『インポッシブル』を見た前後で、この本を読んだ。あの映画がすごいのは、スペクタクルシーンやサバイバルシーンがふんだんにあるのに、当然目的はそれを見せることではない、という、これまた当然の事実なのだ。あれだけ大変な作業をして津波の被害を再現し、そこに5人家族の再会という、ただ、それだけのドラマしか盛り込まない。てんこ盛りにはしないのである。その選択は正しい。ピンポイントでしか、語れないことがあるのだ。
この小説もまた、そんなピンポイントを7編の短編連作で見せる。重松清らしい胸に沁みる作品だ。震災、津波の被害にあったさまざまな人たちのそれぞれの想いが綴られていく。どれも小さな話だ。だが、彼らにとっては人生を変える大きな出来事で、その痛みに耐え、生きなくてはならない。
お説教のような話はいらない。ただ、ありのまま、彼らが感じたことを描く。重松さんはいつもと変わりない。そんなふうにしか描けないし、それが素直な自分の想いだからだ。そんな誠実さが胸に迫る。怒りや、憤りをどこかに、ぶつけることはできない。でも、自分の中にため込んでいては、この先生きていけない。だから、どこかで折り合いをつけるしかない。7つの話のそれぞれの主人公は自分に正直に生きようとする。そんな姿がそれぞれの再生につながる。
この小説もまた、そんなピンポイントを7編の短編連作で見せる。重松清らしい胸に沁みる作品だ。震災、津波の被害にあったさまざまな人たちのそれぞれの想いが綴られていく。どれも小さな話だ。だが、彼らにとっては人生を変える大きな出来事で、その痛みに耐え、生きなくてはならない。
お説教のような話はいらない。ただ、ありのまま、彼らが感じたことを描く。重松さんはいつもと変わりない。そんなふうにしか描けないし、それが素直な自分の想いだからだ。そんな誠実さが胸に迫る。怒りや、憤りをどこかに、ぶつけることはできない。でも、自分の中にため込んでいては、この先生きていけない。だから、どこかで折り合いをつけるしかない。7つの話のそれぞれの主人公は自分に正直に生きようとする。そんな姿がそれぞれの再生につながる。