市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【太田市の闇】太田市韮川西小学校の跡地利用に関する利権疑惑について市長への公開質問と回答内容

2021-04-21 22:46:00 | 県内の税金無駄使い実態
■太田市に韮川西小学校という学校があります。今年4月1日に北の杜学園という小中一貫義務教育校が開校するのにともない、太田北中(3月12日閉校)、太田東小(3月24日閉校)とともに統合されるため、3月24日をもって閉校となりました。


2021年3月に閉校となった韮川西小学校。すぐ北隣に学校法人太田アカデミーの太田情報商科専門学校と太田医療技術専門学校がある。

 少子化に伴い、山間部での小中学校の統合の動きは最近、目立つようになり、群馬県内では、みどり市が2020年4月から、あずま小学校・東中学校を一貫校化しました。これは両校の施設がそのまま併存する「併設型」を採り、隣り合う両校で連携を取りながら、充実している英語教育などの特色を生かした教育の提供を目玉としています。また、桐生市では、来年2022年4月の開校を目指して、黒保根小学校と黒保根中学校を統合した施設一体型の義務教育学校の開校に向けて準備を進めています。

 こうした中、人口の多い太田市でも小中一貫義務教育校がスタートしたわけです。しかし、これに伴い閉校となった学校の跡地利用に関して不可解な話が持ち上がっています。先日、太田市では市長選挙(4月4日公示、同11日投開票)が行われ、現職の清水聖義市長が全国最多の8選を果たし、「公民連携で外国人技術専門校やスポーツ施設の誘致に取り組む」と当選の抱負を語ったばかりです。この発言の背景には、昨年12月2日の太田市定例市議会で、太川陽一市議の一般質問に対して、清水市長が、太田東小の跡地にJICAと連携した外国人技術専門校のプランと、韮川西小の跡地にスポーツ施設の設置構想について語った事実があります。

 とりわけ韮川西小の跡地利用について、清水市長は「もう一つは、当然のことながら、学校が1つになりますから、校庭が狭くなるということはもう百も承知でありますので、韮川西小学校は、できれば悠然たるスポーツ施設を造る。子どもたちが放課後とか、あるいは授業時間でも、ちょっと遠いですけれども行って、今よりもずっとすてきな環境の中でスポーツをするというようなことを中心とした、あるいは、もっと考えれば、スポーツアカデミー。今、運動公園なんかでありますけれども、あの中で主体的に運営させる、いわゆるスポーツの子どもたちの拠点を加えて利用していきたい。両方とも教育を主眼にしたものにしていきたい。今探っているのですけれども、結構早く実現できる可能性があるのです。今ここで発表することはできないのですけれども、あるのです。」と極めて踏み込んだ答弁をしていました。

■ところが、跡地利用方法について、太田市民に対するアナウンスは、市から全くありません。一方、地元では、韮川西小の跡地のすぐ北隣りにある太田情報商科専門学校が、跡地を狙っているという情報が飛び交っています。そのため、清水市長が市議会で答弁していたスポーツアカデミー構想について、住民の皆さんは「おやっ」と意外視する向きも多くいました。

 こうした中で、最近になって驚くべき情報が飛び込んできたのです。その仰天情報とは、市のスポーツアカデミーが使うのは表向きで、実際は専門学校のグランドと体育館になるというのです。しかも、専門学校側がすでに関東建設工業に設計依頼をしているらしいというのです。

■ここで脳裏をよぎるのが「清水聖義市長」+「関東建設工業」+「太田情報商科専門学校」というキーワードです。というのは、この3者の繋がりといえば、太田駅南口の再開発ビルが、関東建設工業子会社のイズム鉱業と白百合学園(太田情報商科の母体)が主体で、太田市の補助も入って建設された結果、竣工後にこの再開発ビルが実上の関東建設工業本社ビルとなっている例が挙げられるからです。この事実からしても、今回飛び込んできた情報が妙に信ぴょう性が高く、キナ臭い話であることは否定できません。
※2015年3月4日:太田駅南口開発~「15階建てマンション」と「8階建て商業、オフィス、駐車場」を計画
https://www.kensin-gunma.com/news/2121/

 仮にこの情報が事実である場合、太田情報商科が太田市に応分の負担をするのであれば太田市役所としては良しとするのかもしれません。しかし太田駅南口の再開発という前例もあり、老獪な清水市長と、県内でも著名なゼネコンと、北関東最大規模の専門校を運営する白百合学園の組み合わせからすると、裏でどのような密談が交わされているのか、一般市民には分かりません。

 ちなみに、白百合学園は、1992年に群馬県認可を得て、群馬県太田市に新法人を設立し、足利コンピュータアンドデザイン専門学校より分離独立して、学校法人太田アカデミー太田情報商科専門学校をスタートさせており、2002年には、 群馬県認可により群馬県太田市に、学校法人太田アカデミー太田医療技術専門学校を開校しています。

■それなので、清水市長が破格の使用料で、白百合学園の太田アカデミーが経営する太田情報商科専門学校に貸したり、維持管理は税金で賄ったりするなど、同専門学校を利する約束をしないかどうか、非常に気がかりなところです。

 仮に、同専門学校側からの依頼で、関東建設工業がすでに動いているのが事実とすれば、なぜそのようなことができるのか? 太田市に公金だけ払わせて整備させ、あとで果実をせしめるつもりなのか? 太田市も、関東建設に言われるがままに動いてはいないか? その裏に、変な密約があるのではないか? さまざまな憶測が生じできます。

■そのため、当会では、こうした地元の皆さんの疑念を晴らすために、市長選挙期間中の4月9日付で次の内容の公開質問状を太田市長あてに提出しました。

*****4/9公開質問状*****ZIP ⇒ 20210409csj.zip
                         令和3年4月9日
〒373-8718 群馬県太田市浜町2番35号
太田市役所
市長 清水 聖義 様
電話:0276-47-1111(代表)FAX:0276-47-1888(代表)

          〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
          TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
             090-5302-8312(代表・小川)
          FAX: 027-224-6624

        太田市韮川西小学校の跡地利用に関して

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。その活動方法としては、行政事件に関わる住民監査請求や住民訴訟にまで及ぶことがあり、そのための情報の入手手段としては、住民等からの情報提供のほか、行政への公開質問や情報開示請求等を活用しております。
 さて、太田市韮川西小学校は、今月4月1日に北の杜学園という小中一貫校になるため廃校となりました。この韮川西小学校の跡地利用について、以下の質問があります。

                記

【質問1】
 跡地利用方法についてお聞きします。
 ちなみに、先日の新聞報道で、市で行っている太田スポーツアカデミーの施設になると報道されました。また、太田市議会令和2年定例会で、12月2日に大川陽一市議の「太田東小学校及び韮川西小学校の跡地利用について」と題する一般質問に対して、清水聖義市長が、「韮川西小学校は、できれば悠然たるスポーツ施設を造る。子どもたちが放課後とか、あるいは授業時間でも、ちょっと遠いですけれども行って、今よりもずっとすてきな環境の中でスポーツをするというようなことを中心とした、あるいは、もっと考えれば、スポーツアカデミー。今、運動公園なんかでありますけれども、あの中で主体的に運営させる、いわゆるスポーツの子どもたちの拠点を加えて利用していきたい」と自ら答弁されております。
 跡地利用について、太田市から市民に全くアナウンスがありませんが、どのような跡地の利用方法を市としてお考えでしょうか?

【質問2】
 韮川西小学校跡地に北側には、いずれも学校法人太田アカデミーの太田情報商科専門学校と太田医療技術専門学校が位置しています。
 地元では、学校法人太田アカデミーが韮川西小学校跡地利用にかかわるのではないかとする見方がされていますが、上記の市長の答弁からうかがえるように、太田市は、一般財団法人太田市文化スポーツ振興財団のおおたスポーツアカデミーの施設として利活用する方針なのでしょうか?

【質問3】
 当会の調査によれば、おおたスポーツアカデミーが使うのではなく、やはり地元の情報として、実際は学校法人太田アカデミーが運営する専門学校のグラウンドと体育館として跡地利用がなされるという見方が有力です。
 すでに、専門学校側では、ゼネコンの関東建設工業に設計依頼をしているとする情報もあります。
 この根拠として、太田駅南口第二地区第一種市街地再開発事業において、施行者として学校法人白百合学園(太田情報消化専門学校の母体)とイズム鉱業株式会社(関東建設工業の子会社)が加わり、市から巨額の補助も投入して再開発ビルが建設されましたが、事実上の関東建設工業本社ビルとなっている例が挙げられます。
 太田市では、すでに専門学校側が今後を見越してちゃくちゃくと設計依頼など準備をしているという情報を関知されていますでしょうか?

【質問4】
 仮に上記の情報が事実であった場合、専門学校側が太田市に応分に適正な負担をするのであれば、太田市としては良しとされるのかもしれません。しかし、破格の使用料で貸したり、維持管理を税金で行ったりするなど、不当な便宜供与を専門学校側に与えるようなことがあってはなりません。太田市としては、どのような場合でも、特定の個人・法人からの影響を受けることなく、また利することなく、公正、公明、透明性を保持しながら、跡地の利活用に向けた施策を行う決意をお持ちでしょうか?あらためて、お聞きしておきたいと存じます。

 以上、よろしくお願いします。なお、回答については、大変勝手ながら、書面で2021年4月23日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。

                                 以上
**********

■そして、回答期限日の4月16日の提示直前の午後5時28分に太田市長名で同市企画部行政推進課から次の内容の回答FAXが届きました。

*****4/16太田市長からの返信FAX*****ZIP ⇒ 20210416cs.zip
2021年4月16日17時28分  太田市役所             NO.4691  P.1

       太田市企画部行革推進課
         FAX 送信書
令和3年4月16日
送信先:FAX:027-224-6624
    市民オンブズマン群馬
         代表 小川 賢 様
件 名:太田市韮川西小学校の跡地利用に係る質問書に対する回答について
    2枚(本状含)
説 明:令和3年4月9日付け質問書について、回答送付申しあげます。
発信者:太田市役所企画部行革推進課
    〒373-8718 群馬県太田市浜町2番35号
                TEL 0276-47-llll(代表)
                   0276-47-1811(ダイヤルイン)
                         内線 2243
                FAX 0276-47-1885

=====回答=====
                   令和3年4月16日
市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 様

  太田市韮川西小学校の跡地利用に係る質問書に対する回答について

                   太田市長 清水聖義

 令和3年4月9日付け上記質問に対しまして下記のとおり回答いたします。

               記

 市長の発言については、市議からの一般質問を受け、市長の考える構想に基づき対応したものであります。市民へのアナウンスについては、現段階で実施しておりませんが、これを踏まえ今後、市民と対話を図り、ジュニア育成、市民スポーツ振興の拠点 として、官民連撫による取り組みを始めとする跡地利用について、各種調査研究をして参りたいと考える所存であります。
 よって、現段階において市役所外部の動向については、一切関知しておらず、お答えする内容は持ち合わせておりません。
 また、ご心配頂いております件については、公平公正な対応に基づく市民との対話を図り、議会の承認を受け、市民に開放された跡地利活用を図って参りたいと考えております。
 この度は、肯重なご意見、誠にありがとうございました。今後とも太田市政についてご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

                     〒373-8718
                     群馬県太田市浜町2番35号
                     太田市役所企画部行革推進課
                     TEL:0276-47-1811
                     FAX:0276-47-1885
**********

■わずか12行の回答文ですが、ご覧のとおり、「知らぬ・存ぜぬ」の一点張りです。当会の指摘内容について、まともに答えられないところを見ると、やはり当会に飛び込んできた情報は、的を得ている可能性が高いように思えます。

 引き続き、8期目となる清水市政の動向に目を離さず、住民の皆さんとともに監視を続ける必要性を痛感します。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報:太田市長選の報道記事
**********朝日新聞デジタル2021年4月13日09:06
太田市長選で現職・清水氏が当選 全国最多の通算8選

当選が決まり、支持者から花束を贈られる清水聖義氏=群馬県太田市飯田町


 太田市長選は11日、投開票され、現職の清水聖義氏(79)が、NHK受信料を支払わない方法を教える党の町田紀光氏(41)、東外喜夫氏(71)の新顔2人を下し、5選を果たした。合併前の旧市を含めた通算で全国最多の8選となる。当日有権者数は17万4971人。投票率は29・56%(前回41・95%)で県内の首長選では過去最低だった。
 旧市を含め25年超に及ぶ清水市政への評価が焦点となった。事実上の信任投票だったが、清水氏の得票率は前回市長選を大きく上回る84・51%に達した。
★投票率3割「張り合いがない」★
 当選後、清水氏は「(低投票率に)張り合いがない。住民サービスを手厚くしても投票行動に結びつかない。残念でがっかりだ」と語った。多選を問われると「批判は聞かない。意識もしていない」とかわし、今後については「人口減少で税収がどんどん増える時代でもない。公民連携で外国人技術専門校やスポーツ施設の誘致に取り組む。小さな支出で大きなサービスを提供するというスタンスを貫きたい」とした。
 選挙戦で清水氏は、27人の支援市議団とともに市内全域での街頭演説に連日繰り出し、支持を広げた。
 町田氏は藪塚温泉のブランド強化や小中学校の給食無償化を、東氏は市長給与の引き下げや市長退職金の廃止などをそれぞれ訴えたが、浸透しなかった。(長田寿夫)

**********群馬テレビ2021年4月11日
選挙会報速報 太田市長選挙
立候補者 3人 投票率 29.56% 開票率 100%
氏名/年齢/所属/得票数
清水聖義(しみず まさよし)/79歳/無所属・現/41,921 当選
町田紀光(まちだ としみつ)/41歳/N党・新/5,078
東外喜夫(ひがし ときお)/71歳/無所属・新/2,605
**********

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【高専過剰不開示体質是正訴訟・第一次訴訟控訴審】反撃試みる機構と書面応酬の末、4/14第2回弁論で結審!

