市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【続報】あかがね街道市の大薬師如来立像、コロナ禍のドサクサの中、盗難される!

2021-06-10 23:00:00 | 不良弁護士問題

■群馬県みどり市大間々町のあかがね街道市協同組合所有の「あかがね薬師如来」は高さ8.8mで、一木(いちぼく)から作り出された純粋な木彫り像としては、日本で一番背が高い仏像として知られていました。この像は、円空彫りを今に伝える岐阜県丹生川村の円刀会の皆さんに彫り上げていただき、円久彫刻師匠である久保田幸次氏が最終修正を施して完成した薬師如来立像です。平成9年11月30日に、大間々町にあるあかがね街道・円空市のシンボルとして、「いこいの広場」の中央に設置され、平成9年11月30日に開眼式が行われ、以来、23年にわたり、この尊い薬師如来像は、優しく地域のかたがたに慈悲のまなざしを向け続けてきました。

在りし日の薬師如来像
 この事件については、初報として次のブログ記事を参照ください。
○2021年2月11日:あかがね街道市の大薬師如来立像、コロナ禍のドサクサの中、盗難される!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3277.html


平成9年11月30日の開眼式の模様


開眼式に来賓として招かれた中曽根弘文氏と近藤英一郎氏(当時の全国商工会連合会会長)


千光寺住職と円刀会の皆さん









 薬師如来像のまわりでは、毎週日曜日に、出店無料のフリーマーケットが開催されてきました。そして、同組合員には商運を、周辺住民はもとより遠方から来場いただいた多くのかたがたには幸運をもたらしていただきました。

 ところが令和2年11月26日に、突如として、仏像入居建物とともに、跡形もなく消え去ってしまったのです。この盗難事件の被害届を桐生警察署に出していた同組合関係者によると、未だに警察は本件について立件しようとしていないそうです。一体、その後なにが起きているのでしょうか。この仏像を所有していた方からの続報レポートをご覧ください。






所有者の組合にも知らせず、セキチューの関係者が勝手に破砕工場に持ち込んだ薬師如来。この後、無慈悲にも破砕されチップに!これは薬師如来の最後のお姿となってしまった。


平成21年11月、無事に帰還されることを願い、横田めぐみ様のご両親に贈呈した円久作の慈母観音像
 

商工会連合会指導部長(左)と共に東京芸術大学を訪問


薬師如来像を監修して完成された円久師匠(左)。東京工科大学デザイン学部デザイン学科の池田政治教授(現・東京芸術大学名誉教授、当時・東京芸術大学美術学部長)(写真中央)は「円久氏の彫刻は芸術性の高い作品です」と明言されており、これを所有者の許可も得ずに無断で廃棄物として破砕工場に持ち込み、チップにした犯人の行為は、到底許しがたいとおっしゃっています。

■この盗難事件が起きたのは2020年(令和2年)11月26日(木)午後1時頃でした。場所は、群馬県みどり市大間々町大間々401にある大間々ショピングプラザ内の(株)セキチューと(株)とりせんの共同駐車場の一角です。

 あかがね街道市協同組合では、平成9年12月より、零細な販売・飲食業者である組合員の皆さんが10店を、群馬県みどり市大間々町のショッピングプラザ内に、(株)とりせんと中心店舗である(株)セキチューと共に複合方式で出店し、営業をしてきました。ところが営業後15年ほど経過した平成24年になって、突然、セキチューが同組合に対して、弁護士7人を立てて、「平成9年9月2日の当時の議事録の書付などは、なんの根拠にもならない」として、とりせんが店舗位置変更を当組合に申し出たので、承諾損害金として金1140万円の支払いを受けたが、それは承諾しないと言い出した。その時の会議担当者は、セキチュー側が取締役開発部の丹羽進と、経理部長の稲垣則夫、とりせん側は岩崎氏他1名でした。

 セキチューは「平成18年10月より入金が無い。よって土地建物使用権利は無い」と言いがかりをつけてきて、同組合の各組合員の店舗に「組合に賃料を入れるな。セキチューに入金しろ。でないと損害賠償を求める。さもなくば退店しろ。しないなら裁判を起こす」と各店に直接恫喝してきたのでした。恐怖に脅えた店主達は、次々に退店を余儀なくされました。

 同組合は、平成9年にセキチューがこのショッピングプラザの建設を完了した後、建設費用の総括について、セキチューの稲垣則夫・経理部長と、同組合の経理業務を請け負っている(有)山上会計事務所の石川・担当とで、帳簿合わせをして、金額も決めてありました。

 その後、平成15年1月にも、同組合の会計事務所は、セキチューの管理本部経理部の米田健治・部長とも帳簿合わせを済ませておりました。その事実確認の結果は、セキチューの当時の店舗開発部の高橋義明・部長(他3名)も認めていました。

 ところがセキチューはそんな経緯もおかまいなしに、上記のとおり、平成24年に、突然、同組合の乗っ取りを図って牙を剝いてきたのでした。セキチューは東証の新興市場であるジャスダックに上場する企業ですが、実態は、帳簿がまつたくデタラメです。なぜなら、同組合に対して「6千万円以上の債権がある」など裁判で平然と嘘を言う始末だからです。

 しかも、セキチューの公認会計士のトーマツですら、セキチューの帳簿を見てきていたのに、そのような債権があったのならば、なぜ10年間、気付かなかったのでしょうか? 極めて魔訶不思議です。

 実際にその期間、セキチューから同組合に対して何一つ請求も有りませんでした。同組合はセキチューに対して一銭の負債もありませんから、当然のことです。

 セキチューのデタラメナ理不尽な行為を同組合は、某弁護士に訴訟代理人に委任しました。ところがその弁護士は、何も反論しようとせず、それどころかセキチューの代理人弁護士に同調する始末でした。当時、同組合訴訟代理人の某弁護士が、デタラメなデッチ上げ金額をはじき出して、同組合の森嶋組合長を必死に説得している状況を記録したトンデモナイ会話録音が、同組合に保存してあるそうです。

 セキチューは、資本力にものを言わせて、弱小な同組合に対し「裁判費用は幾らかかってもかまわない」と豪語し、カネで動く悪徳弁護士を7人も起用して、クロをシロに言いくるめ、裁判所も悪徳弁護士のいうことを信用して、セキチュー側に加担する判決を許してしまいました。セキチューのあまりにもデタラメで理不尽な行為に対して、同組合は「心底許せない」として、某弁護士に代理人業務を委任しました。

■さて、そうした事情の中、大間々ショッピングプラザ内に僅かに残された同組合所有のシンボルでもある大薬師如来立像までもが、セキチュー側の毒牙にかけられてしまったのです。

 同組合の調査で、この度の盗難事件の加害者は、(株)セキチューであることが、判明しました。

 令和2年11月27日、同組合が何も知らされないまま、ショッピングプラザの駐車場の一画にある建物内に安置されていた木像が解体されて、産業廃棄物業者の破砕チップ工場に運びこまれました。この時、解体業者は赤城重機(伊勢崎市)で、運搬業者は上毛資源(桐生市)であることが判明しました。両業者ともに、(株)セキチューから作業を請け負ったことを認めています。

 解体され運搬された薬師如来の木像が搬入されたのは、(株)グリーン・マテリアル(群馬県邑楽郡邑楽町篠塚38番1)の木材破砕工場でした。

 仏像が消えて、破砕工場で粉々にチップにされたことがわかり、令和2年11月30日、同組合は桐生警察署に被害届を提出しました。しかしなぜか桐生署は同組合の被害届を受理しませんでした。

 同組合が事件の経緯を調べていると、トンデモナイ事実が判明しました。桐生警察署の、刑事第一課の志村刑事ともう1名が、木像を解体した現場で、セキチュー社員に会って事情聴取をした際に、セキチューの社員は「この大仏像は、自社の所有物であり、買い取ったものである。だから、解体して廃棄しようが、どうしようが、誰にも文句を言われる筋合いはない。書類は全部揃っている」と言ったと、志村刑事に説明したというのです。

 このことを志村刑事から後で報告された同組合の福田組合員は、桐生警察署を訪れ、志村刑事に「では(買い取った証拠として)、(あなたは)買い取り契約書と領収書を見たのか?」と質問しました。すると志村刑事は「(契約書と領収を)見ていない」と回答したので、一緒にいた同組合の代表者である森嶋組合長は、志村刑事に「セキチュー本社に領収書の再確認をしてきてください」とお願いしました。

 令和2年12月7日、志村刑事は、契約書と領収書が有るかどうか確認するためセキチューを訪れました。そして同日の午後4時30分頃、セキチューから戻った志村刑事から、同組合の組合長に電話がありました。電話で、志村刑事は「刑事事件になるようなことではない」と森嶋組合長に言い放ちました。

 その時点では、薬師如来像はまだ破砕されずにいました。そこで森嶋組合長は、「令和2年11月27日に搬入された木像の薬師如来は盗難品だから、証拠物件として破砕しないでください、隅に除けておいて保管しておいてください」と、グリーン・マテリアルの工場長に要請し、工場長はそのことを了承しました。

 薬師如来立像の前に御棺が10個並び死体が入棺している夢を2度もみた同組合の森嶋組合長は、胸騒ぎが収まらず、「これは大変だ」と思い、令和2年12月11日に、グリーン・マテリアルの工場長に電話をして「すぐに引き取りに行く」と伝えました。ところが、工場長は「桐生警察とセキチューから『即破砕しろ』と言われたので駄目だ」と断わってきたので、森嶋組合長はただちにその足で桐生警察署に行き、この状況を報告しました。同組合長によれば、「この状況下で工場長から言われた言葉を絶対に忘れないように、桐生警察署長様にシツカリと陳述書(2)で報告した」とのことです。

 そして同組合長は、その場で即座に、桐生警察署刑事第一課の刑事係長である近藤忠彦刑事に「破砕をただちに止めさせてください」と懇願しました。近藤刑事は、同組合長の必死の依頼に対して、聞き入れようとしませんでした。仕舞いには、両者が言い争いになりました。

 するとそこに、刑事2課長の小林刑事が、「今、福田組合員から電話で大変激しく抗議があった」と入室してきました。そして同組合長に対して「セキチューとの話し合いを、信用できる弁護士に頼んだらどうか」と提案がありました。

 そこで、同組合では前橋市の角田法律事務所の角田義一弁護士(元参議院副議長)に相談しました。森嶋組合長が「あいにく、財産をセキチューに奪われてしまい、今、組合にはお金がありませんが」と事情を説明すると、角田弁護士は「困っているなら少額でもかまいません」と、同組合の相談事を引き受けることに同意しました。

■その後、令和3年2月3日になって、セキチューは、「組合から組合所有の薬師如来立像を買い取ったこともなければ、領収書も存在しない」ことを認めました。

 さらにセキチューは、「平成29年11月30日以前に、同組合から薬師如来像の移動先の場所についての連絡は無かった」と言いはっていましたが、令和3年2月3日に、セキチューは「薬師如来像の異動先の連絡が、平成29年11月30日の前に、組合から連絡があった」と認めました。

 それは、同組合とセキチューとの裁判の和解条件の一つとして、セキチューと同組合の合意事項として「平成29年11月30日前に連絡しないと、薬師如来像を組合が放棄したことになる」とされていたので、同組合としては、シッカリとセキチューに連絡していたからです。

 すなわち、東京高等裁判所が示していた和解調書の和解の条件の一つには「同組合の指定先場所まで薬師如来像をセキチューが移動すること」および「移動された薬師如来像を、同組合が設置すること」で、この和解内容を双方が「尊重」することで合意していたからです。

 同組合が薬師如来像の設置を依頼した請負業者は、(有)ティー・エム・ストーン(みどり市大間々町大間々613-1)でした。同組合依頼業者は、セキチューと2度ほど話し会った結果、セキチュー本社から薬師如来像の移動の日時について連絡をティー・エム・ストーンに伝えることになっていました。そのため、テー・エム・ストーンではセキチューからの連絡を待っていました。

■その後、桐生警察署の刑事1課刑事係長の近藤忠彦刑事と生活安全課の星野直己警視から、角田法律事務所の角田弁護士に対して、「裁判後の事件なので、どちらに所有権があるか判断出来ないので、刑事事件として捜査は出来ない」という報告がありました。それも、桐生署の同刑事いわく、「前橋地方検察庁桐生支部の市川・副検事に指導された」とのことでした。

 同組合では、この桐生警察から角田義一弁護士への報告について、「桐生警察署は全然これまでの経緯を調べてすらいないし、事件の内容を熟知さえしていないのに、なぜ、このような判断ができたのだろうか」とビックリ仰天しています。そして、首を傾げながらも、同組合では「近藤刑事が、事件の経緯についてよく説明をしていないので、間違った判断をした結果ではないかと思う」と分析しています。

 同組合の主張は、「薬師如来立像が元々在った建立場所から、組合の指定場所に像を、セキチューが移動していないかぎり、薬師の所有権は組合のままである」と言うものです。きわめて常識な判断です。

 ところがセキチューは、同組合に対してはもちろん、同組合が薬師如来像を移動した後に設置する作業を依頼した業者にもなにも連絡せずに、薬師如来像を解体し、破壊し、廃棄物として処分してしまいました。これは、和解調書で双方が合意した内容とはまったく、かけ離れた犯罪行為であり、同組合は断じて許さないことを明言しています。

