ドクターカーのサイレンは「ヒュンヒュン」…八戸で全国初導入、ピーポーより認識しやすく
日本救急医学会など関連学会でつくる全国ドクターカー協議会によると、ドクターカーがイエルプ音になるのは全国初という。ドクターカーは、緊急度の高い患者を診療するため医師が搭乗する緊急自動車。同協議会の2022年度の調査では、ドクターカーは少なくとも130の医療機関で運用され、21年1月~22年9月の総出動要請件数は5万4000件に上る。
イエルプ音は甲高い「ヒュンヒュン」という音。欧米や韓国など海外では広く使われている。市民病院と八戸工業大の共同研究で、人が聞き取りやすい周波数帯では、イエルプ音がピーポー音より大きく聞こえることがわかったという。
市民病院は10年にドクターカーを導入し、出動件数は東日本で最多の年間1500件超。ドクターカーは赤色灯をつけ、サイレンを鳴らして出動する。ただ、一般ドライバーに気づいてもらえず、現場到着が遅れるケースもあるという。
市民病院でドクターカーを運転する救急救命士の 向谷地毅冶さん(23)は「朝の混雑時には進むのが一苦労という日もある。ドクターカーの出動は緊急を要する時のサイン。音の変更でドライバーの意識に変化があれば」と期待を込める。
研究結果を警察庁と国土交通省に示し、イエルプ音使用の許可を得た。その後、市民へ事前の周知が必要として、病院や大学は約2か月、広報を続けてきた。協議会の代表理事を務める市民病院の今明秀事業管理者は「安全で迅速な現場到着が実現すれば、イエルプ音は全国に波及するはず」と話している。