国内初、「肥大型心筋症」の手術に成功 国立循環器病センター
産経新聞 6月21日(木)20時27分配信
心臓の筋肉が厚くなり、息切れや呼吸困難が起きる難病「肥大型心筋症」に不整脈を併発した重症患者から、余分な心筋を切り取る新手術に成功したと国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が21日、発表した。
心臓の外側から穴を開け、心筋を切除する。患者の負担が軽く、不整脈も治療できた。同センターによると、実施は国内初とみられ、根本的な治療法になる可能性がある。
患者は、心筋が厚くなり左心室が約半分に狭くなった奈良県の40代男性。5月下旬、肥大型心筋症が原因とみられる不整脈により同センターに運ばれ、翌日、手術を受けた。
手術では左心室下部を長さ約6センチにわたり切開。心筋約32グラムを切り取った上、不整脈を引き起こす細胞を凍らせて取り除いた。
従来の方法は左心房に穴を開けるもので、心臓の弁も切り取って人工弁に置き換えるため、血が固まらないようにする薬剤を一生飲む必要がある。不整脈は、植え込み型除細動器で突然死を防ぐ治療が大半だった。執刀した小林順二郎・心臓血管外科部門長は「多くの患者さんに広がってほしい」としている。