■この事件を通じてわかったことは、セキチューの犯罪行為は、同組合が中小零細商店であることを承知の上で、上から目線で見下した結果、犯行に及んだことです。

 その証拠に、セキチューは、被害者である同組合に対して、謝罪に来るどころか、反対に弁護士を8人も立てて、角田弁護士事務所に。ご通知(令和3年3月26日)メチャメタヤナなデタラメを言って来ていました、

 桐生警察署の調査室で、刑事2課長の小林刑事から「話しあったらどうか」と柔軟なアドバイス受けていたこともあり、同組合の森嶋組合長は、セキチューとの話し合いの仲介を依頼しました。しかしセキチューは角田弁護士に対しても、まったく和解調書の合意内容にそぐわない支離滅裂なデタラメ事を言い始めています。

 そもそもセキチューは、自ら合意内容を破ったにもかかわらず、「裁判費用は幾らかかってもかまわない」と言って、同組合の森嶋組合長を恫喝したり。そのことを桐生警察署の刑事らに伝えても、彼らは何もしようとしないことに、同組合関係者は失望感を隠し切れません。

 このような我が国の実態は、到底法治国家とは言えず、弱肉強食の前近代的な野蛮国家な様相を呈しています。最近の報道を見ても、権力者と金持ちが罪を犯しても、捜査機関により許されてしまうケースが後を絶ちません。野蛮な国家です。

■同組合の組合長ら関係機関の皆さんは、この実態を憂い、日本国憲法第14条に定める法の下の平等、すなわち、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とする理念が守れるように、まともな政治が機能することを強く願っています。

 セキチューのように、法律を度外視する不良同然の企業が跋扈している現状が許される現状です、又その裏で莫大な税金逃れをしていても、見逃されてしまっていることでしょう。

 同組合では、捜査機関である桐生警察署や群馬県警本部、それに前橋地方検察庁桐生支部に対しても、犯罪者に対する毅然とした対応を強く求めています。この事例が黙認されてしまうと、国民の捜査機関に対する信頼が大きくダメージを受けてしまうからです。

 同組合では、次のとおり悲痛な叫びをあげています。ぜひ、良識ある政治家のかたがたは耳を傾けていただきたいと思います。

**********
国会議員の方々にお願い致します。
これは法律の基本を、権力者とその庇護下にある一部の者が、破壊する事件です。
国の秩序を守るために、徹底的に捜査して、犯罪者を如何なるものでも逮捕してください。
お隣の韓国では、超一流の財閥会社の会長でも捜査機関が毅然として逮捕しており、その姿は立派です。ぜひ、見習ってください。
●犯罪行為に遭遇したら、泣き寝入りせずに、抗議の声を上げましょう!直接でもネットでもかまいません!

**********

【市民オンブズマン群馬みどり支部からの報告】

※関連資料1「同組合とセキチューとのこれまでのやり取り」
*****組合からセキチュー宛書面*****ZIP ⇒ 20210601xipczljj.zip
                  令和3年3月16日
株式会社セキチュー
 代表取締役社長 関口 忠弘 殿
                 大間々あかがね街道市協同組合
                   代表理事  森嶋 善次郎
             上記代理人 弁護士  角 田 義 一
                      〒371-0026
      群馬県前橋市大手町3-1-10 群馬県教育会館2階
                      角田義一法律事務所
           電話 027-234-2321  fax 027-234-5729
拝啓
 貴社益々ご盛栄のことお慶び申し上げます。
 小職は,群馬弁護士会所属の弁護士です。今回,昨年11月26日に貴社の依頼を受けた赤木重機が,大間々あかがね街道市協同組合(以下,「組合」)所有の「大薬師如来像」1基につき,その収納建屋・台座も含めて解体した上で,邑楽町の木材粉砕工場に持ち込み,結果的にそこで仏像が粉砕されてしまった事件につき,同組合から相談を受けました。
 当事者が申すには平成29年8月9日成立の東京高裁での和解により,貴社が同仏像を組合の指定地へ運搬する約束ができており,それに応じて組合は,移動期限までに貴社に移転場所を通知し,貴社から移転の具体的時期の連絡を待っていた,とのことでした。
 そのような事情があったにも関わらず,貴社が組合にご連絡のないまま上述の行為に及んだことについて,組合は驚き,事案の真相究明を求めております。この件について桐生警察署の捜査官が関与しており,今後同捜査官からも 事情聴取の予定ですが,その前に今回の行為について貴社のご真意を承りたいと存じ,このお手紙を差し上げるものです。
 つきましては今回の事態につき,貴社のご真意,今後のご意向を小職まで書面でお知らせください。また本件は,小職が受任いたしましたので,当事者との直接の交渉はご遠慮ください。
 小職は本件の真相を明らかにし,早期に,当事者の納得する円満な解決をはかりたいと考えております。貴社のご協力をお願いいたします。
                               敬具
*****セキチューからの回答FAX*****ZIP ⇒ 20210601xizlpcj.zip
            御   通   知
                          令和3年3月26日

大間々あかがね街道市協同組合代理人
弁穫士 角田 義一 先生
               群馬県前市橋古市町一丁目43番地1
                   弁護士法人釘鳥総合法律事務所
               株式会社セキチュー代理人(法人受任)
                 弁護士     釘 島 伸 博
                 弁護士     石 渡 啓 介
                 弁護士     太 田 詢 子
                 弁護士     桜 木 真理子
                 弁護士     近 野 宏 幸
                 弁護士  今 村 奈 央
                 弁護士     中 村   梓
                 弁護士     樋 口 隆 明
                電話 027-252-1341, FAX 027-252-1373

冠省 当職らは,株式会社セキチュー(以下「通知会社」といいます。)の代理人として,貴職からの令和3年3月16日付ご通知に対し,以下のとおり回答いたします。
 通知会社と大間々あかがね街道市協同組合との東京高等裁判所における和解においては,大間々あかがね街道市協同組合は通知会社に対し,平成29年11月30日限り,仏像(おそらく貴職通知にある「大薬師如来像」がこれを指すものと思われますが,通知会社は,仏像の名称は把握しておりません。)を含む一切の工作物を収去してみどり市大間々町大間々433番1の土地(以下「本件土地」といいます。)を明け渡すこと及び猶予期限後に本件土地上に残置した工作物及び動産類については所有権を放棄したものとみなし,通知会社が処分することに異論を述べないことが合意されています。その上で,上記仏像が残置された場合であっても,平成29年11月30日限り,同仏像の移転先について通知があった場合にはこれを尊重することとされました。
 上記仏像につきましては,大間々あかがね街道市協同組合が収去義務を負うことが前提ですし,「尊重すること」とされているとおり,移転先の通知がなされた場合であっても通知会社において従前の状態のまま移設したり運搬するといった法的蓑務まで負うものではありません。相当な大きさ,重量のある仏像ですから、現実的に移設が可能な移転先が指定された場合に眼り,それを尊重し,運撒等できる限りの協力をするというのが和解の内容です。
 そして,平成29年11月10日,大間々あかがね街道市協同組合代理人から,移転先についての連絡がありました、しかし、そこで指定された場所は個人宅の一画であり,上記仏像を移設するのに十分なスペースはなかったため,同代理人に対し,設置はできないが置き方等について対応可能な方法が指示されれば運搬自体には協力する旨連絡したところ,同代理人から有限会社ティー・エム・ストーンという石材店に依頼するため,同社に連絡を取って欲しい旨の回答がありました。
 そこで,通知会社は当該業者と連絡を取り,現実的に可能な方法で,どのように仏像を取り外して運搬することを望むのか問い合わせましたが,当該業者からも指定された場所への移設は困難との考えを告げられ,現実的な方法,運搬可能な方法は示されないままでした。
 このように大間々あかがね街道市協同紐合から指定された移転先への運搬は不可能な状態であり,猶予期限を越えても他の現実的な移転先や方法も示されないことから,やむを得ず,令和2年11月,和解に基づき通知会社において撤去しました。
 通知会社としましても,上記仏像の撤去はできる限り後回しにしておりましたし,一時的に保管できる場所を探すといったことまでいたしましたが,それは叶わず撤去に至ったものです。
 このような次第ですので,ご理解くださいますようお願いいたします。
                                  草 々
**********

※関連資料2「組合から立像設置を請け負った業者が桐生署に提出した上申書」
*****業者から桐生署刑事あて上申書*****ZIP ⇒ 20201215_request_letter_from_tmstone_to_kiryuu_police.zip
                    令和2年12月15日
桐生警察署長 様
(ご担当:刑事2課長 小林刑事様)
               上申人:〒376-0011
                   群馬県桐生市相生町2丁目612-68
                   有限会社ティー・エム・ストーン
                   取締役社長 吉原哲也

 当社は、大間々あかがね街道市協同組合の大仏像の設置に際して、その基礎を入れる穴を掘る仕事を請け負いました。指定場所までの移動作業は、株式会社セキチューが責任を持て行い、そして指定場所での設置作業は、あかがね街道市協同組合さんとの協議に基づいて実施る(ママ)予定でした。

 株式会社セキチューとは、どのようにして大仏像を移動させるか、作業の日取りについて2度話し合いを持ちました。その結果、(株)セキチューは「本社で相談して移動日の指示を伝える」との事で、協議が済んでおりました。

 当社は指示日を待ちましたが、何の話もありませんでした。すると、令和2年11月26日に「大仏像と建屋が突然に消失してしまった」と、あかがね街道市協同組合さんより報告を受けました。
 当社としては、請け負った仕事が減り、損害を被った次第です。
 発注者のあかがね協同組合様からは、「桐生警察が捜査して真犯人を見つけ出してくれるまで、待ってほしい」とお願いされています。
 この件に関する(株)セキチューとの合意事項は下記のとおりです。
              記
移動先指示日 令和2年11月30日指示済み(何時移動するか連絡待ちでした)
移動先    群馬県みどり市大間々m地大間々1885-6番地
                                 以上
**********

※関連資料3「立像の所有権に関する組合の陳述書」
*****立像所有権の陳述書*****ZIP ⇒ 20210606tl.zip
       薬師如来立像の所有権について
       (所有者 大間々あかがね街道市協同組合です)
                        令和3年6月6日
関係各位

 この事件は、平成29年8月9日に東京高等裁判所第1民事部の和解室において、和解調書(事件番号:平成29年(ネ)第1150号、控訴人:大間々あかがね街道市協同組合、被控訴人:(株)セキチュー)が双方の代理人により確認されました。
 この和解調書の「4(2)」項で、「控訴人は、別紙物件目録記載37の仏像残置する場合であっても、被控訴人に対し、平成29年11月30日限り大薬師の移転先を通知するものとし、被控訴人は控訴人から通知があった場合は、これを尊重するものとする。」と明記が為されています。
 本組合は東京高裁が決定した「尊重」にしたがって、平成29年11月20日にはセキチューに同仏像の移転先を通知しております。

○平成29年11月30日以前に、当組合がセキチューに対して仏像の移転先として当組合の指定場所を連絡済み。
○平成29年11月30日後も、セキチューは当組合所有の薬師如来立像の移転義務を実行しない。
○平成29年11月30日以降も、当組合はセキチュー本社から移動日がいつになるのか、引き続き連絡待ちであった。
○平成29年11月30日以降 当組合の指定場所における仏像の設置作業について、当組合から請け負っていた有限会社ディー・エム・ストーンは同様に、セキチューからの移動予定日時に関する連絡を待っていた。

 ところが、セキチューは薬師如来立像を移動しませんでした。東京高裁における和解調書で約束されたはずの「尊重」を遵守しなかったばかりか、とんでもないことを言い出しました。それは「敢えて必ずしも裁判所の約束を実行する必要はない」と。ジャスダック上場になると裁判所の和解調書など「尊重」しなくても平然としていられるのでしょうか?
 我々、一般国民は、このような不良企業の横暴については捜査機関や司法機関により厳しくただしていただけるものと信じてきました。また、法の伝道者である弁護士に依頼すれば、きちんと法に基づく判断が為されるはずだと思っていました。
 しかし、これまでのところ、そうした方向とは真逆の経緯をたどっております。このことについて、我々一般国民としてはどのように対処したらよいのでしょうか?

