市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【行政私物化に喝!】行政財産をかすめ取ろうとする選良が跋扈する渋川市政…また貸し問題(続報!)

2021-06-22 21:02:00 | 渋川市の行政問題
■「また貸し」とは「借りた物を(貸し手の許しを得ず)更に他人に貸すこと」とあります。これは民法第612条に定める「賃借権の譲渡及び転貸の制限」に照らして、禁止されている行為です。ところが、大同有害スラグ問題で有名な渋川市で、赤城インター近くにある補助金を利用した建物が又貸しされていて、「いったい誰のものなのか?」と大騒ぎになっています。このまた貸しに渋川市元幹部が関わっていたするトンデモ報道がありました。さっそく検証してみましょう。


**********毎日新聞デジタル2021年6月22日
また貸し、副市長認識か 渋川市17年文書「問題ある可能性」 /群馬
 渋川市赤城町の市有地に補助金で建てられた建物が2016年10月、市の契約相手の「赤城農村女性加工販売組合」から親睦団体「ふるさと勢多郡・友の会」にまた貸しされた問題で、市は21日の市議会予算委員会で当時の経緯を記した内部文書などを示した。17年4月に市農林課が人事異動に伴う引き継ぎで作成した文書には、「副市長から法的に問題がある可能性を指摘され」とする記述があることから、当時の副市長はこの問題を認識していたとみられる。
 内部文書は実名を伏せているが、ある市議から当時の市農林課長に相談が寄せられて補助金返還が起きないように対処したことが記されていたうえ、「この件は市議を通す」との記述があった。毎日新聞が独自に入手した内部文書によると、この市議は親睦団体と関係が深い望月昭治議長のことを指している。
 一方、20年6月に市農林課が作成した文書には「変更後の使用者は営業を行っておらず、補助事業の目的にそぐわないものとなっているため、早期の事業再開等補助事業の目的に沿った指導が必要と思われる」とも記されていた。
 21日の予算委では内部文書の存在などを報じた一連の毎日新聞記事を巡り、田中猛夫市議が取材に応じた職員名を明かすよう求めたうえ、記事中の内部文書の開示を要求。市は、職員名は明かさなかったが、内部文書を含む一連の文書を開示したところ、市農林課の引き継ぎ文書の中に当時の副市長が問題を認識していたことを示す記述が含まれていた。
 副市長の氏名は記録されていなかったが、赤城農村女性加工販売組合と親睦団体がまた貸しの契約を結んだ時期や、引き継ぎ文書が作成された時期に副市長を務めていたのは、田中氏だった。【庄司哲也】
**********

 この“また貸し”建物の現場地図や当時の様子は、こちらのブログをご覧ください。↓↓
〇2021年6月14日:【行政私物化に喝!】行政財産をかすめ取ろうとする選良が跋扈する渋川市政…コンプライアンス回復が急務!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3327.html


“また貸し”された建物、つい最近まで自動販売機が設置されていたという。

■今回も報道のポイントを整理してみましょう。

ポイント① 渋川市予算委員会において田中猛夫市議が文書の公開を求めたこと。
ポイント② 渋川市が文書を開示したこと。
ポイント③ 開示文書には副市長の名前が・・当時の副市長は田中猛夫市議だった。
ポイント④ 田中元副市長の行動は背任行為ではないか?

●ポイント①
渋川市予算委員会において田中猛夫市議が文書の公開を求めたこと。

 毎日新聞が、“渋川市赤城町の市有地に補助金で建てられた建物が2016年10月、市の契約相手の「赤城農村女性加工販売組合」から親睦団体「ふるさと勢多郡・友の会」にまた貸しされた問題”について、スクープ報道しています。

 この報道に対して、何を思ったのか、田中猛夫という市会議員が、毎日新聞の取材に応じた渋川市職員名を明かすよう求めたうえ、内部文書の開示を要求していたようです。取材に応じた渋川市職員を犯人扱いしての犯人捜し(?)や、内部文書が明らかになれば、犯人探しが容易になり、圧力をかけられるとでも思った(?)のでしょうか。

 田中市議は、この内部文書の開示を、渋川市議会予算委員会において求めたようです。いったい、予算と何の関係があるのでしょうか?自分さえよければそれでよいのでしょうか?


毎日新聞の取材源と内部文書の開示を求めた田中猛夫・渋川市議会議員。渋川市では任期満了に伴う渋川市長選挙、および、市議会議員の欠員に伴う渋川市議会議員補欠選挙が、8月22日(日)告示、8月29日(日)投開票で執り行われる予定。そのためか、同議員は、「仁政クラブ会報」なる文書を、新聞折込チラシで配布していた。ところが、そこには学歴詐称とも思われる記述が記載されていたという。↑

●ポイント②
渋川市が文書を開示したこと。

 田中猛夫市議の要求は、予算とは何の関係もありませんが、渋川市は、職員名は明かさなかったものの、内部文書を含む一連の文書を開示したようです。田中市議の意図はよく分かりませんが、同市議も市の対応にはさぞ満足したことでしょう。

 開示された文書は、17年4月に市農林課が人事異動に伴う引き継ぎで作成した文書と、20年6月に市農林課が作成した文書だそうです。これらの文書の中身には、いったい何が書いてあるのでしょうか?記事の要所を列挙してみましょう。

①「『副市長から法的に問題がある可能性を指摘され』とする記述があることから、当時の副市長はこの問題を認識していたとみられる。」こと
②「ある市議から当時の市農林課長に相談が寄せられて補助金返還が起きないように対処したことが記されていた。」こと
③「『この件は市議を通す』との記述があった。」こと
④「毎日新聞が独自に入手した内部文書によると、この市議は親睦団体と関係が深い望月昭治議長のことを指している。」こと
⑤「変更後の使用者は営業を行っておらず、補助事業の目的にそぐわないものとなっているため、早期の事業再開等補助事業の目的に沿った指導が必要と思われる。」とも記されていたこと

当会注:この建物で鮮魚販売や飲料水販売が行われていたことから、営業を行っておらずとは、この建物は補助事業目的の農業関係の営業を行っておらずの意味だと考えられる。

 このように建物の所有問題、土地のまた貸し問題、そして補助金の目的外使用などの諸問題について、当時の副市長が認識していながら、この件は「市議(望月昭治)を通す」ことになっていたというのですから、この副市長と望月昭治議長が結託して不正に建物を使用していたことは、もはや明白になっています。

●ポイント③
開示文章には副市長の名前が・・当時の副市長は田中猛夫市議だった。

 このように、開示された文章には、副市長の名前と望月昭治市議会議長の名前が記載されているようです。そして、毎日新聞によると、当時の副市長は、毎日新聞の取材源を明かすよう迫ったり、この内部文書を開示するように予算委員会で要求したりしたのは、なんと田中猛夫市議・本人だということです。

 予算委員会で、予算と関係ない取材源や内部文書を自分自身で要求し、その内部文書により、自らを窮地に追い込んでしまった田中猛夫市議。彼はいったい何を考えているのでしょうか?

 「毎日新聞の取材に応じた職員は誰だ!」と迫り、圧力をかけることで、「内部文書の開示ができなくなるだろう」などと安易に思いついたのでしょうか?あるいは、この件で一部の渋川市職員と密約ができていたのでしょうか?それとも、元部下に裏切られたのでしょうか?

●ポイント④
田中元副市長の行動は背任行為ではないか?

 報道では「ある市議から当時の市農林課長に相談が寄せられて補助金返還が起きないように対処したことが記されていた」と報じられています。

 「ある市議」とは望月昭治・市議会議長であり、当時の副市長は、「副市長から法的に問題がある可能性を指摘され」とあるように、問題を十分認識していながら「この件は市議を通す」と、望月議長が利益を得るように取り計らったことが報道されています。これは渋川市に対する背任行為ではないのでしょうか?

 刑法では次のように規定されています。
**********
(背任)
第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

**********

 地方公務員とは何でしょうか?地方公務員法も見てみましょう。
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第二条 地方公務員(地方公共団体のすべての公務員をいう。)
第三条 地方公務員の職は、一般職と特別職とに分ける。
第三十条 すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。

**********

 背任罪が成立するためには、利得犯、すなわち行為者が自己若しくは第三者の利益を図ったか、が必要です。これを今回のケースに照らしてみると、望月市議長に「補助金返還が起きないように対処」するために、公共の利益のために勤務する渋川市特別職である田中猛夫副市長が取り計らっています。

■渋川市では大同特殊鋼(株)が排出し、(株)佐藤建設工業がばら撒いた有害スラグを巡り、両者を優遇する施策が実施されています。また、望月昭治市議会議長が関係する建設会社が撤去予定のスラグを被覆する工事を請け負うなど、到底、業者としての立場だけでは到底不可能な離れ業も数々行われています。

 この流れを作ったのが、今でも渋川市政に影響力を行使する田中猛夫・渋川市議(元副市長)なのかもしれません。引き続き、この事件の今後の展開が注目されます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【コロナワクチン接種を巡る狂騒】高齢者ワクチン接種状況・・・台湾の場合

2021-06-21 22:51:00 | 新型コロナ問題
■台湾では、既報のとおり、6月4日に124万回分のアストラゼネカ製の新型コロナワクチンが日本政府から提供され、このワクチンの接種が医療従事者を対象にスタートし、6月15日からは75歳以上の高齢者を優先接種の対象として、台湾全域でワクチン接種が始まりました。筆者の90歳の義母も早速15日に接種し、いまのところ副反応もなく元気にしています。


 ところが、台湾のニュースサイト「東森新聞雲(ETtoday)」によると、新型コロナウイルスワクチンを接種した高齢者が17日夕までに少なくとも21人亡くなったことが分かったと報じました。地域別では新北市が5人、台中市が4人、新竹市と雲林県が各2人、台北市と桃園市、新竹県、彰化県、嘉義市、台南市、高雄市、屏東県が各1人で、複数の人に高血圧や糖尿病などの持病があったということです。

 これに対して、コロナ対策を担っている台湾衛生福利部(衛生省)中央流行疫情指揮中心の陳時中指揮官は17日「死亡にはさまざまな可能性があるが、ワクチン接種との関連性も当然排除できない」と指摘した上で、「ワクチンを打つことでの利益の方が不利益よりも大きい」と述べ、ワクチン接種を勧める考えを示しました。

■台湾に日本がワクチンと提供した際にも、「日本人が打たない、しかも期限切れに近いもの」などとケチをつけた中共政府は、この報道にすぐに反応し、御用報道機関の新華社通信は「台湾では19日までに67人がアストラゼネカ社製のワクチンを接種した後に死亡した。9人はすでに解剖を終え、このうち1人から新型コロナウイルスが検出された。台湾は一日も早く中国が提供するワクチンを受け入れるべきだ」などと盛んにアピールする始末です。

 また、日本のメディアでも、親中派の記者が盛んに日台間の友好関係を揶揄する記事を報じたりしています。(本稿末尾記事参照)

 こうした中で6月20日夕、米国が無償提供した250万回分のモデルナ製ワクチンを台湾に到着しました。蔡英文総統は同日、「米国政府に心から感謝する。日本と米国はタイムリーに支援の手を差し伸べてくれた。困った時に助けてくれる友こそ真の友人だ」と述べました。

 これからも中共政府のさまざまな妨害や嫌がらせがあるでしょうが、台湾の皆さんは冷静に対応することでしょう。


筆者も予定通り6月17日16時に2回目のワクチン接種を受けました。接種後は何ともありませんでしたが、翌18日の昼過ぎに体が熱っぽく感じはじめたので体温を測定したところ37.1度Cでした。その後、2時間ほど37.0度Cが続き、夕方になると36.5度Cに下がり、翌朝起床時も36.5度Cでした。昼頃までに36.2度Cになり、体調も元通りになりました。なので、やはりファイザーの場合、2度目の接種後に発熱する傾向があるというのは事実のようです。

【群馬県台湾総会書記からの報告】

※関連報道
**********フォーカス台湾2021年06月14日
台湾の複数県市、高齢者ワクチン接種に「宇美方式」導入へ 時間短縮狙う

新型コロナワクチンの集団接種の模擬訓練(台中市政府提供)
 (台中、嘉義、高雄中央社)高齢者向けの新型コロナウイルスワクチンの集団接種で、台湾の複数の県市は、医師が巡回して接種を行う「宇美方式」を採用する。接種の速度を加速させるとともに、クラスター発生のリスクを減らす。
 「宇美方式」とは、福岡県宇美町が実施している集団接種の方式。会場内に設置した座席に被接種者を座らせ、その間を医師やスタッフが移動してワクチンを打っていく。被接種者の会場内での移動が減るために高齢者への負担が少なく、接種完了までの時間短縮も期待できる。
 宇美方式の導入を発表している台湾の自治体は、中部・台中市、南部・嘉義県、高雄市など。台湾の各県市では15日から高齢者への接種が始まる。各県市はまず、80代以上の高齢者を優先に接種を開始する方針で、優先接種の対象年齢は各県市で異なる。
(趙麗妍、洪学広、黄国芳/編集:名切千絵)

**********【フェイクニュース】日刊ゲンダイ3021年6月19日(土)15:02
台湾に激震!アストラゼネカ製ワクチン接種直後に36人死亡 開始わずか4日間で

寄贈が招いた悲劇なのか(C)ロイター
 安倍晋三前首相の強い指導力で実現した台湾への英アストラゼネカ(AZ)製のワクチン寄贈が現地で反日暴動、政変すら起きかねない危機を引き起こしている。
 15日から高齢者を中心にAZ製の接種が始まったが、18日までの4日間で優先接種を受けた高齢者42人が死亡。このうち36人はAZ社製を接種した直後に死亡していたと台湾アップルデイリー電子版が報じたのだ。6人は解剖の結果、AZ製との関係がなかったことが明らかになった。しかし残る36人は司法解剖の段階にあり、因果関係はいまだに解明されていないが、15日から連日トップニュースで報じられ、AZ製への信頼性は著しく低下している。
 大手有力ケーブルテレビTVBSが実施した「どのメーカーのワクチンを接種したいか」との世論調査では、1位が独ビオンテック(米ファイザー=34%)。以下、米モデルナ(19%)、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセンファーマ=10%)に大きく引き離されたばかりか、AZはいまだに認証されていない台湾高端(メディジェン=7%)にも及ばない4%だった。
■在台邦人は対日感情悪化を危惧
 在台邦人には感謝の気持ちを込めてAZ製の優先接種を台湾当局は決めているが、邦人は逃げ惑うばかりだ。
 「いきなり死者が出たAZ社ワクチンは接種したくありません。しかし、これを打たないと在外邦人にはワクチンの救いの手は差し伸べられてこないんですよね……」
 そして、在台邦人が危惧するのは、日本への感謝から一転しかねない対日感情悪化だという。
 「台湾人の変化は日本人が想像するよりも数段速い。感謝感謝が何で日本自身が接種を控えたワクチンを偉そうな顔して送ってきた、と激怒に振れる兆しすら感じます。政治的意図をもった不用意なワクチン寄贈が在外邦人、そして台湾の政権に大きな危害をもたらす可能性があります」
 移り気の台湾民意は政治にも大きな影を投げかける。蔡英文民進党政権の支持率下落は底が見えず、日本が寄贈したAZ製接種の中断を検討し始めた。蔡英文の政敵である台北市長・柯文哲と新北市長・侯友宜は蔡英文政権にコロナ対策を任せておけないとタッグを組み、独自の対策に着手した。友情が表看板だったAZ製ワクチン寄贈は台湾に政変をもたらす恐れすら生じさせている。=敬称略 (売文家・甘粕代三)

