■東京ガスは、CSR報告書2008のなかで、「需要やエリア拡大に応じた導管網整備」と題して、「需要見通しに的確に対応した製造・供給インフラを整備・増強していくため。今後5ヵ年内に中央幹線(Ⅰ期・Ⅱ期)、群馬幹線(Ⅰ期)を完成させ、2030年代を見据えた将来の需要増にも対応できる安定供給体制を実現していきます」とぶち上げていますが、実際には、地域住民の生命、生活、財産の保護には目もくれず、地域社会との信頼関係そのものを自ら破棄して、企業の営利追及のみを経営の根幹に位置付けています。
東京ガスは、そうした見方を、口先では否定しています。本当はどうなのか?を確認する意味もあり、同社が現在、安中市から高崎市にかけて建設中の群馬幹線Ⅰ期工事における中核施設の一つである安中市北野殿地区で築造中の(仮称)安中バルブステーション(VS)施設に関する情報について、当会は、建築基準法に基づき建築確認許可を出した群馬県知事(実施機関:群馬県整備県民局高崎土木事務所)に、平成21年1月21日付けで公文書開示請求をしておりました。
【写真上】北野殿地区のバルブステーション構内にある基礎工事が完了した放散塔の土台部分。この直上に10階建てのビルに匹敵する高さ30.2mの鉄構造物が組み立てられる模様。その安全性を知ろうとする地元住民に対して不法侵入による破壊活動の恐れを理由に、群馬県が情報非開示とした。
群馬県知事は、開示・非開示の判断が難しいとして、開示期間延長を行ない、結局2月27日付け部分開示決定通知を送ってきましたが、これをみると、肝心の情報は、設計ノウハウ等の流出や、不法侵入・テロ破壊活動を誘発するという理由で全面非開示同然の処分が下されたのです。
そこで、3月10日に、高崎土木事務所を訪れて、本件処分を下した群馬県建築主事佐藤雅彦氏に面談し、直接判断理由を聴取しました。
■佐藤主事によると、「住民としての気持ちは分かるが、本件は建築基準法に基づき、純粋に技術的な観点から審査したもので、審査基準にのっとり、工作物の安全性について強度や機能面からチェックした結果、許可を出した」ということです。そこで「では、非開示の理由とされた設計技術ノウハウ流出や、不法侵入・破壊活動誘発の根拠は何か?」と質問したところ、途端に歯切れが悪くなり、苦し紛れに「自分ひとりの判断ではなく、県庁の県土整備部建築住宅課審査指導係の係長や係員らに相談して決めた」との回答でした。
そこで、さっそく県庁22階にある建築住宅課審査指導係(電話027-226-3702)に赴き、清水係長と面談をしました。事情を説明したところ、同係長いわく「本件は、確かに高崎土木の佐藤主事から相談を受けたが、あくまでも相談に応じただけで、こちらでは決定は下していない」などと、責任逃れの釈明に終始しました。そのため、当会から、「この施設の安全担保について、運用面ではともかく、技術的な観点からチェックして許可したのだから、その証を周辺住民に対して明らかにすることはなんら問題ないはず。この施設は70気圧という超高圧ガスを取り扱う保安施設だから、余計、県民の安全確保のために情報開示が重要です」と再三、非開示箇所の撤回を求めました。
また、非開示理由である設計技術ノウハウの流出や不法侵入・破壊活動誘発についても、具体的な説明を求めました。前者については、当会から「どの部分が業者の競争力に不利益となるのか、東京ガスに確認したのでしょうか、或いは県独自でノウハウの流出となると判断したのでしょうか。後者ならすぐ説明いただけるはずですし、前者であれば、東京ガスの回答を教えて下さい」と質問しました。
清水係長は「東京ガスには一切コメントを求めていない。技術ノウハウ流出については、住民の意見を今聞いたので、このあと課長と相談してから返事をしたい」と答えました。
不特定多数への当該施設の情報開示により、不法侵入や破壊活動を助長するという非開示理由については、当会は「インドのムンバイやタリバンなどが跳梁跋扈する中東と異なり、日本は法治国家で、施設にはビデオカメラなど保安設備も完備しており、治安面では格段によいはず。しかも、開示請求者は地元住民であり、東京ガスの事業に対してステークホルダー(利害関係者)だから、破壊行為など毛頭念頭になく、県知事の懸念する情報開示の懸念事項はありえません」と述べて、粘り強く情報開示をお願いしました。