             群馬県みどり市大間々町大間々1885-6   
             大間々あかがね街道市協同組合
             代表理事 森嶋善次郎
**********

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【東邦亜鉛安中公害】安中緑の大地を守る会が恒例の清掃作業を6/8に実施。工場視察会は8/21予定

2021-06-09 22:17:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■なかなか梅雨入り宣言が出ない関東地方ですが、2021年6月8日(火)午前8時から、安中市岩野谷地区西岩井にある安中緑の大地を守る会の事務所のある公園で、毎年恒例の清掃作業が行われ、8名ほどの会員が参加しました。

国道18号線からダイソーとABC Martの間の脇道を信越線の踏切を渡り、オサカベ自動車工業と協立精工を過ぎ、農免道路の上り坂に係る左手に高崎信金のグランドに隣接して安中緑の大地を守る会の事務所と公園がある



草刈り機を使って除草作業中。



軒先を補強。


すっかりきれいになった公園と記念碑。

 1時間半ほどかけて、公園の広場及び進入道路脇の草刈りをしたり、事務所の軒先の補強作業を行いました。やぶ蚊対策として虫よけを顔や首筋、手指に入念に擦り込み、各会員が作業に奮闘した後、10時半に事務所内に集い、30分間ほど情報交換をしました。事務局からお茶とお弁当の差し入れ、それに参加者が持参したお茶菓子をつまみながら休憩を兼ねて談笑が始まりました。

 ことしは意外に夜間の温度が上がらず、水稲苗の生育が遅く、通常であれば5月中旬に田植えを予定していたところ、少し遅れて5月23日に済ませたとの会員からの近況報告がありました。

 汗も引いてきたところで、事務局から本日の清掃作業等について、藤巻会長に挨拶の依頼がありました。会長からは「ご苦労さんです。今日もまた暑くなりそうですね。このコロナ騒ぎは大変なんでけれども、その中で皆さんお元気で何よりです。えらい作業をしてもらいありがとうございます。なかなか、本職に頼めば安ガネでは済まないのですが、実際には、本職並みに作業をしてもらい、いろいろとありがとうございます。ひとつこれからもよろしくお願い致します」と、会員の労をねぎらう挨拶を頂きました。

 続いて事務局長から、報告事項として、これまでの経過と今年8月頃までの予定について報告がありました。東邦亜鉛との協議会については、公害弁護団と会社側との間の折衝の結果、今年の協議会は7月20日(火)に開催予定となりました。これまでは例年、役員が出席して、協議会を年2回開催していましたが、コロナ禍ということもあり、今年は年1回となりました。また、それで、協議会の開催に当たり、東邦亜鉛側から「新型コロナウイルスワクチンは接種してきて欲しい」という提案があったらしく、接種が間に合わない人や接種を希望しない人は欠席もやむを得ないとし、接種済みの人のみの参加で、協議会を実施する予定であることが報告されました。

 7月20日の協議会は、東邦亜鉛と公害弁護団の双方の都合によるもので、弁護士らもいろいろ日程が入っているので、当日しか都合がつかないということになった結果だとのことです。なので、安中緑の大地を守る会の役員は、7月20日を開けておいてもらいたいとの事務局長からの依頼があり、参加者全員により承諾されました。なお、この日13時に会計監査を実施し、監査委員2名立会いのもとで、現物と現金と通帳を突き合わせて確認することになりました。

 例年開催の安中製錬所の工場視察会については、今のところ8月21日(土)午前9時から開催予定です。今回は3年ごとの協定書の更新にあたります。この工場視察会の後、当日午後から、この事務所で、令和3年度の総会を開くことになりました。最近は、視察会でも総会でも参加者が減少傾向にあるため、会員にはなるべく多くの人に声を掛けて参加してもらいたい、との強い要請が事務局長から出され、一同、了承しました。開催案内は期日が迫ってからあらためて文書による通知を出すとのことです。

 続いて事務局から筆者に「東邦亜鉛との関係でなにか動きがあれば」ということで、筆者から、東邦亜鉛関連情報として、北野殿公害対策委員会における活動、東邦亜鉛安中製錬所汚染土壌対策にかかる公特事業の進捗状況、および先日新聞報道された東邦亜鉛安中製錬所における焙焼炉休止とその影響について説明を行いました。

 また、岩井地区で今年度からスタートする原状復旧方式による「碓氷川流域農用地土壌汚染対策計画」に基づく公害防除特別土地改良事業(公特事業)の対象地区の会員から、「今年6月から汚染土壌の入替え作業が始まると聞かされていたが、もう6月になるが、一向にいつ始まるのか、連絡がない」という質問がありました。

■そこで筆者が、安中市に問いあわせたところ、今年度の公特事業のうち、岩井地区の畑地については、現在、汚染土壌の集積場所(土捨場)として、非鉄スラグ置場の南隣にあるN氏及びS氏所有の農地(畑)を選定し、現在竹林となっているため、隣接する農免道路からの進入路及び竹林等伐採作業を行うべく手続き中とのことです。

 農地を汚染土壌の捨て場所とし、東邦亜鉛所有とするために、現在東邦亜鉛が西岩井地区に所有する土地との交換、及び農地を転用するための諸手続きを行う必要がありますが、東邦亜鉛では、昔から周辺住民との協議には一切応じようとせず、かならず「行政を介してしか対応しない」と豪語しています。そのため、今回も、安中市が東邦亜鉛といろいろ交渉しているものと見られます。

 このように東邦亜鉛は、行政の方が与しやすいと考えており、その理由としては政治力を行使できるから、とみられています。東邦亜鉛安中製錬所の事務課の応接室にはかならず小渕優子代議士のカレンダーが飾ってあることからも、その社是がうかがえます。

 というわけで、現在、安中製錬所の東端にある非鉄スラグ置場の南隣付近には、工事中の看板に「休工中」の張り紙がしてあります。おそらく今年度前半に、農地転用や土捨て場に関する地権者(行政が代行)と東邦亜鉛との交渉を終えて、今年度後半に土捨て場の整備に関わる工事が大手組により施工されることになりそうです。


東邦亜鉛安中製錬所の東端にある非鉄スラグ置場の脇を通る農免道路。この右手奥の竹林を伐採して、公特事業で排土される重金属汚染土壌の土捨て場とする予定。




工事休工中の看板。大手組が請け負っているが、実際の工期は未定。


安中公害当時、変電所に反対する農民を騙して農地を買い取り、それを東邦亜鉛に転売した高崎信金の総合運動場。奥に見える小屋が安中緑の大地を守る会の事務所。

■また、例年7月頃、公特事業の役員会議が開催される予定です。安中公害が取りざたされて碓氷川流域農用地土壌汚染対策計画が昭和47年8月11日に承認されてから半世紀が経過しようとしています。ところが中宿や岩井地区等の水田については、排客土ないし汚染土壌の上に客土を施す対策が実施されましたが、岩井や野殿地区の畑地については、半世紀を経てもなお、進捗がほとんど見られません。

 この背景には、前述のとおり、東邦亜鉛が地元住民との直接対話を拒否し、行政仲介のみでの対応をしていることから、政治力を行使して事業推進を徹底して長引かせる作戦をとっており、地元でも東邦亜鉛に協力する一部住民が、事業の進捗に非協力の態度をとっています。

 そして行政側も、平均すると2年ごとに担当者が異動となり、本腰をいれて公害問題の負の遺産の解消に取り組もうとしても困難な状況が挙げられます。そもそも前任者からの引継ぎも不十分であり、「どうせ2年間では、担当として何もできない。ならば、何もせずにリスクを回避したほうがいい。しかし、何もしないと事務事業の実績報告が出来ないから、関係者との協議を行った事実を積み重ねて仕事をしたことにしよう」などと考えている可能性もあります。

 安中市と群馬県は、毎月1度のペースで、公特事業に関する協議を行っているようですが、その内容は地元関係者には知らされず、年1度の役員会議での席上、行政側から概要のみ報告があります。なので、今年度からは、なるべく都度、進捗状況について行政からヒヤリングをしていく必要があると考えています。

【北野殿公害対策委員長からの報告】

※参考情報「安中公害の負の遺産解消への道のり遠し」
**********群馬県HP 2021年1月8日
URL ⇒ https://www.pref.gunma.jp/04/e0100407.html
第2部第3章第6節 特定地域の公害防止対策
第1項 碓氷川柳瀬川流域
1 概要 【環境保全課】
(1)経過
 富山県で発生したイタイイタイ病(*注1)について1968(昭和43)年5月に厚生省(当時)の考え方が発表され、カドミウム(*注2)による環境汚染問題が全国的に注目されました。本県でも碓氷川・柳瀬川流域が調査研究の対象地域とされました。
 同年、県と国が共同で碓氷川・柳瀬川流域にある東邦亜鉛(株)安中製錬所の排出水、同流域の河川水や川底の泥・砂、井戸水、水稲及び土壌等のカドミウム汚染に関する調査を行いました。この結果から、厚生省は1969(昭和44)年3月「カドミウムによる環境汚染に関する厚生省の見解と今後の対応」を発表し、碓氷川・柳瀬川流域を「要観察地域」に指定しました。それ以来、東邦亜鉛(株)安中製錬所の発生源調査及び発生源対策、同製錬所周辺の環境保全対策、住民保健対策、農作物対策等を行っています。
(*注1) イタイイタイ病:富山県神通川流域に発生した腎病変と骨軟化症などを合併する病気です。身体中の骨がゆがんだりひびが入ったりして、患者が「痛い、痛い」と訴えることから、イタイイタイ病と命名されています。この病気は、神通川上流の三井金属鉱業(株)神岡鉱業所が排出したカドミウムが原因となって腎障害、骨軟化症をきたし、これにカルシウムの不足などが加わり発症すると考えられています。
(*注2) カドミウム:やや青みを帯びた銀白色の金属で、亜鉛鉱物に伴って少量産出します。主な発生源は、亜鉛冶金工場、カドミウム製錬工場などです。
(2)発生源対策
 カドミウム、硫黄酸化物等の鉱害防止施設設置による改善対策の結果、現在では、排出濃度は排出基準(*注3)を大幅に下回っています。
(*注3) 排出基準:「大気汚染防止法」において、ばい煙発生施設の排出口から大気中に排出されるばい煙の許容限度をいいます。
(3)損害賠償請求と公害防止協定(*注4)の締結
 住民が会社に対して行った損害賠償請求については、1986(昭和61)年9月に裁判での和解が成立し、両者の間で公害防止協定が締結されました。
 その後、協定に基づき、原告団及び弁護団等による製錬所への立入調査が行われ、1991(平成3)年4月には、会社と旧原告団等との間で、協定書に定めた事項の完了について確認書が取り交わされました。併せて、新たな公害防止協定が締結され、現在も3年ごとに継続して協定が締結されています。
(*注4) 公害防止協定(環境保全協定):地方公共団体と企業、住民団体と企業などの間で、公害防止(環境保全)のために必要な措置を取り決める協定のことを言います。公害規制法を補い、地域の特殊性に応じた有効な公害対策を、弾力的に実施できるため、法律や条例の規制と並ぶ有力な公害防止(環境保全)上の手段として利用されています。
2 環境調査 【環境保全課】
 東邦亜鉛(株)安中製錬所周辺の大気汚染及び水質汚濁の状況を知るため、環境調査を行いました。
(1)大気調査
ア 浮遊粒子状物質(SPM)中のカドミウム


 表2-4-7-1に示す4地点で毎月試料を採取し、カドミウムの濃度を測定しています。各地点における空気1平方メートル中のカドミウムの量は表2-4-7-2のとおりです。


 また過去10年間の調査の結果は図2-4-7-1及び図2-4-7-2のとおりです。SPM濃度は減少がみられ、カドミウム濃度は横ばいです。過去5年間の年平均値と比較しても大きな変化は見られませんでした。
イ 降下ばいじん
 東邦亜鉛(株)安中製錬所のばい煙発生施設等から排出されるばいじんによる汚染状態を把握するため、発生源近くの4地点にダストジャーを設置し、自然にあるいは雨によって降下してくるばいじんの総量及びばいじん中のカドミウム量を調査しています。比較のために太田市でも同様に測定しています。


 測定結果は、要2-4-7-3のとおりでした。また過去10年間のカドミウムの効果量の経年変化は図2-4-7-3のとおりです。カドミウム濃度は概ね横ばいですが、対象地点(太田市)に比べてカドミウムの降下量が多いことから、引き続き監視していきます。
(2)水質底質調査
 水質調査は、烏川・碓氷川・柳瀬川の利水地点等の8地点及び東邦亜鉛(株)安中製錬所排水口2地点の計10地点において実施し、碓氷川の昭和橋並びに柳瀬川の柳瀬橋及び下の淀橋では毎月、その他の地点では年2回実施しました。
 2019(令和元)年度の水質調査結果では、全ての地点で排水基準及び河川の環境基準に適合していました。


