介護福祉士、医療行為を強要されたストレスで適応障害に 姫路労基署が労災認定
職場の慣例で、法律上は医師や看護師らが行うとされる医療行為を日常的にさせられ、適応障害を発症したとして、姫路労働基準監督署が30日までに、兵庫県太子町の医療法人社団に勤務していた介護福祉士の女性を労災認定したことが分かった。違法行為の強要と労災の因果関係が認められる例は少ない。
関係者によると、女性は2020年5月、同町の医療法人社団「ほがらか会」に採用され、サービス付き高齢者住宅(サ高住)などに勤務。呼吸機能が低下した人が使用する酸素ボンベの交換などの業務は、医師法などで医師や看護師らに限定されているが、職場の慣例で行っていたという。近くにある同会の訪問看護ステーションの看護師らは対応していなかった。
女性によると、職場の先輩から「ここではみんなやっている」と言われ、従ったという。退職者が多いため職員の入れ替わりが激しく、女性は酸素機器のマニュアル作成も担わされた。違法行為に加担したストレスなどから適応障害になり、20年11月に休職。翌月、退職した。
姫路労基署は「(酸素ボンベの交換が)通常業務として行われ、事実上の強要があった」と認定。違法行為の強要が一因で心理的負担が生じ、適応障害を発症したと結論付けた。
神戸新聞の取材に対し、法人側は「調査した結果、慣例的に職場で違法行為があった」と認めた。
県龍野健康福祉事務所も調査しており、法人側は「現在は全て看護師が操作している。県の指示に従い、再発防止を徹底したい」としている。(直江 純、山本 晃)