【山口】「認知症に理解を」患者本人が発信
認知症に対する社会の理解を深めることを目的に、県は25日、認知症患者本人が発信(本人発信)を行う「やまぐち希望大使」を県内の5人に委嘱した。
2019年に国が定めた認知症施策推進大綱で、認知症施策の柱の一つとされた「普及啓発・本人発信支援」の取り組みの一つ。大使は、認知症に関する講演会で講師を務めたり、県のホームページでメッセージ動画を公開したりする。
県庁で委嘱状交付式があり、村岡嗣政知事が宇部市の右田京子さん(69)、山口市の阿部俊昭さん(63)、周防大島町の中定ひとみさん(60)、岩国市の石井朋成さん(56)、同市の村上健治さん(62)に委嘱状を手渡した。
村岡知事は「皆さんが自分らしく、明るく、前向きにそれぞれの地域で暮らす姿を知ってもらうことが県民の認知症に対する理解を変えることにもなる。認知症の方にとっても希望になる。それぞれの活動を通じて明るい共生の輪が県内に広がることを期待する」と述べた。
5人のうち阿部さんは57歳の時に若年性認知症の診断を受けた。これまでにメディア出演を通じて積極的に本人発信をしたり、山口市の認知症カフェの立ち上げに携わったりした。大使就任を受け、「認知症で悩んでいる人がどれだけいるか分からない。ショックを受けている人がいるとすれば、『それは違う、もっとお互い前向きになっていきましょう』という言葉をかけたい」と意気込みを語った。 (平岩和也)