 過去5年間に実施した調査のカドミウム及び亜鉛濃度の最大値、最小値及び平均値は、図2-4-7-4及び図2-4-7-5のとおりです(実施年度、調査地点により年間の調査回数が異なります)。過去5年間では、年平均値の環境基準超過はなく、柳瀬川のカドミウムは低下傾向です。
 また、低室調査は、水質調査地点のうち排水口2地点を除く8地点において、年2回実施しました。過去5年間に実施した調査のカドミウム及び亜鉛濃度の最大値、最小値及び平均値は、図2-4-7-6及び図2-4-7-7のとおりです。
3 住民健康調査 【保健予防課】
 要観察地域等の住民を対象とした健康調査を2000(平成12)年度まで延べ11,027人について実施しましたが、健康被害が疑われる人はいませんでした。
4 土壌汚染防止対策 【技術支援課】
(1)農用地土壌汚染対策地域の指定
 碓氷川柳瀬川流域については、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」に基づき、1972(昭和47)年4月にカドミウムに係る農用地土壌汚染対策地域として、118ヘクタールの農用地を指定しました。
 以降、1973(昭和48)年2月に11.66ヘクタール、1974(昭和49)年3月に4.42ヘクタールを追加し、合計で134.08ヘクタールが対策地域となりました。
(2)農用地土壌汚染対策計画の策定
 指定地域の汚染の防止及び有害物質の除去については、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、1972(昭和47)年8月対策計画を定め、1976(昭和51)年3月及び1978(昭和53)年6月に追加指定した農用地を含めた計画に変更しました。
※昭和53年度碓氷川流域農用地土壌汚染対策計画変更計画書 ZIP ⇒ 20210324_jis53nxox_pnyvxvj.zip
(3)碓氷川流域公害防除特別土地改良事業の実施
 1972(昭和47)年から1975(昭和50)年まで農用地土壌汚染対策計画に基づき、公害防除特別土地改良事業を実施しました。
 有害物質は10~20センチメートルの排土及び客土により除去し、事業面積は85.1ヘクタールとなりました。
 なお、事業費は769百万円となり、このうち75%を「公害防止事業事業者負担法」に基づき事業者(汚染原因者)が負担しました。
(4)事業効果の確認
 県では、公害防除工事の効果を確認するために、指定地域内の農用地の土壌中の有害物質について継続して調査を行っています。
 また、関係市や生産者団体では、コメ中の有害物質について、継続して調査を行っており、安全性を確認しています。
(5)農用地土壌汚染対策地域の指定の解除
 有害物質の除去や工場や住宅等、農用地以外に土地利用が変更される等、指定の要件を満たさなくなった場合は、指定地域の解除を行うことができます。
 こうした農用地について、1983(昭和58)年3月に105.20ヘクタールの農用地土壌汚染対策地域の指定を解除しました。
 指定の解除により2016(平成28)年度末の指定面積は28.88ヘクタールとなっています。
(6)未解除地域への対応
 農用地土壌汚染対策計画の策定から40年あまりが経過しており、農用地の利用状況は計画策定時と大きく変わっています。
 このため県では、未解除となっている農用地の土壌等調査や、土地所有者等の意向の確認を継続して行い、この結果に基づき、対策計画の見直しを行っています。
【当会注:平成30年度に、岩井畑地区の公特事業を原状復旧方式に変更したため、昭和53年度碓氷川流域農用地土壌汚染対策計画変更書が「軽微な変更」とされました。 ZIP ⇒ 202103241h30nxox_pnyxvjyx.zip
202103242h30nxox_pnyxvjyxb.zip
また、この事業実施に際して東邦亜鉛、群馬県、安中市の間で取り交わされた承諾書・協定書。 ZIP ⇒ 20210324ne.zip

**********

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【安中市庁舎建替え問題】官製アンケート中間報告のトリックに係る公開質問に対し市から不明確な回答届く

2021-06-06 22:23:00 | 安中市庁舎建替えに伴う予算過大問題
■5月19日までに安中市がホームページに掲載した安中市庁舎建替え問題に関する官製アンケートの中間報告について、とりわけ注目を集めた「問9」の設問では、「どのような庁舎整備が良いと思いますが?(☑は1つ)」に対して、選択肢回答法として「現在の本庁舎の場所に建て替えるのが良い」「旧安中高校跡地に建て替えるのがよい」「その他の場所に建て替えるのが良い」「現在の旧庁舎・中庁舎を耐震補強するのが良い」「その他(自由意見)」が提示されました。

 その回答結果として、安中市は、上記の設問項目以外にも「無回答」と「無効」を含めてカウントし、なんと※印の注釈で「『無回答』(5.4%)が3位」などと記しています。このため、市民の間では、現在の本庁舎の場所で建替えたいという安中市民の声を捻じ曲げて、あたかも僅差であるかのようなコメントを加えることにより、「なんとかして旧安中高校跡地で建替えたい」とする安中市の本音が垣間見えるとして、当会に通報がありました。

 そこで当会は、5月31日に安中市役所を訪れて、企画経営部の町田部長と同部秘書政策課の田中課長に面談し、次の内容の公開質問状を提出しました。
*****5/31安中市長あて公開質問状*****ZIP ⇒ j.zip
                          令和3年5月31日
〒379-0192
群馬県安中市安中一丁目23-13
安中市役所
市長 茂木英子 様
                   〒379-0114 安中市野殿980
                   小川 賢
                   TEL:090-5302-8312
                   FAX:027-381-0364

       庁舎整備等に関する市民アンケート集計
       中間報告書の内容について(公開質問)

拝啓 日々益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、安中市本庁舎のうち、市の業務に使用されている旧庁舎、中庁舎が老朽化していることから、安中市は2015年5月頃より、庁内事前準備組織を立ち上げて、新庁舎建設に向け、検討課題の洗い出しを始め、2017年9月に「庁舎建設に関する報告書」をまとめ、市長に提出しました。
 その後、安中市は、令和元年12月に「庁舎に関わる市民懇談会」の委員を募集し、令和2年3月に同委員を選出して委噸し、同年6月から10月にかけて5回に亘り「安中市庁舎に関わる市民懇談会」が開催され、その結果をまとめた提言書が同年11月に市長に提出されました。
 それを受けて安中市は、令和3年4月5日から同30日までの期間、「安中市役所の庁舎整備等に関する市民アンケート」を実施しました。そして集計作業を進めた結果、同5月19日までに中間報告が市のホームページに掲載されました。
 ところがこの中間報告の内容について、住民からいくつか疑問点や不明点が提起されています。
 そのため、こうした事項について、当該自治体としてのご見解を確かめたく、下記のとおり質問をさせていただきます。
                                 敬具

                  記

【質問1】
 アンケートの送付対象者を4,000人とした根拠について教えてください。

【質問2】
 抽出した世代ごとの割合は、基礎とした世代別人口統計の数値が定かではありません。今回のアンケートに際して、安中市が使用した人口統計の出典元と、各世代(10歳未満、10歳代、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳以上)の数字を教えてください。

【質問3】
 弊職が、ネットで入手できる資料をもとに試算してみると、20歳代から70歳代に対して市が送付対象者として抽出した送付対象者の割合が8.1~8.5%の範囲にあることが分かります。ところが、80歳代以上は6.0%、10歳代は4.3%となっております。10歳代については、今回アンケート対象を16歳以上としたことから、10歳から15歳までが対象から除外されたため、約半数になっているのではないかと推察されます。この推察に間違いはありませんか。

【質問4】
 一方、後期高齢者は全員を対象とした場合に比べて2~3割少ない割合でアンケートを配布したことになります。無作為抽出であればこのような差異は世代ごとで起こるはずがありません。なぜこのようになったのでしょうか。認知症や、寝たきりの市民は、なんらかの基準で、抽出対象から漏れたのでしょうか。わかりやすく説明してください。

【質問5】
 アンケートの場合、回答結果については、無回答や無効に分類される項目がどうしても生じます。今回の回答結果の週間(ママ)報告に際して、無回答と無効は、合計に入れているものといないものが混在しています。唯一、(☑は1つ)とされている「問9」に限り、無回答と無効がともに合計に加算されています。この理由はどのような根拠に基づくものでしょうか。分かり易く説明してください。

【質問6】
 本来であれば、他の複数選択の設問と同様に、合計は、無回答と無効を除外した形で集計しなければならないはずです。さもないと市民の皆様に、無用な誤解を与えかねません。このような懸念を払拭すべく、安中市は、アンケートの中間報告について、ホームページや広報で訂正する予定でしょうか。それとも、最終報告書で訂正するつもりでしょうか。あるいは、このままシレッと黙止されるおつもりでしょうか。

 以上、質問1~6に対して、貴殿のご見解を回答賜りたくよろしくお願いします。なお、ご回答については、大変勝手ながら、書面で2021年6月4日(金)までに郵送あるいはFAXにて上記弊連絡先まで折り返し送達いただければ幸いです。
 なお、何らかの事情によりこの期限までの回答が不能である場合は、大変お手数ではありますが上記弊連絡先までお伝えいただきたく存じます。
                                以 上
**********

■回答期限日の6月4日金曜日の午前10時過ぎに、市役所からFAXで回答書が送られてきました。さっそく見てみましょう。



 FAX送信票とともに届いた回答書の内容は次のとおりです。ついでに当会の感想コメントを赤字で付記してみました。

*****6/4安中市長からの回答FAX*****ZIP ⇒ 20210604sfaxisj.zip
21-06-04;10:09 ;発信元:安中市役所 行政課  送信先:0273810364 ;0273810503 #2/4

      (公 印 省 略)
                        令和3年6月4日 
安中市野殿980
 小川 賢 様
                     安中市長 茂木 英子
                     ( 企画経営部財政課 )

          公開質問状に対する回答について

 令和3年5月31日付けで小川賢様よりご提出のありました「庁舎整備等に関する市民アンケート集計中間報告書の内容について(公開質問)」について、次のとおり回答します。

【質問1】
 アンケートの送付対象者を4,000人とした根拠について教えてください。

回答:全ての市民の方から回答を得ることは困難である中で、全ての市民の方から回答を得た場合との誤差について、統計上、95%の信頼度〈100回アンクートを実施しても95回は同じ誤差の範囲内におさまること。)において、誤差が±3%
(有効回答数:約1,100件)~±5%(有効回答数:約400件)以内であれば、アンケート結呆として有効とされています。この考えから、有効回答数1,100件を目標とした上で、アンケート回収率を30%程度と想定した結果、送付対象者数を4,000人とすることにしました。
(←当会注:結果的に、今回のアンケートでは回収率が48.5%となり、標本数が1940件だったことから誤差は±1.5%となる)

【質問2】
 抽出した世代ごとの割合は、基礎とした世代別人口統計の数値が定かではありません。今回のアンケートに際して、安中市が使用した人口統計の出典元と、各世代(10歳来満、10歳代、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代.80歳以上)の数字を教えてください。

回答:住民基本台帳等の情報を記録している庁内システムの機能を使用し、自動 生成したものであるため、人口統計は使用しておりません。(←当会注:各○○歳代の数字を質問したのに、なぜか具体的な数字を出さずに「(住基台帳等の情報を使っているが)人口統計は使用しておりません」などと、理解不能な回答をしている。やはり住基台帳等に記された市民の具体的な数字を示すと何か不都合があるらしい)

【質問3】
 弊職が、ネットで入手できる資料をもとに試算してみると20歳代から70歳代に対して市が送付対象者として抽出した送付対象者の割合が8.1~8.5%の範囲にあることが分かります。ところが、80歳代以上は6.0%、10歳代は4.3%となっております。10歳代については、今回アンケート対象を16歳以上としたことから、10歳から15歳までが対象から除外されたため、約半数になっているのではないかと推察されます。この推察に問違いはあり寄せんか。

回答:お考えのとおり対象者の年齢を16歳以上としたことから、10歳代のうち、一部の方のみを対象としております。(←当会注:「間違いありません」と答えればよいものを、なぜ言い回しを変えたがるのだろうか)

【質問4】
 一方、後期高齢者は全貝を対象とした場合に比べて2~3割少ない割合でアンケートを配布したこと1こなります。無作為抽出であればこのような差異は世代ごとで起こるはずがありません。なぜこのようになったのでしようか。認知症や、寝たきりの市民は、なんらかの基準で抽出対象から漏れたのでしょつか。わかりやすく説明してください。

回答:なるべく多くの方からご回答いただきたいと苓え、また回答へのご負担を考慮し、特別養護老人ホーム等の施設に入居されている方や、80歳代以上のご高齢の方について、配慮させていたださました。(←当会注:やはり無作為の抽出ではなく、恣意的に抽出したことが、これではっきりしました)

【質問5】
 アンケートの場合、回答詰果については無回答や無効に分類される項目がどうしても生じます。今回の回答結果の中間報告に際して、無回答と無効は、合計に入れているものといないものが混在しています。唯一、(☑は1つ)とされている「問9」に限り、無回答と無効がともに合計に加算されています。この理由はどのような根拠に基づくものでしょうか。分かり易く説明してください。

回答:問9の設問においては、「無回答」は一種の意思表示の1つとしての側面もあると考えられたため、順位にも加えております。また「無効」は他の設問のうち1つのみ選択する設問と同様に、合計と割合のみ入れています。
  なお、設問全体を通して、選択肢から1つのみ選択する設問については、無回答と無効は合計と割合に入れ、選択肢から2つ以上を選択する設問については、回答者により選択数が星なるため、無回答と無効を含めて比較することが難しいため、合計、割合、順位には入れておりません。
(←当会注:問9と同じく1つのみ選択する設問である問1では「無回答」を順位に入れていない。また、問9の設問には「その他」として自由意見を記載するようになっており、問1のような単純な単数回答法にはなっていない。無回答の中には、標本として提示された調査対象が実際に見つからない場合や、設問の内容自体を理解できない=わからないという場合などが想定され、さらに無効としては、複数回答をした市民もいるのかもしれない。旧安中高校についても、壊さずに耐震補強をすればよいのではないか、という市民もいるかもしれないが、その場合は「その他」に記せばよい。したがって市が、この設問で「無回答」を市民の意向として第3位に位置づけたことは、このアンケートが特定の意向を前提に実施されたことを強く疑わせる)

【質問6】
 本来であれば、他の複数選択の設問と同様に、合計は、無回答と無効を除外した形で集計しなければならないはずです。さもないと市民の皆様に、無用な誤解を与えかねません.このような懸念を払拭すべく、安中市は、アンケートの中間報告について、ホームページや広報で訂正する予定でしょうか。それとも最終報告書で訂正するつもりでしょうか。あるいは、このままシレッと黙止されるおつもりでしょうか。

