乳由来成分で記憶力改善 慶応大とキリンが解明
2019年4月25日 (木)配信共同通信社
カマンベールチーズなどの乳製品由来の成分に、記憶力を改善する効果があることを慶応大とキリンホールディングス傘下の健康技術研究所が解明した。中高年を対象とした実験で確認し、成果を海外の科学誌に24日発表した。動物での実験では認知症予防に効果があることも既に分かっており、新たな研究成果を踏まえて今後の商品開発への展開に期待が集まる。
成分はβラクトリンと呼ばれ、カマンベールチーズなどカビで発酵させた乳製品に多く含まれる。ただ、効果を得るには膨大な量の摂取が必要となるため、キリンはサプリメントなどの商品化を目指す。
今回の実験は「物忘れが気になる」という50~75歳の男女114人が対象。半数はβラクトリンを12週間にわたって摂取し、記憶力を調べるテストの結果を比べた。
テストは色と図形、単語の組み合わせを覚える2種類。摂取した方が正解数が多くなる傾向が示された。
研究グループの慶応大梅田聡(うめだ・さとし)教授(認知神経科学)はβラクトリンについて、人の「覚える力」よりも「思い出す力」を改善する効能が強いと指摘。「食品として摂取でき、新たな物忘れ対策などとして期待できる」と話している。
注)科学誌はスイスのフロンティアーズインニューロサイエンス