噛みつき評論 ブログ版

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首相の演説より注目されるオバマ演説

2009-01-27 23:19:03 | Weblog
 オバマ氏の就任演説はマスメディアにも大きく取り上げられ、新聞には全文の日本語訳も掲載されました。米国の今後の方向性を示すものとして関心を集めるのは当然ですが、周到に用意された演説もまた見事なもので、感銘を受けた方も少なくないと思います。

 新聞が数ページの特集を組むなど、メディアの注目度の大きさは最大級であり、わが国の首相の所信表明演説の扱いに比べ、大きい格差が感じられます。日本に対する米国の影響が大きいといっても、日本の政治が日本自体に及ぼす影響の方がはるかに大きいのは自明ですから、首相の所信表明の扱いが米国の大統領演説より小さいのはまことに奇妙な現象であり、日本政治の地位を象徴しているかのようです。

 日本の所信表明演説に対する関心の低さは、天下泰平で社会に問題がないためではなく、政治に対する期待度が低いためと、日本の政治が方向性を魅力ある形で示すことがないためでしょう。説得力のある方向性を示せない点はオピニオンリーダーを自負するメディアも同じです。

 大統領の演説と集まった多数の聴衆を見ていると米国民が政治に対して大きい期待と信頼をもっていることが感じられます。それに対し、メディアで見る限り、日本では政権発足時から国民は冷めたままという印象があります。

 国民が政治に対する期待や信頼をなくしてしまった理由はむろん政治自体にもあるでしょう。また首相が1年ほどで交代するようでは方針を聞く気にならないのも確かです。しかし、政治家の不祥事を針小棒大にあげつらったり、ほとんどの政策は正負の両面があるのに負の面ばかりを強調するという報道を日常的に繰り返してきたメディアの果たした役割を無視できないと思います。

 永年にわたるこのような報道が政治への期待を失わせたと考えられないでしょうか。政治を育てるのはマスメディアの仕事であり、ムチばかりではうまく育たないのは教育と同じで、是々非々の姿勢も必要でしょう。

 そのような報道の積み重ねによって、政治自体が期待される職業、魅力ある職業でなくなると、政治家を志す有能な若者が減り、2世・3世に道を開くことになります。有能な政治家が減れば政治への期待も低下し、悪循環を起こします。日米のリーダーを見る限り、出自の良さは考慮すべき要素ではなさそうです。

 他国の出来事であるオバマ氏の演説の華々しい報道ぶりを日本の政治リーダーはどんな気持で見ていたのでしょう。日本の政治が華々しく報道されるのは不祥事のときくらいという事実に違和感を持たないのでしょうか。メディアにクレームつけるモンスター政治家がいてもよいのではないかと思います。