ところが、清水係長は「自分の一存ではどうにもならないので、これもあとで課長と相談してみたい」という返事にとどまりました。当会は、「行政手続法の問題もあるので、なるべく課長との再協議結果で早く結論を出してください。異議申立などしていると、時間と手間の浪費になり、書面での理由説明も県に求めることになります」と言って、非開示部分の撤回につき、善処を求めました。清水係長は、課長に説明して協議の上、結論が出次第、携帯電話に連絡することを約束してくれました。
それにしても、なぜ、群馬県は、県民の生命・財産・生活よりも、事業者の設計技術ノウハウ流出や、施設への不法侵入や破壊行為のほうを重要だと考えるのでしょうか。完成したら誰にでも目に付く放散塔の外形や避雷針、工作物の耐震設計や地質データなどがなぜノウハウ流出になると考えるのでしょうか。しかもノウハウを保有するはずの東京ガスにも確認せず、勝手に判断しているのです。さらに、不法侵入や破壊行為については言語道断です。住民への説明もやらず、同意も得ないで、勝手に、人家の直ぐ脇に、高さ30メートルもの超高圧ガスの保安施設を作るほうがよほど、企業による住民へのテロ行為だというのに、住民をテロリストと認識したがる群馬県行政の真意は計り知れません。
3月10日に、わずか9枚分開示された情報によると、東京ガスの安中VS新設工事にかかる建築確認申請の内容は次のとおりです。
**********
【確認申請書(工作物)】
建築基準法第88条第1項において準用する同法第6条第1項又は第6条の2第1項の規定による確認を申請します。この申請書及び添付図書に記載の事項は、事実に相違ありません。
建築主事 様 平成20年11月6日
申請者氏名 東京ガス㈱群馬県線建設事務所 所長 鹿沼正広
※手数料欄 8,000円
※受付欄 群馬県高崎土木事務所20.11.-6 110収受印
※確認番号欄 平成20年11月6日 第No.92号 係員欄 小林
※決裁欄 佐藤
・工作物概要 工作物の名称又は工事名 安中VS新設工事
敷地物の種類(区分06320)鉄柱
・築造主 住所:群馬県高崎市東町134番地6号
氏名:東京瓦斯株式会社 群馬幹線建設事務所 所長 鹿沼正広
・代理者 資格:一級建築士(大臣)登録第144600号
氏名:十河正雄
建築士事務所名:一級建築士事務所(東京都)知事登録第39711号
東京ガス・エンジニアリング株式会社一級建築士事務所
・設計者 同上
・その他の設計者 氏名:益岡英文
建築士事務所名:大阪装置建設幹部敷き会社 建築事業部 第一建設部 技術グループ
作成した設計図書:全体外形図、構造計算書、避雷設備設置概要他
・その他の設計者 氏名:長谷川知秀
建築士事務所名:東京ガスエンジニアリング株式会社
作成した設計図書:放散塔基礎詳細図、杭伏図・柱状図・敷地断面図、基礎構造計算書
・工事施工者 氏名:取締役社長 藤岡治郎
営業所名:建築業の許可(大臣)第(特-19)16053号
東京ガス・エンジニアリング株式会社
・敷地の位置 地名地番 群馬県安中市野殿字野殿1023番1
・工作物の概要 種類:(区分06320)鉄柱
高さ:30.200m
構造:鉄骨造
工事種別:新築
・工事着手予定年月日:平成20年11月1日
・工事完了予定年月日:平成21年2月1日
**********
■こうして、放散塔の高さは、噂どおり30.2mであることは分かりましたが、外形、耐震強度や耐風強度、避雷性能などは全く分かりません。唯一開示された平面の配置図を見る限り、標準設計的な配置だと思われますが、人家から僅か20mしか離隔距離がないこと、市道のカーブの部分が見通しが利かず、交通安全上危険だと地元民が指摘しているにもかかわらず、カーブのところだけ、東京ガスの敷地境界線が異常に張り出していることなど、安全面の課題が多々あります。
また、放散塔の脇には、計器室棟として、鉄骨構造で、建築面積43.26㎡、最高高さ3.52mのコンテナ状の工作物が設置される予定ですが、こちらも平成20年10月31日に建築確認申請が出されて許可されているようですが、まだ土台しか完成していません。放散塔も、申請では完工予定が2月1日となっていますが、まだ基礎工事が終わっただけです。一体何がどうなっているのか地元民の不安や懸念をよそに、今年8月の完工まで、東京ガスと群馬県はひたすら情報非開示を貫くつもりなのでしょうか。
清水係長に携帯電話番号を聞かれてから既に丸二日が経過しましたが、まだ清水係長から連絡はありません。先日、警官が、直射日光に当れない病を患って黒頭巾をかぶった高校生に職務質問した際、「おまえはタリバンか?」と呼びかけたそうですが、我々地元住民は変装したり隠れたり逃げたりしません。秘匿体質の東京ガスは仕方がないにしても、せめて行政は納税者である県民をテロリストと同一視するのは一刻も早くやめてもらいたいものです。