2021-04-21 01:33:00 | 群馬高専アカハラ問題

言わずと知れた高専機構御用達である銀座の田中・木村法律事務所の代表、木村美隆(きむら よしたか)弁護士。イープラ宅建・講師紹介ページ(https://www.epla-takken.jp/kyouzai/koushi_staff/)より引用。名目上事務所の共同使用者である田中和弁護士はすでに法曹界を退き、今は事務所名にその痕跡を残すのみの模様。高専機構からの裁判文書では毎度、筆頭代理人として一番上に載った名前の横に立派なハンコが押されているが、出廷役はすべて下っ端の藍澤弁護士に押し付け、過去5年間で一度も裁判所に姿を見せたことはない

■国立高専校長の選考実態、群馬高専J科アカハラ情報不開示取消訴訟の弁護士費用、長野高専連続自殺の発生年月日などなど、高専組織が執拗に黒塗りにこだわる「都合の悪い」情報は枚挙にいとまがありません。当会では、そうした悪質な不開示処分の取消しを求めて2019年10月に高専機構を提訴しました(第一次訴訟)。その第一審(東京地裁)において、卑怯な法廷戦術の嵐やコロナ禍での長期中断を乗り越えた果てに待っていたのは、ありとあらゆる理屈を総動員して被告高専機構の杜撰極まる言い分を片端から素通しし、ごくわずかの勝訴部分を除いて当会の全面敗訴というあからさまな不当判決でした。

 本件に注目を寄せる高専関係者の方々からの憤りとエールが続々寄せられたため、当会では本件を東京高裁に控訴する決断をしました。当会から控訴状と控訴理由書を提出すると、被控訴人となった高専機構からは相変わらず強弁まみれの控訴答弁書が3月9日に提出されてきました。

 そして3月17日に開かれた初回口頭弁論当日、被控訴人高専機構のあまりに杜撰な主張に対して高裁裁判官から矢のような指摘が相次ぎ、なんと異例の審理継続となりました。

○2020年11月25日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】第一次訴訟98%敗訴・第二次訴訟全面敗訴のダブル不当判決に仰天!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3244.html
○2020年12月10日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・報告】隠蔽体質追認のダブル不当判決に抗うべく東京高裁に両件控訴!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3252.html
○2021年1月31日:【高専過剰不開示体質是正訴訟】第一次訴訟控訴審の弁論日が3/17に決定&控訴人当会が控訴理由書提出
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3274.html
○2021年3月24日:【高専過剰不開示体質是正訴訟・第一次訴訟控訴審】機構側控訴答弁書と3/17初回弁論(審理継続)の様子
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3290.html

 訴訟指揮どおり、高専機構側から3月22日に主張補充の準備書面が出されてきたため、当会ではこの補充準備書面と控訴答弁書に対する再反論を作成し、2021年4月14日の第2回口頭弁論期日に臨むことにしました。

■控訴人当会による書面の提出期限を4月7日と約束していたので、当会では同月6日、以下の内容の再反論準備書面を東京高裁と被控訴人代理人弁護士事務所宛てに郵送提出しました。

*****4/6付再反論準備書面(オンブズ)*****ZIP ⇒ 210406itir.zip
令和2年(行コ)第251号 法人文書不開示処分取消請求控訴事件
 控訴人   市民オンブズマン群馬
 被控訴人  独立行政法人国立高等専門学校機構

               準 備 書 面
                               令和3年4月6日

東京高等裁判所第17民事部ニ係  御中

                         控訴人 市民オンブズマン群馬
                          上記代表   小川 賢  印

 被控訴人の令和3年3月9日付け答弁書(以下「控訴答弁書」という。),及び同月22日付け準備書面(以下「被控訴人準備書面1」という。)における主張について,控訴人は以下のとおり反論する。

                    記

1 「控訴の理由に対する反論」1項および被控訴人準備書面1について
(1)被控訴人は,甲第47号証で部分開示された国立高等専門学校長候補者一覧(以下「一覧表」という。)のうち平成23年から同28年分につき,控訴人の請求・主張に対して争うとする。その理由として,国立高専校長候補者のバックグラウンドが高等専門学校や国立大学の教授,文部科学省や国立の研究所といった複数の場合に分けられるため,候補者が細目番号①ないし②のうちどちらに記載されているか,各表の形式からは明らかにならないとする。
 しかしながら,控訴人が指摘しているとおり,記載項目名の違いからして,少なくとも,学校にあたらない機関を前職ないし推薦機関とする候補者が,細目番号②の表に記載される可能性のないこと,したがってこれら候補者が細目番号①に分類されるほかないことは明らかである。一方,細目番号②の表について,学校にあたる機関の出身者しか載せようがないこともまた明らかである。
 特に,平成26年から同28年分の一覧表に着目すると,細目番号①の標目は「国立高等専門学校長候補者一覧」となっている一方,細目番号②の標目は「国立高等専門学校長登用候補者名簿」となっていることがわかる。すると,細目番号②の一覧表において,わざわざ標題を使い分けてまで,「登用」の要素が強く意識・区別されていることは明らかである。「登用」という語が通例,現場経験が極めて豊富な低位者を官職に取り立てる意味で用いられるという常識的事実と,これら一覧表が国立高等専門学校という教育研究機関の長を選ぶ際の名簿である事実を考え合わせれば,細目番号②の一覧表が特に(教育研究の現場経験が豊富な)高専・大学等の教員出身者を主に取り扱うことが念頭とされているのは明らかである。他方において,細目番号①の一覧表は,「登用」の要素がそれほど強く意識されない候補者,たとえばすでに他機関において高位職にある者など,組織運営に長けた候補を取り扱っていることが強く推知できる。細目番号①,②のこうした趣旨の違いは,(一貫する記載項目名の違いからして)平成25年以前分においても同様と考えられる。
 そうなると,細目番号②の一覧表が学校(高専・大学等の教育研究機関)の現場出身者を集中的に取り扱っており,細目番号①がそれにあたらない者を取り扱っているというように,現状においてすでに相当の確度をもって各一覧表の記載分類は推知できるのであって,各一覧表が扱う推薦機関の種別の表示を明かしても法5条4項ヘにいうおそれが生じないことは明らかである。
 また,被控訴人自身も認めるとおり,高専の校長の前職が高等専門学校や国立大学の教授,文部科学省や国立の研究所といったように多岐にわたるのに対して,これらを細目番号①②のたった2つに集約してまとめた一覧表の分類が,相当に大雑把なものであることは明らかである。すると,この分類種別のみを明かしたところで,特定の機関についての校長採用割合を把握することなど到底不可能であり,「推薦機関ごとの校長採用の割合を推測することが可能となる」などとする被控訴人の危惧には一切根拠がない。

(2)また被控訴人は,被控訴人準備書面1の2項において,一覧表のうち平成29年分について,細目番号①,②について,(それ以前のものとは違い)一覧表の項目名に違いがないことを指摘し,平成28年以前の一覧表と比べ,記載内容を推知することが難しい旨を指摘する。
 標題にある「平成29年4月付け」とは,当然に平成29年4月付け就任分の校長候補者にかかる一覧表であることを示し,当然その選考は平成28年度内に行われている。また,この選考業務は,被控訴人内の校長選考委員会が担っている(甲8)。
 ここで,控訴人は,平成28年度内に行われた校長選考委員会の会議について,その議事要旨を法人文書開示請求により入手している(甲51)。当該議事要旨を確認すると,同年度内に会議は計4回開催されていることがわかるため,順を追って内容を検討する。
まず,第1回議事要旨内に「国立大学及び高専から推薦のあった校長候補者」9名を書類選考通過者とする旨の記載が認められる。これは,平成29年分一覧表のうち細目番号①②の合計記載人数とちょうど等しい(細目番号①:5名,細目番号②:4名)。他の回の記事要旨の内容も加味すれば,この年は国立大学及び高専のみからしか推薦がなく,そのため前年までの区分を使わず,国立大学と高専からの推薦者で区分していることが明らかである(それ以外に区分の方法はない)。
 またこれから,細目番号①②の区分が「国立大学からの推薦者」「高専からの推薦者」の二択になるところ,実際の平成29年度4月分校長就任者の内訳は国立大学出身者5名・高専出身者4名であり(甲52),控訴理由1項(2)と同様の推知の仕方を用いれば,細目番号①が「国立大学からの推薦者」,細目番号②が「高専からの推薦者」を扱っていることが明らかである。
 さらに,同年度第4回会議議事要旨によると,他の候補者内定から約2か月遅れて,高専からの推薦者1名について追加で書類審査・面接審査を行い,選考通過としたことがわかる。すると,平成29年分一覧表のうち細目番号のない1名分については,明らかにこの「高専出身」の追加候補1名を記載したものであることに疑いの余地はない。するとこの分についても,一覧表が扱う推薦機関の種別の表示は自明である。
 以上から,平成29年分の一覧表について,各一覧表が扱う推薦機関の種別の表示は事実上明らかであり,これを明かしても法5条4項ヘにいうおそれが生じないことは明らかである。

(3)また被控訴人は,被控訴人準備書面1の3項において,平成30年以降の一覧表では,細目番号が付されていない1名のみの表が混じっており,また推知に用いる分類が正確かも不明であることを主張する。
 しかしながら,まず少なくとも,細目番号の付された一覧表の区分について,平成29年分や平成28年以前分のような形からいきなり極端に分類方法が変化していると推認するに足る合理的な根拠はない。被控訴人は,一覧表の項目Noにどの程度の意味があるかも甲第47号証で開示された一覧表からは不明である旨を主張するが,控訴人は主に細目番号による区分の話をしているのであって,当該主張は無意味な話のすり替えに過ぎない。
 さらに被控訴人は,実際の平成30年の一覧表が5種類に分けられ,分類の仕方が控訴人の想定と異なる可能性があることを主張する。
 しかしながら,上記で触れた平成29年分の経緯からするに,細目番号を振られていない1名分の表については,未知の別分類が用いられているわけではなく,たんに追加で選考が行われた候補者が記載されているだけに過ぎない可能性が高く,基本となる分類について大きな変更を生じているわけではないことが強くうかがえる。こうした経緯については,同様に校長選考委員会の会議議事要旨を確認すれば容易に判明しうるうえ,仮に控訴人の推知を覆すような特殊な区分方法が実際に用いられているのであれば,現実にそうである旨を断言して主張すればよいところ,被控訴人は抽象的な可能性の話を繰り返しており,その主張が採用に値しないことは明らかである。

(4)被控訴人は,甲第47号証の一覧表のうち,実際に校長に就任した者の情報を開示した場合には,その記載内容が明らかとなることで被控訴人における校長の選考において重視される項目が推測され,校長の選考に関する自由な議論が阻害されるおそれがある旨を主張する。
 しかしながら,甲第47号証の一覧表は,被控訴人内部において候補者各人の概要を簡略な表にしてまとめ,一瞥して把握できるようにしただけのものであることは明らかである。各欄の記載項目は,候補者の氏名・性別・生年月日のほか主要な学歴・経歴など,いたって常識的かつ最低限の事項ばかりである。そして,一覧表における各欄のスペースも明らかに必要最低限の大きさであり,多く見積もっても十数字から数十字程度分であることからすれば,必要最低限の主要事項を端的に記載するだけで各欄は埋まってしまい,到底,校長選考を左右するような特別の考慮事項を記載できるようなものでないことは明らかである。
 被控訴人における校長選考業務にあたっては,推薦機関からの推薦書や,候補者本人の実績・経験・能力,職務に対する意欲・熱意がわかる詳細な履歴書や抱負文といったものが参照されていることは,被控訴人自身認めるとおりである(甲8)。そうした詳細な資料を差し置いて,極めて記載事項の限られた一覧表が校長選考の帰趨を決めているとは到底考え難い。
 また,各一覧表の取り扱う推薦機関の種別を明らかにしても法5条4号ヘにいうおそれが生じ得ないことは上記指摘のとおりであり,また,一覧表が大まかな区分を用いている以上,一覧表に一部含まれている実際の校長就任者にかかる情報を開示したとしても,特定の機関についての校長採用率といった情報は依然判明しえないのであって,この観点からしても被控訴人のいう危惧は当を得ない。