回答:質問5の回答の理由によるものですので、現状は訂正する予定はございません。(←当会注:正直に「このままシレッと黙止するつもりです」と答えればよいものを、「質問5の回答の理由によるもの」として、しっかりと答えようとする姿勢がみられない)
**********

■さて、今回、標本数が約2000であったことから、サンプリング誤差は、次の表(信頼度=95%)によれば、回答率が40%~50%にかけては、いずれも約2.2%であることを示しています。



 今回、「無回答」や「無効」さえも合計に含めて、しかも、「現在の本庁舎の場所で建て替えるのが良い」と「現在の旧庁舎・中庁舎を耐震補強するのが良い」などと設問を二重にするなど、市は姑息な手段を講じて、旧安中高校跡地への建て替えを必死に誘導しました。

 その甲斐あって、今回のアンケートの中間報告を見ると、1位の現在の本庁舎の場所が43.4%で、2位の旧安中高校跡地が40.5%とあり、その差は僅か2.9ポイントであり、それぞれ±2.2%の誤差を勘案すると、はっきりとした際がみられない、という結論が導かれることになります。

 安中市が上毛新聞に「僅差」として報道させたのも、まさにこの思惑があったのだと見る市民の方は多い事でしょう。(下図参照)



 しかし、分析力の優れた市民を煙に巻くことはできません。「無回答」と「無効」を除外したうえで、回答率を計算し直した結果を公表した市民もいらっしゃいます。その結果を見ると、1位の現在の本庁舎の場所が46.4%で、2位の旧安中高校跡地が43.2%となり、その差は3.2ポイントとなります。しかし、これでも、それぞれ±2.2%の誤差を勘案すると、「依然としてはっきりとした際がみられない」などと結論付けて、市側が高笑いするサマが目に浮かびます。



 しかし、上記のように、「現在地に建て替え」と「旧・中庁舎を耐震補強」を足せば、現在の市庁舎の場所を選んだ市民は50.6%と過半数を超え、2位の旧安中高校跡地との差は、7.4ポイントとなり、完全に市民は現在の本庁舎のある場所での建て替えなり耐震補強による長寿命化なりを希望していることが確定します。

 おそらく安中市ではいまごろ、「その他の場所記述欄」や「その他記述欄」の集計作業という名目で、なにやらどんでん返しの策略を練っているかもしれません。

■他方、別途安中市に対して官製アンケートについて4月はじめに質問をしていた市民に対して、先週、次の回答が為されたことがわかりました。

~~~~~~~~~~~~~
お世話になっております。
お問合せの件につきまして、回答申し上げます。
以下インラインにて失礼いたします。

> Q1.アンケート送付の時期はいつ頃でしょうか?

A1.令和3年4月5日に発送し、同月30日までを回答期間としております。

> Q2.無作為に4000人を抽出とのことですが、どのようにして無作為にするのでしょうか?地区別の分布や年齢別の分布などは考慮されるのでしょうか?無作為に抽出した場合、市の関係者(職員や市議)が含まれる場合も考えられると思いますが、関係者は除外されるのでしょうか?

A2.住民基本台帳等の情報を記録している庁内システムの機能を使用し、自動生成しております。市の関係者(職員や市議)は除外しておりません。

> Q3.アンケートの位置づけについて アンケートの結果は単なる参考でしょうか?あるいは、庁舎建設の方向性がアンケートの意見の多数決で決まるのでしょうか?

A3.庁舎建設の方向性につきましては、アンケート結果の多数決において決定するものではございませんが、結果を十分に参考にさせていただきながら、今後検討を進めてまいります。

> Q4.多数意見で方向性を決めるのだとしたら4000人は少なすぎませんか?

A4.前述の回答のとおり、多数意見において方向性を決定するものではございません。

> Q5.アンケートの集計は、選挙管理のように厳密に行われるのでしょうか?
集計作業に立会人は居ますか?

A5.市職員のみにおいて適正に集計作業を行い、立会人等は居ません。

以上を回答とさせていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。
 (作成:財政課資産活用係)
~~~~~~~~~~

■市の上記回答のうち、とりわけ回答A3によれば、「アンケートの結の多数決において決定するものではないが、結果を十分に参考にして、今後検討を進めたい」としていることから、今後市側に対して、今回、血税を使って大勢の市民に協力を要請した結果、得られたこの官製アンケート結果を十二分に尊重することが、安中市に求められています。

 しかし、これまでも市側にとって都合の悪い結果となったアンケート結果に従わず、勝手に施策を進めた前例が安中市にはあるのです。平成の大合併で「安中市が合併相手を選ぶとしたら、どこを選びますか」というアンケートで、高崎市を合併希望相手として選んだ安中市民が多く、アンケート結果は結局公表されませんでした。

 なので、今後とも、安中市に、アンケート結果をきちんと受け止めさせて、尊重させるように仕向けるためにも、納税者市民としては、怪しげな施策の気配がしたら公開質問状で確認するほか、市が今回の結果を尊重し、決してブレないよう要望書や意見書を出し続けることが重要だと考えます。

【市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】

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東日本大震災で受けた台湾の人々からの温情に答えた日本政府…ワクチンが育む更なる日台友好の絆

2021-06-04 23:55:00 | 国内外からのトピックス
■台湾に対するアストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの提供が迅速に行われたことに拍手を送りたいと思います。台湾からの情報によれば、ワクチンを輸送した日航機を護衛するために米軍が協力をしたということです。なぜならば、中国は、東シナ海に浮かぶわが国固有の領土である尖閣諸島への恒常的な接続水域進入(さらに領海侵犯も)と同じく、台湾に対しても連日のように軍用機を台湾の防空識別圏に進入させており、不測の事態を避けるために在日米軍がワクチンを輸送する日航機を援護したというものです。

日台友情




台湾では、今回日本から提供された124万回分のワクチンを運んだ日航機809便が、6月4日の午後2時40分に台湾の桃園国際空港に着いたとして、天安門事件として知られる「1989年6月4日午前2時40分」に民主化を求める学生・市民らに中共政府が人民解放軍を使って武力弾圧に踏み切った時間と、フライトCodeの「809」と「6月4日」と午前と午後の違いはあるにしても「2時40分」が、いずれも数字的に一致するのは、何らかの因縁があるとして、話題になっています。実際には、ワクチンを載せた日本航空809便は6月4日午前11時に成田空港を出発し、午後1時58分(いずれも台湾時間)に桃園空港に到着したわけですが、2時40分は「?」にしても、天安門事件と奇しくも同じ6月4日に、中共のまき散らした武漢肺炎=COVID-19に対する救いの手が、日本から差し伸べられたことに、余計感慨深い思いを抱いたからこそのトピックスと言えるのではないでしょうか。

 今回の迅速な台湾へのワクチン提供の実現は、6月3日の産経新聞の報道によれば、中国からの横槍を警戒しつつ、水面下で慎重に準備が進められてきた経緯があります。ワクチンを共同購入して途上国に分配する国際的枠組み(COVAX:コバックス)では時間がかかりすぎるため、安倍晋三前首相ら自民党議員も動き、迅速な提供が実現されたということです。以下、同報道記事を引用します。

■経緯としては、5月24日夜、東京都港区の台北駐日経済文化代表処で、台湾の謝長廷代表と米国のヤング駐日臨時代理大使の意見交換会に、薗浦健太郎元首相補佐官が招かれていました。謝長廷代表からアストラゼネカ製ワクチンの使い道を聞かれた薗浦補佐官は「日本はアストラゼネカ製のワクチンを公的接種では当面使わない。それを台湾に譲る動きもある」と答えると、ヤング大使も「グッドアイデアだ」と賛意を示しました。

 台湾は、中国の武漢で未知のウイルスによる感染情報をいち早くキャッチし、中国政府の発する報道を一切信用せず、独自に厳格で迅速な水際対策を実施したことで、新型コロナウイルスの押さえ込みを実現していました。ところが、4月末にクラスターがあちこちで発生し始め、5月中旬から感染が急拡大したため、台湾政府は日本政府に5月の大型連休明け以降に、複数のルートで「100万回分ほどワクチンが融通できないか」と打診が届き、水面下での検討が進められてきました。

 薗浦氏は翌5月25日、安倍氏に謝氏らとのやり取りを報告して協力を要請しました。2人は前政権で首相と、首相を支える首相補佐官や党総裁外交特別補佐として外交政策を担ってきた間柄でもあったため、安倍氏も「すぐにやろう」と応じました。

 国有財産であるワクチンの譲渡は財務省の了解が必要となるため、麻生太郎副総理兼財務相に報告した上で、菅義偉首相のゴーサインを得ました。関係省庁間の調整役には加藤勝信官房長官が当たりました。

 外務省は当初、コバックスを通じた提供を検討しましたが、安倍氏らから「それでは時間がかかりすぎる」との声が上がりました。台湾側からは「数量はともかく、スピード重視で対応してもらいたい」との意向が伝えられていたからでした。そのため、コバックスではなく日台間の相互援助の一環として提供する方針に転換しました。

 日本が震災や新型コロナのマスク不足で困難に直面した際、台湾からは多額の義援金やマスクが届いた経緯があります。ワクチンはそのほんの一部のお返しという意味がこめられました。

 懸念は中国側の動きでした。台湾はドイツのバイオ企業ビオンテックからの購入に動きましたが、契約寸前で頓挫し、蔡英文総統は「中国の介入で契約できていない」とアピールしました。中国側は妨害工作を否定していますが、もはや中国共産党一党独裁国家のいうことなど信じる者はいません。日本政府としては、中国の動向を注視しながら、情報管理には細心の注意を払い、今回のスピード重視のワクチン提供が実現したのです。

■ワクチン到着までの記事を、時間を遡りながら見てみましょう。

**********共同通信2021年6月4日20:49
日本からのワクチン、台湾到着
蔡政権が歓迎、謝意相次ぐ


台湾北部・桃園国際空港で、航空機から降ろされたワクチンが入ったコンテナ=4日(中央通信社=共同)
 【台北共同】日本政府が台湾に無償提供した新型コロナウイルスワクチンが4日午後、台湾北部の桃園国際空港に到着した。日本が契約した英アストラゼネカ製で、124万回分が供与された。一部の台湾メディアは到着を実況中継。台湾人の関心は高く、党派を超えて日本への謝意表明が相次いだ。日本政府はコロナ対策支援を通じて日台関係を強化する狙い。
 台湾では5月中旬から感染が拡大。防疫の鍵となるワクチンの調達が中国の妨害で遅れていただけに、蔡英文政権は日本からの提供を歓迎。ワクチン不足に不安を強めた市民の怒りに歯止めがかかり、国民党などによる政権批判も勢いをそがれるとみられる。

**********NHK News Web 2021年6月4日18:58
日本政府が無償提供のワクチン 台湾に到着
 新型コロナウイルスの感染が急拡大している台湾に対し日本政府が無償で提供したワクチンが4日午後、台湾の空港に到着しました。
 ワクチンは4日午前、成田空港から航空機で運ばれ、午後、台湾の桃園国際空港に到着しました。
 台湾では先月中旬から新型コロナウイルスの感染が急拡大していますが、これまでに台湾に届いたワクチンはおよそ88万回分にとどまり、蔡英文総統は中国の妨害によって海外の製薬会社からのワクチンの調達が難航していると非難していました。
 今回、日本政府が無償で提供したのは、アストラゼネカのワクチン124万回分です。

 蔡総統は、ワクチンの到着後にオンラインで談話を発表し「奔走してくれた台湾と日本の当局と民間の人たちに感謝します。価値観を共有し互いに支え合う台日友好の真の意味が改めて示されました」と述べました。

 また陳時中 衛生福利部長は、4日の記者会見で「THANK YOU」「台日友好」などと書いたパネルを掲げました。
 そして、WHO=世界保健機関などが主導する国際的な分配の枠組み「COVAXファシリティ」を通じての供給は時間がかかると指摘し、日本がCOVAXではなく直接台湾に提供したことに「とても感謝する」と述べました。
★加藤官房長官「大切な友人 互いに助け合い」

 加藤官房長官は、午後の記者会見で「新型コロナ感染症の収束のためには、あらゆる国、地域において、安全で効果的かつ品質が保証されたワクチンへの公平なアクセスの確保が重要だと考えている」と述べました。
 そのうえで「台湾は、緊密な人的往来と経済関係を有する極めて重要なパートナーで、大切な友人でもある。東日本大震災の際に大変心温まる支援をいただくなど、大規模災害などの際にお互いに助け合ってきた。今回の供与は、こうした考え方に基づいて決定したもので、台湾における感染拡大の防止に寄与することを期待している」と述べました。
 一方、記者団が中国側から外交ルートで抗議などはあったのかと質問したのに対し、加藤官房長官は「少なくとも私のところには、そうした外交ルートを通じた対応があったとは承知していない。報道では『日本はワクチンを政治的に利用している』といったコメントがあったということだが、人道的立場から行っているものであり、政治的利用といった批判は全く当たらない」と述べました。
★中国 台湾 蔡英文政権を強く非難
 日本政府が台湾に対し、ワクチンを無償で提供したことについて、中国外務省の汪文斌報道官は、4日の記者会見で「台湾の民進党当局は、中国からのワクチンの提供をあらゆる手段で妨害し、さらに中国側がワクチンの調達を阻止していると偽っている。みずからの利益のために政治的な操作を続けている。これは台湾の同胞の命と健康を軽視し、人道主義の精神に反するものだ」と述べ、台湾の蔡英文政権を強く非難しました。