**********NHK News Web 2021年5月20日 20時41分

モデルナ アストラゼネカ ワクチンの効果は?副反応は?
 欧米の製薬会社モデルナとアストラゼネカの新型コロナウイルスのワクチンについて、20日夜、厚生労働省の専門家部会が承認することを了承しました。21日にも田村厚生労働大臣が正式に承認する見通しです。
 それぞれのワクチンの効果や副反応などを、すでに国内で接種が行われているファイザーのワクチンとともに表にまとめました。

【発症を防ぐ効果】
<モデルナ>
94.1%(海外で行われた臨床試験)
<アストラゼネカ>
70.4%(イギリスやブラジルなどで行われた臨床試験の結果をまとめた論文の平均)
<ファイザー>※5月11日時点
95%(臨床試験の結果をまとめた論文)
【変異ウイルスへの効果】
<モデルナ>
▽イギリスの変異ウイルス
 →大きな影響は無し
▽南アフリカの変異ウイルス
 →抗体の量が減ったもののワクチンとして必要なレベルは上回る
▽ブラジルの変異ウイルス
 →抗体の量が減ったもののワクチンとして必要なレベルは上回る
<アストラゼネカ>
▽イギリスの変異ウイルス
 →変わらず
▽ブラジルの変異ウイルス
 →抗体の働きを示す値が下がるものの効果はある
▽南アフリカの変異ウイルス
 →効果は見られなかった
<ファイザー>※5月11日時点
▽イギリスの変異ウイルス
 →高い有効性
▽ブラジルの変異ウイルス
 →ほぼ変わらず
▽南アフリカの変異ウイルス
 →効果は低かったものの十分
【副反応など】
<モデルナ>
接種した場所の痛みや腫れ、全身のけん怠感や頭痛、筋肉痛、寒気、発熱、吐き気など。通常は数日で消える
<アストラゼネカ>
接種した場所の痛みやけん怠感、頭痛、筋肉痛、発熱など。ほとんどは数日以内に解消
ごくまれに血栓ができるケースが確認され、死亡例も報告。原因は特定されていないもののワクチンとの関連性が指摘される
<ファイザー>※5月11日時点
▼けん怠感:1回目の接種後23.2%、2回目の接種後は69.6%、
▼頭痛:1回目の接種後は21.2%、2回目の接種後は53.7%、
▼37度5分以上の発熱:1回目の接種後は3.3%、2回目の接種後は38.4%
(2021年4月30日に専門部会で示された厚労省研究班資料より)
【契約状況】
<モデルナ>
ことし9月までに5000万回分=2500万人分
<アストラゼネカ>
年内に1億2000万回分=6000万人分
<ファイザー>
年内に1億9400万回=9700万人分
【保管温度と期間】
<モデルナ>
海外では▽マイナス20度前後で6か月間、▽2度から8度の冷蔵状態で30日間
<アストラゼネカ>
2度から8度で6か月間保管
<ファイザー>
▽マイナス75度前後で6か月間、▽マイナス20度前後で14日間、▽2度から8度で5日間
【接種回数と間隔】
<モデルナ>
回数:2回
間隔:海外では4週間
<アストラゼネカ>
回数:2回
間隔:海外では4週間から12週間
<ファイザー>
回数:2回
間隔:国内外とも21日
【アストラゼネカワクチン 血栓とは】
アストラゼネカのワクチンを接種したあと、ヨーロッパ各国で、極めてまれに血栓ができる副反応が確認され、亡くなったケースも報告されていますが、EMA=ヨーロッパ医薬品庁は安全で効果的なワクチンで、接種によって発症や重症化を防ぐメリットは副反応のリスクを上回るとしています。
このワクチンは、接種したあと血栓ができたケースが報告されていて、4月7日に公表されたEMAの調査結果では、「血栓は非常にまれな副反応としてリストに加えられるべきだ」として、ワクチンと血栓の間に関連性がありうるという認識が示されました。
それによりますと、血栓は60歳未満の女性で接種から2週間以内の報告されるケースが多く、脳や腹部の静脈などで起き、血小板の減少を伴うこともあるなどとしています。
イギリスの規制当局は、5月5日までにイギリス国内でこのワクチンを1回接種した人が2330万人、2回接種した人は750万人いてこのうち、血小板の減少を伴う血栓症になったのが262人、そして51人が死亡したと報告しています。
血栓が起きる頻度は接種100万回あたり、10.9回だとしています。
このワクチンの海外での添付文書には、接種後に血小板の減少を伴う血栓が極めてまれに確認されていて、死亡例もあることが記載されています。
血栓が起きる割合は高齢者よりも若い世代で高いとされ、イギリス政府の諮問委員会は予防的な措置として40歳未満には別のワクチンの接種を勧めるとしていて、ほかにも年齢制限を設けた国や接種を中止した国も出ています。
血栓ができる原因は特定されていませんが、各国の研究グループから血を固める「血小板」の働きを高める抗体が増えていることが報告されていて、血を固まりにくくするヘパリンという薬を投与したあとに、血小板が減り、逆に血栓ができてしまう「ヘパリン起因性血小板減少症」と似ていると指摘されています。
WHO=世界保健機関は4月16日の声明で、感染が続く国ではワクチンを接種するメリットはリスクをはるかに上回るとした上で、各国は感染状況やほかのワクチンを入手できるかといった事情を考慮して判断すべきだとしています。
【専門医「アストラゼネカ どんな年代に接種するかなど検討を」】

 承認の可否が判断されるモデルナとアストラゼネカ、2社のワクチンについて、国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は、多くの患者の治療を行ってきた経験から、発症や重症化、それに感染そのものを防ぐためにワクチン接種が進むことを期待していて、接種の選択肢が増えるとして歓迎しています。
 このうち、モデルナのワクチンについて忽那医師は「現在接種が行われているファイザーのワクチンと同じ『メッセンジャーRNAワクチン』で、ほぼ同等の効果がある。保管の条件はファイザーのワクチンほど厳しくないため使い勝手がよく、接種率の向上に重要な役割を担うと思う」と話しています。
 また、アストラゼネカのワクチンについては「発症予防効果は70%ほどで重症化の予防効果もあるので、単体のワクチンとして考えた場合、非常に有効性の高いワクチンであることは間違いない。選択肢が増えるのは歓迎すべきことだ」と話しています。
 その一方で、ヨーロッパで主に若い女性で極めてまれに血栓ができる副反応が報告されていることについて、忽那医師は「頻度は決して高くないが、海外では亡くなった人も報告されていて、深刻な副反応ではあると思う。他のワクチンも十分に在庫が確保されている中で、どういう人に接種するか、承認する時点で接種についての考え方を吟味しておく必要がある」と指摘しています。
 そのうえで「アストラゼネカのワクチンはアナフィラキシーは少なく、どのワクチンにも一長一短がある。国は副反応の情報を含めて、正しい情報を包み隠さず出したうえで、接種するワクチンを選択できた方がよいと思う」と話しています。
**********
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住民の意向を無視して県が出した安中市内の関東最大級サンバイ場設置許可処分に対し環境大臣に審査請求!

2021-06-18 23:34:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■安中市と高崎市と富岡市が境界を接する安中市岩野谷地区、高崎市吉井町上奥平地区、富岡市桑原地区には、廃棄物処理施設として中間施設や最終処分場が集中しています。これまでにも住民は、廃棄物処分施設の計画が持ち上がるたびに反対運動を展開していきましたが、業者と癒着した行政の前に、ほとんどの場合、敗れ去り、今日の「廃棄物銀座」と呼ばれる景観を呈する惨状となってしまいました。

 なかでも、平成18年から安中市岩野谷の大谷地区の一番奥に計画されている㈱環境資源による関東屈指の大規模な産業廃棄物最終処分場計画は、地元の生活環境や営農環境保全の観点から、最後のとどめを刺されかねないため、地区住民は深刻な脅威として対処してきました。そうした中、突如として群馬県知事が今年2021年2月3日に㈱ジョウソウに対して、この大規模サンパイ廃棄物最終処分場の設置許可を出してしまいました。

 その手続きの経過と内容を確認すべく当会では情報開示請求を群馬県と安中市に行いました。その結果、茂木英子・安中市長の地元に計画されているこのサンパイ場に対して、茂木市長は県議時代から反対の意向を示していたことから、群馬県知事の山本一太が、わざわざ2020年12月25日のクリスマスの朝、安中市長ら幹部と面談していたことが分かりました。


安中市岩野谷地区の大谷(おおや)の県道わきにあるサンパイ場に反対する住民らが立てた看板。




大谷の県道沿いには他にも多数の産廃反対の看板が並ぶ。群馬県知事はこれらが目に入らないらしい。

 当日朝、山本知事は、知事戦略部秘書課の福島康嗣・秘書第一係長を連れて、秘書第二係の澤田卓也・主査(技)の運転する公用車で安中市に向かいました。併せて、サンパイ場の申請許可手続きをしている環境森林部の岩瀬春男部長も、廃棄物・リサイクル課の水澤俊也課長を連れて、朝7時に県庁に登庁した同課の富田典之・係長(技)の運転で、スバルインプレッサに乗り合わせて、知事の乗った公用車ととともに、安中市役所に朝9時に到着し、安中市役所の2階の応接室で約20分間にわたり、安中市幹部らと面談しました。

 そして、会議録によれば、安中市から、茂木英子・市長、粟野好映・副市長、清水裕之・市民部長、小野恭義・環境政策課長が出席し、群馬県から「㈱ジョウソウの設置許可申請について、廃棄物処理法の許可要件を満たしているため、県が許可しなければならない」旨を安中市長に説明し、その際、群馬県からは資料の提出は何もなく、全て口頭での説明だったようです。


大谷を流れる岩井川の一番上流にある新山の溜池の堰堤。水田の灌漑用水をここで蓄えている。

新山の貯水池(溜池)。正面奥の山間に大規模サンパイ場計画が進められ、排水はこの溜池に注がれる。また廃棄物からの浸出水は処理後、岩井川沿いの土手に排水管を埋設し、下流方向に延長放流されるという。今回の群馬県の設置許可処分は、処分場の排水の混じった灌漑用水を水田に引き込んでもよいというに等しい。

さらに進むと、高崎市との境界にある県道に出る。左が高崎市で、すぐわきに昭和電気鋳鋼のサンパイ処分場がある。右が安中市で、すぐそばに大和建設のサンパイ中間処理施設がある。↑

昭和電気鋳鋼のサンパイ場設置標識板。


大和建設のサンパイ中間処理施設。



富岡市の埋め終わった一般廃棄物最終処分場。

富岡市桑原地区にある田村組の中間処理施設。

同じく桑原地区にある7年前に戸田建設と西松建設の共同企業体である中央環境資源開発㈱が計画したアスベスト中間処理施設計画の跡地。現在は装弾メーカーのダイセルパイロテクニクス社が猟銃の銃弾などの保管庫として使用している。火薬庫も迷惑施設ではあるものの、得体のしれないサンパイを持ち込むどこの馬の骨ともわからぬサンパイ業者よるはずっとマシということで、地元の方々も納得。

■一方、安中市にこの日の群馬県知事の来訪について、情報開示請求を行いましたが、当日12月25日の予定表として、9時に件名(場所)として「群馬県山本知事、環境森林部長来庁(応接室)」、要件等として「産業廃棄物処分場の件ほか」、担当部署として「環境政策課」、出席者として「市長・副市長」が予定されていたことが分かりました。しかし、不思議なことに、山本一太が管理職らを引き連れて、市長のお膝元の岩野谷地区に計画されている関東最大クラスの産廃処分場に関する説明であるにもかかわらず、会議メモの類が一切存在しないというのです。

 このため、約20分間の山本知事と茂木市長との面談で、一太知事が「茂木さん、悪いけど、どうしても法令上、県としてこれ以上、㈱ジョウソウの設置許可申請について、手続きを延ばすことができない。なぜなら廃棄物処理法の許可要件を満たしているからだ」などと言ったようですが、茂木市長は当然「私の住んでいる地元なので、このサンパイ場問題はどうしても地元住民の皆さんによる反対の意見を尊重しなければなりません。私に説明をしたという既成事実をつくりにおいでになったのでしょうか。だったら、絶対に安中市として認められないので、県には許可を絶対に出さないでほしい」と言うはずですが、それを確認するための証拠となる会議録ないし会議メモが存在しないというのです。

■こうした不可思議な行政同士の対応を見るにつけ、地元岩野谷地区でかつて地元住民が粘り強く抵抗したにも関わらず、群馬県と安中市が結託して、サイボウ環境㈱に対して一般廃棄物最終処分施設の設置許可と、運搬業許可を与えた経緯が思い出されます。

 当時も、群馬県は「設置許可は単なる手続きの一過程であり、事業者は個別法をクリアしなければならないのだから、心配ない」などと、地元が廃棄物銀座になることを心配した住民に出まかせを言い、安中市は「個別法の手続きでは、事業者とは絶対に協議の場に着かないので心配いらない」などと言って住民を安心させておきながら、事業者は「安中市がテーブルに着こうとしない」と群馬県に報告し、群馬県は「事業者がそれほどなんども協議を申し入れても安中市が応じなかったのだから、県として農振除外手続を認めてやろう」と事業者の便宜を図る始末でした。