 以上から,控訴状別紙1項の情報は,いずれも開示することで法5条4号ヘにいうおそれを生じさせる情報ではないことは明らかであって,被控訴人の主張には理由がない。よってこの点,原判決は失当であるから,速やかに取り消されるべきである。


2 「控訴の理由に対する反論」4項について
 控訴人は,過去の判決確定事件について,かつて被控訴人が訴訟代理人に支払った弁護士費用の額だけが判明しても,その(算出・評価上の)内訳が明らかにならないのであれば,競争上の利益を害しないと説明を重ねてきた。ところが,被控訴人はその反論として,「控訴の理由に対する反論」4項で,「『合計金額』,『支払金額』のみを明らかにした場合でも,被控訴人が訴訟代理人に支払った弁護士費用の額を容易に推測することが可能となる」などと主張する。控訴人が,「弁護士費用の額が判明しても」と主張しているにも関わらず,「弁護士費用の額を容易に推測することが可能となる」などと応答するのが,論理的な反論になっていないことは明らかである。加えて,控訴人が開示を求める合計金額・支払金額は,「容易に推測する」までもなくまさに弁護士費用の額そのものの情報なのであるから,被控訴人の当該主張は率直にいってまったく意味を成していないものである。


3 「控訴の理由に対する反論」5項について
(1)関連他文書との照合によっても時期特定が可能であること
 控訴人は,甲7の事件・事故等発生状況報告書等の関連文書についても長野高専より開示決定を受けている。そして,そうした関連文書に記された内容によっても,記載のある事件の発生時期が特定可能である。
 たとえば,「事件・事故等発生状況報告書【最終報】」のうち7枚のものについて,その2頁目に,16時15分から19時52分までリスク管理室会議を行った旨の記載がある。そのリスク管理室会議の議事概要(甲53)を実際に確認すると,黒田校長(当時)をはじめとする当時の学校幹部の陣容が冒頭に列記されているが,これを実際の同校の役職員名簿の推移(甲54)と照合すると,合致するのは平成24年度しかないことから,「事件・事故等発生状況報告書【最終報】」のうち7枚のものにかかる事件は平成24年度に発生していたことが明らかである。
 また,「事件・事故等発生状況報告書【最終報】」のうち2枚のもの(原判決は「4枚のもの」としているが誤りである)についても,1頁目で言及されているリスク管理室の議事概要と同会議内資料(甲55)を確認すると(経緯等記載内容が一致しており同一の事件を取り扱った文書であることは明らか),これも同様に当時の同校幹部の陣容が記載されており,合致するのは平成24年度しかないことから,「事件・事故等発生状況報告書【最終報】」のうち2枚のものにかかる事件は平成24年度に発生していたことが明らかである。
 このように,事件発生時期は別途開示資料の記載内容からもおおまかには確定できる情報なのであって,すでに公衆が知り得る状態に置かれているものと考えられる。すると,法5条1号ただし書イが適用されるべきであり,法5条1号本文の規定を理由に発生年からすべて不開示とする被控訴人の主張は,明らかに失当と言わざるをえない。

(2)また,控訴人はかつて,同じく被控訴人の設置する群馬高専に対しても所属学生の自殺事件に関する内部調査書等の(法に基づいた)開示を受けた経緯があり,この際には,同様報告書における記載事項のうち,年月日はおろか時刻までの情報が開示されている(甲56)。同一独立行政法人内にも関わらず,このように開示・不開示の基準が異なるのでは,行政処分に求められる公平性や一貫性の観点から極めて問題である。控訴状別紙5項に掲げる年月日等情報は,被控訴人がいったん「不開示情報ではない」と見なした情報なのであり,これを不開示とすることは,不開示情報が記録されている場合を除き原則開示とすることを定めた法5条に違反するというべきである。

 以上の観点からしても,控訴状別紙5項に掲げる年月日等情報が,法5条1号本文の個人識別情報に該当し,また他の阻却事由に該当しないとした原判決は不当なものであり,取り消しが妥当である。


                                  以上
**********

●証拠説明書 ZIP ⇒ 210406itir.zip
●甲51号証 ZIP ⇒ b51h28nxzilc.zip
●甲52号証 ZIP ⇒ b52h29.4zl.zip
●甲53号証 ZIP ⇒ b53201207p1exn.zip
b53201207p2exn.zip
b53201207p3exn.zip
b53201207p4exn.zip
●甲54号証 ZIP ⇒ b54h2225.zip
●甲55号証 ZIP ⇒ b55201204p1exn.zip
b55201204p2exn.zip
b55201204p3exn.zip
●甲56号証 ZIP ⇒ b56qnaejej.zip

 以上のとおり、この再反論準備書面では、主に過去の開示資料・公表情報と高専機構側の主張との不整合をより深く指摘していくことにしました。その後の郵便追跡によると、裁判所宛・高専機構代理人弁護士事務所宛いずれも、7日の昼前に受領されたことがわかりました。


■こうして、裁判長らによる訴訟指揮に基づいた再反論も無事に終え、あとは4月14日予定の第2回口頭弁論を待つだけ……と当会担当者らが思っていた矢先に事件は起こりました。口頭弁論たった2日前である4月12日の午後4時前になって、高専機構御用達の田中・木村法律事務所からの「準備書面」がいきなり当会事務局宛てにFAXされてきたのです。

●4/12付再々反論準備書面(高専機構) ZIP ⇒ 030412.zip

*****送付書兼受領書*****
2021年4月12日 15時42分 田中・木村法律事務所  No.8034 P.1

              準備書面等の送付書

                           令和3年4月12日

 下記のとおり書類をご送付いたします。
 受領書欄に記名・押印のうえ,この書面を当職及び裁判所宛FAX等でお送り下さい。

●送付先:
 東京高等裁判所第17民事部 ニ係  御中
 FAX 03-3592-0942
 控訴人  市民オンブズマン群馬  御中
 FAX 027-224-6624

●発信者:
 〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目7番1号 江島屋ビル7階
     被控訴人訴訟代理人弁護士  木  村  美  隆
 TEL:03-3573-7041 FAX:03-3572-4559

●事件番号:令和2年(行コ)第251号
●当事者名:
 控訴人  市民オンブズマン群馬
 被控訴人 独立行政法人 国立高等専門学校機構
●次回期日:令和3年4月14日(水)午前10時

●文書名:準備書面(R3.4.12付)

●送信枚数:2枚(送信書を除く)
●相手方への送信の有無:有

=====受領書=====
               受 領 書
東京高等裁判所第17民事部 ニ係  御中 (FAX:03-3592-0942)
被控訴人代理人 弁護士 木村美隆 宛  (FAX:03-3572-4559)

 上記書類を受領しました。
  令和 年 月 日
     控訴人

 通信欄:本FAXを正式書面として受領ください。
**********

*****4/12付再々反論準備書面(高専機構)*****
令和2年(行コ)第251号
 控訴人  市民オンブズマン群馬
 被控訴人 独立行政法人国立高等専門学校機構

             準 備 書 面

                           令和3年4月12日

東京高等裁判所第17民事部ニ係  御中

                   被控訴人訴訟代理人弁護士  木 村 美 隆
                        同        藍 澤 幸 弘

                  記

平成29年4月付校長候補者一覧について
 控訴人は,4月6日付準書面(ママ)1項(2)において,平成29年度の校長選考に関する議事録及び実際の就任人数から,平成29年4月付校長候補者一覧の分類内容は明らかであると指摘する。
 年度により校長候補者の人数や,各推薦機関の構成,推薦人数に違いがあることは当然であり,校長候補者の構成や人数が比較的単純であり,一覧に記載された校長候補者の推薦母体が推測しやすい年度が生じうることは避けられない。しかし,このことを理由に当該年度の分類内容やその表現(たとえば,「国立大学法人」や「外部推薦分」といった表記)を明らかにした場合には,当該年度のみならず他年度の候補者一覧の分類方法や一覧表の構成をより正確に推測することが可能となるおそれがある。これにより,候補者を推薦した推薦機関や推薦機関別の候補者の多寡を判断することができるようになり,推薦した者が王朝(ママ)に登用される可能性が低いことを危惧して,推薦機関が校長の候補者の推薦を躊躇するなどのおそれがあり,被控訴人の円滑な人事の確保に支障を来すおそれがあることになる。原判決も,整理Noにかかる情報のみでは具体的な推薦機関までは判明せず,校長に就任しなかった候補者の構成を推測することが可能となるものとはいえない(原判決20頁)としており,整理Noと推薦機関の種類をあわせて開示することを想定していないことは明らかである。
 そうである以上,平成29年4月付校長候補者一覧の分類内容が推定できることを,理由に校長候補者一覧の分類項目が法5条4号ヘの不開示情報に当たらないとする控訴人の主張には,理由がない。

                                以上
**********

■なんと高専機構側は、第2回口頭弁論の2日前になっていきなり、当会が開示を求める文書の中でも校長候補者名簿のさらにそのうち平成29年4月分に限って、滅茶苦茶な反論を言い立ててきました。

 平成29年4月分の校長候補者名簿に関しては、当会が上記の再反論準備書面で、当時の校長選考委員会の議事要旨を証拠にして絡めつつかなり具体的に反論していました。そのため、高専機構側としてもこのままでは苦しいと相当に慌てた様子がうかがえます。その尋常でない焦りぶりは、「準書面」「王朝に登用」など失笑モノの誤字連発にもよく表れています。

 しかし、高専機構側が勢いでまくし立てる「当該年度の分類を明かすと、他年度のそれにまで敷衍して推測され、よって業務運営に支障をきたす」などという屁理屈は、あまりにも無茶が過ぎます。

 控訴人当会は、そもそも校長候補者名簿の分類そのものが不開示情報にあたらないと指摘し続けているわけですから、「平成29年4月分に限って開示した場合」などという、謎に後退した前提を勝手に置かれる意味がわかりません。当会が再反論準備書面で平成29年4月分に限った反論を行ったのは、その前に高専機構側が「記載項目が異なる」などとして当該年度に限った主張をしたことに個別反論をしたに過ぎず、他年度分の不開示を認めたわけでもなんでもありません。

 「平成29年4月分は内容が異なるので他年度分のようには分類を推知できない」という趣旨で分割反論を試みてきたかと思えば、舌の根も乾かぬうちに「平成29年4月分だけでも明かせば他年度分の分類を推知される」などと自己矛盾した主張をしてくるのですから、話のすり替えの早さは一級品です。

 加えて言えば、事実上明らかになっている情報についてまで、「一部を明らかにすれば、他のすべても推測されてしまい、業務運営に支障をきたす」などという論法が通用してしまえば、もはや不開示情報の範囲は無限に拡大してしまいます。いわゆる情報公開法に基づいて文書開示を受けるのは国民の権利であり、開示機関による極めて恣意的な判断でこの権利が著しく侵害されてしまうような主張が認められるべきではありません。

■それにしても、内容面に並んで特筆すべきは、訴訟指揮どおり口頭弁論1週間前に提出した当会の再反論準備書面に対して、口頭弁論たった2日前に滅茶苦茶な反論を書き立てて送り付けてきた、訴訟指揮も裁判進行マナーも完全無視の必死な抵抗ぶりです。

 普通に考えて、反論事項があったとしても、口頭弁論の中で再反論機会を設けるよう正々堂々と裁判長に申し立てたうえで提出するのが筋のはずです。口頭弁論2日前の書面提出では、相手方が主張を精査して反論できないため公平性が損なわれるのはもちろん、期日直前の土壇場になって主張を読まされる裁判所の側にも迷惑がかかります。

 当会による「都合の悪い」主張を目にした田中・木村法律事務所のポンコツ弁護士陣は、口頭弁論中で反論機会を確保するよう申し立てることもできたはずです。にも関わらず、口頭弁論直前に大慌てで無理やり「反論」を駆け込み提出してきた様子からすると、当事者双方からどんな主張や申立てがなされたとしても、矢尾裁判長が第2回口頭弁論で結審とすることをかなり強く確信しているようすがうかがえます。

 なぜ裁判官の胸中にのみあるはずの訴訟指揮予定について木村・藍澤弁護士が「確信」できているのかはまったく不思議ですが、そうなると控訴人当会としても、結審前に更なる反論を取りまとめておく必要があります。

■そのため当会では、以下の内容の4月14日付け再々々反論準備書面(2)を急いで作成し、矢尾裁判長が結審を言い出した場合に緊急提出することにしました。

*****4/14付再々々反論準備書面(2)(オンブズ)*****ZIP ⇒ 210414itir2.zip
令和2年(行コ)第251号 法人文書不開示処分取消請求控訴事件
 控訴人   市民オンブズマン群馬
 被控訴人  独立行政法人国立高等専門学校機構

