高崎芸術劇場館長で、公益財団法人高崎財団副理事長の菅田明則容疑者(66)=安中市安中2丁目=を知る関係者は、菅田容疑者をこう評した。富岡市長が初当選した2011年の選挙から支え、市長の民間ブレーンとして知られた存在だったという。
菅田容疑者は地元のFM局「ラジオ高崎」の社長も務める。1996年の局設立の旗を振った。社長の逮捕について局の担当者は「報道で事件を知り、状況がつかめていない」と困惑を隠せない。今月、高崎商工会議所の常議員に就任。市内の会社経営者は「アポなしで市長と面会するなど、我が物顔の振る舞いに市職員は苦り切っている。市長はなぜ徴用するのか」と話す。高崎芸術劇場の館長就任も、「なぜ市職員ではなく民間人なのか」と市役所内から批判があがったという。
地元財界関係者によると、菅田容疑者は高崎高校卒。大学を経て市内の出版社に勤務した後、1986年に市内で別の出版社を設立した。市が関係する催しの企画立案にも関わった。今年で30回目を迎えた「高崎音楽祭」は、当初から菅田容疑者を中心に進められてきた。
松浦幸雄前市長との関りも深く、市のキャッチコピーを作ったり、前市長の演説の原稿を書いたりしていたという。「影武者みたいなことをやっていた」
(張春穎、森岡航平、中村瞬)
★「市民におわび」 給料カット意向 市長★
富岡市長は19日午前11時から、臨時記者会見を開いた。高崎芸術劇場は約260億円を投じた市長肝いりの大事業。副館長として開業に尽力した佐藤容疑者はかつて市長の秘書として仕え、館長の菅田容疑者と阿久沢容疑者市長の有力支援者。市長は「市民の信頼を損なう行為でおわびする」と頭を下げた。司法当局の判断を待って自らの給料をカットする意向も示した。
また、市職員の法令順守に対する意識が不十分だとして、来月早々にコンプライアンス強化の担当部署を新設する考えも明らかにした。弁護士を顧問に、職員3人で発足させる予定。
芸術劇場への影響については「菅田館長は企画力と人脈がずば抜けていたので痛い。みんなで知恵を出していくしかない」と後任人事を急ぐ考えを示す一方、「劇場自体の評価は変わらないと思う」と自信を見せた。
(野口拓朗)
**********産経新聞2019年11月20日
芸術劇場官製談合 「音楽の町・高崎」に衝撃 芸術劇場をめぐる官製談合事件で市長が陳謝
↑高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら=19日午前3時57分、群馬県高崎市
高崎芸術劇場の家宅捜索に入る捜査員ら=19日午前3時57分、群馬県高崎市↑
★市長「評価されている」★
群馬県高崎市が発注した高崎芸術劇場(同市榮町)の照明備品の指名競争入札をめぐる官製談合事件で、富岡賢治市長は19日、臨時の記者会見を開いて陳謝した。群馬県警に官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された3人のうち、2人は劇場の正副館長。「音楽の街・高崎」をうたう市の新たなシンボルとして9月にオープンしたばかりの劇場のイメージダウンは避けられない。富岡市長は「劇場そのものは評価されているのに、残念」と肩を落とした。(椎名高志)
逮捕、送検されたのは、市総務部企画調整課付課長で劇場副館長、佐藤育男(50)▽「ラジオ高崎」役員で劇場館長、菅田明則(66)▽阿久沢電機(同市)社長、阿久沢茂(68)-の3容疑者。県警は19日未明に劇場や市役所などを家宅捜索した。
富岡市長が逮捕を知ったのは18日午後10時過ぎ。佐藤、菅田両容疑者について、富岡市長は会見で「劇場開設に向け、よくやってくれていただけに本当に信じられない気持ち」と述べ、「市民の行政への信頼を損なう行為で深くおわびしたい」と頭を下げた。
また、「任命権者として監督責任がある」とし、自らに報酬減額などの処分を検討していることも明らかにした。
菅田容疑者は、市が出資し、劇場を指定管理者として運営する高崎財団の副理事長も務めている。富岡市長は「企画力、人脈にずば抜けたものがあり、余人をもって代え難い存在」と高く評価していた。
