噛みつき評論 ブログ版

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国政よりサッカーのNHK

2010-06-17 09:42:34 | Weblog
 6月16日、参議院では首相の所信表明演説に対する代表質問とその答弁がありました。所信表明演説は内閣の基本方針を示すものですが、それは抽象的な建前論、つまりきれい事であり、内閣を評価する材料としての価値は限られます。それに比べ代表質問による答弁ではより多くの具体的なことが明らかになります。今回は管内閣の成立から参院選挙までの時間が少なく、新内閣を評価する材料が乏しい中で、この代表質問と答弁は貴重な判断材料です。

 ところが当日のNHKの夜7時のニュースは力士の賭博問題がトップ、ついでサッカー、国会ニュースは3分の2が過ぎてからの5分間だけ。夜9時のニュースウォッチ9でも賭博とサッカーと女性と刺殺事件で約3分の2が終り、国会は7分間だけでした。

 国政の重要さに比べれば力士の賭博やサッカーなど、どうでもよい問題です。視聴者の関心が強いとしても、公共放送がこれほどまで視聴者に迎合するのはおかしいと思わざるを得ません。生徒が喜ぶからといって、学校が教科書の代わりにマンガを採用するようなものです。

 NHKは午後の2時間半ほど、国会中継をしていましたが、平日昼間の視聴者は少数で、影響はごく限られたものです。空席の目立つ国会では、管首相の下を向いたままの抑揚のない棒読みが印象に残り、意欲が感じられませんでした。ただ政治家の必須条件なのでしょうが、質問の核心を外す答弁が巧みでした。

 ついでながら17日の日経新聞は1ページを使って代表質問と答弁の要旨を載せていますが、朝日新聞はわずか700字程度の目立たない記事で済ませています。サッカーや相撲に比べ、国会の質疑応答とはこれほどまで知らせる価値のないものでしょうか。

 民主党は国会を早く終え、ボロが出ないうちに逃げ切るつもりだ、というのが大方の見方ですが、メディアがこのような状況ではさらに判断材料が少なくなり、人気の固定化を助けて、民主党のずるい逃げ込みに加担することになります。・・・意図的かどうかは知りませんが。

 内閣発足時の高い支持率は1年も経たないうちに急低下するのが「慣例」となりました。やらせて見なければわからないといった面はあるにしても、これには発足前後にメディアが提供する情報の不足や偏りが大きく関わっていると考えられます。

 必要な報道より娯楽を優先させるのであれば商業放送と同じであり、公共放送の存在理由がなくなります。ニュースの大半をサッカーや相撲に費やすのでなく、その40分近くの時間を国会質疑の報道に充てるのが公共放送の役割だと思うのですが。