ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「不都合な理想の夫婦」

2022-05-30 | 映画のお話
英国インディペンデント映画賞で6部門にノミネートの「不都合な理想の夫婦」
「不都合な」って? 都合が悪いってこと?
いかにも訳しましたというような日本の題名と思っていたが
愛用の辞書には不届きからきた「ふとどきな」と言う意味ものっていて
さらに調べると歌舞伎のセリフから「金銭が思うようにならない。生計が苦しい」
と言う意味さえあるようだ。
初めて知ったこの意味。
私は使ったことのない日本語だが、案外古い言葉だと改めて知った。

原題の「The Nest」には「巣」「住処」「隠れ家」などの意味があるようで
妻の「引っ越しは4回目」と言葉から、そのあたりがとっかかりだろうか。
ニューヨークからロンドンへ
新しいすみかの重厚で古めかしい広すぎる屋敷と敷地が不気味すぎて
はしゃいでいるのはイギリス人の夫だけだ。
アメリカ人の妻と連れ子の娘、二人の間に生まれた10歳の息子
アメリカにいる頃の夫は寝ている妻を
モーニングコーヒーを入れて優しく起こし
子どもたちをそれぞれの学校に送り、一緒に遊び
仕事をしている風には見えなかった。
調教師なのか乗馬教室で働く妻の様子は見えたが夫の方は何をしているのか・・・
陰で電話する様子もうさん臭くて
想像していたようなイギリス人とアメリカ人のギャップが
おもしろおかしく散りばめられた映画でないことを感じた。

ロンドンの家に移ってからの生活は一変し
どんどん泥沼に沈んでいくような異様な雰囲気が漂う
朝起きられない妻は子どもたちを毎日遅刻させ
学校になじめない子どもたちの心も次第に蝕まれてゆく

妻のかわいがっている馬が全てを暗示しているかのようだった。
1980年代、世界経済が大きく変わっていくこの時代
大金を稼いで豪華な生活をすることだけが幸せと夢見る夫
口座が空っぽになってもすぐ大金が入ると繰り返す夫の心の闇

社長やタクシーの運転手の言葉の意味もわからないまま
突き進んでいく虚飾の世界の悪夢
ディナーの席でセレブ面をする夫をギャフンと言わせた
妻の反撃は期待通りだったが、これだけ?

電話も止まるような文無しなのに
娘はスポンサー気取りで薬物パーティを繰り広げるし
妻は農場で小遣い稼ぎをしたり
きれいに結った髪を振り乱して踊りまくるしで
そのあとはみんな巨大テーブルについて朝食とは
普通に朝食を食べているシーンが何とも不思議・・・
やっと4人そろった食卓が家族にとっては一番の幸せなんだけどね。

それにしても子供時代の貧乏生活のトラウマってこわいものだ
地道に生きることを伝えられなかった母の想いはどんなだろう







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