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UFOの次は9.11テロ陰謀論…民主党議員の国会質問のレベルに唖然

2008-01-13 15:35:50 | Weblog
 1月10日の参議院の外交防衛委員会、民主党の藤田幸久議員の質問場面の映像記録を見ました。ツインタワービルについて、爆発音があった、破片が150mも飛び散ったのはおかしいなど、9.11テロの疑問点を次々と質問される藤田議員の意図は途中でわかりました。

 9.11テロはアルカイダによるものではなく、米政府の捏造だという説を拠り所にして、テロ対策の抜本的な見直しを求めているようなのです。しかしそれにしては質問が稚拙で、国会でこんなことをやっていていいのだろうか、というのが正直な印象です。

 藤田議員は、火災ではビルは崩壊しない、仕掛けられた爆弾によるものだとおっしゃりたいようですが、鉄骨構造であれば火災で崩壊することは不思議ではありません。通常使われるSS400という種類の鋼材は700度で強度が約1/4になり、崩壊は起こり得ます。

 熱が伝わりにくいように鋼材には断熱材が張られていますが、想定外の大量の燃料による長時間の加熱には耐えられません。火災では崩壊しないと主張する人はこんな基本的なことも調べてないのでしょう。衝突後の爆発は気化した燃料に新たに引火しても、破壊されていない燃料タンクが加熱されても起こり得ます。

 破片が遠くまで飛散したのは不思議ではなく、衝突時の衝撃でも、燃料が気化したガスの爆発でも生じます。こういう事実を一つひとつ否定できなければ爆弾説に説得力はありません。

 また、ペンタゴンの建物に翼長38mの飛行機が衝突したのならそれだけの大きな穴があくはずだが小さな穴しかあいていないのはおかしい、またペンタゴンの建物は堅固にできているにもかかわらず、軽い合金で作られた飛行機が貫通するのはおかしい、と質問されています。

 この2つの質問自体、矛盾しています。最初の質問は建物が堅固でないという前提でなされ、2番目の質問は建物が堅固であるという前提に立っています。わけがわかりません。長い胴体部が縦方向に衝突すると強い力がかかるので、その部分だけ穴があいたという解釈が自然です。翼の部分は横向けに衝突したので建物には強い力が働かなかったというだけのことです。

 また、事件直後に暴落した航空会社の株のプットオプションを事前に購入していた者が儲けた事実を指し、こんなオペレーションをアルカイダがアフガニスタンなどからできますか、という質問がありました。プットオプションの購入など、4機の航空機をぶつけることに比べれば、メンバーにとって実に簡単なことでしょう(プットオプションについて予め調べておくべきです)。

 プットオプションや他の質問に対しても政府側の答弁は答になってないものが多かったのですが、藤田議員はそれに何の反応もせず、次の質問に移っていきました。まるで質問の棒読みです。必要な答を得ようとする意欲が全く感じられません。

 9.11が米政府の捏造だという怪しい本も出版されているようです。それを信じる少数のひとがいるのは仕方ありません。だが国会にそんな荒唐無稽なものを持ち出されては時間の浪費です。なぜ荒唐無稽かと言いますと、聞いた限り、質問に科学的な裏づけがあるとは思えないからです。広く信じられていることをひっくり返すには強力な証拠・証明が必要なのは当然です。

 満州事変の発端となった柳条湖事件は少人数で出来る線路の爆破ですが、後でばれています。まして9.11のような多人数を必要とする謀略を隠し通すことが現実に可能でしょうか。しかも発覚は政府の命取りになるだけでなく、米国の信用失墜を招きます。

 こんな話を持ち出すには新しい事実、あるいは十分に調査・検討された説得力のある材料を提示すべきです。怪しい本から得たネタを、検証もせずに持ち込むのはどういう見識でしょうか。UFO、陰謀説、ムー大陸、心霊現象、ガセネタ、なにを信じようと自由です。しかし昨年12月の山根議員のUFO質問に続いて、こんなもので国会の時間を使われては国民はたまりません。

 これは藤田議員だけでなく、民主党の見識の問題としても捉えるべきでしょう。民主党を代表して質問に立つわけですから、党としての関与もある筈です。政治家にとっても、政党にとって現状を的確に認識する能力は極めて重要です。参院第一党としてはたして大丈夫でしょうか、外交や防衛を託してもいいでしょうか、ちょっと心配です。防衛予算をUFO対策に使ったり・・・。

 まあ、UFOや陰謀論を国会で質問するなんてことは、あまり報道されない方がいいでしょうね。民主党にとっては逆宣伝ですから。朝日と毎日がこれを取り上げなかったのは民主党への優しい心遣いのためであったかも知れません。