               準 備 書 面 (2)
                             令和3年4月14日

東京高等裁判所第17民事部ニ係  御中

                         控訴人 市民オンブズマン群馬
                          上記代表  小川 賢  印

 被控訴人の令和3年4月12日付け準備書面(以下「被控訴人準備書面2」という。)における主張について,控訴人は以下のとおり反論する。

                  記

 被控訴人は,被控訴人準備書面2において,「平成29年4月付校長候補者一覧について」などとし,一覧表のうち平成29年分で用いられた分類内容やその表現を明らかにした場合,他年度分の一覧表についてもその分類方法や構成を正確に推測することが可能になり,被控訴人の円滑な人事の確保に支障をきたすおそれがある旨を主張する。
 しかし被控訴人によるこの主張は,要旨,一覧表のうち平成29年分で用いられる候補者の分類方法が明かされ,一方でその余の一覧表について候補者の分類方法が不開示とされた状態,という特殊な想定を前提としたものと解されるところ,そもそも控訴人は,(法5条4号ヘ非該当性が概して明らかのため)年度を問わず,一覧表の分類方法にかかる情報全体についての開示を求めているのであって,被控訴人においていきなり勝手に設定したに過ぎない飛躍した前提状況を元に展開される上記主張は,詭弁に等しく,採用すべき価値は皆無と評さざるをえない。
 また,被控訴人の想定するであろう前提状況をあえて採用するにしても,上記主張が成立するためには,一般の第三者からして,一覧表のうち平成29年分で用いられている分類方法が,他年度にわたっても等しく用いられていることに強い蓋然性が認められなければならないはずである。ここで,控訴人が,4月6日付け準備書面1項(2)において,一覧表のうち平成29年分につき個別に主張を行っているのは,ただ単に,被控訴人が(3月22日付け)被控訴人準備書面1の2項において,当該年の一覧表がそれ以前のものとは記載内容の一部が異なっていること等を理由にして個別に主張を行ってきたことに対応したに過ぎないものであり,一覧表を総覧して平成29年が一定度特異な年であることは被控訴人自身認めているのは明らかである。すなわち,被控訴人自身のこうした個別主張事実や,控訴人が4月6日付け準備書面1項にて指摘した事実や経緯に鑑みれば,一覧表のうち平成29年分で用いられている候補者の分類方法がそれ以前の分類方法と異なっていることが強く推認される。すると,平成29年分のみにつき分類方法を明かしたところで,ただちに他年度のそれについても「より正確に推測される」状態におかれるとは到底いえない。
 加えて,被控訴人は,被控訴人準備書面2における主張が当を得たものであると示すため,最低限,一覧表の分類方法について年度間での差異の有無を言明すべきなのであって,それにも関わらず一貫して抽象的な可能性の話をもとに法5条4号ヘの「おそれ」を言い立て続ける被控訴人の態度は,信義則違反はもとより,法に基づき情報開示を受ける国民の権利を不当に侵害するものと断じざるをえない。このような極めて曖昧かつ抽象的な主張まで採用し,法5条4号ヘの「おそれ」を認定した場合,もはや(法に限らず)いわゆる情報公開法・情報公開条例に基づいた公文書・法人文書の開示請求一般において,開示実施機関が「円滑な業務・人事に支障をきたすおそれがある」とただ言い張るだけで,極めて恣意的に不開示が許されるような運用を認めるに等しい。その場合,文書不開示の範囲は極大化せざるを得ないのであって,いわゆる情報公開法およびその派生法・条例(法を含む)の趣旨,およびそれにより保障された国民の権利を根底から揺るがすも同然なのであって,被控訴人による曖昧で抽象的かつ根拠の示されない主張が認められるべきでないのは当然である。

                              以上
**********


■そして第2回口頭弁論当日となる4月14日を迎え、上記の再々々反論準備書面(2)を携えた当会出廷者が安中市の自宅を出て、最寄りの安中駅から高崎駅まで信越本線で移動し、そのまま朝8時15分発の北陸新幹線あさま608号に乗りました。



 車内に乗り込むと、長野方面からすでに乗ってきている乗客は相変わらず少なめでした。一方、車窓からホームに目をやると、高崎駅から乗車してくる乗客が目立ちました。それでも、高崎駅を出発した時の乗車率は3割程度でした。


東京駅に9時10分に到着

 群馬県を出た時はまだ曇り空でしたが、途中で熊谷駅・大宮駅・上野駅に停車した後、9時8分に東京駅に到着する段になると、雨がかなり強く降り始めていました。そこから地下鉄丸の内線に乗り換えて、霞ヶ関に到着したのは9時25分でした。





■階段を上がり地上に出ると、案の定かなり強く雨が降っていました。仕方がないので折り畳み傘をカバンから取り出し、それを差して裁判所構内に入りました。



 すると、左手の傍聴券配布コーナーに人だかりができていました。何の事件かと思い、近づいて案内板を見ると、係員が「IRの裁判です」と言ってきました。どうやら、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件において、収賄と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の罪に問われた衆院議員秋元司被告の公判が行われるようです。その傍聴希望者のための傍聴券の抽選が9時40分に行われ、当会の裁判と同じ午前10時から、1階の刑事法廷にて公判が開かれるようでした。当然、傍聴は不可能なので、パスして裁判所の建物に入りました。

 いつものように入口で手指のアルコール消毒を済ませたあと、手荷物検査と金属探知を受けて庁舎の中に入りました。

■その時点で、開廷までまだ30分程度ありました。特にやることもないので、まずはエレベーターで8階に上がり、東京高裁812号法廷の開廷表をチェックしました。

*****812号法廷(8階)開廷表*****
令和3年4月14日 水曜日
●開始/終了/予定:10:00/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(行コ)第251号/法人文書不開示処分取消請求控訴事件
○当事者:市民オンブズマン群馬/独立行政法人国立高等専門学校機構

●開始/終了/予定:10:30/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第4349号/交通事故後遺障害損害倍請求控訴事件
○当事者:黒澤隆徳/あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
●開始/終了/予定:11:00/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第4208号/不当利得返還等請求控訴事件
○当事者:川本富淑/上村美穂
●開始/終了/予定:11:30/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第4370号/損害賠償等請求控訴事件
○当事者:亡横田椿三訴訟承継人亡横田裕三訴訟承継人亡横田道夫訴訟承継人横田秀夫/田邊ちづ子
●開始/終了/予定:13:20/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第1084号/損害賠償請求控訴事件
○当事者:佐々木亮/選定当事者小山賢三 外
●開始/終了/予定:13:20/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第2104号/損害賠償、債務不存在確認請求控訴事件
○当事者:野澤信明/吉屋有起 外
●開始/終了/予定:13:20/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第2208号/売買代金等請求控訴事件
○当事者:新電力株式会社/中利ソーラーポールディングス株式会社
●開始/終了/予定:13:20/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第2226号/不当利得返還請求控訴事件
○当事者:小武守一司/アコム株式会社
●開始/終了/予定:13:20/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第2663号/貸金請求控訴事件
○当事者:株式会社ニューウェーブ/山中細美
●開始/終了/予定:13:20/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(行コ)第69号/法人税更正処分等取消請求控訴事件
○当事者:株式会社ジェイイーティファーム/国 全国農業協同組合連合会 外
●開始/終了/予定:13:20/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名:令和2年(行コ)第109号/分限免職処分取消請求控訴事件
○当事者:中島清行/東京都
●開始/終了/予定:13:30/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和2年(ネ)第4443号/彫刻作品返還、費用償還等請求控訴事件
○当事者:榎本潔/君崎譲二
●開始/終了/予定:14:00/第1回弁論
○事件番号/事件名:令和3年(ネ)第43号/共有物分譲請求控訴事件
○当事者:加藤諠秀/加藤秀夫
この他4件の民事裁判事件の第1回弁論あり。
■東京高等裁判所第17民事部 裁判所裁判官 矢尾 渉
                  裁判官 橋本英史
                  裁判官 三浦隆志
                  裁判官 今井和桂子
                  裁判官 田中一隆
                  裁判官 中島 崇
               裁判所書記官 石橋一郎
**********

 口頭弁論の場所と時間に間違いがないことが確認できたので、法廷が開けられるまで奥の待合室で待機していました。すると、数名ほどがガヤガヤと法廷の前に集まる気配がしました。向かい側の法廷でも午前10時から弁論があるようです。

 開廷12分前になり、812号法廷の傍聴席ドアの覗き窓を開けてみましたが、まだ鍵もあかず、法廷内部は照明も点けられていませんでした。再び待合室に戻り、7分前になってまた覗き窓を開けると照明が点いていました。そこで、中に入るために傍聴席入口ドアのノブを回そうとしたところ、中から同じようにノブを回す音がしてドアが開けられ、書記官がバッタリ目の前に現れました。挨拶をしてさっそく中に入り、傍聴席と法廷を隔てる木柵の中央にある小机の上に置いてあった出頭カードに控訴人出廷者の氏名を大書して、法廷内に入りました。

 するとまもなく、口頭弁論開始5分前になって、被控訴人高専機構の訴訟代理人である藍澤弁護士が、機構本部の職員1名と共に傍聴席の入口ドアから入ってきました。書記官が「木村先生は?」と藍澤弁護士に訊くと、藍澤弁護士は「来てません」と手を顔の前で左右に振るしぐさをしました。

 一緒に付いてきた高専機構本部の職員は、傍聴席中央側の前から2番目の列に着席しました。男性で眼鏡をかけており、ダークスーツを着て、濃紺と青の斜めのストライプが入ったネクタイを締めていました。3月17日の前回弁論で来た職員ではなく、第二次訴訟控訴審の方の3月9日弁論で来た職員と同一のようでした。その職員は、着席するなりカバンからノートを取り出し、メモの準備をしていました。

■定刻の10時となり、矢尾裁判長が陪席裁判官2名を率いて法廷に入ってきました。いつものように全員起立してお辞儀をしました。傍聴者は高専機構本部からのお付き職員1名だけです。

 書記官が「令和2年(行コ)第251号」と事件番号を読み上げると、弁論が始まりました。

 裁判長が冒頭に「おはようございます」と挨拶をしてきたので、控訴人(当会出廷者)も「おはようございます」と声を返しました。被控訴人訴訟代理人の藍澤弁護士は、相変わらず不愛想な表情です。

 裁判長は「では、続行の弁論を行っていきます。まず控訴人側から。ちょっとあの、前後しますが、4月6日の準備書面陳述でよろしいですかね?」と、当会出廷者に向かって確認を求めてきたので、「はい、陳述いたします」と答えました。これで、4月6日の準備書面を全て口頭陳述したことになります。

 続いて裁判長は「被控訴人が、3月22日付と4月12日付……」と言うなり、被控訴人に陳述を求めることなく当会出廷者の方を向いて、「これは届いていますかね? 4月12日付けとなっていますが」と控訴人に受領確認を求めてきました。高専機構側が直前に駆け込み提出してきた準備書面が、きちんと控訴人に届いているかどうかについて、裁判長は関心をお持ちのようです。そのため、控訴人当会の出廷者から、「ええ。届いたので、受領書のFAXを書記官殿に送りました」と書記官に振ると、書記官は頷きました。

 裁判長は当会出廷者の方を向いたまま、続けて、「書証が51号証から56号証まで。いずれも写しを?」と確認してきたので、控訴人から「はい。写しを提出いたします」と返事しました。

■矢尾裁判長はそこまで聞くと、「あと、なにかございますか?」と控訴人・被控訴人に声を掛けてきました。被控訴人(藍澤弁護士)は相変わらずポーカーフェイスで「……」と沈黙していました。

 裁判長が控訴人の方に視線を移してきたのを見計らって、当会出廷者は「あの、2日前の土壇場になって、被控訴人から準備書面を頂いたんですけれども」と声を発しました。裁判長が「うん」と相槌を打つなり、控訴人から「それなので、反論の機会。これを与えていただければありがたいんですけど」と切り出しました。

 裁判長は突然の申入れに戸惑いを見せた様子で、「あのう……今までの、その、あれですか。その、他の論点について反論しないといけないということですか?」と訊いてきました。

 そこで控訴人の当会出廷者は、「ええあの、2日前になって頂いたので。裁判長は前回、『次回結審』と仰っていらっしゃいましたが、そのお気持ちはよく伝わっておりますので、実はここに準備してきました」と言いつつ、手元に用意しておいた再々々反論の為の準備書面(2)を掲げて裁判長に示しました。

 裁判長が「ああ、そうなんですね」と言うので、控訴人は「はい、この場で陳述させていただきたいと思います。正副ここにあります。12日付けのものに対しての書面です」と説明し、裁判長に促されて近づいてきた書記官に手元の正副2通の準備書面を渡しました。

 裁判長が控訴人当会の準備書面(2)に目を通しはじめ、あわせて両脇の陪席裁判官もそれをのぞき込むようにして内容を見ていました。藍澤弁護士も同様に目を通していました。

■そうして約1分が経過し、裁判長が「では、これはこれで、陳述でよろしいですかね?」と、被控訴人の藍澤弁護士に向かって声を掛けました。藍澤弁護士は、相変わらず小さい声で「はい」と返事しました。あわせて当会出廷者からも裁判長に「はい、ありがとうございます」と言いました。

 裁判長は「そのうえで何かございますか?」と、再度双方に質したので、控訴人の当会出廷者は「いいえ。結審してもらってかまいません」と答えました。藍澤弁護士は相変わらずの無表情です。