 今回も、安中市で審査される森林法や農振法などによる手続きが必要であることから、安中市は「絶対に業者と交渉しない」と言っており、それを聞いているだけなら、「安中市は住民側のことを最優先してくれている」などと錯覚しがちですが、すべて群馬県と示し合わせた茶番であることは、以前、サイボウ環境の一般廃棄物管理型最終処分場でも痛いほど見せつけられました。

■というわけで、このままだと、今回の施設設置許可処分を引き金に、いよいよ岩野谷地区の安心・安全な生活環境の保全が永遠に取り戻せなくなるリスクが現実のものになりかねません。そこで、地元住民として、行政不服審査法による処分取り消しを求める審査請求をすることにしました。

 とりあえず処分庁である群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課を訪れて、富田係長に審査請求のやりかたについて相談したところ、廃棄物処理法という法令に基づく処分の為、審査請求書の提出先は環境大臣ということがわかりました。

 また、環境省の産業廃棄物に関する事項についての担当窓口は、環境再生・資源循環局廃棄物規制課(電話03-3581-3351(内線6878)、FAX03-3594-8264)であることも教えてもらいました。

 早速、環境省の廃棄物規制課に電話をしたところ、電話に出た職員に用件を説明すると「それは別の担当者の管轄だが、自分は今日はテレワーク中なので、あとで電話をさせるので、小川さんの連絡先を教えてほしい」と言われたので、筆者の携帯番号を伝えました。

 すると、1時間半ほどして、担当者と称する勝木職員から電話が有り、あらためて事情を説明したところ、「もう審査請求書の案を作成済みであれば、郵送で構わないので、行政不服審査法で定めた審査請求の用件を満たした書式で書いた審査請求書を2部提出してほしい」と説明がありました。

■そこで、本日令和3年6月18日付で、次の内容の審査請求書を環境大臣あてに郵送しました。

*****6/18環境大臣あて審査請求書*****ZIP ⇒ 202106181r.zip
            審査請求書
                          令和3年6月18日
環境大臣 殿

                審査請求人 群馬県安中市野殿980番地
                         小川 賢
                   (連絡先090-5302-8312(電話番号))