**********時事通信2021年06月04日18:07
天安門「忘れない」 台湾総統、犠牲者追悼

台湾の蔡英文総統=5月4日、台北(EPA時事)
 【台北時事】台湾の蔡英文総統は、中国の民主化運動が武力弾圧された天安門事件から32年を迎えた4日、「天安門広場で犠牲になった若者や、ろうそくをともして毎年追悼していた香港の人たちのことを忘れない」とツイッターに投稿した。
 蔡氏は「自由と民主主義を誇る全ての台湾人が、この日のことを永遠に忘れず、固く信念を守り続けると信じる」ともつづった。
 一方、日本からの新型コロナウイルスワクチン支援に触れ、「自由と民主主義の価値を守るパートナーからの援助に感謝すると同時に、台湾が民主主義に対してさらに自信を持つきっかけになった」と日本の対応を称賛した。

**********東洋経済オンライン2021年06年04日12:15
日本が台湾へワクチン提供「恩返し」の重要な意味
正式な外交関係なくても世論次第でかかわれる


予想外の感染拡大を受けて台湾でもワクチン接種の機運が高まっている(写真:I-Hwa Cheng/Bloomberg)
 6月3日、台湾時間の午後6時過ぎ、台湾の主要メディアは一斉に速報を出した。
 「4日にも日本が台湾にワクチン提供」
 日本政府は4日に、5月から新型コロナウイルスの感染が急速に拡大する台湾に新型コロナワクチンを提供すると正式に発表した。イギリス製薬大手、アストラゼネカ社製で、すでに124万回分のワクチンを載せた日本航空の飛行機は出発しており、台湾時間午後3時前に到着する予定だ。
 5月末に日本から台湾へのワクチン提供案が明らかになってから、わずか1週間でのスピード決定だった。感染拡大が収まらず、ワクチンの調達にも難航していた台湾はこの朗報に沸いた。
★「3.11」から10年目の日本の動き
 2011年の東日本大震災からちょうど10年目。当時、台湾が200億円以上の義援金を贈り、日台の「友情」が注目された。日台関係の節目となる今年、ワクチンを提供することで日本は「恩返し」する形だ。6月3日、茂木敏充外務大臣は「台湾は東日本大震災の際、いちはやく義援金を送ってくれた。困ったときは助け合うことが必要だ」と強調していた。
 日本が台湾へワクチン提供する案が検討されていることが明らかになったのは5月27日から28日にかけてだ。台湾の陳時中・衛生福利部長(厚生労働大臣に相当)も「早ければ早いほうがいい。遅れると意味がない」と日本への期待を示していた。
 そして6月4日、提供案が明らかになってから1週間でのスピード提供は正式な外交関係がない日台関係にとって異例ともいえる出来事となった。同日にはアメリカも台湾を含む世界各国にワクチンを提供すると明らかにしたが、時期は6月末になるとされ、台湾では日本のワクチン提供の早さにも注目が集まった。
 台湾にとっても今回のワクチン提供はベストタイミングだった。もともと台湾は新型コロナ対策の優等生とされてきた。徹底的な水際対策や疫学調査によって4月末まで累計感染者数を1200例以下に抑えていたからだ。
 ところが、5月に入り、大手航空会社のパイロットの感染やそのパイロットが自主隔離していたホテル、台北市内の風俗喫茶が立ち並ぶ繁華街でのクラスター発生がきっかけとなり、台湾全土に感染が拡大。6月3日時点で累計感染者数が9974人となっていた。
 台湾国内での新型コロナ感染は起こりにくいだろうと考えていたため、多くの台湾人はワクチン接種を希望していなかった。台湾政府も今夏に台湾企業による国産ワクチンが供給される見通しだったため、海外製ワクチンの輸入をあまり優先していなかったようで、感染拡大時のワクチン摂取率は1%にも満たなかった。
 だが、急速に悪化していく事態を目の当たりにして「疫苗荒(ワクチン不足によるパニック)」が問題になるほど、ワクチンへの関心が高まっていた。台湾にとっても今回のワクチン提供はベストタイミングだった。もともと台湾は新型コロナ対策の優等生とされてきた。徹底的な水際対策や疫学調査によって4月末まで累計感染者数を1200例以下に抑えていたからだ。
 ところが、5月に入り、大手航空会社のパイロットの感染やそのパイロットが自主隔離していたホテル、台北市内の風俗喫茶が立ち並ぶ繁華街でのクラスター発生がきっかけとなり、台湾全土に感染が拡大。6月3日時点で累計感染者数が9974人となっていた。
 台湾国内での新型コロナ感染は起こりにくいだろうと考えていたため、多くの台湾人はワクチン接種を希望していなかった。台湾政府も今夏に台湾企業による国産ワクチンが供給される見通しだったため、海外製ワクチンの輸入をあまり優先していなかったようで、感染拡大時のワクチン摂取率は1%にも満たなかった。だが、急速に悪化していく事態を目の当たりにして「疫苗荒(ワクチン不足によるパニック)」が問題になるほど、ワクチンへの関心が高まっていた。
★中国による妨害や牽制も
 感染拡大が顕著になるつれ、台湾政府も海外製ワクチンの確保に向けて積極化。ワクチンメーカーや日米など各国政府にワクチンの供給や融通を水面下で打診した。しかし、ワクチンの確保は難航。台湾政府はその背景に台湾を自国の一部とみなす中国の影響があると主張する。
 5月下旬、台湾の蔡英文・総統はファイザーとワクチンを共同開発しているドイツのビオンテックとワクチンの買い付けをめぐり「契約寸前までいったが、中国の介入で遅れた」と非難。中国の上海復星医薬が中華圏におけるビオンテックのワクチンの独占代理店となったことで、台湾がワクチンを入手できないというのだ。
 中国側はこれを否定したが、中国外交部の趙立堅・副報道局長は「台湾は中国本土からワクチンを簡単に入手できる」と述べたほか、蔡総統の発言に対しては「われわれはこの『総統』なるものを認めていない。彼女は中国の一地区のリーダーにすぎない」と話した。台湾の陳時中・衛生福利部長はビオンテックとワクチン供給について共同発表を行う予定だったが、ビオンテック側が発表文から「国」という表記を削除するよう求めてきたことを明かしている。
 さらに中国は日本によるワクチン供給案が明らかになると、日本側にも牽制をかけた。5月31日、中国外交部の汪文斌・副報道局長は「日本は現時点で自国のワクチンも十分な確保ができていない」とし、「ワクチン援助は生命を救うためだという理念に戻り、政治的な私利のための道具にしてはいけない」と語った。
 実際、日本から台湾へワクチンを提供する案が浮上した際に「世論の反対が起きないかはひとつの焦点だった」と自民党外交部会の議論に参加する国会議員の1人は明かす。台湾にアストラゼネカ製のワクチンを供給しても数量は足りるものの、日本国内でワクチン接種が進んでいないなかで、他国にワクチンを供給することに批判が起きかねないとみられたからだ。5月27日から28日にかけて台湾へのワクチン提供案が浮上しているとの報道も世論の反応をみる観測気球だった。
★「台湾への恩返しをしようという後押しを感じた」
 懸念は杞憂だった。台湾への提供予定が日本では接種を見合わせていたアストラゼネカのワクチンであったこともあるが、「メディアの報道姿勢やそれらへの反応から台湾への恩返しをしようという後押しを感じた」(前出議員)。台湾ではアストラゼネカのワクチンが他社製に先駆けて承認されている。
 正式な外交関係がないことや中国からの圧力を回避するために、当初は国際的なワクチン共同調達の「COVAX(コバックス)」を通じて供給する方法も検討された。ただ、時間がかかることが課題となり、日本政府は緊急措置として日台間の援助の一環としてワクチンを提供する決定を下した。今後も複数回にわたり、台湾にワクチンを提供するとみられる。
 今年4月に行われた日米首脳会談後の共同声明では「台湾海峡の平和と安定の重要性」という形で1969年以来、52年ぶりに「台湾」という単語が盛り込まれ、日本として正式な外交関係がない台湾とどう向き合うかが問われている。今回の迅速なワクチン提供は日本の世論が支持すれば、日本は主体的に台湾に関わることができるという実績になった。

**********共同通信2021年6月4日09:39
ワクチン提供、日本の友情証明 台湾各紙が報道

日本政府の新型コロナワクチン提供を1面で報じた4日付の台湾各紙=台北(共同)
 【台北共同】4日付の台湾各紙は、日本政府が台湾に新型コロナウイルスの英アストラゼネカ製のワクチンを提供することを「日本の124万回分が今日台湾到着」との見出しで1面トップに掲載し、日台の友情を改めて証明したと報じた。米国が国際枠組み「COVAX(コバックス)」を通じ、台湾を含むアジアに700万回分を提供することも伝えた。
 自由時報は「日本は中国の脅しに直面しながら気概を示した」とたたえた。日本政府がアストラゼネカ製を特例承認したものの、国内では当面使わない方針を決めたことを受け、蔡英文総統ら政権幹部が台湾への提供に向けて日本側と交渉を続けたとした。
**********

■ところが日台友好交流を象徴するこの快挙に対して水を差す報道もありました。早大在学中に中国政府給費留学生として2年間中国留学し卒業後、東京新聞記者、テレビ朝日記者、同ディレクター、同台北開設支局長などを務めたという自称「売文家」の御仁が日刊ゲンダイに寄せた記事です。

**********日刊ゲンダイ2021年6月4日09:06
友情か政治利用か 台湾にアストラ製ワクチン支援、日本政府への晴れない疑念

台湾の葵英文総統は感謝でも…(C)中央通信社=共同
 コロナ対策“優等生”から一転して防戦一方となった台湾に、日本からアストラゼネカ製のワクチンの供与が検討されることになった。台湾総統・蔡英文は「深い友情に心から感謝」とツイッターに投稿、政権周辺からは感謝が連発された。
 感謝を連発するのも無理はない。コロナ感染爆発を受け蔡英文政権は再選以来、最大の危機に直面しているのだ。感染爆発は“優等生”の仮面を見事に引きはがした。台湾は昨年以来、水際対策に全力を挙げる一方でワクチン争奪戦には全くの無為無策だった。
 アストラゼネカ製約20万人分を備蓄するだけで、血栓の副反応の恐れがあるため誰もが接種しようとしなかった。それが感染爆発で医療関係者らへの優先接種により底をつき、支持率は急下降していたのだ。
 「最大野党の国民党からは、東日本大震災の際、台湾は200億円を上回る義援金を日本に送った、日本は台湾のこの緊急事態に拱手傍観するのか、対日関係は史上空前の良好と胸を張る蔡英文政権は何している!との声が上がり、政治問題化させていましたから」(全国紙元台北支局長)
★毒を送るのと同じこと
 しかし、台湾民間の受け止めは大きく異なる。アストラゼネカ製に大きな懸念が出ているのだ。台湾中立系新聞前社長は疑念を隠し得ない。
 「日本はアストラゼネカ製を使っていない。それを台湾に供与するというのはゴミどころか毒を送るのと同じことだ!」
 日本政府は副反応発生時の補償は供与時期、経路などと併せて早急に検討するという。一方で、台湾への自国産ワクチン無償供与を2度にわたって申し入れ、蔡英文政権に拒否された中国が、台湾はワクチンを独立のために政治利用していると強い不快感を表明した。 「大陸に隣接する台湾の金門島、馬祖島の住民は密かに大陸に渡ってワクチンを接種している。大陸製ワクチンの効力はアストラゼネカには劣るが副反応も小さいといわれているからだ」(前出の台湾中立系新聞前社長)
 友情なのか、政治利用なのか――そんな議論はコロナウイルスの前では台湾海峡両岸の風前の塵。漢人が現実的であることは世界に冠たるものがある。その現実的判断は逆に政治、外交に大きな影響を及ぼすことになろう。 (売文家・甘粕代三)
**********

■賢明なる読者諸氏のバランス感覚からすれば、違和感を禁じ得なかったこととお察しします。

 テレ朝台北支局開設に携わったのであれば、台湾の人々の親日ぶりは熟知しているはずですが、未だに中共側を賛美する論調が抜けないのは、2年間の中国政府官費留学中にハニートラップにかかったか、あるいは、中共に洗脳された可能性が高いのでは、と思わざるを得ません。

 このように、中国共産党の毒牙にかかったジャーナリストは少なくないと思われます。また、外務省内にもチャイナスクールと呼ばれる人たちがおり、中国語を研修言語とした外交官たちが現地に語学留学した際に、中共にいろいろな手口で洗脳され篭絡され、中共賛美の考えに侵されて、平常の判断が出来なくなった輩がいるのは事実です。政治家で言えば、自民党の二階幹事長、立民党の小沢一郎が親中派の代表的な代議士です。

