
こんなシリアスなジャッキーを見たことがない。初めてジャッキー・チェンがアクション以外の映画(でも、これも一応アクション映画でもあるのだが)に挑んだ記念碑的な作品である。不法入国の中国人たちが新宿にコミュニティーを作り、助け合いながら生活している。ジャッキー演じる鉄頭は日本に行ったきり戻ってこない恋人を探しに不法入国する。映画の冒頭の漂着した座礁船からたくさんの人たちが這い出してくる場面のインパクトはその後のナイトシーンが多いこの映画の中で異彩を放つ。明るく穏やかな田舎の浜辺を異様な空気で包み込む見事な幕開けである。
新宿で彼は自分たちの命を守るために結果的にギャング団を作り上げることになる。そしてヤクザの抗争に巻き込まれていく。イー・トンシン監督はシリアス・ジャッキーを造形するにあたってまず、彼の持つキャラクターを大切にする。アクションスターとしてのキャラクターではなく、アクターとしての彼の資質である。とても優しくて人の気持ちをいつも思いやる。だから人が嫌がることは出来ない。彼が今まで演じてきたキャラクターの延長線上にこの主人公はいる。そんな彼がみんなを助けるために悪に手を染める。少しくたびれた50男である彼に30代の男を演じさせることで、貧しい中国の農村で暮らす若者のリアルな姿を体現させる。もちろんこの役をジャッキー以外の実年齢の役者に演じさせることは可能だ。だが、この企画はまずジャッキーが最初にあり彼がシリアスなドラマの中でリアルに存在感を持ち、彼でなくては表現できないペーソスも含めて表現し、この映画をジャッキー映画として立ち上げることにこそ意味があるのだ。だから、これはジャッキーでしか成り立たない企画だ。
この映画は、90年代後半の新宿で、日本に夢を抱いて入国してきた中国人たちが、この豊かに見える国の1番危険なゾーンで、命を引き換えにして豊かな生活を手に入れるための戦いを繰り広げていく姿をある種の普遍性を内包するドラマとして提示することに成功した。中近東や東南アジアも含めてさまざまな地域から東京に流入してくる外国人たちがこの外国人に対して閉鎖的な国で生きていくために何をしようとするのか。どう生きるのか、そんなこともテーマの視野に入れて描く。しかもノワールものとして分かりやすくまとめる中で、独自のポジションを持つ映画に仕上げた。イー・トンシン監督作品としてもベストの一作だろう。
犯罪に手を染め、あげくは殺されていく男をあのジャッキー・チェンが演じるのだ。異国の闇の中で消えていく名もない男の人生を彼が彼でなくては演じれないスタンスで見せる。新宿でのゲリラ撮影。地下水道での描写。加藤雅也のヤクザや竹中直人の刑事とのやり取りも含めて見事に1本の映画にはめ込むことに成功した。ここまでやったにもかかわらず、娯楽活劇でも社会派映画でもなく、あくまでもジャッキー映画であるというのも実は凄い。
アメリカ映画が『ゴッドファーザー』や『スカーフェィス』の時代から何度となく描いてきた移民とギャングの問題をなんと日本を舞台にして中国人(香港人)クルーが作り上げた。それがジャッキー・チェンの最新作であり、ジャッキー映画史上ベストの1本になったというのも、凄い。これはジャッキーの『グラントリノ』である。
新宿で彼は自分たちの命を守るために結果的にギャング団を作り上げることになる。そしてヤクザの抗争に巻き込まれていく。イー・トンシン監督はシリアス・ジャッキーを造形するにあたってまず、彼の持つキャラクターを大切にする。アクションスターとしてのキャラクターではなく、アクターとしての彼の資質である。とても優しくて人の気持ちをいつも思いやる。だから人が嫌がることは出来ない。彼が今まで演じてきたキャラクターの延長線上にこの主人公はいる。そんな彼がみんなを助けるために悪に手を染める。少しくたびれた50男である彼に30代の男を演じさせることで、貧しい中国の農村で暮らす若者のリアルな姿を体現させる。もちろんこの役をジャッキー以外の実年齢の役者に演じさせることは可能だ。だが、この企画はまずジャッキーが最初にあり彼がシリアスなドラマの中でリアルに存在感を持ち、彼でなくては表現できないペーソスも含めて表現し、この映画をジャッキー映画として立ち上げることにこそ意味があるのだ。だから、これはジャッキーでしか成り立たない企画だ。
この映画は、90年代後半の新宿で、日本に夢を抱いて入国してきた中国人たちが、この豊かに見える国の1番危険なゾーンで、命を引き換えにして豊かな生活を手に入れるための戦いを繰り広げていく姿をある種の普遍性を内包するドラマとして提示することに成功した。中近東や東南アジアも含めてさまざまな地域から東京に流入してくる外国人たちがこの外国人に対して閉鎖的な国で生きていくために何をしようとするのか。どう生きるのか、そんなこともテーマの視野に入れて描く。しかもノワールものとして分かりやすくまとめる中で、独自のポジションを持つ映画に仕上げた。イー・トンシン監督作品としてもベストの一作だろう。
犯罪に手を染め、あげくは殺されていく男をあのジャッキー・チェンが演じるのだ。異国の闇の中で消えていく名もない男の人生を彼が彼でなくては演じれないスタンスで見せる。新宿でのゲリラ撮影。地下水道での描写。加藤雅也のヤクザや竹中直人の刑事とのやり取りも含めて見事に1本の映画にはめ込むことに成功した。ここまでやったにもかかわらず、娯楽活劇でも社会派映画でもなく、あくまでもジャッキー映画であるというのも実は凄い。
アメリカ映画が『ゴッドファーザー』や『スカーフェィス』の時代から何度となく描いてきた移民とギャングの問題をなんと日本を舞台にして中国人(香港人)クルーが作り上げた。それがジャッキー・チェンの最新作であり、ジャッキー映画史上ベストの1本になったというのも、凄い。これはジャッキーの『グラントリノ』である。
早!もうご覧になったんですね。
これまたうらやましい。。。
ジャッキーのシリアス路線と言えば、随分以前、
「ファースト・ミッション」という、
サモハンさん演じる障害を持った兄を持つ弟の役
がありましたが、ジャッキーが死ぬというのは初めてかも?!
水島裕さんの声が良いので、吹き替えでみようかしら...
まだ未見ですが今から楽しみです。
水島裕さん→石丸博也さん
ジャッキーといえば石丸さんです。
水島さんは、サモハンさんの方です。
失礼しました。。。