行政不服審査法第19条第2項等に基づき、次のとおり審査請求をします。

1 審査請求に係る処分の内容
  群馬県知事山本一太が、令和3年2月3日付で株式会社ジョウソウに対して為した産業廃棄物処理施設設置許可処分

2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
  令和3年3月26日

3 審査請求の趣旨及び理由
 (1) 請求の趣旨
  ア 審査請求人は、群馬県安中市岩野谷地区に在住する納税者住民である。
  イ 岩野谷地区は、岩井、野殿、大谷の3区域から構成されており、このうち岩井・野殿区域は東邦亜鉛安中製錬所の鉱毒による大気汚染、土壌汚染、河川・地下水汚染の影響を受けており、未だに安全・安心な生活環境の保全が担保されていない。
  ウ 岩野谷地区は、隣接する高崎市吉井町上奥平地区並びに富岡市桑原地区における廃棄物処理施設の設置計画及び設置実現が多発していたことから、その影響が実際に岩野谷地区に及ぶことが懸念されており、良識ある住民らにより監視が続けられてきたが、平成2年頃から、大谷区域でサイボウ環境による管理型一般廃棄物最終処分場の設置計画が持ち上がった。住民らは反対運動を展開したが、平成9年に群馬県知事が設置許可を出してしまっため、平成19年に開業されてしまった。その後、大和建設の中間処理施設が稼働したり、大谷区域の谷津と呼ばれる山間に次々に産業廃棄物最終処分場の設置計画が群馬県に提出されてきた。
  エ 今回のジョウソウによる産業廃棄物最終処理施設(サンパイ処分場)は、前記のサイボウ環境の処分場が稼働した平成19年当時から、同処分場設置手続きや地上げに関与していた関係者が次の案件として地元で画策していたもので、安中市後閑にある不動産業者が中心となり、「環境資源」という名前を付した会社が、地元の地権者や周辺住民の同意書、下流の水利組合員からの同意書を取り付けたりしていたが、その後、環境資源は群馬県に対して事前協議を申請し、平成25年8月19日に群馬県知事が事前協議終了通知を環境資源に発出した。
  オ その後、環境資源は平成25年10月22日付で産廃処分場設置の許可手続きのための本申請を群馬県知事に行ったことから、危機意識を共有した地元区長会は、平成27年3月29日(日)午後2時から、岩野谷公民館2階講義室において「廃棄物処分場に関する特別講座」を開いた。この特別講座には、大谷地区住民を主体に、岩井地区、野殿地区の住民らを含め総勢40名余りが参加した。そして、設置許可手続きの最終段階にある環境資源のサンパイ処分場の設置阻止に向けて、安中市の市長や副市長も参加し、安中市職員による出前講座のあと、専門家による特別講座が行われた。
  カ その後、環境資源による表立った動きは見られず、地元住民の間では、環境資源が財政的に行き詰まったとして、安堵する声も聴かれるようになった。
  キ そうした状況下で2年半が経過した平成29年10月14日、突然㈱ジョウソウという聞き慣れない事業者による「株式会社ジョウソウ(旧環境資源)管理型最終処分場事業住民説明会」が開催され、審査請求人も地元住民から連絡を受けて急遽、同日午後6時半から安中市商工会館3階の大研修室に行った。ジョウソウの説明では、環境資源を引き継いだとのことであったが、審査請求人は、「単に引き継いでも、会社名が変わり経営陣が入れ替わっており、最初から事前協議をしなければならないことをよく認識したほうがよい」とアドバイスをした。
  ク その後、ジョウソウの動きも見られないまま3年が経過した今年3月9日に、地元住民から「群馬県がジョウソウの大規模産廃計画に対して設置許可を出したという未確認情報がある」との通報を受け、直ちに群馬県に情報開示請求を行い、3月26日に開示を受けた文書で、群馬県知事がジョウソウの本件計画に対して練和3年2月3日付で設置許可処分を出したことを知った。
 (2) 請求の理由
  ア 審査請求人は、平成26年7月30日に次の内容の意見書を群馬県の本件許可申請に係る実施機関宛に提出した。以下に引用する。
                       <引用はじめ>
                      平成26年7月30日
〒371-8570前橋市大手町1-1-1
環境森林部廃棄物・リサイクル課 御中
   株式会社環境資源産業廃棄物処理施設設置許可申請にかかる
        生活環境保全上の見地からの意見書
1. 意見書を提出する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名:
  安中市野殿980番地  小川 賢
2. 意見書を提出する対象事業の名称:
 株式会社環境資源産業廃棄物処理施設設置
3. 施設設置に関して利害関係を有する理由:
①当該施設が設置予定場所(安中市大谷字新山1259番2、外9筆)のある岩野谷地区の住民であり、サンパイ銀座化する地元のイメージダウンの影響を強く受ける。
②設置予定場所から西北西1.7㎞の地点に3700㎡の山林を保有しており、当該施設から発生する粉じん汚染の影響を強く受ける。
③当該施設から搬出される30~40万㎥に及ぶとみられる大量の土砂の行き先のひとつとして挙げられる市内郷原のベントナイト掘削跡地に至るルートを生活道路としている地区に住んでおり、多数のトラックの輸送による騒音、振動、交通事故リスクの影響を強く受ける。
4. 生活環境保全上の見地からの意見:
(1) 杜撰な計画のまま当該施設設置申請がなされており生活環境保全上、重大な脅威がある。
 設置申請書には平成25年10月22日の日付があるが、今回縦覧された申請内容を見ると、紙の色や質が異なっているページがあったりして、あきらかに申請後差し替えた形跡がある。
 このことについて、実施機関である廃棄物・リサイクル課に確認したところ「平成25年10月22日の本申請後、いろいろな変更・修正・訂正部分がある。今回、縦覧に供したのは、その時点での計画内容であり、これで確定した内容と言うわけではない」というコメントであった。
 これでは、未成熟な申請内容に対して、意見書を出すことになり、そもそも、意見書を出す意味がない。
 もっとも、実施機関としては、形式的に手続きを進めるだけだから、地元自治体や住民らやどのような意見書が提出されても、第三者機関を装った審査会で、そうした意見に対して、いちいち討議するわけではなく、結局、設置許可という最終目的に向けたひとつの過程に過ぎないと考えているのである。
 従って、いくら地元住民が、とりわけ、当該施設から排出されるサンパイの浸出水が流れ込むため池や灌漑用水路の水を使って農地を耕作させられることになる水利権者らが、このような無謀で杜撰な計画には許可を出さないでほしい、といくら叫んでも、実施機関は平然と許可手続きを進めるのである。これには、平成19年4月に、同じく地元の大谷字西谷津で稼働を開始したサイボウ環境㈱による管理型一般廃棄物処理施設の際にも、実施機関が地元住民の生活権や水利権を無視して許可を出したという前例がある。
 今回の申請に際して、環境資源の役員をしていた中島信義は、かつてサイボウ環境の申請手続きの際に、群馬県の林務部長や環境局長の任にあった人物である。
 環境資源の渉外担当をしている角田穣は、中島信義の懐刀として、サイボウ環境の申請手続きの際に、サイボウの社長らによる進入道路(市道)の境界確定に関わる虚偽公文書の作成及び行使で、地元住民が警察に告発した際の火消し役として暗躍した人物である。
 さらには、当時、中島信義の部下として、サイボウ環境の申請手続きの行政側の実務担当だった青木勝は、現在、群馬県環境森林部長である。
 これらの人物は、サイボウ環境の処分場施設設置申請手続や、許可後の、間組による進入道路の工事手続、大林組による準備工事の過程で、道路法、河川法、建築基準法、農地法などの違法行為を住民が告発や指摘をしたにもかかわらず、警察と結託したりし全て握りつぶした。
 とりわけ、処分場の浸出水の放流先である下流の水田耕作者が最後まで水利権を主張し、許可の無効確認を求めた行政訴訟において、群馬県は安中市と結託して、業者に溜池を作らせ、井戸を掘らせて地下水をくみ上げ、さらには高崎市の水道局から水道管を引っ張って来て(大谷地区の水道は以前から高崎市水道局から給水されている)、溜池の脇に設置し、水田耕作者があくまでも天水による水稲栽培にこだわったにもかかわらず、灌漑用水の確保はなされたという論理で、下流耕作者の水利権を無視して、直ぐ上流に管理型一般廃棄物処分場をサイボウ環境に作らせたのである。
 また、県道から処分場までの1キロ余りの距離に、廃棄物を満載した大型ダンプトラックが通行可能な搬入道路(進入道路とも言う)を設置する必要があったため、この工事について、安中市は、既設の地元生活道路である市道を業者が拡幅することを認めるとともに、一部の区間の隣接地権者に反対者がいたため、あらたに県道との間に道路を建設し、安中市に寄付させて市道認定した。さらに、市道に隣接した土地の所有者らとの境界の確定書についても、サイボウ環境が、3名分を勝手に偽造し、1ヵ月半前に死亡したはずの人物の署名と押印をしたりするなど、3名分を勝手に偽造し、それを安中市は受理した。
 また、県道とサイボウ環境が市に寄付した市道との取付部においては、道路法による交差点協議で境界確定書が、サイボウ環境から群馬県に提出されたが、この時も、隣接の山林の地権者が30年前に亡くなっているにもかかわらず、サイボウ環境が偽造書類を作成し、群馬県に提出して受理された。
 これらの業者の犯罪行為について、地元住民らが警察に告発したが、いずれも作成したのはサイボウ環境ではなくてサイボウから境界確定業務を請け負った測量会社だったとして、刑事裁判ではサイボウ環境ではなく測量会社が有罪(しかし執行猶予付き)となった。だが、不思議なことに、サイボウ環境が虚偽の境界確定書を行政に提出した(偽造公文書行使)にもかかわらず、刑事裁判ではこの点について行政も警察も、さらには、前橋地裁も判決で不問にした。
 こうした信じられないほどの行政と業者との癒着の経緯が過去に実際に起こっていることから、今回も、当該施設設置について、杜撰な計画申請にもかかわらず、本申請の最終段階である公告縦覧までステージを進めることができた構図が見て取れる。
 このような、いわゆる申請業者と許認可権者の間の「デキレース」により、生活安全上の問題が十分にチェックされないまま、設置許可が出されてしまうことに地元住民として強い危機感を感じている。
(2) 杜撰な計画のまま設置許可に向けた本申請の手続きが進むことに対する懸念
 上記のとおり、当該施設の建設計画は、サンパイ行政に携わっていたOB幹部が業者に天下り、かつて部下だった現役の行政幹部に対して、許可申請をしているため、いわゆる官業の形をとった、官官談合手続ともいえる構図となっている。
 だから、事前協議を経たにもかかわらず、平成25年10月22日の設置許可申請日以降も、何度も業者と行政との間で変更・修正・訂正が繰り返され、それらが平然と申請書で差し替えられている。驚くべきことに、実施機関である廃棄物・リサイクル課の担当者によれば、「さらに今後も、どのような変更・修正・訂正が起きたとしても、それらは軽微な変更として取り扱われる」という。このため、縦覧に供された申請書を見て意見書を書いても、それは全く仮の計画を対象にしたものであって、外形的に体裁が整ってさえいれば、後で業者の都合のよいように自由に計画変更ができるのである。
 こうして、行政にとっては天下り先や裏金の確保として、一方業者にとっては、ひとたび申請許可が出れば、巨額の利権が保証されたようなものであることから、双方の思惑が一致して、呆れるほどズサンな計画であっても、利権重視の当事者同士で、どんどん手続が進行するのである、
 しかも、手続の過程で、後述の添付資料2でも明らかなように、行政側が懇切丁寧に業者に対して修正を指南しているため、本申請からわずか8カ月足らずで今回の公告縦覧に至っている。
 意見書提出者の地元利害関係人としては、この8か月間に業者と行政との間でやりとりがあったのかを確認すべく、7月16日の従来最終日に情報開示請求を行ったところ、7月24日に電話で開示決定通知があったため(添付資料1参照)、同28日に8ページの資料の開示を受けた(添付資料2参照)。
 これを見ると、平成25年12月24日に10項目の指示が業者に対して出されている。
 ①焼却残渣と不燃性廃棄物はサンパイの種類から削除。
 ②業者の関係者の個人情報の記載がいずれもいい加減なので訂正。
 ③埋立予定のサンパイの種類から一般廃棄物を除外。
 ④水質関係で、処理後のpH値の整合性がないので要確認。
 ⑤水質関係で、チラウムというニセ化学物質名を記載したり、水質維持管理面で受け入れ基準を規定しておらず要チェック。
 ⑥公図の情報で、面積がデタラメで所有者名が無記載。
 ⑦長期借入金の資金手当ての記載がデタラメで、融資の実現性が無記載。
 ⑧施設構造について、処分場周囲に張り巡らせるフェンスの仕様が未記載、排水管のサイズが未記載、調整池で「穴吹」など他案件の情報をコピペした形跡、排水先の開渠の管理責任が曖昧。
 ⑨維持管理体制に関する「散霧処理」「電磁的記録」「監視カメラ」「遮水工の点検と破損時の措置」「調整池破壊時の措置」「浸出液処理設備の異常発生時の措置」「水質測定時の採取・検査体制」についての記載不備。
 ⑩当該施設の災害防止計画について、「散霧処理」「即日・中間覆土」「漏水検知システム、モニタリング、漏水個所の止水方法」「地震時の点検個所と機能回復方法」などの未記載。
 さらに、2日後の12月26日には追加の6項目の指示を業者に出している。
 ①「埋立容量計算」「覆土計画量」の記載が不備。
 ②「縦断面図・横断面図」の記載不備。
 ③「土量計算」で、切土・盛土量一覧表が不正確。
 ④覆土材の確保計画書で、覆土13万㎥と残土30万㎥の計画がデタラメで、覆土置場、残土処分場の目途がない。
 ⑤浸出水処理計画で、1日あたりの浸出液の計算がデタラメ。
 ⑥プロセス計算量で、流入汚水量・設計汚水量の想定が不一致。
 続いて、平成26年1月7日に3回目の指示として5項目が業者に示されている。
 ①搬入道路の横断面図の盛土勾配がデタラメ、補強土についても未記載。
 ②地下水集排水管の配置図と構造図での仕様とサイズの記載が不一致。
 ③構造図の門扉とフェンスの材質が未記載。
 ④展開検査場の未記載。
 ⑤雨水排水計画で、「雨水排水の流れ図」「洪水調整池への排水路」「雨水排水流入フローと集水面積、雨水排水設備計算書」「洪水調整池の集水面積と流出係数」「降雨量(毎時141㎜)」について、未記載あるいは記載不十分。
 その後、平成26年5月12日に、4回目として追加4項目の指示が出ている。
 ①許可申請書の申請者欄が未記入。
 ②プロセス計算書における炭酸ソーダ注入ポンプの計算式に漏れ。
 ③見積図書仕様書における、騒音基準値と振動基準値の不整合。
 ④搬入道路横断面図の図面不明瞭。
 これほど多くの修正指摘項目が本申請以降に存在すること自体、業者における生活環境保全上の観点が初めから疎かになっていることを如実に物語っている。
 この背景として、やはり前項で指摘したように、12年前に退官した元・群馬県環境行政のトップだった人物が業者に天下り、その威光によって、行政手続きなどどうにでもなるとする業者側の緊張感の不足が挙げられる。また、サイボウ環境の廃棄物処分場計画で、虚偽公文書作成・行使をしたサイボウに対して、犯罪を不問にしたことから、不誠実な業者でも全く処罰を受けなる心配はない、とする前例主義を持ち出して、「行政手続法の観点から迅速に手続きを進めなければならない」という本末転倒な行政論理を、行政側も業者側もかざしているのである。
 こうして、一旦、サンパイ場の許可がおりれば、あとはいくら地元住民が反対運動を起こしても、時間をかけて、アメとムチで対応すれば施設設置工事に着手できることになる。
 その間、水利権者をはじめ地元の利害関係者らがいくら行政に対して、悲痛な叫びを投げかけても、群馬県はシランプリを決め込む。このことはサイボウ環境の施設設置手続きから施設着工までに行政がとった対応から、明らかである。だから、生活環境保全上の観点からいくら我々住民が意見書で意見を述べても、無意味なのである。
(3) ダイオキシン類の排出による周辺の生活環境や営農環境への重大かつ深刻な影響
 申請書の第1面に、「設計計算上達成することができる排ガスの政情、放流水の水質その他の生活環境への負荷に関する数値」として、放流水質のPH:5.8~8.6、BOD:10㎎/L以下、COD:20mg/L以下、SS:10mg/L以下、T-N:10mg/L 以下、Ca2+:160mg/L以下、ダイオキシン類2.4pg-TEQ/Lとある。
 もともと、デタラメな業者による杜撰な計画なので、本当にここに書いてある数値が維持できるのかどうかも、あてにならないが、この数値自体、言語道断で許せないレベルである。
 環境省の基準によれば、JIS K0312に定める方法による水質(水底の低質を除く)のダイオキシン類は年平均値で1pg-TEQ/Lが上限となっているが、当該施設のダイオキシン類による生活環境への水質負荷は、この2.4倍となっている。
(4) 全窒素(T-N)の高レベル排出による農業用水への重大かつ深刻な影響
 上記に示す通り、当該施設から排出される水質のT-N値は10mg/L以下とあるが、水稲は農業用水中の窒素(特にアンモニア性窒素)濃度が高いと、栄養生長期(苗を本電位移植後約40日間)に過繁茂状態となり病害を受けやすくなる。また穂くび分化期に多量の窒素があると下部節間が伸びすぎて倒伏したり登熟不良となったりする。これらの結果、水稲の減収を招く。このため、農水省は昭和45年(1970年)、各種の調査研究成績に基づいて水稲に被害が発生しないための望ましい農業用水のT-N基準として、1mg/Lを発表している。
 ところが、当該施設が出す水質のT-N負荷は、その10倍となっている。これは周辺や下流の生活環境、営農環境保全上、重大かつ深刻な影響を及ぼすため、到底容認でいない。
(5) 化学的酸素要求量(COD)の高レベル排出による下流水道施設への重大・深刻な影響
 水道法では、基準項目の1つとして,CODが10mg/L以下と定めている。だが、現在では「快適基準」として推奨される3mg/Lをクリアするようにしている水道事業者も多い。環境庁が「好ましい」とする水質基準も3mg/Lとしている。現在、この基準をクリアしている湖沼は、全体の4割程度にすぎない。だからといって、当該施設のようにCODが20mg/Lになる汚濁排水を農業用溜池や農業用水路に流入させていいはずがない。岩井川の水源でもある新山の溜池から出てゆく水は、碓氷川を経て烏川を経由し利根川にそそぐ。この流域には多数の水道施設があることは誰でも知っている。
 従って、下流の首都圏の住民に出来る限り安全な水質の水資源を供給するのは、我々銃流域に暮らす地元住民の責務である。よって、当該施設から排出される水質のCOD負荷レベルが20mg/Lというのは到底容認できない。
(6) 浸出水処理施設のデタラメな計画仕様による生活環境保全への重大な影響
 申請書の第1面に、排水処理量として「浸出水処理量 最大200㎥/日」とあるが、面積33,536.72㎡の処分場に年間降水量1800㎜が降り注ぐとすると、自然蒸発・蒸散量が多少あるにしても、ほぼ全量が浸出水として当該施設外部に排水される。よって、33,536㎥×1.8m/365日=165.4㎥/日となり、見かけ上はクリアするかもしれないが、実際には365日常時運転することはありえない。メンテナンスの期間が当然必要になる。したがって、排水処理施設の処理量の設定には疑義がある。
 また、当該施設より一回り小さいサイボウ環境の処分場の浸出水処理施設は、最大100㎥/日の処理量だが、地元住民が内部に立ち入ることは許されていないので、だれも稼働中の浸出水処理施設を見た者がいない。サイボウの計画でも、今回の当該施設の浸出水処理施設と同様な仕様だったが、本当に稼働させるのかどうか、そのまま処理せずに垂れ流しにするのか、地元住民にとって、一旦施設が稼働してしまうと、に内部立入が業者や行政によって拒否されて実態が分からない為、全て秘密のベールに覆われてしまうことになる。
 よって、こうした情報秘匿の実態を見るにつけ、実施機関が設置申請に対して許可を出してしまうと、あとは、地元住民として、永久に実態を知らされないままとなってしまう。したがって、申請手続きの中で行政がいくら指摘したり、業者がいくら耳触りの良いことを述べたりしても、全く信用できない。
(7) 行政から住民への情報提供の不正確・不十分性による計画内容の理解阻害の影響
 「廃棄物処理施設設置計画予定地 明細書」で、安中市の保有する公有地(道、山林)がある。そのうち456.49㎡は「払下げ予定」とあるが、安中市の岡田義弘・前市長は、市道の用途廃止をした方が、業者の事業推進に対してブレーキになるという説明であったが、どうやらその説明がウソだったようだ。このほかにも、市有財産が、サンパイ業者にいつのまには払下げられてしまう事態が、サイボウ環境の処分場設置申請手続きでも同様に行われていた。
 納税者である住民へのこうした行政の背信行為は、行政と住民との円滑な意思疎通のための信頼感醸成に対する挑戦である。
(8) 番号3の「産業廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画に係る事項」の「4 生活環境境への負荷に関する事項」における周辺への悪影響
 処理前の水質レベルの酷さに加え、処理後の水質についても、前述のとおり、ダイオキシン類やCOD、T-Nの計画値が、到底容認できないレベルとなっている。しかも、浸出水処理施設がきちんと稼働するかどうか、稼働後の周辺住民の立ち入りはサイボウ環境の施設を例にとっても、実現されておらず、生活環境上に与える不安は深刻であるので、絶対に申請を許可しないでほしい。
(9) 番号12の(別紙6)「施設の設備及び維持管理に要する資金の総額及びその調達方法を記載した書類」におけるデタラメ情報による生活環境保全上への影響
 ①「(1) 施設の設置等に要する資金」の「用地費」
  同資金として7,000千円×15年=105,000千円とあるが、これは土地の保有者である須藤良人らへの借地料のようだ。高崎市で税理士事務所を営む須藤良人は、業者の役員(監査役)にも名を連ねている。また業者は、15年間という事業期間だけを想定しており、16年以降は、事業継続を前提にしていない。
 因みに安中市松井田町松井田字百八にある安中・松井田一般廃棄物最終処分場(着工:昭和61年9月25日、竣工:昭和62年3月15日、敷地面積:30,084㎡)は、回転円盤法+凝集沈殿法の浸出液処理設備を保有・運転しているが、埋め立てが完了した平成15年2月28日から既に11年が経過してもなお、浸出水の水質が一向に改善せず、安中市は多額の予算を投入して浸出液処理設備を稼働させ続けている。
 当該施設の場合、業者は15年しか事業を想定しておらず、埋め立てが完了後は「野となれ山となれ」という実に無責任な計画である。
 よって生活環境保全上の観点から、当該施設の設置は許されてはならない。
 ② 同じく「造成費」「建物費」
  業者は、それぞれ23億円+11億円=34億円を見込んでいるが、これはサイボウ環境の時の施設設置に要したコストと同額である。しかし、今回、当該施設の建設に際して業者は、40万㎥もの掘削をして、サンパイの埋立量を少しでも多くしようと画策している。この土砂の掘削費や、残土の運搬処理費用(しかも、残土処分地や残土仮置地など未決定の状況)などを勘案すると、到底34億円では追いつかないと思われる。となると、土堰堤工事や遮水工、浸出水処理施設工事などが、その分手抜きされることになる。結局、安全対策がないがしろにされてしまうので、生活環境保全上に深刻な悪影響を与える。
 ③「(2)施設の維持管理に要する資金」
  ここで、保守管理費、光熱水費、人件費、その他を計上しているが、役員報酬の計上も見当たらない。さらに、何年間の期間なのか記されてない。多分15年間なのだろうが、その後はシランプリとなると、生活環境保全上、深刻な問題が生じるのは自明の理である。
 ④「(3)資金の調達方法」
  自己資金1億円、制度金融28億円、金融機関からの借入7億円の合計36億円で、設備費と、操業開始費用である維持管理費×1/2を賄うという計画のようだが、資本金300万円のペーパー会社に28億円もの融資をする政府系金融機関があるのか。また、民間の金融機関でこんな吹けば飛ぶようなペーパー会社に7億円も貸し付けるところがあるのか、信憑性に欠ける。
 こんないい加減な資金計画でも、本申請として業者が平然と提出し、それを平然と受理する行政も行政である。業者も行政も「許可が出たら、金融機関がそれを担保に金を貸すだろう」と思っているのかもしれないが、こんなデタラメな計画では生活環境保全上の観点から地元住民、利害関係者として、到底容認できない。
(10) 番号13の「履歴事項全部証明書」
 出資者として、ここにあるオージービジネス有限会社の登記謄本が掲載されているようだが、この会社は、静岡県清水市大内にある中間処分業兼産業廃棄物収集運搬業者で、破砕の他に石膏ボードの分離と廃棄物を原料とした燃料、RDFを製造している。したがって、廃棄物の最終処分の経験はなく、しかも、同族会社らしいが、実態は不明である。こうした業者が36億円ものコストをかけて、安全、安定、安心な事業ができるのだろうか。生活保全上の観点から地元住民、利害関係者として、到底容認できない。
(11) 同じく「金銭消費貸借契約書」
 ここに7通の金銭消費貸借契約書があるが、いずれも平成25年5月31日に締結し、借入金弁済期日は平成26年12月30日となっている。また、債権者としては、藤江哲彦が1億415万円、オージービジネス有限会社が2億8360万円、岡村譲二が1480万円、鬼形忠雄が1459万5千円、中島信義が300万円、伊東功が300万円となっているが、鬼形忠雄は環境資源の代表者であり双方代理となっており、民法上問題がある。
 また、中島信義が300万円を貸し付けているが、いくら退官後10年以上が経過しているとはいえ、行政の表も裏も知り尽くし、当時の部下が現在の環境森林部長という関係であるから、極めて道義的に問題である。
 このような役所の幹部職員の天下り先に対して、これほど便宜を図ってやる必要はどこにあるのか。生活環境保全上の観点から、こうした業者に対する設置許可を出すことは納税者である県民との信頼に違背するものである。
(12) 業者の「定款」
 環境資源の定款は平成18年5月24日となっており、登記を同5月26日にしたことからこの日が会社設立日となる。この時、役員として、鬼形忠雄、角田穣のほかに、中島信義がおり、平成25年6月15日まで約7年間、取締役に就任していた。この他、取締役として平成21年2月1日に石原正巳が就任し、その後、平成22年2月18日に岡村譲二、平成24年5月28日に藤江哲彦、平成25年6月15日に岡村知洋と江口由佳子が取締役に就任した。また、予定地の山林を保有する地権者の須藤良人が、監査役として、平成22年6月10日に一旦退任したが、そのまま登記せず、平成25年6月15日に再び監査役に就任した。このように、役員の任期切れ(定款によれば役員の任期は4年以内とある)に気づかず、役員変更登記を3年間もほったらかしにしていたことから、罰金の対象になったはず。このように杜撰な業者の組織と運営管理の実態を見るにつけ、本当に、34億円もの大事業を遂行する能力があるのか、極めて疑わしい。こうしたデタラメな業者が推進する当該施設は、生活環境保全上、さまざまなトラブルが予想されるので、設置許可を出してはならない。
(13) 業者の「納付税額」
 環境資源の納付税額一覧表によれば、法人市民税は年間たった6万円しか納入していない。利害関係者である意見提出人でさえ、現在、地方税として年間約24万円納付している。しかし、群馬県は、サンパイ税を業者に課税しようとせず、森林環境税を我々中山間地の生活環境保全に尽力する我々住民に課税し始めた。
 この様な理不尽な課税体系の下で、わずか年間6万円しか法人市民税を支払っていない業者の推進する迷惑施設の事業に、許可を与える筋合いはどこにも見当たらない。
(14) 番号18の「電気式漏水検知システム概要」
 ここでは4種類のシステムが示されているが、どのシステムを採用するのか不明。また、メンテナンスは特に必要ないという記載もあるが、到底あり得ない。漏水時の対応策として、サンパイを掘り出して補修するなどと説明があるが到底信じられない。従って、このようなシステムは実際には、気休めにしかならない。一旦漏水が発生したら(それは遮水シートの劣化で数年以内に必ず発生すると思われる)、周辺や下流の地下水は確実に汚染されることになる。よって、生活環境保全上から、当該施設の建設は許可するべきでない。
(15) 番号19の「最終処分場の災害防止計画書」
 この中で、「即日覆土」とあるが、信用できない。また「二重遮水シート」とか「自己修復性マット」を使用するとあるが、15年間以上はおろか、数年間の耐久性さえ保証されない。一旦造られたら、周辺の地価類汚染は不可避となり、対策は不可能である。下流域への洪水対策は防災調整池と雨水排水処理設備で行うというが、時間当たり100ミリを超える集中豪雨や、1日当たり400ミリ以上の豪雨で池の容量が満杯になり、処理設備の能力をはるかに超えた場合、どのような対策を取るというのか。地震発生時は直ちに処分場の各設備を点検し、異常が有れば関係機関へ連絡し、補修を行うというが、土堰堤が崩壊したり、大規模な土石流が発生したりして、周辺や下流域に災害を及ぼした場合、どのように対処するのか。単なる作文では済まされない。岩野谷地区を流れる岩井川の水源域にこうした人工構造物を造成することは、災害時のリスクが地域に広い範囲に及ぶため、これ以上、大規模な造成を行わせないように、当該施設の建設は許可すべきでない。
(16) 番号26の「残土及び覆土材の確保計画」
 業者は、残土処分及び覆土の確保地として、安中市郷原の豊洋ベントナイト掘削跡地を予定しているという。しかし、当初、業者は藤岡の佐田建設の工事用残土置き場を借りるため契約交渉中だと説明していた。また、今年の3月には、環境資源の角田穣らが、当該施設計画地の直ぐとなりの高崎市吉井町上奥平地区の地権者をこっそり回って、30万とも40万㎥とも言われる残土の埋立の打診をして問題になり、地元議員が3月定例の高崎市議会で質問をした際に、高崎市は群馬県から何も聞いていないとして、環境資源からの残土持ち込みは決して許さないという趣旨の発言があった。このことは、実施機関である群馬県が、業者の行動を黙認していたことになる。やはり、群馬県の環境行政の元トップが天下った業者の底力を、群馬県が認識していたということができる。
 未だに残土処理のめどがついていないにもかかわらず、群馬県廃棄物・リサイクル課では、「どうやら安中の郷原に決まったらしい」などと無責任なことを言っている。
 確かに安中市の都市整備課の計画係に聞いてみると、都市計画の線引きをしていない安中市では、残土条例の制定が遅々として進んでいない。これは、環境資源を含むサンパイ業者の意向を汲んでいた前安中市長が、残土条例の制定に不熱心だったこともあるが、市議会の中にも、サンパイ業者の息がかかったのがいるため、未だに残土条例の交付のめどが立っていない。都市整備課計画係によれば「平成27年度中には何とかしたい」というが、前市長の息のかかった残党が幹部として居座っているため、残土条例を持たない安中市内に大量の残土が処分される恐れがある。
 そうなると、当該施設建設工事に伴って発生する切土量448,367㎥を一旦、ベントナイト掘削跡地に運び込み、そこから、土堰堤用に14,980㎥の土を建設工事現場に戻し、さらに、覆土用として130,000㎥の土を、必要に応じて郷原から大谷の奥まで運搬することになる。20㎥の土砂を運ぶダンプトラック換算で、工事期間中2万3千台近くのトラックが市内を往来し、さらに、土堰堤工事で7,500台が右往左往し、その後も15年間に覆土を運搬するダンプが延べ6万5000台市内を行き交うことになる。
 そうすれば、意見書提出人の住む野殿地区の生活道路でもある市道にダンプトラックが殺到し、通勤や通学、買い物に出かける住民らの交通安全が脅かされ、沿線周辺に住む住民は騒音や振動、粉じんなどに悩まされ、しかも、重量車両の頻繁な通行によって市道は痛み、その補修等の費用も住民に転嫁されることになる。
 また、郷原のベントナイト掘削跡地に残土を埋め戻すというが、現地のスペースと、残土量のバランスがとれているのかどうか、全く記述が無い。にもかかわらず、群馬県廃棄物・リサイクル課では、特に業者に対して訂正指導をした形跡が無い。いくら、現・環境森林部長の元上司が、業者の取締役(現在は出資者)としてかつての威光を盾に実施機関に対して圧力をかけているとはいえ、余りにも業者に対して対応が甘いのではないか。このような疑惑が根底にあるため、きっぱりとそうした関係を払拭し、しがらみと決別するためにも、生活環境保全上の観点から、当該施設に許可を出してはならない。
 なお、業者は、豊洋ベントナイトから平成26年3月31日付で県知事宛ての「開発行為期間延長届出書」の写しを申請書に添付しているが、この届出書を受理したのも西部環境森林事務所である。つまり、当該施設の設置申請を受け付けて、許可手続きをしている環境森林部廃棄物・リサイクル課と同じ部内の部署同士なのである。これでは、完全にマッチポンプのデキレースではないか。
(17) 番号28の「見積図書仕様書」
 このなかで、「浸出水処理施設は、・・・長期安定的に処理するものである」だとか、「埋立期間約10年間(経済動向による変動あり)」だとか、根拠のないことが記されている。このうち「第6節 保証」において、当該施設の保証期間はわずか2年で、屋根や外壁の仕上げや基礎部の雨水・地下水の侵入防止に関わる部分の建築工事に関する瑕疵担保期間は10年で、水槽部分の防水が10年、防食が5年としている。これではあまりにも杜撰な工事を誘発しかねない。埋立が終われば、当該施設を造った業者も、その施設を運営する環境資源も、あとは他人事だというに違いない。だから、当該施設の設置申請に対して許可を出してはならない。
以上
               <以上引用終わり>
  イ 審査請求人は、上記意見書を群馬県に提出したが、3月26日に部 分開示された全情報を見ても、審査請求人の懸念する事項について、群馬県が事業者にどのような指導をしたのか、そして事業者である環境資源がどのような対応をしたのかどうかすら、全く確認できていない。
  ウ まして、環境資源は既に存在すらしておらず、千葉県に拠点のある城装  という事業者が主体となって設立したジョウソウなる法人が、なぜ環境資源がそれまで行政や地元関係者と協議をしてきた経緯や結果をそのまま継承しえるのか、などなど、不明点や疑問点について、合理的な説明もなく、手続きの途中でバトンタッチできるのか、上記意見書を提出した地元住民として、また納税者県民として、そのことについて、群馬県や安中市から合理的な説明を受けていない。
  エ そもそも群馬県は、特定地域に廃棄物処理施設が集中することを避けるために、条例を制定しているはずである。そのことを群馬県廃棄物リサイクル課に指摘すると、「本件は環境資源が設置計画を申請した時点ではまだ発効しておらず、適用外だ」という。しかし、今回の事業者はジョウソウであり、そもそも事業者が実質的に異なるのであるから、適用外という判断は当てはまらない。また、ジョウソウは地元関係者に対して同意書を採っているのかどうかも確認できておらず、環境資源が平成19年当時に取得した同意書(これすら、偽造の疑いを免れない)をそのまま踏襲しているとなれば、その有効性についても疑問符がつく。
  オ さらに群馬県知事は、今年2月3日の設置許可処分の前段として、令和2年12月25日の午前9時ごろ、環境森林部長や廃棄物リサイクル課長を同道し、安中市長らに面談の為、安中市役所を訪問している。その際、「設置許可申請のための書類が揃っているので、これ以上、先延ばしできない」などと安中市側に説明したという。審査請求人はこのことについて、安中市側に情報開示請求をしたところ、安中市には当該協議に関する議事録がない、とのことで、どのような説明が群馬県側からなされたのか確認できていない。すくなくとも、審査請求人が意見書で述べた懸念事項等について、明確な説明が短時間でなされたとは到底思えない。
  カ 地元住民らが強く反対し、安中市行政としても設置を望んでいない、このような関東圏で最大クラスの大規模サンパイ処分場設置について、県民の安全・安心な生活環境の保全を司る群馬県が、住民の声にも耳を傾けようとせず、十分な検討や精査も尽くさないまま、設置許可処分をすることはできない。よって、「1記載の処分を取り消す」との裁決を求める。