 戦後、冷戦時代は、反共の立場から台湾(中華民国)の国民党と日本の自民党、とりわけ清和会の間に太いパイプが築かれており、清和会の起源である日本自由党の岸信介、鳩山一郎らが台湾と親交を築いていました。その後、その路線は福田赳夫や森喜朗ら、そして岸信介の孫の安倍晋三に引き継がれました。
 ちなみに、群馬県出身の代議士では、福田赳夫の孫の福田達夫、尾身幸次の娘の尾身朝子、上野公成の娘婿の上野宏史が清和会に所属しています。

■一方、台湾側では、その間に国民党に替わり、本省人と呼ばれる台湾語を話す人たちで構成される民進党が政権をとるようになりましたが、それでもなお、絆は維持されてきました。

 昨年7月30日に97歳で死去した李登輝氏の「偲ぶ会」(事実上の国葬)が行われた同年9月19日に森喜朗・元首相が、コロナ禍の中で、8月9日の弔問と併せて2回訪台したことからも、そのパイプの太さがうかがえます。

 他方、台湾の現在の国民党は、かつて国共合作をした中国共産党との内戦に敗れ、台湾に逃げ込み、以来「大陸光復」(中国本土の統一)をスローガンに掲げて中共に対峙していたはずだったのに、いつの間にか中国共産党に同調してしまいました。そして、ついに国民党の馬英九総統が「中台サービス貿易協定」という売国的な協定を締結しようとしたその時、2014年3月18日に、台湾の多数の学生が立法院を実力で3週間占拠し、不平等な貿易協定の撤回を求めたのでした。

 この「ひまわり学生運動」と呼ばれる立法院占拠事件で、台湾の政治は民主化後最大の試練を迎えましたが,王金平立法院長が事態収拾に動き,学生らは3週間に及んだ占拠を終了し立法院を退去しました。この「ひまわり学生運動」によって,「中国に呑み込まれたくない」という台湾人の感情がはっきりと示されたと言えます。

■もしこれが、中共政府だったどうでしょうか。その結果は、1989年6月4日(日)に北京で起きた天安門事件を見れば自ずと明らかです。

 また、2014年当時「一国二制度」による高度な自治を標榜していた香港で、台湾のひまわり学生運動に触発されたこともあり、2017年香港特別行政区行政長官選挙から1人1票の「普通選挙」が導入される予定でした。ところが、中国の全人代大会常務委員会は2014年8月31日、「行政長官候補は指名委員会の過半数の支持が必要であり、候補は2-3人に限定する」と決定しました。その後、香港の民主化諸団体は、「指名委員会の多数は親中派で占められるため、中央政府の意に沿わない人物の立候補を事実上排除する方針だ」として、学生を動員して授業のボイコットを開始しました。

 2014年9月26日から始まった香港特別行政区政府への抗議デモは、「雨傘運動」と呼ばれました。明らかに台湾の「ひまわり学生運動」に触発された行動だとみられます。結局、同年12月15日に警察が最後のデモ拠点を強制排除し、11週間余りにわたり道路が占拠された民主化要求デモは、中共によりねじ伏せられてしまいました。その結果は、現在の香港の実態でお分かりのとおりです。

■この香港における中国共産党の本質の一部始終を見ていた台湾の人々は、民主化を果たした台湾を再認識し、民主化の維持の重要性を痛感したのでした。我々も、現在当たり前に思っているこの民主化の恩恵の重要性について、台湾の人々のように、強く再認識しなければなりません。

【6月5日追記】
 6月4日の夜、台北市にある台北101ビルには、日本への感謝、台日の絆を祝福するメッセージが映し出されています。その内容は以下のとおりです。

↑「台日の絆と感謝」↑

↑「合作對抗疫情」(協力して新型コロナウイルスに立ち向かおう)↑

↑「台日友誼長存」(台日は末永く友情を分かち合おう)↑

↑「台灣💛日本」(台湾♡日本)↑

↑「攜手🤝前行」(手をたずさえて前進しよう)↑
 この地上101階、地下5階、高さ508mの台北101ビルは、台湾で実績豊富な熊谷組を中心としてJVにより7年間の工期を経て2004年12月31日にオープンし、2010年まで世界で最も高い建築物でした。最上階のレポートは次の記事を参照ください。
○2012年8月27日:海外食べある記・・・台湾/台北/欣葉101「食芸軒」
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/838.html
 この他にも、かつて世界10大ホテルとして知られていた台北市の円山大飯店の正面の壁面に
「カンシャ」(感謝)の文字がライトアップされました。この円山大飯店は、羽田から台北の松山空港行きフライトで、左側の窓側席に座ると、松山空港への着陸直前によく見えます。


【群馬県台湾総会書記からの報告】

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東邦亜鉛が焙焼炉廃止で製錬工程コンパクト化=亜鉛減産体制に移行か…非鉄スラグも減産?

2021-06-03 23:07:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■東邦亜鉛の記事が久しぶりに地元紙に掲載されました。非鉄スラグの不法投棄がまたもや発覚か?と思いきや、6月29日に開催予定の同社第122回定時株主総会を前に、予め株主に課題と中期計画方針などを伝えておこうと、東邦亜鉛が6月2日に第12次中期3カ年計画の説明動画を配信するのに際して、マスコミに情報をリリースしたものです。地元紙の報道内容をまずは見てみましょう。

**********上毛新聞2021年06月01日06:00


ZIP ⇒ 20210601.zip
東邦亜鉛、安中の焙焼炉休止 来春までに、雇用は維持 

22年3月までに再編される東邦亜鉛安中製錬所=31日
 群馬県安中市に製錬所を持つ東邦亜鉛(東京都千代田区、丸崎公康社長)は2022年3月までに亜鉛製錬事業を再編し、安中製錬所(安中市中宿)の焙焼炉の稼働を止める。鉱石を加熱する焙焼工程を小名浜製錬所(福島県いわき市)に集約し、安中製錬所は純度の高い製品を作るための電気分解工程を受け持つ。生産体制見直しによるコスト改善が目的で、安中製錬所の230人の雇用は維持する。
 同社によると、現在は小名浜製錬所で鉱石の3分の2を焼き、残りを未焙焼のまま安中に輸送しているが、22年までに全ての焙焼を小名浜で行い、その後安中で電解する体制にする。安中製錬所には現在、焙焼炉1基と電解設備2基があるが、電解設備1基を残して稼働を止める。
 担当者によると、安中の従業員230人の大半が焙焼関連で働く。再編に伴い、同製錬所の他部署や県内の他事業所などに配置転換し、雇用は維持するという。
 同社は5月中旬に発表した第12次中期3カ年計画(21~23年度)で、収益構造改善に向けた取り組みとして製錬工程の合理化を掲げていた。国内市場の縮小に対応するためのコスト改善と市況リスクへの耐性構築が理由だという。担当者は「年間8万51000トンの生産量はいじし、コスト改善で収益を確保したい」としている。
 安中製錬所はかつて排水とばい煙によって農業被害が発生し、地元住民が同社に補償を求める公害訴訟(1986年に和解成立)に発展した。現在は蒸気の立ち上る様子が国道などから確認でき、「工場萌え」と言われる工場景観の愛好家の間で人気を集めている。担当者は「焙焼炉以外の設備は再編後も稼働しているので、工場の景観に大きな変化はない」としている。
(寺島努)

 これに先立ち日本経済新聞も同様の内容の記事を前日の5月31日に報じました。

**********日本経済新聞2021年5月31日2:00
東邦亜鉛、製錬事業を再編 群馬で焙焼炉など休止

生産体制を見直して収益力の向上を狙う(群馬県安中市の安中製錬所)
 東邦亜鉛は亜鉛製錬事業を再編する。2022年3月までに安中製錬所(群馬県安中市)にある鉱石を加熱する焙焼(ばいしょう)炉などを休止し、焙焼工程を小名浜製錬所(福島県いわき市)に集約する。自動車用鋼板の加工などに使う亜鉛製品は国内市場の大きな伸びが見込めない。生産体制を見直してコスト改善を目指す。
 同社は亜鉛製品の国内シェア20%を持つ大手メーカー。亜鉛は焙焼炉で鉱石から硫黄分を除去した後に、電気分解で亜鉛分を抽出して高純度の製品をつくる。安中製錬所には焙焼炉1基と電解設備が2基あり、22年3月までに1基ずつ止める。従業員約230人の雇用は維持する方針で、配置転換などで対応する。
 今後は小名浜で焙焼工程、安中で電解工程を分担する。生産体制の見直し後は設備の稼働率を引き上げて、年間生産量を8万5千トンと21年3月期と同等の水準を維持する計画だ。
 製錬事業の再編に踏み切る背景に国内市場の伸び悩みに加え、収益基盤の不安定さがある。製錬事業は市況の影響を受けやすく、21年3月期の営業損益は57億円の黒字を確保したが、亜鉛市況が悪化した19年3月期から2期連続の赤字だった。
 製錬は同社の連結売上高の約8割を稼ぐ主力事業。5月に公表した24年3月期までの3カ年の中期経営計画では製錬事業の基盤強化を盛り込み、年20億円強の営業利益を安定的に稼げる体制づくりを進めている。
**********

■昨年はコロナ禍の為、例年より4か月半遅れの8月22日に実施された東邦亜鉛安中製錬所の工場視察会では、同所製造部長は「当安中製錬所では、亜鉛地金、亜鉛合金、硫酸、粉末冶金など焼結部品などを生産しております。主力製品である亜鉛は、年間およそ14万トン、月に1万トンの生産能力を超え、国内の約20%のシェアを持っております」と説明していました。それが実際には、2020年度のカソード亜鉛(電解亜鉛)の8万4200トンに留まったことが、令和3年5月17日に発表された同社の第12次中期3カ年計画で明らかにされました。
※東邦亜鉛第12次中期3カ年計画(2021年度~2023年度) ZIP ⇒ 210517_pre_dl2123jnv.zip

 今回の報道は、この第12次中計の内容に基づくものですが、安中製錬所における亜鉛製錬能力は、安中公害問題の端緒となった強引な設備増強計画により、それまで5万5200トンであったのが1968年には年産13万9200トンへと約2倍半に引き上げられ、以来、この能力を維持しています。



■ところが、第12次中計では、少なくとも今後3年間は亜鉛生産を年産8万5000トンに抑えることを表明しています。つまり、設備能力の約6割の稼働ということになります。



 製造業の場合、製造設備は稼働率を上げることにより、効率的な運用ができるわけですが、報道によると、東邦亜鉛では「安中製錬所には焙焼炉1基と電解設備が2基あり、22年3月までに1基ずつ止める」とあります。



 焙焼炉では、亜鉛鉱石に半分程度含まれる硫黄が燃焼により除去され、その際に燃焼によって亜硫酸ガスが発生します。筆者が今から60年余り前に、安中製錬所の脇にあった山道を下って、信越線の反対側にある幼稚園に通うため、毎日通園していたときに、北西の風で、焙焼炉から漏れ出る黄色い亜硫酸ガスにまかれ、あやうく窒息しそうになり、地面に顔を付けるようにしながら、山道を上り下りしたことが頻繁に起こりました。

■亜鉛製錬の場合、閃亜鉛鉱(ZnS)を主成分とする亜鉛精鉱を、流動焙焼によって「焼鉱」と呼ばれる酸化亜鉛(ZnO)にし、これを電解尾液で浸出させた後、電解工場で電解亜鉛が製造されます。

 亜鉛の「精鉱」は、豪州の鉱山で原鉱石を粉砕して、浮遊選鉱法で亜鉛の含有量が調整されたものです。これには硫黄が含まれているため、酸化反応(燃焼)によって亜硫酸ガス(SO2)を発生し、これを硫酸工場に導いて硫酸を製造しています。

 流動焙焼炉では、炉内温度を1000度以下に制御して、亜鉛精鉱に含まれる鉄分がフェライト化しないようにしており、安中製錬所の場合も焙焼温度を940度C前後に設定しています。



 「精鉱」に対して、焙焼工程を経た「焼鉱」は、精鉱粒子が焙焼工程で互いに融着するため、精鉱に比べると焼鉱の粒度は精鉱に比べてかなり大きくなります。また、焼鉱の残留違法分は2%程度です。

■安中製錬所の焙焼炉は、かつて筆者が幼稚園児の頃、しょっちゅう黄色い煙を発していた当時は、バッチ式でした。これは密閉型の炉ではなかったため、創業の過程で黄色い亜硫酸ガスを周囲に垂れ流していたもので、今から考えると想像を絶する酷さだったわけです。なお、当時のバッチ式焙焼炉は今でも撤去されずに残されており、ロータリーキルンに行く途中、通路脇に古びた姿を見ることができます。

 その後、湿式給鉱のドル式流動焙焼炉に変更され、黄色い亜硫酸ガスの垂れ流しはなくなりました。さらに1980年に、省エネルギー対策として乾式給鉱炉に改造し、蒸気発生量を8t/hから10.5t/hに増加させました。その後、更に焼鉱顕熱の回収のために流動クーラーを設置することで、ボイラ用給水の予熱や、炉内温度調整のためのクーリングコイルを設置する等して、12t/h(現在は13t/h)の蒸気が回収されています。