佐藤容疑者は市都市集客施設整備室長を経て、今年4月から高崎財団に派遣され、劇場副館長に就任。こちらも「まじめで大変優秀な職員」(富岡市長)だったという。
劇場では20日、2020年東京五輪・パラリンピックで市がホストタウンとなるウズベキスタンの文化芸術訪問団の来日公演がある。12月には地元の高崎第九合唱団や同市出身のギタリスト、布袋寅泰さんらの公演が予定されている。
トップ2人が逮捕される事態に、富岡市長は「困ったことになったが、実務はやっていけるよう人事面を含めて対処したい」と述べた。
阿久沢容疑者は高崎観光協会理事長、高崎商工会議所副会頭などの肩書きを持つ。同時に「富岡賢治後援会連合会」では幹事長を務める大幹部で、富岡市長との関係は深い。
富岡市長は「ビジネスで(談合を)やる人ではない。バランスの取れた人だけに残念」とし、「後援会での役職は離れてもらう」と語った。
事件を重く受け止め、富岡市長は12月にも市にコンプライアンス室を設置する考えを明らかにした。「行政運営のさまざまな場面で法令の解釈が必要になってきた時代に、審査や相談窓口となる組織をつくる」のが狙い。弁護士をトップに数人の職員を配置するという。
**********読売新聞2019年11月20日
高崎芸術劇場 市課長予定価格漏らす
官製談合疑い、館長らも逮捕
9月にオープンしたばかりの高崎芸術劇場を舞台に、高崎市職員と業者の不透明な関係が浮上した。市が発注した劇場の照明備品の入札で予定価格を業者に漏らしたとして、県警は18日より、劇場の館長、副館長で市課長級職員の男ら3人を官製談合防止法違反などの容疑で逮捕した。課長級職員と共に逮捕された2人は、富岡賢治市長の後援団体に所属し、側近としても知られていた。
逮捕されたのは、館長で公益財団法人「高崎財団」副理事長の菅田明則(60)(安中市安中)、副館長で市総務部企画調整課付課長の佐藤育男(50)(高崎市大八木町)、市内の電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂(68)(同市江木町)の3容疑者。
県警の発表によると、3人は共謀し、市が発注した劇場の照明備品購入の市営競争入札で、佐藤容疑者が職務上知り得た予定価格6264万円を、菅田容疑者を通じて阿久沢容疑者に事前に漏らし、今年1月、同社に6134万円で落札させた疑い。3人の認否は明らかにしていない。
県警によると、この入札には13社が参加。阿久沢電機は卸業者として「ムービングライト」と呼ばれる証明備品32台を納め、設置も請け負った。佐藤容疑者は当時、劇場整備を担当する部署の室長で物品の請求書の作成、審査などを担い、積算価格を把握できる立場にいた。4月からは高崎財団に出向し、菅田容疑者の下で副館長に就いていた。
一方、富岡市長の後援会事務所によると、菅田、阿久沢容疑者はそれぞれ、後援会連合会の会長顧問、幹事長で、ともに資金管理団体の幹事でもあった。地元経済界でも知られており、菅田容疑者はラジオ高崎の社長で高崎観光協会の副理事長を務める。阿久沢容疑者は県電設協会会長として2017年秋、業務に精励し模範となる人に贈られる褒章も受けていた。佐藤容疑者を含めて高崎高校OBで、阿久沢容疑者は今年1月から同総会長を務めている。
県警は19日、芸術劇場など関係6か所を捜索した。市本庁舎には午前4時前、捜査員約50人が入り、約4時間にわたり捜索。資料を入れた段ボール箱を運び出した。県警は同日午後、3人を前橋地検に送検した。
★「監督責任ある」 市長が会見★
富岡市長は10日、緊急の記者会見を開き、「市民の信頼を損なう行為で、深くおわびしたい」と謝罪した。捜査の進展を待って自身の報酬カットを含む関係者の処分を行う考えも示した。
高崎芸術劇場の館長に後援会幹部でもある菅田容疑者を起用したことについて、富岡市長は「監督責任は(自分に)ある」と認めた。菅田容疑者については「発想や企画力、神武悪がずば抜けている」、同じく後援会幹部の阿久沢容疑者についても「バランスの取れた人物」と、いずれも高く評価していたことを明かした。