 裁判長はそうした双方の反応を見てから、「では、準備書面(2)を4月14日付陳述としていただいて」と言いました。そこで控訴人の当会出廷者は「はい、陳述します」ときっぱりと宣言しました。これで、準備書面(2)を陳述したことになります。

 最後に裁判長は「他になければ、これで弁論を終結します。判決の言渡し日。6月16日午後1時10分に指定します。6月16日午後1時10分です」と本控訴事件の結審を宣言し、判決言渡期日を告げました。

 当会が「はい」と答えると、裁判長は「ではこれで」と席を立ちました。そのまま退廷しようとする背中に、当会出廷者から「はい、ありがとうございます」と声を掛けました。定刻10時に裁判長らが入廷してから、結審して退廷するまで、ちょうど5分間でした。

 こうして、判決言渡期日は2か月後の6月16日(水)13時10分と決まりました。

■無事に第2回口頭弁論を終えて裁判所庁舎外に出ると、相変わらずの土砂降りです。つい裏手の出入り口から外に出たので、いつもと違った光景が目に飛び込んできました。植え込みの新緑が雨に濡れて鮮やかに写ります。




農水省側に面した歩道




裁判所合同ビルの南側出入り口




裁判所周囲の植込みの樹木の幹には管理番号のタグが付けられている


雨に煙る裁判所合同ビルと地下鉄霞ヶ関駅












高崎線北本駅。1985年ごろお世話になった診療所の看板。産婦人科はなくなり、内科と小児科のみとなっていた

 帰りはとくに急ぐ必要もなく、上野東京ライン経由高崎線高崎行きに乗って、ゆったり群馬に戻りました。途中で雨も上がり、高崎に着いた時には晴れ間も見えていました。


高崎駅から自宅へ車で帰宅。ちょうど東邦亜鉛子会社の濃硫酸運搬用のローリーが追い越していった

■以上のとおり、期せずして審理継続となり、期せずして書面が飛び交った第一次訴訟控訴審についても、二回目の口頭弁論で結審しました。

 本件の判決言渡期日については以下のとおりとなります。

【第一次訴訟控訴審(令和2年(行コ)第251号)判決言渡】
●日時:令和3年6月16日(水)13時10分~
●場所:東京高裁812号法廷(8階)


 高専組織の異常な情報隠蔽体質に果敢に挑み続ける当会の数年に及ぶ闘いが、高裁においてどのように決着するのか、ご注目賜れれば幸いです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【仰天続報】広島栄転逃亡の岩佐達也…なんとその妻も全国立高専の教育事務に関わる本部責任者に!

2021-04-20 01:02:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■長野高専総務課長として、緊急事態宣言下のコロナ規則破りや長年にわたる常習巨額の旅費着服など悪事の数々をはたらき、隠蔽のために土居信数校長と結託するのは日常茶飯、果ては正当化のため高専機構理事長まで動かして長年の全高専級規則を変えさせた挙句、今年度明けに広島商船高専事務部長へと驚愕の栄転逃亡を決めていった岩佐達也。

 彼については、かつて、「謎の力」によって夫婦共々呉高専から東京の機構本部へと押しかけてきた奇妙な経緯が指摘されていますが、一方その妻である岩佐浩子氏は、機構本部財務課旅費係の専門職員であることが知られていました。当然、妻の側ではその立場を悪用し、夫婦ぐるみの旅費着服を遂行していたものとみられています。

○2021年1月17日:【スクープ】総額40万円!?遂に暴かれた長野高専岩佐総務課長の夫婦ぐるみ常習旅費着服の実態と全貌!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3266.html
○2021年2月18日:【長野高専総務課長・巨額旅費常習着服問題】岩佐夫妻暗躍?…高専機構理事長直々の規則抹消隠蔽劇!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3278.html
○2021年4月2日:【仰天速報】長野高専震撼の悪徳総務課長岩佐達也、新年度人事で広島商船高専の事務部長に栄転逃亡!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3296.html

 その折、この妻の方についても情報提供があり、岩佐浩子は今年度から機構本部の学務課学務係長に配置換されていることが判明しました。


仰天人事連発中の高専機構本部。2020年11月20日撮影。

■本記事執筆時点において、「専門職員 係長相当職」などでウェブ検索すると、様々な国立大学の報酬・給与基準が多数ヒットし、「『係長』には、係長相当職である『専門職員』を含む」という文言が記されています。ここから少なくとも国立大学一般で「係長=専門職員」の扱いであることがわかり、よって国立高専を統括する機構本部でも同様の基準とみられます。

 すると、財務課旅費係専門職員から学務課学務係長への今回の配置換は、夫とは違って「昇進」「栄転」とは言い難く、いわゆる横滑り人事であると考えられます。

 しかし、降格にならず職級据え置きなのはさておいても、全51国立高専の教育事務を統括する機構本部学務課において、学務係長ともなればその全学生約5万名の教育に間接的に携わる重職です。教育機関にも公的機関にもふさわしくない真っ黒不正の片割れを、お茶を濁すように旅費係から外したかと思えば、今度は数万名の学生教育に関する業務の責任者に就けてくるとは、高専機構の神経と倫理観と面の皮はどうなっているのでしょう。

 この報に接した高専関係者からは、「全国の高専生や現場教員に対して失礼極まりない」「岩佐達也の『部長栄転』があまりに異常すぎて相対的にインパクトが薄れているが、十分にとんでもない人事」といった憤慨のコメントが次々寄せられています。

 もっともこれは、より社会で役に立つ実学を全高専生たちへ伝授しようと、「公金着服学」「悪事隠蔽法」などの新科目をカリキュラムに含める布石なのかもしれません。そうだとすれば、腐敗の渦巻く過酷な現代社会で生き抜く術をぜひ学ばせようという高専機構の先見的な教育ビジョンと気概には脱帽せざるを得ません。

■なお、今回の人事を分析した高専関係者によれば、「今回の機構本部学務係長拝命で、岩佐浩子が当面(最低3年間)は東京にいるつもりであることがわかる。すると、現在広島商船高専に栄転逃亡している岩佐達也についても、数年してほとぼりが冷めたころに東京圏に戻ってくる可能性が高くなった」とのこと。悪徳公務員岩佐夫婦としても、せっかく手に入れた夢の大東京ライフをそう易々と捨てるつもりはないようすがうかがえます。

 筆者として、憧れの東京で豊かな余生を送りたいという岩佐夫婦の希望は存分に叶えてやりたいと思います。したがってまずは、これまで公務員倫理に背いて散々に積み重ねてきた大悪事の数々についてしっかり説明とケジメを付け、石原祐志・土居信数と鈴木宏を代表とする取り巻き副校長らと共犯となった悪事も白状し、自分勝手に巻き込んできた長野高専関係者および全国高専関係者に謝罪し、身の丈に合った職位の綺麗な身になったうえで正々堂々と東京ライフを送られるよう勧告いたします。

【2021/10/16追記】
■その後、岩佐浩子の高専機構本部事務局における役職についてとんでもない追報が寄せられました。
 なんと、たった半年で学務課学務係長から外れ、今度は人事課給与係長に配置換えされているというのです。
 予算を好き勝手に扱う『蜜の味』が忘れられず、今度は給与査定等の面から不正を働く心積もりなのかもしれません。
 今後とも、高専機構に巣食う極悪人夫婦について、引き続き動向を追ってまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【前橋市の財政検証】政策部長のニューヨーク公費豪遊旅行の責任明確化のため住民監査請求!

2021-04-19 22:24:00 | 前橋市の行政問題
■4月15日の東京新聞が地方版で報じた前橋市政策部長による2018年10月のニューヨーク出張が実は公費64万2800円を掛けた豪遊旅行同然だったという報道記事について、当会では4月17日の定例会で話題となり、参加した会員の皆様から「県都前橋の恥だ。このまま放置できないので、当会として何らかの行動を起こし、広く前橋市民、群馬県民に事実関係を公表すべきだ」との意見が相次ぎました。その結果、直ちに住民監査請求を行うことが決まり、さっそく4月19日付で前橋市長に本件に係る住民監査請求書を提出しました。

 まずは4月15日の報道記事を見てみましょう。


**********東京新聞2021年4月15日 08:02
ZIP ⇒ 20210415liossoj.zip
<財政検証>元前橋市部長 1泊4万円のホテル3泊 公費で計64万2800円 18年、米国視察で

前橋市が情報公開した文書。中央の文書の最下段「所感」は8行にとどまる。左上は64万円の請求書
 前橋市の元部長が二〇一八年の在任時に公費で前橋商工会議所役員らの米国視察に同行し、一泊四万円の高級ホテルに三泊した上、各所で酒類を含む高級料理も飲食し、交通費などを含め総額六十四万二千八百円の旅費が支出された実態が分かった。本紙が市に情報公開請求した文書で判明。元部長の出張報告は約二百四十字にとどまり、一九年度包括外部監査報告書が「内容が不十分。支出目的に合致しないなら支出の要否を検討すべき」と指摘している。(菅原洋)
 元部長は取材に「(報告が不十分との指摘に)反省している」と述べた。文書の写しと元部長によると、視察は商工会議所が市に同行者を出すように依頼し、元部長が選ばれた。
 日程は一八年十月二十四〜二十八日で、ニューヨークに四日間滞在。繁華街のマンハッタン中心部にある大型ホテルに泊まり、一人でツインルームを使った。
 日程表では、初日はチャイナタウンでランチを食べ、高層の「エンパイアステートビル」の展望台へ。夕食はステーキだった。
 二日目は現地駐在の複数の経済人から講義を受け、ランチは日本食。夜は経済人らとの懇親会が開かれ、すしなどが出たという。
 三日目は再開発などの様子を視察し、ランチはイタリア料理。夜はハドソン川をフェリーで渡り、マンハッタンの夜景を楽しみながら洋食を食べた。
 帰国後に元部長が提出した出張報告の復命書には、ニューヨークに歴史的な建造物が多い点に触れ「(前橋市で)区画整理が未実施の古い町並みも見方を変えれば歴史的な雰囲気を味わえる」などと記した。
 ただ、出張報告は八行にとどまり、包括外部監査報告書は「今後の施策を検討するに資するよう詳細な記載や提案が求められる。六十四万三千円の費用をかけた結果としては不十分」と指摘している。
 元部長は「(帰国後)忙しくて時間がなく、いいかげんさが出てしまった。監査の指摘はもっともで、長文の報告を添付するべきだった。今後はこの経験を生かしたい」と説明した。
 一方、市職員等の旅費に関する条例では、部長職が国内出張した場合の宿泊料の上限は一泊一万二千五百円で、海外の場合は国家公務員などの旅費を基準にする。ただ、元部長によると、条例は市の公務で出張する場合に適用し、今回のように外部から誘われた出張は上限の規定はない。
 元部長は「一泊四万円は条例などに違反はしていないが、規定に比べれば高い」と語った。
**********

■政務部長の出張復命書には所感として次の記載があります。

**********
 ニューヨークという世界経済の中心として新しい高層ビルが立ち並ぶイメージがあったが、20世紀初頭に建てられた歴史的な建造物も多く、そうした建物をリノベーションした商業施設が大いに賑わっていた。
 本市においては歴史的な建物は数少なくなってしまったが、三中地区のような区画整理が未実施の古い町並みも、見方を変えれば歴史的な雰囲気を味わえる地区としてスポットを浴びる可能性もあるのではないかと感じた。
 余談ではあるが、激しい渋滞と交通ルールを守らないドライバーが多いニューヨークの交通事情を見ると、自動運転車の普及は程遠いのではないかと感じた。

**********

 僅か8行のこの所感が、64万8000円の公費を使った視察出張の成果品として、前橋市役所では通用するのですから、呆れ果ててしまいます。新聞記事にもあるとおり、報告が「不十分」であることは明らかで、この程度の報告であれば、ネットでニューヨークについて5分間程度調べれば、すぐにでも書けるでしょう。前橋市の政策部長が自ら現地視察調査に赴いたのであって、子どもの使いではないのですから、しかるべき鋭い視点で職位に相応しい報告が為されてしかるべきです。それができなかったのであれば、自らの負担とすべきなのは当然のことです。



NYへの豪遊旅行が取りざたされている2018年度当時の政策部長

■というわけで、公費を使ってニューヨーク3泊5日の豪遊旅行をした当時の政策部長には、きちんと費用を返還していただかねばなりません。さっそく、4月19日に次の内容で住民監査請求書を前橋市長あてに提出し、受理されました。

