
予告を観て、面白おかしくて、ほのぼのした印象を受けた。
現代のチャップリンとも称されるエリア・スレイマンの10年ぶりの作品
スレイマンが監督・脚本を手掛け、主人公だ。
ナザレに住むパレスチナ人のスレイマン監督が新作の企画を売り込むために旅をする。
私にとっては初めて観るパレスチナ人監督の作品となった。
自宅でお茶をしていると、勝手に入り込み庭のレモンを収穫している隣人を目の当たりにする。
この男の描写はちょくちょく入り込むが、勝手に剪定し、勝手に水やりをし、勝手に挿し木しと
まるで自分の物のようにふるまっているのが可笑しいのだが示唆する現実は深そうだ。
たまに訪れる森の中では水瓶を運ぶ女性の描写が
まるで効率の悪さを楽しむようにゆっくりと繰り返される
イスラエルのこともパレスチナのこともよく知らない私には想像がつかないが
パリやニューヨークでのできごとは揶揄の繰り返しのようだ。
地下鉄でやたら付きまとい威嚇してくる男
カフェでお茶する彼の周りを計測する警官
立て続けにしんとした街中を走る戦車たち
道ばたのホームレスにサイレンを鳴らして駆け付けた救急車は
ファーストクラス並みの豪華な食事を提供して走り去るし・・・
公園で天使の姿をした少女が警官たちに追いかけられるシーン
それは羽だけが残ってもぬけの殻だったが・・・
ライフルを当たり前のように重々しくぶら下げて買物し生活する人々
バズーカを観た時には苦笑した。
彼を追いかけてくるように迫り来るヘリコプター
日本人が2度もお辞儀をしながら尋ねてくる場面があったが
彼はイエスともノーとも言わなかった・・・
スレイマンが「世界をパレスチナの縮図として提示しようとした」この作品
時々、ふっと笑いがこみ上げて口元がほころぶようなそうでないような
ゲラゲラとは笑えない作品だ

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