★市民や劇場関係者 不信感や驚きの声★
「音楽のある街」の新たな顔である高崎芸術劇場が官製談合事件の舞台となったことに、高崎市民や劇場関係者は大きなショックを受けている。
19日、オーケストラ公園のチケット購入で販売窓口を訪れた主婦(56)は「立派なコンサートホールができて、有名なアーティストも来るのに……。こういう不祥事は許せない」と憤り、併設のカフェに来た藤岡市の男性会社員(64)も「ほかにも悪い話があるのではないか。疑ってします」と不信感をあらたにした。
同劇場を新たな活動拠点としている群馬っ交響楽団の広報担当者も、館長や副館長の逮捕を知って驚いたという。ただ、公園の変更・中止はないといい、「私たちは変わりなく演奏を届けていきたい」と話した。
<高崎芸術劇場>
地上8階、地下1階建て。2030席の大劇場、県内初の本格的音楽専用ホール、ロックや現劇などに幅広く使えるスタジオシアターの3ホールがある。群馬交響楽団の活動拠点でもある。高崎市が約260億円をかけて整備し、指定管理者の高崎財団が運営している。
**********テレ朝2019年11月20日
高崎芸術劇場談合請け市が専門家交えた新部署設置へ
群馬県高崎市の高崎芸術劇場の館長らが官製談合の疑いで逮捕された事件を受け、高崎市は法令順守のために弁護士など専門家を交えた新たな部署を設ける考えを明らかにしました。
高崎芸術劇場を巡っては、市が発注した劇場の照明などの入札予定価格を漏らして入札を妨害したとして、官庁の菅田明則容疑者(66)と副館長の高崎市の職員・佐藤育男容疑者(50)ら3人が逮捕されました。事件を受けて高崎市は今後、同様の事件が起きないよう外部の弁護士などを交えて新しい部署を設けることを検討しているということです。
**********東京新聞2019年11月20日
【群馬】高崎芸術劇場 官製談合疑い 市長の「側近」逮捕に衝撃
県警、劇場や市庁舎を家宅捜索
高崎市の高崎芸術劇場の照明整備を巡り、官製談合防止法違反などの疑いで同市職員と館長の「ラジオ高崎」役員、市内の電気工事会社の社長が十八日夜に逮捕された事件。九月に華やかにオープンした同劇場や市庁舎に十九日、県警が家宅捜索に入る事態となり、市関係者に衝撃が広がった。館長は、富岡賢治市長が能力を高く評価し抜てきした「側近」で、社長は市長の有力な後援者の一人。こうした関係に「現市政を支える中で関係を深めた」と指摘する声もある。 (石井宏昌、市川勘太郎)
↑佐藤育男容疑者↑
照明の入札予定価格を漏らした容疑で逮捕された市企画調整課付課長の佐藤育男容疑者(50)は二〇一七年度に市都市集客施設整備室長となり、劇場整備などを担当。市によると、劇場の照明備品の入札予定価格を漏らしたとされる今年一月は、整備の実務を担う中心的存在だった。四月、指定管理者として劇場を運営する高崎財団に派遣され、副館長に就任。劇場の予算などの事務を担当していた。
↑菅田明則容疑者↑
館長の菅田明則容疑者(66)は市など出資のラジオ高崎の代表取締役社長で高崎財団の副理事長。市の文化事業などに関わり、企画力と人脈を高く評価した富岡市長の意向もあり昨年十二月に館長に就任した。
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↑落札した阿久沢茂容疑者(本人のフェイスブックから)↑
電気工事会社「阿久沢電機」社長の阿久沢茂容疑者(68)は富岡市長の後援会連合会の幹事長。高崎商工会議所の副会頭など商工団体の要職に就く。高崎観光協会では同容疑者が理事長、菅田容疑者が副理事長を務める。
菅田、阿久沢両容疑者は富岡市長を政策面や後援会活動などで支える存在で、佐藤容疑者は劇場の整備、運営で菅田容疑者を補佐する立場としてそれぞれ関係を深めたとみられる。三人とも地元の高崎高校OBという共通点もあった。
富岡市長の支援者の一人で、市の政財界を知る関係者は「(菅田容疑者は)前市長の時代から市の施策に関わっていたが、富岡市長になって重用された。優秀だが、芸術劇場への関与には市や経済関係者から『少しやり過ぎでは』という声も聞いた。逮捕には驚いたが『やはり出たか』という思いもある」と話した。
