宮城への県境越えの峠道は、結構、吹雪いていた。
月山越えに比べれば可愛いもんだけど、春の陽気を期待した裏の人間には、ガッカリ。
話しのタネになればと、鳴子の温泉街に立ち寄り、鳴子まんじゅうを調達した。
宿泊客が宿を出る時間帯だったので、ボクの前にも後からも、お客さんが続いた。
国道4号に出てからも、わずかに薄日が射すだけ。曇り空の下での岩手入り。
峠の雪道を考慮して四時間はかかると思っていたけど、三時間半で着いた。
線路のある風景は好きです。
視界が限られた東北本線のこの風景も、懐かしさを感じる風景になった。
大人げない突然の訪問だったけど、いつも通り迎えてもらった。
ボクがボロの「軽」で来たことが可笑しいという。チョット、何言ってんのか、わかんない。
近況を話すボクに、「また、ボヤキかあ?」とキクちゃんがダメ出し。
あいかわらず、んだなあ・・・。
実家にあったはず・・と、探し出してきた一枚を渡した。現役の頃の写真は少ない。
練習中に写真を撮るなんて、そんな軟派くさいことは出来ない雰囲気だったなあ。
貧乏学生にカメラは貴重品で、持っている人間も少なかったような気もする。
初めて見た写真だと言って、結構、喜んでくれた。
同日のものとみられる、もう一枚がある。ヤスは持ってるかい? 内山もいるな。
昔の仲間と酒を飲みながら、また、泥臭い話をしたいなあって、ボヤいた。
「くいしん坊」のカウンターで、ガン・コン両先輩と一緒に飲んでいた頃のように。
「それって、これからは、大事なことだよ」って、キクちゃんが後押ししてくれた。
息子さんたちの来訪を機に、先輩んちを辞した。
思ったら、すぐ、やろう。時間はそう残されていない・・、その通りだ。
暇なのは誰だ・・・? ボクがやろう。
44年前の罪滅ぼしには、ならないだろうけど。