 この蒸気は、これを所内の製錬工程や福利厚生施設の熱源としてのほか、背圧タービンによる発電を実施し、毎時565kwの電力を得ています。

■今回の報道によると、この流動焙焼炉の運転を休止するとあります。「休止」というからには、設備を温存し、いずれまた稼働させるつもりもあることになります。

 また、報道では「安中製錬所は純度の高い製品を作るための電気分解工程を受け持つ。生産体制見直しによるコスト改善が目的で、安中製錬所の230人の雇用は維持する。同社によると、現在は小名浜製錬所で鉱石の3分の2を焼き、残りを未焙焼のまま安中に輸送しているが、22年までに全ての焙焼を小名浜で行い、その後安中で電解する体制にする。安中製錬所には現在、焙焼炉1基と電解設備2基があるが、電解設備1基を残して稼働を止める。担当者によると、安中の従業員230人の大半が焙焼関連で働く。再編に伴い、同製錬所の他部署や県内の他事業所などに配置転換し、雇用は維持するという。」とあります。

 そうすると、これまで小名浜から毎日「安中貨物」と呼ばれる貨物列車で運ばれていた粉体の亜鉛精鉱を専用で運ぶ無蓋貨車12両は、今年度限りで不要と言うことになります。


JR貨物のトキ25000形無蓋貨車。積載重量40トン。亜鉛精鉱専用

 一方、小名浜から安中製錬所に搬入される亜鉛原料の3分の2を占める粒体の焼鉱の輸送には、同じくJR貨物のタキ1200形タンク車20両が使用されていますが、これは、そのまま継続して使用されることになります。


JR貨物のタキ1200形タンク車。積載重量40.3トン。亜鉛焼鉱専用

■亜鉛生産量を年間8万5千トンにすることで、小名浜からは今後は焼鉱のみの輸送となると、来年度から安中貨物では、長年目にしてきた無蓋貨車が姿を消すことになります。すると、東邦亜鉛安中製錬所のもっとも高台にある精鉱鉱舎は不要になります。さらに、焙焼炉の運転を止めるとなると、焙焼工程で生じた亜硫酸ガスを使って硫酸を作るための硫酸工場も稼働できなくなります。

 亜鉛精鉱の酸化(燃焼)による副産物として発生する硫酸は、焙焼炉から送られてくる亜鉛焼鉱を溶解槽で溶かすための希硫酸 (電解尾液) として必要になります。
     ZnO + H2SO4 → ZnSO4 + H2O

 このとき、焼鉱に含まれる鉄などの一部も溶解するので、マンガンや石灰等を加えてこれらの不純物を沈殿させ除去します。
     FeO +添加剤 → Fe2O3 (沈殿)



 こうした一連のプロセスでは、亜鉛を十分に溶解させ、かつ、不純物をできるだけ多く沈殿させるためにpHを一定の値に管理して行う必要があります。浸出液は,その後,フィルタプレスで不純物が濾過され,浄液となって電解槽に送られます。この電解槽で,電気亜鉛が作られます。

■したがって、安中製錬所が小名浜から焼鉱のみ搬入するとなると、それまで亜鉛精鉱の焙焼の副産物として製造していた硫酸を外部から調達しなければならなくなります。

 今後は、安中貨物により、小名浜から濃硫酸を運ぶためのタンク車が新たに加わることになるかもしれません。なお、電解尾液の希硫酸は、電解後、どの程度再利用されるのかどうか、東邦亜鉛に訊いてみないとわかりません。

 こうして、安中製錬所にとって、これまで小名浜から運び込まれる原料の亜鉛鉱石の3分の1を占めていた亜鉛精鉱がなくなることは、操業に大きな変化をもたらすことは必至です。

 しかし、新聞報道にある「担当者によると、安中の従業員230人の大半が焙焼関連で働く。再編に伴い、同製錬所の他部署や県内の他事業所などに配置転換し、雇用は維持するという」記事は、意味がよくわかりません。製錬所は設備産業ですから、自動化による省力化が進められており、安中製錬所でも新電解工場では、クレーンオペレーターが交替勤務しているだけで、汚れ仕事はみな協力業者と呼ばれる下請にやらせており、安中製錬所の230人の従業員のうち、焙焼関連に大半が従事しているとも思えず、また、他の製造部門への配置転換にしても限定的に留まります。となれば、県内の他事業所である藤岡事業所か、関連会社への異動しか考えられません。

■いずれにしても、これまで従業員数は縮小してきたものの、亜鉛製錬については、生産量は市場により多少増減はありましたが、今回のように生産能力を4割減とする思い切った合理化は記憶にありません。

 亜鉛の生産量が減少すれば、当然、非鉄スラグの排出量も減り、降下煤塵や排水中の有害物質の絶対量も減少することになります。製錬所周辺の大気、水、土壌を汚染し続け、さらに騒音(とくにロータリーキルンなどの送風機の音がうるさい)をまき散らしてきた安中製錬所ですが、今後の操業縮小により、どの程度、周辺環境への負荷も縮小されるのかどうか、注意深くモニターしてまいる所存です。

【北野殿公害対策委員会からの報告】

※参考情報「最近の東邦亜鉛絡みの報道」
**********日経2021年5月14日 2:00
東邦亜鉛人事異動(6月29日)
取締役、中川有紀子
同、大坂周作
専務執行役員技術・開発本部長兼金属・リサイクル事業構造改革担当(常務執行役員亜鉛・鉛事業本部長兼機器部品事業部長兼環境・リサイクル事業部担当)田島義巳
電子部材事業部長兼機能材料事業部担当(電子部品事業本部長兼電子部品事業部長)常務執行役員藤岡事業所長伊藤正人
常務執行役員(執行役員)総務本部長兼総務兼CSR推進室長大久保浩
資材調達(資材統括部長)執行役員資源事業部長中川英樹
機器部品事業部担当、執行役員安中製錬所長森田英治
執行役員、有本龍平
同、小名浜製錬所長高橋康司
同金属・リサイクル事業部長(亜鉛・鉛事業本部副本部長兼環境・リサイクル事業部長)リサイクル営業・佐藤義和
機能材料事業部営業、荻野靖宏
技術・開発本部カーボンニュートラル推進室長、技術兼知的財産・竹内信登
機器部品事業部長、電子部材事業部プレーティングユニット長中村雅之
技術・開発本部設備企画、浜崎勝司
電子部材事業部営業(電子部品事業本部営業)林武彦

**********日刊産業新聞2021年5月13日
東邦亜鉛 財務健全化を最優先
 東邦亜鉛は13日、2021年4月始まりの第12次中期3カ年計画で、財務体質の健全化を最優先すると発表した。同日公表の10年ビジョン(10年後のありたい姿)への最初の3年間と位置づけ、フリーキャッシュフローの安定黒字化を図る。製錬・資源事業での市況リスクの適正化、川下事業の強化、製錬事業の基盤強化の3点を具体的に推し進める。

**********株探ニュース2021年5月13日15:24
【決算速報】東邦鉛、今期経常は17%減益へ
 東邦亜鉛 <5707> が5月13日大引け後(15:00)に決算を発表。21年3月期の連結経常損益は54.1億円の黒字(前の期は144億円の赤字)に浮上したが、22年3月期の同利益は前期比17.0%減の45億円に減る見通しとなった。
 直近3ヵ月の実績である1-3月期(4Q)の連結経常損益は20億円の黒字(前年同期は81.5億円の赤字)に浮上し、売上営業損益率は前年同期の-32.5%→9.6%に急改善した。
<現在値>
東邦鉛  2,024 +1
三井金  3,165 -5
DOWAH 4,475 -80
三菱マ  2,299 -6
住友鉱  4,907 -71

**********株探ニュース2021年05月11日19時30分
【特集】非鉄株「スーパーサイクル」突入へ、グリーン投資拡大で一斉蜂起 <株探トップ特集>
 世界的な環境投資の流れは、非鉄株には追い風。コモディティー関連株のなかでも、環境重視の潮流が逆風となる石油株から非鉄株へと投資先を乗り換える動きも見込まれている。
―銅価格は史上最高値に上昇、供給不足も意識され長期的な株高局面に―
 非鉄価格が上昇基調を強めている。この背景には、中国や米国の景気回復期待によるベースメタルである銅やアルミニウムなどへの需要拡大観測がある。特に、電気自動車(EV)などの生産には大量の銅やアルミなどが使われるとみられていることも追い風で、いまや非鉄市況は「スーパーサイクル」に突入したとの観測も強まっている。このなか、非鉄関連株には一段高期待が膨らんでいる。
●銅など商品市場に投資資金が大量流入
 足もとで銅価格が急上昇している。ロンドン金属取引所(LME)の銅3ヵ月物は7日に1トン=1万400ドル前後に上昇。2011年2月の最高値(1万190ドル)を10年ぶりに更新した。10日には1万700ドル台へと上昇しており、年初の時点では8000ドル近辺にあっただけに、この半年弱で3割強の上昇を演じている。
 銅価格上昇の要因となっているのが、最大の需要国である中国の景気回復に加え、新型コロナウイルスワクチンの接種拡大に伴う米国の経済再開期待と大規模な財政政策による銅需要の回復観測だ。更に、米国の大規模な財政出動とゼロ金利政策であふれた大量の資金が、格好の投資先として銅などコモディティー(商品)市場に流れ込んでいるとの見方は強い。
●コロナ禍で生産増難しくタイトな需給状況は続く
 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は、「銅価格は目先的には1万ドル乗せで達成感からの一服があるかもしれない。しかし、EVの普及など環境投資拡大の追い風もあり、中長期的には一段の上昇はあり得るだろう」と今後の展開を予想する。
 EV1台当たりの銅の使用量はガソリン車の3~4倍に膨らむとの試算もあるほか、EV充電スタンドや風力タービン向けなどグリーンエネルギー関連に銅需要が増加するとの期待が強い。更に、需要が高まる一方で大幅な供給増の見通しは立たない。世界的にみて近年は新たな有望な銅鉱山は見つかっていないことに加え、コロナ禍のなか労働者の感染対策のため銅鉱山での産出量を増やすことは難しい状態となっている。このため「銅市況は先行きの供給不足も意識する状況」(芥田氏)にある。
●グリーンマネーの流入が長期市況上昇を招く
 そんななか、市場で高まるのが銅を中心とした非鉄市況が「スーパーサイクル」に突入したとの観測だ。非鉄関連では2000年前半から11年頃にかけてBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカ)と呼ばれる新興国の経済成長を背景に市況が長期上昇した。
 今回は、世界的な景気回復期待に加え環境投資の拡大を視野に入れた「グリーンマネー」の流入が非鉄市況の上昇を支えている。市況の上昇は銅に限らずニッケルやアルミなどにも広がっている。ニッケルはEVの電池材料向けへの需要に対する期待から今年2月には1トン=1万9000ドル台と14年9月以来の水準に上昇した。その後、いったん下落したが、4月下旬以降は再び上昇基調を強めている。
●アルミは中国の環境規制で需給引き締まる
 アルミは足もとで1トン=2500ドル近辺と18年春以来、約3年ぶりの高値水準に上昇している。年初からは2割強の値上がりだ。アルミもEVの軽量化に絡んで需要増期待が強いが、更に中国の環境規制がアルミ市況の上昇要因となるとの見方がある。アルミの生産では大量の電気が必要とされるが、中国は60年までに「二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロ」を目指しており、これまでのようにアルミ生産でCO2排出量の大きい石炭火力発電による電気をふんだんに使うことは難しくなるとみられている。このためアルミの需給は中長期的な引き締まりも予想されている。
 コモディティー市場のなかの投資配分も、世界的なCO2削減の潮流が逆風となる石油に対して、非鉄はEV向けなどのグリーン投資の需要増が見込めるため、石油に向かっていた投資資金が非鉄に流れてくるともみられている。今後、環境投資を意識したマネーは非鉄株に向かっていくことが予想される。
●アサヒHD、松田産業、アサカ理研、黒谷など
 個別銘柄でまず注目されるのは、大手非鉄の住友金属鉱山 <5713> や三菱マテリアル <5711> 、DOWAホールディングス <5714> などだ。住友鉱の決算は前期に続き、今期も増配が予定されるなど堅調。全体相場が落ち着けば、大手非鉄株には見直し買いが期待できる。また、ニッケル関連で大平洋金属 <5541> 、亜鉛で東邦亜鉛 <5707> 、アルミ関連で日本軽金属ホールディングス <5703> やUACJ <5741> なども活躍が見込める。
 また、貴金属リサイクルを手掛けるアサヒホールディングス <5857> やアサカ理研 <5724> [JQ]、松田産業 <7456> などにとっては銅価格などの上昇は追い風。加えて非鉄金属加工の黒谷 <3168> や黄銅棒・線材の日本伸銅 <5753> [東証2]、それに非鉄金属商社の白銅 <7637> 、銅鉱石などの探査・開発を手掛ける日鉄鉱業 <1515> 、レアメタルなどを手掛けるアルコニックス <3036> などに注目したい。

**********日刊産業新聞2021年4月5日
東邦亜鉛 亜鉛生産8%増、鉛は減少
 東邦亜鉛は2日、2021年4―9月期の亜鉛生産計画を前年同期比8・1%増の4万4100トン、鉛を1・1%減の4万7900トンと発表した。亜鉛の増加は前年同期の生産調整からの反動による。鉛は例年並みの計画値とする。同社は電気鉛の国内生産首位。
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