
さすらいの料理人、まさよ。鮨職人。シリーズ第二弾。今回冒頭のエピソードは小学5年の女の子が主人公になる。痛ましい話からスタートするが、これがとてもいい。
フィリピン人の母を持つ少女。親戚の葬儀でフィリピンに帰ったまま戻って来ない母を待つ。まさよが、今している子ども食堂にたまたまやって来てふたりは出会う。たったひとりの少女が母と再会できるか、を描く感動の一編。これだけで長編にしてもいい。日本に生まれた彼女はその容姿から虐めに遭う。母しか身寄りのない彼女が母を失う不安と戦う。まさよは彼女を支える。
もちろん彼女だけでなく、2話では売れなくなったロックミュージシャン、3話では迷走中ね鮨屋の二代目にも手を差し伸べる。おせっかいな彼女のドラマは読んでいて癒される。こんな人がいたら、いい。今回の主人公3人だけではない。僕らも弱っていた心が癒されて元気になる。これはそんな小説である。