*****4/19住民監査請求書*****ZIP ⇒ os1.zip
           前橋市職員措置請求書

前橋市長に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨
 (1) 誰が(請求の対象となる執行機関又は職員)
   2018年当時の前橋市政策部長(以下「元部長」という)
 (2) いつ、どのような財務会計上の行為をしたか
  ア 元部長は、2012年4月15日付け東京新聞朝刊の群馬・栃木版(事実証明書1)によれば、2018年10月24日~28日の5日間にわたり、前橋商工会議所が企画した「前橋商工会議所議員視察研修会」に前橋市役所から同行し、公費合計64万2800円を費消したと報じられた。
  イ 19年度包括外部監査報告書によれば、この事業の担当部課は「政策推進課」で、負担金等の名称は「政策部長の管外出張に係る他団体負担金」とあり、事業 内容は「前橋市のまちづくりに関する視察」で、研修の目的・期待される効果は「市民、企業・団体、行政と連携した今後のまちづくりの実現に向けて、米国在住の群馬・前橋にゆかりのある方々との意見交換や再開発に関する先進市視察を行うもの」とされていた。
 (3) それはどのような理由で違法又は不当であるのか
  ア この事業の概要は、前橋商工会議所が企画した前橋商工会議所議員視察研修会に前橋市の政策部長が同行することで、市民、企業・団体、行政と連携した今後のまちづくりの実現に向けて、米国在住の群馬や前橋にゆかりのある方々との意見交換を行うとともに、再開発に関する先進市視察を行う事業であるはずなのに、参加した政策部長の復命書によると、240文字程度に視察結果がまとめられている程度であること。
  イ 特に視察目的の「現地有識者との意見交換」については、関係資料が添付されているが、結果については触れられていないこと。
  ウ この負担金は、今後の前橋市のまちづくりの一助とすべく支出したものであることから、前橋市民納税者である請求者としては、その復命書には前橋市の今後の施策を検討するに資するよう詳細な記載や提案が求められるものと考えるが、しかしながら5日間で64万2800円の費用をかけて視察に行った結果の復命書としては、1字あたり2700円に相当し、あまりにも公費の無駄遣いが著しいこと。
  エ 報道記事によれば、「(開示された)文書の写しと元部長によると、視察は商工会議所が市に同公社を出すように依頼し、元部長が選ばれた」としており、元部長が統括する政策推進課をして、政策部長である自分本人を選出するように誘導させたことがうかがえ、公正、公平、透明な人選手続きとは見なせないこと。
  オ 元部長はニューヨークに4日間滞在中、繁華街のマンハッタン中心部にある大型ホテルに泊まり、一人でツインルームを使い、1泊4万円を支出するなどしたが、これについて、元部長は「1泊4万円は条例などに違反はしていないが、規定に比べれば高い」と報道記事において、記者の取材に答えており、規定額を超過していることを認めていること。
  カ 前橋市職員等の旅費に関する条例では、部長職が国内出張した場合の宿泊料の上限は1泊1万2500円で、海外旅行の旅費の場合は、条例第19条で「職員が外国旅行をした場合の旅費については、国家公務員等の旅費に関する法律の規定を基準として市長がそのつど定める」として、国家公務員などの旅費を基準にするとあるが、元部長は報道記事の中で「条例は市の公務で出張する場合に適用し、今回のように外部から誘われた出張は上限の規定はない」と説明している。しかし、今回の旅行は、外部から誘われたこととは関係なく、市の公務であることは明らかであること。仮に元部長の主張のとおり、公務出張の適用外であれば、有給休暇を取得して参加すればよいこと。
  キ 国家公務員等の旅費に関する法律では、ニューヨークのような指定都市における宿泊料1泊4万200円は内閣総理大臣および最高裁判所長官に対して支給される金額であり、指定職の職務にある者でさえ1泊2泊5700円であり、二級以下の職務にある者では1泊1万6100円であること。よって、1泊4万円のホテル代の全額支給は不当であること。
  ク なお「外国旅行の旅費は、最終的には市長がそのつど定める」としているが、市長が1泊4万円もの高額ホテル代を認めるはずがないこと。
 (4) その結果、前橋市にどのような損害が生じたのか
  ア 公務多忙な部長が5日間にわたり高額な旅費を支給され、高級ホテルに宿泊して、「前橋市のまちづくりに関する視察」を行ったのであるから、それに見合うだけの、少なくとも50ページを超える報告書の提出がしかるべきところ、僅か240文字の、しかも内容の乏しい復命書しか提出しておらず、ただの物見遊山で貴重な前橋市の公務をおろそかにしたことにより、本件に係る費用64万2800円の公費が無駄に支出されたことによる損害。
  イ 本来であれば、このような公務ではない物見遊山の旅行は、有給休暇を使うべきところ、部長職でありながら自らを出張者として選任し、公務だとして有給休暇を取得せずに5日間も無意味な旅行を行ったことによるアブセンスフィー(派遣職員の不在補償料)、すなわち、5日間も公務をないがしろにして無意味な旅行に費やした不在期間の給与を前橋市民納税者から徴収した血税を原資にした公金から支出したことによる損害。なお、金額は「元部長の月額給与×0.25(5日間/20日間)」で算出できる。
 (5) 監査委員にどのような措置を講じることを求めるのか
   市長が、元部長に前項(4)のア、イに示す金額を前橋市に返還させるよう、監査委員は市長に勧告してください。

2 請求者
  ・ 住所  群馬県前橋市文京町一丁目15番10号
  ・ 氏名  鈴木 庸 (自署・押印)
 (・ 連絡先(電話番号等)) 090-9134-2942

 地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添えて、必要な措置を請求します。

                         令和3年4月19日

 前橋市監査委員(あて)


別紙:事実証明書
1 2021年4月15日付新聞報道記事
  ZIP ⇒ 20210415liossoj.zip
2 前橋市職員等の旅費に関する条例
  ZIP ⇒ ose.zip
3 国家公務員等の旅費に関する法律
  ZIP ⇒ kokkakoumuintou_no_ryohini_kansuru_houritu.zip
4 国家公務員等の旅費支給規程
  ZIP ⇒ kokkakoumuintou_no_ryohi_sikyuu_kitei.zip
                             以上
**********

■今後の本件の進展状況について、都度ご報告してまいる所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

【4月20日追記】
 前橋市政策部長が物見遊山で参加した前橋商工会議所主催の視察報告書を入手しました。参加した民間の経済人の方々はそれぞれの視点と立場で参加されたのでしょうが、前橋市政策部長に限っては、この報告書に投稿した一文を見ても、明らかに観光旅行であったことが容易に想像できます。
 ここで「視察」と「見学」の違いを考えてみました。
 視察とは「現地、現場に行き、その実際の様子を見極めること。」を意味します。「見極める」には「物事を深く知る・判定する」などの意味があります。すなわち、「視察」は、見る側の人間が見極めて判定しなければなりません。
 そうしますと、前橋市政策部長が多額の公費を使って参加しましたが、政策部長にとっての関心事は、自由の女神と移民の人たちだったわけで、本来の訪米目的のはずの「前橋市のまちづくりに関する視察」に資する成果はまったく挙げられなかったことは明らかで、これはまさに「見学」としか言いようがありません。なので、今回、返還請求をすべきであると判断しました。
 なお、驚くべきことに、商工会関係筋によれば、元前橋市政策部長だった稲田氏は現在、前橋商工会議所の役員におさまっているとのことです。
*****前橋商工会議所の視察報告書*****ZIP ⇒ 2019.0111ohcs_ny.zip
   ニューヨークの経済情勢と再開発の現状
      前橋商工会議所議員視察報告

参加企業一覧(敬称略・順不同)
・中屋商事㈱
・カネコ種苗㈱
・池下工業㈱
・小林工業㈱
・平方木材㈱
・シャープドキュメント富士㈱
・群馬ビル㈱
・㈱ジンズ
・河本工業㈱
・ぐんぎんリース㈱
・しののめ信用金庫㈱
・朝日印刷工業㈱
・前橋市
・事務局

 リーマンショックから10年、アメリカ経済は一時の厳しい状況を脱し、実質経済成長率が堅調に伸び、失業率は一時の厳しい状況を脱し、実質経済成長率が堅調に伸び、失業率は1969年以来、最低の水準で推移するなど、力強い回復を見せています。
 前橋商工会議所では、世界経済の中心であるニューヨークの最近の動きを実施に視察するとともに、同地の第一線で活躍されている方々と意見交換し、今後の地方における経済政策のあり方を考えるべく平成30年10月24日から30日にかけて22名の参加をいただき議員視察をおこないました。

◆個人的には2年ぶりのニューヨークだったのですが、のっけからマンハッタンの風物詩でもあったタクシーのイエローキャプがウーバーの台頭で姿を消えつつあるのを見、また、(おそらくアマゾンの進出によると思われますが)近々百貨店が閉店するといった情報を聞くに及んで、最先端の経済状況が目まぐるしく変化していることを実感させられました。日本総領事館を始め、8名の方からニューヨーク経済の近況、トランプ政権に対する評価などを終日かけて講演いただきましたが、世界が変わっていく、という思いを新たにした、ニューヨークの今、を実感できる意義ある視察でした。
  団長 組織運営委員会委員長 小島 秀薫


<2日目>NY経済事情講義
・ノムラ・リサーチ・インスティチュート・アメリカ社長 山口隆夫氏
・日本貿易振興機構ニューヨーク事務所長 畠山一成氏
・日本政府観光局ニューヨーク事務所長 伊勢尚史氏
・プライスウォーターハウスクーパース 中島孝明氏
・日本銀行米州統括役 神山一成氏
公式訪問
・在ニューヨーク日本国総領事館
・東京海上日動アメリカ
・群馬銀行ニューヨーク支店


群馬銀行ニューヨーク支店にて
群馬銀行のニューヨーク支店の出店経緯や現地において果たしている役割についてお話を伺った。


経済事情講義風景(日本クラブにて)
現地で活躍されている方々からアメリカ国内外の経済情勢についてそれぞれの立場からお話をいただいた。

◆様々なメディアを通し、ニューヨークの情報には触れていましたが、実際に行ってみるとやはり感じるものが違います。世界中から多種多様な人々が集まっており、街行く人々は目を輝かせ、歩くスピードが速い。とにかく活気があり、24時間動き続けている街だと感じました。
 視察のなかで特に印象に残ったのは「911メモリアルミュージアム」です。二度とあってはならないこの出来事を鋼製に伝えるという強い意志を感じるとともに、それでも前に進むというアメリカ国民の力強さを感じました。今も進化し続けているニューヨークマンハッタンのパワーを感じ、帰国の途についた視察研修でした。
  ぐんぎんリース㈱代表取締役社長 南 繁芳


<3日目>主な行程
マンハッタン・チェルシー地区等再開発事情視察
・グランドセントラル駅
・ハドソンヤード再開発プロジェクト
・ハイライン~チェルシー周辺
・ブルックリン地区等再開発事情視察
・911メモリアルミュージアム視察


グランド セントラル ターミナル
地下に29面のホームと、46の発着番線を持つターミナル駅。マンハッタンを代表する歴史的建造物である。床面は大理石が使われ、天井には星座が描かれている。


ハドソンヤード再開発地区


チェルシーマーケット


↑911メモリアルミュージアム↑
残された鉄骨

<4日目>自由行動
<5日目>主な行程
・セントラルパーク散策
・メトロポリタン美術館
・食品スーパー「トレーダージョーズ」視察


メトロポリタン美術館


食品スーパー「トレーダージョーズ」

◆私の好きな映画の一つに「ゴッド ・ファーザー」があリます。
 PARTⅡの冒頭、9歳のピトーが故郷シチリアを追われ、一人移民船に乗り込み、アメリカに到着して初めて目にしたのが「自由の女神」でした。
 多くの移民の人たちが自由の女神を見て、希望を持ったのだと思います。
 実際に目にしたニューヨークでは、様々な人種の人たちが、様々な生活をしている様子に触れることができました。
 アメリカの繁栄は移民によってもたらされたものですが、当然、影の部分もあります。アメリカが移民政策をどうするのか。アメリカのみならず、世界経済にも影響を与えることなので、今後とも見守っていきたいと思います。
      前橋市政策部長 稲田 貴宣


 トランプ大統領の政治手腕には様々な意見もあり、保護主義的経済政策が悪影響を及ぼすとの見方もされていますが、ニューヨークの街や人々の様子から、現況のアメリカ経済は、極めて好調であると感じました。
 また、様々な分野の第一線でご活躍されている方々から実体験のお話を伺うことができ、貴重な体験の5日間の視察でした。多くの関係者の皆様に心から感謝申し上げ報告といたします。
**********

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【前橋市の官製談合体質】当会の公開質問に前橋市長から回答書届く!