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法令順守専門部署 設置へ
事件受け市長が謝罪
富岡賢治市長は十九日、市役所で記者会見し「信じられない気持ちだが、市民の行政に対する信頼を損なう行為で、市民に深くおわびしたい」と頭を下げた。「コンプライアンス(法令順守)に対する取り組みが甘かったという反省がある」と述べ、法令順守に取り組む専門部署を十二月にも設置する考えを示した。
市長は、佐藤容疑者を「まじめで大変優秀な職員」、菅田容疑者は「企画力や人脈にずばぬけていた」と高く評価し「登用したことは正しかったと思う。それだけに残念だ」と語った。その上で「コンプライアンスの意識が薄かったのかもしれない」と述べ、弁護士を含めた法令順守対策の部署を設置する。今後、佐藤容疑者に加え自身も「実質的な任命権者、監督責任者として重く受け止めている」と述べ、処分を受ける必要に言及した。後援会幹部の阿久沢容疑者の逮捕には「今後きちんと脇を固めていく」と語った。
高崎芸術劇場は市が二〇一六年から約二百六十億円をかけて整備。地上八階、地下一階で、約二千席の大劇場などがある。市は「音楽と舞台芸術の殿堂」としてアピールしてきた。今回の事件でイメージダウンが懸念され、市長は「大変残念だが、劇場の内容に瑕疵があったわけではないので、市民に理解してもらえると思う」と話した。
**********NHK Web News 2019年11月19日18時14分
談合事件 落札率98%で受注
群馬県高崎市が発注した劇場の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を業者に漏らして落札させたなどとして、高崎市の課長と業者の社長ら、合わせて3人が官製談合防止法違反などの疑いで逮捕された事件で、業者は落札率およそ98%の価格で受注していたことが分かりました。
警察は詳しいいきさつや、3人の関係などを調べています。
逮捕されたのは、高崎市総務部の課長で「高崎芸術劇場」の副館長の佐藤育男容疑者(50)と「高崎芸術劇場」の館長の菅田明則容疑者(66)、それに高崎市内の業者の社長の阿久澤茂容疑者(68)の3人です。
警察によりますと、佐藤課長は高崎市の都市集客施設整備室長だったことし1月ごろ、高崎市が発注した「高崎芸術劇場」の照明の購入をめぐり、入札の予定価格に関する情報を菅田館長を通じて阿久澤社長に漏らしたなどとして、官製談合防止法違反などの疑いがもたれています。
3人は19日、検察庁に身柄を送られましたが、警察はいずれも認否を明らかにしていません。
警察のその後の調べで、照明の予定価格は5800万円だったのに対して、阿久澤社長の業者は5680万円で受注し、落札率は97.9%だったことが分かりました。
警察は詳しいいきさつや、3人の関係などを調べています。
事件を受けて高崎市の富岡賢治市長は19日、記者会見を開き、市民に謝罪するとともに職員の法令順守を徹底するための対策室を新たに設置する方針を明らかにしました。
この中で富岡市長は「市民の行政への信頼を損なう行為で、とても信じられない思いだ。市民の皆様にご迷惑をかけたことをおわびしたい」と述べました。
高崎市によりますと、佐藤容疑者は高崎芸術劇場で予算などの事務を、また菅田容疑者は公演の企画立案などを担当していたということです。
また、会見で富岡市長は今後、市の職員でもある佐藤容疑者に対する処分を検討するほか、市長自身も何らかの処分を受ける必要があるという考えを示しました。
そのうえで富岡市長は、来月1日付けで外部の弁護士などから成るコンプライアンスの対策室を新たに設置し、職員の法令順守を徹底する方針を明らかにしました。
「高崎芸術劇場」は高崎市が平成28年から総額およそ260億円をかけて建設し、ことし9月20日にオープンしました。
