EF64とEF65

国鉄が送り出した直流電機の決定版ともいえる2形式、EF64とEF65。今回、なぜこの2形式を取り上げたかと言うと、EF641015が更新工事の際、当時のJR貨物標準塗装にしたところEF65と見分けがつきにくいという理由からEF64の更新時の塗装が変更された件について、改めて比較してみたいと思ったからです。
EF64もEF65も、それぞれ製造両数も多く、バリエーションの多い機種ですので、同一機種であっても全く異なった形をしたグループがありますが、その辺についても含めて、見てみたいと思います。


EF6436とEF651117、立川にて。

もともと用途が異なる両機、なかなか本線上で顔をあわせる機会が少なかったのですが、臨時列車を牽引するEF64が定期貨物の横をすり抜けました。基本的な形状は似ていますが、何といっても塗装が異なります。
この後に示す映像も併せて見ていただければわかりますが、側面の裾の長さやエアフィルターの大きさが異なります。おそらく勾配用の64は排熱量が大きかったのでしょう。


EF641024号機と79号機。拝島にて。

0番台は79号機がラストナンバーです。1000番台は上越線の旧形電機を置き換えるために増備された車両で大幅に設計変更され、別形式としても良い車両ですが、いろいろな事情からEF64を名乗ることになったようです。


EF641021、立川にて。
1000番台は国鉄新性能電機の中でも極めて特異なスタイルをしており、側面明り取り窓とエアフィルターの配置が非対称になっています。


EF6470の更新塗装、立川にて。
これらの機関車の中では製造時期が早かった64の0番台から更新が始まりました。乗務員室ドアを黄土色に塗ることによって直流機を示していました。


EF651049の更新塗装、立川にて


EF641015の更新塗装、高崎機関区にて
最後に登場したのが64の1000番台。ところが、65の1000番台と見分けがつかないということで、この塗装は1両のみに終わったそうです。
これだけ特徴のある64の1000番台だけが変更され、0番台はそのままというのはいったいどういうわけでしょうか。とても疑問が残ります。
大体、乗務員はどの機関車を持っていくか、同系種の中から乗務する1両を探すのですから、形ではなくナンバーを確認するはずです。となると、どの職場の要望だったのでしょう。謎は深まるばかり。

マニアにとっても、プロの業務知識としても、種類を見分けることはとても重要な部分です。そういった意味では過去にもそういうそっくりさんはいろいろあります。例えばEF65の初期形とEF60の最終形


EF653、西国分寺にて

EF65は最初は貫通扉はなく、塗装も一般塗装でした。


EF60513、立川にて

こちらは、かつては20系ブルートレイン牽引機でしたから、特急色でした。後になって一般色に改められております。屋根上の形状や避雷器などに差異が見られますが、避雷器やパンタグラフなどは載せ換えてしまえば見分けがつかなくなってしまうこともありますのであまりあてには出来ません。


EF6046、立川にて。

EF60はライトが違うからすぐ見分けられる、と私も入門者だった頃は簡単に考えていました。EF60にしても64も65も、同じ形式としてはずいぶんとスタイルが変わっています。その一方で他形式と見分けがつかないというのも、趣味的には面白い現象です。結局は同じ時期、近い時期に製造されたものは似た傾向になるということなんでしょう。
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