2021-04-18 23:07:00 | 前橋市の行政問題
■談合体質の根強い土壌をもつ群馬県ですが、なかでも県都であり中核市である前橋市と同じく中核市であり人口が県内最大の自治体である高崎市では、オンブズマンの談合疑惑度のランキングで常に全国トップを競っています。そうした中、官製談合事件が前橋市役所を舞台に発覚しました。起こるべくして起きたこの官製談合事件ですが、たまたま4月1日に当会は山本市長あてに次の内容の公開質問状を前橋市長あてに提出してありました。この経緯は次のブログ記事も参照ください。
○2021年4月9日:談合疑惑率100%の前橋市でついに摘発された官製談合事件!市職員逮捕で問われる市の自浄作用
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3298.html

工事中の前橋市新議会棟改築工事現場

*****4/1公開質問状*****
                    令和3年4月1日
〒371-8601 群馬県前橋市大手町二丁目12番1号
前橋市役所
市長 山本 龍 様
TEL: 027-224-1111/FAX: 027-224-3003

          〒371-0801 群馬県前橋市文京町1丁目15番10号
          市民オンブズマン群馬  代表  小川 賢
          TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
             090-5302-8312(代表・小川)
          FAX: 027-224-6624

     市庁舎一部(議会棟)改築工事を巡る
     不可解な入札結果に係る貴見解問合せ

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 弊団体は、行政およびその関連機関を外部から監視し、当該機関による権限の不当な行使ないしは不行使による一般国民への権利利益侵害、並びに税金を原資とした公的資金の濫費について、調査および救済の勧告を図る活動をしている民間団体です。その活動方法としては、行政事件に関わる住民監査請求や住民訴訟にまで及ぶことがあり、そのための情報の入手手段としては、住民等からの情報提供のほか、行政への公開質問や情報開示請求等を活用しております。
 さて、現在、前橋市議会の議会棟の建設工事が進行中です。これは2018年3月に策定した市庁舎周辺整備に係る基本構想を引き継ぎ、同年4月に設置された新議会棟整備検討委員会によりまとめられた基本計画に基づき、概算39~45億円(約6,500㎡~約7,500㎡)で7~8階建て免震構造の新議会棟のほか、接続通路、外構、既存解体を含む工事計画として策定されました。財源等は、緊急防災・減災事業債(2020年度まで活用の充当率100%交付税措置70%)、防災対策事業債(2021年度以降活用予定の充当率90%交付税措置50%)で、交付税を除いた実質の市負担想定額は、約15億円~約17億円とされていました。そして、新議会棟の4階以上の高層部に、議会機能を配置し、大空間である議場・傍聴席等は最上階付近に配置し、議場、委員会室、傍聴スペースを設け、議場フロアと委員会室フロアの分離を図るとしており、1~3階の低層部には、行政機能を配置し、災害対策対応諸室、情報政策課及びマシン室は2階以上に配置されるとされています。
 そのうえで、新議会棟の建設にかかる3件の入札が、2020年7月15日に電子入札で実施され、以下の結果となりました。
 ①工事名「市庁舎一部改築工事 建築主体工事」
  予定価格          2,880,270,000円
  調査基準価格/最低制限価格 2,649,848,400円
  落札価格          2,860,000,000円
  落札率             99.3%
   ※入札調書+審査書 ZIP ⇒ 202007151_kenchiku_kouji_choushosinsahyou.zip
 ②工事名「市庁舎一部改築工事 電気設備工事」
  予定価格            506,210,000円
  調査基準価格/最低制限価格   464,521,366円
  落札価格            435,000,000円
  落札率             85.9%
   ※入札調書+審査書 ZIP ⇒ 202007152_denkisetsubi_kouji_choushosinsahyou.zip
 ③工事名「市庁舎一部改築工事 機械設備工事」
  予定価格            745,000,000円
  調査基準価格/最低制限価格   685,400、000円
  落札価格            710,000,000円
  落札率             95.3%
   ※入札調書+審査書 ZIP ⇒ 202007153_kikaisetsubi_kouji_choushosinsahyou.zip
 当会が所属する全国市民オンブズマン連絡会議によれば、落札率95%以上は談合疑惑が濃厚であり、同90%以上は談合疑惑が推認されるという見方がなされております。
 また、前橋市は、全国の政令市を除く県庁所在地31市を対象とした談合疑惑度ランキングで、2016年度に落札率98.2%のワーストを記録し、前年の2015度も97.3%で福島市に次いでワースト2位という不名誉な記録を残しています。
 この観点から、当会としては、上記①の議会棟改築工事の建築主体工事は99.3%という非常に高い落札率となっており、他方②の電気設備工事では、最低制限価格を下回り、落札率85.9%となっていることに注目しています。一定のルールに基づき設定された予定価格をベースとして、適正に公平性、競争性が働いた場合、落札率は90%以下の範囲になるのが通例であると、当会では判断しています。
 つきましては、表記の工事について、当該自治体としてのご見解を確かめたく、下記のとおり質問をさせていただきます。
                              敬具

                記

【質問1】
 本件は、総合評価落札方式に基づき、落札業者が決定されたようですが、前橋市は、上記①の工事入札結果の落札率99.3%について、審査の過程で談合疑惑にかかる判断や評価を行いましたか? 行った場合は、その経緯と結果について、行わなかった場合は、その理由について教えてください。

【質問2】
 本件は、共同企業体(JV)での入札が認められていますが、上記①の入札では、2社のうち、1社は予定価格を上回っているとして、価格以外の評価結果が公表されていません。前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領の第7条第2号に定める「(2) 前号に定める審査対象者のうち、入札金額が予定価格の制限の範囲内の者を対象に総合評価を行うものとする。」にもとづくようですが、価格と品質の観点から総合評価方式で選定するのであれば、なぜ第2回目の入札をせず、第1回目の入札で打ち切ったのか、その理由について教えてください。また、2番札の業者の価格以外の評価結果をなぜ公表しないのでしょうか?理由を教えてください。

【質問3】
 上記①の入札と異なり、上記②の工事入札結果は、最低制限価格を3千万円近く下回った価格で落札されました。また、落札業者と2番札を入れた業者との価格差は僅か500万円となっています。したがって、価格以外の評価が注目されますが、②では「企業関係評価項目」および「技術者関係評価項目」ともに「優良工事の受賞」という項目があり、配点はそれぞれ3点及び4点で、合計7点とあり、価格点枠が75点、価格以外の評価点枠が25点であることから、価格以外の評価点枠の28%を占めていることがわかります。この価格以外の評価点の配点は、建築主体工事と設備工事で異なっていますが、それぞれの項目の客観的な評価方法は、公表されていますか?公表されていない場合は、その理由を教えてください。

【質問4】
 上記②の入札では、前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領の第7条第3号に定める「(3) 入札書の開札は、価格以外の評価点が決定した後に行うものとする。」に基づき、最初に価格以外の評価点が決定した後に行われたことになります。この場合、価格以外の評価点が1位と2位でそれぞれ17.652と11.310であり、1位と2位で6.342ポイントの差があります。このうち、上記質問3のとおり、「優良工事の受賞」の有無で4.4ポイントの差が生じています。「優良工事の受賞」への配点枠が、価格以外の評価点枠の28%を占めるほど、重点配分している理由を教えてください。

【質問5】
 上記①②③の開札日時は、それぞれ2020年7月15日の9時00分、9時02分、9時04分と2分刻みとなっています。入札種別はいずれも「電子案件」となっていますが、実際にはどのような方法、手順で開札をしたのでしょうか?また、前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領の第7条第3号に定める「(3) 入札書の開札は、価格以外の評価点が決定した後に行うものとする。」に基づき、最初に価格以外の評価点を決定するわけですが、この価格以外の評価点の決定は、誰がいつどのように行うのでしょうか?

【質問6】
 本件入札当時の前橋市建設工事総合評価審査委員会の構成メンバー5名の氏名、職業を教えてください。

【質問7】
 前橋市では、2018年12月末に当時の副市長が更迭されましたが、その理由として、特定の業者との癒着が取りざたされていました。その後実施された本件入札では別の副市長が就任していたことになりますが、副市長という役職は、入札情報を事前に知りうる立場にあるのでしょうか?可能性の有無について教えてください。

【質問8】
 上記入札①②③のうち、最も予定価格の高額な入札①の落札率が99.3%であることから、当会として、官製談合の疑惑を払しょくできません。質問1と重複するかもしれませんが、前橋市総務部契約監理課では、このような限りなく100%に近い落札額について、談合もしくは官製談合の疑念を持ちましたか?そして、調査の必要を感じましたか? そうは思わなかったという場合は、その理由も教えてください。

 以上、よろしくお願いします。なお、回答については、大変勝手ながら、書面で2021年4月16日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。

                             以上
**********

■山本龍市長は自身の4月7日午後6時過ぎのブログで「私はこの際、そのすべて再調査を行うべきと考えます。職員が適正な事務執行をされていると私は信頼してきました。しかし、その前提が崩れた今、改めて談合や情報漏洩の可能性について徹底的に精査します。」と断言しています。

 その決意の言葉を踏まえて届いた回答書が4月15日にFAXで当会事務局宛に送られてきました。さっそく内容を見てみましょう。

*****4/15前橋市長からの回答書*****ZIP ⇒ 20210415oskf.zip
前橋市契約監理課 Fax:0272433522 2021年4月15日(木)16:28 P001/004

                          令和3年4月15日

市民オンブズマン群馬
 代表 小川 賢 様

                    前橋市長 山 本   龍
                          (公印省略)

             回答の送付

令和4年4月1日付、市庁舎一部(議会棟)改築工事の入札結果への質問について、回答を送付いたします。

                   前橋市役所総務部
                   契約監理課審査契約室
                   TEL:027-898-6288
                   FAX:027-243-3522


=====回答=====
           回  答
【回答1】
 本市では、談合等不正行為やその疑いのある情報を入手した場合に、適正かつ円滑に対応するため、前橋市談合情報対応マニュアルを定めております。
 本件におきましては、入札執行前後において談合等不正行為やその疑いのある情報はなく、また、入札時に提出された入札金額の内訳書確認 においても、不正等を疑うようなものはなかったため、当該マニュアルに規定する対応は行っておりません。
 しかしながら、公共工事の入札に係る本市職員の令和3年4月7日の逮捕(官製談合防止法違反及び公契約関係競売入札妨害)を受け、落札率の高かった案件等について、調杏する予定でおります。

【回答2】
 本件は、地方自治法施行令第167条の10の2で規定される総合評価落札方式で実施した入札であり、「予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち、価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとって最も有利なものをもって申込みをした者を落札者とする」ものです。本件は再度の入札を設定した入札となっておりましたが、第1回目の入札において落札候補者となる者があったため、その者を落札者と決定したものです。
 また、2番札の業者の価格以外の評価結果の公表しない理由につきましては、お見込みのとおりですが、今後、この扱いにつきましては、他市の状況等を調査し、検討していきたいと考えております。

【回答3】
 本市は、前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領において、総合評価落札方式に標準型と特別簡易型の二つ方式を定めており、それぞれ価格以外の評価項目が異なっております。建築主体工事と設備工事とで評価点の配点が異なっているのは、この方式の違いによるものです。
 なお、総合評価落札方式における落札者決定基準については、地方自治法施行令第167条の10の2第4項の規定に基づき、あらかじめ学識経験者の意見を聴いて決定しており、当該基準における評価方法は入札公告にて公表しております。

【回答4】
 総合評価落札方式は、公共工事の品質確保の促進に関する法律の基本理念に基づき実施するものであり、その理念である「価格及び品質が総合的に優れた内容による契約による公共工事の品質の確保」を実現するため、建設工事を優秀な成績で完成した「優良工事の受賞」実績のある業者及び技術者を高く評価しています。

【回答5】
 電子入札案件は、群馬県と県内12市12町3村1団体が共同開発共同運営している「ぐんま電子入札共同システム」により入札を行っています。
 開札につきましては、電子入札であるため、契約監理課長を執行者として、地方自治法施行令第167条の8の規定に基づき、開札日時順に執行しています。
 価格以外の評価点の決定は、地方自治法施行令第167条の10の2第5項の規定に基づき、学識経験者から落札者の決定に際し改めて学識経験者の意見を聴く必要があるとの意見があった案件については、学識経験者の意見を聴いて決定しています。

【回答6】
 氏  名      職  業
石川 恒夫    前橋工科大学教授
木村 清和    群馬工業高等専門学校教授
先村 律雄    群馬工業高等専門学校教授
森田 哲夫    前橋工科大学教授
若田部純一    前橋土木事務所長
※若田部 純一委員の任期は令和3年3月31日まで。

【回答7】
 本市では、設計金額が2,500万円以上の建設工事及び設計金額が1,000万円以上の測量、建設コンサルタント業務等の入札は、前橋市建設工事等業者選定審査会要綱で規定する審査会に、指名業者の選定や入札参加条件の設定等を諮ることを定めています。
 副市長は、当該審査会の委員(委員長)であるため、当該審査会に付議する事項について、知りうる立場にあります。

【回答8】
 回答1のとおりです。
**********

■これでは質問内容との対比がよく判らないため、Q&Aのかたちにしてみました。

**********
【質問1】
 本件は、総合評価落札方式に基づき、落札業者が決定されたようですが、前橋市は、上記①の工事入札結果の落札率99.3%について、審査の過程で談合疑惑にかかる判断や評価を行いましたか? 行った場合は、その経緯と結果について、行わなかった場合は、その理由について教えてください。

【回答1】
 本市では、談合等不正行為やその疑いのある情報を入手した場合に、適正かつ円滑に対応するため、前橋市談合情報対応マニュアルを定めております。
 本件におきましては、入札執行前後において談合等不正行為やその疑いのある情報はなく、また、入札時に提出された入札金額の内訳書確認 においても、不正等を疑うようなものはなかったため、当該マニュアルに規定する対応は行っておりません。
 しかしながら、公共工事の入札に係る本市職員の令和3年4月7日の逮捕(官製談合防止法違反及び公契約関係競売入札妨害)を受け、落札率の高かった案件等について、調杏する予定でおります。