4 処分庁の教示の有無及び教示の内容
  なし。

5 証拠書類等
①産業廃棄物処理施設設置許可証
②産業廃棄物処理施設設置許可申請書
③公文書部分開示決定通知書(審査請求人が本件処分を知った日は開示日の令和3年3月19日(金)10時30分~11時ごろであることを示す)
④行政文書開示決定通知書(県知事が令和2年12月25日(金)09時に安中市役所を訪れたことを示す)
⑤公文書開示決定通知書(令和2年12月25日に群馬県知事が環境森林部長、同部廃棄物・リサイクル課長、同係長、秘書課係長を同道して安中市長らと面談し、知事が「ジョウソウの設置許可申請について、廃棄物処理法の許可要件を満たしているため、県は許可しなければならない」と安中市長に説明したことを示す)

  ZIP ⇒ 202106182r15.zip
⑥審査請求人のブログ記事(2014年7月10日掲載)
  ZIP ⇒ 202106183r6.zip
⑦同上(2014年7月13日掲載)
  ZIP ⇒ 202106184r7.zip 
⑧同上(2015年4月10日掲載
  ZIP ⇒ 202106185r8.zip
⑨同上(2015年4月11日掲載)
  ZIP ⇒ 202106186r91.zip
202106187r92.zip
                             以上
**********

■今回の設置許可処分でもっとも不可解なのは、サンパイ施設許可申請者の地位承継がなぜこんなにも簡単にできるのか、ということです。サンパイ施設の設置許可後であれば、施設の譲り受けや借り受け、あるいは事業法人の合併や分割について、ある程度現実味があるかもしれません。

 しかし、今回は市内の不動産屋が主体となって設立した環境資源が、県の大物職員OBらを使って、地元の一部の住民をカネで釣って、強引に同意をとり、なんとか事前協議を終えたものの、本申請になってからカネ詰まりとなり、事業から撤退するにあたり、そのまま県外、それも千葉県市原市にある㈱城装にそっくり申請者の地位を承継させることができるものなのか、筆者には全く理解できません。

 群馬県廃棄物・リサイクル課いわく、「廃棄物処理法に、地位継承が出来ないとは書いてない。なので、地位継承ができると認識している」というのです。こんな法律があるのでしょうか。なぜなら、最初に事前協議だけでもなんとかクリアさせて、次に本申請をしておけば、あとは資力のある中堅のサンパイ事業者に権利を高く売りつけて、それまで投資したコストを回収すればよく、後から承継したサンパイ業者にとっても、最初のダーティな仕事をやらずに済むので都合がよいわけです。

 しかも、施設の敷地境界線から300m以内に住む関係住民の同意についても、たとえ承継前のサンパイ業者があれこれ押印偽造などを駆使して10年や20年前に作成したものでも有効だということになるため、あらたに承継して許可申請者となった業者のこともしらない関係住民の同意書はそのまま問答無用で流用されることになります。こんな理不尽なことがまかり通ることなど信じられません。もし本当にそれが可能だとすれば、廃棄物処理法自体、重大な欠陥があります。おそらくこの法律自体、政治的な思惑もあって、こうした欠陥を敢えて見逃す内容に仕立て上げられたものだと言えるでしょう。

■地元住民が、突然㈱ジョウソウという聞き慣れない事業者による「株式会社ジョウソウ(旧環境資源)管理型最終処分場事業住民説明会」が開かれたのは平成29年10月14日でした。その1年後の平成30年10月19日にジョウソウから「会社情報の変更等に関する申立書」が群馬県廃棄物・リサイクル課あてに提出されました。

 当然、ゼロから手続きを始めるのがスジであり、もういちど近隣住民の同意を得るために地元住民を含む周囲地権者、土地所有者、土地使用者への説明会の開催が必要となるはずです。そもそも、長年にわたり、環境資源の計画について、地元住民と揉め続けてきた事実を、群馬県はどのように考えているのか、極めて強い不信感を覚えます。

【ひらく会情報部】

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【行政私物化に喝!】行政財産をかすめ取ろうとする選良が跋扈する渋川市政…コンプライアンス回復が急務!