JR高崎駅の東口と専用の歩道でつながっていて、地上8階、地下1階建てで、延べ床面積は2万7000平方メートルあり、3つの劇場を備えています。
オープンを記念して、メインの「大劇場」では高崎市に拠点を置く「群馬交響楽団」がベートーベンの交響曲、「第九」を演奏し、市民が合唱しました。
メインの「大劇場」は2030人の観客を収容でき、舞台は間口が28メートル、奥行きが18メートルと国内最大級の広さで、音響効果を生かすため壁が波打つようにデザインされています。
これらの劇場では、オーケストラのコンサートのほか、大がかりな舞台演出が必要なオペラやミュージカルも上演でき、まちの活性化の起爆剤になることが期待されています。
オープンに先立って9月13日に報道関係者を対象に行われた内覧会で「高崎芸術劇場」の佐藤育男副館長はNHKの取材に対し「多彩なジャンルのコンサートを発信し、国内だけでなく世界からも足を運んでもらえるようにしていきたい」と述べていました。
**********
■筆者も今回逮捕された3名の容疑者と同じく高崎高校のOBで、とくに阿久沢茂容疑者とは同期生であり、高校3年の時は同級生でした。今年1月26日に開かれた高崎高校同窓会総会と同期会にも出席し、同容疑者が同総会長に選出された瞬間も目の前で目撃しており、そのあと行われた同期会でも同容疑者の同総会長就任を祝いました。
筆者は、2003年以降、同期会開催日に日本にいる場合はほとんど同窓会総会と同期会に出席してきました。同容疑者は2003年の時は既に同期会の幹事役として活動しており、高校時代からやっていたサッカーを依然として続けていること、また、音楽としてはサキソフォンの名手で、バンドを組んで演奏会を行っていることを知り、多芸多才な一面に驚かされました。
そのうえで、大正8年創業の家業の電気設備事業会社を先代から引き継ぎ、社員15名を擁してこれまで営々と操業して社業を発展させてきたのは、社会的な信頼を得ていたからに相違ありません。
ではなぜ、急転直下、このような状況になったのでしょうか。
↑2019年1月26日16:42、第117回群馬県立高崎中学校・高崎高等学校同窓会総会後の懇親会で、新会長として800名余りの参加者を前に挨拶する阿久澤茂容疑者。同期のまとめ役として長年多大な貢献をしてきた。↑
↑同16:48、同窓会総会後の懇親会で挨拶する富岡賢治・高崎市長。↑
↑同日19:11、同窓会総会・懇親会の後、高崎市内で開かれた同期会の宴もたけなわになったころ、ひょっこり現れた橋爪洋介・県議(前議長)を紹介する阿久澤容疑者。橋爪家と阿久澤家は先代から親交があったという。↑
↑同日19:18、橋爪議員が去って5分後、入れ替わるように現れた富岡市長。同期には県庁や高崎市等の公務員OBも多く、お酌を求める手が弾む。同様に、僅か2分で隣の宴会場に向かっていった。↑
■同容疑者は、同期会の際に、後半になると、必ず富岡市長を呼び寄せて参加者に紹介します。これはもう、数年来になるので、富岡市政が始まって間もなくの頃からだと記憶しています。
最初に、同容疑者が幹事の立場で、富岡市長の講演会への顔出しを同期会参加者に勧めたことがありました。筆者は当初、「富岡市長」というので、なぜ高崎市在住なのに、富岡市の市長と懇意にしているのか、何か特別な縁でもあるのかな、と思ったほどです。
正直なところ、このような同期の親睦会の責に、唐突に政治家が表れて、挨拶を受けることに違和感を覚えるのは事実です。過去には国会議員の上野公成が現れ、ビールの差し入れがありました。よく考えれば、これは公選法違反を問われかねない行為ですが、筆者を含め誰も違反行為を指摘しませんでした。
■今回逮捕された菅田容疑者は、安中市に自宅があるそうですが、同容疑者をよく知る婦人は「たいへん腰が低くよく話を聞いてくれる人だ」と絶賛しており、なぜこんな事件に絡んだのか、と不思議がることしきりでした。
筆者も、阿久沢被疑者については、前述のとおり長い付き合いの為、まさか、このような事件に関与するとは想像もつきませんでした。