【ひらく会情報部・東京ガス高圧導管敷設問題研究班】
東京ガスは、そうした見方を、口先では否定しています。本当はどうなのか?を確認する意味もあり、同社が現在、安中市から高崎市にかけて建設中の群馬幹線Ⅰ期工事における中核施設の一つである安中市北野殿地区で築造中の(仮称)安中バルブステーション(VS)施設に関する情報について、当会は、建築基準法に基づき建築確認許可を出した群馬県知事(実施機関:群馬県整備県民局高崎土木事務所)に、平成21年1月21日付けで公文書開示請求をしておりました。
【写真上】北野殿地区のバルブステーション構内にある基礎工事が完了した放散塔の土台部分。この直上に10階建てのビルに匹敵する高さ30.2mの鉄構造物が組み立てられる模様。その安全性を知ろうとする地元住民に対して不法侵入による破壊活動の恐れを理由に、群馬県が情報非開示とした。
群馬県知事は、開示・非開示の判断が難しいとして、開示期間延長を行ない、結局2月27日付け部分開示決定通知を送ってきましたが、これをみると、肝心の情報は、設計ノウハウ等の流出や、不法侵入・テロ破壊活動を誘発するという理由で全面非開示同然の処分が下されたのです。
そこで、3月10日に、高崎土木事務所を訪れて、本件処分を下した群馬県建築主事佐藤雅彦氏に面談し、直接判断理由を聴取しました。
■佐藤主事によると、「住民としての気持ちは分かるが、本件は建築基準法に基づき、純粋に技術的な観点から審査したもので、審査基準にのっとり、工作物の安全性について強度や機能面からチェックした結果、許可を出した」ということです。そこで「では、非開示の理由とされた設計技術ノウハウ流出や、不法侵入・破壊活動誘発の根拠は何か?」と質問したところ、途端に歯切れが悪くなり、苦し紛れに「自分ひとりの判断ではなく、県庁の県土整備部建築住宅課審査指導係の係長や係員らに相談して決めた」との回答でした。
そこで、さっそく県庁22階にある建築住宅課審査指導係(電話027-226-3702)に赴き、清水係長と面談をしました。事情を説明したところ、同係長いわく「本件は、確かに高崎土木の佐藤主事から相談を受けたが、あくまでも相談に応じただけで、こちらでは決定は下していない」などと、責任逃れの釈明に終始しました。そのため、当会から、「この施設の安全担保について、運用面ではともかく、技術的な観点からチェックして許可したのだから、その証を周辺住民に対して明らかにすることはなんら問題ないはず。この施設は70気圧という超高圧ガスを取り扱う保安施設だから、余計、県民の安全確保のために情報開示が重要です」と再三、非開示箇所の撤回を求めました。
また、非開示理由である設計技術ノウハウの流出や不法侵入・破壊活動誘発についても、具体的な説明を求めました。前者については、当会から「どの部分が業者の競争力に不利益となるのか、東京ガスに確認したのでしょうか、或いは県独自でノウハウの流出となると判断したのでしょうか。後者ならすぐ説明いただけるはずですし、前者であれば、東京ガスの回答を教えて下さい」と質問しました。
清水係長は「東京ガスには一切コメントを求めていない。技術ノウハウ流出については、住民の意見を今聞いたので、このあと課長と相談してから返事をしたい」と答えました。
不特定多数への当該施設の情報開示により、不法侵入や破壊活動を助長するという非開示理由については、当会は「インドのムンバイやタリバンなどが跳梁跋扈する中東と異なり、日本は法治国家で、施設にはビデオカメラなど保安設備も完備しており、治安面では格段によいはず。しかも、開示請求者は地元住民であり、東京ガスの事業に対してステークホルダー(利害関係者)だから、破壊行為など毛頭念頭になく、県知事の懸念する情報開示の懸念事項はありえません」と述べて、粘り強く情報開示をお願いしました。
ところが、清水係長は「自分の一存ではどうにもならないので、これもあとで課長と相談してみたい」という返事にとどまりました。当会は、「行政手続法の問題もあるので、なるべく課長との再協議結果で早く結論を出してください。異議申立などしていると、時間と手間の浪費になり、書面での理由説明も県に求めることになります」と言って、非開示部分の撤回につき、善処を求めました。清水係長は、課長に説明して協議の上、結論が出次第、携帯電話に連絡することを約束してくれました。