2021-06-14 23:29:00 | 渋川市の行政問題

■「また貸し」とは「借りた物を(貸し手の許しを得ず)更に他人に貸すこと」とあります。これは民法第612条に定める「賃借権の譲渡及び転貸の制限」に照らして、禁止されている行為です。ところが、大同有害スラグ問題で有名な渋川市で、赤城インター近くにある補助金を利用した建物が又貸しされていて、「いったい誰のものなのか?」と大騒ぎになっています。

 この建物は、渋川市の市有地に旧赤城村(現渋川市)が補助金を交付して、赤城農村女性加工販売組合が建物を建設したことになっています。しかしいつの間にか「ふるさと勢多郡・友の会」というNPO法人を隠れ蓑に、望月昭治・渋川市会議長の妻が経営する建設会社が「辰造鮮魚」という“魚屋”を営業していました。また、「つい最近まで自動販売機を設置して、飲料水販売を継続して行っていた」という噂も入っています。まるで建物を乗っ取ったかのような様相を呈している事件です。

 まずは、6月10日に報じられた記事から検証していきましょう。

**********2021年6月10日毎日新聞デジタル

建物また貸し 補助金返還求めず 渋川市内部文書 望月氏にそんたく? /群馬
 渋川市赤城町の市有地に補助金で建てられた建物が同市の親睦団体「ふるさと勢多郡・友の会」にまた貸しされた問題で、市が本来の契約相手である「赤城農村女性加工販売組合」(既に解散)に約700万円の補助金返還をあえて求めなかった経緯を記した内部文書を残していたことが、毎日新聞の取材で分かった。親睦団体は市議会の望月昭治議長と関係が深く、文書には望月氏の意向をそんたくしたとみられる記述もあった。
 文書は建物が親睦団体にまた貸しされた2016年10月以降に作成されたとみられる。建物では望月氏の妻が経営する建設会社が、当初の事業計画書の内容とは無関係の鮮魚販売などを行っていた。
 市の文書には、「農村女性支援事業」の名目で始まった同組合の農家レストランなどの事業が赤字経営により継続困難になった事情や、「議員(望月氏)対応であること」を考慮し、同組合に補助金の返還を求めない方針が記されていた。また、「この件は望月市議を通す」との文言もあった。
 同組合のようなケースでは、建物が当初の事業計画書通りに使われなかった場合、農林水産省の規定で補助金の返還を求める対象となる。実際、渋川市も取得額や補助率、残存の耐用年数などから、同組合が約700万円を返還する必要があると試算していた。
  さらに、文書では、親睦団体が事業を開始した後も客の入り込み状況が不振とみられることから、再び事業者が変更になる可能性にも言及。「(当初の)事業計画に沿った運営と家賃不要の無償での賃貸借契約とする必要がある」と、同組合に補助金を返還させないよう苦心していた形跡もあった。
 建物がまた貸しされた問題を巡っては、高木勉市長が外部有識者を含む調査委員会を設置する方針を示している。【庄司哲也】
**********

 さっそく現場を確認しておきましょう。


この建物が「また貸し」された建物だそうだ。右端に自動販売機が写っているのがお分かりだろうか?最近になって自動販売機は撤去されたらしい。

 また貸しされた場所はこちらです。↓↓


 2018年8月画像取得のストリートビューもご覧ください。↓↓(自動販売機もあります)


■今回も報道のポイントを整理してみましょう。

ポイント①まずは登場人物を整理してみましょう。
ポイント②「また貸し」ってそもそも何なの?
ポイント③「議員(望月氏)対応」って何なの?

ポイント①
まずは登場人物を整理してみましょう。

・【渋川市】
 建物の所有者は旧赤城町(現渋川市)?
 建物は、2005年に、旧赤城村が建設費用約3500万円のうち2600万円を「農村女性支援事業」の名目で、赤城農村女性加工販売組合に補助し建設されたもの。建設費のうち約74%が補助金で賄われている。

・【赤城農村女性加工販売組合】
 この建物で農産物を販売していたが、その後経営難に陥り解散しているという。

・【望月建設株式会社】
 望月市議会議長の妻が経営する建設会社で、この建物を勝手に乗っ取り「辰造鮮魚」という魚屋を経営していたという噂だ。そもそも補助金は農村支援目的で魚屋は目的違反だ。

・【ふるさと勢多郡・友の会】
 望月市議会議長と関係が深いNPO法人。硯石周辺整備などでもボランティア活動を装う?場面で登場する不可解な組織。

ポイント②
「また貸し」ってそもそも何なの?

 「また貸し」を考えるには、この建物が建っている土地問題と建物問題を分けて考える必要があるでしょう。

・【土地問題】
 建物が建っている場所は市の土地である。冒頭に示したとおり「また貸し」とは、そもそも元の契約者がいて、そこから更に別な人に貸し出されること。今回の問題では、赤城農村女性加工販売組合はすでに解散しているので、その時点で土地借地契約は終了している。契約とは市と組合の間で結ばれているので、当事者の一方が解散してしまっては、契約は消滅または成り立たない。となると、存在しない契約による「また貸し」などできるはずがない。
 正規の手続きを経ないで行われた「硯石」周辺整備問題では、後から後からいろんな“お話”が関係者から出てきた。今回の問題でも「ふるさと勢多郡・友の会」が土地貸借契約を引き継いだと主張するかもしれない。
 そのためには渋川市と「ふるさと勢多郡・友の会」が土地貸借契約を結び、同時に渋川市は建物の補助金問題を清算しなければならない。何もやっていなければ,市有地を利用しての土地貸借引き継ぎは、認めるわけにはいかない。
 報道では渋川市に望月氏を忖度する内部資料の存在が取りざたされている。「また貸し」とは、土地と建物を望月建設が乗っ取ることに協力する渋川市元幹部職員の方便?だと考えるとお話しがすっきりするようだ。渋川市の元幹部職員は契約というものを全く理解してないようだ。

・【建物問題】~~建物は誰のものか?~~
 渋川市の市有地の土地借地契約が終了しているのに、その上に立っている建物で「辰造鮮魚」なる魚屋が営業され続けられていた。最近まで自動販売機による飲料水販売が継続されていたとする目撃情報もある。市有地の土地貸借契約とは関係ない人物がそこで魚屋を営業し続ける。これこそは、市有地も建物も、魚屋を経営する「望月建設」に取られてしまった?と考えるとお話がすっきりと飲み込める。
 これは犯罪ではないだろうか?
 毎日新聞の記事を読む限り、取材には望月市議会議長が全て回答している様子がうかがえる。仮に渋川市議会議長がその立場を利用してこの犯罪に加担した、と考えると、「こんな輩が市議会議長で良いのか?」という疑問が渋川市民ならずとも湧いてくる。
 渋川市は、土地と建物を直ちに取り戻していただきたい。
 うかうかしていると、「市の許可を口答で得ていた」、「魚屋経営を長く黙認していたのだから既成事実だろう」、「土地と建物は俺のもの」などと件の輩が言い出しかねない。

ポイント③
「議員(望月氏)対応」って何なの?

 渋川市には、「議員(望月氏)対応」なる渋川市だけで通じる独自の行政用語があることがわかりました。毎日新聞の報道では、
「市の文書には、『農村女性支援事業』の名目で始まった同組合の農家レストランなどの事業が赤字経営により継続困難になった事情や、『議員(望月氏)対応であること』を考慮し、同組合に補助金の返還を求めない方針が記されていた。また、『この件は望月市議を通す』との文言もあった。」
と報道されているからです。

 「議員(望月氏)が対応」「この件は望月市議を通す」などなど、仰天するような言葉が渋川市の内部資料に踊っているようです。「望月対応」であると渋川市元幹部職員が宣言し、渋川市職員を黙らせ、経営難に陥った赤城農村女性加工販売組合をめぐる問題は「望月市議を通す」…つまり、経営難に乗じ建物を乗っ取ることで経営難問題を陰湿に終わらせる(?)、という行為が行われたのでは…と想像されてしまいます。

 重ねて言いますが、渋川市会議員がその立場を利用して、公有財産乗っ取りにかかわってよいのでしょうか?犯罪ではないでしょうか?議員が利益を得るために”あっせん”を行ったと考えることもできます。あっせん利得処罰法という法律がありますが、それにも違反していないでしょうか?

■渋川市では不可解な事件が他にもたくさんあるようです。これらもひょっとして、「望月対応」の一環なのではないでしょうか?

 例を少し考えてみましょう。

・【スカイランドパーク第4第5駐車場問題】




2021年新春のスカイランドパーク第4第5駐車場の様子。この下には超有害デカスラグが埋まっている。スラグは膨張することで有名だが、まだまだ動き続けているようだ、せっかくスラグの上にアスファルトでフタをしたが、またもやパックリと亀裂が広がっているぞ。子供が手を突っ込んで怪我でもしたら大変だ。

 当会は認めていませんが、渋川市は国土交通省と群馬県県土整備局とスラグ連絡会議なる怪しい組織を立ち上げ、「鉄鋼スラグを含む材料の対応方針(案)」を決めました。

 そこではスラグを将来にわたり「管理できる場所」と「できない場所」に分け、後者は「スラグを撤去」となっています。スカイランドパーク第4第5駐車場は渋川市が借り上げている民有地であるため、将来にわたりスラグを管理できないとして、当初はスラグ撤去が渋川市の方針となっていました。

 しかし、前市長から現市長に交代すると交代時の混乱に乗じたのか(?)、いつの間にか、方針は撤回され、スラグはそのまま存置されアスファルトでフタをされてしましました。アスファルトで被覆する工事を施工したのは「辰造鮮魚」を経営したことで一躍有名となったあの「望月建設株式会社」です。

 これって「望月対応」じゃないの?どうなっているの?「望月議員を通した」んじゃないの?議員の立場を利用して工事を”あっせん”したの?どうなってるの?これって官製談合なのでは?やっぱり犯罪じゃないの?…渋川市民ならずとも叫びたくなります。

・【(株)佐藤建設工業のスラグ施工現場にかかる瑕疵担保責任の未追及問題】




ソフトバンクソーラーが建設された榛名カントリークラブ跡地造成工事で(株)佐藤建設工業が、スラグが正規のリサイクル材でないことを知りながら施工してしまった問題で、榛東村は「悪質だ」と判断し、有害スラグの撤去を建設工事請負契約に基づき請求した。渋川市にも同様な現場があり、渋川市議会一般質問で「スラグ撤去を請求してほしい」と議員が問い合わせたが、市側は建設工事請負契約すら無視する対応を平然と見せている、という情報が当会にも伝わってきている。

 渋川市内の至る所にばら撒かれた大同スラグに含まれるフッ素毒に脳神経が狂われているのでは、と噂される渋川市では、(株)佐藤建設工業がスラグを違法資材と知りながら渋川市の工事で使用した問題で、完成工事検査でたとえ品質規格証明書で安全を確認していても、最大10年は遡って工事をやり直す契約を結んでいるにもかかわらず、市職員が契約書を無視し、「品質規格証明書で安全を確認している」との一点張りの、呆れた特定業者優遇政策をとり続けている、との情報が当会にも伝わってきています。

 スラグ不正使用問題では、工事完成検査終了後に、使われた材料が群馬県により違法有害廃棄物に指定されました。ですから、「たとえ完成検査で、品質規格証明書で材料の安全を確認していても、建設工事請負契約で遡って瑕疵の補修を請求する」と、渋川市と(株)佐藤建設工業との間で取り決めていたわけですので、榛東村と同様に、スラグの撤去を(株)佐藤建設工業に請求する義務が渋川市にはあります。市が締結した契約は、市民に向けての約束事でもあります。

 他方、エコ処分場という渋川広域圏のゴミ焼却灰を埋設する一般廃棄物処分場の建設工事でスラグが使用された問題では、望月議員が業者を集め、「スラグは使用していない」と宣言した会議を開催したことが当会にも伝わってきています。スラグ問題に、件の望月議員が深くかかわっているようです。

 渋川市は、何度も訴えても「品質規格証明書で安全を確認しております」と、契約条項を全く無視する姿勢を示し続けています。

■今回の報道は、一見スラグ問題と関係なさそうな「また貸し」事件についてですが、渋川市と契約した組合が消滅していて、土地貸借契約が終了または消滅していまっているのに、渋川市職員が「また貸し」を手配するという、少しでも契約という概念を勉強していれば思い浮かばない異常な対応が浮き彫りにされています。

 ”契約というものを全く理解していない”という観点から、問題の根っこは同じです。契約を無視して(株)佐藤建設工業にスラグ撤去を請求しない問題も「望月対応」と同義語なのかもしれません。

■最後に締めくくりとして、冒頭に示した今回の毎日新聞報道では、「建物がまた貸しされた問題を巡っては、高木勉市長が外部有識者を含む調査委員会を設置する方針を示している。」と締めくくられています。今回も大変よくまとめられた新聞報道記事であると感嘆の念を禁じ得ません。

 高木市長におかれましては、なるべく早く外部有識者を含む調査委員会を設置して、刑事告発を視野に入れて、早急に結論を出していただきたいと思います。硯石周辺整備問題では「長く時間がかかり過ぎた上に、結論も生ぬるい」とする渋川市民からの良識あるコメントが当会に多く寄せられています。ぜひ、不当利得を得た人物の刑事告発まで、渋川市のトップとして、一気呵成に突き進んでいただくようぜひお願い申し上げます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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【安中タゴ51億円事件】群銀103年ローンの公社理事会議録の不開示取消訴訟が結審!8/18に判決

2021-06-11 23:16:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■令和3年5月26日(水)13時10分から前橋地裁2階第21号法廷で開かれた第3回口頭弁論で、4月に前任の渡邊裁判長と交替した田中裁判長は、「本事件は本日結審します」と宣言しました。11月16日に提訴してから半年たらずで判決に向けた審理を終えたことになります。これまで多数手がけてきた情報不開示処分取消訴訟のなかでも、画期的な速さで判決日が確定されたことになります。判決はお盆明けの8月18日13時30分に前橋地裁第21号法廷で言い渡されます。

 この事件の出訴の経緯については、次のブログを参照ください。
○2020年11月29日:【安中タゴ51億円事件】群銀103年ローンに加えタゴに1万8526年ローンを許容中の安中市を提訴!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3247.html
○2021年1月14日:【安中タゴ51億円事件】群銀103年ローンの公社理事会議録の不開示取消訴訟第1回弁論を前に安中市から答弁書
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3264.html

5月17日に原市に移転した群馬銀行旧安中支店の建物。右手の張り出し部分が支店長室。ここの応接間で、松井誠支店長(当時)はタゴが現金を下ろしに行くたびに、待ち時間に招き入れて接待をしていた。



群銀旧安中支店の駐車場。平成7年4月、巨額詐欺横領事件の発覚直前、ここで、板鼻の古城団地の土地ころがしをネタにタゴを恐喝していた夫婦の乗っていた車に、タゴが群銀で下したばかりの1000万円単位の現金を窓越しに渡していた。↑