なぜなら同容疑者が経営する阿久沢電機の先代社長は、東大卒業後、郷里でやはり家業に従事し、堅実経営をモットーに事業を営み、その結果、阿久沢家として、土地など豊富な資産を保有していたとされています。同容疑者もそれを継承していたことから、今回の事件の報道にあるような、自ら予定価格を知ろうと、同窓でもある市職員に接近したということは、俄かには信じがたいのも事実です。
むしろ官製談合と報じられている通り、官側からの予定価格のリークがあったとみるべきだと思います。もっとも、今回13社も応札があり、その中で、落札率98%近い効率で落札できたとなると、各社がどのような価格で札を入れたのか、入札調書でぜひ確認しておきたいところです。
■ところで、今回の官製談合の調達対象物となった備品は、ムービングライト32台とあります。ムービングライトとは、色彩・光量・光の方向を、コンピュータによる遠隔操作で高速かつ自在に制御するスポットライトのことで、ヨーク型(ロボットアームで灯具自体を動かす)とミラースキャン型(固定した灯具からの光を可動式反射鏡で制御する)があり、光源には、キセノンランプや白熱電球が使われるようです。
コンサートや演劇の舞台、テレビスタジオなどで多く使われるため、現代の照明演出において、欠くことのできないデバイスとなっています。従来の一般照明と呼ばれる灯体では、一つのライトが一つの演出効果しか生み出せませんでしたが、ムービングライトは一台でさまざま色の変化や多種多様の演出効果をもたらすことが可能なのが特徴とされています。
しかも、事前にプログラミングすることで、仕込調整における時間の短縮を実現し、出演者の場当たりやリハーサルに使える時間を従来より多く取れるというメリットがあるためなのでしょうか、菅田容疑者は「劇場を良くするため、海外製の特殊な照明設備を入れたかった。この製品を取り扱っている阿久沢電機が受注できるようにしたかった」という趣旨の供述をしていると報じられています。
加えて高崎市内では、限られた業者しかこの照明を取り扱っていないとされており、菅田容疑者は阿久沢電機が受注できるよう、同市都市集客施設整備室長だった佐藤容疑者に価格を教えるよう働き掛けたという見方がされていると報じられています。
となると、フィクサーは菅田容疑者ということなのでしょうか。市職員の佐藤容疑者は市長の覚え目出度い菅田容疑者からの依頼だとして、抗しきれず、あるいは喜んで、予定価格の漏洩に加担したのでしょうか。また、阿久沢容疑者は、同窓会トップとして、後輩たちの「気配り?」あるいは「忖度?」の結果、予定価格を受動的に知ったのでしょうか。
しかし予定価格を事前に知っても、入札が不特定多数の業者間で札入れが行われれば、価格を下げるしか受注の道は開けないはずです。
■こうした数々の疑問は、容疑者とされた当事者から真相を聞くしかありませんが、次善の方策として高崎市に対して情報公開請求により地道に関連情報を入手することになりそうです。
↑2018年3月17日18時から、高崎市内で開かれた「阿久沢茂君の黄綬褒章を祝う仲間の会」で、50名ほど集まった同期生の仲間を前に挨拶する阿久沢容疑者。まさに絶頂期であった。↑
【市民オンズマン群馬事務局からの報告】
※参考情報
**********毎日新聞2019年7月31日
ぐるっと首都圏・母校をたずねる
群馬県立高崎高校/9止 伝統を次世代につなぐ 高崎観光協会理事長・阿久澤茂さん /東京
↑阿久澤茂さん=群馬県高崎市問屋町2で↑
阿久澤茂さん=1970年度卒
高崎観光協会理事長で会社社長の阿久澤茂さん(67)=1970年度卒=は群馬県立高崎高(高高(たかたか))の同窓会長を務めています。高校入学と同時にサッカー部に入り、2年生で国体初出場を果たしました。卒業後もサッカーを続けています。同窓会では、若い人の意見も取り入れながら、先輩たちの築いてきた伝統を次世代に引き継いでいくことに意欲を燃やしています。【増田勝彦】
サッカーとの出会いは64年の東京オリンピックです。中学1年の時で、東京のおばの所に行き、駒沢陸上競技場での試合を見て興味を持ちました。私が通った高崎市立第二中にはサッカー部がなく、高高に入学して早速入部しました。
