高齢者医療が健保直撃 明日はある…か? どうする負担増/5止
2010年9月24日 提供:毎日新聞社
明日はある…か?:どうする負担増/5止 高齢者医療が健保直撃
東北有数の温泉レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」(福島県いわき市)。映画「フラガール」のヒットで07年度入場者数は161万人と過去最高となったが、その陰で施設を運営する常磐興産の健康保険組合が09年4月、ひっそり解散した。常磐興産グループはリゾート施設のほか業種が多岐にわたり、企業間の関係が薄い。組合最後の常務理事、下山田敏博さん(50)は「健保組合はグループ企業を結ぶきずな。残したかった」と無念そうに話す。
ハワイアンズ以外の石炭卸売りなどグループ全体の経営は厳しく、1952年の設立時に1万3000人いたグループ社員は2600人に減少。保険料収入も激減し、健保組合は慢性赤字に。追い打ちをかけたのが、健保組合に課せられた高齢者医療向けの拠出金。「拠出金が年間支出の4割以上になり、解散して協会けんぽに移るしかなかった」
日本の医療保険制度は、主に大企業向けで比較的財政に余裕のある健保組合と中小企業が中心の協会けんぽなどが、高齢者医療や自営業者らの国民健康保険を支える。高齢化の進展で健保組合の高齢者医療向けの負担は強まる一方で、保険料収入に占める拠出金の割合は00年度の38・4%から09年度は過去最高の45・6%に達した。
景気悪化で保険料収入も減り、全国1473組合(10年3月末現在)全体で09年度は過去最悪の5235億円の経常赤字で、赤字組合数は8割に上る。赤字組合は保険料率を上げざるを得ず、保険料の半分以上を負担する会社を圧迫する。ここ10年で300組合が次々解散した。日本総研の西沢和彦主任研究員は「国民が嫌がる増税論議を避けてきた結果、健保組合などが過度の負担を強いられている」と指摘する。
「年間支出約7億円の半分近くを高齢者医療への拠出金に取られ、組合員への十分なサービスを維持できなくなった」。今年6月、健保組合を解散した百貨店「井筒屋」(本社・北九州市)の幹部は悔しさをあらわにした。社員・家族は協会けんぽに移行。健保組合の保険料は会社側56%、社員44%の負担だったが、協会けんぽは折半で社員の負担は月800~1680円増え、組合独自のサービスも受けられなくなった。40代の男性社員は「このご時世、協会けんぽでも、あるだけまし」と話す。
「人間ドック補助、出産一時金付加の廃止」「乳がん検診有料化」。東京都内の派遣社員の女性(42)は今春、「人材派遣健保組合」(約280社加盟)から、健保独自のサービス廃止・縮小と保険料率引き上げを通告された。同組合は02年に複数の派遣会社が共同設立した。
だが、08年度からの高齢者医療向け拠出金などの負担で保険料は上昇。今年度の1人当たりの保険料負担は最も安かった06年度比約3000円増の平均月9500円。女性はこの10年、9社で働いてきたが、「保険料は高いのに、サービスを削られてまで健保組合に入っている意味はない」と考え始めている。
高齢化社会に押しつぶされそうになっている医療、介護、年金。社会保険と税のバランスをどう取るべきか。議論を急ぐべき時にきている。=おわり(田畑悦郎、窪田淳、永井大介、中澤雄大、宇都宮裕一が担当しました)
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