ふたたび、兵どもが夢の跡に。

■安中市土地開発公社を舞台に今から26年前の1995年5月18日に安中市役所内部で密かに発覚した地方自治体では史上最大の巨額詐欺横領事件。警察の調べで総額51億円を超える犯罪にも拘らず単独犯とされた元職員タゴは1952年3月生まれで、今年69歳となり、現在高崎市内のT町に住んでいます。

 この前代未聞、空前絶後の巨額詐欺横領事件により、現在公社は、群馬銀行に対して債務となる総額24億5000万円のうち、和解と同時に支払った4億円を除く20億5000万円を毎年2000万円ずつクリスマスに群銀に103年かけて支払中です。昨年12月25日に22回目の支払が行われました。

 安中市長はいつも財政難を市民に説いていますが、群馬銀行は市土地開発公社のことを優良経営だと評価しています。なぜタゴの横領の尻拭いをしている公社に潤沢な資金が集まり、一般会計がピンチなのか、安中市から納税者市民への説明はありません。


■そのため、公社が群銀との和解20年後の対応のためにタゴからの債権回収をきちんと話し合ったのかどうか、経緯を確認すべく公社理事会の議事録を情報開示請求したところ、市・公社が相当な分量を黒塗りして出してきました。これでは26年前の教訓が全く生かされていません。なので、昨年11月16日に全面開示を求めて安中市を提訴しました。

  その後、第1回口頭弁論が今年1月27日(水)10:20、第2回口頭弁論が3月17日(水)10:20、第3回口頭弁論が5月26日(水)13:40からそれぞれ前橋地裁第21号法廷で開かれました。

*****5/26開廷表*****
第21号法廷(本館2階)開廷表
令和3年5月26日 水曜日
○開始/終了/予定:10:10/10:10/弁論
 事件番号/事件名:令和元年(ワ)第396号/損害賠償請求事件
 当事者:伊藤美津江/富士田貢 外
 代理人;下山順/足立進
 担 当:民事第1部合議係
     裁判長 田中芳樹
     裁判官 杉浦正典
     裁判官 清水瑛夫
     書記官 橋本勇一
○開始/終了/予定:10:20/10:30/第1回弁論
 事件番号/事件名:令和3年(ワ)第110号/地位確認等請求事件
 当事者:佐藤彩/ケイ・ネクスト株式会社
 代理人;高山雄介/木村仁美
 担 当:民事第1部合議係
     裁判長 田中芳樹
     裁判官 杉浦正典
     裁判官 清水瑛夫
     書記官 橋本勇一
○開始/終了/予定:13:10/13:20/弁論
 事件番号/事件名:令和2年(ワ)第369号/損害賠償請求事件
 当事者:亡吉野邦彦訴訟承継人吉野初美 外/木附整形外科医院こと木附哲
 代理人;高山昇/岩崎茂雄
 担 当:民事第1部合議係
     裁判長 田中芳樹
     裁判官 杉浦正典
     裁判官 清水瑛夫
     書記官 橋本勇一
○開始/終了/予定:13:20/13:30/弁論
 事件番号/事件名:令和3年(行ウ)第2号/ゴミ置き場利用請求事件
 当事者:中村和夫/太田市
 代理人;-/杉浦貴之
 担 当:民事第1部合議係
     裁判長 田中芳樹
     裁判官 杉浦正典
     裁判官 清水瑛夫
     書記官 橋本勇一
○開始/終了/予定:13:30/13:40/弁論
 事件番号/事件名:令和2年(行ウ)第17号/行政文書不開示処分取消請求事件
 当事者:小川賢/安中市
 代理人;-/小坂景子
 担 当:民事第1部合議係
     裁判長 田中芳樹
     裁判官 杉浦正典
     裁判官 清水瑛夫
     書記官 橋本勇一

**********

 5月26日(水)の第3回弁論は、前の裁判が長引いたため10分ほど遅れて開始されました。今回、裁判長がそれまでの渡邊和義判事から4月に田中芳樹判事に交替したため、新しい田中裁判長がどのような訴訟指揮をするのか注目されました。

 冒頭、原告住民は、予め提出しておいた準備書面(1)を陳述し、甲号証2件を写しで提出する旨確認したあと、田中裁判長は、原告・被告双方に対して、「主張は出尽くしたと思うがどうか」と尋ねたので、原告住民として「はい、裁判長、原告としての主張はすべて陳述しました」と答えました。すると、裁判長は深く頷き、「では、本日これで結審します」と宣言しました。

■すると、被告訴訟代理人の小坂弁護士が「予定より早く原告準備書面が提出されたので、内容について、検討したところ、いちおう反論しておきたい」という趣旨の申出が裁判長に為されました。

 被告安中市訴訟代理人いわく「法的な解釈で反論をしておきたい」とのこと。これを聞いた田中裁判長は、「本日結審とするが、反論するなら早めに願いたい」として3週間以内を指示しました。そのうえで、原告住民に対して「新たな事実関係でなく、法的解釈についてとのことだというが、いずれにしても本日結審します」と改めて宣言しました。

 そして、判決は8月18日(水)13時30分であることを告げました。そして原告にむかい「小川さん、判決に際しては出頭しなくてもかまいません」と裁判長が言いました。そこで原告住民として「裁判長、よく存じております。ただし、私、もしくは私が主催する市民団体が提起した訴訟で判決言渡しの際には、できる限り出頭してここに着席しながら判決をお聞きし、直ちに判決文を受領することを、行動指針としております」と裁判長にお伝えしました。

■その後、6月9日付で、FAXにて被告安中市の訴訟代理人の小坂弁護士から、被告準備書面(2)が送信されてきました。

*****送付書兼受領書*****
From:安中法律事務所 027 393 6667 2021/06/09 10:46 #648 P.001/004

              送  付  書

                              令和3年6月9日
送 付 先 前橋地方裁判所民事第1部合議係 御中 (FAX027-233-0901)
      原告 小川 賢 様          (FAX027-381-0364)
送 付 者 被告訴訟代理人
      弁護士 小 坂 景 子   ㊞    (TEL027-386-6667)
                         (FAX027-393-6667)
事件の表示:事件番号 令和2年(行ウ)第17号
      事 件 名 行政文書不開示処分取消請求事件
      当 事 者 原告 小川 賢
           被告 安中市
      判決期日 令和3年8月18日(水)午後1時30分

 下記受領書を裁判所及び当職迄ご送付くださいますようお願い申し上げます。

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             受  領  書

前橋池方裁判所民事第1部合幾係 御中 (FAX027-233-0901)
被告訴訟代理人 弁護士 小坂畏子様行 (FAX027-393-6667)

 令和3年6月10日
 本日,上記書類を受領いたしました。

               原 告  小 川  賢   ㊞


*****被告準備書面2*****
令和2年(行ウ)第17号  行政文書不開示処分取消請求事件
原告 小川 賢
被告 安中市

             準備書面2

                       令和3年6月9日
前橋地方裁判所民事第1部 御中

                   被告訴訟代埋人
                   弁護士 小 坂 景 子   印

 原告の令和3年4月30日付け原告準備書面(1)に対する認否・反論は,以下のとおりである。

第1 第1項について
 1 同1項は,争う。
 2 同2項及び3項は,一般論であり認否不要。
 3 同4項第1文のうち,103年ローンと呼ばれていることは不知,その余は認め,第2文は否認する。
   説明会において,参加者から質問があった事項については,公社及び被告が回答している。そもそも,被告が公社の債務について連帯保証人となった和解については,市民の代表である議会の議決を得ており,当然,原告が主張しているような事情については説明を尽くしている。
 4 同5項及び第6項は争う。
   被告は,条例を執行する義務を負っており,条例を無視して全てを開示することはできない(地方自治法第138条の2参照)。
 5 同7項及び第8項は,概ね認める(条例第7条第2項イ)。
 6 同9項は,争う。連帯保証人が,主債務者の会議情報等を全て保有している場合などほとんどない。

第2 第2項について
 1 同1項は争う。
 2 同2項のうち,公社の職員が,被告の市長部局の職員が兼務していることは認め,その余は否認する。
 3 同3項は,認める。
 4 同4項のうち,「その業務時問に相当する給与は,すべて被告が支払っており」は否認し,「実質的にも被告と同体である」は争い,その余は概ね認める。
   公社の業務に従事している時間は,被告の職務を免除されている。公社と被告は,法的にも実質的にも分けられた別組織である。
 5 第5項は,争う。職員は立場を分けて職務を行っており,公社の職員として,公社の職務上作成した文書は,被告の職務上作成した文書ではなく、行政文書には該当しない。

第3 第3項は争う。
   原告は、同2項から5項にわたり,仮定の事実に基づき原告の考えを述べているが,本件情報不開示処分と直接の関連性を有しない。

第4 第4項について
 1 同1項は概ね認める。
 2 同2項は不知。
 3 同3項は否認する。
 4 同4項については概ね認めるが,債権額は22.2億円である。
 5 同5項については,「第三セクター等経営健全化方針」(甲11)に記載されている内容については認める。
 6 同6項は争う。
   被告は,適切に公社から債務超過解消に向けた取組に関する情報を得ており,理事会の議論の詳細まで知っておく義務まではない。

第5 第5項について
1 同1項及び2項は認める。
2 同3項は争う。
   被告が公社の連体保証人となったのは,訴訟上の和解においてであり,当然,議会の議決も経ている。
 3 同4頃 ないし同6項は不知。
 4 同7項は争う。公社は,安中市において今後予定している工業団地造成事業及び企業誘致の際の造成等を担っていく重要な責務を有している。
 5 同8項のうち,全額完済までの期間は不知,その余は概ね認める。
 6 同9項は,否認ないし争う。
 7 同10項は争う。
   原告が主張する事情は、本件情報不開示処分を取り消す理由とはならない。
                            以 上
**********

■これだけでは、原告住民の準備書面(1)に対してそれぞれ項目ごとにどのような認否・反論をしているのか分かりずらいため、以下に併記した形で記してみましょう。

*****原告準備書面(1)と被告準備書面(2)の対比*****
令和2年(行ウ)第17号 行政文書不開示処分取消請求事件
原告 小川賢
被告 安中市
             原告準備書面(1)
                           令和3年4月30日
前橋地方裁判所民事部第1部 御中
                    原告 小 川   賢     印

 令和3年3月17日の第2回弁論における裁判長の指揮に基づき、原告は、被告が安中市土地開発公社(以下「公社」という)の理事会会議録の情報を共有していなければならない事由について、次のとおり陳述する。

第1 被告と公社の関係について
 1 被告は、答弁書の3ページ目上から4行目で、「公社は、市と密接な関係で業務を行っているが、会計上も独立しており、市と独立した別の法人として位置づけられ、安中市情報公開条例においても同様に位置づけられており、市が公社の連帯保証人となっていたとしても、市が公社理事会の会議録情報を全て保有する義務はない」と主張する。
   しかし、これは次の理由で失当である。
【被告認否・反論】同1項は,争う。
 2 はじめに、連帯保証人の意味を、類似用語の保証人と比較してその違いを示す。
   保証人と連帯保証人は、主債務者(この場合、公社)が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負うという点では共通性があるものの、主に以下の3点で違いがある。
  (1) 貸金業者(この場合、群馬銀行)が(連帯)保証人に対して請求をしてきた場合、保証人であれば「まずは主債務者(公社)に請求してください」と主張することができるが(催告の抗弁)、連帯保証人はそのような主張をすることができない。
  (2) 主債務者(公社)が返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否した場合、保証人であれば主債務者に資力があることを理由に、貸金業者(群銀)に対して主債務者の財産に強制執行をするように主張することができるが(検索の抗弁)、連帯保証人はこのような主張をすることができず、主債務者(公社)に資力があっても貸金業者に対して返済しなければならない。
  (3) (連帯)保証人が複数いる場合、保証人はその頭数で割った金額のみを返済すればよいのに対して、連帯保証人はすべての人が全額を返済しなければならない。この場合、もちろん、本来返済すべき額を超えて返済する必要があるわけではない。
 3 以上のように、保証人に比べて連帯保証人にはより重い責任が課せられている。そのため現在では、保証人ではなく連帯保証人にすることがほとんどである。世間では、連帯保証人となり返済義務が生じたものの、返済できずに問題を抱える人が後を絶たないのが実情である。
【被告認否・反論】同2項及び3項は,一般論であり認否不要。
 4 公社が抱えている和解金(市民の間では「103年ローン」とも呼ばれている)と称する群馬銀行への債務について、被告は公社の連帯保証人として、10年ごとに証文を書き換える際に、市民に対して説明会を開いている。しかし、なぜこのような債務が生じたのか、なぜ公社の連帯保証をしなければならないのか、さらには公社が債務をどのように相殺し、返済条件や担保設定、および連帯保証の効果等についての説明は、行われていない。
【被告認否・反論】同4項第1文のうち,103年ローンと呼ばれていることは不知,その余は認め,第2文は否認する。
   説明会において,参加者から百問があった事項については,公社及び被告が回答している。そもそも,被告が公社の債務について連帯保証人となった和解については,市民の代表である議会の議決を得ており,当然,原告が主張しているような事情については説明を尽くしている。

 5 被告は連帯保証人として、そうした事情説明を市民に対して行う義務があるのだから、当然に、公社から必要な情報を取得しなければならない。
 6 今回、公社が黒塗りにした箇所の情報は、被告としても当然知っておかねばならない情報であり、ましてや、被告がさらに自ら追加で黒塗りにした箇所があってはならない。
【被告認否・反論】同5項及び第6項は争う。
   被告は,条例を執行する義務を負っており,条例を無視して全てを開示することはできない(地方自治法第138条の2参照)。

 7 仮に、安中市情報公開条例や公社情報公開規程に照らして非開示相当と判断される情報があったとしても、それが、安中市民の生命、健康、生活又は財産を保護するため公にすることが必要であれば、開示されなければならない。
 8 また、原告開示の趣旨に照らして、開示請求文書の一部に非開示情報が記されている場合、非開示情報に係る部分を除いた残りの部分は開示されなければならない。
【被告認否・反論】同7項及び第8項は,概ね認める(条例第7条第2項イ)。
 9 いずれにせよ、公社の連帯保証人である被告には、公社理事会の会議録情報を全て保有する責務があることは明らかであり、被告の主張は失当である。
【被告認否・反論】同9項は,争う。連帯保証人が,主債務者の会議情報等を全て保有している場合などほとんどない。

