手術中座れるいす開発 改良重ね医師負担軽く エムエスビー (船橋市)
2019年9月26日 (木)配信千葉日報
機械パネルや工作機械の部品などを製造する精密板金業「エムエスビー」(船橋市、松本進社長)が、専門分野ではない医療機器作りに挑み、「医師向け手術室用いす」の開発に成功し、販売を開始した。長時間立ったままで手術していた医師の負担を軽減するため、立った状態を維持しながら“ちょい座り”できるいすに仕上げた。座面に荷重するとロックされるキャスターを用いることで、手術中にいすの「移動」と「固定」が思いのままにできるのが最大の特長。
完成したいすの名称は、「医者が楽になる」との思いを込めて『しゃらく』。今年2月から標準仕様の「Aタイプ」を19万円(税別)で販売開始した。
開発のきっかけは「立っているようで座っているような手術用いすを作ってほしい」という医師の要請。県産業振興センターが進める「医工連携」の取り組みの中で、医療現場の声がものづくり企業に届いた。
自ら開発に乗り出した松本社長は当初、「移動と固定ができる」という難題に頭を悩ませた。ある日、座ると止まるキャスター付きのいすに偶然出合い、使われていたキャスターの構造を転用することで難題がクリアできた。
本格的な開発に先立ち2016年9月、「手術室用いす」の特許を出願。何度か手直しし、17年6月に特許を取得。同年12月に試作第1号ができた。
その後も移動と固定の機能を改良し、標準仕様のAタイプが完成した。キャスターと同様にこだわったのは、座面の座り心地。高級バイクのシートを製造する国内メーカーと契約し、低反発ウレタンなどを使って内臓への負担が少なく長時間の着座に適した理想の座面が得られた。
座面の高さも56~75センチに変動可能で、手術中に手を使わず調節できるよう足元にレバーを設置した。
独自の視点と完成度の高さは、船橋市の目に留まった。市内の中小企業が製造する優れた新商品を顕彰する「市ものづくりグランプリ制度」で、本年度のグランプリに輝いた。
現在は5種類のタイプが商品化され、オプションで背もたれ(1万8千円、税別)も用意した。
松本社長は「狙った機能を備えられた。次は売る段階。多くの医師らに知ってもらい、使ってほしい」と普及に期待。今後は工場や理美容院など立ち仕事の多い職場向けに、低価格モデルを開発する構想も抱く。
2019年9月26日 (木)配信千葉日報
機械パネルや工作機械の部品などを製造する精密板金業「エムエスビー」(船橋市、松本進社長)が、専門分野ではない医療機器作りに挑み、「医師向け手術室用いす」の開発に成功し、販売を開始した。長時間立ったままで手術していた医師の負担を軽減するため、立った状態を維持しながら“ちょい座り”できるいすに仕上げた。座面に荷重するとロックされるキャスターを用いることで、手術中にいすの「移動」と「固定」が思いのままにできるのが最大の特長。
完成したいすの名称は、「医者が楽になる」との思いを込めて『しゃらく』。今年2月から標準仕様の「Aタイプ」を19万円(税別)で販売開始した。
開発のきっかけは「立っているようで座っているような手術用いすを作ってほしい」という医師の要請。県産業振興センターが進める「医工連携」の取り組みの中で、医療現場の声がものづくり企業に届いた。
自ら開発に乗り出した松本社長は当初、「移動と固定ができる」という難題に頭を悩ませた。ある日、座ると止まるキャスター付きのいすに偶然出合い、使われていたキャスターの構造を転用することで難題がクリアできた。
本格的な開発に先立ち2016年9月、「手術室用いす」の特許を出願。何度か手直しし、17年6月に特許を取得。同年12月に試作第1号ができた。
その後も移動と固定の機能を改良し、標準仕様のAタイプが完成した。キャスターと同様にこだわったのは、座面の座り心地。高級バイクのシートを製造する国内メーカーと契約し、低反発ウレタンなどを使って内臓への負担が少なく長時間の着座に適した理想の座面が得られた。
座面の高さも56~75センチに変動可能で、手術中に手を使わず調節できるよう足元にレバーを設置した。
独自の視点と完成度の高さは、船橋市の目に留まった。市内の中小企業が製造する優れた新商品を顕彰する「市ものづくりグランプリ制度」で、本年度のグランプリに輝いた。
現在は5種類のタイプが商品化され、オプションで背もたれ(1万8千円、税別)も用意した。
松本社長は「狙った機能を備えられた。次は売る段階。多くの医師らに知ってもらい、使ってほしい」と普及に期待。今後は工場や理美容院など立ち仕事の多い職場向けに、低価格モデルを開発する構想も抱く。