サッカー部のある中学から来た新入生は、入学前の春休みから練習に参加し、力に差があったと思います。それでも、たいへんだったと感じたことはありませんでした。
当時、実業家の井上房一郎さん=15年度卒=が、サッカー部を応援してくれていました。試合が終わると、部員を自宅に招き、出前のカツ丼を全員にごちそうしてくれました。
また、サッカーを知る先生がいなかったので、夏休みや週末に現役の慶応大サッカー部員だった奥村竜昭さんを呼び、コーチをしてもらいました。最先端の練習法や戦術など、いろいろなことを教えてくれて、サッカーがさらに楽しくなりました。奥村さんとは今でも付き合いが続いています。
インターハイを終えて3年生が引退し、1年の秋から試合に出させてもらいました。キャプテンだった2年の時は福井国体に初出場しました。
進学した同志社大工学部は講義が多く、体育会サッカー部との両立は無理で、サッカー同好会に入りました。関西の大学同好会リーグがあり、常に優勝を争っていました。卒業後は、東光電気工事に勤め、家業の会社を継ぐため、79年に高崎に戻りました。
高崎では、高高サッカー部OBチーム「翠巒(すいらん)サッカークラブ」で30代半ばまでプレーしました。40代半ばからは群馬シニアリーグの「FC西毛」でプレーを再開、2017、18年に監督も務めました。
高高在学中は、素晴らしい人々に恵まれた環境だったとわかりませんでした。今になって振り返ると、自分の人生観をしっかりと持っている人ばかりでした。先輩は有形無形に私をかわいがってくれ、同級生は応援してくれ、後輩は慕ってくれます。だから人間関係がつながっているのでしょう。
1月に同窓会長に選ばれましたが、歴代、素晴らしい方ばかりで、気後れしています。同窓会の総会は今年48歳になる卒業生が当番を務めます。一時期は同窓会に出席する人が少なかった若い人たちも、最近は結構参加してくれます。先輩たちが築いてきた伝統を、次の世代につないでいくのが同窓会の役割です。
伝統を重んずるだけでなく、若い人たちの意見も取り入れ、やりやすいような方策を考えていきたいと思っています。
★OBらの寄付で奨学金給付★
↑翠巒育英会の定款=群馬県高崎市八千代町2で↑
群馬県立高崎高には、同窓会で組織する「翠巒(すいらん)育英会」の奨学金制度がある。OBらの寄付で運営され、返済義務はない。1985年の設立からこれまでに142人が、月額1万円の給付を受けている。
同高野球部が81年春のセンバツに初出場し、OBらから1億円余の寄付金が集まった。大会後に残った寄付金の一部3000万円を委託された同窓会は基金を作り、全国大会に出るクラブへの補助金として活用された。
さらに「経済的に厳しい生徒の支援に」と奨学金制度が始まった。「地域からの寄付」との位置づけで、他高の生徒22人にも奨学金が給付された。低金利時代で利息が期待できなくなり、OBからの年間200万円以上の寄付で運営が続けられている。
奨学金制度が始まった年に入学した静岡大教授、佐々木哲朗さん(50)は「返済が必要な日本育英会の奨学金は月額9000円。そんな中での1万円はありがたかった。最近日本育英会の返済が終わり、翠巒の36万円の重みを改めて感じた」と話す。経済的な理由で若い人たちの可能性を狭めてはいけないと、給付額の倍の72万円を寄付している。
■人物略歴
あくざわ・しげる
1951年生まれ、高崎市出身。同志社大工学部卒。東光電気工事を経て、阿久澤電機に入社、90年から社長。現在、群馬県電設協会長、高崎観光協会理事長、高崎商工会議所副会頭などを務める。今年1月から高崎高同窓会長。
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コメントをありがとうございます。
ご指摘の通り、官製談合は、群馬県のどの自治体においても日常茶飯事のように行われています。
そうした中で、本事件では知り合いが渦中にいるからこそ、事の真相を究明したいと思っております。
市民オンブズマン群馬事務局より