Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

好みの味と慣れない味

2007-05-20 | 試飲百景
北西からまた南西からと来客が相継いだ。お天気も良く、飲んで、食べて、歩いてと行動的に過ごした。動けば動くほど、体力だけでなく財布の中身を消費するが、健康とはそういったことをも含めて指すのだろう。

今回も合わせて五件の醸造所で試飲を繰り返した。そのうち二件は、開催中のマイシュピッツェンと呼ばれる高級ドイツワイン協会のワイン博覧会の行事の一環として参加していて、各々試飲会を行った。

先日訪れて、すべてのワインを試飲したところであり、新たに差し出されたワインは四種類ほどでそれほど新味はなかったかも知れないが、一緒に訪問するお客さんが異なるので大変興味深い。特に女性の感想が交じるのも嬉しい。

なぜならば、その其々のワインに対する感想や試飲の選ぶワインや購入するそのワインの価格など、人其々異なるのが面白い。ワインの味への分析は、殆ど変わらないのだが、好みは皆其々あるのだ。

具体的に言うと、ミュラーカトワールのリースリングの強い味よりもヴァイスブルグンダーを、フォン・バッサーマンの現在のマイスターのワインには透明で力のあるウンゲホイヤーを、クリストマンの強い酸のリースリングや変わった味のブルグンダーよりも値打ち物の2003年酸赤ワインを選んだ。また、シュピンドラーのイエズイテンガルテンを食事の後に試飲して購入。そしてゲオルグ・モスバッハーの果物の薫り高い酸が強く表に出て、ミネラル風味の多い物ものよりも、旨味のあるヘアゴットザッカーのシュペートレーゼとカビネットを選んだ。

各々のワインに対する各論は改めて纏めるが、選択の基準の相違が好みであって、それは殆ど味覚の敏感さや評価とはあまり関係ない。旨いものは旨い、不味いものは不味いのである。

同じように、マコンから訪れた我々のアルペン協会の友好協会の仲間が、前日ワインの試飲をした。これもワインの原料を生産している農家の人もいて、外国へと輸入していると聞いた。なるほど、あの地域では瓶詰めして直接商品にするのではなくてサパージュのワインとなる商品を作り、大手が瓶詰めしたりしているのである。つまり市場に合わせて、その味を調整して大量生産するのである。その立場からすると、好むと好まざるに係わらず種を強く打ち出すドイツのリースリングは特別に絶賛されるのは当然であろう。

味の好みと言えば、先日日本から醸造所へ持ち込まれたお土産の上等な海老煎餅が封を解かれて置かれたままになっていたようだ。各々の醸造所でそれについて話を聞くと、「慣れないと、なかなか愉しめない味」で「魚の味でなかなか進まない」とか、「以前にやはり日本人から貰った物は、かなり匂いが強くて酷かったが、それに比べると全然良かった」とか、驚いたことに全く同じ反応であった。

実は以前に、偶々スルメ烏賊を貰った事がある。それをワインと食べようかなどと愉しみに考えていたが、袋を開けた瞬間から気持ち悪くなったことがある。やはりあの手のものは、かつてそれに慣れ親しんでいたとしても、全く受け付けなくなる種類の味らしい。勿論、上のお土産は大変質も高いものであり比較出来るようなものではなく、「ワインに合わせることが出来ないだろうか」とする考え方に「そうだろうかな」と言ったようなものなのである。

味の分析は、あるイメージを回帰することが出来るかどうかでもあり、それを好ましいと思うか、奇妙と思うかは、その人の経験や食生活などのライフスタイルに関わっていて、選択の基準となっている。これは、その質にはやはり一切関係ない。

先日試飲の店先で、「好みが同じだと大問題だよな、皆が同じ女性が好みだったら、これは豪いことになる」と話したのである。

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