第2 条例に定める「行政文書」について
 1 被告は、証拠説明書の乙1の立証趣旨として「①条例の開示の対象となる『行政文書』とは、実施機関の職員が組織的に用いるものとして、実施機関が保有しているものをいい、公社の職員が作成した文書については、条例上の行政文書には含まれない」と主張するが、失当である。
【被告認否・反論】同1項は,争う。
 2 前項で述べた通り、公社の作成した文書は、全て被告が保有しているのが実態である。なぜなら、公社が別法人であるとしても、そこで勤務している職員は、理事長から担当まで、すべて被告の市長部局の職員が兼務しているからである。(甲11)
【被告認否・反論】同2項のうち,公社の職員が,被告の市長部局の職員が兼務していることは認め,その余は否認する。
 3 条例第2条第2項(乙1)にも「この条例において『行政文書』とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう」と定めている。
【被告認否・反論】同3項は,認める。
 4 そもそも、公社の実態として、その運営に携わる職員は、被告の市長部局の職員が全て兼務していることから、その業務従事時間に相当する給与は、すべて被告が支払っており、公社にはそもそも組織固有の総務や人事など存在せず、執務用の専用スペースもなく、電話もFAXもなく、公社の看板すら見当たらない。すべて被告の施設を共有しており、実質的にも被告と同体である。
【被告認否・反論】同4項のうち,「その業務時問に相当する給与は,すべて被告が支払っており」は否認し,「実質的にも被告と同体である」は争い,その余は概ね認める。
   公社の業務に従事している時間は,被告の職務を免除されている。公社と被告は,法的にも実質的にも分けられた別組織である。

 5 よって、被告のいう「公社の職員が作成した文書は、被告の職員が作成したのも同然であり、その時点で、被告が受領した文書としてみなすことができるから条例で定める「行政文書」であることは明らかである。
【被告認否・反論】第5項は,争う。職員は立場を分けて職務を行っており,公社の職員として,公社の職務上作成した文書は,被告の職務上作成した文書ではなく、行政文書には該当しない。

第3 被告の公社に対する立場について
 1 被告は、証拠説明書の乙1の立証趣旨として「②実施機関としての処分庁には、公社から強制的に情報を提出させることができる権限が与えられているわけではないことなど」と主張するが、失当である。
 2 仮に被告の主張するとおり、公社基本金が市の100%であったとしても、公社は市と独立した別法人として位置づけられるのであれば、被告は公社の連帯保証人になる必要がなく、巨額詐欺横領事件の単独犯とされた元職員に対する公社の債権についても、公社内部で処理すればよい話であるから、たとえ債権行使が焦げ付いて、公社が損失を被っても、被告や安中市民には被害が及ぶことはなく、公社の理事会の議事録が黒塗りであれなんであれ、非開示のままであっても、なんら問題は無い。
 3 このような場合に限れば、被告の「②実施機関としての処分庁には、公社から強制的に情報を提出させることができる権限が与えられているわけではないことなど」とする主張が成り立つかもしれない。
 4 しかし、被告が公社の連帯保証人である以上、公社の経営の観点から、とくに債権の行使については、経営健全化のためには必要不可欠な要素である。このことについて、群馬銀行に対して和解20年後の対応として、今後10年間の証文を連帯保証人として差し出すに当たり、数回にわたり、公社理事会で協議を繰り返してきた内容について、被告は無頓着であってはならず、しかるべき方策を公社がとっているのかどうか、知る必要がある。
 5 よって、被告は実施機関として、公社から情報を取得する義務がある。
【被告認否・反論】第3項は争う。
   原告は、同2項から5項にわたり,仮定の事実に基づき原告の考えを述べているが,本件情報不開示処分と直接の関連性を有しない。


第4 公社の財務状況について
 1 公社の現状は、債務超過となっている。(甲12)
【被告認否・反論】同1項は概ね認める。
 2 このため、群馬銀行は被告に連帯保証を求めているものと思われる。
【被告認否・反論】第2項は不知。
 3 あるいは、被告が公社に対して積極的に連帯保証をする方針を打ち出しているのかもしれない。
【被告認否・反論】同3項は否認する。
 4 しかし公社は、元職員に対する民事事件で勝訴したことにより、24億円あまりの債権を保有している。
【被告認否・反論】同4項については概ね認めるが,債権額は22.2億円である。
 5 だが、不可思議なことに、被告は、公社に関する「第三セクター等経営健全化方針」(甲11)の中で、「決算上債務超過となっている」として、その大きな要因を占めるのが16億5千万円(平成31年1月末現在)の貸金・保証債務履行請求事件訴訟上の和解に基づく解決金の固定負債である」と認識しているものの、元職員に対する債権について、触れていない。単に「固定負債であり、本業単体で見れば定期的な工業団地売却等による収入があり、健全経営ができている。今後も収益の見込める工業団地造成事業を予定しており、民事訴訟解決金以外の経営上の問題点はなく、着実に債務超過解消に向けた取組が行われている」と結論づけている。
【被告認否・反論】同5項については,「第三セクター等経営健全化方針」(甲11)に記載されている内容については認める。
 6 であれば、着実に債務超過解消に向けた取り組みの一環として、理事会でどのような取り組み方が議論されたのか、きちんと情報を得ておく義務があるはずである。
【被告認否・反論】同6項は争う。
   被告は,適切に公社から債務超過解消に向けた取組に関する漬報を得ており, 理事会の議論の詳細まで知っておく義務まではない。


第5 公社の特殊性について
 1 地方自治体が設立した公法人の中で土地開発公社が特別視されるのは、以下に述べる特徴を持っているからであると考えられる。
  (1) 第1の特徴は、地方公共団体の出資割合が100%だという点である。上水道・下水道などの事業を担う地方公営企業や公立病院も地方公共団体による出資割合は100%であるが、それらの予算は地方公共団体の特別会計予算として地方議会における議決を経て初めて成立するのに対して、土地開発公社を含む外郭団体の予算・決算は議会へ報告されることはあっても、必ずしも議決を経た承認を必要とするものではないという点で大きな違いがある。
  (2) 第2の特徴は、土地開発公社の基本業務は、母体となる地方自治体に代わって、公有地の先行取得を機動的に行うことにある。民間企業や第3セクター法人を対象とする事業も可能であり、1988年の法改正によって、その範囲が公社設立当初から拡大されたが、中心業務が母体のための公用地先行取得にあることは一貫して変わっていない。
  (3) 第3の特徴は、土地開発公社が土地を取得するのに必要な資金は、主として、金融機関からの借入によって賄われ、その借入に対して、地方自治体が金融機関に対する債務保証を行うことである。
 2 そもそも地方自治体が設立法人の借入に対して債務保証を行うことは、「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」(財政援助責任法)によって、基本的には禁じられている。ところが、これには例外が2つあり、そのひとつが地方道路公社で、もうひとつが土地開発公社である。これを可能としているのが地方道路公社法第28条および公有地の拡大の推進に関する法律第25条である。
【被告認否・反論】同1項及び2項は認める。
 3 だが、安中市の場合、公社の損失は、元職員による詐欺横領によるものであり、本来、公社は第3セクターであることから、このような場合は、公社は、まず元職員への債権行使を行うべきであり、被告は公社に対して、そちらを優先させれば債務保証をする必要もない。
【被告認否・反論】同3項は争う。
   被告が公社の連体保証人となったのは,訴訟上の和解においてであり,当然, 議会の議決も経ている。

 4 なお、公社のような第3セクター法人に対して、地方自治体が債務保証を行うことはできないが、損失補償については、債務保証には該当しないという解釈がなされている。なので、昨今の土地開発公社の解散に伴い、第3セクター債を地方自治体が発行して、実施的に、損失補償をしている事例が多々ある。
 5 ただし、これは公有地の先行取得という公社の本来の事業を通して、最終的に塩漬け土地となり、土地の評価損を抱えた公社の解散にともない、その損失を補償するかたちである。この場合、地方自治体は公社と交わしている先行取得契約を解除し、買戻し履行義務を消滅させ、公社の債務を確定させる必要がある。
 6 そのため、昨今の全国各地における公社解散の事例では、地方自治体が公社との先行取得契約を解除し、第3セクター債を発行し、金融機関に対する公社が抱える債務を地方自治体が代位弁済することで、公社に対して負担分の返還を求めることになり、金銭を持たない公社からは保有する土地による代物弁済を受けるしかなく、この場合、当然に簿価と代物弁済を受けた土地の時価には開きがあり、なお損失が生じるため、地方自治体は、不足する債権を放棄するため、議会定例会に「権利放棄」の議案を提案し、議決を受けることになる。
【被告認否・反論】同4項ないし同6項は不知。
 7 ところが、被告安中市の場合、甲12にあるとおり、金融機関に対する公社が抱える借入はないかわりに、群馬銀行との間に和解金と称する債務があり、これが債務超過となっていることから、他の地方自治体のように公社の解散ができない状況になっている。つまり、被告の場合、公社は群馬銀行への和解金の支払い組織としての存在であり、債務超過の状況にありながら、103年ローンという異常な長期返済(しかも延滞金ゼロ)の条件により、存続し得ているのであり、被告にとって、公社本来の事業である先行取得の意義は既に失われている。
【被告認否・反論】同7項は争う。公社は,安中市において今後予定している工業団地造成事業及び企業誘致の際の造成等を担っていく重要な責務を有している。
 8 一方、公社は22億2309万2000円を詐欺事件による損害と算定し、公社はこの損害を元職員による不法行為によるものとして元職員を相手取って損害賠償を請求し、公社の主張が全面的に認められて、平成11(1999)年5月31日に勝訴判決を得たが、これまでに、元職員から公社に対して、現在に至るまでに約1500万円程度返済したのみで、令和2年1月から元職員は毎月1万円ずつ公社に返済しているものの、令和2年8月26日現在の公社債権元金残額は、22億円777万1500円であり、この全額完済までには遅延損害金を除いてもあと1万8526年の歳月を要する。
【被告認否・反論】同8項のうち,全額完済までの期間は不知,その余は概ね認める。
 9 元職員から公社が毎月1万円ずつ返済を受けるようになったのは、公社の理事会で協議のうえ決まったことなのかどうか、被告は、当然に、公社に経緯を確認する立場にあるはずだが、原告が質問しても答えようとしない。なので、公社の理事会の議事録に、元職員に対する債権回収の方針についてどのような記載があるのかどうか、被告は連帯保証人として公社から説明を受ける権利と義務がある。
【被告認否・反論】同9項は,否認ないし争う。
 10 よって、被告の納税者市民の一人である原告には、不開示とされた原告請求の「(1)2018年7月以前を含め、これまでに安中市土地開発公社と群馬銀行との間で重ねてきた経緯が分かる一切の情報(群銀との協議録のみならず,公社における理事会・評議会など内部の会議録を含む。)」における平成30年度第3回から第7回、及び令和元年度第1回の公社理事会会議録の各文書の黒塗り箇所のうち、公社の債権・債務に関わる一切の記述の開示を求める権利と義務があるので、被告はすみやかにこれらの情報を開示されたい。
【被告認否・反論】同10項は争う。
   原告が主張する事情は、本件情報不開示処分を取り消す理由とはならない。
                           以上
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■こうしてみると、私達住民がまじめに市民税を安中市に支払っていることが情けなくなります。これほど安中市が酷い行政とは、あらためて認識させられました。これでは、今から26年前に、我が国の地方自治体を舞台にした横領事件で史上空前絶後、前代未聞の51億円余の巨額横領事件を起こした当時の安中市の体質と全く変わっていないことが分かります。安中市土地開発公社は、タゴの豪遊の尻拭いのための群銀への和解金支払いのために存続する債務超過状態の特別法人であり、タゴ事件の温床となった伏魔殿状態に戻ってしまいました。

 アニータ事件の倍以上の巨額横領事件にもかかわらず、元職員に対する元金だけで22.2億円、遅延損害金を含めると60億円以上の債権を持ちながら、それを公社の債権としてカウントせず、群馬銀行に対する債務のみを掲げて、債務超過の報告書を総務省に提出しているのですから、はじめかた元職員タゴに対して、損害金の回収をするつもりがないことはあきらかです。

 なぜこれほどまでに、元職員に対してあたたかい配慮をしなければならないのでしょう。それは、現在の職員のなかには、親や親せきが安中市職員をしていたころ、元職員タゴにいろいろとお世話になった輩が、コネで市役所に就職している者が相当数いるためかもしれません。

■安中市政を揺るがし、群馬銀行に「103年ローンの和解に応じてやらなければ、安中市そのものが存続しえなかった」と嘯かせたタゴ51億円事件ですが、安中市役所に限って言えば、横領に加担した関係者の罪をひとりでひっかぶって千葉刑務所で勤めを終えたタゴ元職員の平穏な日常を乱さずにおくことが、至上命題となっているのです。

 タゴ51億円事件は、安中市土地開発公社の金庫番だったタゴの素行を誰もチェックせず、むしろタゴから横領金の分け前に預かろうとするあまり、タゴのことを安中市の影の収入役などと持ち上げ、公社の財務会計上の情報について、長年にわたり、監査してこなかった結果、起きてしまいました。

 その時の教訓が、もはや反故にされていることは、今回の被告安中市からの準備書面(2)からハッキリと示されています。

 お盆明けの8月18日(水)13時30分に前橋地裁第21号法廷で言い渡される判決がどのような内容になるのか、司法判断が注目されます。


原市の国道18号線沿いのホテル・ルートインの西側に移転して営業を始めた群銀安中支店。磯部支店も併合したため、広くなった駐車場のスペースも早くも混雑気味。5月19日撮影。






こうしてみると、地元企業にとって群銀の存在感は大きいことがわかる。ならば、安中市の負の遺産である103年ローン解消に向けて、今こそ、大英断をすべき時ではないだろうか。

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

※参考資料「本件裁判資料」
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2020年11月16日 訴状+証拠説明書(甲1-10)+甲号証
         URL ⇒ https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3247.html
2021年01月13日 答弁書+証拠説明書(乙1 )+乙号証
         URL ⇒ https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3264.html
2021年03月01日 被告準備書面1
2021年03月04日 被告準備書面1補充書面+別紙2
         ZIP ⇒ 20210301iqmtysp.zip
2021年04月30日 原告準備書面(1)+証拠説明書(甲11・12)+甲号証
         ZIP ⇒ 20210430ipj.zip
2021年06月09日 被告準備書面2
         ZIP ⇒ 20210609siqj.zip
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