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映画・演劇のレビュー

小野寺史宜『日比野豆腐店』

2025-01-17 07:24:00 | その他
豆腐小売店なんて今は経営は難しいだろう。今、豆腐屋は町から消えてしまいほとんどない。これはそんな個人商店を切り回す老齢の母と息子の嫁のお話。ふたりの連れ合いは亡くなっている。孫と3人。猫もいるけど。

前半は彼女たちの物語。祖母の初。母の咲子。親友(10歳だけど)の七太の話を挟んで後半、息子であり孫である高校2年の令哉の話へとつながる。(猫の福の短いエピソードを断章として各章の間に挟み込む)

個人経営の小さな豆腐屋。吹けば飛ぶような店を守って暮らす家族の日々。寿命で(とはいえ、まだ70だったが)亡くなった祖父、コロナでいきなり(まだ50で)亡くなった父。その後を継いだ母。

祖母の話から母の話へとつないだお話をふたりの話が引き継ぐ。父を無くした少年たち。未来に話をつなぐために後半はふたりの世代の異なる子どもたちにバトンを渡す。

令哉の話がメインになる。写真部にいるが半分は幽霊部員。何もしたいことがない。ただなんとなく毎日を過ごしている。そんな彼が豆腐屋を継ぎたいと思うまでのお話である。もちろんまだ17歳。この先どんな人生が待ち受けているかはわからない。家業を継ぐのはまだまだ先の話。今はまず大学に行くために勉強するといい。母も亡き父もそう望んでいる。

こんな小さな店、いつどうなるかわからない。だけど大事にしたい。曽祖父の代から続いている豆腐屋。時代は変わり、いろんなものが消えていく。だけど無くなって欲しくないものがある。だから守っていく。大切なものを護り続ける。

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