【質問2】
 本件は、共同企業体(JV)での入札が認められていますが、上記①の入札では、2社のうち、1社は予定価格を上回っているとして、価格以外の評価結果が公表されていません。前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領の第7条第2号に定める「(2) 前号に定める審査対象者のうち、入札金額が予定価格の制限の範囲内の者を対象に総合評価を行うものとする。」にもとづくようですが、価格と品質の観点から総合評価方式で選定するのであれば、なぜ第2回目の入札をせず、第1回目の入札で打ち切ったのか、その理由について教えてください。また、2番札の業者の価格以外の評価結果をなぜ公表しないのでしょうか?理由を教えてください。

【回答2】
 本件は、地方自治法施行令第167条の10の2で規定される総合評価落札方式で実施した入札であり、「予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち、価格その他の条件が当該普通地方公共団体にとって最も有利なものをもって申込みをした者を落札者とする」ものです。本件は再度の入札を設定した入札となっておりましたが、第1回目の入札において落札候補者となる者があったため、その者を落札者と決定したものです。
 また、2番札の業者の価格以外の評価結果の公表しない理由につきましては、お見込みのとおりですが、今後、この扱いにつきましては、他市の状況等を調査し、検討していきたいと考えております。


【質問3】
 上記①の入札と異なり、上記②の工事入札結果は、最低制限価格を3千万円近く下回った価格で落札されました。また、落札業者と2番札を入れた業者との価格差は僅か500万円となっています。したがって、価格以外の評価が注目されますが、②では「企業関係評価項目」および「技術者関係評価項目」ともに「優良工事の受賞」という項目があり、配点はそれぞれ3点及び4点で、合計7点とあり、価格点枠が75点、価格以外の評価点枠が25点であることから、価格以外の評価点枠の28%を占めていることがわかります。この価格以外の評価点の配点は、建築主体工事と設備工事で異なっていますが、それぞれの項目の客観的な評価方法は、公表されていますか?公表されていない場合は、その理由を教えてください。

【回答3】
 本市は、前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領において、総合評価落札方式に標準型と特別簡易型の二つ方式を定めており、それぞれ価格以外の評価項目が異なっております。建築主体工事と設備工事とで評価点の配点が異なっているのは、この方式の違いによるものです。
 なお、総合評価落札方式における落札者決定基準については、地方自治法施行令第167条の10の2第4項の規定に基づき、あらかじめ学識経験者の意見を聴いて決定しており、当該基準における評価方法は入札公告にて公表しております。


【質問4】
 上記②の入札では、前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領の第7条第3号に定める「(3) 入札書の開札は、価格以外の評価点が決定した後に行うものとする。」に基づき、最初に価格以外の評価点が決定した後に行われたことになります。この場合、価格以外の評価点が1位と2位でそれぞれ17.652と11.310であり、1位と2位で6.342ポイントの差があります。このうち、上記質問3のとおり、「優良工事の受賞」の有無で4.4ポイントの差が生じています。「優良工事の受賞」への配点枠が、価格以外の評価点枠の28%を占めるほど、重点配分している理由を教えてください。

【回答4】
 総合評価落札方式は、公共工事の品質確保の促進に関する法律の基本理念に基づき実施するものであり、その理念である「価格及び品質が総合的に優れた内容による契約による公共工事の品質の確保」を実現するため、建設工事を優秀な成績で完成した「優良工事の受賞」実績のある業者及び技術者を高く評価しています。


【質問5】
 上記①②③の開札日時は、それぞれ2020年7月15日の9時00分、9時02分、9時04分と2分刻みとなっています。入札種別はいずれも「電子案件」となっていますが、実際にはどのような方法、手順で開札をしたのでしょうか?また、前橋市建設工事総合評価落札方式実施要領の第7条第3号に定める「(3) 入札書の開札は、価格以外の評価点が決定した後に行うものとする。」に基づき、最初に価格以外の評価点を決定するわけですが、この価格以外の評価点の決定は、誰がいつどのように行うのでしょうか?

【回答5】
 電子入札案件は、群馬県と県内12市12町3村1団体が共同開発共同運営している「ぐんま電子入札共同システム」により入札を行っています。
 開札につきましては、電子入札であるため、契約監理課長を執行者として、地方自治法施行令第167条の8の規定に基づき、開札日時順に執行しています。
 価格以外の評価点の決定は、地方自治法施行令第167条の10の2第5項の規定に基づき、学識経験者から落札者の決定に際し改めて学識経験者の意見を聴く必要があるとの意見があった案件については、学識経験者の意見を聴いて決定しています


【質問6】
 本件入札当時の前橋市建設工事総合評価審査委員会の構成メンバー5名の氏名、職業を教えてください。

【回答6】
 氏  名      職  業
石川 恒夫    前橋工科大学教授
木村 清和    群馬工業高等専門学校教授
先村 律雄    群馬工業高等専門学校教授
森田 哲夫    前橋工科大学教授
若田部純一    前橋土木事務所長
※若田部 純一委員の任期は令和3年3月31日まで。


【質問7】
 前橋市では、2018年12月末に当時の副市長が更迭されましたが、その理由として、特定の業者との癒着が取りざたされていました。その後実施された本件入札では別の副市長が就任していたことになりますが、副市長という役職は、入札情報を事前に知りうる立場にあるのでしょうか?可能性の有無について教えてください。

【回答7】
 本市では、設計金額が2,500万円以上の建設工事及び設計金額が1,000万円以上の測量、建設コンサルタント業務等の入札は、前橋市建設工事等業者選定審査会要綱で規定する審査会に、指名業者の選定や入札参加条件の設定等を諮ることを定めています。
 副市長は、当該審査会の委員(委員長)であるため、当該審査会に付議する事項について、知りうる立場にあります。


【質問8】
 上記入札①②③のうち、最も予定価格の高額な入札①の落札率が99.3%であることから、当会として、官製談合の疑惑を払しょくできません。質問1と重複するかもしれませんが、前橋市総務部契約監理課では、このような限りなく100%に近い落札額について、談合もしくは官製談合の疑念を持ちましたか?そして、調査の必要を感じましたか? そうは思わなかったという場合は、その理由も教えてください。

【回答8】
 回答1のとおりです。

**********

■このように山本市長の名義で前橋市からの回答書が届きましたが、作成したのは「前橋市総務部契約管理課審査契約室」であることがわかります。したがって、これを見ても、山本市長が自身のブログで強く吐露した決意は、今回の回答書では伝わってきません。

 質問1では、落札率99.3%であることから、いくら工事内容を正確に把握し、役所が手本とする国交省の赤本と呼ばれる積算ガイドラインを基に、資機材費や労務費を普通に見積もれば、役所が算出した予定価格は経験豊富な事業者であれば現実に推算可能とは言え、競争相手があれば、利益率をある程度下げてまでも受注したいという意欲が働くはずです。にもかかわらず、昨札率が99.3%と限りなく100%に近いことは、そうした競争原理が働いていなかった、すなわち、競争相手と応札価格を調整=談合していることは明らかです。

 質問2では、価格と品質の観点から総合評価方式を採用しているにもかかわらず、第1回目の入札で1者(JV)が予定価格を下回っているから、もう1者(JV)は仮に評価点が優れているとしても第2回目の入札に参加できないという市側の説明です。本来、競争原理を働かせるのであれば、第1回目の入札で予定価格に達しなかった応札者であっても、品質面での評価がよければ、再度札入れのチャンスを与えるのが妥当だと思われます。つまり、総合評価方式では、価格+品質の両面から優劣を数値化する工夫が必要なのではないでしょうか。つまり、あらかじめ応札各社の品質や実績等の評価を数値化し、その差が僅差であれば、たとえ1回目で予定価格に届かなくても、2回目の入札を実施して競争させるほうが合理的です。もっとも、今回の場合は、最初から2者が談合しているわけですから、2回目の入札をしても、せいぜい98%程度の落札率になってしまうことでしょう。

 質問3では、明らかに最低制限価格を下回った2者同士で、競争したことは明らかです。本来であれば、最低制限価格を下回らなかったもう1者に対して、2回目の入札をすべきところ、最低制限価格を下回った2者のうち、有料工事の受賞歴を持つ、市側に覚え目出度いほうが有利であることが分かります。こうしたところに、市側の思惑(贔屓の地元業者に受注させたい配慮)がちりばめられているわけです。

 質問4では、最初に価格以外の評価点が決められたあと、価格札を開きますが、「優良工事の受賞」という曖昧な理由が評価点に占める割合が大きすぎるのはなぜか、と質したのに対して、市側は平成17年4月に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(通称「品確法」)を根拠として提示しました。品確法ではたしかに公共工事の品質は、「経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」と規定されていますが、同第12条では、「発注者は、競争に参加する者に対し、技術提案を求めるよう努めなければならない。」とされ、公共工事の品質確保のための主要な取り組みとして、総合評価方式の導入・拡充を促しています。ところが、今回の新議会棟の建設工事では、設計・施工一括発注方式でもなく、地元事業者重視の地域維持型契約方式とも言えるもので、技術提案要素も見当たりません。逆に言えば、だから「優良工事の受賞」実績で優劣を付け易くしている観があります。

 質問5では、電子入札の場合、前橋市は契約管理課長のもとに入札を執行するとしており、前橋市建設工事総合落札方式実施要領の第7条第3号にもとづいて「価格以外の評価点の決定は、改札前に行う」としていながら、質問への回答では「地方自治法施行令第167条の10の2第5項」を引用しています。しかし、これは「当該落札者決定基準に基づいて落札者を決定しようとするときに改めて意見を聴く必要があるかどうかについて意見を聴くものとし、改めて意見を聴く必要があるとの意見が述べられた場合には、当該落札者を決定しようとするときに、あらかじめ、学識経験者の意見を聴かなければならない」と定めており、落札者を決める最終段階で行うもので、改札前にしているわけではありません。やはり、改札前の価格以外の評価点の決定は、前橋市契約管理課の裁量次第ということになり、官製談合の温床が残っていると言えます。
※前橋市建設工事総合落札方式実施要領 ZIP ⇒ sougouhyoukarakusatuhousiki.zip

 質問6では、前橋市建設工事総合評価審査委員会の構成メンバーを質したところ、前橋工科大学と群馬高専からそれぞれ2名ずつ教授が、それに群馬県前橋土木事務所長であることが分かりました。官製談合に染まりがちな群馬県の役人を加えているのは問題です。なぜ、群馬大学理工学部から起用しないのでしょうか。

 質問7では、副市長の関与の可能性について質しました。前橋市の回答として、本件入札を含め、前橋市による設計金額が2500万円以上の建設工事や、設計金額が1000万円以上の測量・建設コンサル業務等の入札は、「前橋市建設工事等業者選定審査会」で指名業者の選定や入札参加条件の設定等を諮っていることが分かりました。同審査会要綱の第3条では「審査会の委員は、副市長、公営企業管理者、総務部長、環境部長、農政部長、都市計画部長、建設部長、水道局長及び教育委員会事務局教育次長の職にある者をもって充てる」と定めており、「2 審査会に委員長及び副委員長を置き、委員長は副市長、副委員長は公営企業管理者をもって充てる」とあることから、予定価格は各部長クラスは全員知っていることになります。これでは、前副市長の倉嶋敬明のように、もともと群馬県で特定業者や業界との癒着が酷かった人物にとっては、おいしい役職に相違ありません。直ちに、前項の「前橋市建設工事総合評価審査委員会」に役割を統合すべきです。
※前橋市建設工事等業者選定審査会要綱 ZIP ⇒ shinsakai.zip

 質問8では、もっとも肝心の質問をしたわけですが、前橋市は質問1の回答どおりだとして、「前橋市談合情報対応マニュアルに定めた対応をしており、入札前後に談合情報の提供もなく、入札内訳書にも不審な点は確認できなかった」として、落札率の高さには無頓着です。今回の官製談合事件で前橋市の担当部署である契約監理課の課長補佐が逮捕されたのですから、対応マニュアルがまったく役に立っていないことは明らかです。したがって、落札率の高い案件について、「調査する予定でおります」としているのは、今までの事案を振り返って調査する予定なのか、これからの入札案件のことを対象としているのか、曖昧です。おそらく、調査する予定で終わってしまう可能性が高いと思われます。
※前橋市談合情報対応マニュアル ZIP ⇒ a04_dangoujyouhoutaioumanyuaru_r0304011.zip



間もなく解体される前橋市議会棟

4月18日から毎週日曜日にWOWOW開局30周年ドラマとして放送スタートの「華麗なる一族」の宣伝ポスター。旧市議会棟の議場をフィルムコミッションとして使用したと記してある

隣りが新議会棟改築工事現場






県庁31階から見下ろした前橋市庁舎と市議会棟改築工事現場の様子

■当会では今後も、群馬県内の談合状況の推移に関心を寄せてまいります。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする