Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

切り取られた助手席の女

2012-10-16 | 
郵便桶を見るとキードリッヒからの通知が入っていた。ロベルト・ヴァイル醸造所からではないのは判っていたが、不意をつかれた感じである。その試飲会の日曜日にカメラを光らしてから三週間までは、まだかまだかと思っていたのだが、流石に一月を過ぎると、写真が不鮮明だったのだろうとぐらいに思っていたからだ。

初デートの若い女性を助手席に乗せて、なんだかんだと若干の酔いも手伝って気持ちよく走り出したばかりで、彼女の話に耳を突き出して聞こうとしていたときだった。赤く光ったので、直ぐに速度計を見ると、時速60KMを越していた。

丁度路地から出て本道に入るところなので後ろから来る車を考えて踏み込んだままに下りに入ったところだった。まさか時速30KM制限区間ではないと思ったが、50KM制限とは違反の意味が全く異なるので、早速転回して町へと戻った。

彼女は、「もう一度写る気?」と怖い冗談とも、なんとも冷ややかな反応を示したが、こちらはもうお構い無しである。なるほど合流地点が時速30KM制限で、その後は50KM制限であったので胸を撫で下ろした。

そして念のために責任をなすりつけながら彼女に、「もし、免停になったら、一月運転を頼むよ」と憂さを晴らした。

その結果を待っていたのだが、遅くなる場合は聴取などの面倒な手続きがあって只では済まない場合が多いからだ。振込み用紙よりも聴取の文面が目に入り、キートリッヒの役所のものであった。そしてご丁寧に「運転手を特定できないとすれば運行記録を出せ」などと、法人向けの対応が書いてある。そして最後に、「一週間以内に所定の口座に15ユーロを支払えば聴取に答える必要は無い」などと、嫌らしい脅かしのような練った文面となっていた。確かめてみると用紙が隠されていた。15ユーロの支払いで測定誤差を引いて時速10KMオーヴァーならばお構い無しであることは調べて分っていた。減点がつかないどころか運転手も特定されないで僅かの金で終わる。

それでも確りと運転手の顔写真が、助手席の女性の写真を切り取った形で、プリントしてある。折角ならば彼女の写真も欲しかったのだが、それは少し残念である。市の担当の嫌味な小母さんがなんだかんだと楽しみながら仕事をしている様子が見えるようである。因みに最新鋭の柱状型のカメラは運転手からは視認し難いので要注意である。



参照:
素晴らしい投資相応の価格 2012-09-11 | 試飲百景
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