それにしても、なぜ、群馬県は、県民の生命・財産・生活よりも、事業者の設計技術ノウハウ流出や、施設への不法侵入や破壊行為のほうを重要だと考えるのでしょうか。完成したら誰にでも目に付く放散塔の外形や避雷針、工作物の耐震設計や地質データなどがなぜノウハウ流出になると考えるのでしょうか。しかもノウハウを保有するはずの東京ガスにも確認せず、勝手に判断しているのです。さらに、不法侵入や破壊行為については言語道断です。住民への説明もやらず、同意も得ないで、勝手に、人家の直ぐ脇に、高さ30メートルもの超高圧ガスの保安施設を作るほうがよほど、企業による住民へのテロ行為だというのに、住民をテロリストと認識したがる群馬県行政の真意は計り知れません。
3月10日に、わずか9枚分開示された情報によると、東京ガスの安中VS新設工事にかかる建築確認申請の内容は次のとおりです。
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【確認申請書(工作物)】
建築基準法第88条第1項において準用する同法第6条第1項又は第6条の2第1項の規定による確認を申請します。この申請書及び添付図書に記載の事項は、事実に相違ありません。
建築主事 様 平成20年11月6日
申請者氏名 東京ガス㈱群馬県線建設事務所 所長 鹿沼正広
※手数料欄 8,000円
※受付欄 群馬県高崎土木事務所20.11.-6 110収受印
※確認番号欄 平成20年11月6日 第No.92号 係員欄 小林
※決裁欄 佐藤
・工作物概要 工作物の名称又は工事名 安中VS新設工事
敷地物の種類(区分06320)鉄柱
・築造主 住所:群馬県高崎市東町134番地6号
氏名:東京瓦斯株式会社 群馬幹線建設事務所 所長 鹿沼正広
・代理者 資格:一級建築士(大臣)登録第144600号
氏名:十河正雄
建築士事務所名:一級建築士事務所(東京都)知事登録第39711号
東京ガス・エンジニアリング株式会社一級建築士事務所
・設計者 同上
・その他の設計者 氏名:益岡英文
建築士事務所名:大阪装置建設幹部敷き会社 建築事業部 第一建設部 技術グループ
作成した設計図書:全体外形図、構造計算書、避雷設備設置概要他
・その他の設計者 氏名:長谷川知秀
建築士事務所名:東京ガスエンジニアリング株式会社
作成した設計図書:放散塔基礎詳細図、杭伏図・柱状図・敷地断面図、基礎構造計算書
・工事施工者 氏名:取締役社長 藤岡治郎
営業所名:建築業の許可(大臣)第(特-19)16053号
東京ガス・エンジニアリング株式会社
・敷地の位置 地名地番 群馬県安中市野殿字野殿1023番1
・工作物の概要 種類:(区分06320)鉄柱
高さ:30.200m
構造:鉄骨造
工事種別:新築
・工事着手予定年月日:平成20年11月1日
・工事完了予定年月日:平成21年2月1日
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■こうして、放散塔の高さは、噂どおり30.2mであることは分かりましたが、外形、耐震強度や耐風強度、避雷性能などは全く分かりません。唯一開示された平面の配置図を見る限り、標準設計的な配置だと思われますが、人家から僅か20mしか離隔距離がないこと、市道のカーブの部分が見通しが利かず、交通安全上危険だと地元民が指摘しているにもかかわらず、カーブのところだけ、東京ガスの敷地境界線が異常に張り出していることなど、安全面の課題が多々あります。
また、放散塔の脇には、計器室棟として、鉄骨構造で、建築面積43.26㎡、最高高さ3.52mのコンテナ状の工作物が設置される予定ですが、こちらも平成20年10月31日に建築確認申請が出されて許可されているようですが、まだ土台しか完成していません。放散塔も、申請では完工予定が2月1日となっていますが、まだ基礎工事が終わっただけです。一体何がどうなっているのか地元民の不安や懸念をよそに、今年8月の完工まで、東京ガスと群馬県はひたすら情報非開示を貫くつもりなのでしょうか。
清水係長に携帯電話番号を聞かれてから既に丸二日が経過しましたが、まだ清水係長から連絡はありません。先日、警官が、直射日光に当れない病を患って黒頭巾をかぶった高校生に職務質問した際、「おまえはタリバンか?」と呼びかけたそうですが、我々地元住民は変装したり隠れたり逃げたりしません。秘匿体質の東京ガスは仕方がないにしても、せめて行政は納税者である県民をテロリストと同一視するのは一刻も早くやめてもらいたいものです。
【ひらく会情報部・東京ガス高圧導管敷設問題研究班】