3つのお話からなるオムニバス。エピソードとエピソードの間に短いインターミッションを兼ねたエピソードが挿入されるから、トータル5つのお話になっている。あらゆるケースを1本の中に詰め込んだ。演劇を通して「アルコール依存症について」考えるためのテキストになっている。それを太陽族の面々が演じる。正直言うと、芝居としてはあまり面白くない。岩崎さんの視点が前面に出てこないからだ。ウェルメイドな「教育演劇」(教育映画の演劇版)の域を出ない。もちろんこの企画を自分に引き寄せて、太陽族の芝居として立ち上げることも出来た筈だ。だが、それはしない。そんなこと、十分わかりきったことだ。だから、僕もそんなことがいいたいわけではない。
だが、ここまで作者の視点が見えてこない芝居にする必要はなかった気もする。岩崎さんの個人的な視線、考えが、垣間見えても、これは十分に成立する。さまざまなアルコール依存症の人たちの話を聞きながら、そこから見えてきたものを、世界の在り方も含めて、岩崎さんの視点から再構築する芝居であってもよかったはずなのだ。ここには岩崎さんの肉声が全く聞こえてこないし、見えてもこない。1本の劇作品としては、それではあまりに不備がありすぎるのではないか。
アルコール依存症への偏見を取り除く。理解を促す。そういう啓蒙としては、成功している。漫才や一人語りを取り入れてバリエーションをつけてある。普段は芝居を見ない人たちのための工夫が凝らされてある。あくまでも、これは啓蒙のための作品であるというスタンスを最後まで貫く。95分という上演時間も適切だ。
わかりやすくて、親切。演劇の可能性を押し広げる作品だ。満足度は高いかもしれない。僕がここに書いたことはあまり気にしなくていい。ぜひ、ひとりでもたくさんの人に見てもらいたい。
だが、ここまで作者の視点が見えてこない芝居にする必要はなかった気もする。岩崎さんの個人的な視線、考えが、垣間見えても、これは十分に成立する。さまざまなアルコール依存症の人たちの話を聞きながら、そこから見えてきたものを、世界の在り方も含めて、岩崎さんの視点から再構築する芝居であってもよかったはずなのだ。ここには岩崎さんの肉声が全く聞こえてこないし、見えてもこない。1本の劇作品としては、それではあまりに不備がありすぎるのではないか。
アルコール依存症への偏見を取り除く。理解を促す。そういう啓蒙としては、成功している。漫才や一人語りを取り入れてバリエーションをつけてある。普段は芝居を見ない人たちのための工夫が凝らされてある。あくまでも、これは啓蒙のための作品であるというスタンスを最後まで貫く。95分という上演時間も適切だ。
わかりやすくて、親切。演劇の可能性を押し広げる作品だ。満足度は高いかもしれない。僕がここに書いたことはあまり気にしなくていい。ぜひ、ひとりでもたくさんの人に見てもらいたい。